1.


夕美「おはようございまーす!」

P「おはよう、夕美。今日は一段と元気そうだな」

夕美「ふふ、何があったか知りたい?」

P「いや、べつに」

夕美「じゃあ教えてあげるね♪」

P「夕美はたまに人の話を聞かないよな」

夕美「じゃーん!」

P「これは……タブレットだ」

夕美「そう、タブレットだよ。ありすちゃんが使ってるのを見て、私も前から欲しいなあって思ってたの」

夕美「それで、昨日ついに買っちゃった♪」

P「へえ。いいじゃないか、持ってるとなんだかんだで便利だし」

夕美「うんっ」

P「壊さないように気をつけるんだぞ」

夕美「心配しなくても、私はすぐに物を壊したりしないってば」

P「本当に?」

夕美「本当だよっ」

P「タブレットをベッドに置きっぱなしにしていて、そのことを忘れたままベッドに飛び込んでダイレクトアタックをかましたりしないか?」

夕美「し、しない……と、思う」

P「今目をそらしたな」

夕美「そ、そらしてないよっ」

P「いいやそらした。確実にそらした」

夕美「そらしてない!」

P「じゃあ俺の目を見ろ」

夕美「見る! しっかり見るっ」ジーー

P「………」ジーー

夕美「………」ジーーー

P「………」

夕美「………」


ぷいっ

夕美「な、なんだか恥ずかしいねっ。えへへ……」

P「そうだな……」



ありす「オーケーグーグル、朝から小学生の前でいちゃついている人たちへの対処法は?」

タブレット「すみません。よくわかりません」


2 :◆C2VTzcV58A :2016/10/02(日) 11:22:09.74 :LUsgoMOpO

2.

夕美「Pさん、Pさん」

P「どうした?」

夕美「これ、なーんだ?」

P「これは……コスモスの花じゃないか?」

夕美「せいかい♪」

P(最近、夕美はタブレットに映った花の画像をよく見せてくる)

夕美「コスモスの花言葉、覚えてる?」

P「調和」

夕美「うん、正解。他には?」

P「純潔」

夕美「それも正解。他には?」

P「恋の終わり」

夕美「うーん、黒いコスモスにはそういう花言葉もあるよね」

夕美「他には?」

P「ほか……そうだな」

夕美「ヒント! 乙女の――」

P「乙女の……乙女の秘密?」

夕美「ぶっぶー」

P「乙女の加護を」

夕美「ぶっぶー」

P「乙女座の聖闘士」

夕美「ぶっぶー!!」

P「違うか~~」

夕美「……Pさん、わざと間違えてるでしょ」

P「バレたか」

夕美「ニヤニヤしてるからすぐにわかったよ。Pさんがそういう顔をするときは、人をからかおうとしている時だから」

P「研究されている」

夕美「いつも見てるからね♪」

夕美「じゃあ改めて問題です。コスモスの花言葉といえば、乙女の?」

P「真心」

夕美「せいかいっ」

夕美「というわけで、正解者には乙女の真心がこもった手作りのお弁当をプレゼント!」

P「おーっ」

P「自分で乙女と言うのか」

夕美「そ、そこはあんまり気にしちゃダメっ」

P「冗談だ。ありがとう、いただきます」

夕美「味わって食べてね♪」


ありす「オーケーグーグル、あっと驚くお弁当の作り方は?」

タブレット「サプライズを入れてみましょう」

ありす「サプライズ……つまり、隠し味ですか」

ありす「………」

ありす「私はまず基礎の味付けを頑張るところから、かな……」

 
3 :◆C2VTzcV58A :2016/10/02(日) 11:22:57.52 :LUsgoMOpO

3.



P「なあ、夕美」

夕美「ぷくー」

P「俺が悪かったから機嫌直してくれ」

夕美「ぷいっ」

P「はあ……参ったな」

ちひろ「何があったんですか?」

P「机にしまっていた俺のお宝本をたまたま夕美が見つけてしまって」

ちひろ「はい」

P「カモフラージュに別の雑誌のカバーをかけていたので、内容に気づかず中を読んでしまったらしく」

ちひろ「うわあ……いきなりそういうものを見せられちゃったら、夕美ちゃんもショックですよ」

P「おっしゃる通りで」


夕美「………」ホイッ

ちひろ「夕美ちゃん? どうしたの、急にタブレットで花の写真を見せてきて」

P「あれはクロユリだから、花言葉は呪いですね」

ちひろ「めっちゃ怒ってるじゃないですか」

夕美「………」ホイッ

ちひろ「今度はマリーゴールドですか」

P「花言葉は絶望とか悲しみですね」

ちひろ「めっちゃ落ち込んでるじゃないですか」

夕美「………」ホイッ

ちひろ「今度は」

P「ゲッケイジュ。花言葉は裏切り」

ちひろ「裏切られたんですか」

P「おそらく、俺がふせんをしていたページにいたのが巨○黒髪ロングの女性だったからだと」

夕美「………」ヒョイ

ちひろ「あの紫色の花は」

P「ライラックの花ですね」

夕美「リク・ラク・ラ・ラック・ライラック」

ちひろ「なんですかこれ」

P「魔法の始動キーですね」

P「というわけで、UQホルダーの最新巻買ってきたら許してくれるそうです」

ちひろ「いやいやいや」

夕美「正解!」

ちひろ「正解なんですか!?」

P「行ってくるか」

ちひろ「思ったより軽い許し方ですね……」



ありす「………」

ありす「オーケーグーグル。紫のライラックの花の花言葉は?」

ありす「………」

ありす「……なるほど」

 
4 :◆C2VTzcV58A :2016/10/02(日) 11:24:10.60 :LUsgoMOpO

4.


