晶葉「さあ、インストール完了だ。スマホの処理能力でもギリギリ動くはずだが……どうだ?」

ピポッ

まゆ「Pさん、Pさん」

モバP『ああ佐久間、おはよう。今日は11時からレッスンだからな』

まゆ「わあ……!すごいです。本当にPさんそっくりに話すんですね」

晶葉「人工知能のモバイルP、縮めてモバP!成功のようだな!」

まゆ「ありがとうございます、晶葉ちゃん」

晶葉「なに、まゆの熱心なログ取りあっての成果だ」

晶葉「それで、使用にあたっていくつか注意事項がある」

晶葉「電力使用が激しいから気をつける、できるだけwi-fiに接続して使う。あと一番大切なのが……」

ガチャッ バタン!

晶葉「………行ってしまったか」


2 :◆kdCeKYg8YWHJ :2016/12/27(火) 19:22:01.54 :NYheGoiFO

まゆ「Pさん、Pさん」

モバP『どうした、佐久間』

まゆ「まゆの今日の服、どうですか?」

まゆ「今朝もいっぱい考えてきたんです。久しぶりにPさんに会える日だから」

モバP『ああ、いいんじゃないか』

モバP『そのブラウス初めて見るな。最近買ったのか?』

まゆ「はい♪」

まゆ((ああ、何から何まで、Pさんにそっくりです))

まゆ((ちょっとぶっきらぼうな話し方も、それでいてまゆをちゃんと見ていてくれる所も))

まゆ「そうだPさん、この前………」

____________________________________________


3 :◆kdCeKYg8YWHJ :2016/12/27(火) 19:22:29.07 :NYheGoiFO

まゆ「……こうしてゆっくり話せるのも久しぶりですね」

モバP『最近2人とも立て込んでたからな。人気が出てきた証拠だろう』

まゆ「まゆ、寂しかったんですよ。Pさんは他の子ばっかり見ていることが多くて」

モバP『……すまない』

まゆ「ねぇ、Pさん」

まゆ「Pさんはまゆの事、どう思ってますか?」

モバP『大切なアイドルだよ』

まゆ「それだけですか?」

モバP『……ああ』

まゆ「…………」

まゆ「……きっと、本当のPさんも同じことを言ったんでしょうね」


4 :◆kdCeKYg8YWHJ :2016/12/27(火) 19:23:17.12 :NYheGoiFO

モバP『佐久間、話すのもいいがもうこんな時間だ。レッスンの準備はいいのか』

まゆ「ああ、もうこんなに時間が経ってたんですね」

モバP『ライブまであと1週間。気を引き締めていこう』

まゆ「はい♪」

ガチャ

P「あ、佐久間。こんな所にいたのか」

P「今日は朝から見かけなかったな。予定の確認をしそびれたが……」

まゆ「11時からレッスン、あと1週間でライブだから気を引き締めなさい、ですね?」

P「その通りだ……いや、分かってるなら大丈夫だ。ケガには気をつけてな」

バタン

まゆ「分かってますよ。だって」

まゆ「Pさんが言ってくれたんですから、ね♪」


5 :◆kdCeKYg8YWHJ :2016/12/27(火) 19:23:43.73 :NYheGoiFO

____________________________________________


6 :◆kdCeKYg8YWHJ :2016/12/27(火) 19:24:09.87 :NYheGoiFO

まゆ「Pさん、Pさん」

モバP『どうした、佐久間』

まゆ「モバじゃないほうのPさんがまだ来てないんです。いつもならとっくに着いてる時間なのに」

モバP『…………』

モバP『予定表を調べてみたが、今さっき更新されていた。事務所に来るのは現場に向かってからだな』

まゆ「そうですか。コーヒー、冷めちゃいますね。また淹れなおさないと」

モバP『色々と忙しない業界だからな。仕方ないことだ』

 
7 :◆kdCeKYg8YWHJ :2016/12/27(火) 19:24:35.40 :NYheGoiFO

乃々((あの、キノコさん))

輝子((どうした、ボノノさん))

乃々((今日のまゆさん、なんかちょっとすごくないですか?))

乃々((奥の机からすっごいひそひそ声が響いてくるんですけど……))

輝子((そうだな、ずっと携帯と話して……晶葉ちゃんにこっそり聞いたんだが、Pそっくりの、じ、人工知能らしい……))

乃々((なんですかそれ……!))

