「全力で甘える」シリーズの第4弾。
生産性のない会話とだらだらとした雰囲気で構成された話ですが、お付き合いいただけると嬉しいです。

始めます。


2 :◆hAKnaa5i0. :2017/11/24(金) 17:16:47.39 :9cm72I6iO

(杏宅)

杏「…」ボ-

杏「久しぶりの休みの日で嬉しいはずなのに…やることがない」ボ-

杏「どういうことだろう…いつもは仕事の後でくたくたになってもゲームやら漫画やらアニメ鑑賞やら、やりたいことがたくさんあるのに…」

杏「…いざまとまった時間をポンと渡されると困るんだよね」

杏「…」ボ-


3 :◆hAKnaa5i0. :2017/11/24(金) 17:17:34.38 :9cm72I6iO

杏「…」ハッ

杏「も、もしや、これが社畜というやつなのか! 一番なりたくないものになってしまったぞ!」ガ-ン!!

杏「これはいけない! 誰かを誘って遊んで『私は社畜ではない』と堂々と言えるようにしなければ!」

杏「ええと…あった、予定表だ。事務所のみんなは…と」

杏「(きらりは仕事…かな子は仕事…智絵里は仕事で、紗南も仕事。りーなは夏樹とライブに行ってて、仕事休みのメンツは全員あんまり顔を合わせたことのない人、か)」


4 :◆hAKnaa5i0. :2017/11/24(金) 17:18:02.83 :9cm72I6iO

杏「…え? これもしかして詰んでる?」

杏「い、いやいや、そんなわけはない! 私は諦めないぞっ!」

杏「まだ見落としがあるはず…ええと…」

杏「…ん?」

杏「あの人、今日の午後はお仕事入ってないみたい」ジ-


5 :◆hAKnaa5i0. :2017/11/24(金) 17:18:56.33 :9cm72I6iO

(しばらくして)

P「で、呼び出したわけか」

杏「で、呼び出してみたわけよ」

杏「まさか本当に来てくれるとは思わなかったけどね」

P「どうしてだ?」

杏「他の人と予定入ってるのかなーって。プロデューサーよく誘われてるじゃん」

P「誘われても全部にOKしてるわけじゃないからな」


6 :◆hAKnaa5i0. :2017/11/24(金) 17:19:32.93 :9cm72I6iO

杏「たくさん誘いがあることは否定しないわけね」

P「誘われてるし」

杏「はいはい、そうですか」プ-

P「拗ねるなよ」

スッ...プニ-

杏「あのさー、ほっぺをムニムニ掴まないでくれるかな?」

P「想像以上のモチモチ感」


7 :◆hAKnaa5i0. :2017/11/24(金) 17:20:11.08 :9cm72I6iO

杏「お肌には気を使った食生活を心がけてるからね」

P「ほう。意外だな」

杏「朝起きたらすぐにコーラ飲んで水分補給したり、倒れないようにポテチで栄養補給したり…」

P「うん。気を使ってないね。欲望のままに食べて飲んでいるね」

杏「ストレスを溜めないことも大切だよ」

P「一理ある」


8 :◆hAKnaa5i0. :2017/11/24(金) 17:20:52.03 :9cm72I6iO

杏「ま。何はともあれ…マリオカートやるぞ!」カッ!!

P「ふふふ、いいだろう。国道の走り屋と呼ばれた俺の実力を見るがいい」

杏「安全運転を心がけてそうなドライバーだね」

P「むろん。ゴールドカードだ」

杏「マリオカートの前に誇っちゃいけないところだよ」


9 :◆hAKnaa5i0. :2017/11/24(金) 17:21:25.49 :9cm72I6iO

(しばらくして)

ブォォォン...

杏「…」カチャカチャ

P「…」カチャカチャ

杏「お、この順位でのトリプルこうらは強いぞ」

ピッ...ヒュンヒュンヒュンヒュン

P「あ、ちょ」

スコ-ン...アワワワワワワ!!

