【SS速報VIP】響「貴音!?」たかね「めんような!」
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■関連SS
響「貴音!?」たかね「めんような!」①
響「貴音!?」たかね「めんような!」②
響「貴音!?」たかね「めんような!」その2
84 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/19(木) 21:53:43.21 :9lM7+ofz0
※※※※
作中の季節は冬、かつ現実のそれより少し前の時期です。
漠然と、もうすぐクリスマス、くらいをイメージしていただければ幸いです。
※※※※
1 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/13(金) 23:10:23.23 :rn0I9Dv+0
響(……ん、 ……あー、朝かぁ)
響(今日はオフだし…… さむそうだし、まだ寝てよ……)
響(そうだ、貴音…… は、もう起きたのかな? いないや)
響(起きてるなら、早く朝ごはん作ってあげなきゃ……)
響(でも、ちょっとだけ…… あと5分だけごろごろしたら、起きよ)
<ガシャーン
響「!?」ガバ
2 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/13(金) 23:11:15.23 :rn0I9Dv+0
響(なんだろ、貴音、お皿でもひっくり返したかな)
響(まったくもう、おかげですっかり目が覚めちゃったぞ!)
ガチャ
響「貴音、どうしたの? 今の音、いったい」
たかね「!」
響「…… んん!?」
たかね「……」
響「えっ…… ええと、あの、キミ、誰かな……?」
4 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/13(金) 23:12:00.24 :rn0I9Dv+0
響(この子…… 見たとこ小学生くらい? にしても、臙脂色の目に、腰までの銀髪って、まるで……)
響「……その髪の色とか、長さとか、それに目の色とか…… もしかして貴音なの!?」
たかね「む…… そなた、なにやつです。なぜわたくしのなまえをしっているのですか!」
響(やたら時代がかったしゃべり方もそっくり…… って!?)
響「ちょっ、えっ…… 自分のことわかんないの!? ほら響だよ、我那覇響!」
たかね「…… がなは、ひびき……? しらぬなです」
響「そ、そんな!」
たかね「それより、わたくしをこのようなところにつれてきたのはそなたですか!?」
響「うがっ!? 違うよ、自分そんなことしてないぞ!」
たかね「おだまりなさい! わたくしをかどわかしてどうするつもりですか!」
響(あ、この話聞かないあたり間違いない、これ貴音だ!)
5 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/13(金) 23:12:41.79 :rn0I9Dv+0
響(ど、どうしよう…… そうだ、とりあえずプロデューサーに連絡!)
たかね「……? そなた、そこでなにをしているのです」
響「ごめん貴音、ちょっと待ってて。すぐ終わるから」
たかね「……なぜわたくしのことをきやすくよぶのか、りかいしかねますが、まあよいでしょう」
響(しっかりしてるようで案外チョロい! やっぱりこれ貴音だ!)
プルルルル
響(プロデューサー、早く電話出てよ……! 今日はお休みだし、朝だから大丈夫なはず……)
7 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/13(金) 23:13:40.55 :rn0I9Dv+0
ガチャッ
P『……んぁ、響か? まだ8時過ぎたばっかりだぞ…… いきなりどうしたんだ、いったい』
響「プロデューサー! 休みの日にごめん。あのさ、落ち着いて聞いてほしいんだ」
P『あ、ああ……? どうした、なにか問題でもあったのか?』
響「そうなんだ…… あのね、た、貴音が、ちっちゃくなっちゃったんだぞ!」
P『……』
響「……」
P『……響。お前な、せっかくの休日の朝に電話してきてマギー審司の改変とか、そりゃないだろ』
響「ほ、ホントなんだってば! っていうかマギー審司って誰さー!?」
P『待て、俺はそのジェネレーションギャップが地味にショックなんだが』
8 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/13(金) 23:14:23.62 :rn0I9Dv+0
P『まあいいや…… 貴音がちっちゃくなっちゃったってなんだよ、どういう意味だ?』
響「いや、どういう意味もなにもそのまんまだぞ! 朝起きたら貴音が小学生くらいになってて!」
P『……ん? ちょっと待てよ響、起きたら貴音がちっちゃい子になってた?』
響「もう、だから自分がさっきからそう言ってるじゃないかぁ!」
P『なぁ、そもそもなんで朝起きた時点で響と貴音が一緒にいるんだ』
響「えっ? だって今日は貴音も自分もオフだから、貴音、自分の部屋に昨日から泊まりに来てて……」
P『お泊まりィ!?』
9 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/13(金) 23:15:06.36 :rn0I9Dv+0
響「うわぁっ!? なに、プロデューサー、どうしたのさ突然」
P『泊まりって…… 響お前、貴音とそんな関係だったのか!?』
響「え? そんな関係って…… えっ、どういうこと?」
P『そ、そんなって…… あれだよ、その…… なんだ、百合百合しいというか、キマシタワー的な』
響「キマシ……? ゆりゆりし…… ……は、はあぁ!?」
P『い、いや、響、いいんだ、愛の形にはいろいろあっていいと思う、俺は気にしないぞ?』
響「ななななに言い出すんだプロデューサー!? やっぱり変態だったんだな!」
10 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/13(金) 23:15:40.07 :rn0I9Dv+0
響「だ、だいたい、仲のいい同性の友達が家に泊まりに来ることなんて珍しくないだろ!」
P『そ、そうか? 俺はそういうのって怪しいんじゃないかなーと思うんだけど……』
響「全然怪しくないよ! そもそもプロデューサーだってそういう経験あるでしょ!?」
P『……』
響「プロデューサー?」
P『なかった』
響「えっ」
11 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/13(金) 23:16:14.39 :rn0I9Dv+0
P『俺、友達が泊まりに来たことも、友達の家に泊まったこともないし』
響「あ、そ、そうなんだ」
P『そういえば、仲のいい友達ってもの自体、あんまり』
響「ごめん! プロデューサー、自分が悪かったぞ! だからもう」
P『ノート貸してとか頼まれることはあっても、俺、飲み会とか、合コンとか、ぜんぜん』
響「ぷ、プロデューサー! しっかりして、元気出して! もうこの話やめよう!?」
12 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/13(金) 23:16:53.38 :rn0I9Dv+0
響「ごめんってば、プロデューサー…… 落ち着いた?」
P『うん…… グスッ、うん大丈夫、もう大丈夫』
響「なんにしてもさ、貴音がちっちゃくなっちゃってるのはホントなんだ」
P『そうは言われてもなぁ…… やっぱり俺もにわかには信じがたい』
響「んー…… あっ、そうだ! じゃあちょっと待ってて、自分、証拠の写メするから!」
P『写メ、なぁ…… まあいいや、わかった、とりあえず待ってるよ』
13 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/13(金) 23:18:00.77 :rn0I9Dv+0
たかね「……」
響「よーし、じゃあ貴音、ちょっと動かないで、そのまんまだぞー」
響(えっと…… ピント合わせて、っと) <ピピッ
たかね「!」サッ
響「あっ!?」 <カシャッ
響「もー! なんで動くの!」
たかね「……わたくしの、たましいをぬこうとは」
響「はぁっ!?」
たかね「かくしてもむだです。そのめんようなきかいのこと、わたくしはしっております」
響「え、面妖な機械って、これただのスマホだよ?」
たかね「いいえ、それで"かしゃっ"とされると、たましいがぬかれるとききました」
響「めんどくさいなこの子ホントに!」
14 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/13(金) 23:19:40.85 :rn0I9Dv+0
響「……ここだぁっ!」 <ピピッ
たかね「あまい!」 シュッ
<カシャッ
響「うがーっ! だーかーら、写真撮るだけで魂抜いたりしないから! 大丈夫だから!」
たかね「だいじょうぶだから、さきっちょだけだから、などといってわたくしをたぶらかすつもりですね……」
響「ど、どこでそんなことば覚えたんだー!? いいからじっとするさー!」
たかね「いやです! わたくしのたましいはわたしません!」
響「ぐぬぬ…… しょうがない、こうなったら最終手段だぞ…… おーい、ちょっとこっち来てー!」
たかね「ふん、しょうし! たすけなどよんだところで、このわたく」
へび香「……?」 ニョロ
たかね「しじょっ」 キュウ
響「よくやったへび香! ナイスタイミング!」
15 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/13(金) 23:20:58.66 :rn0I9Dv+0
響「目を回してるこのスキに、まずは撮影して…… っと」 <ピピッ カシャ
響「…… しかし、貴音、なんでこんなことになっちゃったんだ……」
響「さておき、これならプロデューサーも信じてくれるはずさー。よし、送信っ」
<ピロリン
響「わっ、返信早いなぁ…… でも当然だぞ、こんな一大事だもん。えーと、なになに?」
『1枚だけじゃ判断がつかない もっと沢山、それもいろんなアングルから撮った写真が必要だ』
<ピロリン
『はよ 画像はよ』
響「」
<ピロリン
P「お、響もさすが対応が早いな」
『この変態□リコン』
P「!?」
16 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/13(金) 23:21:57.33 :rn0I9Dv+0
響「……で、変態プロデューサー、自分の言ってること信じてくれた?」
P『ああ…… 確かに写真見る限り貴音が幼児化してるな…… あと俺は断じて変態じゃ』
響「この子、喋り方とかも貴音によく似てるし、間違いないと思うぞ。でもさ……」
P『なんだ、この上まだなんかあるのか』
響「……貴音、自分のこと、覚えてないみたいなんだ」
P『なんだって!?』
響「まだはっきり確かめたわけじゃないけど、記憶もこの年齢のころに戻ってるとかじゃないのかな……」
17 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/13(金) 23:22:54.47 :rn0I9Dv+0
P『なんてこった…… 貴音が直近で大きな仕事とか控えてないのは不幸中の幸いってやつだな』
響「うん、どうすれば元に戻るかとか、現状ぜんぜんわかんないからさ……」
P『そうだな。とりあえず、響はその子をしっかり保護しといてやってくれ』
響「もちろんそのつもりだぞ。プロデューサー、貴音のスケジュール調整とかお願いできる?」
P『ああ、できるだけのことはやっとく。明日、事務所で相談しよう。少し早めに来れるか?』
響「うん、大丈夫。今日は自分もできるだけこの子から話聞いてみるね」
P『それがよさそうだな。そっちは任せたぞ』
18 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/13(金) 23:24:46.58 :rn0I9Dv+0
たかね「……ううん」
響「!」
たかね「……はっ! あ、あのかいぶつはいずこに!?」
響「ここにはもういないから大丈夫だぞ。それよりさ、ねえ貴音、ちょっと自分とお話ししよう?」
たかね「わたくしには、そなたとはなすことなどありません」
響「……"ひびき"!」
たかね「え?」
響「さっきも言ったでしょ? 自分の名前、響って言うんだ。ひ、び、き」
たかね「……ひびき?」
19 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/13(金) 23:25:43.86 :rn0I9Dv+0
響「そ、ひびき。そなたなんて他人行儀じゃなくてさ、名前で呼んでよ」
たかね「なぜですか、わたくしは、ひび…… そなたのことを、しらないのに」
響「……ん、でもね、自分は貴音のことよく知ってるんだ」
たかね「そうなのですか? あったこともないのに、なぜですか?」
響「まあ、いろいろ事情がね。だから、貴…… たかねも、自分のこと、これから覚えてよ」
たかね「……」
響「それに自分たち、しばらくは一緒に暮らすことになりそうだしさ」
たかね「なんと!?」
響「だってたかね、ここ出てったとして行くあてとか、あるの?」
たかね「う…… それは……」
20 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/13(金) 23:27:05.75 :rn0I9Dv+0
響「たかね一人くらいなら、家族が増えても自分、なんくるないぞ。なんたって自分はカンペキだからな!」
たかね「…… いたしかたありませんね。では、こんごについてはなしあいましょう」
響「よし、そうこなくっちゃ」
たかね「なによりも、さしあたっては…… その……」
響「うん?」
< ぐぎゅるるるるる
響「!」
たかね「……わたくし、たいへん、おなかがすいておりまして」
響「…… あははは! うん、やっぱりたかねは貴音なんだな、間違いないよ、絶対」
たかね「めんような…… もう、なにをひとりでなっとくしているのです!」
26 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/14(土) 23:10:03.29 :Bepc+t8w0
響「まあ、あとのことはおいおい話するとして、まずは腹ごしらえしなきゃね」
たかね「ええ、そのとおりですとも」
響「たかね、何が食べたいとか希望はある?」
たかね「いえ、とくには。ひび……、そなたにまかせます」
響「あはは、なんでそこ言い直すの? 自分のことは"ひびき"でいいよ、って言ったでしょ」
たかね「かんちがいしてもらってはこまります」
響「えっ、何が?」
たかね「わたくしはまだ、ひ……、そなたに、きをゆるしたわけではないのですよ」
響「まだそんなこと言うのかー、たかねはやっぱり強情だなー」
たかね「とうぜんでしょう、わたくしからすれば、わからないことだらけなのですから」
27 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/14(土) 23:11:07.15 :Bepc+t8w0
響(さてと…… 食べ物で記憶が戻る、なんてことがないともいえないし、ここはやっぱり!)
たかね「……」ジーッ
響(これ、貴音が大事にとってたやつだけど…… うん、貴音自身が食べるのと変わんない、はず)
たかね「…… そのつつのようなものは、いったいなんですか?」
響「出来上がってからのお楽しみさー」
たかね「…… とても、おりょうり、というか、たべものにはみえませんが……」
響「たかねはきっと気に入ると思うよ。ちょっと待ってて、すぐ作るからね」
28 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/14(土) 23:12:05.74 :Bepc+t8w0
響(あ…… でもそういえば、こんなちっちゃい子にカップ麺って食べさせていいのかなぁ?)
たかね「……」キョロキョロ
響(うーん…… たかねの年齢的には、たぶん問題ないと思うんだけど……)
響(念のためネットで調べてみよっと。スマホどこに置いたっけ…… あった)スッ
たかね「!」
響「ん?」
たかね「ま、またそのめんようなきかいを!?」バッ
響「うがっ!? ちょっと待ってたかね、そうじゃないよ落ち着いて!」
29 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/14(土) 23:12:41.12 :Bepc+t8w0
たかね「た、たべものでつっておいて、やはりそなたのねらいはわたくしのたましいなのですね!?」
響「ちーがーうってばー! ほ、ほら自分、今これそっちに向けてないでしょ、ね?」
たかね「……ほんとうですか? "かしゃっ"としませんか?」
響「本当本当、絶対しないぞ! あ、じゃあ背を向けとくよ、これならいいでしょ?」
たかね「まぁ…… それならば、よしとしましょう」
響(……さっき目回してるときにもう撮ってるって、絶対言わないようにしなきゃ……)
30 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/14(土) 23:13:53.67 :Bepc+t8w0
響(うん、ざっと調べた感じ、幼稚園児くらいならたまに食べさせる分には問題なさそう)
響「ってことで、お湯を入れまして、ふたをする!」
たかね「つつに、おゆをいれて…… それでどうしようというのですか?」
響「これがね、ちょっと待つとたかねのご飯になるんだぞ」
たかね「なにをいっているのですか。そのようなことがあるわけ、ありません」
響「ふふふ、どうだろね? っと、自分のもついでに作っとかなきゃ」
31 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/14(土) 23:17:05.44 :Bepc+t8w0
たかね「……?」スンスン
響「どう? いいにおい、してきたでしょ?」
たかね「これは…… そこにずっとすわっているだけなのに、ふかしぎな……」
響「ちょうどいいくらいだな、じゃ、ふたを開けるぞ!」
たかね「ふた……?」
響「はい、ごたいめーん」ペリペリ
32 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/14(土) 23:17:50.51 :Bepc+t8w0
たかね「……おお!? な、なんなのですか、これは!」
響「ラーメンっていう食べ物さー」
たかね「らぁ、めん?」
響「そ、ラーメン。ねえたかね、見た目とかにおいとかで、なんか思い出したりしない?」
たかね「いいえ…… しかし、とてもおいしそうなかおりがします……!」ゴクリ
響「あー、まあ、そううまくはいかないよね…… よし、まずは食べようよ」
たかね「これを、わたくしがしょくしてもよいのですか?」
33 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/14(土) 23:18:57.74 :Bepc+t8w0
響「もちろんだぞ。貴音が言ってたんだけど、これ限定ものかなんかでおいしいらしいから」
たかね「……わたくしがいっていた?」
響「あ…… ああ、いや、ごめん、気にしないで。それより、早く食べないと伸びちゃうよ」
たかね「のびちゃう…… とは、どういうことです」
響「えーと…… おいしくなくなっちゃう、ってこと。それに、ほっとくと冷めちゃうし」
たかね「そ、そうですね、では、いただきます」
響「はい、おあがりなさい」
34 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/14(土) 23:21:30.55 :Bepc+t8w0
たかね「これが…… らぁめん……」
響「出来立てであつあつだからね、気を付けて」
たかね「では…… いざ……!」ズズズ
響(においや見た目じゃ思い出さなくても、実際味わったら…… ひょっとして……!)
たかね「……」ズズズズズ
響(…… うーん、わかってたけど、無理っぽいかな…… 表情も変わんないし、淡々と)
たかね「……」ズズズズズズズズズ
響(…… って、 ん……?)
たかね「……」ズズズズズズズズズズズズゾゾゾゾゾゾゾ
響「!?」
たかね「……ぷはっ」
響(麺とスープはおろか…… ね、ネギの一片すら残さずに! やっぱり貴音だ!)
35 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/14(土) 23:22:51.83 :Bepc+t8w0
たかね「ひびきっ!」
響「は、はい!?」
たかね「わたくし、おなじものをもうひとつしょもうします! いますぐに!」
響「ダメに決まってるぞ」
たかね「なんと! なにゆえですか!?」
響「いや、あのね、おいしいのはわかるけど、あんまり身体によくないからね」
たかね「ごしょうです、もうひとつ、もうひとつだけ!」
響「だいたいその体格でそれひとつ食べたら十分でしょ!」
たかね「いいえ、たりません! まったくもってたりません! ひびき、どうか、どうかぁ!」
響「そもそもそれ、さっきも言ったけど限定だとかで1個しかないんだってば」
たかね「ううう…… そ、それなら、そこのひびきのぶんをください! それでがまんしますから!」
響「そのムチャクチャな理屈とか、もう貴音で間違いないな!?」
36 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/14(土) 23:25:27.98 :Bepc+t8w0
たかね「むぅ…… ひびきは、いけずです……」
響「なに言ってるの、自分のぶんだいぶ分けてあげたでしょ。 ……あ」
たかね「どうしたのです?」
響「たかね、いま、"ひびき"って呼んでくれてたね」
たかね「え…… …… あ…… これは、その……、そうです、らぁめんとやらのおれいです」
響「そっかそっか。ありがと、たかね」
たかね「む、き、きやすくあたまをなでないでください」
響(……貴音のときは、なかなか手が届かなかったもんなー)
37 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/14(土) 23:26:44.65 :Bepc+t8w0
たかね「なにをにこにこしているのです、ひびき! きいているのですか」
響「聞いてるぞー、うりうりー」
たかね「きいていないではありませんか、かるがるしくなでてもらっては」
響「たかねは自分になでられるの、イヤなの?」
たかね「……べつに、いやとは、いいませんが」
響「じゃあ、いいってことだよね!」
たかね「む、そういうことに…… いえ、しかし、そういうことでは…… ああっ、もう……」
44 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/16(月) 19:48:47.61 :GHMLmvH50
響「さて、お腹もふくれたことだし…… たかね、いくつか確認させてね」
たかね「わたくしで、こたえられるはんいであれば」
響「まずさ、名前、フルネームだとなんていうの?」
たかね「……ふるねえむ?」
響「あー……、ええっと…… そうだ、つまり、名字はなに?」
たかね「…… しじょう、たかね、ともうします」
45 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/16(月) 19:49:20.98 :GHMLmvH50
響「やっぱりそうなんだ…… じゃあたかね、年はいくつ?」
たかね「とうねん、とってごさいになります」
響「5歳かぁ…… へー、5歳のころの貴音は、こんな感じだったのかー……」
たかね「ひびき?」
響「あ、ご、ごめん。それから…… ここに来る前どこにいたか、たかねは覚えてる?」
たかね「くににおりました」
46 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/16(月) 19:49:56.69 :GHMLmvH50
響「くに?」
たかね「はい。くにです」
響「くに…… そのくにって、どこにあるんだろ?」
たかね「……それは、とっぷしいくれっとです」
響「うがっ、そんな歳のころからもうそれ使ってたのか!?」
たかね「な、なにがですか?」
響「ああ、いや、ごめん、こっちの話」
47 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/16(月) 19:50:40.51 :GHMLmvH50
響「その…… "くに"ではお父さんやお母さんと一緒だったの?」
たかね「もちろんです。わたくしがきのまたからうまれたとでもおもっているのですか」
響「い、いや、そういうことじゃなくて」
たかね「ほかに、おてつだいのものもたくさんおりました」
響「へえー、そうだったのか。ひょっとして、じいやさんもいた?」
たかね「む…… なぜひびきは、わたくしのことをそんなにしっているのです」
響「ふふん、たかねのことよく知ってるって言ったの、嘘じゃないってわかった?」
たかね「ますますあやしいですね……」
響「もー、もうちょっと信用してくれてもいいでしょー」
48 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/16(月) 19:51:17.65 :GHMLmvH50
響「じゃあさ、どうやってここに来たのかって、覚えてる?」
たかね「それが…… めがさめたら、ここでねていたようなしだいで……」
響「そうかー…… まあ、そりゃそうだよね……」
響「それから、さ…… ねえ、たかね。アイドル、って言葉に、聞き覚えない?」
たかね「あいどる……? ありませんね。それはなんでしょう、たべものですか?」
響「いやいや、食べ物じゃないぞ。 ……そっか、 ……覚えがない、かぁ」
49 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/16(月) 19:52:17.89 :GHMLmvH50
たかね「ところでひびき……、は、っくちゅっ!」
響「……あ! うっかりしてたぞ、寒かったよね、ごめん」
響(たかね、貴音のパジャマの上だけ羽織ってるんだもん…… そりゃ冷えもするさー)
響「とりあえず自分のカーディガンと、あとスリッパと…… これで少しはマシだろうけど……」
たかね「ふわふわして、あたたかですが…… てが、てがでません……!」
響「…… 当然、そうなっちゃうよなぁ…… ちょっと今はそれで我慢してて、ね?」
たかね「む、むむ…… いたしかたありませんね」
響(だぼだぼずるずるのカーディガンと髪のボリュームのせいで、毛玉みたいだぞ……)
50 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/16(月) 19:53:32.65 :GHMLmvH50
響「何よりもまずは、たかねの服を用意しなきゃいけないな」
たかね「ふく、ですか?」
響「そ、いくら小柄っていっても、自分の服じゃたかねが着るにはまだ大きすぎるからね」
響「ってことで、とりあえず間に合わせのもの買ってくるぞ。たかね、その間お留守番してて」
たかね「わたくしをひとりにして、だいじょうぶですか? こっそりにげだすかもしれませんよ」
響「たかねはそんなことしないって自分、信じてるさー。じゃ、ちょっと待っててね」
ガチャッ パタン
たかね「……まったく、ひとのよい。いってらっしゃいませ」
51 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/16(月) 19:55:17.46 :GHMLmvH50
響「あったかい部屋着と、いちおう外出用の服と、靴…… ああ、下着とか靴下とかもいるなぁ」
響「あんまり一人で待たせてちゃさびしいだろうし、早く済ませよっと」
響「……あっ! そういえばあの子たちにたかねのこと、ちゃんと紹介してなかったぞ」
響「たかねにも説明しとけばよかった…… ま、そんな長い時間じゃないし、大丈夫かな」
響「帰ったらお互いちゃんと、顔合わせさせてあげなくちゃ」
52 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/16(月) 19:57:09.29 :GHMLmvH50
たかね「……さて、することがありません」
たかね「そうです、このやしきのなかをたんけんしてみましょう!」
たかね「ふむ…… ここが、おだいどころのようす。あまりひろくありませんね……」
たかね「これでは、おりょうりをするのにくろうしそうですが」
たかね「こちらのおへやには、なにが?」
ガチャ
いぬ美「! ばうっ」
たかね「!?」
バタン
53 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/16(月) 19:58:10.92 :GHMLmvH50
たかね「…… な…… い、いまのけだものは、いったい?」
たかね「い、いえ、おちつきましょう、きっとみまちがえたのです」
たかね「あらためて、いざ!」
ガチャ
いぬ美「はっはっはっ」ダッ
たかね「ひいい!?」
いぬ美「へっへっへっ」ペロペロペロ
たかね「ちょっ、やめ、ひゃあっ、お、おかおをなめないでくださ、ああっ」
いぬ美「はっはっはっ」ペロペロペロペロ
54 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/16(月) 19:59:28.37 :GHMLmvH50
たかね「うう…… わるぎはなかったのでしょうが、ひどいめにあいました」
たかね「あのようなけだものがいるとは…… これは、きをひきしめねばなりませ……」
ねこ吉「……」スタスタスタ
たかね「!」
ねこ吉「!」
たかね「そなたはさきほどのものより、だいぶちいさいですね。こちらへよりなさい」
ねこ吉「……」ススス
たかね「む、なぜさがるのです。まちなさい」
ねこ吉「……!」ダッ
たかね「あっ!?」
たかね「……いってしまいました」シュン
55 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/16(月) 20:00:18.15 :GHMLmvH50
たかね「それにしてもこのやしき、どれだけのけだものがいるのでしょうか」
たかね「つぎはいったい、どのようなものが……」
モモ次郎「……」
たかね「!?」
モモ次郎「……」ビューン
たかね「…… めんような…… へやのなかで、このようなものをみることになるとは……」
ブタ太「ブヒッ」
たかね「なんとっ!?」
56 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/16(月) 20:01:08.74 :GHMLmvH50
たかね「ひびきは、よほどけだもののたぐいがすきとみえます」
たかね「…… まさか、わたくしも、あいがんどうぶつとしてみられているのでは……」
オウ助「……」
たかね「……こんどはとりですか、もうあまりおどろかなくなってまいりました」
オウ助「……」
たかね「つぎはなにがでるやら…… ゆだんしないようにしなくては……」
オウ助「オハヨー」
たかね「なにやつですっ!?」バッ
オウ助「……」
たかね「…… はて、たしかに、おはようというこえが…… そらみみでしょうか……?」キョロキョロ
オウ助「カンペキダゾ!」
たかね「!?」バッ
オウ助「……」
たかね「ひびきがいないのに、ひびきのこえが! ど、どこです、どこにいるのです!?」キョロキョロ
オウ助「……」
57 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/16(月) 20:02:06.26 :GHMLmvH50
たかね「おへやのなかをあるきまわるだけで、これほどつかれるとは…… む?」
シマ男「……」
ハム蔵「ジュイッ」
うさ江「……」
たかね「まだいたのですか!? ……はっ!?」
モモ次郎「……」
いぬ美「はっはっはっ」
ねこ吉「……」
ブタ太「ブヒッ」
オウ助「ウガー」
たかね「な、なんというおおじょたい……」
58 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/16(月) 20:04:04.95 :GHMLmvH50
たかね「いつのまにか、かこまれてしまいました…… ここは、ひくがとくさく!」
ガチャ バタン
たかね「ふう…… こうしてとをしめておけば、さすがにおってはきますまい」
たかね「さて」クルッ
ワニ子「?」
へび香「?」
たかね「」
たかね「しじょっ」 キュウ
響「んしょっと、ただいまたかね、ちょっと荷物運ぶの手伝ってー! たかねー? おーい、たかねー!」
59 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/16(月) 20:08:50.89 :GHMLmvH50
響「……でもみんな、特になにもしてないって言ってるぞ?」
たかね「いいえ! そやつらは、くちうらをあわせているのです!」
響「……そうなの、いぬ美? 誰かウソついてる子とかいる?」
いぬ美「ばうっ」
響「ほら、違うって。たかねのこと歓迎しただけだって」
たかね「なにが『ほら』です!? ひびきにはなにがきこえているのですか!?」
60 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/16(月) 20:09:24.24 :GHMLmvH50
響「ま、そんなことよりさ、たかねの服買ってきたからお着替えしよっか」
たかね「そんなこととはなんですか、ひびき! わたくしがどれほど……」
響「みんなには改めて言い聞かせとくからさ。それよりたかね、動きづらいでしょ?」
たかね「……たしかに、しょうしょう、ひきずるかんじはします」
響「だよね? 見た感じのサイズで選んできたから、ぴったりってわけにはいかないかもしれないけど」
たかね「かまいません、きられればじゅうぶんです」
61 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/16(月) 20:10:07.62 :GHMLmvH50
響「はい、ちゃんとバンザイして」
たかね「は、はい」
響「じゃ、かぶせるよ、よいしょっ」
たかね「わぷっ!?」
響「あ、ちょっとたかね、あんまりじたばたしないで」
たかね「し、しかし、まえが、みえ…… あの、あたまはここでよいのですか?」
響「えっ、なにが?」
たかね「ど、どうも、あなのおおきさが、いたたた!」
響「……ああそこ袖だ! ごめん、すぐ抜くからちょっとじっとしてて!」
62 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/16(月) 20:11:27.11 :GHMLmvH50
響「……うん、とりあえずで選んだ割にはなかなか!」
たかね「ほう…… このようなふくが、こちらではふつうなのですね……」
響「自分で言うのもなんだけど、けっこうオシャレだと思うぞ」
たかね「それに、うごきやすいのに、あたたかです。すばらしいですね」
響「見立てがカンペキだからなー。アイドルに服選んでもらえるなんて、なかなかないんだからね?」
たかね「…… しかし、こう…… その、あしがだいぶでているきがしますが、はしたなくはないでしょうか?」
響「うっ……」ギク
たかね「ひびき?」
響(…… 言えない…… 貴音に着せてみたかったコーディネート試してみたなんて言えないぞ……!)
