1 :◆NOC.S1z/i2 :2017/09/21(木) 22:55:53.74 :Yil6Gzmuo

 ライラさんはー、公園が好きですねー
 公園は、食べる物も楽しいこともいただけるのですねー

 ライラさんはー、今はひとりです。
 一緒に日本に来た子は今はいませんよー、でも、公園に来れば皆さんに会えるのです。

 楽しいですね。

 アイドルって何ですか?

 ふごふごさんは、アイドルですか。

 はー、アイドルは美味しいですか?
 楽しいですか?
 お家賃、払えますですか?

 うふふふ



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


2 :◆NOC.S1z/i2 :2017/09/21(木) 22:57:02.48 :Yil6Gzmuo

月末になると、ライラさんはプレミアムアイスクリームを一つ買います。
夏でも冬でも関係ありません。

そしてアイスクリームを一つとスプーンを二つ持って、ウサミンロボ秘密基地へ向かいます。

「ライラさんの約束ですよー」

うさ!

すると、一台のウサミンロボが姿を見せました。

次に、ライラさんはウサミンロボと一緒にモバPのオフィスへ向かいます。

「プロデューサー、ライラさんの約束ですよー」

「お、もう一か月経ったか」

モバPはウサミンロボの隣に並びました。

うさっ


3 :◆NOC.S1z/i2 :2017/09/21(木) 22:58:02.01 :Yil6Gzmuo

「じゃあ今月も、ごちになろうかな」

「はい、ですよ」

ライラさんの差し出したアイスクリームを受け取ったモバPは、スプーンできれいに真ん中から二つに分けました。
半分は自分が、そして半分はウサミンロボが。

「うん、ライラのアイスは美味しいな」

うさっ!

 楽しくアイスを食べていると、大きな影と小さな影が一つずつ。

「アイス食べとうよ」

「あ、えーなー、アイス」

 着ぐるみの中で暑そうな上田鈴帆と、それに付き添う難波笑美でした。

「このアイスはライラから俺たちへの特別品だからな」

「なんやの、それ」

「んー、あれはそうだな……」

 モバPは語り始めました。


4 :◆NOC.S1z/i2 :2017/09/21(木) 22:59:08.10 :Yil6Gzmuo
 
 それは、夏の終わりのある日のことでした。
 いつものようにパトロール兼新曲の宣伝行脚をしていたウサミンロボは、アイドルスカウトに向かうモバPと会いました。

「おう、ロボ。お前も宣伝中か」

 うさ

「みちるの知り合いがこの辺りにいるらしくてな。一度会ってみようかと」

 うさ?

「いい子らしいし、仕事も探しているらしい」

 うさ

「まだまだ暑いなぁ、なあ、団子の代わりにアイスクリームとか出せないのか」

 うさ

「駄目か」


5 :◆NOC.S1z/i2 :2017/09/21(木) 22:59:36.28 :Yil6Gzmuo

 うさ

 ウサミンロボは背中のリュックから水筒を取り出しました。

「お、いいのか?」

 うさ

「それじゃあ、ありがたく」

 中身は、よく冷えたヘルシーリセッタでした。

「すまん、これはそのままでは飲めない」

 うーさー

「まあいいさ、その辺りに自販機でも……」

 モバPは、ん? と呟くと辺りを見回していた視線を固定します。

「あれは」


6 :◆NOC.S1z/i2 :2017/09/21(木) 23:00:04.51 :Yil6Gzmuo

 女の子が走っているのが見えます。
 それだけなら、慌てる話ではありません。
 ですが、女の子の後ろから追いかけてくる男がいます。それも、複数でサングラス着用です。
 怪しさ大爆発です。
 遊んでいるようには見えません。

 うさ

「……あの子だよ。みちるがスマホで撮ってたから、顔は覚えてる」

 二人は女の子に向かって駆け出します。

「おいっ、何やってんだっ!」

 うさっ!

 女の子を背後に庇う位置で立ち止まると、モバPは言い放ちます。

「事情は知らんが、むくつけき男連中でか弱い女の子追いかけ回すってのは、ちょっと拙いんじゃないですかねぇ」
「しかも全員サングラスで人相隠して、てめーら内匠P軍団か!」


7 :◆NOC.S1z/i2 :2017/09/21(木) 23:00:30.77 :Yil6Gzmuo

 その横で、ウサミンロボは仁王立ちです。

「君には関係ない、退いていたまえ」

 サングラス男が二人、ロボとモバPの前に立ちます。

「おいおい、まさか腕ずくで」

 殴られて、モバPはもんどりうって倒れました。

 うさ!?

