【SS速報VIP】雪歩「どこにいたって聞こえる」
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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/03/16(水) 13:16:37.86 :jD/xTHnk0

地の文有り

雪歩とPしか出てきません(多分)

書きため無し、投下速度凄く遅め



2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/03/16(水) 13:25:25.21 :jD/xTHnk0

「遠い存在になる、か...」

ファンってこういう心情なのかな、とさっきより少し小さく呟く。

自己中心的だから寂しいとか言うんだ、とか誰かは言うけど、別に自分も迷惑かけたいとかそういう気持ちで居る訳じゃない。

ただ、漠然と喪失感があるだけだから。

 
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/03/16(水) 13:33:31.47 :jD/xTHnk0

コーヒー買うって言って外出ただけだし、早く戻らないとな。

こう思うと、自分も前に比べたら仕事がだいぶ増えた。
スーツも、最初の頃に比べたら割と似合うし、ネクタイもなんとやら。

コンビニに入ってコーヒーを買う。いつものやつでいつもの価格。

変わらないで居てくれる安心感がきっとあるんだろう。
自分や他人は変わってしまうから。

 
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/03/16(水) 13:43:49.55 :jD/xTHnk0

「ご来店ありがとうございましたー」


店を出ようとしたとき、丁度曲が終わって次に入る。


『では、本日は最近勢いがあるアイドル、萩原雪歩さんのカバーで...』



ぴくっ、と動いた肩に他の人は気づいたんだろうか。


6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/03/16(水) 14:15:40.41 :jD/xTHnk0

小鳥さんが仕事をあがると、さっきより事務所は暗く見える。


「テレビかラジオでもつけるかな...」


独り言が空しく事務所に消える。



少し探したがラジオは見つからない。
そういえば、買い換えようとか言ってたような。

捨ててから...きっと、みんな忙しくなっちゃったんだろう。


頭を振ってテレビをつける。

雑音さえ聞こえてくれればいいから、別に中身は気にしない...はずだった。


『この世の果てまで』


本当にもう、どこまでも彼女の声は届くのかもしれないな、なんて思った。


7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/03/16(水) 14:29:43.76 :jD/xTHnk0

アイドルの仕事がいつからか急に増えた。

それでも頑張れるのは、理由がある。

カチッ

『これからも、一緒に頑張ろうな』


どこにいたって、あなたのこの声は聞こえたから。


9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/03/16(水) 14:48:14.96 :jD/xTHnk0

なんだか、この前の歌みたいだなぁ


....あなたの愛は、きっと私一人で受け取ってはいけない物だから。


それでも、私はこのエロースがあなた一人に届いてくれれば構わない。

 


 
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/03/16(水) 15:16:09.94 :jD/xTHnk0

タクシーを降りて、久しぶりに事務所に急ぐ。

もう時計は十時半を指そうとしているから、あんまり期待はしていない。


今日も本当は戻る予定じゃなかったし....


みんなもう帰っちゃったかなあ、とか
でも、仕事が長引いてるかも、とか。


自分には処理できない感情が不意に胸を突く。

 
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/03/16(水) 16:58:14.67 :jD/xTHnk0

この角を曲がれば。


足が段々重くなっていくような感覚も、結局は一瞬で。

 
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/03/16(水) 17:43:28.97 :jD/xTHnk0

がん



衝撃を感じる。

暗闇で何があったかわからないうちに、聞き慣れた声がした。


「すすす、すみません...はうぅ...」


紛れもない、うちのアイドルの声だった。

 
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/03/16(水) 21:45:53.82 :jD/xTHnk0

「雪歩?」

わかっていても何となく、語尾は疑問調になってしまう。



「....え?」

顔を上げ、赤面する雪歩は、当然だがかわいい。


「ぷ、プロデューサー!」

....こんな時間にそんな大声出して、迷惑じゃないか...?
そんな顔を見て察したのか、雪歩はもっと赤面する。


「ああ、わたしったら、また...あ、あの、本当にすみませんー...」


冷静になるまで、どれぐらいかかるだろうか.....

 
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/03/16(水) 21:57:39.01 :jD/xTHnk0

雪歩を落ち着けてから、ベンチで二人コーヒーをすする。


「あ、雪....」


どっちが言ったんだろう。二人で笑いあえたから、それでもう満足してしまう。


「天気予報でこんなこと言ってたかな...」

改めてじっくり見ると、街は起きているようで寝ているようで
なんだか不思議な感覚だった。

いつのまにか遅い帰りにもなれちゃってこの、目の前に広がる景色もかすんでしまっていた気がする。

 
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/03/16(水) 23:17:49.91 :jD/xTHnk0

「綺麗だね」


思わず、呟く。

 
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