P「うげっ。スリップした」

杏「はっはっは。これで杏の独走だー」

P「ぐぅ」


10 :◆hAKnaa5i0. :2017/11/24(金) 17:22:24.33 :9cm72I6iO

杏「…」カチャカチャ

P「…」カチャカチャ

P「...まだいける」

杏「諦めなよ。トゲゾーがこない限り杏の優位は変わら…」

シュ-ン...シュンシュンシュン...!!

杏「あ」

P「自分でフラグを立てるから」

杏「ちょ。ジャンプ台手前での被弾は…」

チュド-ン!!

杏「」


11 :◆hAKnaa5i0. :2017/11/24(金) 17:22:55.75 :9cm72I6iO

P「…」カチャカチャ

杏「…」カチャカチャ

P「よしゴール。1位だー」

杏「…もっかい」

P「いいよ」


12 :◆hAKnaa5i0. :2017/11/24(金) 17:23:41.11 :9cm72I6iO

(しばらくして)

P「杏ー。喉乾いたー」グデ-

杏「…仕方ないなぁ。ちょっと待っててよ」

スッ...コポコポ
コトリ

杏「はい。ジュース持ってきてあげたよ」

P「ありがとう」

杏「杏を働かせるなんていい根性してるよね」

P「照れる」

杏「褒めてないよ」


13 :◆hAKnaa5i0. :2017/11/24(金) 17:24:13.22 :9cm72I6iO

P「では、お礼にひとつだけ願いを聞いてあげよう」

杏「いいの? それじゃあ叶えられるお願いごとを3つに増やしてよ」

P「それはズルだろ」

杏「ちっ。じゃあひとつでいいよ」

P「当然だ。その代わり何でもいいぞ」

杏「んー…何でもいいが1番困るんだよねぇ」

P「主婦かよ」

杏「とりあえず保留で。いまは叶えて欲しいこととかないし」

P「OK」


14 :◆hAKnaa5i0. :2017/11/24(金) 17:24:45.46 :9cm72I6iO

杏「ところでさ」

P「ん?」グデ-

杏「脱力しすぎじゃない?」

P「日々の疲れが溜まってるんだよ」

杏「ふーん。お疲れ様」

P「杏も寝たらどうだ」

杏「…」


15 :◆hAKnaa5i0. :2017/11/24(金) 17:25:14.12 :9cm72I6iO

杏「ま。いいか」

スッ...ポスン

P「…」

杏「…」

P「…」

杏「…な、なんか言いなよ。プロデューサーの腕を勝手に枕にしたんだよ?」

P「ほのかに甘い香りがする」

杏「へ、変態め…」グデ-


16 :◆hAKnaa5i0. :2017/11/24(金) 17:25:51.74 :9cm72I6iO

P「髪触っていい?」

杏「いいけど…」

P「…」サワサワ

杏「…」

P「…」

杏「…あのさ」

P「ん?」サワサワ

杏「髪の毛を触るのが楽しいわけ?」

P「楽しいし、心地いい」クルクル

杏「…あそ」


17 :◆hAKnaa5i0. :2017/11/24(金) 17:26:28.38 :9cm72I6iO

P「サラッサラだな」サワサワ

杏「どーも」

杏「...♪」

P「あ、いま」

杏「ニヤけたりしてないから」キリッ

P「でもいま」

杏「シャラーップ。いいから大人しく髪の毛でもいじってなよ」

P「へーい」


18 :◆hAKnaa5i0. :2017/11/24(金) 17:26:58.91 :9cm72I6iO

ナデナデ

杏「それ頭撫でてない?」

P「撫でてるよ」ナデナデ

杏「…私。背が小さいからよく人から頭を撫でられるんだよね。子供じゃないのに」

P「あんまり好きじゃないのか」

杏「まあね」

P「悪かったよ」


19 :◆hAKnaa5i0. :2017/11/24(金) 17:27:27.17 :9cm72I6iO

スツ...ナデナデ

杏「…」

P「…」

杏「プロデューサー」

P「うん?」

杏「かといって、頬を撫でるのはどうかと思うよ」

P「頭とどっちがいい?」

杏「頬」

P「よし」サスサス


20 :◆hAKnaa5i0. :2017/11/24(金) 17:28:03.01 :9cm72I6iO

杏「…」

杏「♪」ムフ-

P「あ、いま」

杏「うるさいよ。大人しく撫でてなよ」キリッ

P「ごめん」サスサス

杏「まったく」


21 :◆hAKnaa5i0. :2017/11/24(金) 17:28:31.01 :9cm72I6iO

(しばらくして)

