「……」

「……」

「…………」

「…………」

「…………プロデューサー!」

「んー……?」

「しりとりですっ! しりとり、しましょう!」

「……珍しくスマホを握りしめながらにらめっこして、うんうん何事か唸ってるなーと思ったら……唐突だね。何、しりとり?」

「はいっ!」

「別にいいけど。……でも、どうして?」

「未央ちゃんに相談したら、これがオススメだと言われましたので!」

「ふぅん、未央。……未央が、しりとりを」

「はいっ。プロデューサーといっぱいたくさん自然にキ……じゃ、ありません! えっと、その、暇を潰せるオススメの方法だからっ、と」

「……いっぱいたくさん自然に?」

「それは違うので気にしないでくださいっ。言い間違えてしまいました!」

「そっか。……まぁうん、いいか。……それより茜」

「なんでしょう!」

「もうちょっとだけボリュームを下げてくれると嬉しいかな。普段なら別に全然構わないんだけど……ほら、今はこんなだし」

「あっ、はいっ。すみま! ……すみませんっ」

「ん、ありがとう。……茜の元気なところは好きなんだけどさ。ごめんね。今はこんな……抱き合って、くっついて、本当にぴったり近いから。ちょっとね」


2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/04/24(月) 20:28:34.95 :/SefEm8QO

「ですねっ。プロデューサーをぎゅっとして、プロデューサーにぎゅーってされて、とっても近いです!」

「ね。ちょっとべったり汗も掻いちゃってるし……今更だけど、茜、暑くない?」

「暑いですっ!」

「まぁ暑いよね。……どうしよう、少し離れようか」

「いえっ。それは大丈夫です! このままでっ!」

「そう?」

「はいっ!」

「茜が良いなら構わないんだけどさ。このまま……布団の上へ横になりながら抱き合ったまま、でも。……暑いとはいえ、だからって茜と離れるのは嫌だしね」

「私もです! 暑いですけど、でもプロデューサーとならもっと暑くあつーくなりたいですしっ。ぎゅーってされるのも、なでなでされるのも、このままのほうが嬉しいですからっ!」

「ありがとう。……ん。それじゃあもっとぎゅっとして、もっとなでなでしてあげないとね」

「はいっ、お願いします!」

「ん、仰せの通りに」

「ふぁうっ…………え、えへへ……」

「気持ちいい?」

「はいー……きもちいーですー……」

「良かった。……二人しかいないんだし、思いっきり蕩けちゃっていいからね」

「ひゃいー……」

「……」

「……」

「…………」

「…………」

「………………」

「………………ひゃふぁ!」

「ん?」

「あ、駄目ですっ。いけません! とっても気持ちよくて幸せでしたけど、まだとっても気持ちよくなって幸せになったらいけないんでした!」

 
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/04/24(月) 20:29:10.31 :/SefEm8QO

「そうなの?」

「はい! まだプロデューサーといっぱいたくさん……」

「いっぱいたくさん?」

「あっ、違います! そうじゃなくて……そう! しりとり、しなきゃいけないんでした!」

「ああ、言ってたもんね」

「はいっ!」

「まぁいいけど。……でも、茜」

「はいっ?」

「そのしりとりって暇潰しのため、なんだよね?」

「え? ……あ、はい。そうですっ」

「そっかぁ……こんなふうにぎゅーって抱き締めてなでなでして、茜のことをいっぱいに感じて幸せな時間だなー……って思ってたんだけど、茜にとっては今のこれは暇な……退屈な時間、だったんだね」

「……え?」

「茜も幸せに感じてくれてると思ってたのになぁ……悲しいなぁ……」

「えぅ!? ち、違いますよ、プロデューサー! 私も、プロデューサーとこうしていられるのは幸せです! とってもとっても、とーっても幸せ! ですっ!」

「本当かなぁ」

「本当ですー!」

「じー……」

「う、うぇぅー……!」

「……なんて、ごめんごめん。茜がちゃんと幸せに感じてくれてるのは分かってるよ。……というかうん、ほんのついさっきに『幸せ』って言ってくれてたしね」

 
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/04/24(月) 20:30:23.98 :/SefEm8QO

