1 :◆C2VTzcV58A :2017/10/25(水) 21:25:23.78 :vbc1DarOO

梨沙「………」

雪美「………」

梨沙「ねえ、雪美。アンタの飼ってる猫……ペロなんだけど」

雪美「………ペロ?」

梨沙「そう、その子なんだけど……今日のペロさ」


梨沙「なんか、でかくない?」

雪美「……成長期……?」

ホセ・ペロス「キンニクアリマス」

梨沙「………」


2 :◆C2VTzcV58A :2017/10/25(水) 21:26:10.80 :vbc1DarOO

梨沙「バット持って二足歩行してない? 日本語しゃべってない?」

ペロス「ムーチョムーチョ」

雪美「スペイン語も……いける……」

梨沙「あらすごい……じゃなくて。そのいかついオジサン、スターの球団でファースト守ってない? 3番とか4番とか打ってない?」

雪美「………」コクン

ペロス「MVPニナリマシタ」

梨沙「………」

梨沙「ロペスよね?」

雪美「ペロス」

梨沙「ロペスよね?」

ペロス「ブエナスタルデス」

梨沙「急に日本語わからないフリするんじゃないわよ!」


3 :◆C2VTzcV58A :2017/10/25(水) 21:26:54.72 :vbc1DarOO

梨沙「どういうことよ……? なんでペロがホームラン30本くらい打ちそうなマッチョ男に……」

雪美「成長期………」

梨沙「成長っていうか種族から変わってるでしょ。もはやペットじゃないでしょ」

雪美「ペロス……ペットじゃない……友達」

梨沙「それはそうかもしれないけど! そうじゃないのっ!」

ペロス「バット、トモダチ」

梨沙「聞いてないわよ!」

雪美「道具をたいせつに……偉い……プロの鑑……」

梨沙「頭痛くなってきた……」

ペロス「キガルニ、チャモ、トヨンデクダサイ」

梨沙「そこはペロにしなさいよ! せめてそのくらいは守りなさいよ!」

雪美「ペロス……守備はとてもうまい……」

梨沙「あああああもうっっ!!」


4 :◆C2VTzcV58A :2017/10/25(水) 21:28:39.18 :vbc1DarOO

雪美「ペロス……力持ち……ホームラン、打てる……」

梨沙「知ってるわよ。パパと一緒によく野球見てるもん。4番も結構打ってたわよね」

雪美「梨沙……詳しい……?」

ペロス「アリガトゴザイマス」

梨沙「ま、アタシ物知りだし~? そういえば、最後のほうは3番に戻って――」

小春「おはようございます~。なんの話をしているんですか?」

梨沙「おはよう、小春。それが、どう説明したらいいか……」

雪美「ペロス……力持ち……」

小春「ペロスちゃんの話をしていたんですね~。力持ちといえば、うちのゴウくんも負けてないですよ~?」

梨沙「ああ、小春の飼ってるイグアナ……ん? 確かあの子の名前ってヒョウくんだったような」

小春「ね、ゴウくん? 力持ちですよね~?」

ツツゴウ「普通です」

梨沙「4番が来た!?」


5 :◆C2VTzcV58A :2017/10/25(水) 21:29:33.69 :vbc1DarOO

梨沙「待ちなさい待ちなさい待ちなさい! おかしいでしょ!」

ゴウくん「普通です」

梨沙「普通じゃないわよ! なんでスターの球団の3番4番が揃ってるのよ!」

小春「これはゴウくんの口癖です~」

梨沙「確かにヒーローインタビューでよく言ってたわね! でもそれ以前にペットが平然と日本語しゃべって二足歩行してるのおかしいでしょ! これさっきも言った!」

小春「ゴウくんはペットじゃなくて友達ですよ?」

梨沙「それもさっき聞いた!」

雪美「梨沙……大丈夫?」

梨沙「ぜんっぜん大丈夫じゃないわよ! アンタたちのせいで!」

小春「わわわ、落ち着いてください~」

雪美「ペロスの一発芸……見せてあげるから……落ち着いて……」

梨沙「はあ? 一発芸?」

ペロス「ゲッツ!」

梨沙「監督の持ちネタ!!」

小春「もともとはお笑い芸人さんのネタですね~」


6 :◆C2VTzcV58A :2017/10/25(水) 21:30:07.00 :vbc1DarOO

小春「あ、そろそろゴウくんのごはんの時間ですね~」

雪美「ペロスも……ごはん」

梨沙「ああ……そろそろお昼? ていうかアタシもツッコミしすぎてお腹減ってきた……」

小春「今準備しますからね~」

雪美「ペロスも……待ってて……」

梨沙「ごはんって……なに? キャットフードとか?」

小春・雪美「焼肉(です)」

梨沙「そんなことだろうと思ったわ」


7 :◆C2VTzcV58A :2017/10/25(水) 21:31:01.63 :vbc1DarOO

ジュージュー


ペロス「モグモグ」

ゴウくん「ガツガツ」


梨沙「そりゃそうよね。明らかに人間なのに葉っぱとかキャットフード食べるわけないわよね」

ゴウくん「野菜も食べますよ。バランス大事なので」

梨沙「そういう話じゃないわよ」

雪美「ペロス……高くて甘いのが好き……」

梨沙「高級なお肉ってこと? 具体的には?」

雪美「……スライダーとか」

梨沙「それホームランにしやすい球……あっ、高めに抜けた甘い球が大好物ってことか!」

雪美「………」グッ

梨沙「クイズに正解したみたいでちょっと喜んじゃったわ」

ペロス「リサモタベマスカ?」

梨沙「いや、お昼から焼肉はちょっと重い……」


ジュージュー


梨沙「………」

梨沙「ちょっとだけ。ちょっとだけ、いただきます」

小春「お昼ごはんが終わって少し休んだら、外で運動しましょうね~。ボールで遊びましょう~」


8 :◆C2VTzcV58A :2017/10/25(水) 21:31:39.16 :vbc1DarOO

グラウンド


ブンッ!

カキーン!

バシッ!

シュッ!

ズバァン!