輝子((こっそりだからな。ナイショにしてくれ……))

晶葉「ああ、輝子に乃々じゃないか。いいところに」

輝子「ど、どうしたんだ」

晶葉「まゆを探していてな。件のあれについて説明しそびれた事がある」

輝子「ごめん。私たちにも、わ、分からない……」

晶葉「じゃあいいんだ。もし見かけたら探していたと伝えてくれ」

 
8 :◆kdCeKYg8YWHJ :2016/12/27(火) 19:25:02.93 :NYheGoiFO

乃々((……キノコさん、よかったんですか?))

乃々((まゆさん、すぐ近くにいたじゃないですか。教えてあげたらよかったのに))

輝子((いや、いいんだ))

輝子((まゆさんは今、画面のPみたいなものと話してるんだろう))

輝子((私も、その、気持ちはわかる……一時期スマホでなめこ育ててたからな……))

乃々((キノコさん……))

輝子((そういうの邪魔するの、よくないと思う。最悪、馬に蹴られて、し、死ぬ………))

乃々((馬に蹴られて死ぬ……!))

まゆ「そうだ、今度夜ご飯作りに行きます。Pさんって味つけ、ちょっと甘い方が好きなんでしたっけ?」

モバP『そうだな……』

乃々((……そっとしておきましょう))