63 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/16(月) 20:12:05.16 :GHMLmvH50
響「ありあわせだけど、どうだったかな、夕ごはん」
たかね「ええ、びみでした。ひびきは、おりょうりもできるのですね」
響「そりゃね、一人暮らしもけっこう長いし、家族みんなのご飯も作ってるし!」
たかね「ずっと、ひとりでくらしているのですか?」
響「いや、違うよ。前は沖縄ってところにいたんだけど、引っ越してきたの」
たかね「おきなわ……」
響「そうそう。ちょっと遠いけど、あったかくて、海がすごくきれいなんだ」
たかね「……うみ?」
響(そこから!?)
64 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/16(月) 20:12:47.16 :GHMLmvH50
響「さて、お風呂できたよ。おいで、たかね」
たかね「おふろ…… ああ、ゆあみのことですね」
響「たかね、ちゃんと目つぶってないと、しみるよ」
たかね「しじょうのいえのものは、よのなかのあくにめをつぶったりはせぬのです」
響「いや、悪とかじゃなくて、シャンプーするからなんだけど」
たかね「しゃんぷう……? きかぬなですが、なにするものぞ」
響「…… まあ、たかねが大丈夫だって言うならいいんだけどさ……」
65 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/16(月) 20:13:53.28 :GHMLmvH50
たかね「い、いたい、ひびき、いたいです、めが、めがああ!」
響「だから言ったのに…… って、わわっ、暴れるなたかね!」
たかね「だっていたいのです、ひびきぃぃ! いやああああ!」
響「だっ、ちょっと、落ち着いてってば、あっこら目こすっちゃダメだって!」
たかね「うわあああん! うわああああああああん!!」
響「あーあーもう、ただでさえ赤い目が真っ赤になっちゃって」
たかね「うえっ、ぐしゅ、ひ、ひびきは、いけず、でしゅ」
響「だから目を閉じとくようにって言ったのさー、自分……」
66 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/16(月) 20:15:00.85 :GHMLmvH50
たかね「ひっく、ぐす、うええ、え、ひぐ、っ、げほ、ぐしゅ」
響「ほーら、たかね、もう大丈夫だから…… 目、まだ痛い?」
たかね「い、いたく、など、ひっく、あり、ましぇん……」
響「うん、ちゃんと強く言わなかった自分も悪かったぞ…… そうだ、ちょっと待ってて」
たかね「ぐすっ、すん、ひっ、く、……」
67 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/16(月) 20:15:59.21 :GHMLmvH50
響「お待たせ。はい、これ」
たかね「……ひびき、なんですか、このどろみずは」
響「ど、泥水って! ま、いいから飲んでみてよ。あったまるし、おいしいぞ」
たかね「わたくしをいじめておいて、これできげんをとろうというのですか?」
響「そんなつもりは全然なかったんだけど、痛かったよね。それは、ごめん」
たかね「……」
響「機嫌をとるっていうか、お詫びのしるし。冷めないうちに、ね?」
たかね「…… たしかに、よいかおりがします。それほどまでにいうのであれば……」ズズ
68 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/16(月) 20:16:51.03 :GHMLmvH50
たかね「!」
響「いかがでしょう、姫さま…… なんちゃって」
たかね「あまいです…… たいへんあまくて、ぽかぽかします!」
響「ん、喜んでくれてよかった。おいしいでしょ?」
たかね「とてもびみです! ひびき、これはなんというのみものですか?」
響「それはね、ココアっていうんだぞ」
たかね「ここあ…… ここあ、ですね、ではひびき、」
響「ときどき飲ませてあげるけど、これから毎日作ったりはしないからなー」
たかね「なんと!? なぜわたくしのいうことがわかったのです!?」
響(……だって、初めて貴音にココア出したときの反応と、ばっちり一緒だから)
響「んー? そりゃ、自分、カンペキだからね」
たかね「うぬぬ…… めんような……!」
69 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/16(月) 20:17:22.54 :GHMLmvH50
たかね「……」ポケー
響(ココアでおなかふくれて眠くなったんだな、いぬ美のちっちゃいころみたいだ)
響「じゃあたかね、そろそろ寝よっか」
たかね「……ふぁ、そう、でしゅね」
たかね「……これは、いったい」
響「ベッドだけど…… ああ、ひょっとしてこれも知らない?」
たかね「おふとん…… ではないのですか?」
響「似たようなものだけど、まあちょっと違うかな」
たかね「……わたくし、おふとんになれておりますので」
響「うーん、じゃあ布団出そうか。でもたかね、ひとりで寝られる?」
たかね「なっ! とうぜんです、もうごさいなのです! ばかにしないでください!」
響「あはは、ごめんごめん」
70 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/16(月) 20:18:33.51 :GHMLmvH50
響「今日のところはとりあえず、この布団使ってよ」
たかね「はい」
響(いつもは貴音にベッド譲って、自分が布団使ってたけど…… わかんないもんだなぁ)
響「自分はもうしばらく起きてるから、何かあったらすぐ呼んでね」
たかね「わかりました」
響「よーし。じゃ、おやすみ」
たかね「…… あの、ひびき」
響「ん?」
たかね「その……」
響「なあに? あ、寒い? それとも、なにか欲しいものある?」
たかね「いえ…… ……なんでもありません」
響「そう? それじゃあたかね、おやすみ」
71 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/16(月) 20:19:16.12 :GHMLmvH50
響(…… ん、この感じ…… ああ、ねこ吉だな)
響(あの子、自分が呼んでも絶対来ないのに、夜中勝手にベッドに入ってくるからなぁ)
響(まったく、寒いなら最初から素直に来ればいいのに……)
響(……それにしてもねこ吉、ずいぶん大きくなったなぁ)ナデナデ
響(自分と暮らし始めて結構経つもんね…… 毛もだいぶ伸びてる、そのうち刈ってあげよう)
72 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/16(月) 20:19:58.05 :GHMLmvH50
響(…… 最近カットしてないとはいえ、ねこ吉の毛、ここまで長かったっけ……)サワサワ
響(というか、ちょっと大きすぎないか……?)
響(サイズ的に、いぬ美……? いや、あの子はお行儀いいから、ベッドに入ってきたりは)
たかね「…… ん、くぅ…… すぅ……」
響「…… なるほど、ね」
73 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/16(月) 20:20:49.53 :GHMLmvH50
響(いつの間に入ってきてたんだろ? 自分に気づかせないなんて、気配消すの上手だなぁ)
響(……「ひとりで寝られる」なんて言ってても、やっぱり寂しかったんだろうなー)
響(ああ、寝る前に何か言いかけてたの、そういうことか。素直じゃないんだから)ツンツン
たかね「…… むにゃ…… らぁめん……」
響「ぷっ…… くくっ、どんな夢見てるのさ」
響(まったくもう。 ……ちっちゃくなった以外、ほとんど変わってないじゃないか)
響「これからどうなるか、わかんないけど…… いまは、おやすみ、たかね」
85 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/19(木) 21:54:49.09 :9lM7+ofz0
響「もう一回確認するぞ、たかね」
たかね「はい、なんなりと」
響「今から自分たちが行くところは?」
たかね「なむこぷろの、じむしょです」
響「そのとき気をつけることは?」
たかね「だれにもみつからぬように、ちゅういします」
響「よーし、よく覚えたね。ちなみに特に危ないのは?」
たかね「ええと…… ふたご! そうでした、あみとまみのふたごです」
響「そうそう。もし見つかっちゃったら…… どうなるか、わかんないぞ」
たかね「は、はい、こころします……」
86 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/19(木) 21:55:26.29 :9lM7+ofz0
響「じゃあ、次に、今日の予定は?」
たかね「まず、ぷろぢゅ…… ぷろで、ぷろじゅ……」
響「プロデューサーね」
たかね「はい、ぷろで…… ぷろぢ…… ぷろ…… そのひとにあいます」
響「よしよし、ちゃんとわかってるな。ほかに、たかねが会っていいのは?」
たかね「ことりじょうと、しゃちょうだけです」
響「うん、カンペキだぞ、たかね」
たかね「このくらいはとうぜんです!」
響(まだみんなには伏せといたほうがいいだろうって、プロデューサーも言ってたからなー)
87 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/19(木) 21:56:00.95 :9lM7+ofz0
響「あとは…… 念のためにもう一度聞くけど、留守番しとく気はな」
たかね「ございません!!」クワッ
響「あ、そ、そう」
たかね「ひびきはわたくしを、あのけだものたちのただなかにおいてゆくつもりですか!?」
響「ひどい言いぐさだなあ…… 自分の家族は賢いし、たかねをいじめたりしないってば」
たかね「あれはいじめなどではありません! いのちのきけんをおぼえたのですよ!?」
響「うん、それだけぎゃーぎゃー騒げる元気があれば大丈夫さー」
たかね「とにかく! わたくしはひびきについてゆきます!」
響「わかったわかった、もう言わないよ」
88 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/19(木) 21:56:51.14 :9lM7+ofz0
響「よし、じゃあ行こうか、たかね」
たかね「…… ひびき、なんです、このては」
響「はぐれちゃ困るからね。しっかり手にぎって、自分についてくるんだぞ?」
たかね「む…… なんどもいっております、こどもあつかいはやめてください」
響「なに言ってるのさ、どこからどう見てもお子様のくせに」
たかね「ちがいます、わたくしはれっきとしたしゅくじょです!」
響「あはは、ちっちゃいレディもいたもんだな、よしよし」
たかね「ま、またあたまを、なでて…… うぬぬ、ぶれいなー!」
89 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/19(木) 21:57:33.45 :9lM7+ofz0
たかね「…… おお、おおお! こんなにたくさんのひとが……!」
響「今日は平日じゃないから、いつもよりは少ないけどね」
たかね「ひびき、ひびき。このかたがたは、なぜここへきているのです?」
響「え? そりゃみんな電車に乗りに来てるんだよ、ここ駅だから」
たかね「えき……? でんしゃ……?」
響(…… これもたかねには未知の領域かぁ。ほんと、世間知らずのお姫様、だなー)
響「Suica1枚しかないから、先にたかねの分の切符を…… あ、そうか、5歳の子はいらないのか」
たかね「はて…… わたくしがごさいだと、なにかあるのですか?」
響「ん、そうだね、タダで電車に乗れるの」
たかね「すると、わたくしはとくべつあつかいなのですね」エッヘン
響「特別…… まあ確かにそうなんだけど、別に勝ち誇った顔するところじゃないぞ?」
たかね「なんと!」
90 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/19(木) 21:58:09.87 :9lM7+ofz0
たかね「これが…… えき、ですか」
響「そう、出かけるときにはちょくちょく使うことになるからね」
たかね「ふむ、ずいぶんとひろいのに、かべがなく…… ……む?」
響「おっ、ちょうどいいタイミングで来たさー。あれに乗るよ」
たかね「…… ひびき、なにかむこうから、ちかづいてきております」
響「うん、あれが電車だぞ」
たかね「ど、どんどん、おおきくなってきました……! めんような……」
響「大丈夫だよ、乗り物だから。それともなあに、こわいの? 淑女なのに」
たかね「なっ! ……いいえ、わたくしは、こ、こわくなどありません!」
響(お、これ使えるな、ふふ)
91 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/19(木) 21:58:49.05 :9lM7+ofz0
ガタンゴトン
たかね「おお……! こんなにながくておおきなものが、こんなにはやく……」
響「ねっ、乗っちゃえば楽しいでしょ」
たかね「そとのけしきが、どんどん、とぶようにうしろへ……!」
響「たくさん人が乗れるし、時間通りに来るし、速くて便利。電車のこと、もう怖くないよね?」
たかね「はい、もうだいじょうぶです。これは、すばらしいのりものです!」
響「……ぷっ、ほんとはやっぱり怖かったんだな、たかね」
たかね「え? …… あ、あっ、ちがいます、はじめから、こわくなど、もう、わらってはなりません!」
響「よーし、着いたぞ! ここが765プロの事務所さー!」
たかね「……これはまた、ずいぶんと、てぜまなところですね」
響「ば、バカにしたもんじゃないぞ!? 確かにあんまり大きくないけど!」
たかね「ひびきは、ここではたらくのですか?」
響「そうそう。ここでっていうか、ここに集合して、お仕事に出かける感じかな」
92 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/19(木) 21:59:35.72 :9lM7+ofz0
小鳥(……夜も遅くなってプロデューサーさんからメールが来たから、ちょっとドキドキしたのに)
小鳥(ふたを開けてみたら仕事のお話、しかも事務所に定時前に来てほしい、だなんて)
小鳥(えーえー、期待なんかしてなかったですよーだ、今年のクリスマスもおひとりさまですよーだ)
小鳥(今日のことは響ちゃんと貴音ちゃんに関係があるらしいけど、なんでわたしまで……)
小鳥(……どうせ予定なんかないから、早出残業なんでもアリですけどね! いいですよーだ!)
ガチャ
響(よし、まだほかのみんなは来てないみたいだな)
響「……いいかたかね、音を立てないように、静かにそっと入るんだぞ」ヒソヒソ
たかね「こころえました」コソコソ
小鳥「…… あら、響ちゃん? おはよう」
響「わああっ!? って、ピヨ子か、よかった。おはよう!」
93 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/19(木) 22:00:29.04 :9lM7+ofz0
小鳥「プロデューサーさんに呼ばれて待ってたのよ。本人がまだ来てないけど」
響「迷惑かけてごめんね、ピヨ子…… プロデューサーからはどこまで聞いてるの?」
小鳥「実はまだ、貴音ちゃんと響ちゃんになにかあったってことだけ。ねえ、説明してもらえる?」
響「説明、って言っても…… 見てもらうしかないよね、たかね、おいで」
小鳥「あら、貴音ちゃんももう来てるの? それにしては姿が見え……」
たかね「……おはつに、おめにかかります」ヒョコッ
小鳥「ん? …… んんん?」
響「……こういうこと、なんだけど」
たかね「おなまえはきいております、ことりじょうでいらっしゃいますね?」
小鳥「んん? どういうことなんですって?」
響「ピヨ子の見ての通りだぞ」
94 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/19(木) 22:01:13.84 :9lM7+ofz0
たかね「わたくし、しじょうたかね、ともうします。ひびきのせわになっております」
小鳥「えっ? なに、夢?」
響「自分も最初はそう思ったんだけどね……」
小鳥「……」
響「……ピヨ子? おーい、ピヨ子聞いてる?」
小鳥「これはッ!」クワッ
たかね「!?」
小鳥「765プロのアイドルの中でもいちばん背が高くてスタイルも雰囲気も大人っぽい貴音ちゃんが□リ化することで普段との大きなギャップを生み出しつつも高貴な印象は変わらず漂わせそして王道と名高い響ちゃんとの組み合わせ自体はそのままに――」
たかね「ひいぃっ!? ひ、ひびきぃ!」
響「…… あー…… たかね、とりあえずこっちにおいで」
95 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/19(木) 22:01:56.16 :9lM7+ofz0
小鳥「――ただでさえ萌え要素の塊である凸凹コンビと呼んでも過言ではない年の差や身長差が逆転した状態で響ちゃんに甲斐甲斐しくお世話をされる□リ貴音ちゃんという光景の癒され具合はまさに萌えと萌えの足し算ならぬ掛け算いやもはやこれは累乗いいえ階乗とすら呼ばれるべき」
響「なんとなくやな予感はしてたけど、やっぱりこんな風になっちゃうのか」
たかね「あ、あの…… ふつつかものですが、いご、おみしりおきを……」
小鳥「ヒビタカッ」バターン
たかね「ひゃあっ!?」
響「ちょっ……!? ピヨ子!? ピヨ子ぉぉー!!」
響「よいしょっと…… ふう。やっぱりピヨ子には刺激が強すぎたかぁ……」
小鳥「」
響「プロデューサーもたぶんこうなるってわかってたから、事前に情報あげなかったんだろうなー……」
たかね「いまのおはなしで、どこにしげきがあったか、わたくしにはわかりかねるのですが……」
響「うーん、自分もよくわかんないぞ。たぶんそうだろうな、ってだけ」
96 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/19(木) 22:02:28.18 :9lM7+ofz0
ガチャ
P「おはようございます」
響「プロデューサー! おはよ!」
P「おっ響、早かったな。おはよう」
たかね「……」
P「そして、君が…… たかねちゃん、だね」
響「ほらたかね、これがさっきも言ってたプロデューサーだぞ。挨拶、あいさつ」
たかね「……しじょう、たかね、ともうします。ゆえあって、ひびきのせわになっております」
P「ああ、事情は響からも聞いたよ。はじめまして。俺は響のプロデュースを担当してるプロデューサーだ」
97 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/19(木) 22:03:13.68 :9lM7+ofz0
たかね「ぷろじ…… ぷろで、ぷろでゅーす……」
P「えーと、つまり、アイドルとして活躍する舞台を準備してるって言えばいいかな」
たかね「ひびきもいっていましたが、その"あいどる"というのは、なんなのですか」
響(……ね? こんな感じで、本当にアイドルやってた時の記憶とかないみたいなんだ……)ボソボソ
P(本当だな…… いずれ思い出すか、年齢的にももとに戻ってくれればいいんだが……)ボソボソ
P「アイドルってのは…… 人に夢を与えて、人を笑顔にする職業のこと、かな」
たかね「ひびきもその"あいどる"である、と?」
P「ああ、そうだよ。 ……それに、貴音もそうだったんだ」
たかね「わたくしが? "あいどる"……?」
響「ちょっとプロデューサー、そんなこと急に……」
P「嘘じゃないし、恥じるようなことでもないだろ? 知っといて悪いことはないと思うんだ」
98 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/19(木) 22:04:07.33 :9lM7+ofz0
P「で、たかねちゃん、君の今後についてちょっと相談しなきゃいけないな」
たかね「ひびきのせわになっていれば、よいのではないのですか?」
響「基本的にはもちろんそれでいいんだけど、自分、学校にも行かなきゃいけないしなー……」
たかね「がっこう……?」
P「……マジか。このくらいの歳の貴音の一般常識、そういうレベルだったのか」
響「貴音ならそれもありえるかな、って思えちゃうのがまたこわいぞ……」
P「そういや響、音無さん見てないか? 一緒に相談しようと思って声かけたんだけど」
響「ピヨ子ならそこのソファでノビてるよ」
P「ハァ!? なんで!? 何があった!?」
響「たかねを一目見たら、なんかいろいろ止まらなくなったみたいで……」
P「…… ああ、なるほどな……」
99 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/19(木) 22:04:43.94 :9lM7+ofz0
響「幼稚園とか保育園とかに通うのが、この年の子なら普通だと思うんだけど」
P「でも書類なんかがまず用意できないし、そもそも施設のほうに空きがあるかも怪しいな」
響「といって、うちで留守番させとくのも、もしものことがあったら怖いしさ」
P「うーん…… あ、でも、響の部屋ならお前の家族たちがいっしょに」
たかね「いやです! わたくしはまだしにたくありません!!」
P「……この反応、どういうこと?」
響「あんまり深く聞かないでほしいぞ」
響「自分が学校とか現場とかにたかねを一緒に連れて行く、ってのは無理があるよね?」
P「そりゃちょっとな。子連れアイドルなんて斬新ではあるけど、どんな噂が立つかわからないし」
響「だよね…… そういえばプロデューサー、貴音の仕事のスケジュールは大丈夫そう?」
P「ああ、それはだいたい調整がついた。むこう1か月くらいはどうにかなりそうだ」
響「1か月、かぁ…… その間に、解決の糸口でも見つけられたらいいんだけど……」
100 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/19(木) 22:05:46.73 :9lM7+ofz0
小鳥「うーん…… ひびたか…… たかひび…… ピヨッ!?」ガバッ
響「あ、ピヨ子が復活した」
P「おはようございます音無さん。なんていうか…… 俺のせいで、すみません」
小鳥「プロデューサーさん! おはようございます、それより貴音ちゃんが!」
P「ええ、幼児化してるんですよ…… もう直接会ったそうですね」
小鳥「なんでそんなに冷静でいられるんですか!? □リ貴音ちゃんですよ□リ貴音ちゃん!!」
P「…… まあその、俺は事前に響から聞いて、それに画像も見てましたので……」
小鳥「画像!? 響ちゃん、なんでわたしには見せてくれなかったの!? いいえ、今からでも」
響「うん、きょうのピヨ子の反応見てる限り、送らなかった自分の判断は正しかったよね」
102 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/19(木) 22:06:42.34 :9lM7+ofz0
小鳥「……で、あれ? そのたかねちゃんはどこにいるんですか?」
響「!?」
P「!?」
響「…… い、いない! 自分たちが話し込んでるスキに出てったな!?」
P「まずい! もうぼちぼちみんな事務所に来てる時間だ、先に見つけないと!」
小鳥「……どうして隠さなきゃいけないんです? 事務所の仲間なんですし、別に問題は――」
響「仲間だからこそだよピヨ子ぉ!! 亜美や真美がたかね見つけでもした日にはどうなるか!」
P「みんな仕事どころじゃない騒ぎになることは確実です! 音無さんも手伝ってください!」
たかね「…… ちょっとだけ、おへやをみてまわるだけのつもりだったのが……」
たかね「かってのわからないばしょで、うかつにうごいてはなりませんね……」
たかね「ひびきと、ぷろ…… あのかたと、それからことりじょうのいるおへやに、はやくもどらねば……」
103 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/19(木) 22:12:19.88 :9lM7+ofz0
響「やっぱりもうビルの外に出てるんじゃないか!?」
P「可能性はあるな…… 響、音無さんも、手分けして探しましょう!」
小鳥「は、はいっ!」
たかね「はて、どうしたものでしょうか…… む?」
たかね「あちらのほうから、あしおとがきこえますね。きっと、ひびきがきたのでしょう」
春香「ふふふふーん♪ ふふふ ふふふっふーん♪」
たかね「ひびき、さがしましたよ、はぐれてはこま」ヒョコ
春香「ふふふ ふんふん♪ ふーんふふふー」
たかね「なっ!?」
春香「んッ!?」
104 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/19(木) 22:13:44.95 :9lM7+ofz0
春香「…… え、貴音さ…… えっ、あれ、なんか…… ちっちゃい?」
たかね「……ぬかりました!」ダッ
春香「あっ、ちょ、ちょっと貴音…… さん、待っ、あっわっ、きゃあああああっ!?」
ドンガラガッシャーン
千早「!? 着いて早々に…… いったいなんの音?」
千早「こっちの方だった気がするのだけれど…… って、ちょっと!」
春香「っ、あいったたたぁ……」
千早「どうしたの春香、大丈夫!? 怪我はしていない!?」
春香「あっ、ち、千早ちゃん! あのね、幼女が、古風で! 銀髪の、ていうか貴音さんが、ちっちゃくなって!」
千早「どうしたの春香、大丈夫!? 頭を打っていない!?」
春香「ほ、ほんとなんだってば!」
105 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/19(木) 22:15:19.00 :9lM7+ofz0
雪歩「あずささーん、お茶、入りましたよぉ」
あずさ「は~い。ありがとう、雪歩ちゃん」
雪歩「きょうは寒いですから、ほうじ茶にしてみました」
あずさ「素敵、温まりそう。そうだ、頂きもののお饅頭、持ってくるわね」
雪歩「あっ、いいですねぇ。じゃあわたし、これ注いでおきますから」
あずさ「お待たせ~。はい、これ、どうぞ」
雪歩「わぁ、ありがとうございます」
たかね「きょうしゅくです」
雪歩「!?」
106 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/19(木) 22:15:49.65 :9lM7+ofz0
あずさ「じゃあ、わたしも…… うん、美味しい!」
雪歩(えっ…… えっ!? いつの間に…… この子、誰!?)