 ウサミンロボは担がれました。そして、投げられました。

 うさーっ!?

 立ち上がるモバP、そして、くるりと回って着地すると元の位置に戻ってくるウサミンロボ。

「こいつら、強いぞ」

 うさ


8 :◆NOC.S1z/i2 :2017/09/21(木) 23:00:57.41 :Yil6Gzmuo

「あの……」

 背後の女の子が言います。

「二人は逃げるといいです。ライラさんは平気です」

 サングラス男が言います。

「ライラ様、お戻りください。御当主様がお待ちです」

「嫌です」

「ライラ様。お戻りにならなければ、一緒に逃げた世話役がどうなりますか」

 サングラス達の後ろのほうから、一人の女性が姿を見せました。

「申し訳ありません、ライラ様」

 女性は手錠をかけられています。


10 :◆NOC.S1z/i2 :2017/09/21(木) 23:01:29.31 :Yil6Gzmuo

「お逃げくだ……!!」

 猿ぐつわがかまされ、女性は何も言えなくなってしまいました。

 ぴくり、とモバPの眉が上がりました。

「手荒なことはしたくないのです。お戻りください、ライラ様」

 ライラ、と呼ばれた女の子は、手錠をかけられた女性を見た瞬間、表情が変わりました。
 
 さっきまでは気丈に振る舞おうとしていたのですが、今はその元気がなくなっています。

「むかついた」

 モバPは呟きました。

「事情はわからねえが、むかついた」

 うさ

 ウサミンロボも頷きました。


11 :◆NOC.S1z/i2 :2017/09/21(木) 23:03:00.25 :Yil6Gzmuo

「おい、どう見ても悪役ロールじゃねえのか、てめえら」

「……まだいたのか。ライラ様のお言葉通りさっさと逃げろ」

「この状況で、はいそうですかって逃げられるわけねーだろ」

「女の前だからと言って格好をつけるなよ、不様に終わるだけだぞ」

「ははっ!」

 モバPは笑います。高らかに。挑戦的に。

「女の前で格好つけねえで、男がどこで格好つけるってんだよ!」

 うさっ!

 殴られたモバPはきりもみ回転しながら倒れました。
 ウサミンロボは担がれて放り投げられました。

「……あれ?」


12 :◆NOC.S1z/i2 :2017/09/21(木) 23:03:29.68 :Yil6Gzmuo

 倒れたモバPの視界の隅には、さらに遠くに放り投げられたウサミンロボが写ります。

「さあ、ライラ様、こちらに」

「待てっつーの」

 それでもモバPは立ち上がります。
 鼻血まみれで。

 うさうさ

 ウサミンロボもあわててやってきます。

「いい加減にしろ。つぎは冗談じゃ済まんぞ」

 モバPはウサミンロボにひそひそ声で尋ねます。

「……ロボ、お前そんなに弱かったか?」

 うさ

「……あ、そっか」


13 :◆NOC.S1z/i2 :2017/09/21(木) 23:04:07.29 :Yil6Gzmuo

 ウサミンロボはウサミン星の掟に縛られています。
 ウサミン星は地球人同士の争いに干渉してはならないのです。
 例外はアイドルを護るための戦いですが、ここにアイドルはいませんし、モバPは対象外です。

 つまり、今のウサミンロボはお役立ちロボですが、喧嘩には弱いのです。

 うさ

 だけど、サングラスの男達が悪いと言うことはわかります。
 もし、ライラさんを捕まえる正当な理由があるのなら、それをモバPたちに説明すればいいだけなのです。
 それをしないのですから、男達は怪しいのです。
 しかも女性に手錠と猿ぐつわです。そんなことが許されるのはモバPに対する時子様だけです。

 男達が近づいてきます。今度は一人じゃありません。多数で二人を囲もうとしています。

 モバPはライラさんを見ました。

「……なあ、ライラさん、だっけ?」

「はい」

「アイドルやらね?」


14 :◆NOC.S1z/i2 :2017/09/21(木) 23:04:38.40 :Yil6Gzmuo

「はー?」

「みちるに聞いてるんだろ? 俺がアイツのプロデューサーだ」

「みち……る……」

「え?」

「みちる?」

「え、あの、パン食べる奴」

「ふごふごさんですか」

「アイツ自己紹介もしてねーのか……」

 うさ!