梨沙「ボール遊びっていうより守備練習よね、これ。音すごい」

小春「まるでプロみたいですね~」

梨沙「プロでしょうが……でも本当、こんなのがいつもそばにいるならアンタたち安全よね。ヘンタイに襲われても守ってもらえるもん」

雪美「………ペロス、ピンチの時……守ってくれる……?」

ペロス「モチロン」

梨沙「頼もしいわね」

ペロス「チームノタメナラ、セカンド、サード、マモリマス」

梨沙「守備位置の話!?」

雪美「………」ポッ

梨沙「照れる要素ある!?」


9 :◆C2VTzcV58A :2017/10/25(水) 21:33:14.80 :vbc1DarOO

小春「わ~~。ゴウくんのお姫様だっこ、快適です~」

ゴウくん「普通です」

小春「ちょっと前までは小春がゴウくんを抱っこしていたのに~」

梨沙「ちょっと前というか昨日よね。いまさら大声でツッコむつもりもないけど」

小春「ゴウくん、力持ち~♪」

梨沙「……にしても、ホントにすごい身体つきしてるわよね。腕太いし、全体的にがっちりしてるし。さすが4番バッターね!」

ゴウくん「まだまだ鍛えていかないと、目標にたどり着けないので」

梨沙「目標……そっか。スターの球団、順位は3位だったけど、クライマックスシリーズで勝ち抜いたから――」


雪美「ペロス……そろそろお出かけ……」

小春「あ~、もう遠征の時間ですか~。もっと遊びたかったのに~」

梨沙「遠征?」

小春「はい~。監督さんが迎えに来てくれるそうです~」

梨沙「監督って、まさか」


キキーーッ


フレちゃん「アイーン! ゲッツ! ラミちゃんだよ~」

梨沙「さすがに無理あるでしょうが!」


10 :◆C2VTzcV58A :2017/10/25(水) 21:34:28.50 :vbc1DarOO

フレちゃん「車で来ました」

梨沙「しかもフレデリカだけ見た目も完全にフレデリカのままだし……これじゃただのラミちゃんの物真似じゃない」

フレちゃん「ではでは、ペロスちゃんにゴウくん! 一緒に福岡に乗り込むぞ~!」

ペロス「オーケー」

ゴウくん「いってきます」

雪美「がんばって……」

小春「試合、見てますからね~」

フレちゃん「よーし、じゃあしゅっぱーつ!」

梨沙「え……ちょ、ちょっと待って! フレデリカ、アンタも遠征に行くの!?」

フレちゃん「そりゃあそうだよ。だってラミちゃん監督だし。週明けには戻ってくるから待っててね~♪」

梨沙「週末にアタシと一緒にライブに出るのよ!? そっちはどうするのよ!」

フレちゃん「モーマンタイ♪ ちゃんとピンチヒッター呼んできたから」

梨沙「ピンチヒッター……?」


ミヤモトヘッドコーチ「任しとき」

梨沙「名字以外なにひとつ大丈夫なところがない!」

ミヤモトヘッドコーチ「守備ならまだまだイケるよ」

梨沙「守備じゃなくてダンスと歌がイケないと困るのよ!」


12 :◆C2VTzcV58A :2017/10/25(水) 21:36:04.52 :vbc1DarOO

フレちゃん「いってきまーす♪」ブロロロ

梨沙「あ、待ちなさいフレデリカ! まだ話は終わってないわよ!」