たかね「ふむ、まこほ、よひあひでふ」
雪歩(あ、あずささん、全く動じてないけど…… 知り合い、なのかなぁ?)
あずさ「またこのほうじ茶が、お饅頭とすごく合うわ~…… うふふ、しあわせ」
雪歩(…… 銀髪で、きれいな目の色…… 四条さんがちっちゃいころって、こんな感じだったのかな……)
たかね「あのう、もし」
雪歩「……は、はいぃ!?」
たかね「わたくしも、おちゃをしょもうします」
雪歩「あ…… は、はいぃ、すみません、すぐに!」パタパタ
あずさ「お饅頭もまだいっぱいあるわよ~、もうひとつ食べる?」
たかね「なんと! ぜひに!」
107 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/19(木) 22:16:24.48 :9lM7+ofz0
たかね「たんのうしました…… では、わたくしはこれで」
雪歩「あ、ああ、それじゃあ……」
あずさ「あら、そうなの? じゃあ、またね~」フリフリ
雪歩(…… 行っちゃった……)
あずさ「ところで雪歩ちゃん、今の子、雪歩ちゃんの知り合いかしら?」
雪歩「え、えええっ!? わ、わたし、あずささんの知り合いだとばっかり!」
あずさ「あら~…… どうしましょう、お饅頭、みんなの分に足りなくなっちゃったかも……」
雪歩「あずささん、今気にするべきは絶対そこじゃありませんよね!?」
108 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/19(木) 22:19:38.88 :9lM7+ofz0
亜美「ねえー、まーみー、ヒーマーだーよー」
真美「真美だってヒマだよ亜美ぃー……なーんか面白いことないのー」
亜美「ないから真美に聞いてるんじゃーん……」
真美「んー、そーだよねー…… モンハンでもやるー?」
亜美「そだねいー…… とりあえず、ひと狩りいっとこっかぁ」
たかね(……! あれがひびきのいっていた、あみとまみにそういありません!)
ガタッ
たかね(はっ!? ふ、ふかく!)
真美「ん?」
亜美「お?」
たかね「……」ダラダラ
真美「んんん!?」
亜美「……ねえ、亜美にはあの子お姫ちんに見えるんだけど、真美的にはDo-dai?」
真美「ちょっと縮んでるよーな気もするけど、キホン的にはお姫ちんだね、まちがいない」
たかね(い…… いけません、これは)
109 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/19(木) 22:20:25.87 :9lM7+ofz0
亜美「どーしよっか?」
真美「そんなの聞くまでもないっしょ?」
亜美「だよねー……? んっふっふー」
真美「いっくぞぉ亜美ぃ! ミニお姫ちんをつかまえろー!」ダッ
亜美「がってんだ真美ぃ! おっひめちーん!!」バッ
たかね「ひいっ!?」
たかね(なんというちゅうちょのなさ! つかまるとなにをされるかわかったものでは!!)ダッ
亜美「あっお姫ちん逃げたっ!! こらー、まてぇーい!」
真美「超絶レアモンスだよ亜美! のがすなー!」
たかね("ひとかり"とはこういうことですか!? なんとおそろしい!!)
亜美「エモノはなかなかすばしっこいよ真美っ!」
真美「だてに面妖やってないね!? 亜美右、真美左!」
亜美「おっけぇーい!」
たかね(むれでれんけいのとれたかりをするなど、きゃつら、ほんとうにひとでしょうか!?)
110 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/19(木) 22:21:01.31 :9lM7+ofz0
< マーテェー!
ドタバタ
< ヒィィッ!
ダダダダ
< ソッチイッタヨー!
バタバタ
律子「…… またあの子達ね。がっつりお灸すえてやんなきゃ、わかんない、ってことね?」
律子「いいわ。今日という今日は、お望みどおりにしてやろうじゃないの」
111 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/19(木) 22:21:35.00 :9lM7+ofz0
たかね「はぁ、はぁ……、はぁ……」
真美「よーし、ミニお姫ちんだいぶスピード落ちてきてる!」
亜美「あと一息ってトコだねっ真美、んっふっふー」
真美「つかまえたらどうしちゃおっか!? んっふっふー!」
たかね(ああ…… まえが、もう、みえなく……)
バターン!!
律子「くぉぉぉらぁああ! 亜美、真美、さっきからドタバタ何やってるの!?」
112 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/19(木) 22:22:07.25 :9lM7+ofz0
真美「げぇっ! 鬼軍曹!」
亜美「こんないいトコでそりゃないっしょー!?」
たかね(ま…… また、あらてが!?)
真美「それよりまずいぞ亜美隊員、センリャク的撤退を――」
律子「逃がすわけないでしょーが!」ガシィ
真美「ぎゃーっ!?」
たかね(こ、これは、ねがってもないこうき!)スタタタ
亜美「ああ真美隊員! くっ、キミの犠牲は決して無駄には」
律子「わたしは おまえも つかまえた」ガシッ
亜美「ひええーっ!?」
113 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/19(木) 22:22:54.23 :9lM7+ofz0
律子(……ん? あれ…… 今、三人いたような気が……?)
亜美「ねえちょっと律っちゃんってば大ニュースなんだよー!」
真美「そうそう、そのへんにちっこいお姫ちんがいるの!」
律子「……はぁ? 何バカなこと言ってるの、そんなので誤魔化されないわよ」
亜美「あーん、ホントなのにー!」
真美「お願い律っちゃーん、ちょーっと時間くれたらすぐ捕まえてくるからー!」
律子「その前にちょっとあんたたちの時間もらうわよ」
真美「へっ……?」
亜美「り、律っちゃ…… いや律子さま、これからなにが始まるのかなぁ、なんて……」
律子「そうね、胸に手を当ててよーく考えてみるといいわ」
\\ ぎぃやーーーーっ!? //
114 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/19(木) 22:25:16.59 :9lM7+ofz0
たかね「なんとか、いわれていたとおり、あみとまみにはつかまらずにすみましたが……」
たかね「…… にげているうち、どこがどこやら、ますますわからなく……」グス
やよい「げんきにはじめればオールおっけー! ……って、あれ?」
たかね「っ!?」
やよい「こんにちは! ……ねえあなた、ひょっとして、迷子になっちゃったのかな?」
たかね「あ、あの、その、あやしいものでは……」
やよい「えらいなあ、むずかしいことば、知ってるんだね。お母さんとはぐれちゃったの?」
たかね「おかあさん…… とはちがうのですが、はぐれた、というか、その」
やよい「ここ、誰でも外から入れちゃうもんね…… よーし、わたしが一緒に家族の人さがしてあげる!」
たかね「いえ、そ、そんなことは、べつに、わたくしひとりでも」
やよい「遠慮しなくて大丈夫だよー。ひとりよりふたりの方が探しやすいし、ほら、おいで」
たかね(な、なんと、こがらなのにやたらとちからづよい……!?)ズルズル
115 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/19(木) 22:26:05.84 :9lM7+ofz0
やよい(何かお話してあげたら、気もまぎれるかなぁ…… そうだ!)
やよい「ね、あなたのお名前はなんていうのかな?」
たかね「わたくし、たかねともうします」
やよい「ええっ!?」
たかね「ど、どうかしましたか」
やよい(言われてみると…… はわっ、この子、貴音さんにそっくり!!)
たかね「あのう……」
やよい「ううん、ごめんね、ちょっとわたしの知ってるお姉さんと同じ名前で驚いちゃったの」
たかね「そうでしたか……」
やよい(髪の色とか、それにしゃべり方とかも…… 貴音さんがちっちゃくなっちゃったみたい!)
116 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/19(木) 22:26:44.44 :9lM7+ofz0
やよい(お母さんかお父さんがいるの事務所の外だろうから、まずはビルの外に出なくちゃ)
たかね(…… よくわかりませんが、どうも、さいしょのおへやからはなれているような……!)
やよい「あれ…… どうしたの?」
たかね「あ、あの、そとへでるほうにすすんではおりませんか?」
やよい「うん、そうだよ、お母さん…… お父さんかな? この中にはたぶん、いないからね」
たかね「いえ、それではわたくし、こまるのです、だってひびきが」
やよい「ひびき? ……響さん? えっ、あなた、響さんのこと」
伊織「あら、やよい?」
やよい「あっ、おはよう伊織ちゃん!」
伊織「おはよう。ねえ、こんなタイミングでなんでわざわざ外…… に……」
たかね「……」
伊織「……え?」
やよい「あのね伊織ちゃん、これは」
117 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/19(木) 22:27:14.65 :9lM7+ofz0
伊織(そろそろ朝のミーティングも近いのに、わざわざ事務所から出てくるやよい)
伊織(しかも一人じゃなくて、銀髪紅眼なんて他じゃまず見ないルックスの幼女のおまけつき)
伊織(……はっはーん、読めたわ。これいわゆるドッキリね、間違いない)
やよい「この子、家族とはぐれて、事務所の中にうっかり入っちゃったみたいなの」
伊織(やよいと、それからこの貴音そっくりの子役。アイツの考えそうなことよね)
やよい「だからいったん外に出て、保護者のひと、探してあげようと思って」
伊織(ここはまあ、テレビ的にはノってあげないといけないんでしょうね…… まったく、世話の焼ける)
伊織「ふーん、そうだったの…… それにしてもどっかで見たような子ね、なんだか貴音みたい」
たかね(ま、またわたくしのながしられている……! ここはなんなのですか、ひがんですか!?)
118 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/19(木) 22:27:48.14 :9lM7+ofz0
やよい「す、すごい、伊織ちゃんなんでわかったの? この子のお名前も、たかねちゃんっていうんだって!」
伊織「へえ、ホント? それは意外ねえー」
伊織(裏表のないやよいにしてはなかなかの演技だわ。きっと結構前から動いてたのね、この企画)
やよい「うん、貴音さんにそっくりだよね。ねえ、伊織ちゃんもたかねちゃんの家族探すの手伝ってくれる?」
伊織(……これも一緒に行かないとドッキリとして成り立たない、と)
伊織「仕方ないわね、つきあってあげてもいいわよ。感謝しなさいよ、えーっと……、貴音」
たかね「は、はあ、その、ありがとうございます……」
伊織(しっかしよくこんな子見つけてきたわね。ウィッグやカラコンはともかく、立ち居振る舞いが妙に似てるわ)
119 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/19(木) 22:28:22.23 :9lM7+ofz0
やよい「えーと、外に来たのはいいけど…… そうだ、たかねちゃんはどっちの方から来たの?」
たかね「わたくしは…… その、あちらのほうから……」
伊織「……あのねえ、そういうお約束はいいから。なんでそこで真上を指さすわけ?」
やよい「あはは、そっちはお空だよー」
たかね「…… そ、そうでした、きょうは、こちらのほうから……」
< キキイッ
真「……よーし、いい感じに温まってきたー! あっ、伊織、やよい、おはよっ!」
120 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/19(木) 22:28:58.06 :9lM7+ofz0
やよい「真さん! おはようございまーすっ!」ガルーン
伊織「真、あんた…… この寒空に自転車通勤なの……?」
真「だってせっかくのこの晴れ具合だよ? 冷えた朝の空気がまた気持ちいいんだ!」
伊織「理解に苦しむわ」
真「いいじゃないか、トレーニングにもなるしさ。ところでふたりともなんで中…… に……」
たかね「……」モジモジ
真「……」
やよい「あっ、じつは、事務所でたまたま迷子になっちゃってた子がいたんです」
伊織(ああ真、教えといてあげるけど、これ間違いなくドッキリだから……)ボソボソ
121 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/19(木) 22:29:36.04 :9lM7+ofz0
たかね「お、おはようございま……」
真「なんなのさこの子ー! うっわあああ、かーわいいぃー!!」
やよい「へっ?」
伊織「ちょ、ちょっと、まこ」
たかね「あ、あの、……ひゃあっ!?」
真「すごいすごい! 髪の毛ふわっふわで銀色で、お人形みたいでかわいいなあ、連れて帰りたーい!」
たかね「ひ、ひい、あの、たかいです、おろし、ふりまわさ、ないで、ちょっ、めが、ああ」
やよい「真さん、真さん!? 落ち着いて、あのっ、下ろしてあげてくださーい!」
122 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/19(木) 22:30:08.02 :9lM7+ofz0
伊織(……やよいの反応からしてもこの真は素ね。やれやれ、さぞドッキリ映えするでしょうよ)
真「ねえこの子どこの子なの? やよいの知り合い? うちの事務所も子役アイドル始めるとか?」
やよい「どっちも違うと思います、その子、さっきも言いましたけど、たぶん迷子で」
真「そうなのかぁ、残念…… この子貴音そっくりだし、貴音の妹ってことにしてデビューとかどうかなぁ!」
たかね「ちが…… たか、ねは…… わたくしで…… ああ…… せかいが……」
伊織「真、そろそろマジで止めてあげなさい、お姫さまがグロッキーよ」
真「えっ? あ、ごめんごめん」
123 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/19(木) 22:30:56.38 :9lM7+ofz0
真「安心してよ、いざとなったらボクが責任もって抱っこでもおんぶでもして連れてって……」
たかね「……」プルプル
伊織「……大丈夫? お仕事とはいえ災難だったわね、同情するわ」サスサス
やよい「落ち着くまでちょっとじっとしてようね、たかねちゃん」サスサス
真「…… んーと、なんとなくボクが悪いみたいな空気感じるんだけど、気のせいかな?」
伊織「なんとなくで終わってるんなら、悪いのは空気じゃなくてあんたの頭よ」
真「んなっ、そんな言い方ないだろ!? ちっちゃい子といえば高い高いって常識じゃないか!」
伊織「程度があるでしょうが! それにどっちかっていえばそれは男の子向けの遊びでしょ!?」
真「だれが男の子っぽいだって!?」
伊織「まだ言ってないわよ!!」
やよい「ちょ、ちょっとふたりとも落ち着いてっ、ね、けんかは……」
たかね(こ、これいじょうここにいては、いのちにかかわります……)ヨロヨロ
124 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/19(木) 22:31:45.72 :9lM7+ofz0
真「……まあ、確かにボクも、ちょっとはしゃぎすぎてたところはあったよ」
伊織「わたしももう少し言葉を選ぶべきだったわね。反省してる」
やよい「えへへ、そうそう、ちゃんと仲直りすればだいじょーぶですっ」
伊織「……さて、そろそろネタバレしていいころじゃないの、やよい?」
やよい「えっ?」
真「そういえばさっき伊織が言ってたドッキリって、いったい何のこと?」
伊織「真もほんとに純粋ねー、あのミニ貴音のことに決まってるでしょ」
真「ええっ!?」
やよい「あのたかねちゃん、どっきりだったんですかー!?」
伊織「えっ」
125 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/19(木) 22:32:31.22 :9lM7+ofz0
伊織「待ちなさいよ、やよいは仕掛け人のほうでしょう?」
やよい「しかけにん……? なんのこと、伊織ちゃん?」
真「えええっ、じゃあさっきのお姫さま、あれメイクとかそういうのなの!?」ガーン
やよい「そ、そうだったんですかー!? 全然気づきませんでした!」ガーン
伊織「ちょっと待って、お願い、二人でいちいちパニックを倍にするの、やめて」
伊織「らちがあかないわ、当人に確かめたら済むことでしょ…… ……あら?」
やよい「……た、たかねちゃんは?」
真「いなくなっちゃった!? あの子実在すらしてないの!? お化けとかなの!?」
伊織「そんなわけないでしょうが! いいからすぐ探しに行くわよ!」
やよい「う、うん!」
真「どっ、どうしよう伊織、ボクさっきあの子のこと思いっきり触っちゃったよ!」
伊織「そんなことわたしが知るかぁ!!」
126 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/19(木) 22:36:09.78 :9lM7+ofz0
たかね(ああ…… まだ、ふらふらします、どこかで、やすみたい……)
たかね(…… おおきないすがあります、ふかふかで、ここちよさそう……)
美希「ふにゃ…… あふぅ……」
たかね(すでに、せんきゃくがいますが…… ねていますし、あいているところで、すこし……)
たかね「……」ソローリ
美希「……んにゃ?」パチ
たかね(な、なんと!? あしおとはたてていないのに!)
美希「あー…… たかね、なにしてるのぉ?」フラリ
たかね(なんたること……! ここでもまた、なまえをしられているとは!)ゾーッ
127 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/19(木) 22:36:42.25 :9lM7+ofz0
美希「ほーらぁ、そんなとこ立ってないで、こっちおいでよ、貴音ぇ」ガシィ
たかね「な…… なにをするのです、はなしなさい、はなすのです」
美希「んー……? あれぇ、貴音、なんだかちっちゃくなってない?」
たかね「や、やめなさい、わたくしは……!」ジタバタ
美希「……まー、そんなこと、どーでもいいのー、あふ」ボスン
たかね「ふみゃっ!?」ポスッ
美希「…… すぴー…… むにゃむにゃ……」ギュー
たかね(これは…… どうしましょう、かんぜんに、とらえられてしまいました……)
美希「…… えへへぇ…… おにぎりなのー……」
たかね「おにぎり!? どこです、どこなのですか」キョロキョロ
美希「んー…… ええ、こんなにいいのぉ? ミキ、しあわせぇ……」
たかね「お、おにぎり、おにぎりはどこにあるのです!?」ジタバタ
128 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/19(木) 22:40:08.68 :9lM7+ofz0
千早「おはよう、萩原さん。ねえ、プロデューサーがどこにいるか知らない?」
雪歩「あっ、おはよう千早ちゃん。わたし、今日はまだ会ってないけど…… なにか用事があるの?」
千早「実は、春香がちょっと調子を悪くしてるみたいで……」
雪歩「えっ、そうなの? 大変!」
春香「ち、違うよ雪歩! 千早ちゃんが勝手に言ってるだけで!」
千早「さっきから、四条さんそっくりの小さい女の子を見たって言って聞かないの」
雪歩「えっ」
千早「萩原さんもおかしいと思うでしょう? でも春香は――」
雪歩「そ、その子なら、さっきわたしとあずささんのところにも来たよ!?」
千早「えっ」
春香「ほらぁー!! だから本当だって言ったでしょ千早ちゃん!」
あずさ「あらあら…… じゃああの子、やっぱり誰かの知り合いだったのかしらね?」
129 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/19(木) 22:40:47.19 :9lM7+ofz0
亜美「その話ちょーっと待ったぁぁ!!」
雪歩「ひぅっ!?」ビクゥ
あずさ「あら亜美ちゃん、おはよう」
春香「あれっ、亜美、それに真美も…… なんで涙目なの?」
真美「そのへんは置いといてさ、その前! お姫ちんそっくりのちっちゃい子って言ったよね!?」
春香「う、うん」
亜美「ほら律っちゃん!! ミニお姫ちんの目撃じょーほー、亜美たち以外にもあったよ!?」
律子「え、えええ…… だってそんな、本当、なの……?」
真美「はるるんにゆきぴょん、それにあずさお姉ちゃんまで見たって言ってるんだよー!」
千早「偶然にしては、確かにできすぎている気も……」
130 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/19(木) 22:41:52.24 :9lM7+ofz0
バタバタ
伊織「ねえ! ちょっと聞きたいんだけど、貴音そっくりの子がここに来なかった!?」
やよい「えっと、小学生くらいの身長で、髪が長くて銀色で、あっ、名前もたかねちゃんっていうんですっ!」
真「で、でもそれはどっきりの演出で、ほんとはメイクで、ひょっとしたら幽霊かもしれなくて!」
千早「…… また新しい目撃談? どうなっているの……」
雪歩「ゆ、幽霊っ!?」
亜美「ちょっとまこちん、言ってるイミがぜんぜんわかんないんだけど」
律子「どっきり? ……そんな企画あるなんて話、聞いてないわよ?」
あずさ「ええと…… 律子さんが知らないってことは、冗談ではないんですよね」
真美「でもこれだけの人数が見てるんだよ、ゼッタイなんかいるっしょ!」
春香「と、とりあえずさ、みんなで手分けして探してみよう!」
131 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/19(木) 22:44:50.83 :9lM7+ofz0
P「どうだ響、見つかったか!?」
響「ど、どこにもいないぞ…… どうしようプロデューサー、ねえ、どうしよう……!」
小鳥「とりあえず一度事務所に戻ってみましょう! 帰ってきてないとも限らないですよ!」
伊織「ひとりだけいないと思ったら、この騒ぎの中ですら例によって寝てたのね、美希……」
律子「……で、プロデューサー殿。これについて説明をお願いできますか」
P「…… だそうだぞ、響」
響「う、うがーっ!? よりによってそこで自分に振るのか!?」
美希「ふにゃ…… くぅ……」ギュー
たかね「すー…… らぁめん…… ひびき、らぁめんが……」
小鳥「●REC」
132 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/19(木) 22:45:54.36 :9lM7+ofz0
響「……ってわけで、きのう朝起きたら、貴音がこんなことになっててさ」
響(ダメだ、自分で言っててうさんくさいにもほどがあるぞこれ!)