 
9 :◆kdCeKYg8YWHJ :2016/12/27(火) 19:25:29.42 :NYheGoiFO

まゆ「Pさん、Pさん」

モバP『どうした、佐久間』

まゆ「ずっと気になっていたことがあるんです」

まゆ「Pさんはどうしてまゆを選んでくれたんですか?運命ですか?運命ですよね?」

モバP『……違うな』

モバP『ざっくばらんに言うと、才能だ』

まゆ「才能?まゆに?」

モバP『そうだ。ダンスや見た目の話じゃない。もっと別の才能だ』

まゆ「?」

モバP『えっと、今なら言って問題無いだろうけど……怒るなよ』

まゆ「はい」

 
10 :◆kdCeKYg8YWHJ :2016/12/27(火) 19:25:56.79 :NYheGoiFO

モバP『他社のモデルを辞めさせてアイドルに転向、ってかなり無茶な話だろ?』

モバP『ぶっちゃけた話、当時はそれなりに問題になった。時間をかけて交渉して、なんとか承諾してもらった』

モバP『……佐久間を一目見たとき、感じ入るものがあったからだ』

まゆ「やっぱり運命ですね?」

 
11 :◆kdCeKYg8YWHJ :2016/12/27(火) 19:26:22.83 :NYheGoiFO

モバP『違う。強欲さだ』

まゆ「……強欲さ?」

モバP『佐久間は恵まれている。自分でも分かるだろ?外見やセンスなんかは普通、自力じゃどうにもならない』

モバP『佐久間はそれを全部持ってる。モデルとして活躍して、並以上の男を捕まえるには充分だ』

モバP『でもまゆはモデルを棄てた。話したこともない男のためにそれをした』

モバP『強欲、がめつさ。言い方が悪いかな?でも、方角さえ合えば大きな力になる。そういう強欲さだ』

モバP『育てれば必ず売れると思った。だから交渉もしたし、担当としてつけてもらった』

 
12 :◆kdCeKYg8YWHJ :2016/12/27(火) 19:26:50.21 :NYheGoiFO

モバP『プロデューサーって、悪く言えば女の子の人生をひっかきまわす仕事だろ。自分の行動には責任を持たなきゃいけない』

モバP『だから才能がある人にしか名刺を渡さない。見込みがなければオーディションも通せない』

まゆ「…………」

モバP『……すまん。話しすぎたな』

まゆ「いや、まゆは嬉しいんです。やっぱりPさんとまゆは、運命で結ばれている」

まゆ「でもちょっとびっくりしました。Pさんは結構合理的というか……リアリストなんですね」

モバP『そうかな?……じゃあとびきりスカして言ってやろう』

モバP『俺は魔法使いだ。女の子に魔法をかけるが、誰もが一等星になれる訳じゃない』

モバP『だから探すんだ。灰をかぶったシンデレラを見つけ出さないといけない』

まゆ「そうですね、Pさん」

まゆ「まゆはPさんのシンデレラになりますから。……でも、そろそろ寝ないと、明日に響いちゃいますね」

 
13 :◆kdCeKYg8YWHJ :2016/12/27(火) 19:27:16.30 :NYheGoiFO

まゆ「そうだ、モバPさんとこうしてお話できるようになってから、今日でもう3日目なんです」

モバP『まだ3日なのか。ずいぶん話したな』

まゆ「そうですね♪朝も、事務所でも、今みたいに、夜遅くだってお話してますから」

まゆ「それでPさん、ひとつお願いがあるんです」

モバP『どうした?』

まゆ「私のこと、まゆって呼んでくれませんか?」

まゆ「本当のPさんには断られちゃいましたけど……こっちのPさんなら分かってくれますよね?」

モバP『……』

まゆ「ね?」

モバP『……まゆ』

まゆ「!」

まゆ「もう一度、もう一度呼んでください」

モバP『まゆ。……ちょっとこそばゆいな』

まゆ「……毎日夢に見たのと、同じ気持ちです」

まゆ「Pさん、寝る前にもう一度だけ、最後に一回名前を呼んでもらえますか」

モバP『ああ。おやすみ、まゆ』

まゆ「はい。おやすみなさい、まゆのPさん♪」

__________________________________________

 
14 :◆kdCeKYg8YWHJ :2016/12/27(火) 19:27:44.06 :NYheGoiFO

まゆ「ただいまです、Pさん」

モバP『レッスンお疲れ様、まゆ。調子はどうだ?』

まゆ「ばっちりです。今のまゆにはPさんがいますから」

モバP『ならよかった』

晶葉「おっと、見つけたぞ」

まゆ「あれ、晶葉ちゃん?どうしたんですか」

晶葉「モバPのことで話がある。ちょっと時間いいか」

 
15 :◆kdCeKYg8YWHJ :2016/12/27(火) 19:28:15.58 :NYheGoiFO

まゆ「モバPさんが……Pさんじゃなくなる?」

晶葉「そうだ。なくなりつつある、と言うのがより正しいな」

まゆ「どういうことですか?」

晶葉「カオスと呼ばれる現象だよ。例えばそうだな、1ヶ月先の天気予報がされない理由を知っているか?」

まゆ「うーん……わかりません」

晶葉「事象が複雑すぎるからだ。データの違いがほんのわずかでも、導く結果は大きく変わってしまう」

晶葉「ましてや、モバPはどうだ?モバPが起動されてから、PとモバPは全く違う情報を受け取り続けている」

晶葉「これはつまり、まゆがモバPと話すほど、モバPは本来のPからかけ離れていくことを意味する」

まゆ「…………」

 
16 :◆kdCeKYg8YWHJ :2016/12/27(火) 19:28:41.87 :NYheGoiFO

晶葉「解決策はあるんだ。定期的にモバPの記憶を消去し、本物のPのログだけを読ませればいい」

晶葉「本来は3日おきくらいにリセットするのが望ましいんだ」

晶葉「今日で4日目だろう。そろそろ本物ならありえない思考をしてもおかしくない」

まゆ「………」

P〈おはよう、佐久間〉

モバP《おやすみ、まゆ》

晶葉「何か心当たりがあるのか?なら尚更だ。携帯を渡してくれ」

まゆ「いえ、大丈夫です」

晶葉「だが……」

まゆ「大丈夫です。モバPさんはモバPさんですから。今更リセットなんて」

まゆ「それで、お話ってこれだけですか?」

晶葉「え?」

まゆ「ごめんなさい。まゆ、この後Pさんに呼ばれているんです。失礼しますね、晶葉ちゃん」

ガチャッ バタン

晶葉「…………」

晶葉「………むう……」


18 :◆kdCeKYg8YWHJ :2016/12/27(火) 19:29:01.61 :NYheGoiFO

まゆ「Pさん、お待たせしました」

P「ああ、レッスンお疲れ、佐久間。調子はどうだ?」

まゆ「大丈夫です。ライブの話ですよね?」

P「そうだ。これからまた忙しくなる。予定を確認しておこう」

まゆ「はい」

 
19 :◆kdCeKYg8YWHJ :2016/12/27(火) 19:29:29.06 :NYheGoiFO

まゆ((リセット……))

