■関連SS
ゆかり「寝惚けの功名」
ちひろ「え、風邪ですか!?」輝子「……フヒ?」
杏「すきなこと」
楓「恋しくて、恋しくて」
加蓮「心配症の魔法使い」


1 :名無しさん@おーぷん:2017/08/17(木)16:08:10 :Y3A(主)

「大丈夫か、北条?」

最初のレッスン。
病気のせいで運動なんかできなかったし、もちろん体力なんてものも無い私にそう声をかけてくれた。

『やっぱり私には』なんて思っていた私の『無理だ』って続きを奪ってくれた。
『病気のせい』って逃げて逃げて逃げ続けて、自分自身にすら敗けかけていた私に、熱をくれた。
逃げ腰だった私に、一歩進む勇気をくれた。
だから私は努力した。
……こんな私の為に、私なんかのために一生懸命になってくれるあなたに恩返しがしたかったから。


2 :名無しさん@おーぷん :2017/08/17(木)16:08:21 :Y3A(主)

「大丈夫か、北条?」

初めてのミニライブ。
緊張で震えている私の手を取ってくれた。
足もガクガク、声も震えてた私に
『北条の頑張りは俺が一番良く知ってる。だから、自身を持って行って来い!』
とびきりの笑顔でそう言ってくれた。
きっと気休めにしかならないそんなありふれた言葉だったけど。
その言葉のお陰で不思議と震えは止まってた。
……あなたが言ってくれたから、なんとなく信じられたんだ。


3 :名無しさん@おーぷん :2017/08/17(木)16:08:33 :Y3A(主)

「大丈夫か、ほう……。加蓮」

ある程度仕事をこなせるようになった。プロデューサーが私のために色んな所を走り回ってくれているおかげだ。
そろそろ『北条』って呼び方がなんかよそよそしくてヤになってきたから誕生日を期に『加蓮って呼んで』って言ってみた。
照れたあなたの表情は、なんかちょっと新鮮だった。
観念したように、呟くように。私の名前をボソリと呼ばれて。
なんだか私まで恥ずかしくなったけ。
そんな私を心配して声をかけてくれたけど、それが追い打ちだと言うのに気づいてくれなかったよね。


4 :名無しさん@おーぷん :2017/08/17(木)16:08:43 :Y3A(主)

「大丈夫か、加蓮!!」

しばらくして、レッスン中に私は倒れた。
体力はついたと思ってたから、無理しすぎちゃったかな。
血相変えて心配してくれたプロデューサーは、あなたのほうが倒れてしまいそうだと思うほどだった。
しばらく自宅療養だって言われて、また1人になっちゃうのかなーなんて思ってた。
ほら、熱出したときってなんか寂しくなっちゃうじゃん。
……でも、違った。凛と奈緒、事務所の皆。そして、プロデューサー。
みんな、スケジュールの合間を縫って来てくれた。
嬉しかったよ。こんなこと、初めてだったから。
……嬉しかったよ。あなたがくれた世界は、こんなにも暖かい場所だったって気がついたから。


5 :名無しさん@おーぷん :2017/08/17(木)16:08:54 :Y3A(主)

「大丈夫か、加蓮?」

その日以来、皆過保護になったよね。
『もう、小さい子供じゃないんだから』って言っても聞かなくてさ。
ちょっとくしゃみしただけで大騒ぎ。
中でもプロデューサーは一番過保護だったよね。
やれアレは持ったかこれは持ったか。ジャンクは禁止だ野菜を食べろって。
なんかプロデューサー、お父さんみたいだった。
……うん、分かってる。全部私のためだったって。
ちょっぴり鬱陶しいなぁって思っちゃったけど、それよりも嬉しかったよ。


6 :名無しさん@おーぷん :2017/08/17(木)16:09:03 :Y3A(主)

「大丈夫か、加蓮?」

おっきなライブを前にして、私は緊張していた。
……いや、多分震えていたのは緊張じゃないのかも。
所謂武者震いってやつ? うん、きっとそうだ。
頑張って、頑張って、頑張って。頑張り続けた先に見えたお城の入り口。
それを前にして高揚しているんだろう。
多分私は笑ってた。だから、プロデューサーもとびきりの笑顔で送ってくれた。


7 :名無しさん@おーぷん :2017/08/17(木)16:09:28 :Y3A(主)

「大丈夫だ、加蓮!」

行って来いと言わんばかりにプロデューサーが手に持つペンライトが暗闇を照らす。

さぁ、行こう
あなたが魔法をかけてくれたシンデレラは、こんなにも輝いているって見せてあげる!
――それが、私の為に一生懸命になってくれている心配症な魔法使いへの恩返しだから!!


8 :名無しさん@おーぷん :2017/08/17(木)16:09:36 :Y3A(主)

「うん。大丈夫だよ、プロデューサー!」


9 :名無しさん@おーぷん :2017/08/17(木)16:09:43 :Y3A(主)

おわり


10 :名無しさん@おーぷん :2017/08/17(木)16:19:43 :Y3A(主)

昨日Twitterで(ちょっとツイートの中身は省略しますが)
『「アンタがアタシをアイドルにしてくれるの?
  でもアタシ特訓とか練習とか下積みとか努力とか気合いとか根性とか、
  なんかそーゆーキャラじゃないんだよね。体力ないし。それでもいい?ダメぇ?」

 って長い台詞に「やりたくない」って含意の言葉が一つもない。』

ってのを見かけて「あ、無理……好き……」ってなったので衝動的に書きました。
第一印象が『生意気そうなギャル』だったから、そのギャップというか、儚さの中に秘めた芯の強さがなんかもう……。

知れば知るほど好きなキャラが増えていく、とんだ底なし沼だなぁって思いました。(小並感)

よければ過去作もどうぞ
モバP「輝子が可愛すぎて正直しんどい」

輝子「絶対特権……フヒ」

美玲「ショーコはカッコイイんだ!」幸子「いいえ、可愛いんです!」

美玲「イケメンショーコを用意してみた」幸子「――――!!」

ゆかり「寝惚けの功名」

ちひろ「え、風邪ですか!?」輝子「……フヒ?」

【安価】モバP「輝子を目一杯可愛がろうとおもう」

杏「すきなこと」

楓「恋しくて、恋しくて」

ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
それでは、お目汚し失礼しました。


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【おーぷん2ch】加蓮「心配症の魔法使い」
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