響「その、自分もまだ信じられないところがあるし、みんなもそうだと思うんだけど……」
一同「……」
響(ああ…… そりゃそうだ、絶句しちゃうのも当たり前さー……)
響「記憶もなくなっちゃってるけど、でもこの子、貴音なんだよ! お願い、信じて」
春香「うん、いやまあ、そういうこともあるんじゃないかなぁ」
響「は、はぁ!?」
133 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/19(木) 22:46:31.27 :9lM7+ofz0
雪歩「あの悠然とした態度は四条さんそのものって感じでしたし……」
あずさ「お饅頭もほんとに美味しそうに食べてたもの。貴音ちゃんなら納得だわ」
律子「……というかそもそも、その見た目で貴音じゃないって言われる方が意外よね」
亜美「うんうん、それにミョーにカンがいいし」
真美「亜美と真美のタンデムアタックから逃げ切るくらいだもんねぃ」
やよい「や、やっぱりたかねちゃんが貴音さんだったんですねー!」
伊織「ドッキリじゃなかったけどドッキリどころじゃない感じね、これ」
真「よかったぁぁー! お化けでもメイクでもなくて貴音だったなら安心だよ!」
響「自分が言うのもなんだけどみんな適応するの早すぎじゃないか!?」
134 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/19(木) 22:47:27.84 :9lM7+ofz0
響「そ、それに、どうしてこんなことになったか、原因もぜんぜんわかんないし……」
千早「それは多分我那覇さんの言うとおりなのだけれど、それ以前に……」
美希「…… 貴音ならそういうことがあってもしょうがないかな、ってフンイキがあるの」
一同「確かに」
響「……そ、そうかなあ」
たかね「むにゃ…… ひびきぃ…… そのおにぎりは、あげませんよ…… わたくしの、ものです……」
135 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/19(木) 22:48:22.94 :9lM7+ofz0
P「まあ結果論だけど、これだけ大々的にバレたのはかえってよかったのかもしれない」
響「うーん、そうといえばそう、なのかも」
P「しかし、結局のところ問題は解決してないわけで…… どうしたもんだろうな」
小鳥「……じゃあ、響ちゃんの手が空かない間、たかねちゃんを事務所で預かってあげたらいいんじゃないですか?」
響「え?」
小鳥「ここなら毎日、少なくともわたしはいるわけですし、お金もかかりませんよ」
P「いや…… でも音無さん、それだと音無さんの負担が増えちゃいませんか」
小鳥「まったく増えないって言ったら嘘になりますけど、そのくらいの余裕はありますから」
あずさ「そうだわ~、レッスンやお仕事の合間で、わたし、遊び相手くらいはしてあげられますよ」
律子「…… 私も常に外回りってわけでもありませんから、手伝うことは可能ですし」
春香「それに、わたしたちだって学校終わったあとならお世話できちゃいますねっ!」
136 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/19(木) 22:49:41.89 :9lM7+ofz0
亜美「それなら亜美たちの方が学校早く終わるから、お姫ちんと長く遊べちゃうってスンポーだよ!」
真美「そうそう、中学生の特権ってやつだね? んっふっふー」
やよい「たかねちゃん、うちの弟とも歳が近いですし、わたしも役に立てると思いますー!」
響「そ、そんな! ピヨ子にもみんなにも悪いよ!」
美希「んー、それくらいいいんじゃないの?」
P「いいんじゃないの、って、美希お前なぁ」
雪歩「でも実際、響ちゃんの負担を考えてもそれが一番じゃないですか?」
真「そうだよ、いくら響でも、通学とお仕事とたかねの世話を全部一人でってのは無理があるよ」
千早「それに我那覇さんの場合、ほかの家族のみんなもいるわけでしょう?」
伊織「頼れるところは素直に頼っときなさいよ。みんな進んで言ってるの、わかってるでしょ?」
響「う、うん、それは確かにそうだけど……」
137 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/19(木) 22:50:53.71 :9lM7+ofz0
高木「ではそれで決まりだね」
P「うおっ!? 社長! いらしてたんですか!」
高木「事情はどうあれ、事務所のメンバーの苦境に違いない。できることはしようじゃないか」
P「それはもちろんですけど、社長にまでわざわざお手伝いいただかなくても」
高木「私だって音無君と同じく、日中はだいたいここにいるからね。話し相手にくらいはなれよう」
P「……じゃあ、とりあえず、だ。明日から響は通学前にたかねをここに連れてきて、音無さんか社長が迎える」
響「うん、わかったぞ」
小鳥「ええ、大丈夫です」
高木「うむ」
P「そして、響のレッスンなり仕事なりが終わったら、こっちに寄って連れて帰る、ってことで」
響「それが今のところ、たかねのためにも一番いいよね」
P「そうだな。で、たかねが事務所にいる間、余裕があるメンバーは相手してあげる。みんな、それでいいな?」
一同「はーい!」
138 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/19(木) 22:52:08.27 :9lM7+ofz0
たかね「…… ん、んん……」
伊織「ああ、お姫様の目が覚めたみたいよ」
律子「この状況で今までずっと寝てられるあたり、貴音らしいっていうか、大物ね……」
たかね「……ひびき? ひびき、どこですか……?」
響「あー、はいはい、ここにいるぞ。それより勝手に動き回っちゃダメじゃないか、たかね」
たかね「あの…… その、ちょっとだけ、たんけんしてみようと……」
春香「あはは、かわいい、目が覚めたらまず響ちゃん探すんだ。鳥のひなみたい」
あずさ「一日しか経ってないのに、ずいぶん響ちゃんになついてるわね、たかねちゃん」
やよい「動物にもあんなに好かれる響さんだから、当然なのかなーって気もします」
美希「それに響と貴音の付き合い、かなり長いし。たぶんあんなカンジで当たり前なの」
千早「とりあえず、ここは我那覇さんに任せておきましょう。急に私たちが出張ったら混乱させてしまうわ」
139 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/19(木) 22:52:43.72 :9lM7+ofz0
響「ってことで、たかね。明日から、日中はここで自分のこと待っててね」
たかね「…… なんだかわたくしひとりのために、おおごとになってしまったきがいたします」
響「自分も、まさかこんなことになるとは思わなかったさー」
たかね「もうしわけありません、ひびきにも、みなにも、めいわくを……」
響「なんでたかねが謝るの?」
たかね「えっ?」
響「原因はわかんないけど、たかねにもどうしようもないことなんだしさ」
たかね「…… それは、そうなのですが……」
響「誰かが大変だったら助け合うの、普通のことだもん。たかねも含めて、みんな事務所の仲間なんだから」
たかね「ひびき…… …… ありがとう、ございます」
140 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/19(木) 22:54:34.77 :9lM7+ofz0
響「ん、いいってば。 ……っていうか、むしろ、たかねが大変な目に遭うのは今からだぞ?」
たかね「はい? ……それは、どういう?」
響「うん、自分が説明しなくてもすぐわかると思うから、がんばって」
たかね「…… あの、ひびき、わたくし、わるいよかんがいたしま――」
亜美「ひびきーん! もうお話終わったー!?」
真美「ひびきんばっかりずるいよー、真美たちもミニお姫ちんと遊びたいよー!」
たかね「ひい!?」
響「あー、ごめんごめん、今説明すんだとこ」
雪歩「四条さんの…… あの四条さんの、幼女時代の姿がぁ……!」
真「雪歩、ねえ雪歩? ……ああダメだこれ、聞こえてないや」
小鳥「メモリもバッテリーも十二分にあるわ、さあ撮るわよぉ……!」
響「みんなたかねのこと、"歓迎"したくて待ち構えてたんだ。 ……大丈夫、命までは取られないぞ」
たかね「!? め…… めんようなああぁぁ!?」
152 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/21(土) 22:53:25.23 :yzH0rqVA0
響「どうしたのさ、たかね。くたびれた顔しちゃって」
たかね「…… ほぼいちにち…… みなに、もてあそばれて、わたくしはもう……」
響「あはは、みんなたかねに初めて会うから興奮してたのさー。明日からは大丈夫だよ」
たかね「だと、よいのですが……」
響「それに、誰もたかねのこといじめたりしなかったでしょ?」
たかね「…… あさのだんかいで、まことにふりまわされました」
響「自分のいないとこで何があってたの、それ」
たかね「あみとまみには、あやうく、かられそうになりましたし……」
153 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/21(土) 22:54:33.98 :yzH0rqVA0
響「かられそう……? 刈られそうに? なんでまたそんなことに……」
たかね「みきはわたくしにだきついて、はなしませんでしたし」
響「それは自分も見たけど、っていうかたかね、一緒にぐーすか寝てたよね?」
たかね「きわめつけに、ことりじょうは…… えんえんと、めんようなきかいをもって、おいかけてきて……」ブルブル
響「それはまあ…… でも、結局いま魂抜けてないんだからなんくるないでしょ」
たかね「そういうもんだいではありません!」
響「ピヨ子の密かな楽しみみたいなもんだから、我慢してあげてよ」
たかね「ほほえみ、はなぢをだしながらはしるすがたが…… どれほどおそろしかったか……!!」ガクガク
響「…… うん、あれは確かにちょっと同情するぞ」
154 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/21(土) 22:57:01.78 :yzH0rqVA0
響「さて、ほかの家族の分の買い物もあるし、ちょっとスーパー寄ってくぞー」
たかね「すうぱあ?」
響「ああ、お店だよお店。すぐ近くだから」
たかね「おお……! なんとひろく、そして、なんとたくさんのものが!」
響「初めて見たらそうなるよね。ほら行くよたかね、ちゃんとついてきて」
たかね「……はっ!? ひ、ひびき、あれは!」
響「んー? なにかあった?」
155 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/21(土) 22:57:37.68 :yzH0rqVA0
たかね「あのつつのようなものは、まさしく! さくじつしょくした『かっぷめん』!!」キラキラ
響「お、よく覚えてたね。よっぽど気に入ったんだな」
たかね「しかし…… こんなにも、たいりょうに…… むむむ」
響「最近はたくさん種類があるからなー。で、なにをそんなにうなってるの?」
たかね「これだけあると、わたくしといえど、たべきれないおそれが」
響「なんでたかねが全部食べていい設定になってるのか知らないけど、買わないぞ?」
たかね「なにゆえ!?」ガーン
響「いや、なにゆえって」
156 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/21(土) 22:58:21.48 :yzH0rqVA0
たかね「あれほどびみなものを、なぜかわないのです!?」
響「昨日も言ったでしょ、いくらおいしくてもたかねの身体によくないんだよ」
たかね「しょうしょうのことにはめをつぶるべきです!」
響「いーや、大人もカップ麺ばっかりじゃすぐ身体壊すんだから。たかねみたいなちびっ子はよけいダメだぞ」
たかね「いいえ、わたくしはしゅくじょですから、もんだいございません!」
響「そもそも淑女はふつう、カップ麺食べたいなんてダダこねないからね?」
たかね「むぅぅ…… ああいえば、こういう……!」
響「どっちがさ!? はいはい、ほら、行くよ」
たかね「ああ…… とうげんきょうが、はるかかなたへ……」
響「ずっとたどり着けないから桃源郷なのさー」
たかね「だ、だれがうまいことをいえともうしました!?」
157 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/21(土) 23:00:13.37 :yzH0rqVA0
たかね「ひびき…… せんこくから、おかしいとおもいませんか?」
響「なにが?」
たかね「たしかに、いまはふゆです。さむいきせつです」
響「うん、その通りだぞ」
たかね「しかし…… 『すうぱあ』のなかでも、このあたりにきてから、よりつめたさをかんじます」
響「ああ、言われてみれば、多少は」
たかね「それになにか、しろいけむりのようなものがみえるきも……」
響「そういえば、目をこらしたら見えなくもないね」
たかね「ひびき、ゆだんはなりませんよ…… なにやら、あやしげなくうきをかんじます……!」
響(…… 冷蔵コーナーのこと説明しても…… たぶんわかんないだろうなあ、これ)
158 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/21(土) 23:01:21.67 :yzH0rqVA0
店員「いらっしゃいませ。袋はおつけしますか?」
響「お願いします。それと、別に小さい袋をひとつもらえますか?」
響「はい、これはたかねの持つ分」
たかね「このちいさいふくろは……? なぜ、わたくしに?」
響「ちょっとくらいお手伝いしてくれても、バチはあたんないでしょ?」
たかね「たしかに、それはそうですが……」
響「ん、じゃあ、よろしく。 ……ついでに中も見てみたら?」
たかね「なか、といっても…… ……こ、これは、かっぷめん!! いつのまに!?」パァァ
響「ふふん。たかねが見てないときに、こっそりカゴに入れといたのさー」
159 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/21(土) 23:02:34.14 :yzH0rqVA0
響「あのさ、たかね。1週間に1個だけなら、カップ麺食べてもいいよ。買ってあげる」
たかね「はい、はいっ! なのかかんに、いちどですね!」
響「…… たーだーし!」
たかね「?」
響「これ、自分との約束だからね。けさ事務所でやったみたいに勝手なことしたら、もう絶対買わないぞ。できる?」
たかね「…… はい! ちゃんと、まもります!」
響「よーし、じゃあ指きりしよう」
たかね「はいっ」
「「ゆーびきーりげーんまん、うーそつーいたらはーりせんぼんのーます! ゆーびきった!」」
160 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/21(土) 23:06:09.78 :yzH0rqVA0
たかね「みてください、ひびき、いろとりどりで…… まるで、ほうせきばこのようです」キラキラ
響「ホント、綺麗だね。たかね、なかなか詩的なこと言うじゃないか」
たかね「ふふ、わたくし、そのみちのさいのうがあるでしょうか?」
響「その歳でそれなら立派だと思うさー。ケーキのこと、宝石だなんて」
たかね「ほんとうに、うつくしくて…… おもわず、ほおばってしまいそうです……」キラキラ
響「あんまりショーケースに張り付いちゃダメだぞ、お店にも迷惑だしね。 ……そういうわけで」
響「たかね、ほら、行くよ、ってば……!」ググググ
たかね「いま、すこし…… ひびき、いますこしだけ……!」グググ
響(さっきまで、あんなにへたばってたくせに……! ケーキ屋さんの前で急に、根っこでも生えたみたいに……!)
161 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/21(土) 23:07:41.26 :yzH0rqVA0
響「ぜえ、はあ、やっと動けたぞ…… たかね、あとはまっすぐ家に…… っ!?」
たかね「ひびき!! このおみせ、かんばんに『らぁめん』とかいてあります!!」
響(…… よし。明日からはこのルート通るの、絶対やめよう)
たかね「それに、なかから、かっぷめんとにたにおいがただよってきます!」
響「そりゃね、ラーメン作ってるからね」
たかね「まさか…… ここは、かっぷめんをつくるおみせなのでは!?」
響「それはかなり失礼だから、あんまり大声で言うのやめような、たかね」
響「だから、ね、もう、今日は、おとなしく、帰ろう!?」グググググ
たかね「いま、すこし、いますこし、ここに、おり、ましょう、ひびきぃ!」ググググ
163 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/21(土) 23:10:05.86 :yzH0rqVA0
響「たかね、おいでー、お風呂だぞー」
たかね「……」
響「どうしたの? ほら、こっち」
たかね「…… また、しゃんぷうをするのでしょう?」
響「そりゃまあ。たかね、ただでさえ髪の毛多いんだから、ちゃんと洗わなきゃ」
たかね「いやです」
響「え」
たかね「わたくし、にどとしゃんぷうはいやです」
164 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/21(土) 23:12:21.58 :yzH0rqVA0
響「でも、シャンプーしないと、どんどんきたなくなっちゃうぞ」
たかね「いやです、ひとはしゃんぷうなどせずとも、いきてゆけます」
響「そんな大げさな話じゃないってば。すっきりして気持ちいいよ?」
たかね「なんといわれようと、おことわりします!」
響「…… お、へび香! そんなとこにいたのか!」
たかね「ひいぃっ!?」クルッ
響「よし、捕まえたぞー」ガシィ
たかね「!? ひ、ひびき、はなしてください、はなすのです、いやああああ!」ジタバタ
響「はいはい、いけずいけず」
165 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/21(土) 23:13:11.10 :yzH0rqVA0
たかね「はなしてくださいませ! おに! あくまー!」
響「で、これを、よいしょ、っと」
たかね「ふぎゅ…… なんですこれは!」
響「おー、なかなか似合ってるぞ、たかね」
たかね「ひびき、わたくしになにをかぶせたのです!?」
響「とっておきの秘密兵器だよ」
たかね「ひみつへいき……?」
響「さてと、じゃあシャンプーするぞー」
たかね「みゃっ!? ひびき、お、おねがいです、やめてください、いいこにしますから!」
響「よーしたかね、いい子でじっとしてようなー」
166 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/21(土) 23:14:02.32 :yzH0rqVA0
たかね「い、いやあああああ! ……おや?」
響「たかね、かゆいとこないー?」
たかね「これは…… ひびき、めが、めがいたくありません!」
響「そのためのシャンプーハットさー。やっぱり買っといて正解だったぞ」
たかね「しゃんぷう、はっと?」
響「そ、これかぶってたら、目に水が入んないでしょ」
たかね「なんと……! このような、すばらしいものが……!」
響「いや、だからね、それはお風呂でかぶるためのものなの!」
たかね「いいえ! おでかけにもかぶってゆきます!」
167 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/21(土) 23:15:44.81 :yzH0rqVA0
たかね「 …… すー、くぅー…… むにゃ……」
響「ふー…… さすがに、あっという間に寝ちゃったな」
響(まあ実際、きょうは一日みんなに引っ張りだこだったからね……)
響(とりあえず、明日からは事務所でピヨ子や社長、みんなも手伝ってくれる分、だいぶ安心だぞ)
響「……あ、そうだ、忘れないうちに」
168 :◆ccGlDikGP2 :2015/02/21(土) 23:16:56.68 :yzH0rqVA0
響「もしもし、プロデューサー? 遅くにごめんね、お願いがあるんだけど」
響「ん、自分のスケジュールのこと。あのね、夕方以降のレッスンとかお仕事とか…… ちょっとだけ減らせないかな?」
響「え? うん、そう…… できるだけ、たかねと一緒にいてあげられるようにしたいんだ」
響「もちろん大丈夫さー、自分、日中に倍がんばるから! 迷惑はかけないぞ!」
響「……ありがと! うん、また明日、おやすみ!」
183 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/01(日) 19:08:48.76 :2uPnAp7B0
【五つ子のたましい】
響「たかね、たかね。朝だぞー、起きてー」ユサユサ
たかね「ぐう…… ふにゃ、すー……」
響「ちっちゃくなっても、寝起きの悪さは一緒なんだな…… たーかーねってば!」
たかね「…… ん…… ぅむ、む」
響「もう朝だよ、ごはんの時間だぞー」
たかね「…… ごはん……」ムクリ
響「食事だって言ったら起きるとこまで一緒かー、ぶれないなぁ」
184 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/01(日) 19:09:42.65 :2uPnAp7B0
【はやわざ】
たかね「ねむたい、です、ひびき……」
響「そんなときはまず、顔を洗うとしゃきっとするぞ!」
たかね「…… ふぁい……」
響「あ、でも洗面台に届かないか。じゃあ自分が抱っこしとくから、その間に洗ってね」
たかね「こころえ、ました……」
響「水出しっぱなしにしてっと…… いくよー、よいしょっ」ヒョイ
たかね「……」
響「? どうしたのさたかね、早く洗って……」
たかね「…… くぅ…… すぴー……」
響「なんなのその早寝。美希もびっくりだぞ」
185 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/01(日) 19:10:24.21 :2uPnAp7B0
【こなもん】
響「すぐごはんできるから、もう少し待っててね」
たかね「ひびき、これはなんのかおりでしょうか?」
響「ん? これはね、たかねと自分の朝ごはんに、パンってものを焼いてるの」
たかね「ぱん、ですか」
響「そうそう。ラーメンと同じで小麦粉使ってて、こねて、焼いたやつ」
たかね「らぁめんっ!?」
響「ああ、でも材料が一緒ってだけで、見た目とかはぜんぜん」
たかね「らぁめんと、おなじ……! そのぱんというものも、さぞびみなのでしょう……!」ペカー
響「おいしいのはおいしいけどさ、たかねの期待してるのとはちょっと違うかな」
186 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/01(日) 19:10:59.70 :2uPnAp7B0
【ちゅっと吸って】
響「これからたかねが顔洗ったりするときのために、踏み台みたいなのがいるなー」
たかね「どういうことでしょう?」
響「蛇口に手がとどきづらいし、鏡も見えないでしょ? さておき、はいこれ」
たかね「はて、これは……」
響「歯ブラシだよ。ごはん食べたあとは、ちゃんと歯を磨かなくちゃね」
たかね「この、うえにのっているものは、なんでしょうか」
響「歯磨き粉。ちゃんとたかねの分は、子供用のやつ買っといたぞ」
たかね「ひびき!」
響「ん、どうかした?」
たかね「はみがきこ、たいへんびみでした! おかわりをください!」
響「おかわっ……!? たかね、それ食べ物じゃないんだってば!」
187 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/01(日) 19:12:03.13 :2uPnAp7B0
【×水蒸気 ○湯気】
響「うう、今朝もなかなか冷えてるなー…… たかね、寒くない?」
たかね「いえ、わたくしはだいじょう……?」
響「どうしたのさ、急に黙っちゃって」
たかね「…… ひびき! ひびきのくちから、しろいけむりのようなものが!?」
響「これだけ冷えてたらね。ていうか、たかねも口から出てるよ?」
たかね「えっ!? はーーっ…… ……なんと! これはいったい……」
響「…… 実はな、たかね、それ、魂なんだぞ。だから、あんまり出してると……」
響「冗談! さっきのは冗談だから! むしろ止めてると魂抜けちゃうから!!」
たかね「……! ……!!」ブンブン
188 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/01(日) 19:12:47.66 :2uPnAp7B0
【朝いちばん早いのは】
たかね「おや? ひびき、あちらをとおるのではないのですか?」
響「いつも同じ道じゃつまらないでしょ。たかね、このへん探検してみたくない?」
たかね「たんけん……! はい、したいです!」
響(ふふふ…… これこそ、きのうの失敗を踏まえて選んだカンペキなルートさー!)
たかね「…… まだ、あまりひとがいないのですね」
響(ケーキ屋さんもラーメン屋さんもない、そもそもこの時間はまだ開いてない!)
たかね「む? これは……」スンスン
響(これなら、昨日みたいにたかねがいきなり動かなくなることもなく……)
たかね「ひびき! このこうばしいにおいは、もしや、さきほどの!」
響「え」
189 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/01(日) 19:13:32.43 :2uPnAp7B0
たかね「まこと、すばらしきかおり…… このおみせは、はやくからあいているのですね」
響(……ぱ、パン屋さん!? うぎゃーっ! よりによって!)
たかね「これまた、いろとりどりの…… それに、なんとも、しょくよくをしげきするにおいが……!」キラキラ
響「ああそうだね、うん、おいしそうだね」
たかね「もうすこしちかくでみましょう、ひびき! ……ひびき?」
響(とりあえず、このルートも今日限りだぞ)
たかね「なにゆえぇぇ! なにゆえ、わたくしを、ひっぱるのです!?」グググ
響「あのね、自分ね、時間、決まってるんだ、遅刻しちゃうからね!?」ググググ
190 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/01(日) 19:14:32.18 :2uPnAp7B0
【いってきます】
響「たかね、ピヨ子や社長やみんなの言うこと、ちゃんと聞かなくちゃダメだぞ」
たかね「もちろんです。わたくし、もうごさいですから、だいじょうぶです」
響「じゃあ、ピヨ…… 小鳥さん。自分のいない間、たかねのこと、よろしくお願いします」ペコッ
小鳥「響ちゃんったら、そんなに改まらなくたっていいのに」
響「自分、今日は…… そうだなあ、17時すぎには戻れると思う」
小鳥「わかったわ。遅くなっても大丈夫よ、響ちゃんが迎えにくるまで待ってるから」
響「ありがとっ! じゃあたかね、ピヨ子、行ってくるね!」
小鳥「はーい、気をつけてね」
たかね「いってらっしゃいませ、ひびき」
191 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/01(日) 19:15:04.78 :2uPnAp7B0
【ほろりとぐさりと】
小鳥「……」
たかね「どうかしたのですか、ことりじょう」
小鳥「ん? ちょっとね…… 子供を見送るお母さんって、こんな気持ちなのかなあ、って」
たかね「おかあさん…… では、わたくしがいもうとで、ひびきがあねですね!」
小鳥「やだ、もう、たとえばの話よ。わたし、まだ響ちゃんのお母さんってほどの歳じゃないんだから」
たかね「すると、わたくしのははうえとしては、おかしくないのですか?」
小鳥「ぐふうっ」ガクッ
たかね「ことりじょう!?」
192 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/01(日) 19:15:47.25 :2uPnAp7B0
【いつも片手に】
たかね「それではあらためて、どうぞ、よろしくおねがいします」
小鳥「こちらこそ。たかねちゃん、わからないことは何でも聞いてね」
たかね「ありがとうございます。ではさっそくですが、ひとつ、よいでしょうか」
小鳥「あら、なあに?」
たかね「ことりじょうはやはり、そのめんようなきかいをつかわなくてはいけませんか?」
小鳥「ええ、いけないわね」 ●REC
たかね「いけませんか」
小鳥「いけないわね」 ●REC
193 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/01(日) 19:16:34.44 :2uPnAp7B0
【今日から本気出す】
小鳥「じゃあ、わたしはしばらくお仕事してるから、何かあったらいつでも言って」
たかね「はいっ」
小鳥「事務所の中なら好きに遊んでていいけど、あんまり遠くには行かないでね」
たかね「は、はい…… それはもう、きのうで、こりましたので」
小鳥「それならオッケー。響ちゃんだって、昨日はすごく心配してたのよ?」
小鳥「……よーしっ、だいたい片付いたわ! お待たせ、たかねちゃん」
たかね「はて……? さきほどから、あまりたっていないきがしますが……」
194 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/01(日) 19:17:36.59 :2uPnAp7B0
ガチャ
律子「おはようございまーす」
小鳥「律子さん、おはようございます」
たかね「おや、りつこじょう。おはようございます」
律子「ああ、今日から来てるんだったわね、たかね。おはよう」
小鳥「さてと…… たかねちゃん、何かしたいこととかない?」
たかね「あの、ことりじょう、おしごとはもうよいのですか」
律子「小鳥さん? たかねを構ってあげるのはいいですけど、昨日お願いしてた資料とかは……」
小鳥「そこのデスクの上に全部揃えてます。ついでに今日の事務処理も、あらかた済んでますよ」
律子「!?」
195 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/01(日) 19:18:22.16 :2uPnAp7B0
律子「これ…… 頼んでた内容全部おさえてある上に、改善案まで盛り込んで……!」
小鳥「どうですか、それならけっこう役に立ちません?」
律子「……えっ、あの、小鳥さん、どうしたんですか一体。っていうかあなた本当に小鳥さんですか」
小鳥「ひとつ覚えておいてください、律子さん」
律子「な、何をですか?」
小鳥「たかねちゃん眺めたり撮影したりする時間を確保するためなら、わたしは阿修羅すら凌駕しますよ」
律子「ああよかった、やっぱり小鳥さんですね」
たかね(なにか…… ことりじょうから、ただならぬようきのようなものが……!)
196 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/01(日) 19:20:10.74 :2uPnAp7B0
【双海亜美&双海真美の場合】
小鳥「15時も回って、そろそろ誰か来始めるころかしら」
ガチャ
真美「やーっほー! 亜美と真美、さんじょ→だよー!」
小鳥「噂をすれば亜美ちゃん、真美ちゃん、お疲れさま。今日はいつにもまして早いわね」
亜美「ねえねえピヨちゃん、それより、まだほかのみんな誰も来てないよね!?」
真美「ミニお姫ちんと一番乗りで遊びたくてさ、授業終わってソッコーこっち来たんだYO!」
たかね「おかえりなさいませ。あみ、まみ、あらためて、よろしくおねがいしま……」
亜美「あっ、いたいたーっ!! ミニお姫ちん、会いたかったぞよー!」ギュー
真美「かたっくるしいのはナシだよー、楽しくやろっ!」ギュッ
たかね「きゃっ!? な、なにをするのです!」
小鳥「もう、亜美ちゃんも真美ちゃんも、あんまりびっくりさせちゃかわいそうよ?」 ●REC
197 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/01(日) 19:21:32.34 :2uPnAp7B0
亜美「やっぱりさ、『お姫ちん』要素は入れるべきっしょー」
真美「まーね、ショージキあれはあだ名としてカンペキな完成度だったかんね」
たかね「ふたりとも、なんのはなしをしているのです?」
亜美「お姫さま的イメージは残しつつ、同時にこのちまっこさを表したいってゆーか!」
真美「…… そーだ! じゃあじゃあ『やよいっち』の流れでさ、『おひめっち』なんての、どうよ?」
亜美「お……? おお!? いいね、ちっちゃい感じ出てるよ真美! ほめてつかわす!」
たかね「あの…… わたくしを、おいていかないでほしいのですが……」
亜美「ってことでミニお姫ちん…… いや、おひめっち! 今日からキミは『おひめっち』だ!」
真美「あっ、漢字じゃないのもポイントだかんね、『おひめっち』!」
たかね「はい!?」
真美「いやあー、まーたいい仕事しちまったずぇー」
たかね(は…… はなしが、まったくわかりません! めんような……!)
198 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/01(日) 19:22:30.07 :2uPnAp7B0
真美「ってことでさ、おひめっち。真美たちと一緒にゲームしようぜぃゲーム!」
たかね「げーむ…… とは、なんですか?」
亜美「まーまー、やってみればわかるって! はいこれDSっ!」
たかね「……? このひらたいはこが、なんなのです?」
真美「んっふっふー…… これはここからこう、パカッとやってだね?」
たかね「おお!? これは、ひらくのですね!」
亜美「そんでもってー、電源スイッチポチッとな!」
たかね「す、すごい! こんどは、あかるくなりました……!」
真美「この世間知らずっぷり、ほんとにお姫様ってカンジするよねぃ」
亜美「うんうん、お嬢様ってゆーか」
199 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/01(日) 19:23:00.82 :2uPnAp7B0
真美「はいじゃあおひめっち、これ持って!」
たかね「あ、あの…… わたくし、いったい、なにをすれば」
亜美「んー、そだ、まずはかるーくオープニングとか見てもらおっか」
たかね「おおぷにんぐ?」
たかね「!!」
たかね「あみ! まみ! このようなちいさなはこのなかに、ひとがはいっております!!」
亜美「はいっ、ベタなリアクションいただきましたー!」
真美「まー実際、初めて見たらびっくりするよね、これ」
たかね「おお、それに…… とのがたが、おにくをたべています!」
亜美「あ、まず反応するのそこなんだ」
真美「さすがは腹ペコおひめっち……」
200 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/01(日) 19:23:42.19 :2uPnAp7B0
たかね「このかたたちは、なにをしているのですか」
亜美「そりゃハンターだから、狩りの準備してるんだよん」
真美「そうそう。そんで、もうすぐ出てくるよ、すっごいのが!」
たかね「すごいのですか! それはまこと、たのしみ――」ワクワク
< ドバシャアアアアア (砂を巻き上げてディアブロス登場)
たかね「」
たかね「しじょっ」 キュウ
亜美「ちょっ」
真美「おひめっち!?」
201 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/01(日) 19:24:18.45 :2uPnAp7B0
真美「…… ほんっっとーにごめんっ!!」
亜美「もー二度とおひめっちにモンハンは見せない! 約束するからっ!」
たかね「ひっく、えぐ…… し、しんぞうが、どまる、がど、おもっだのですよ!?」グスグス
真美(そーだった…… お姫ちん、ワニとかヘビとかダメだったもんね……)
亜美(そーでなくても、ちっちゃい子にはシゲキ強すぎたかなー……)
たかね「ふたりとも! きいているのですか!?」
亜美「ひいっ! 聞いてます、きーてますっ!」
真美「ごめんなさーいっ!」
202 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/01(日) 19:24:50.54 :2uPnAp7B0
亜美「たぶん、これならだいじょぶだと思うんだ」
たかね「……もう、さきほどのようなばけものは、でてこないのですね?」
真美「うん、それは保証する! ぜーったい出ないから!」
たかね「くぬ、こ、この……!」ズイー
亜美(ま、真美、笑っちゃダメだって……!)
