皆さんおはようございます。え、今は朝じゃない?すみません、どの時間であっても挨拶は“おはようございます”だと教わったのでつい……。失礼なもりくぼはこれにて帰らせていただ…あ、はい、わかりました続けますけど……。

……あれは私がいつものように机の下の定位置に行こうとした時のことでした。その日は思いもよらない人物が先客として居座っていました。


2 :◆cLLpbu6HI. :2017/03/20(月) 23:20:30.97 :Wrh0CGx80

「や、やぁ森久保。待っていたよ」

そこには、いつも私に仕事をさせるいじわるなプロデューサーさんがいたんですけど……。なんですかこれ、新手のいじめですか……?

身も心も小動物な私と違って大柄なプロデューサーさんは、なぜが強引に机の下に潜り込んだみたいで物凄く窮屈そうなんですけど……。まるでしまっちゃ○おじさんに仕舞われたぼの○ののように……。

「お、おはようございますプロデューサーさん……。もりくぼは居場所がないので帰らせて頂きます……」

私がそう言って机を後にしようと背を向けると、後ろから焦った声が聞こえました……。

「ま、待ってくれ乃々。帰るならせめてここから出るのを手伝ってくれ!」

あぁ、私は何も見なかったし何も聞こえなかった。そういう事にしておうちに帰りたいんですけど……。でもそうしたらきっとプロデューサーさんは私にたくさん仕事をさせようとして……むぅーりぃー。

「て、手伝ったら帰ってもいいですか……?」

どうせダメと言われるんですよね……。そんなのは百も承知なんですけど……。

「き、今日に関してはレッスンのみだからそれで構わん。とにかく手伝ってくれ」

ど、どうしましょう……。あのプロデューサーさんが私の意見を通してくれたんですけど……。雪でも降ってくるんでしょうか……?

私はプロデューサーさんの、私の足より太い腕を引っ張りました。……ピクリとも動かないんですけど。よく考えたら、私2人分より体重の重いプロデューサーさんを引き抜くなんてむぅーりぃー……。


3 :◆cLLpbu6HI. :2017/03/20(月) 23:22:08.16 :Wrh0CGx80

「やっぱ森久保1人じゃ無理か……。すまないが他に応援を呼んできてくれないか?」

プロデューサーさんのその言葉を聞き、私は部屋を後にしました……。

……このまま帰ったら、プロデューサーさんがきっと怒るのですよね……。

俯きながら歩いていると、前からいつもお世話になってるお2人が歩いていたので、勇気を振り絞って声をかけてみました。

「み、美玲さん。輝子さん。お、おはようございます……」

「お、おはよう乃々ちゃん……」

「おう、おはようノノ!」

私はお2人に先ほど起こったことを伝えました……。美玲さんは呆れ、輝子さんはよくわかっていないようでした。ともかく、私は助っ人を連れてプロデューサーさんの下へ戻りました。

「なぁ、オマエ馬鹿だろ?」

美玲さんは、プロデューサーさんを見るなりそう言い切りました……。気持ちはわかるんですけど……、実際に私がそれを言うところを想像したら……むぅーりぃー。

「俺は、普段乃々や輝子がどういう気持ちでここにいるのか知りたかったんだよ」

なんかそれっぽい言い訳を言ってるんですけど……。帰っていいですか?


4 :◆cLLpbu6HI. :2017/03/20(月) 23:23:37.52 :Wrh0CGx80

「し、親友……。私の事を知ろうとしてくれるのは、う、嬉しいけど……。それは無謀だろ……」

輝子さん、もっと言ってください。おばかなプロデューサーさんにはもっと言わないとわからないと思うので……。

「仕方ない、ノノにも頼まれたしそっから出してやるよ!ノノ、プロデューサーの足の方を持ってくれ。ウチは腕を持つ。ショーコはノノの事を引っ張ってくれ」

美玲さんの的確な指示に従って、私たちはプロデューサーさんを引っ張りました。……三人寄れば文殊の知恵、という言葉がありますが、3人がかりでもプロデューサーさんはピクリとも動きませんでした。やっぱりこんなのむぅーりぃー……。

「3人がかりでも無理だったか…。森久保、すまないが他の子も呼んできてくれないか?」

…どうして私なんですか。いじめですか……?仕方がないので私は再び助っ人探しの旅に出ました……。

事務所の中を歩いていると、またまた以前ユニットを組ませて頂いた2人に会いました。……今度は大人もいるし、きっと頼もしいはずなんですけど。
あ、でももりくぼのお願いを果たして聞いてくれるのでしょうか……。


5 :◆cLLpbu6HI. :2017/03/20(月) 23:25:36.43 :Wrh0CGx80

「おや、乃々じゃあないか。まさか以前1度だけユニットを組んだ3人がこうして再び一堂に会するとはこれも何かの縁かな?」

「いや、ただの偶然じゃないっスかね?」

…二宮飛鳥さんと荒木比奈さん。プロデューサーさんが前に「そう言えばお前さんたち3人とも漫画好きだったよな。いっちょユニット組んでみるか!」と軽く言い放ったことがきっかけで組んだユニットのメンバーなんですけど……。