「……むー…………」

「……」

「……えっと。……あの、プロデューサー!」

「うん?」

「その……もしかして、私は今からかわれていたのでしょうかっ?」

「んー……からかわれていた、というか……可愛がられていた、というか」

「?」

「まぁ、そうだね……。要するに茜は可愛いなぁ、ってこと」

「かわっ!?」

「そ。可愛くて、可愛くて……うん。本当にもう、どうしようもないくらい可愛いよ」

「……あ、うぅー……どうしましょう、ものすごく嬉しいことを言っていただいてしまいました……!」

「茜?」

「っ、プロデューサー!」

「ん……うん?」

「もっとぎゅっとしてもいいですかっ!?」

「あ、えっと、うん。もちろん」

「ありがとうございます! ……むぎゅーっ!」

「んっ……」

「んんぅーっ……! ……あふぅ」

「大丈夫? 満足?」

「はいー……思いっきりぎゅーっとできて、とっても良かったですー……」

「良かったなら何より。……ん、頭なでなでしながら背中もぽんぽんしてあげるからね」

「うあっ。……えへー……ありがとうございますー……」

「ん……なでなでー……ぽんぽんー……」

「あ、ふぁー……」

 
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/04/24(月) 20:31:40.63 :/SefEm8QO

「……」

「……」

「…………」

「…………」

「………………そういえば、茜」

「……はいー…………?」

「あれはいいの?」

「あれ……?」

「しりとり」

「……」

「……」

「…………ひょわぁ!」

「うわ」

「そ、そうでした! ……うぅー……またしても、プロデューサーの幸せいっぱいなでなでぽんぽんにやられてしまいましたー……!」

「やられた、というか」

「プロデューサー!」

「うん?」

「しましょう! 今度こそ、しりとりっ!」

「はーい、それじゃあしようか。……順番はどっちから?」

「あ、順番はえっと……すみません、少しだけ待ってくださいっ」

「ん」

「えっと……あ、ごめんなさい。ぎゅーってするの、一度やめますね」

「寂しいなぁ」

「私も寂しいです!」

「じゃあやめよっか」

「はいっ! ……あ、いえっ、駄目です! それでは未央ちゃんのアドバイスが読めません!」

 
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/04/24(月) 20:32:45.50 :/SefEm8QO

「そうだね」

「そうです!」

「うん、それじゃどうぞ」

「あっ……」

「?」

「…………プロデューサー……ぎゅーって、やめちゃうんですか……?」

「抱き締められてると動き辛いかな、と思って」

「うー……!」

「そのままのほうが良かった?」

「良かったです!」

「了解。……ん、これでいい?」

「はいっ! …………うあぁ、とってもいいですー……」

「良さそうなら何より」

「うへぁー……」

「……」

「……はわっ!」

「お、今度は早かったね」

「プロデューサーとのキ……ぃーっ、しりとりっ! のっ、ためです! プロデューサーのためにも、プロデューサーに負けてばかりはいられません!」

「そっかそっか」

「はいっ!……と。えっと……さっきの、未央ちゃんの…… 」

「……」

「…………プロデューサー!」

「ん」

「順番は私から、だそうです! ……いい、ですかっ?」

「いいよ。茜からね」

「はい!」

「それで。その他は普通でいいのかな? 何かルールとかはあるの?」

 
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/04/24(月) 20:33:36.37 :/SefEm8QO