たかね「こんどは、みぎに、ふぬっ、ぬぬ」グイー
真美(だって……! お約束すぎるよおひめっち!)
たかね「あっ! みましたか、いちだい、おいぬき…… ああ!?」
真美(本人、ぜんぜん気づいてないみたいだけど!)
亜美(マリカーでカーブするたびめっちゃ左右にかたむいててチョ→かわいい!!)
小鳥(それこそが正解のチョイスよ、二人とも) ●REC
203 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/01(日) 19:26:21.34 :2uPnAp7B0
【本人談】
響「たかね、事務所でなんかおもしろいこととか、あった?」
たかね「きょうは、あみとまみといっしょに、げーむであそんだのです」
響「おー、やってみてどうだった?」
たかね「わたくしのかれいな『どらいびんぐてくにっく』を、ひびきにもみせたかったですね」
響「あはは、そっかぁ、見られなくて残念だったぞー」
たかね「『まりおかーと』は、たいへんたのしかったです!」
響「うんうん、たくさん遊んでもらってよかったな」
204 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/01(日) 19:27:41.35 :2uPnAp7B0
【ぴぃてぃえすでぃ】
響「あれ、でもマリカーだけ? ほかのゲームはやってないの?」
たかね「しておりません」
響「そうなんだ。亜美と真美なら、いろいろ遊ばせそうなもんだけど」
たかね「ほかには、なにもしておりません。ええ、なにも」
響「さてはたかね、よっぽどマリカー気に入ったんだろー。二人に無理言ったんじゃ……」
たかね「わたくしがみたのは『まりおかーと』だけ、『まりおかーと』はたのしい、わたくしは」ブツブツ
響「……ちょっと、たかね?」
たかね「しかし、とのがたが、おにくを…… いえ、そのような…… さばくで、りゅうが、ああ」ガクガクガク
響「たかね、たかね!? 大丈夫!? 聞こえてる!?」
205 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/01(日) 19:28:12.92 :2uPnAp7B0
【ブラウン管ならあるいは】
たかね「ごちそうさまでした。ほんじつのゆうげも、たいへん、おいしかったです」
響「そう言ってもらえると作りがいがあるぞ。自分、お皿洗ってくるから、テレビでも見てて」
ピッ
< ワッハハハハハハハ
たかね「!? ひびき! とつぜん、あんなにたくさんのひとが!」
響「ああ、まだ見たことなかったっけ? これもゲームと似たようなもんさー」
たかね「『でぃーえす』より、ずいぶんとおおきいですが……」
響「確かにサイズはだいぶ違う…… って、なにやってるの、たかね」
たかね「…… げーむのときもそうでしたが、めんようなはこですね……」
響「ぷっ…… 後ろのぞきこんだって、誰もいないってば」
たかね「わたくしも、このはこのなかにはいれるのでしょうか?」
響「うーん、たかねみたいな食いしん坊だと、太すぎて無理かもなー」
たかね「な…… わ、わたくしへのぶじょくです! とりけしなさい、ひびき!」
206 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/01(日) 19:29:04.39 :2uPnAp7B0
【滑ると案外暑い】
たかね「…… おお…… なんと、めんようなうごき……」
響「フィギュア中継、気に入ったみたいだね、たかね」
たかね「このかたはなぜ、あしをあまりうごかさずにうごけるのでしょう?」
響「そこからなのか。それ、下が氷でできてて、その上を滑ってるんだよ」
たかね「なるほど…… しかし、それにしてはずいぶん、さむそうなかっこうですが」
響「まあね、衣装も演技のうちみたいなもんだからさ」
たかね「ふむ…… では、ひびきもおでかけのとき、えんぎをしているのですか?」
響「えっ、自分が? なんで?」
たかね「けさも、おしげもなく、あしをだしていたではありませんか。とてもさむそうでした」
響「うがっ!? いや、あれは制服っていって、そういうんじゃないから!」
207 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/01(日) 19:29:56.67 :2uPnAp7B0
【上下関係】
響「あれっ、たかねは、毛布の上にふとんかぶせるんだ」
たかね「はい? なにをいっているのですか、あたりまえでしょう」
響「でも羽ぶとんの場合、毛布を上にかけたほうがあったかいらしいよ」
たかね「はぁー…… ひびき、よいですか? てでふれたとき、あたたかいのは、どちらですか?」
響「いや、それはもちろん毛布だけど、そういう話じゃなくてさ」
たかね「ふれたとき、あたたかいものを、はだにちかいところでつかう。とうぜんです」
響「だから、感覚的にはそうなんだけど、科学的には……!」
たかね「やれやれ…… ひびきは、ききわけがないのですね」
響「うがーっ、なんなんだその上から目線!? 納得いかないぞ!」
208 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/01(日) 19:30:29.08 :2uPnAp7B0
【暖かくしてやすみましょう】
たかね「……」
たかね「……」ムク
ガチャ
たかね「……」ソローリ
響「…… 夜中にようこそ、姫さま」
たかね「ひあぁ!?」ビクゥ
209 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/01(日) 19:31:18.76 :2uPnAp7B0
響「なあに? 一人で寝てるの、さびしくなっちゃった?」ニヤニヤ
たかね「い、いえ、これは、その…… そうです! わたくし、しらべにきたのです!」
響「んー? なにを?」
たかね「ねるまえ、ひびきは、もうふをふとんのうえにかける、といいましたね?」
響「うん、言ったぞ」
たかね「それが、まちがいだと…… つまり、ひびきがさむくてふるえているのを、たしかめにきたのです!」
響「ふーん…… で、たかねの見たところ、どう? 自分、寒そうかな?」
たかね「…… ええ、さむそうですね。もう、みていられません」
響「そっかー。でも自分は、パジャマでうろついてるたかねがすごく寒そうだと思うなー」
たかね「それは…… ひびきのきのせいですっ、わたくし、さむくなど」
響「いいからほら、入っておいで。風邪引いちゃうぞ?」
たかね「……しかたありませんね。あくまで、さむくはないのですが、ひびきが、それほどいうのであれば」
210 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/01(日) 19:32:29.18 :2uPnAp7B0
響「うんうん、お子様は素直が一番」
たかね「もう……! また、こどもあつかいをして!」
響「だってホントにお子様だからしょうがないさー。で、試してみて、どう?」
たかね「どう、とは?」
響「ふとんと毛布の話。今は毛布に直接さわってないわけだけど、寒い?」
たかね「……、です」
響「ん? なんて?」
たかね「あたたかいです、といったのです! ひびきのいけず!」
響「へへー、だよね? それにさ、ふたりで一緒にいるから、もっとあったかいんだよ」
たかね「…… ふふっ。たしかに、それはもっともですね」
響「わかればよし。じゃあ改めて…… たかね、おやすみ」
たかね「おやすみなさい、ひびき」
219 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/03(火) 22:11:57.28 :ufR38H/J0
【りっか】
たかね「…… むにゃ…… ひびき、なんですか…… なにが、あったのです……?」
響「ふふふ…… 外の様子見たらそのねぼけまなこもぱっちり開くはずさー、ほらっ!」シャッ
たかね「ただでさえ、さむいのに…… そとが、なんだと……」
たかね「……! これは! やねや、このはが、しろくなって!」
響「夜中から降ってたみたいだぞ。さすがに積もってはいないけど」
たかね「すごい…… すごいです! それに、しろいものが、そらからたくさん!」
響(…… 雪見たこともないってことは、案外南のほうの出身なのかなぁ)
たかね「はっ…… こうしてはいられません! ひびき、はやく、あさごはんを!」
響「あはは、はいはい、ちょっと待ってね」
220 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/03(火) 22:13:51.21 :ufR38H/J0
【カウントアップ】
響「…… きょうのてんびん座の運勢、8位かー。微妙なとこだなぁ」
たかね「はちばんめなら、よいようにおもいますが」
響「でもこれ、全部で12のうちの8番目だからさ」
たかね「なるほど…… それはたしかに、いまひとつですね」
響「そういえば、たかね、誕生日とか星座とかって覚えてる?」
たかね「たんじょうび…… せいざ? いえ…… わかりません」
響「じゃあとりあえず、自分が知ってる日だってことにしたらいいよ。1月の21日」
たかね「いちがつ、にじゅういちにち。そのばあい、『せいざ』はどうなるのです?」
響「ああ、ちょうど次で出てくるぞ」
たかね「そうでしたか。ほかならぬわたくしのことです、さぞすばらしい――」
< 『そして今日最も悪い運勢なのは、ごめんなさーい、みずがめ座のあなた!』
たかね「な…… なんとっ!?」
響「てんびんもみずがめも風の属性だから、だいたい順位近いんだよね」
221 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/03(火) 22:15:51.73 :ufR38H/J0
【Carmine】
響「雪降ってるくらいだから、うんと暖かくしてかないとなー」
たかね「きょうもわたくし、ちがうふくを?」
響「もっちろん! ちっちゃくたって女の子なんだから、おしゃれには気を遣わなきゃ!」
たかね「ところで、かみどめは、いつもおなじものなのですね」
響「あ…… あー、うん。ごめん、それ、イヤだった?」
たかね「いえ、そんなことは…… ただ、どうしていつも、これなのですか?」
響「…… たかねにはさ、それがいちばん似合うと思うんだ。まあ言っちゃえば、自分の趣味なんだけど」
たかね「ひびきがえらんでくれたのなら、わたくし、これがいいです!」
響「……ふふ、ありがと。さ、行こっか!」
222 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/03(火) 22:16:44.93 :ufR38H/J0
【割とレア】
響「……おっ? たかね、ちょっとこれ見てみて」
たかね「じめんが、どうかしましたか?」
響「もうちょっと近寄るとわかるかな。ほら、白くてきらきらしてるでしょ」
たかね「…… おお、ほんとうですね。ただのつちでは、ないようですが……」
響「うん、自分もこっちに来るまで見たことなかったんだよね。たかね、これ踏んでごらん」
たかね「よいのですか?」
響「いいよ、思いっきりぐっと」
たかね「それでは…… えいっ」
ザキュッ
たかね「!?」
223 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/03(火) 22:18:04.59 :ufR38H/J0
響「ふふ、どう? ちょっと面白くない?」
たかね「あしのしたで、くずれるような…… ひびき、これはいったい、なんですか?」
響「霜柱っていってね、土のなかの水分が凍ってできるんだ」
たかね「しも、ばしら…… もうすこし、ふんでもよいでしょうか」
響「うん、いいぞ。よーし、自分も久しぶりだし、ちょっと踏んでみようかな!」
サク ザキュッ
シャリッ ザクッ
たかね「これは…… このかんしょく、なかなか、くせになります」サクッ
響「でしょ?」
224 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/03(火) 22:18:41.30 :ufR38H/J0
響「おっ、まだあった、えい」ザクッ
たかね「ああ!? そこのかたまり、わたくしがいま、ふもうとおもっていたのですよ!」
響「ふふん、こういうのは早いもの勝ちだぞー」
たかね「むむ…… ひきょうな! つぎをさがさねば!」
響「…… うがーっ! 電車乗り逃がしたぁーっ!!」
たかね「あんなにむちゅうでふむからです。ひびきは、こどもなのですね」
響「……『もうすこしだけ』って、さんざん粘りまくったたかねがそれ言うのか、ん?」ギュー
たかね「い゙っ!? いひゃ、いひゃい……! ひびひ、ひゃめへくだはい!」
225 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/03(火) 22:19:43.30 :ufR38H/J0
【ピンチキャッチャー】
たかね「おはようございます」
響「はいさーい! ……って、あれ、ピヨ子ー?」
高木「おお、二人とも、おはよう。音無君は席を外していてね、今日は私で我慢してくれたまえ」
響「おはようございます! そんな、我慢なんてとんでもないぞ、社長」
たかね「たかぎどの、おはようございます。どうぞ、よろしくおねがいします」
高木「うむ、いい返事だ。我那覇君、こちらの小さなレディは引き受けたよ」
響「はーい! それじゃ自分、行ってきまーす!」
たかね「ひびき、どうぞ、きをつけて」
高木「しっかり頑張ってきたまえ!」
226 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/03(火) 22:21:26.26 :ufR38H/J0
【予想通り】
高木「そろそろお昼だな、音無君。たかね君もいることだし、今日は出前でも取ろうか」
小鳥「えっ、わたしもいいんですか?」
高木「もちろんだよ。さて、たかね君、なにか食べたいものはあるかね?」
たかね「でまえ? でまえとは、なんですか?」
小鳥「お店に注文して、お料理を配達してもらうことよ」
たかね「おりょうり…… と、いえば……!」
高木「このあたりは食堂が多いから、和食でも洋食でも、だいたいのものは――」
たかね「らぁめん! たかぎどの、『でまえ』にらぁめんはありますでしょうか!?」
高木「……」
小鳥「……ぷっ」
たかね「あの……? ふたりとも、なにか……」
高木「…… ははは! やはりそう来たか、さすがだね!」
小鳥「社長もわたしも、たかねちゃんならきっとそう言うと思ってただけよ、うふふ」
227 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/03(火) 22:22:02.75 :ufR38H/J0
【吸引力の変わらない】
たかね「おぉ…… かっぷめんとは、またちがったおもむきが……」
高木「…… 本当に大丈夫だろうか。ここの大盛りは、私でも少々持て余す量だが」
小鳥「まぁ、無理だった場合は社長もわたしもいますし、なんとかなるんじゃないでしょうか」
高木「いくら健啖家だったとはいえ、あの年齢では……」
小鳥「さておき社長、まずは、冷めないうちにいただきましょう」
高木「ふむ…… それもそうか。では、頂きます」
たかね「いただきます!」
たかね「ああ…… ゆめのような、じかんでした……」ケプ
高木「まったくの杞憂だったな」
小鳥「ですね」 ●REC
228 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/03(火) 22:27:04.63 :ufR38H/J0
【如月千早の場合】
千早「……♪ ……♪」
千早「♪ …… ♪ ♪」
たかね「……」ジーッ
千早(…… や、やりづらい……)
千早「どうしたの、四じょ…… たかね……、ちゃん。我那覇さんなら、もうすぐ帰ってくると思うけれど」
たかね「ちはやは、なにをしているのですか?」
229 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/03(火) 22:27:40.78 :ufR38H/J0
千早「えっ…… 私? これは、譜読みをしているの」
たかね「ふよみ……」
千早「ごめんなさい、わかりにくかったわね。つまり、歌を歌うための準備みたいなもの」
たかね「おうた、ですか」
千早「そう。音の高さや長さ、声の強さや弱さをしっかりとイメージしながら、楽譜を見て声を乗せるのよ」
たかね「おとのたかさ、ながさ…… いめーじ…… わたくしにも、できるでしょうか」
千早「し…… たかね、ちゃんが? ……そうね、じゃあ、一緒にやってみる?」
たかね「はいっ!」
230 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/03(火) 22:28:09.08 :ufR38H/J0
千早「そういえば、たかねちゃんは楽譜を見たことはある?」
たかね「…… じつはわたくし、このおたまじゃくしのようなものは、よめないのです」
千早(そうだった、四条さんとしての記憶はないって、我那覇さんも言っていたわね……)
千早「それじゃ、まず、簡単な音階を覚えましょう。私について歌ってみて」
たかね「は、はいっ、おてやわらかに」
千早「ふふ、緊張しなくて大丈夫。じゃあ最初は、"ド"の音からね」
たかね「ど?」
千早「昔の人が、音に名前をつけたの。それをこのおたまじゃくしで表せるのよ」
たかね「なんと! おとを、めにみえるようにできるのですね!」
千早「そうよ。音階を覚えていれば、かんたんな楽譜は読めるようになるわ」
231 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/03(火) 22:28:48.21 :ufR38H/J0
千早「これで音階は大丈夫ね。…… そうだ、ちょっと待っていてくれる?」
たかね「はい……? もちろん、かまいませんが」
千早「……できたわ。これで、たかねちゃんにもこの楽譜が読めるようになったはずよ」
たかね「! さきほどの、おとのなまえがかいてあります!」
千早「さっきの音階と合わせたら、頭の中でも音をたどれるでしょう?」
たかね「はい! このおうたのせんりつが、めにみえるようになりました」
千早「そう、それが譜読みの第一歩よ。上手に歌うために、とても大切なことなの」
たかね「わたくしも、いつか、ちはやのようにうたえるようになれるでしょうか?」
千早「ええ。しじ…… たかねちゃんなら、きっと」
232 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/03(火) 22:29:33.71 :ufR38H/J0
たかね「ひびき、おかえりなさい」
響「ただいまー! たかね、ちゃんといい子にしてたかー?」
真美「……いーなー、おひめっち。千早お姉ちゃんのマンツーマンレッスン受けるなんて」
千早「あら真美、お疲れ様。 ……ちょっと待って、いつから見てたの?」
真美「ドレミやってたあたりからかな。お姉ちゃん、デレッデレだったよねー」ニヤニヤ
千早「そ…… そう、かしら? 小さい子相手なら、誰でもあんな感じだと思うけれど」
真美「そーかなぁ? 見た目はぜーんぜん似てないけど、ホントの姉妹みたいだったってゆーか――」
千早「……」
真美「あ…… っ、ご、ごめん千早お姉ちゃん! あのね、真美、そういうつもりじゃ」
千早「いいの、気にしていないわ。本当よ」
千早(…… ああ、そうか…… なんだか懐かしいような気がしたのも、勘違いじゃないわけだわ)
233 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/03(火) 22:31:31.93 :ufR38H/J0
【らーにんぐ】
たかね「ゆきが、すっかりやんでしまいましたね」
響「いくら冬でも、このへんで一日じゅう降るってことはあんまりないからなー」
たかね「もっとたくさんふると、つもるのですか?」
響「そうだね。そうなったらたかねの足なんか、完全に埋もれちゃうぞ」
たかね「しかし、ぜひいちど、みてみたいものです」
響「積もったら積もったでいろいろ大変なんだよ。電車も止まっちゃうかもしれないし」
たかね「そ、それは、こまります! じむしょにいけないと、でまえもいただけません……」
響「……出前?」
たかね「はい! きょうはたかぎどのが、でまえのらぁめんをごちそうしてくださいました!」
響「ええっ、ホント!? うわー、今度ちゃんとお礼言いに行かなくっちゃ」
たかね「かっぷめんも、びみですが…… おみせのらぁめんも、まこと、すばらしくびみで!」トローン
響(…… 味覚えちゃったか。こいつはやっかいだぞ)
234 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/03(火) 22:32:34.71 :ufR38H/J0
【なめられてる】
たかね「ひびきがよういしたごはんです、のこさずたべるのですよ?」
たかね「…… では、ここに、おきますので」
たかね「ま…… まだです、まだですよ」
たかね「まだ、といっているではありませんか!?」
たかね「…… あの、な、なぜ、こちらへ、よって」
響「うーん…… いぬ美のやつ、まだたかねのこと遊び相手だと思ってるな」
いぬ美「はっはっはっ」ペロペロペロペロ
たかね「ひびき! み、みていないで、ひゃんっ、たすけ…… ひびきーっ!?」
235 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/03(火) 22:33:43.95 :ufR38H/J0
【まるっと】
たかね「おや…… ひびき、ひょっとして、それは『ふよみ』をしているのでは」
響「そうだけど…… あれ、どうしてたかねが譜読みなんて知ってるの?」
たかね「ふふ、わたくしにかかれば、かんたんなことです」
響「ほほー、さすがだなー」
たかね「ひびきのために、とくべつに、おとのよみかたをおしえてあげてもよいのですよ?」
響「それはすっごく助かるぞー。じゃあ、どうかお願いします、たかね先生!」
たかね「そこまでいわれては、しかたありませんね」フフン
響「……ってことはつまり、きょうは千早がかまってくれたんだ?」
たかね「ふぇっ!? な、なぜわかったのですか?」
響「あ、そういうこと教えてくれそうなのって言ったら千早かなと思ったんだけど、やっぱりか」
たかね「…… あてずっぽうだったのですか!? ずるい!」
響「それに引っかかっちゃうほうが悪いのさー。さて、じゃ、一緒にやろっか」
236 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/03(火) 22:35:36.99 :ufR38H/J0
【とっても甘くて、ふわふわの】
たかね「ひびき。ねるまえに、せんじつの、あまくてあたたかい、ちゃいろいものがのみたいです」
響「あのとき名前教えてあげたよね。なんて言うんだった?」
たかね「ええと…… ちょこ、ではなく…… ここあ! そう、ここあです!」
響「おっ、ちゃんと覚えてたなー。作ってあげるから、飲んだ後はちゃんと歯磨くんだぞ」
響「はい、できたよー。まだ熱いからちょっと待っててね」
たかね「ふあぁ…… まことに、あまい、よいかおりです……」
響「で、今日は、仕上げにこれも」
たかね「!? な、なにをいれようというのです!?」
響「え、これ」
237 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/03(火) 22:36:18.14 :ufR38H/J0
たかね「いやです! わたくしのぶんには、そのようなまぜもの、やめてください!」
響「そう? じゃ、自分の分にだけ入れよっかな」
たかね「…… ひびき、そのしろいものは、いったいなんですか?」
響「んー? まぜものは要らないんじゃなかったの?」
たかね「いらない…… のですが、しじょうのものとして、けんしきをふかめなくてはなりませんので」
響「ふーん…… これはね、マシュマロっていうんだ」
たかね「ましゅまろ……?」
響「そ、お菓子なんだけどね、ココアに入れるとほら、こんな感じでとろっと溶けるの」
たかね「お、おかし…… ここあで、とろっと……」ゴクリ
響「甘さが増すし、泡みたいに溶けたマシュマロがふわふわして、すごく美味しいんだぞー」
238 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/03(火) 22:36:58.17 :ufR38H/J0
たかね「……あ、あの、ひびき」
響「でもなー、まぜものが嫌な子に、無理にすすめるわけにいかないしなー」
たかね「…… そう、でした…… やめてください、といったのは、わたくしで……」シュン
響「もー、子供なら子供らしく、欲しかったら欲しいってすなおに言えばいいの!」
ポチャ
たかね「!」 パァ
響「たかねはマシュマロ、ひとつでいい?」
たかね「……ひびきのおすすめは、いくつですか?」
響「んー、そうだなぁ…… たかねみたいなお子様には、あまあまで2個くらいいいんじゃない?」
たかね「むっ! おこさまあつかいはやめてください!」
響「じゃあ、ひとつでいいの?」
たかね「いいえ、もちろん、ふたつください!」
244 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/07(土) 22:22:29.94 :vAzuYSWp0
【意外と間違う】
響「きょうの朝ごはんは卵料理にしようと思うんだけど、どう?」
たかね「たまご! たまごはえいようもありますし、だいすきです!」
響「よーし、決まりだな!」
たかね「しかし、ひびき、なぜたまごなのですか?」
響「余ってる分を使い切っちゃいたいのさー。たかね、なにが食べたい?」
たかね「それなら…… わたくし、いりたまごをしょもうします!」
響「炒り卵? オッケー、作ってくるから待っててね」
たかね「しょうちしました」
245 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/07(土) 22:23:07.14 :vAzuYSWp0
響「はーい、お待ちどおさま」
たかね「……」
響「…… あれっ? たかね、どうかした?」
たかね「ひびき、これは、なんですか」
響「え、スクランブルエッグだけど」
たかね「す、すく……? いりたまごはどうしたのです!?」
響「ん? ……え? 炒り卵ってスクランブルエッグじゃないの?」
たかね「『すくらんぶるえっぐ』はいりたまごなのですか!?」
響「えっ…… あれっ、違うっけ、同じじゃないんだっけ!?」
246 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/07(土) 22:23:59.06 :vAzuYSWp0
響「うん、勘違いしたのは自分が悪かったぞ…… とりあえず、冷めないうちに食べよ?」
たかね「むぅ…… いりたまご……」
響「まぁまぁ、たかね、これもきっと気に入るって。なんたって自分が作ったんだ、おいしいぞー」
たかね「…… ふむ…… ひびきが、そういうならば…… いただきます」
響「はい、いただきます」
たかね「……」モグモグ
たかね「!」
響「…… どう?」
たかね「ふわふわで、でも、とろとろで……! びみです! まことにびみです!」
響「そっかそっか、よかった! おかわりもあるから、いっぱい食べてね」
247 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/07(土) 22:26:28.77 :vAzuYSWp0
【不純な】
たかね「さあ、ひびき! ごはんのあとは、ちゃんと、はをみがきましょう!」
響(世のお母さんたちが聞いたら、泣いて喜びそうなこと言ってるけど)
たかね「では…… いつものはみがきこを、おねがいします」キラキラ
響(動機が明らかにおかしいさー……)
たかね「ああ、たのしきさんぷんかん…… いえ、もっとながくても、わたくしはかんげいですが」
響「たかね、何度も言うけど、歯磨き粉は食べ物じゃないんだからね?」
たかね「…… わ、わかっておりますとも」
響「なんで目そらすの」
たかね「ああ…… おなごひおひゅう、ごじゃいましゅ……」シャコシャコ
響「はいはい、ちゃんとペッてするんだぞ」
たかね「ふぁい」
248 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/07(土) 22:27:53.77 :vAzuYSWp0
【不意打ち】
たかね「おべんとう?」
響「うん。たかねのこと預かってもらってる上に、お昼までご馳走になるのは、さすがにね」
たかね「ひびきが、つくったのですか?」
響「もちろんだぞ。あー、さては自分の料理の腕、信用してないなー?」
たかね「はて…… なぜです? ひびきのつくるおりょうりは、いつも、なんでも、びみですよ」
響「……!」
たかね「ひびき? どうしたのですか?」
響「い…… いやっ、な、なんでもないよ! もー、たかねは口がうまいんだから」ワシャワシャ
たかね「な、なぜみゃくらくもなく、あたまをなでるのですか!? もう!」
響(…… いっきなり貴音とおんなじこと言うなんて、反則さー……)
249 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/07(土) 22:28:49.87 :vAzuYSWp0
【護摩焚き】
ガタンゴトン
たかね「ひびき、ひびき。きょうも、えきにつくまで、しりとりをしましょう!」
乗客1(このちっちゃい子の髪、すごい色だけど綺麗だなぁ)
響「たかねはしりとり好きだなー。よーし、なんでもこいっ」
乗客2(制服着てるし、どう見てもお母さんじゃないよな…… でも姉妹にも見えない……)
たかね「わたくしからですね。では…… "けまり"」
乗客1(けまり…… ああ、蹴鞠…… 蹴鞠!?)