杏「プロデューサー。ご飯食べてく?」

P「作ってくれるのか?」

杏「選択肢は3つ。カップ麺にお湯を注ぐか、ピザを頼むか、嫌々かつ不本意ながら私が手料理を振る舞うか。さあどれだ」

P「3つ目で」

杏「面倒くさいなぁ」

P「杏の手料理が食べたいんだ」


22 :◆hAKnaa5i0. :2017/11/24(金) 17:28:57.68 :9cm72I6iO

杏「仕方ない。ならスーパーに買い物に行かなきゃだね。歩くのだるいけど」

P「おぶってってやろうか?」

杏「いや、いい。帰りに荷物持ってよ」

P「それはさっきの願い事か」

杏「ノーカンでしょ。料理作ってあげるんだから働いてよ」

P「はい」


23 :◆hAKnaa5i0. :2017/11/24(金) 17:29:32.19 :9cm72I6iO

杏「よーし、行くぞー」グデ-

P「おー」グデ-

杏「…」

P「…」

杏「このテレビ見終わってからでいいか」グデ-

P「だな」グデ-


24 :◆hAKnaa5i0. :2017/11/24(金) 17:30:21.81 :9cm72I6iO

(しばらくして)

コトリ

杏「はい。回鍋肉」

P「うまそう」

杏「初めて作ったから味は保証しないよ」

P「初めて、ねぇ」

杏「なにさ。文句あるの?」


25 :◆hAKnaa5i0. :2017/11/24(金) 17:31:10.98 :9cm72I6iO

P「いや、さっき、机の下から付箋のついた料理本を発見したんだけど」

杏「…」

P「あの本は?」

杏「きらりが置いてった本だよ」

P「へー」

杏「な、なにさ。その目は」

P「別に?」

杏「怒った。プロデューサーは白米抜きね」

P「ごめん。それは辛い」


26 :◆hAKnaa5i0. :2017/11/24(金) 17:31:39.06 :9cm72I6iO

杏「ふははは。回鍋肉にご飯がないのは辛いだろう!」

P「お願いします。杏様。どうか白米を」

杏「じゃあ、冷蔵庫からお茶持ってきて。それから食後の皿洗いもよろしく」

P「いいよ」

杏「サンキュ。ほら、お茶碗出して」

P「ん」

スッ...スッ...コトリ

杏「どーぞ」

P「ありがとう」

杏「では、いただきます」

P「いただきます」


27 :◆hAKnaa5i0. :2017/11/24(金) 17:32:33.01 :9cm72I6iO

(しばらくして)