あのイベントは所属アイドルの可能性を試す意味でも行われるので、思いつきでユニットを組まされることが多いんです……。

「飛鳥さん、比奈さん、おはようございます……。じ、実はお願いがあるんですけど……」

私はまた勇気を振り絞って今起きていることを説明しました……。ちゃ、ちゃんと喋るのが苦手な私の言葉を、2人は嫌な顔をせずに聞いてくれました……。

「…何をやってるんでスかあの人は」

「想像を巡らすだけでなく、行動に移して実証してみる。ボクは嫌いじゃあ無いけどね」

相変わらず飛鳥さんは独特の感性を持ってるみたいなんですけど。……私にはわからない世界です。

私は2人を連れて部屋に戻りました。……中では一度諦めたのであろう美玲さんと輝子さんがいつも通りに過ごしていました。


6 :◆cLLpbu6HI. :2017/03/20(月) 23:27:22.46 :Wrh0CGx80

「やぁP。居心地はどうだい?」

飛鳥さんはおかしな所など無いかのようにプロデューサーさんに話しかけます。私には絶対に真似出来ないんですけど……。

「よう飛鳥。控えめに言っても良くは無いな。でも1人じゃ出られないからすまないが助けてくれないか?」

「んじゃ少し失礼するっスよ」

比奈はふむふむと言いながら机に挟まったプロデューサーさんを観察し始めました。……こちらから見るとお尻を振っているように見えてセクシ-なんですけど……。

「いやぁ、見事なまでにぎゅうぎゅうに挟まってまスね。むしろ机が浮いていないのが不思議なくらいっスよ」

「だが幸いにも彼の体勢は、多少崩してはいるが基本的には体育座りと変わらない。腹部へ縄を通して引けば引き抜くことも可能だろう」

「んじゃウチが倉庫から適当な縄を持ってきてやるよ。いい加減見苦しいしな」

……すごいんですけど。私が口を出すまでもなくどんどん解決に向かって行ってます。これならすぐにプロデューサーさんを引き抜くことが出来そうです。

……でも現実はそう甘くは無いんですけど。私たちはプロデューサーさんに縄をかけて5人で引っ張りました。多分それ自体は間違っていませんでした。
でも、肝心の私たちの腕力が足りていませんでした。

「ふ、フヒッ、ひぃっ……」

「ま、まさかここまで、苦戦するとはね……」、

み、皆さん疲労困憊なんですけど……。もりくぼもこれ以上頑張るのはむぅーりぃー……。プロデューサーさんも腰を目いっぱい引っ張られてぐったりしてますし……。


7 :◆cLLpbu6HI. :2017/03/20(月) 23:28:44.36 :Wrh0CGx80

……どうして私はまた助っ人を探してるんでしょうか。もう諦めるべきじゃないですか。おばかなプロデューサーさんがいけないんです。自業自得です……。

そんなことを考えながら歩いていたら、誰かにぶつかってしまいました。

「あぁ?なんだ森久保じゃねぇか」

ど、ど、ど、どうしましょう……。よりにもよって拓海さんにぶつかってしまいました……。こ、怖いぃぃ……。

「おいおい乃々ちゃん怖がってるじゃないかよ」

「アタシのせいじゃねぇよ!!」

「デカい声出すなよ、余計怖がるだろ?」

「乃々殿、どうやらお疲れのようですが大丈夫でありますか?」

も、もりくぼ、ついていけないんですけど……。で、でも拓海さんと亜季さんだったら、力も強いし、なんとかしてくれるかも……。

拓海さんにお願いするとかむぅーりぃー。

「ごめんな乃々ちゃん、別にこいつ乃々ちゃんに怒ってるわけじゃないから」

な、夏樹さんの優しさが身に染みるんですけど……。

「あ、あの……。みみ、皆さんに、お、お願いがあるんですけど……」

き、清水の舞台から飛び降りるつもりで私はお願いしました。すると、こっちが思っていたよりもあっさりと引き受けてくれました……。


8 :◆cLLpbu6HI. :2017/03/20(月) 23:30:22.95 :Wrh0CGx80

それからはとても速かったんですけど……。亜季さんは机の上を片付けて、机を横にしました。その状態から、机を拓海さんと亜季さんが、プロデューサーさんに括り付けたロープを私たちが引っ張って、プロデューサーさんは無事に抜けました。

ただ、拓海さんの「里奈さえいりゃあ3人で済んだんだけどな」の言葉には耳を疑いました。いくら非力とはいえ、私たち7人分を1人で賄えるとか……むぅーりぃー。

「いやぁ、助かった助かった。本当にありがとう、皆!」

プロデューサーさんはすっきりとした顔で言います。ほ、本当に今日は帰って良いのでしょうか?た、確かめないと……。

「それにしても、レッスンの後に力仕事したから腹減ったよなぁ?」

拓海さんが急にそんなことを言い始めました。飛鳥さんも「全くだ。予定外の肉体労働は思っていた以上の疲労を感じてしまうね」と同調します。も、もしかしてこれは……。

「む、まぁ確かに今日は世話になったしな。美玲たちのデカいイベントもあるし、いっちょ肉でも食って前祝いでもするか!」

わ、私はどちらかと言うと解散して部屋でじっとしていたいんですけど……。でもそんなこと言える雰囲気ではなさそうです。いいんです、悪いことではないので……。

こうして、プロデューサーさんのせいで大変だった1日は無事に幕を閉じました。でも、また近々美玲さんや輝子さんとのユニットのお仕事があるそうなので、私に安息の日が来るのは先になりそうです……。




 
9 :◆cLLpbu6HI. :2017/03/20(月) 23:38:06.64 :Wrh0CGx80

元ネタはロシア民話の『おおきなかぶ』です。
作中に出てきた乃々、輝子、美玲の3人によるユニット【individuals】のイベント『∀NSWER』は3月21日15:00~開催予定なのでお見逃しなく.
それでは失礼します。

 
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【SS速報VIP】【デレマス】森久保乃々「おおきなP」
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