「あっ、ありますっ。えっと……名詞以外も、使っていい。で……同じ言葉も使っていい。……みたいです!」

「……なんだか終わらなくなりそうなルールだね」

「駄目でしょうか!?」

「いや、いいよ。それでも」

「ありがとうございます!」

「いいえー」

「あ、それとっ」

「うん?」

「もう一つ! ……その、えーっと……言った答えは、叶うなら本当に実行する! ……です!」

「……なるほど。それじゃあ例えば、こんな……」

「…………え」

「『離れる』って答えたら、本当に離れる。……みたいな」

「あ……はい。そう、です……」

「……」

「……」

「…………ぎゅー」

「あっ……」

「ごめんごめん。ちょっと意地悪だったね」

「い、いえっ、大丈夫です! 全然! …………でも」

「でも?」

「……その、あんまり……そういう寂しい答えは、言わないでいただけると嬉しい、です……」

「……もう、本当に可愛いなぁ」

「うぇ!?」

「分かったよ。安心して、そういう答えは言わないから」

「はい……ありがとうございます!」

「ん。……と、ルールはそれだけ?」

「えっと……はいっ、それだけです!」

「そっか。……うん。いいよ。それじゃあやろうか」

「やりましょう! ……それでは早速、私から」

 
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/04/24(月) 20:35:36.10 :/SefEm8QO

「ん」

「……」

「……」

「…………んっ……」

「んんっ?」

「ん……ちゅ、ぅ…………え、っへへ……」

「……茜?」

「えへへ……しりとり、最初は……『キス』ですっ!」

「……なるほど」

「ふぁー……やっぱり、プロデューサーとのキス……とっても、とーってもいい、ですー……」

「蕩けちゃってまぁ」

「プロデューサーはどうでしたか! 良かったですか!?」

「それはもちろん茜とだしね。良かったけど」

「本当ですかっ!?」

「本当だよ」

「えへへー……それじゃあ、もっと! もっともーっとキスしましょう!」

 
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/04/24(月) 20:36:08.54 :/SefEm8QO

「いやまぁしたいけど。しましょう、っていうのは」

「あっ、ごめんなさい! 違いますっ、言う順番を間違えてしまいました!」

「順番?」

「はいっ! ……えっと、確かまず先にプロデューサーへお願い、でした!」

「お願い。……何かな?」

「しりとり。私の『キス』の次、プロデューサーには『好き』って答えてほしいんです!」

「……ふむふむ」

「はいっ! 『好き』って答えて……それで、いっぱいいーっぱい私に好きを伝えてほしいんです!」

「好き。……例えば、なんだろう。今してるみたいにぎゅーってしたり?」

「です! 今みたいに……今よりも、もっとずっと。ぎゅーってして、なでなでしてぽんぽんして、ちゅーってして……いっぱい、好きーって!」

「なるほどね」

「お願い、叶えてもらえるでしょうか!?」

「ん。まぁ、茜からお願いは断れないからね。もちろんいいよ」

「あ、ありがとうございますっ!」

「でもその代わり、茜もお願い聞いてもらえるかな?」

「私も? ……どんなお願いでしょう!?」

「茜の『キス』に『好き』で答えたら、その次は……また『キス』で答えてほしいんだけど。……どうかな」

「それはもちろんです! 元々そのつもりでしたしっ、それにそれ以外の答えなんて考えてませんでしたしっ!」

「ふふ、そっか。……うん。それじゃあ、茜」

「はいっ!」

「いっぱいたくさん自然に……キス、しようか」

「しましょう! したいです! プロデューサーとキス、いっぱい!」

「ん……茜。茜のこと、心の底から『好き』だよ」

「はいっ! 私も好きです! プロデューサーのこと、心の底から大好きです!」

 
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/04/24(月) 20:36:49.50 :/SefEm8QO

以上になります。
お目汚し失礼しました。

 
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/04/24(月) 20:38:19.77 :/SefEm8QO

高垣楓「特別な貴方との、特別で普通な日常」

速水奏「触れないキスを」

森久保乃々「ただののの」

渋谷凛「今はまだ子供だけど」

三船美優「私を、最後に選んでくれるのなら」

荒木比奈「ただただだらだら」

以前に書いたものなどいくつか。
もしよろしければどうぞ。

 
SS速報VIPに投稿されたスレッドの紹介です
【SS速報VIP】日野茜「しりとり」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1493033244/