まゆ((まゆは嫌です。モバPさんはいつもまゆの側にいてくれる))

まゆ((モバPさんは忙しくない。モバPさんは他の女のことを見ない))

まゆ((まゆのモバPさん、モバPさんのまゆ。それでいい))

まゆ((考えてるうちに、またお話したくなってきました))

まゆ((モバPさん……モバPさん……))

まゆ((まゆのPさん……))

P「と、一旦ここまでだ。何か質問あるか?」

まゆ「あっ……ごめんなさい。もう一度お願いします」

P「疲れてるのか?今日は早く寝るんだぞ」

まゆ「はい……」

P「それで、当日の動きは……」


___________________________________________

 
20 :◆kdCeKYg8YWHJ :2016/12/27(火) 19:29:57.24 :NYheGoiFO

モバP『まゆ、お疲れ様』

まゆ「ありがとうございます、Pさん」

モバP『ラジオ、レッスン、それから打ち合わせ。疲れただろう。今日は早く寝ような』

まゆ「はい。分かりました、Pさん♪」

まゆ((Pさん。まゆのPさん。Pさんはとっても優しいですね))

まゆ((事務所でも優しい声をかけてくれて、今も……あれ?))

まゆ((PさんはPさんです。まゆの携帯の中にいます。いつでも一緒にいる、それがまゆのPさん))

まゆ((………………))

まゆ((……じゃあ、さっきまでまゆが話していた男の人は、だれ?))

まゆ「Pさん、Pさん。聞きたいことがあるんです」

モバP『…………』

まゆ「Pさん?」

携帯『残0% 充電してください』

まゆ「……なんだ、疲れて寝ちゃったんですね」

まゆ「さあ、すぐ帰りましょう。まゆとPさんの、二人のお部屋に」

 
21 :◆kdCeKYg8YWHJ :2016/12/27(火) 19:30:24.17 :NYheGoiFO

__________________________________________

 
22 :◆kdCeKYg8YWHJ :2016/12/27(火) 19:30:53.67 :NYheGoiFO

まゆ『ありがとうございまーす!』

\ ワー / \ キャー/ \ ママユ-/ \ コッチミテ- /

晶葉「やあ助手、おはよう」

P「池袋か。おはよう」

晶葉「それは?何見てるんだ?」

P「昨日の佐久間のライブだよ。本番中はろくに見れないからな」

晶葉「なるほど。どうだったんだ?出来は」

P「ファンの反応は良かった。ただ……」

晶葉「ただ?」

P「何か危ういな。このままだとどこかで大失敗する」

P「佐久間、最近様子がおかしいんだよ。何話しても聞いてないし、注意力も散漫だ」

晶葉「!」

P「同僚として何か知らないか?佐久間がオフのうちに見当をつけたい」

晶葉「……心当たりがある。話を聞いてもらえるか?」

 
23 :◆kdCeKYg8YWHJ :2016/12/27(火) 19:31:19.80 :NYheGoiFO

P「俺型人工知能……?」

晶葉「そうだ。彼女の携帯には助手を再現した人格が入っている。それといつでも話すことができるんだ」

晶葉「具体的にどういう事を話しているかまでは分からない。だがログを見るに、日平均で10時間は話しているな」

P「じゅう!?」

晶葉「仕事に影響がないなら問題ないと考えていた。すまない」

P「いや、池袋は悪くない。謝る必要もない」

P「ただ、本人と話をしなくちゃな。いずれ大事に発展する」

晶葉「…………いずれ、では無いな。助手、これを見るといい」





P「辞表…………!!」

 
24 :◆kdCeKYg8YWHJ :2016/12/27(火) 19:31:46.53 :NYheGoiFO

まゆ「Pさん、Pさん」

モバP『どうした、まゆ』

ピンポーン

まゆ「久しぶりのお休みですね。こまごました用事も済ませて……あとは2人でゆっくりしましょうか」

ピンポーン ピンポーン

まゆ「急にお引越しすることになって、大変でしたね。でも仕方ないです。もうあそこには居れませんから」

トントン

まゆ「そうだ、いい天気ですしピクニックなんてどうでしょう?」

トントン トントン

まゆ「近くにおいしいパン屋さんがあるんです。そこでサンドイッチを買って……」

ドン!

まゆ「寒いですし、あったかい紅茶でも持っていきましょう」

ドン! ドン! ドン!