響「り、か。うーんと、じゃあ、"りんご"」
乗客2(次は…… 普通なら、"ゴリラ" "ごみばこ" あたりだろうけど……)
たかね「ご…… ご……、"ごまだき"!」
乗客1(なんだっけ、なんだっけそれ! 『ゆく年くる年』でよく聞く感じの!)
乗客2(そこ普通に"胡麻"じゃダメだったのかよ!!)
250 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/07(土) 22:30:17.09 :vAzuYSWp0
【まちどおしい】
たかね「ことりじょう、いまは、なんじでしょうか?」
小鳥「10時をちょっとすぎたくらいね。どうしたの? なにか見たいテレビとかある?」
たかね「いえ、すこし、きになっただけです」
たかね「あの…… ことりじょう。もう、いちじかんほどたちましたか?」
小鳥「えっ? えーと…… まだ10時半にもなってないわ」
たかね「そうでしたか…… たびたび、もうしわけありません」
小鳥「わたしはぜんぜん構わないけど、たかねちゃん、なにか待ってるの?」
たかね「い、いいえ、ちがいます、なにもないのです」
たかね「……」ジーッ
小鳥(……うふふ。響ちゃんお手製のお弁当、よっぽど楽しみなのね) ●REC
251 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/07(土) 22:31:14.97 :vAzuYSWp0
【まちにまった】
たかね「みてください、たかぎどの! わたくしのおべんとうです!」
高木「ん、どれどれ? おお、彩りもあざやかで、とても美味しそうだね」
たかね「はい! ひびきが、もたせてくれたのです!」
高木「ほう…… これは我那覇君が作ったのか。忙しいだろうに、見事なものだ」
律子「たかね、それ、ちょっと私にも見せてよ」
たかね「どうです、りつこじょう! おいしそうでしょう!」
律子「ほんとね、それに栄養バランスもよさそう。伊達にカンペキ名乗ってないわね、響も」
高木「…… それで、音無君、なぜ君がそんなに打ちひしがれているのかね」
小鳥「響ちゃんのお弁当から溢れる女子力が高すぎるんですピヨ……」ズーン
たかね「んむ…… これもびみでふ、これも、あむ」
252 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/07(土) 22:33:58.43 :vAzuYSWp0
【菊地真の場合】
真「ねえたかね、ボク今からランニングに行くんだけど、よかったら一緒に来ない?」
たかね「はて…… らんにんぐ……、とは?」
真「走るってこと。ちょっと寒いけど、たまには外に出て体動かすのも楽しいよっ!」
たかね「おそとをはしる…… おもしろそうです!」
伊織「…… ちょっと真、高い高いでたかねをグロッキーにしたの、忘れてないでしょうね?」
真「も、もちろん。今日はボクのトレーニングっていうより、たかねを外に連れてってあげようと思ってさ」
伊織「どうだか。あんまり無理させたらダメよ」
真「ちぇっ、信用ないなぁ…… そんなことしないって」
たかね「まこと。わたくしも、ごいっしょしたいです」
真「よおし、じゃあさっそく行こう!」
253 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/07(土) 22:34:50.88 :vAzuYSWp0
真「ちょっと歩くけど、たかね、大丈夫?」
たかね「もちろんです。わたくし、もうごさいなのですから」
真「あははっ、そうだったね! 頼もしいや」
たかね「まことはまいにち、うんどうをするのですか?」
真「うん、ボクはやっぱり身体を動かすのが好きだからさ。トレーニングにもなるし」
たかね「それはやはり、あいどるとして、かつやくするために?」
真「一番はそれだね! ダンスはもちろん、それ以外でも何かと体力いるから」
たかね「なるほど。くろうがおおいのですね」
真「あとは女の子として、スタイルをきれいに保てるようにってのもあるかな」
たかね「すたいる…… というと、たいけいのことですか?」
真「そうそう。たかねみたいによく食べる子には運動するの、おすすめだよ!」
たかね「うっ…… け、けんとう、いたします……」
254 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/07(土) 22:35:32.94 :vAzuYSWp0
真「よーし、じゃ、まずは準備体操から! ボクがやってみせるから、マネしてみて」
たかね「すぐにはしるのではないのですか?」
真「うん、いきなり動こうとしたら、身体がびっくりしちゃうからさ」
たかね「む、それはいけませんね」
真「一通りやったらいよいよ走ってみよう。大丈夫、いきなり無茶はさせないよ」
たかね「おてやわらかに、おねがいします」
真「まっかせといて! そうだ、のどがかわいたらしっかり水分をとることも大事だからね」
たかね「はいっ!」
255 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/07(土) 22:39:10.27 :vAzuYSWp0
響「はいさーい、ただいまー! ……ん、あれっ? たかねは?」
伊織「ああ、さっき真が、一緒にランニングしようって誘って連れて行ったわよ」
響「へえ、真が? たかねにはハードな経験になりそうだなぁ」
ガチャ
真「ただいまー……」
たかね「…… も、もどりました…… うっ」ヨロヨロ
伊織「あら、もう終わり? おかえりなさい、ずいぶん早かったわね」
響「お、ちょうどいいところに。おかえり真、たかねも…… って、たかね、どうしたの」
256 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/07(土) 22:40:52.21 :vAzuYSWp0
真「それがさー…… たかねが出発前にアクエリ飲み干しちゃって、ランニングどころじゃ……」
伊織「……とんだアクシデントね」
たかね「うぷっ…… そんな! すいぶんをとれ、といったのは、まことではありませんか!?」
真「運動中に補給しようねって話で、スタート前に飲めなんて一言も言ってないからね、ボク」
響「っていうか、たかね…… 味につられたんでしょ」
たかね「…… な、なんのこと、でしょうか……? ぬれぎぬは、やめてください」
響「こんなお腹しちゃって、説得力ないぞ」タプタプ
たかね「ああっ、ひびき、おやめなさい…… うっぷ」
響「ごめんなー、真。せっかく連れて行ってくれたのに」
真「や、ボクはぜんぜん構わないけどさ。じゃ、改めて自分の分、ランニングしてくるよ!」
たかね「おお…… なんというたいりょく……」
響「感心してる場合じゃないぞー」タプタプ
たかね「うぷっ」
257 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/07(土) 22:41:56.55 :vAzuYSWp0
【再戦】
ガタンゴトン
たかね「いきますよ。では…… "めんような"!」
乗客3(なんでそれで始めようと思ったんだろう、この子)
響「こっちの番だね、"な"…… じゃあ、"ナポレオンコクジャク"」
乗客4(…… 孔雀って、種類とかあったんだな……)
たかね「なかなかやりますね、ひびき。く…… "くしなだひめ"」
乗客5(面妖とかってレベルじゃねえ…… こどもクイズ王決定戦かなんかに出てろよ……)
響「よくそんなの知ってたなー。"メンハタオリドリ"」
乗客6(両方とも、さっきからなに縛りなんだ、これ)
たかね「れんぞくして、とりにこだわるとは…… わたくしをあなどっておりませんか?」
響「カンペキな自分には、ハンデくらいないとね。それよりたかね、"り"だぞ、"り"」
たかね「り、り…… ううん……」
258 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/07(土) 22:43:33.73 :vAzuYSWp0
【初めての共同作業です】
たかね「ごちそうさまです。さて、ひびき、わたくし、ひびきのおてつだいをしたいです」
響「うん? たかね、今でもお皿運んでくれたりするじゃない、十分だよ」
たかね「もっとなにか、ありませんか?」
響「じゃあ次のお皿渡すぞー、いい?」バシャバシャ
たかね「いつでもだいじょうぶです」
響「ほいっ、よろしく。表も裏も、よーく拭いてね」
たかね「はいっ!」キュッ キュッ
響「しっかしたかね、どうしたのさ、急に」
たかね「びみなおべんとうのおれいに、とおもったのです」
響「そんなこと気にしなくていいのに。いや、ありがたいけど」
たかね「『はたらかざるもの、くうべからず』、というではありませんか?」
響「あはは、なるほど。それなら、明日もおいしいおべんと作ってあげないとな!」
259 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/07(土) 22:44:26.97 :vAzuYSWp0
【天地無用】
たかね「…… ふむふむ」ペラ
響「……」カリカリカリ
たかね「ほほう…… ……ほう!」ペラッ
響「……」カリカリ
たかね「おお、なるほど……」ペラ
響「…… ラノベ、おもしろい? たかね」
たかね「ええ、さいこうです。ちわき、にくおどる、とはこのこと!」
響「そりゃよかったさー。自分の課題終わるまで、もうちょっとそれ見ててねー」カリカリ
たかね「ふふ、わたくしがよみおえるまえに、おわるとよいですね、ひびき」
響「そーだなー。ところでさ、たかね」カリカリ
たかね「はい?」ペラ
響「それ、上下逆さまだぞー」カリカリ
260 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/07(土) 22:46:09.10 :vAzuYSWp0
【傷つけられたぷらいどは】
響「もー、スネなくていいってば。5歳でラノベ読めるほうが珍しいんだから」
たかね「……」ムスー
響「それより自分、ストレッチしたいから、ちょっと手伝ってよ、たかね」
たかね「…… なにをすれば、よいのです?」プクー
響「自分が座って前に身体倒すから、背中を押してもらえるかな」
たかね「わかりました」
響「じゃ、始めるねー」グイー
たかね「はい」グイー
261 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/07(土) 22:46:46.98 :vAzuYSWp0
響「おっ、そうそう、そんな感じ、うまいぞたかね」ググー
たかね「はい」グイー
響「ありがと、そのくらいでもういいよー」ググー
たかね「はい」グイー
響「…… おーい、たかねー? 押すのはもういいって――」グググ
たかね「……はい」グイー
響「ちょっ、たかね、もう、あだだっ、やめっ!?」ググググ
262 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/07(土) 22:48:03.20 :vAzuYSWp0
【やられたら】
響「さーて、じゃあ、今度はたかねもストレッチ、しようか」ゴゴゴゴ
たかね「あの、その…… あれは、ほんの、できごころというもので……」ガクガク
響「そういえば、貴音、最初のうちは身体すっごく硬かったもんなー」
たかね「ひ、ひびき、なにをいっているのです……?」
響「子供の頃からやってれば、いくらかマシになるよ、きっと」ワキワキ
たかね「…… そのてのうごきは、なんなのですっ!?」
\ めんようなーっ!? /
272 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/12(木) 23:13:01.73 :wIeCL1NK0
【手も届かない】
響「もう5歳だもんね、たかね。ひとりでお顔洗えるよね?」
たかね「も、もちろんです。そこで、しかとみていなさい、ひびき」
響「おっけー」
ジャー
たかね「…… では、いざ……!」パシャ
たかね「ひゃっ!? つ、つめたっ!」
響「大丈夫ー?」
たかね「…… い、いまは、ゆだんしただけなのです、こんどは…… ひゃあ!」バシャ
響「……」
たかね「……あの、ひびき。きょうはなぜか、おみずが、つめたいです」グス
響(お湯の出し方わかんないって、素直に言えばいいのに)
273 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/12(木) 23:14:00.35 :wIeCL1NK0
【もとは左右非対称】
響「んしょっと…… よし、きょうもカンペキっ!」ギュッ
たかね「……」ジーッ
響「ん? どうしたの、たかね。自分の顔になんかついてる?」
たかね「ひびきはいつも、そのかみがたなのですね」
響「うん、そうだぞ。これが自分のトレードマークだからね」
たかね「あたまのうえのつのも、そうですか?」
響「つの……? ああ、これもまあ、そうかな」
たかね「わたくしも、なにか、とれえどまーくがほしいです」
響「うーん…… でも、たかねの場合は髪の色だけで目立つし、それに髪留めもあるしさ」
たかね「そうです! ひびき、わたくしにもつのをつけてください!」
響「はあ!?」
たかね「かみがたをかえると、『じょしりょく』があがるともききました。さあ!」
響「いや、これは意図的にやってるわけじゃないんだってば!」
274 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/12(木) 23:14:57.78 :wIeCL1NK0
【ほっとけない】
たかね「あっ、ひびき! みてください、ねこさんです」
野良猫「……」
響「あれっ、ここらでは見かけたことない子だなぁ。おっはよー!」
野良猫「……」ジリッ
たかね「おびえているのでしょうか?」
響「知らない場所で緊張してるのかも。ねえねえ、キミ、どのへんから来たの?」
野良猫「シャーッ」
たかね「…… きげんがわるいようですね。いきましょう、ひびき」
野良猫「……」タタタッ
たかね「ひびき……? たちどまって、どうしたというので――」
響「ちょっと待ってー! そっちはここらのボスの縄張りど真ん中だから、こっち行ったほうが!」
たかね「ひ、ひびき!? そちらは、ちがうみちで…… ああっ!?」ズルズル
275 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/12(木) 23:15:43.78 :wIeCL1NK0
【二度あることは】
たかね「まったく。みずしらずのねこさんに、どれだけかまけるのですか」
響「で…… でも、あのままだとあの子、ケンカになるのが目に見えてたし……」
たかね「それで、ひびきがちこくしたらどうするのです。ほんまつてんとうですよ」
響「大丈夫だってば。現にほら、十分間に合う時間だから」
たかね「それとこれとは、はなしがべつです!」
響「ううー…… それは、そうかもしれないけど……」
たかね「たしかに、ねこさんはかわいいです。しかし、しょせん、ゆきずりのえんで……」
響「だって…… ……ん?」
たかね「……そのために、がくぎょうのためのだいじなじかんを、おろそかにしては…… ひびき?」
野良犬「ぐるるるるる」
響「そんな邪険にしないでよー。自分、今から学校なんだけど、キミはこれからどこ行くの?」
たかね「ひびき、とりあえず、そこになおりなさい」
276 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/12(木) 23:16:43.06 :wIeCL1NK0
【つのつの二本】
たかね「ことりじょう」
小鳥「ん、なあに?」カタカタカタ
たかね「あたまにつのをはやすには、どうしたらよいのですか?」
小鳥「…… 頭に、ツノ……? ええっと、どういうこと?」カタカタ
たかね「ひびきや、みきや、まこと…… あずさもですね。みなのあたまにはえている、つのです」
小鳥「あ…… ああ、なるほど! あのねたかねちゃん、それはアホ毛って言うのよ」
たかね「あほげ……?」
小鳥「そう、元は美容用語だったらしいんだけど……」
小鳥「……というように、キャラクターの外見を構成する重要な要素であるだけじゃなく、内面をもある程度表現することのできる画期的な記号としてのアホ毛が」
たかね「あ、あの、ことりじょう、もうじゅうぶんです、よくわかりましたから」
277 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/12(木) 23:17:44.25 :wIeCL1NK0
小鳥「いいえ、まだよたかねちゃん、大事なのは――」
たかね「……? ことりじょう、きゅうにだまって、どうしたのですか?」
律子「……続けていいですよ。大事なのは、なんですか、小鳥さん」
たかね「おや、りつこじょ…… ……!?」
たかね(りつこじょうのあたまに、ないはずの、つのがみえて……!? めんような!)
小鳥「だいじなのは、おしごとをすることです」カタカタカタカタ ターンッ
律子「そうですよね」
小鳥「はい、そうです、りつこさん」カタカタカタカタカタカタ
律子「……たかね。この通り、案外かんたんに生えるのよ、ツノなんて」
たかね「そ、そのとおり、ですね……」ブルブル
278 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/12(木) 23:19:44.79 :wIeCL1NK0
【萩原雪歩の場合】
雪歩「はい、どうぞ、たかねちゃん」
たかね「ありがとうございます、ゆきほ。では、さっそく」ズズ
雪歩「……」
たかね「む…… これは、さきほどのものより、ほのかにあまいきがします」
雪歩「じゃあ次は、これ。どうかな?」
たかね「いただきます。 ……はて、これは、みっつまえにのんだのと、おなじものでは?」
雪歩「…… すごい! 本当にちゃんと違いがわかるんだね、たかねちゃん」
たかね「ゆきほの、おちゃのいれかたがじょうずだから、あじがわかるのだとおもいますよ」
雪歩「そんなぁ、えへへ、わたしなんか……」
279 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/12(木) 23:20:50.47 :wIeCL1NK0
高木「律子君。萩原君は、たかね君を相手に何をしているのかね」
律子「なんでも、"利き茶"みたいですね。たかねが微妙な味の違いもわかるとかで」
高木「ほう…… ところで、音無君はなぜ体育座りを?」
律子「たかねがやってるのを見て、小鳥さんも一緒に挑戦したんですよ。それで、見事に――」
高木「音無君にそうした嗜みがあったとは。いや、こう言ってはなんだが、意外な」
律子「――雪歩が冗談のつもりで出したペットボトルのお茶と最高級の玉露を、逆に答えちゃったんだそうです」
高木「…… それは…… うむ、なんと言ったらいいのか……」
小鳥「違います、違うんです社長! わたし今日、お昼に激辛カレーなんか食べちゃったから舌の調子がぁぁ!」ガバッ
高木「うおっ、お、落ち着きたまえ…… 事務所で玉露をいただく機会などそうないのだから、仕方がないよ」
律子「社長、そんな悲しいフォロー、やめてください」
280 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/12(木) 23:21:22.41 :wIeCL1NK0
雪歩「じゃあせっかくだから、おいしいお茶の淹れ方も教えてあげるね」
たかね「どうぞ、よしなにおねがいします、ゆきほ」
雪歩「うふふ、はい、こちらこそ。では、まずこうやって…… 人数分のお湯呑みに、お湯を注ぎます」
たかね「おゆのみに? ……ただのおゆを、ですか?」
雪歩「こうするのには、いくつか理由があるんだよ。ひとつは、これでお湯呑みを温めるため」
たかね「…… なるほど。うつわがつめたいと、おちゃがひえてしまう、ということですね」
雪歩「そう、正解。それに、どれくらいの量のお湯がいるか、計ることもできるし」
たかね「たしかに、ごうりてきです!」
雪歩「あと、あんまりお湯が熱いとお茶が苦くなっちゃうから、ちょうどいい温度に冷ますためでもあるの」
たかね「む、わたくし、にがいのはにがてですから、きをつけなくては」
281 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/12(木) 23:21:49.65 :wIeCL1NK0
雪歩「じゃあ次は、お急須にお茶っ葉を入れます。だいたい一人ぶんがおさじ一杯くらい」
たかね「ひとりにつき、いっぱいですね」
雪歩「そうそう。そしてここに、お湯呑みで冷ましてたお湯を注いで…… ちょっと待とうね」
たかね「すぐについでは、いけないのですか?」
雪歩「うん、お茶の成分がお湯に浸み出すのを静かに待つの。お茶っ葉の種類によって、30秒から1分半くらいかな」
たかね「はい! それでは、まちましょう!」
雪歩「出来上がったら、人数分のお湯呑みに、少しずつ順番に注いでいくよ。さて、どうしてでしょう?」
たかね「ええと…… おちゃのこさが、ばらつかないように…… でしょうか」
雪歩「よくできました! 注ぐのは最後の一滴まで、お急須に残らないように、しっかりとね」
282 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/12(木) 23:22:23.53 :wIeCL1NK0
たかね「なぜさいごまでなのですか?」
雪歩「お湯が残ってるとね、次に同じ葉っぱでお茶を淹れたときの味が変わっちゃうんだよ」
たかね「ほほう」
雪歩「それに、お茶のおいしさは最後の一滴にぜんぶ詰まってるって言うくらいだから、飲まないのはもったいないの」
たかね「おお、そうだったのですか……!」
雪歩「うん。だから今回のその一滴は、たかねちゃんの分に注いでおくね」
たかね「なんと! ありがとうございます、ゆきほ」
雪歩「どういたしまして。淹れ方もだけど、結局、おいしく飲んでもらいたいな、って気持ちが大事なんだよ」
283 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/12(木) 23:22:58.38 :wIeCL1NK0
雪歩「というわけで社長、律子さん、お茶が入りましたよ。少し休憩しませんか?」
たかね「わたくしも、おてつだいしました!」
高木「それはいいね。さっそくいただこう」
たかね「わたくしがおもちします! どうぞ、たかぎどの、りつこじょう」コト
律子「ちょうど喉が渇いたとこだったわ。ありがとう雪歩、たかね」
小鳥「…… そうよね、雪歩ちゃんのお茶の味もわからない味オンチのわたしに、出すお茶なんてないわよね……」
雪歩「あっ、小鳥さんには別メニューを用意してます!」
小鳥「えっ?」
284 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/12(木) 23:23:53.71 :wIeCL1NK0
雪歩「やっぱり淹れ方がダメダメだから、玉露とペットボトルのお茶を間違われちゃうんですぅ……」
小鳥「そ、それは…… あの、雪歩ちゃん、わたし本当に申し訳ないと思ってて」
雪歩「いいえ! 悪いのは小鳥さんじゃありません、わたしが未熟なのがいけないんですっ!」
小鳥「…… ええと、それはそれとして、別メニュー、って……?」
雪歩「決めたんです…… 二度と小鳥さんが間違わないくらい、おいしくお茶を淹れられるようになってやる、って!」
小鳥「そ、そう、それはすごくいいことだと思うわ」
雪歩「だから、小鳥さん! 試飲役として特訓に付き合ってほしいんですぅ!」
小鳥「えっ」
律子「ああ、おいしい…… 日本人でよかったわ」ズズ
高木「温まるな、生き返るようだ。とても上手にできているよ、たかね君」ズズー
たかね「あ、あの、ふたりとも、ことりじょうはほうっておいてよいのですか……?」ズズ
285 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/12(木) 23:26:23.45 :wIeCL1NK0
【土か金属か】
響「おっ、豚肉が安いなー! たかね、夕飯はお鍋にしようか」
たかね「なっ!? お、おなべを…… たべるのですか?」
響「うん、寒いんだし、あったかいもの食べようよ。自分がおいしいの作ってあげる!」
たかね「…… あじつけのもんだいでは、ないようにおもいますが……」
響「甘いなーたかね、シンプルだからこそ味付けとかが大事なんだぞ」
たかね「それに、あしたからのおりょうりにさしつかえませんか」
響「え、どうして?」
たかね「だって…… おなべを、たべるのでしょう?」
響「そうだけど、それが明日からとどう関係するの?」
たかね「…… あとはもう、わたくしがかくごをきめるだけ、ということですね……」
響「ちょっと待って、なんかひどい勘違いがある気がしてきたぞ」
286 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/12(木) 23:26:56.87 :wIeCL1NK0
【ミニでも大きい】
たかね「ふむ、つまり…… ぶたのおにくを、おなべでにるのですね」
響「そうそう。牛はちょっと値が張るし、お鍋にはあんまり合わない気がするし」
たかね「ほかには、なにもいれないのですか?」
響「まさか! ほうれんそうをメインにして、にんじんとかごぼうとか、色々とね」
たかね「どのようなあじになるのか、そうぞうがつきません……」
響「そこは自分にまかせといてよ」
たかね「…… ところで、まさかとおもいますが、ひびき…… ぶたたどのは、いずれ……?」
響「今度はなに言い出すんだたかね!? ブタ太は自分の大事な家族だぞ!」
たかね「だ、だいじにそだててから…… おもむろに……!?」
響「うがーっ、ちがーう! そんなことしないってば!」
287 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/12(木) 23:27:50.48 :wIeCL1NK0
【速攻型】
グツグツグツ
たかね「じょうやなべ?」
響「毎夜、常に食べても飽きないくらいおいしいから『常夜鍋』っていう名前なんだって」
たかね「なんともすばらしいなまえですね。 ……さて、ひびき、まだですか?」ソワソワ
響「お肉の色も変わったし、そろそろかな。じゃあ仕上げに、ほうれんそうを入れてっと」
たかね「おお…… みどりが、めにもあざやかです」
響「…… よし、もうよさそう。お皿ちょうだい、取ってあげるよ」
たかね「はいっ! おねがいします!」
響「こんなもんかな、っと…… はい、まだ熱いから気をつけてね。好き嫌いもダメだぞー」
響「さて、じゃあ自分の分……」
たかね「ひびひ!! なふなっへひまいまひふぁ、ふぎをくだふぁい!」モゴモゴ
響「うん、気に入ったのはよーくわかったから、落ち着いて食べような、たかね」
288 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/12(木) 23:28:34.80 :wIeCL1NK0
【〆】
響「どうだった? シンプルだからこそのおいしさでしょ?」
たかね「たんのう、しました…… たしかに、これなら、まいにちでもかまいません」ケプ
響「よかった。それじゃあ、最後にもう一品作ってくるぞ」
たかね「もうひとしな……? しかし、もうほとんどおつゆだけですし、それに、おなかも……」
響「そこは出来てからのお楽しみ。やっぱりお鍋を食べるなら、シメがなくちゃ!」
たかね「しめ?」
たかね「……こ、このかおりは!?」
響「ふふふ、お待たせー。たかねが喜ぶのっていえば、やっぱりこれだよね」
たかね「らぁめん!! おなべが、らぁめんになっております!」
響「お肉とかのダシが出てるからすごくおいしいんだ。どう、これならまだ入るんじゃない?」
たかね「もちろんです! はやく、はやくいただきましょう!」
289 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/12(木) 23:30:15.97 :wIeCL1NK0
【めらんこりぃ】
たかね「これと…… このかーどです!」ピラ
響「あー、違ってたなー、ざんねーん」
たかね「むむ…… どうぞ、ひびきのばんですよ」
響「じゃあ、さっきたかねの開けたこれと…… これっ!」ペラ
たかね「あ、ああっ!?」
響「あっ、しまっ…… じゃなかった、ラッキー。カンで選んだやつが当たったぞ!」
たかね「なんとひれつな! わたくしを、りようするとは、ひびきぃ……!」
響「ふふふ、勝負の世界はきびしいのさー。さて、ペアができたから、次も自分のターンだなー」
たかね「…… い、いたしかたありません……」
響「じゃあ、これと…… ……たしか、これだったかな?」ピラ
たかね「あっ!」
響「あっちゃー、しまったあ! これじゃ、次でたかねに取られちゃうぞー」
たかね「ふふふ、ゆだんしましたね、ひびき! わたくしのばんです!」
290 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/12(木) 23:31:16.30 :wIeCL1NK0
【炭酸には違いない】
響「きょうはお風呂にこれ、入れようか」
たかね「それは……? せっけんですか?」
響「いや、違うよ。ほら、見てて」 チャポ
たかね「……? なにもおこりませんよ、ひびき」
響「それが、もうちょっとすると……」
ジュワワワワワ
たかね「ひゃっ!? あ、あぶくがたくさん!」
響「これ入れると、温まりやすくなるんだ。じゃ、溶けてる間にシャンプーしようか」
たかね「おお…… しゅわしゅわとして…… あっ、それに、おゆにいろが!」
響「確かに見てると楽しいよね。ま、さておき、シャンプーを」
たかね「……はたして、どんなあじがするのでしょうか?」キラキラ
響「言うんじゃないかと思ってたぞ」
291 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/12(木) 23:42:46.62 :wIeCL1NK0
【ふぁむれうた】
響「えーっと、たかねは寝かせた、みんなケージに戻した、モモ次郎は出した、家計簿もつけた、っと」
響(うーん、寝るにはちょっと早いかな? まぁでも、明日もあるし、自分もそろそろ……)
ガチャ
響「ん?」