 モバPとライラさんの会話の時間を稼ぐため、ウサミンロボが突撃します。


15 :◆NOC.S1z/i2 :2017/09/21(木) 23:05:07.35 :Yil6Gzmuo

 捕まって担がれて投げられました。

「お家賃払えるですか?」

「払える」

「でも、もう捕まるのです」

「そんなことは、どうでもいい」

 モバPへと男達の拳が向けられます。

 殴られました。倒れません。

「君が成りたいのか成りたくないのか、それだけだっ!!」

 殴られます。次々に殴られます。モバPは地面に倒れます。それでも叫びます。

「アイドルになりたいかっ!」

「はいっ!」


16 :◆NOC.S1z/i2 :2017/09/21(木) 23:05:44.82 :Yil6Gzmuo

 男の一人の蹴りをモバPは左手で受け止め、立ち上がりながら力任せに投げ飛ばします。

 男達は下がります。さっきまで殴られ放題だったモバPの反撃に驚いています。

「貴様!」

 ついに男の一人が懐に手を伸ばすと、拳銃を取り出します。

 うさっ!

 投擲されたウサミン竹槍が拳銃を打ち砕きます。

 ウサミンロボがくるくる回りながら飛んできて、ライラさんの前に立ちました。


 うさっ!(問おう。貴方が、私のアイドルか)


 契約が成り立ちました。この瞬間から、ウサミンロボはライラさんをアイドルの一人だと認識した

のです。


17 :◆NOC.S1z/i2 :2017/09/21(木) 23:06:28.33 :Yil6Gzmuo

 うさっ!

 モバPとウサミンロボが並びます。

「……いいか、アイドルを守るウサミンロボとプロデューサーは、無敵だっ!」
「行くぞっ、ロボッ!」

 うさっ!

 実際無敵でした。

 男達を退けた後にお礼を言うライラさんに、モバPは言ったのです。

「じゃあ、ギャラが入ったらアイスでも奢ってくれ」

 そして一週間……


18 :◆NOC.S1z/i2 :2017/09/21(木) 23:06:58.24 :Yil6Gzmuo

「あの、プロデューサー」

「なんですか、ちひろさん」

「ライラちゃんをスカウトしたことに文句はありません」

「はい」

「……苦情の電話を通り越して脅迫の電話がくるんですけれど」

「……実家が訳ありって言ってたなぁ……」

「おい」

「一日様子見てくださいよ」

「……信じますよ?」

「はい」


19 :◆NOC.S1z/i2 :2017/09/21(木) 23:07:38.85 :Yil6Gzmuo

 モバPはそのまま事務室を出ると、給湯室で立ち止まります。

(……あやめ)

(ニン)

 天井裏の気配とお話しています。

(頼むぞ)

(おまかせを、ニン)

 その翌日のことでした。

 ライラさんのお父さんが目を覚ますと、足元に馬の首のぬいぐるみが置いてありました。

 事務所への電話は、パタリと絶えたそうです。


20 :◆NOC.S1z/i2 :2017/09/21(木) 23:08:20.49 :Yil6Gzmuo

 
 
 
  

 
 
 
  


21 :◆NOC.S1z/i2 :2017/09/21(木) 23:08:54.13 :Yil6Gzmuo

「と、いうのが、ライラがウチに入ったときのエピソードでな」

 うさ

「……嘘やろ?」

「難波っち、プロデューサーはしらごつばつくばって……嘘ばつくけど、ロボは嘘つかんばい」

「それもそやな」

「おい、待て鈴帆」

「そしたら、ロボちゃん、この話マジなんか?」

 うーさー

「うむ、わからんけんね」

 ウサミンロボの言葉は、笑美と鈴帆にはわからないのでした。






 終われ


(……ニン)


22 :◆NOC.S1z/i2 :2017/09/21(木) 23:10:17.03 :Yil6Gzmuo

ニンジャコワイ


以上お粗末様でした


上田鈴帆はもっと出したいのに、言葉がネック過ぎるんや………


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【SS速報VIP】【モバマス】「ライラさんとアイスとウサミンロボ」
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