P「アイス買ってきたけど何がいい?」

杏「シャーベット系ある?」

P「ん」スッ

杏「ありがと。プロデューサーは何食べるの?」

P「ハーゲンダッツ」

杏「は?」


28 :◆hAKnaa5i0. :2017/11/24(金) 17:33:03.68 :9cm72I6iO

P「いただきます」

杏「…」ジ-

P「ごめん。実はもうひとつハーゲン買ってあるよ」

杏「さすが」

P「チョコクッキーとレーズンだったら?」

杏「チョコクッキー」

P「へーい」スッ


29 :◆hAKnaa5i0. :2017/11/24(金) 17:33:31.93 :9cm72I6iO

杏「この前さ」

P「ん?」

杏「レッスンの後、きらりと一緒にサーティワン行ったんだけどね」

P「うん」

杏「『小さい子にはサービスです』ってアイス1個おまけしてもらったんだ」

P「…それは子供扱いされて悲しいって話?」

杏「杏のパーフェクトボディはいいことづくめだろうっていう自慢話」ドヤ-

P「だよね」


30 :◆hAKnaa5i0. :2017/11/24(金) 17:34:03.71 :9cm72I6iO

杏「映画館とかはさすがに気が引けて子供料金で入らないけどねー」

P「入ったら犯罪だからな。やめろよ」

杏「わかってるよ。あ、そっちのアイスひと口ちょうだい」

P「どうぞ。すくっていいよ」

杏「面倒くさいからプロデューサーのスプーンですくって食べさせてよ」

P「わがままだなー」

杏「たまにはいいじゃん」

P「たまにじゃないだろ。まったく。ほれ、あーん」


31 :◆hAKnaa5i0. :2017/11/24(金) 17:34:31.29 :9cm72I6iO

杏「あー」

パクッ...モグモグ...

杏「プロデューサー」

P「ん?」

杏「レーズン入ってないじゃん」

P「嘘。確認してなかった」

杏「もうひと口」

P「ん」

ア-ン...パクッ

杏「んー♪」


32 :◆hAKnaa5i0. :2017/11/24(金) 17:35:10.18 :9cm72I6iO

P「うまいだろ」

杏「うまい。チョコクッキーには負けるけどね」

P「はー?」

杏「やっぱり時代は王道だよ」

P「いやいや、ひと口ちょうだい。食べ比べてみるから」

杏「ほい」スッ

P「あーんは?」

杏「ヤダ」

P「フェアじゃないなぁ」


33 :◆hAKnaa5i0. :2017/11/24(金) 17:35:41.91 :9cm72I6iO

杏「一回だけね」

P「さすが」

杏「ほい」

ア-ン...モグモグ

P「あ、うまいわ」

杏「でしょ」

P「レーズンには負けるけど」

杏「は?」


34 :◆hAKnaa5i0. :2017/11/24(金) 17:36:22.69 :9cm72I6iO

P「決して交わることのない2つの意見が誕生してしまった」

杏「決着をつけようか」

P「やってやろう」

杏「スマブラとポケモンスタジアム。どっちがいい?」

P「ポケモンスタジアム」

杏「よし、白黒付けてやるっ!」


35 :◆hAKnaa5i0. :2017/11/24(金) 17:37:13.31 :9cm72I6iO

(しばらくして)

P「あー、楽しかった。もう帰るよ」

杏「ん。じゃあ、また明日ね」

P「1人で寝られるか?」

杏「子供扱いすんなっ!」

P「冗談だよ」

杏「ムカつくなー」ム-

P「ごめん」


36 :◆hAKnaa5i0. :2017/11/24(金) 17:37:52.78 :9cm72I6iO

杏「プロデューサー」

P「なに?」

杏「泊まってく?」

P「ん?」

杏「きらりがよく泊まってくから布団はあるよ。ここからの方が事務所は近いでしょ」

P「んー」

杏「…」


37 :◆hAKnaa5i0. :2017/11/24(金) 17:38:37.72 :9cm72I6iO

P「ごめん、今日は帰るよ。明日、仕事で必要なものが家にあるし」

杏「あそ。じゃあ気を付けて帰ってね」

P「はいよ。それじゃあ」

杏「あ」

P「なんだよ」


38 :◆hAKnaa5i0. :2017/11/24(金) 17:40:35.94 :9cm72I6iO

杏「お願い使ってないや」

P「いまさらかよ」

杏「いま使う」

P「…仕方ない。なんでもいいぞ」

杏「今度オフが重なったらさ、またうちに来てよ」

P「…」

P「うん。約束だ」

杏「決まり。じゃあ、楽しみにしてるからね。約束破るとかなしだよ?」

P「おう」

杏「…へへへ♪」ニコニコ


39 :◆hAKnaa5i0. :2017/11/24(金) 17:41:06.98 :9cm72I6iO

終わり


40 :◆hAKnaa5i0. :2017/11/24(金) 17:42:52.83 :9cm72I6iO

以上です
お読みいただきありがとうございました

前作のレスでリクエストをいただいたものです
また気が向いた時に本シリーズは書いていこうと思うので、その時はお付き合いいただけると嬉しいです

では


SS速報VIPに投稿されたスレッドの紹介です
【SS速報VIP】杏「私が全力でプロデューサーに甘える日」
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