たかね「……ひびき? ひびき、ですね?」
響「あれっ、たかね、どうしたの。眠れない? トイレ?」
たかね「…… ふ、ふぇ、う、わぁ、うわああああん……」
響「え、ええ!? ちょっと、どうしたの、大丈夫!? どこか痛い? たかねってば!」
292 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/12(木) 23:45:29.15 :wIeCL1NK0
響「そっかー…… 怖い夢、見ちゃったかー」
たかね「わっ、わたくし、おきて……、も、ひっく、どこにも、……ひびきも、だれも、いな、くてっ、ひっ、えぐ」
響「だーいじょうぶさー、たかね。それはただの夢で、自分、ちゃんとここにいるからさ」
たかね「あの、ひびき…… そこに、いますか……?」
響「だいじょうぶ。自分、ここにいるよ。たかねが眠れるまで、一緒にいてあげるから」
たかね「ひびき…… どうか、ずぅっと、そばにいてくださいね」
響「当たり前だぞ。自分はたかねを置いていなくなったりしないよ、約束する」
たかね「はい……」
響「…… そうだ、たかねが安心して寝られるように、子守唄を歌ってあげるよ」
293 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/12(木) 23:47:22.08 :wIeCL1NK0
響「……♪ まいぬはま うりてぃ あしぶわらんちゃが わらいぐぃぬちゅらさ ゆすにまさてぃ」
(前の浜に下りて遊ぶ子供たちの笑い声は、ほかのどんなものよりきれいさー)
響「♪ ふぃしうちゅる なみうとぅや わんなちぇる うやぬ ふぁむれうたぬぐとぅに うたぬぐとぅに」
(さんご礁に打ち寄せる波の音は、自分を産んでくれた親の歌う、子守唄みたい)
響「 ♪ しゅらよい しゅらよ にごたくとぅ しゅらよい しゅらよ かなしょーり……」
(かわいい子、きみが願ったことが、どうか、叶いますように)
響「…… たかね、もう眠れたかな? 今度はちゃんと、いい夢見るんだぞ」
299 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/15(日) 22:14:57.82 :Eo3PN6bV0
【寝て起きて忘れて?】
たかね「…… むにゃむにゃ……」
響(幸せそうな顔しちゃってまぁ…… よく眠れたみたいでよかったけどさ)
響「たーかねー、朝だぞ、あさー! 起きる時間だぞー」
たかね「ん、むぅ…… ひび、き……? ……ひびき!」ガバ
響「おっ、今日はねぼすけじゃないね。えらいぞ、たかね…… って」
たかね「ひびきぃ……」
響「おっと……、どうしたのさ、急に」
たかね「……」ギュウゥ
300 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/15(日) 22:15:37.98 :Eo3PN6bV0
響(まだゆうべの夢のこと、引きずってるんだな。この歳じゃそれも仕方な――)
たかね「なんだか、いつもよりおなかがすきました……」グゥ
響(……そりゃね、あれだけ泣いたら、体力使うしおなかも減るよね)
響「はいはい、すぐ準備するからちょっと待ってて」
たかね「それから、ひびき?」
響「なあに?」
たかね「とてもすてきなおうたでした。また、きかせてください」
響「……ふふ、泣き虫のたかねが寝られないときは、また歌ってあげるよ」
たかね「わ…… わたくしは、ないてなどおりません!」
響「ん、まずは顔洗っておいでー」
301 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/15(日) 22:17:14.12 :Eo3PN6bV0
【しりある】
響「今日の朝ごはん、たまにはちょっと違うもの食べよっか」ザラザラ
たかね「ふむ……? ぱんでも、ごはんでもないのですね」
響「そう、コーンフレーク…… って言ってもわかんないか。はい、どうぞ」
たかね「このままいただいてよいのですか?」
響「そうだなぁ、自分はそのままで食べるのも結構好きかな」
たかね「では…… いただきます!」
たかね「む…… …… ふぉれは……」サクサク
響「どう?」
たかね「あまくて、びみですが、しょうしょうかたいですね」カリカリ
響「じゃあ、ちょっと牛乳入れるといいよ」
たかね「ぎゅうにゅう? どこにいれるのですか?」
302 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/15(日) 22:18:03.23 :Eo3PN6bV0
響「どこ、って…… そりゃもちろん、おなじ器にだぞ」トクトク
たかね「ひびき!? な、なにをするのです!」
響「大丈夫だって。もともとはこうやって食べるものなんだから」
たかね「はあ…… しかし、ぎゅうにゅうびたしになってしまいましたが……」
響「だまされたと思って、まずは食べてみて」
たかね「ふむ、それでは……」ムグムグ
響「ね? どう、食べやすくなったんじゃない?」
たかね「…… おお……! しっとりと、やわらかになって、これはこれでびみです」
響「最後に残った牛乳は甘くなってておいしいから、それも飲んでみるといいぞー」
たかね「はいっ! たくさんのんで、はやくおおきくなります!」
響「…… あー、それはほどほどでいいかな。前以上に差がついても困るし」ボソッ
たかね「?」
303 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/15(日) 22:19:39.19 :Eo3PN6bV0
【おでかけしましょ】
たかね「そういえばきょうのひびきは、いつものせいふくではないのですね」
響「土曜日だし年末近いからね。今週は授業がないのさー」
たかね「では、あさからおしごとですか?」
響「うん。自分、今日はレッスンがメインだから、いつもより早く戻ってこれると思うぞ」
たかね「ならば、わたくし、かえりにつれていってほしいところがございます!」
響「へえ? たぶんその時間はあると思うけど…… どこ行きたいの?」
たかね「それは…… ふふふ、そのときまで、とっぷしーくれっとです」
響「どうせラーメン屋さん行きたいとか、ケーキ屋さん行きたいとか言うんでしょ」
たかね「ち、ちがいます! まだないしょです!」
304 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/15(日) 22:26:46.07 :Eo3PN6bV0
【重大任務】
P「よーし、みんな揃ったな。今日のスケジュール確認するぞー」
一同「はーい!」
律子「竜宮の三人は、午後からの収録に備えて最終の打ち合わせするわよ。それから……」
P「みんな、ちゃんと確認できたな? それじゃ各自、時間が来るまで――」
たかね「ぷろで…… ぷろ…… ぷろじゅーしゃーどの! わたくしはほんじつ、なにをいたしましょう」
P「うん? たかねは…… そうだな、事務所で音無さんと社長と一緒に待機だ」
305 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/15(日) 22:28:00.78 :Eo3PN6bV0
たかね「それでは、いつもとおなじではありませんか」
P「そんなことはないぞ。響や俺たちがいない間、事務所をしっかり見張る、重要な役割だからな」
たかね「じゅうような……! つまり、わたくしが、さいごのとりででございますね?」
P「ああ、たかねにしか頼めない。やってくれるか?」キリ
たかね「……こころえました。このつとめ、りっぱにはたしてみせます!」キリ
P(まあたかねの言うとおり、いつもと一緒なんだけどな)
小鳥(ちょろかわいい) ●REC
306 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/15(日) 22:30:17.70 :Eo3PN6bV0
【天海春香の場合】
たかね「む、これは…… なにやら、あまいにおいが……」スンスン
春香「あれ、たかねちゃん。どうかした?」
たかね「はるか、おつかれさまです。このあたりから、よいかおりがしたもので」
春香「お、さっすがたかねちゃん、鋭いなー」
たかね「はるかは、これがなんのかおりかしっているのですか?」
春香「たぶん…… これじゃないかな?」ゴソゴソ
たかね「?」
春香「……じゃん! 今日ね、クッキー作ったから持ってきたの」
たかね「ああ! まさしく、このかおりです! ……ところで、くっきーとはいったい?」
春香「これはね、お菓子。小麦粉とかお砂糖とか卵とかを混ぜて、焼いて作るんだよ」
たかね「こむぎこ……? ということは、らぁめんとおなじでございますね!!」
春香「えっ…… と、う、うん、小麦粉ってくくりだけでいえば、ね」
307 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/15(日) 22:31:10.17 :Eo3PN6bV0
たかね「はるかが、その『くっきー』をつくったのですか?」
春香「うん、そうだよ。新しいレシピ試してみたから、みんなに食べてもらおうと思って!」
たかね「な、なるほど、そういうことですか」ジーッ
春香「……! あっ、でも、そうだなあ、まず最初に誰かに味見してもらったほうがいいかなー?」
たかね「おあじみ……! そうですね、それはまこと、だいじなことです!」ソワソワ
春香「どうしよ、誰か食べてみてくれる人、いないかなぁー……?」チラ
たかね「……! ……!!」
春香(めっちゃ見てる! 全身全霊でアピールしてる!)
春香「…… そうだ! たかねちゃん、よかったら味見してみてくれない?」
たかね「!! ええ! きぐうですね、わたくし、ちょうど、ここにいあわせましたので!」パァァ
春香(わっかりやすい! かわいいぃ!!)
308 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/15(日) 22:31:54.74 :Eo3PN6bV0
たかね「……」サクサクサク
春香「たかねちゃん、どうかな?」
たかね「…… おいひい……! ふぁいこうに、びみでふ、はるか!」
春香「ほんと? やったあ!」
たかね「あまくて…… さくさくとしたかんしょくが、たまりません……!」
春香「実はこれ、けっこう自信作だったんだ。こんなに気に入ってもらえたら、もうばっちりだね!」
たかね「それに、おくちのなかで、ほろっと、とけるようで……」
春香「ふふふ、そうでしょー? まだまだたっくさんあるから、もう少しいかが?」
たかね「よいのですかっ!? では、もういちまいだけ、いただきます!」
春香「うんうん! おいしいって食べてもらえるのが、わたしも一番うれしいからねっ」
309 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/15(日) 22:32:48.13 :Eo3PN6bV0
春香「…… ね、ねえ、あのさ、たかねちゃん、そろそろ……」
たかね「はるかのくっきーは、ほんとうにびみです!」サクサク
春香「えへへ、そ、そうかな。そんなにおいしい?」
たかね「はい! わたくし、いくらでもたべられます!」
春香「そうかぁ、そう言ってもらえるとうれしいなぁ…… じゃあ、もう一枚いっちゃう?」
たかね「はいっ! ぜひ、ください!」キラキラ
春香(ああぁ、もう…… なんなのこれ! かーわいいなぁもう!!)
春香「…… なんてことがあって、今日のおやつはたかねちゃんのおなかの中だよ」
亜美「ええーっ…… でもまぁ、おひめっちなら、ちかたないね」
あずさ「春香ちゃんのクッキーが食べられないのは残念だけど、この幸せそうな顔を見ちゃうとねぇ」ナデナデ
たかね「…… むにゃ、…… あまくて…… さくさく……」
310 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/15(日) 22:37:16.90 :Eo3PN6bV0
【突撃となりの】
真美「ねーねーおひめっち。ひびきんと一緒に住んでてさ、どんなごはん食べてんのー?」
美希「あ、それ、ミキもちょっと気になるの」
たかね「いつもびみなごちそうをいただいております。ゆうべは、じょうやなべでした!」
美希「へー…… ジョーヤナベ? ってミキ知らないけど、響が作ったならきっとおいしいの」
真美「じゃあじゃあ、きょうの朝ごはんはなんだった?」
たかね「けさは…… ええと、なまえはわすれましたが、『かりかり』をいただきました」
真美「」
美希「」
たかね「……おや? ふたりとも、どうしたのですか」
真美「カリカリ!? おひめっち今カリカリって言った!?」
たかね「は、はい、そうですが……?」
311 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/15(日) 22:38:26.85 :Eo3PN6bV0
美希「ええっ!? じゃあたかねは今日の朝ごはん、カリカリをそのまま食べちゃったってコト!?」
たかね「あ…… いえ! ちゃんとあとから、ぎゅうにゅうをかけてもらいました!」
真美「まるっきりペット扱いじゃん!!」
たかね「ぺっと!? しかし、ひびきもおなじものでしたが……」
真美「な、なんだってー!?」
美希「…… これ、響が帰りしだい、ちょっとハナシ聞かせてもらうべきだって思うな……」
響「たっだいまー。あ、真美、美希も、たかねの相手してくれてたの? ありがt」
真美「ちょっとひびきん!! おひめっちになんてことしてるのさ、もうギャクタイだよこれ!?」
響「ぎゃ、虐待!? なんの話してるんだー!?」
美希「あのさ、響…… 響が自分でカリカリ食べるのはともかく、たかねにまでってのは、さすがにミキも引くの」
響「美希までなに言ってるのさー! さっぱり意味がわかんないぞ!?」
312 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/15(日) 22:39:39.16 :Eo3PN6bV0
【シアトル系】
響「それでたかね、行きたいところってどこなの? そろそろ教えてよ」
たかね「はい! ではひびき、わたくしを"かへ"につれていってください!」
響「か、かへ……? かへ…… ……ひょっとして、カフェ?」
たかね「せけんでは、そうともいうようですね」
響「カフェ、ねえ…… なんでまたわざわざカフェに行きたいのさ」
たかね「おや、ひびきはしらないのですか?」
響「知らないって、なにを?」
たかね「『いしきたかいけい』のおなごは、かへ…… かふぇで、かちゃかちゃたーん、とするのがたしなみなのです!」
響「」
313 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/15(日) 22:40:06.70 :Eo3PN6bV0
たかね「そのときはもちろん、じぶんをさつえいし、それから『ついったあ』で『かふぇなう』と」
響「ちょっと待って、誰に吹き込まれたのそれ」
たかね「あみとまみから、おそわりました」
響「やっぱりそうか」
たかね「そして、かかせないのみものが…… から…… ええと、か、からむ……」
響「……キャラメルマキアート?」
たかね「! そう、それです、さすがはひびきですね」
響「それは美希から教えてもらったんでしょ?」
たかね「なんと、そこまでわかるのですか? すごい!」
314 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/15(日) 22:40:39.18 :Eo3PN6bV0
【5歳児は見た】
たかね「ひびき、ひびき! あれをみてください!」
響「んー? なにか面白いものでもあった?」
たかね「あのとのがたは、ひとりでてーぶるをせんりょうして、かちゃかちゃたーんしています!」
響「ちょっ……!? たかね、そんなこと大声で言わないの!」
たかね「あれが、『いしきたかいけい』のとのがたですね? わたくし、おちかづきになりたいです!」
周囲「……」プルプル
響「こ、こら、やめるんだたかね! きっとお仕事してるんだよ、邪魔しちゃダメだぞ」
たかね「でも、うしろをとおるときみたら、がめんにとらんぷがたくさんうつっていました」
周囲「ブフォッ」
たかね「…… あっ、もし、どちらへいかれるのです? そこの『いしきたかいけい』のかた! もし!」
響「やめてあげて! たかね、もうやめてあげて!」
315 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/15(日) 22:41:24.42 :Eo3PN6bV0
【トラベラーリッド】
たかね「これが、みきおすすめの、からむるまきゃあと……」
響(……そういえばベースはコーヒーだけど、大丈夫かなあ、たかね)
たかね「ところで、ひびき…… これはいったい、どのようにしてのめばよいのでしょうか」
響「ああ、ふたに小さい穴が空いてるでしょ? そこから吸い出すみたいにして飲むの」
たかね「…… む、ここですね。では、さっそくいただきましょう」
響「でも当然、中身はすごく熱いから気をつけ――」
たかね「!? ひゃ、あ、あちちちっ!?」
響「あー、遅かったかー……」
316 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/15(日) 22:42:14.05 :Eo3PN6bV0
たかね「…… さて、いかにすべきか……」
響「そんなに警戒しなくても大丈夫さー、さっきのでこりたでしょ?」
たかね「さきほどは、ふかくをとりましたが…… しかとあじわうために、さいぜんをつくさねば……!」
響「じゃあ、もうふた外しちゃうといいよ。ちょうどよく冷えるから」カパ
たかね「……おお! しろいあわが、ふわふわとして、ゆきのようです」
響「そうそう、ふたがあると冷めにくい反面、見た目とか香りとかわかりにくいんだよね」
たかね「これは……! あまさと、ほのかなにがさと、まろやかなあわが…… おくちのなかで、いっしょになって!」
響「……」プルプル
たかね「みきがすすめるのも、どうりというもの…… ……ひびき、なぜふるえているのです?」
響「な、なんでも、くふっ……、ない、ぞ…… ふふ、ふ」プルプル
たかね「? おかしなひびきですね」
響(泡が! ミルクの泡が! サンタさんのひげみたいに!!)プルプルプル
317 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/15(日) 22:43:09.59 :Eo3PN6bV0
【目標達成】
たかね「ひびき…… たべないのですか?」チラッ
響「ん…… そうだね、自分はいいや。これ、たかねにあげるよ」
たかね「まことですかっ!」
響「時間はじゅうぶんあるから、ゆっくり落ち着いて食べるんだぞー」
たかね「はい! では、えんりょなく…… ふむ、これもまたびみ!」
たかね「ああ…… わたくし、なんと、いしきがたかいけいなのでしょう……!」
響「キャラメルマキアート飲んで、ケーキとスコーン食べただけだけどなー」
たかね「しらないのですか、ひびき? なにごとも、きのもちようなのですよ」ドヤー
響「たぶん言うタイミングがだいぶ違うぞ、それ」
319 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/15(日) 22:44:03.58 :Eo3PN6bV0
【人をダメにするアレ】
たかね「おや、まだおやすみするにははやくありませんか」
響「ああ、これは寝るためのじゃないんだよ」
たかね「はて……? しかし、それはおふとんでしょう?」
響「今年はばたばたしててまだ出してなかったから、この機会にと思ってさ」
響「よーし、完成!」
たかね「……なぜ、つくえにおふとんをかぶせてあるのです?」
響「こたつって言うんだぞ。入ってごらんよ」
たかね「はいる…… といっても、ひびき、これは、つくえにおふとんをかぶせただけでは……」
響「まあまあ、いいからいいから」
たかね「ひびき。わたくしはきょうから、このなかにすみます」
響「とりあえず、せめて上半身はこたつから出してしゃべろうか、たかね」
321 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/15(日) 22:45:42.20 :Eo3PN6bV0
【おーるどめいど】
たかね「さあひびき、はやくおひきなさい」
響「うーん、そうだな、どれにしようかなー、っと」ウロウロ
響(自分がババ持ってないってことは、たかねが持ってるわけだけど……)
たかね「……」
響「このへんかなー? それとも…… ここらへん?」
たかね「……!」パア
響(……なるほど、今のやつか。まったく、わかりやすいんだから)
響「よーし、じゃあこれ…… と見せかけて、そのとなり!」スッ
たかね「!!」
響(もうちょっと普通に遊んで、手札が減ってきたらわざと…… って、今のがババっ!?)
たかね「…… どうですか、ひびき。わたくし、えんぎがじょうずでしょう?」ニヤリ
響「め、面妖なっ!?」
322 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/15(日) 22:47:06.66 :Eo3PN6bV0
【寝落ちのしまつ】
たかね「ふにゃ……」コックリ
響「おーい、たかねー?」
たかね「…… は!? ふぁ、は、はいっ!」
響「トランプもこのへんにして、もうそろそろ寝よっか」
たかね「い、いえ…… まだ、わたくし…… ねむたくありません」
響「無理しないの。明日は自分がオフだから、一日一緒にいられるしさ」
たかね「…… わたくし、ねません…… ただ、この、こたつが…… たいへん、ぽかぽかと…… するので……」カクッ
響「あー、そこで寝ると風邪ひいちゃうから、ちゃんとお布団で…… たかね?」
たかね「…… くー……」コックリ
響「……ふふ、まったくもー…… 言うこと聞けない子は、自分のベッドに放り込むからなー」
326 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/19(木) 21:46:00.89 :FO0jMNO10
【寝てていい朝に限って】
たかね「ひびき、ひびき。あさですよ」ユサユサ
響「…… ん…… たかね、とけい、とって」
たかね「はい!」
響「……まだ、6時にもなってないんだけど……」
たかね「わたくし、おなかがすきました」
響「それに、自分さ…… きょう、オフなんだけど……」
たかね「わたくしのおなかはつねにおんです!」
響「…… それでうまいこと言ったつもりなのか、このぉ!」ガバ
たかね「ひゃんっ!? な、なにをするのですか、ひびき!」
響「せっかくの朝寝を邪魔する悪い子は、二度寝に付き合わせてやるー!」
たかね「ち、ちがいます、わたくしはわるいこでは…… やつあたりはおやめなさい!」ジタバタ
327 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/19(木) 21:46:40.38 :FO0jMNO10
【ぎぶあんどていく】
響「あーあ、もう…… きょうくらい、ゆっくり寝とこうと思ってたのに……」
たかね「おやすみのひこそ、はやおきすれば、ゆうこうにつかえます」
響「自分だけ早く寝てたからって、気楽に言ってくれちゃって。まあ、いいけどさ」
たかね「ひびき、きょうもおでかけをしましょう!」
響「いいけど、まずは家の中のことを片付けてからね」
たかね「いえのなかのこと、とは?」
響「お掃除とか、洗濯とか。たかねもちゃんと手伝ってよ?」
たかね「のぞむところです。そのためには、まず、びみなあさげをようきゅうします!」
響「…… ふふ、結局いつもと同じじゃないか。パンとごはん、どっちがいいの?」
たかね「ごはん…… いえ、やはり、ぱんがいいです」
響「りょーかーい」
328 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/19(木) 21:47:46.76 :FO0jMNO10
【配膳係】
たかね「ひびき! いぬみどのとねこきちどののごはん、わたしてきました」
響「おー、ありがと。うさ江もシマ男もオウ助もモモ次郎も済んだし、あとは……」
たかね「はむぞうどのと、ぶたたどのには?」
響「どっちにも自分がもうあげてきたぞ。だから……」
たかね「そうですかそれではわたくしはきゅうにたいせつなようじをおもいだしましたので」ダッ
響「……へび香とワニ子のごはんだけだな」ガシィ
たかね「そ、それだけは、ゆるしてください!」ジタバタ
響「あんまり嫌わないであげてよ、いい子たちなんだから」
たかね「じぶんではどうしようもないことが、よのなかにはあるのですーっ!!」
329 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/19(木) 21:48:16.64 :FO0jMNO10
【警戒態勢】
ブォォォォォォ
響「…… もー、ねこ吉ったら。いい加減慣れてくれないかなぁ」
ねこ吉「フゥーッ」
響「だから、掃除機は敵じゃないってば。お部屋をきれいにしてくれる便利な機械なんだぞ?」
ブォォォォォォ
ねこ吉「シャーッ!」
響「ねこ吉の落とす毛だって吸い取ってくれるんだし、そんなにおびえなくても」
ねこ吉「……ニ゙ャッ」ダッ
響「うーん、やっぱりダメかぁ…… まあ、理屈じゃないんだろうけどさー」
響「で、たかねはそこで何してるの」
ブォォォォォ
たかね「ひぃぃぃ!! そ、そのめんようなものを、どこかにやってください、ひびきぃぃ!」
330 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/19(木) 21:48:48.87 :FO0jMNO10
【縦型より危ない】
たかね「ほう……」ジーッ
ゴウンゴウンゴウン
たかね「おおお……」ジーッ
響「…… それ見てて、そんなにおもしろい?」
たかね「ええ、ぐるぐると、なかではねまわって…… みあきません」ジーッ
響「ふーん? まあ、たかねがじっとしててくれる分にはいいんだけどさ」
たかね「ところでこれは、なんのためにぐるぐるしているのですか?」
響「たかねと自分のお洋服を洗ってるんだ。もうしばらくは回ってるから、見てていいよ」
たかね「はい! ところで、ひびき」
響「なに?」
たかね「つぎのときは、わたくしもこのなかにはいってみたいのですが」ワクワク
響「うん、絶対ダメ。命にかかわるからね、ホントに」
331 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/19(木) 21:49:38.73 :FO0jMNO10
【約束が違うけど】
響「ところで、今気がついたんだけどさ」
たかね「どうかしたのですか?」
響「ワニ子とへび香のごはんは、最終的に自分が持っていったよね」
たかね「…… いずれ、なれてみせます。いずれは」
響「掃除機かけてる間はたかね、ずっと逃げまわってたし」
たかね「あ、あのようなめんようなものをつかうというおはなしは、きいておりませんでした!」
響「そしてその後、たかねは洗濯機をずっと見てたね」
たかね「はい! とてもおもしろかったです!!」
響「……どうも結局、全部自分ひとりでやってる気がするぞ」
たかね「?」キョトン
響(…… ふふ、まあ、いいか)
332 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/19(木) 21:50:25.85 :FO0jMNO10
【氷上デビュー】
響「さて、じゃあ洗濯物干してる間、お出かけしようか。ところでたかね、どこか行きたいの?」
たかね「わたくし、すけーとをしてみたいです」
響「スケート!? え、テレビで見たあれ、そんなに気に入った?」
たかね「はい! わたくしもこおりのうえを、まいおどってみたいのです!」
響「いきなりあんな動きは無理なんじゃ…… まずそもそも、この近くにリンクとかあるのかなぁ」
たかね「だめ、でしょうか……?」
響「ダメっていうか、自分もそんなに詳しくないからね…… っと、意外と近くにあるみたい」
たかね「ならば!」
響「……まあ、何事も経験っていうしね。でもそれなら、ちゃんと準備していかなきゃなー」
333 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/19(木) 21:50:57.62 :FO0jMNO10
【ここでそうびしていくかい?】
響「えーっと、なになに? 『初めての人は転びやすいため、長袖と長ズボンが基本』か」
たかね「だいじょうぶですよ。わたくし、そうそうころんだりいたしません」
響「あとは、『手袋は必須、頭の保護と防寒を兼ねて帽子もあるほうがいい』…… なるほど、じゃあ」ゴソゴソ
たかね「なんといってもわたくしですから、はじめてでも、かれいに、わぷっ!?」ズボ
響「よしよし、サイズもちょうどよさそう」
たかね「い…… いきなり、なにをするのですか!?」
響「ん、それ、編んでみたの。似合ってるよ、たかね」
たかね「このぼうしを、ひびきが……!? それはすご…… ではなく! とつぜんかぶせないでください!」
響「あはは、ごめんごめん。ちょうどいい機会だと思って」
たかね「…… たしかに、あたたかですし、よくできてはいますが」
響「ふっふーん、そうでしょ? 実は、それとおそろいの手袋とマフラーもあるんだぞ」ゴソゴソ
たかね「なんと、まことですか! はやくみせてください!」
334 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/19(木) 21:51:58.88 :FO0jMNO10
【逆ハの字】
たかね「おお…… ここが、すけーとりんぐ!!」
響「一文字違うだけで、なんかずいぶん物騒な感じに聞こえるなー」
たかね「…… こ、これは、なかなか、しんけいをつかいますね……」プルプル
響「ええっとね、まずは、足を揃えるんじゃなくて、V字型にして立つのが最初なんだって」
たかね「ぶい、じ? ぶいじとは、なんですか?」プルプル
響「え? ああそうか、アルファベットじゃわかんないか…… となると……」
たかね「…… あの、ひびき、かってに、すすんでしまうのですが……」ススー
響(V字…… なんて言えばたかねに伝わるかなあ、山型…… じゃなくて谷型?)