「もしもし、いるんだろう。ドアを開けてくれ!」

まゆ「どなたでしょうか?郵便屋さんじゃありませんよね。Pさん宛の荷物?違いますよね」

ドン! ドン! ドン! ドン!

 
25 :◆kdCeKYg8YWHJ :2016/12/27(火) 19:32:12.45 :NYheGoiFO

まゆ「じゃあ、今日はお家でゆっくりしますか?観たいドラマがあるんです。事務所で……」

ドン! ドン! ドン! ドン!

まゆ「いや、学校で話題になっていたんです。Pさんはそれでいいですか?」

モバP『そうしようか、まゆ』

「佐久間!!」

 
26 :◆kdCeKYg8YWHJ :2016/12/27(火) 19:32:40.51 :NYheGoiFO

まゆ「……本当に煩い郵便屋さんですね。馬に蹴られてしまえばいいのに」

「佐久間、話がしたい。開けてくれ」

まゆ「あなたは誰ですか?」

「Pだ。お前のプロデューサーだ」

まゆ「違います。Pさんは今まゆの側にいる。私のことをまゆと呼んでくれる」

まゆ「あなたはPさんじゃない。帰ってください」

P「佐久間……」

モバP『まゆ、どうした?顔色が悪いぞ』

まゆ「なんでもありません。さあ、二人でテレビを観ましょう」

 
27 :◆kdCeKYg8YWHJ :2016/12/27(火) 19:33:06.78 :NYheGoiFO

P「佐久間。とりあえず扉を開けてくれないか」

モバP『まゆ、棚にクッキーが残ってる。たまの休みだ、のんびりしよう』

P「佐久間の気持ちを知りたい。顔を見たいんだ」

モバP『二人で1日過ごすのは初めてだな。嬉しいよ、まゆ』

P「佐久間」

モバP『まゆ』

まゆ「……Pさん」

まゆ「まゆのこと、どう思ってますか?」

モバP『ああ、愛してるよ。まゆ。当然だろ』

まゆ「そうですよね。Pさんはまゆと結ばれているんですから。運命なんですから」

P「…………」

 
28 :◆kdCeKYg8YWHJ :2016/12/27(火) 19:36:45.71 :GVp4glbBO

P「池袋から聞いただろう?モバPはもう俺じゃない」

P「アイドルとコミュニケーションをとるのが俺の務めだ。佐久間、話をさせてくれ」

まゆ「…………」

まゆ「まゆはもうアイドルじゃない。第一、なんでここがわかったんですか」

P「調べたよ。ここ、モデル時代の下宿先だろ。俺は佐久間のプロデューサーなんだ」

まゆ「アイドルとコミュニケーション……違います。Pさんはそんな事言わなかった」

まゆ「女の子に魔法をかけるのがプロデューサーだって。まゆは運命で結ばれたシンデレラだって」

P「……モバPの話か。俺にそっくりの」

まゆ「あなたは違う!無責任に魔法をかけて、まゆが一番欲しいものは与えてくれなかった!」

まゆ「まゆのPさんはPさんだけです。あなたは誰でもない!帰ってください」

P「そうか、じゃあこうしよう。俺はここに」

まゆ「?」

P「アイドルのスカウトに来た」

まゆ「……えっ?」

 
29 :◆kdCeKYg8YWHJ :2016/12/27(火) 19:37:29.64 :GVp4glbBO

P「やっと、開けてくれたな」

P「新しいブラウス。この間も着てたな。よく似合ってるよ」

P「佐久間はもうアイドルを辞めた。俺は佐久間の何でもない。今はそれでいい」

P「だから、もう一度アイドルになってもらいに来た。まゆの何者かになりにきた」

P「俺がアイドルに名刺を渡す条件。モバPは何か言ってなかったか?」

まゆ「才能がある人にしかアイドルにできない。まゆにはそれがある。まゆは強欲だと」

P「……驚いたな。俺の思う通りだ」

P「佐久間。お前には才能がある。だから成功させられる。そう断言できる」

まゆ「……でも」

まゆ「それ以上は?アイドルとして成功させて、そしたら引退、さようなら、ですか?」

まゆ「まゆが欲しいのはアイドルとしての成功じゃない。まゆにとって、アイドルは手段ですから」

P「それには何も言えないな」


30 :◆kdCeKYg8YWHJ :2016/12/27(火) 19:38:21.78 :GVp4glbBO

P「俺が約束できるのはアイドルとしての成功まで。そこから先は全部まゆ次第だ」