夕美「Pさん、Pさん」

P「なに?」

夕美「今、お話しできるかな」

P「大事な話?」

夕美「どっちかというと世間話」

P「そうか。なら、もう少しあとにしてもいいか。ちょっとやらなきゃいけない作業が残ってるから」

夕美「そっか。じゃあ、待ってるね」

P「ごめんな」

夕美「全然っ。私がお話ししたいなーって思っただけだし」




1時間後


P「ふう、終わった終わった」

P「夕美ー。今なら俺も暇だぞー」

夕美「あ、Pさん。おかえりなさい♪」

P「またタブレットで花を見ていたのか」

夕美「うん♪ 直接そこにあるお花を愛でるのが一番だけど、こういうのも楽しいよね」

P「何を見ていたんだ」

夕美「今はね……ほら、見て。スノードロップ!」

P「………」

※スノードロップ:他人に贈ると「あなたの死を望みます」という意味になる


P「1時間もお待たせして申し訳ございませんでした」

夕美「え、ええっ!? あ、これは別にそういう意味じゃないって!」


※スノードロップの花言葉:希望・慰め・恋の最初のまなざし



ありす「スノードロップ……待雪草とも呼ぶんですね」

雪美「……スノー」

ありす「雪美さんの雪ですね」

雪乃「スノーですわ」

ありす「雪乃さんの雪でもありますね」

友紀「スノー!」

ありす「ちょっと惜しいですね」

悠貴「スノー?」

ありす「あんまり惜しくないです」

 
5 :◆C2VTzcV58A :2016/10/02(日) 11:24:52.05 :LUsgoMOpO

5.


夕美「うーん」

夕美「タブレットの待ち受け画面、どれにしようかな」

夕美「このお花もいいし、あれもいいし……迷っちゃう」

夕美「………」

夕美「いっそこれとか……なんて、さすがにないよね」

夕美「元に戻そうっと」




数時間後


ありす「夕美さん。タブレットの待ち受け、Pさんとのツーショットにしてるんですね……えと、大胆です」

夕美「戻し損ねてるーー!?」カアァ


6 :◆C2VTzcV58A :2016/10/02(日) 11:26:28.38 :LUsgoMOpO

6.

夕美「ねえ、Pさん」

P「ん?」

夕美「私たちが出会ってから、いろんなことがあったよね」

P「そうだな。たくさん時間があって、たくさんの出来事があった」

夕美「聞きたいことがあるの」

夕美「私……変わった?」

P「そりゃあ、変わっただろう」

夕美「どんなふうに?」

P「つぼみが育って大輪の花になった」

夕美「ふふっ、ありがとう」

夕美「そっか、花かあ……それも大輪。うれしいな」

夕美「……あ、そうだ」

P「どうした」

夕美「花なら、花言葉があるはずだよね」

夕美「相葉夕美の花言葉。なにがいいかな」

P「俺が決めるのか」

夕美「育てたのはPさんだもん。だから、ね?」

P「そうだな……シンプルなのでもいいか?」

夕美「もちろん♪」

P「じゃあ、『最高のトップアイドル』で」

夕美「………ありがとう。最高の花言葉だよ」

P「どういたしまして」

夕美「……でも私、もうすぐ相葉夕美じゃなくなるんだよね」

P「アイドルも卒業だしな」

夕美「苗字が変わったら、花言葉も変わるよね」

P「今度は『最高の花嫁』とかになりそうだ」

夕美「そうなれるといいな♪」イソイソ

P「? 急にタブレットを持ってきて、どうかしたのか」

夕美「えっと……その。これ、見て?」

P「………」

P「ヒルガオの写真だな」

夕美「うん。正解」

夕美「……ヒルガオの花言葉、知ってる?」

P「………」

P「しっぽりした意味のやつ?」

夕美「………」コクン

P「………」

P「こっちにおいで」

夕美「お、お邪魔します……」テレテレ


ありす「………」

ありす「オーケーグーグル、部屋から音を立てずに脱出する方法は?」

ありす「橘ありすはクールに去ります。クールなので」

 
7 :◆C2VTzcV58A :2016/10/02(日) 11:27:44.47 :LUsgoMOpO

7.


ありす「とまあ、そんな感じで。あなたのお母さんはとても恥ずかしがり屋さんだったんですよ」

p「へー、そうなんだ」

p「でもわかるかもなあ。母さん、いってきますのちゅーでも毎日顔赤くしてるし」

ありす「結婚して何年経ってると思っているんでしょうか」

ありす「とはいえ。最近は、花言葉を介さなくてもアピールができるようになったみたいですけど」

ありす(でも、この前うっかり夕美さんがこぼした『花言葉え○ち』という単語がすごく気になります)

p「顔赤くしてるけど、すごくうれしそうなんだ」

ありす「それはそうですよ。大好きな旦那さんとのいちゃいちゃなんですから」

p「そっか」

ありす「結婚はいいものです」

p「ありすお姉さんはいつ結婚するの?」

ありす「……もうじき、たぶん、きっと」

p「相手いないんだ」

ありす「う、うるさいです」

p「オーケーグーグル、ありすお姉さんの結婚相手は?」

ありす「こらっ!」



おしまい

 
8 :◆C2VTzcV58A :2016/10/02(日) 11:31:02.09 :LUsgoMOpO

おわりです。お付き合いいただきありがとうございます
花言葉ってひとつの花にいろんな意味のものがあって面白いですね

過去作
モバP「甘えるいずみん」
モバP「威勢がいいと異性にモテるらしい?」
モバP「なっちゃんと夏の事務所」
などもよろしくお願いします


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【SS速報VIP】相葉夕美「花言葉」
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