フレちゃん「大丈夫大丈夫~。トゥモロウイズアナザーデイ~。ね、ロペ……ペロスちゃん」

梨沙「アンタ今なんて言った!? ロペスって言わなかった!?」

フレちゃん「フンフンフフーンラミデリカ~♪」

梨沙「ちょっと! ホントにどうするのよ~~!!」




………

……





梨沙「………はっ!?」


ちゅんちゅん


梨沙「ここは、アタシの部屋……なんだ、夢か~~」ホッ


13 :◆C2VTzcV58A :2017/10/25(水) 21:37:00.00 :vbc1DarOO

梨沙「そうよね。いきなりペロやヒョウがプロ野球選手になるわけないし、フレデリカだって普段はテキトーだけどライブをサボるような子じゃないし……本当になんであんな夢見たのかしら」

梨沙「でも………」


ペロス『チームノタメナラ、セカンド、サード、マモリマス』

ゴウくん『まだまだ鍛えていかないと、目標にたどり着けないので』


梨沙「……ま、何かの縁ってことで応援くらいはしてあげようかな」フフッ


14 :◆C2VTzcV58A :2017/10/25(水) 21:38:51.42 :vbc1DarOO

コンコン


的場父「梨沙。入っていいかい?」

梨沙「あ、パパ! うん、大丈夫!」


ガチャ


的場父「おはよう。さっきうめき声が聞こえたような気がしたけど、大丈夫?」

梨沙「平気よ。ちょっと変な夢見ただけだから」

的場父「そうか、ならよかった。お父さん、これから仕事に出かけるから」

梨沙「そうなんだ。いってらっしゃい……ところで、パパ。一個聞いてもいい?」

的場父「?」

梨沙「なんで仕事行くのにキャッチャーミット持ってるの?」

的場父「ああ。今日は家からミットを持参しようと思って。新しいチームでコーチをすることになったし、また気合いを入れて頑張らないとね」

梨沙「………あ、うん。がんばって」

的場父「ありがとう。じゃあ、いってきます」


ガチャ、バタン


梨沙「………」

梨沙「そっかー。アタシのパパ、プロ野球でキャッチャーやってたのよね。それで今度、昔いたチームでコーチをすることになったのよ。うん」


15 :◆C2VTzcV58A :2017/10/25(水) 21:39:29.89 :vbc1DarOO

梨沙「うん」






梨沙「……って、そんなわけないでしょうがーーー!!! 的場違い!!!」




おしまい


16 :◆C2VTzcV58A :2017/10/25(水) 21:41:40.79 :vbc1DarOO

古賀小春さんSSRおめでとうございます
横浜DeNAベイスターズさん日本シリーズ進出おめでとうございます


過去作
ミリP「しほすき」
二宮飛鳥「甘く切なく、穏やかに愛おしく」
織斑一夏「はあ、男が欲しい……」

などもよろしくお願いします


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【SS速報VIP】佐城雪美「ペロス」
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