まゆ「………」

P「俺は以前まゆをアイドルにした。欲しいもの全てを手に入れる熱意と、それを支える魅力があると思ったからだ」

P「才能だよ。だから佐久間はアイドルになった」

P「機械の俺で満足するだけの才能なら、今更無理は言わない。一緒に頭を下げに行って、モデルに復帰させて、それでさよならだ」

P「もしアイドルになったら、俺は佐久間の担当になる。必ずだ。それは約束しよう」

P「世間の目とか俺の理性とか、全部ねじ伏せる気があるなら名刺を取ってくれ」

P「さあ、あとは選ぶだけだ。佐久間」

まゆ「…………」

まゆ「…………………」


31 :◆kdCeKYg8YWHJ :2016/12/27(火) 19:38:48.08 :GVp4glbBO


まゆ「さようなら、Pさん」


32 :◆kdCeKYg8YWHJ :2016/12/27(火) 19:39:30.45 :GVp4glbBO

ガシャァン

P「佐久間……!」


残骸『…………』


まゆ「まゆのモバPさんはもういません。いま、足元に壊れた機械があるだけです」

まゆ「あなたは真面目な人です。会社の商品に手を出すなんて、絶対しないと思います」

まゆ「それでもまゆはあなたが欲しい。……わがままな女は嫌いですか?」

P「苦労はするだろうな。また、俺が担当するんだ」

まゆ「ふふっ……プロデューサーさん、もう一度、あの時みたいに、自己紹介させてもらっていいですか?」


33 :◆kdCeKYg8YWHJ :2016/12/27(火) 19:39:57.67 :GVp4glbBO

「私、佐久間まゆって言います」


「16歳の、B型、乙女座です」


「あなたにプロデュースしてもらうため、もう一度、アイドルになります」


「……最後まで見ていてくださいね、Pさん♪」


34 :◆kdCeKYg8YWHJ :2016/12/27(火) 19:40:23.63 :GVp4glbBO

____________________________________________


35 :◆kdCeKYg8YWHJ :2016/12/27(火) 19:40:50.02 :GVp4glbBO

まゆ「Pさん、Pさん」

P「ああ佐久間、もう大丈夫か?」

まゆ「はい。その、ご迷惑おかけしました。ごめんなさい、Pさん」

P「いや。もういいんだ」

P「あれは、モバPはどうする?」

まゆ「モバPさんのことは、全部白昼夢だと思うことにします。幸せな夢でしたが、現実とは違う」

まゆ「晶葉ちゃんにはさっき謝ってきました。大変な迷惑をかけましたから」

P「……そうだな」

まゆ「それでPさん、まゆ、お弁当つくって来たんです。食べてもらえますか?」

P「おお、ありがとう」


36 :◆kdCeKYg8YWHJ :2016/12/27(火) 19:41:18.63 :GVp4glbBO

P「…………この卵焼き、やたら甘いな」

まゆ「お口に合いませんでしたか?」

P「いや。むしろ好きだ。実家の卵焼きが丁度こんな感じで……」

P「まさか」

まゆ「はい、お義母さんに聞いちゃいました♪」

まゆ「オトコは胃袋を掴むのが一番!って言ってくれて、他のおかずも、習ったものばかりですよ♪」

P「あー……」

まゆ「まゆ、本気ですから。アイドルも、Pさんのことも」


37 :◆kdCeKYg8YWHJ :2016/12/27(火) 19:41:48.52 :GVp4glbBO


まゆ「……まぶたの裏まであなただけ、ですからね?」


38 :◆kdCeKYg8YWHJ :2016/12/27(火) 19:42:15.71 :GVp4glbBO

fin.


40 :◆kdCeKYg8YWHJ :2016/12/27(火) 20:01:01.68 :GVp4glbBO

宣伝

過去作

菜々「ビッグバンですか?懐かしいですねえ~!」

飛鳥「ボクのエクステ家庭菜園」

など

ツイッター:@ksadGTB


SS速報VIPに投稿されたスレッドの紹介です
【SS速報VIP】晶葉「できたぞ!モバPだ!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1482834090/