たかね「ひびき、ひびき!? と、とまれなっ、あいたっ!」ステーン
響「……たかねっ!? なにやってんの、大丈夫!?」
たかね「だれのせいだとおもっているのです!?」
335 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/19(木) 21:53:03.04 :FO0jMNO10
【秘訣】
たかね「…… さきほどは、おしえてくれないだれかのせいで、ふかくをとりましたが」
響「うー、だからあれは悪かったってば……」
たかね「わたくし、もうすでに、こつをつかみました」スイー
響「おっ、ホント? すごい!」
たかね「つまるところ、きをつけることはただひとつ、それは」ススー
響「それは?」
たかね「ころびそうになったら、さからわず、そのままおしりからいたああっ!」ステーン
響「…… さすが、み、みごとな転がりっぷりで……」プルプル
336 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/19(木) 21:53:35.71 :FO0jMNO10
【南国出身故】
たかね「…… ところで、ひびき?」
響「あははは! あははははは、ひぃ、あはは…… ん、どうしたの、たかね」
たかね「なぜひびきは、ずっとてすりをつかんでいるのですか?」
響「え? …… えーと、んーと、これはね……」
たかね「これは?」
響「……そう! ころころ転ぶたかね見てたら、笑っちゃって倒れそうだから、その支えにさ」
たかね「はなしてみてください」
響「えっ」
たかね「てを、はなしてみてください、ひびき」
337 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/19(木) 21:54:16.83 :FO0jMNO10
響「いやぁ、それは無理だぞ。自分、さっき言った通りで立ってられないかも」
たかね「……」
響「な、なに? 言っとくけど別に滑れないとかじゃないよ、なんたって自分――」
たかね「…… かんぺき(笑)」
響「」
響「そこまで言われたら黙ってられないさー! 見てなよたかね、自分のカンペキな滑あいだぁっ!?」ズデーン
たかね「ほう…… ひびき、みごとにすべりましたね」スイー
響「うがーっ! は、腹立つ!」
たかね「ふふふ、そのようにすわったままでは、わたくしをつかまえら…… ああっ!?」ステーン
338 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/19(木) 21:55:14.31 :FO0jMNO10
【あらがえない】
響「よーし、洗濯物の取り込みはおしまいっ」
たかね「こうしてみると、ぞんがいにたくさんあるものですね」
響「確かにねー。じゃあたかね、服は自分がやるから、こっちのタオルたたんでくれる?」
たかね「しょうちしました!」
響「やっぱり二人いると作業が早いなー。ありがと、たかね」
たかね「……」ウズウズ
響「ん? どうしたの?」
たかね「……えいっ!」ボフー
響「ああっ、ちょっと!? なにしてるのさ、せっかく畳んだタオルに!」
たかね「てざわりが、たいへんよかったので…… ああ、まことにふかふかです……!」スリスリ
響「気持ちはわかんなくもないけど。ほら、もういいでしょ?」
たかね「ひびきもいっしょにいかがですか。とても、ここちよいですよ」
339 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/19(木) 21:56:17.47 :FO0jMNO10
響「ば、バカ言わないでよ。自分子供じゃないし、そんなことしないぞ」
たかね「そうですか? では、わたくしは、もうすこし!」ゴロゴロ
響「……」
たかね「おや、ひびき? どうしました?」
響「…… おりゃーっ!」ボフーッ
たかね「ふふ、やはり、そのきになりましたか」
響「まあ…… たかね一人に遊ばせとくのもあれだからね。付き合いだぞ、付き合い」
たかね「そういうことにしておいてあげましょう」
響「……言ったなー、このぉ!」ガバー
たかね「あ、あはははっ!? や、やめっ、くすぐったいです、ひびき!」
341 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/19(木) 23:31:34.92 :FO0jMNO10
【始めようか】
響「たかね、夜になったらさ、ちょっとまたお出かけしようよ」
たかね「おでかけ…… ごはんをたべにゆくのですか? もしや、らぁめんでしょうかっ!?」
響「あ、いや、食事は食べてからね」
たかね「むう…… そう、ですか……」
響「もー、そんな露骨にがっかりしないでよ。それに、たかねはきっと気に入ると思うぞ」
342 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/19(木) 23:35:48.55 :FO0jMNO10
響「ただでさえこの時期の夜は寒いからね。しっかり準備してかないと、風邪引いちゃう」
たかね「それはよいのですが…… ひびき、いったいどこへいくのです?」
響「ふふふ、そこは着いてからのお楽しみさー」
たかね「むむ…… あっ、でも、きょうひびきのくれたぼうしや、てぶくろのでばんですね!」
響「うん、それにしっかり上着も着込んでね。ああそうだ、カイロも持っていっとかなきゃ」
たかね「なんと!? それほどさむいところへ?」
響「まあ暖かいとは言えないけど、歩いていけるとこだから大丈夫。さ、じゃあ行こうか」
たかね「はいっ!」
343 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/19(木) 23:37:31.54 :FO0jMNO10
響「よーし、着いたよ」
たかね「…… ここは? ただの、こだかいくさちのようですが……」
響「たかね、そっちじゃなくて。ほら、上見てごらんよ」
たかね「うえ?」
たかね「……おお! すごい!!」
響「ね、ちょっと中心部を離れたら、街中でもけっこう星が見えるんだ」
たかね「きらきらしたひかりが、あんなにたくさん…… あれがすべて、ほしなのですね!」
響「そうだよ、全部。今だけは、ひとりじめできちゃう」
たかね「はて…… それをいうなら、ふたりじめ、では?」
響「えっ? ……あはは、なるほど、確かにね!」
344 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/19(木) 23:38:31.61 :FO0jMNO10
響「たかね、わりと低いとこに、すごく明るい星があるのはわかる?」
たかね「…… あれ、でしょうか?」
響「そうそう。で、そのちょっと左でけっこう上のほうに、赤っぽいのがあるよね」
たかね「……ひびき、みつけました! かなり、たかいところのほしですね」
響「そして最後に、いまのふたつと三角になる左のほうにも、明るい星があるでしょ?」
たかね「はい! あります!」
響「その三つを結んだのが、『冬の大三角』って言うんだぞ」
たかね「ふゆの、だいさんかく…… それぞれのほしに、なまえはないのですか?」
響「あるけど…… カタカナの苦手なたかねに言えるかなー?」
たかね「もちろんです。しゅくじょのわたくしなら、あさめしまえです!」
たかね「べて、べてりゅ、べてるぎゅ、…… ぷろ、ぷりょき、ぴゅ…… うう……」ウルウル
響「あ、あのさ、たかね…… 名前なんて言えなくても別に困らないから、ねっ?」
たかね「『しりうす』は、いえたのです!! あとふたつだって……!」
346 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/19(木) 23:40:18.85 :FO0jMNO10
響「さてと、たかね、これ広げるのちょっと手伝って」バサッ
たかね「はて…… これは?」バサー
響「レジャーシート。ずっと立って上を見上げてたら、首が疲れちゃうからさ」
たかね「このしきものがあると、くびがつかれないのですか?」
響「うん、こうやって寝転んでみて?」ゴロン
たかね「はい……? ……おお!!」コロン
響「こうすれば、横になったままで空全体が見渡せるって寸法さー。たかね、寒くない?」
たかね「たしかにすこし、ひえますね」
響「だと思った。カイロ出すからちょっと待っ……」
たかね「ですので、ひびきにくっついていることにします!」ピト
響「…… ふふ、確かにこれならお互い、あったかいね」
347 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/19(木) 23:41:21.13 :FO0jMNO10
たかね「それにしてもひびき、なぜこんなさむいときに、ほしをみようとおもったのですか?」
響「それはね…… 時間的に、そろそろ見えるんじゃないかな」
たかね「なにがです?」
響「…… あっ、今流れた!」
たかね「えっ?」
響「今日はね、ふたご座流星群っていって、流れ星がたくさん見えるタイミングなんだ」
たかね「ながれぼし!? ほしが、ながれるのですか!?」
響「そう、かなりたくさん流れるはずだから、気をつけててごらん」
たかね「し、しかし…… そうはいっても、どちらをみればよいやら」キョロキョロ
響「特にどっちとかは決まってないはずだから、空全体を眺めてればそのうちに……」
たかね「あっ……!?」
響「!」
たかね「ひびき、ひびき、みましたか!? いま、あちらからあちらへ、ひかりが、すうっと!!」
響「うん、見えた! ね、こんな調子でどんどん見られるはずだから」
348 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/19(木) 23:42:32.63 :FO0jMNO10
響「ちょっと休憩しようか、たかね。やっぱり冷えるし、それにのども渇いてこない?」
たかね「ほしにむちゅうで、きづきませんでしたが、たしかに……」
響「あったかいココア、入れてきてるんだ」ゴソゴソ
たかね「まことですかっ!?」
響「ふふ、冬の夜に外で飲むココアってのも、なかなかおいしいんだよ」
たかね「ましゅまろ…… ましゅまろもあるでしょうか!?」
響「…… あー、マシュマロ…… それは……」
たかね「そうですか……」
響「……もちろん、ちゃんと持ってきてるぞ!」
たかね「!」パァ
349 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/19(木) 23:44:03.84 :FO0jMNO10
たかね「ああ…… あたたかくて、あまくて…… しみわたります……」ズズ
響「もう、たかねはココアくらいで大げさだなぁ」ズズ
たかね「それにしても、すごいです! こんなにくわしいとは、ひびきは、てんたいかんそくのぷろですね!」
響「…… いや、そういうわけじゃないよ。こういうの全部、自分は教えてもらっただけでさ」
たかね「そうなのですか?」
響「うん。まあでも、たかねが楽しんでくれたなら、それで――」
たかね「あの…… ひびき?」
響「ん、どしたの?」
たかね「――なぜ、ないているのですか?」
響「……え?」
350 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/19(木) 23:45:00.78 :FO0jMNO10
響「ちっ、違うよ、やだなあ、たかねの見間違いだぞ」
たかね「いいえ。それは、うそです」
響「嘘じゃないって。泣いてなんかないよ、自分」
たかね「どこか、いたいのですか? ぐあいがわるいのですか?」
響「違うってば! ほら、自分はどこもおかしくないし、いつも通り元気でカンペキだって――」
たかね「かくさないでください!!」
響「っ!」
たかね「ひびき…… わたくしは、ひびきのかぞくでしょう? ちがうのですか?」
響「違わないよ、だけど……!」
たかね「わたくしには、いえないことですか? わたくしが…… おこさまだから、きいても、むだなのですか……?」
351 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/19(木) 23:46:33.34 :FO0jMNO10
響「…… ごめん。ちょっとさ…… しばらく会ってない友達のこと、思い出しちゃって」
たかね「それは…… ちいさくなるまえの、わたくしのことですね?」
響「……うん、そう。天体観測のこと自分にいろいろ教えてくれたのも、その子でね」
たかね「そう、でしたか」
響「この時期に流星群が出るっていうのも聞いてたから、今日、たかねと一緒に見ようと思ったんだ」
たかね「…… ひびきのしっていたわたくしは、どんなひとだったのです?」
352 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/19(木) 23:47:23.13 :FO0jMNO10
響「うーん…… そうだなぁ。一言で言えるようなやつじゃなかったのは確かだぞ」
たかね「ふむ…… それは、どのように?」
響「気高い感じで、でも食いしん坊で…… 結構がんこで、そのわりに泣き虫で」
たかね「…… きいたかぎりでは、かなりめんようなひとがらのようですね……」
響「でも…… なんていうかなあ、隣にいて、いつも、張りつめてるような感じがしてたよ」
たかね「はりつめている?」
響「うん。強がってる、っていうか、弱みを見せないようにしてるっていうか……」
たかね「…… なにか、じじょうがあったのかもしれません」
響「そう、かもね。……結局、ずっと一緒にいたわりに、自分がよくわかってなかっただけかもしれないや」
353 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/19(木) 23:49:19.69 :FO0jMNO10
たかね「わたくしでは…… そのひとのかわりには、もちろんなれません」
響「うん? そんなこと、たかねは気にしなくても――」
たかね「ですが、ひびきのそばに、いることはできます。それが、ほんのすこしでも、ひびきのたすけになれば」
たかね「あの…… ひびき? しょうしょう、くるしいです、そんなにだきしめられては」
368 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/25(水) 21:34:24.41 :n7YYbfn30
【ろんぐ・たいむ・のー・しー】
貴音「お久しゅうございます、響」
響「…… あれっ…… えっ、た、貴音!? 貴音じゃないか! いつの間に元に戻ったのさ?」
貴音「はて、元に戻った、とは……? わたくしが、何かに変わってでもおりましたか?」
響「え、ええっ……? じゃあ、あの小さいたかねは貴音じゃなかったの!?」
貴音「ふふっ、もう、いったい何を言っているのです。響のほうが、よほど小柄でかわいらしいというのに」
響「うがーっ!? やっと戻ってきたと思ったら、気にしてることを!」
貴音「相も変わらず、響はにぎやかですね。さあ、では一緒に事務所へ参りましょう」
369 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/25(水) 21:39:07.56 :n7YYbfn30
響「うん、貴音が戻ってきたって知ったら、みんなもきっと驚くぞ! ……って、あれ……」
響「…… ねえ貴音、ごめん、ちょっと待って。なんかおかしいや、自分、足が動かなくて」
響「貴音、貴音っ! なんで先に行っちゃうのさ、待ってってば…… 貴音、聞いてるの!?」
響「貴音ぇっ!! ねぇお願い、待ってよ、置いていかないで、貴音、」
370 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/25(水) 21:39:55.05 :n7YYbfn30
響「たかねぇえ――っ!!」ガバァッ
響「…… っ、あー……、 ゆめ、かぁ……」
響(ひっどい夢だったなぁ…… 昨日たかねに話して、まだ引きずってるのかな、自分……)
響「…… それにしても」
たかね「ふにゅー…… くー……」
響(……ゆうべはやたら大人びたこと言い出したかと思えば、今はこんな幸せそうな寝顔しちゃって……)
響「実際のとこ、どうすればいいのか…… 自分も、よくわかんないなぁ……」ナデナデ
たかね「ん…… ふあ……」モゾッ
響「でも…… そうだ、今しなきゃいけないことは、ひとつだけ……」
響「たかねーっ! 起きて、今すぐ起きて! いつもよりちょっと遅れてるからっ!」ユサユサユサ
たかね「ん、んう、ぅむむ」
371 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/25(水) 21:40:40.46 :n7YYbfn30
【アク抜き必須】
たかね「……ふぁぁ」
響「昨日は遅くまで自分が引っ張りまわしてた分、眠いよね。ごめんな、たかね」
たかね「いえ…… それは、かまわないのですが…… むにゅ……」
コツン
たかね「いたっ!? ……なにをなげたのですか、ひびき」
響「えっ、自分、なにもしてないよ?」
たかね「かくしてもむだです。なにかちいさなかたいものが、たしかに、あたまにあたりました!」
響「ええ……? あっ、たぶんこれがちょうど落ちてきて当たったんだよ。ほら」ヒョイ
たかね「…… これは? このみ、ですか?」
響「どんぐりだね」
372 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/25(水) 21:41:19.21 :n7YYbfn30
たかね「どんぐり? どんぐりとは、このみとはちがうのですか」
響「えーとね、木の実の一種なんだけど、こういう形のはだいたいどんぐりって呼ぶの」
たかね「ほう…… どんぐり。つやつやとして、きれいですね」
響「そうだね。秋に落ちてるイメージだけど、このぐらいの時期にもまだあるんだなー」
たかね「たしかに、よくみると、ほかにもおちています」ヒョイッ
響「ほんとだ、今まで気づかなかったぞ…… よくピンポイントでたかねに当たったなぁ」
たかね「これをうえると、またきがはえてくるのですか?」
響「たぶんそうだと思うよ。あ、それに確か、食べることもでき――」
たかね「どんぐり、どのようなあじなのでしょうか! さっそく」キラキラ
響「――るとは聞いたことあるけど待って待って、そのまま食べるものじゃないからねっ!?」
373 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/25(水) 21:42:19.77 :n7YYbfn30
【おすそわけ】
高木「おや? たかね君、なにかあったのかね?」
たかね「たかぎどの、これをどうぞ。けさてにいれたばかりのおみやげです!」
高木「おお、私になにかくれるのかい?」
たかね「ことりじょう、いま、すこしよろしいですか?」
小鳥「たかねちゃん、どうしたの?」
たかね「わたくしから、こころばかりのおくりものです」
小鳥「えっ、なあに?」
たかね「あっ、りつこじょう、りつこじょう!」
律子「ん? たかね、どうかした?」
374 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/25(水) 21:43:33.40 :n7YYbfn30
【大人気】
高木「私がもらったもののほうが色つやが美しいと思わんかね」
小鳥「そう仰いますけど社長、明らかにわたしのもらったやつの方が大きいですよ?」
律子「もう…… 大の大人が、なにをどんぐり一つで盛り上がってるんですか、お二人とも」
高木「律子君の判断を聞かせてもらいたいな。どちらが見事だと思う?」
小鳥「ねえ律子さん、わたしがもらったのの方が立派ですよね!」
律子「……私がもらったやつ、お二人のと違ってちゃんと帽子まで付いてるんですよ。ほら」 バァーン
高木「何ィィ!?」
小鳥「な、なんてこと……!」
たかね「あの…… わたくしも! わたくしもおはなしに、まぜてください!」ピョンピョン
375 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/25(水) 21:46:36.67 :n7YYbfn30
【高槻やよいの場合】
小鳥(さて…… こっちの準備はオッケー。時間的に、そろそろ授業も終わって……)
ガチャ
やよい「おはようございまーすっ!」
たかね「やよい。おつかれさまです、おかえりなさい」
やよい「あっ、たかねちゃん、ただいまー! 元気でお留守番してたかなー?」
たかね「はいっ、おべんとうをのこさずたべて、いいこにしていました」
やよい「おおーっ、えらいなぁ! それじゃあ今日も、いつものあれ、やろっか」
たかね「はい! おねがいします」
小鳥(……来た!! いつものアレが来たわっ!)ガタタッ
376 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/25(水) 21:47:26.34 :n7YYbfn30
やよい「よーし、じゃあ、いくよ?」
たかね「はいっ」
小鳥(いつもは背伸びする側のやよいちゃんが、たかねちゃんに合わせて少しかがんで……) ●REC
小鳥(たかねちゃんは精いっぱい背伸びして手を伸ばして、やよいちゃんに合わせようと……!) ●REC
やよい「せーのっ、はいたーっち!」
「「いえい!」」パンッ
小鳥「ああ…… ああ……! 神様、ありがとうございます……!」 ●REC
高木「微笑ましいのはわかるが、はたして泣くほどのことかね」
377 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/25(水) 21:48:54.41 :n7YYbfn30
たかね「ところで…… やよいには、たしか、きょうだいがたくさんいるのでしたね」
やよい「うん、そうだよ。わたしが一番お姉さんなんだー」
たかね「わたくしはごさいですが、やよいのきょうだいはみな、もっとおさないのですか?」
やよい「ううん、上の二人はたかねちゃんより年上。でも、たかねちゃんのほうがしっかりしてるかも」
たかね「それはいたしかたのないことです。わたくしは、しゅくじょですから」
やよい「あはは、そうだね。たかねちゃんはオトナだなぁ」ナデナデ
たかね「あの、やよい、ひとつききたいのです」
やよい「わたしに? もちろんいいよー、なあに?」
たかね「…… おさないおとうとやいもうとのおせわは、たいへんではありませんか」
やよい「うーん…… そうだなぁ、たしかに大変なときもあるけど、わたしは毎日楽しいかなー、って」
たかね「そういうものなのですか?」
378 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/25(水) 21:50:08.65 :n7YYbfn30
やよい「うん、みんな大好きな家族だから。成長してるのをそばで見られる楽しみもあるしね!」
たかね「ふむ……」
やよい「…… 心配しなくても、響さんも、たかねちゃんと一緒にいるのが大変だとかつらいとか、ぜったい思ってないよ」
たかね「!」
やよい「頼られたり、甘えられたりするのって、やっぱりうれしいものだもん。だから、だいじょうぶ」
たかね「……やよいは、するどいのですね。まいりました」
やよい「えへへー、わたし、こう見えてずっとお姉さんやってるからね」
たかね「わたくしも…… いもうとのようなものだと?」
やよい「そうそう。ちっちゃい妹の考えることなんて、おねえちゃんはお見とおしでーす!」ワシャワシャ
たかね「ふふ、く、くすぐったいです、やよい」
379 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/25(水) 21:51:00.60 :n7YYbfn30
たかね「やよいはおりょうりもするのでしょう?」
やよい「そうだね、うちの家族のごはんは、だいたいわたしが作ってるよ」
たかね「どんなおりょうりが、とくいなのですか?」
やよい「うーんとね、けっこうなんでも作るんだけど…… そうだ、たかねちゃん、もやしって好き?」
たかね「もやし? ……らぁめんなどにはいっている、しろい、あのもやしですか?」
やよい「そう、そのもやし。あれはすごいお野菜なんだって知ってた?」
たかね「すごい…… ですか? たしかにしゃきしゃきとして、びみですが」
やよい「おいしいだけじゃないんだよー。もやしのすごいところはね……」
やよい「……つまり、こんなにお財布にやさしくて、簡単にお料理できるのに!」
たかね「びたみんがおおく、びようによく、なにより、たくさんしょくせる……!! すごい!!」キラキラキラ
380 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/25(水) 21:53:18.96 :n7YYbfn30
【幼児と保護者の一見ありふれた攻防】
たかね「ひびき…… あのう、じつはわたくし、おりいってほしいものが」
響「んー……? 今週ぶんのカップ麺はこのあいだ買ったよね? たかね、自分とお約束したよね?」ジトー
たかね「ちっ、ちがいます! かっぷめんのことではないのです」
響「ほほー。じゃあ、なにが欲しいの?」
たかね「ええと…… まずは、おやさいのうりばへつれていってください!」
響「野菜売り場……?」
たかね「いったい、どこに……」キョロキョロ
響「なに探してるのさー、どうせ自分が買うんだから教えてくれてもいいでしょ?」
たかね「いえ、わたくしじしんでみつけてこそ、あっ、ありました!」
381 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/25(水) 21:54:28.47 :n7YYbfn30
たかね「これです! これがほしかったのです!」キラキラ
響(…… なんでそこでわざわざもやしなんだー!? 予想外すぎるぞ!)
たかね「ひびき! おねがいです、もやしをかってくださいませ」
響「え、ええー…… でも、すぐに使う予定はないし、もやしって結構すぐダメになるから、今日は……」
たかね「だめ、ですか……? わたくし、ようやっとめぐりあえたのですが、だめですか……?」ウルッ
響「うーん、いや、ダメっていうか、今日買っても使うアテがさ…… ……ん?」
客1(あんな小っちゃな子が、自分からお野菜欲しがるなんて!)
客2(普通あのくらいの歳ならお菓子とかねだるのに、ずいぶん健康志向な子ね)
客3(せいぜい袋で30円とかだし、なんにでも使えるじゃん…… そのくらい買ってやれよ……)
客4(タッパーに水張って漬けとくと日持ちするんだよね。栄養素は減るらしいけど)
響(…… な、なんか、周囲から無言のプレッシャーみたいなのを感じる!?)
たかね「……ふふふ。よろんをあやつるものが、かつのですよ」
響「!?」
382 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/25(水) 21:57:58.40 :n7YYbfn30
【じんとり】
たかね「……いいえ、だめです。このばしょは、ゆずれません」
たかね「そのようにすごんだところで、むだですよ。わたくしはここをししゅします」
たかね「ほう…… よいどきょうですね。あえてたたかいをいどみますか」
たかね「な"っ、つ、つめはひきょうです! おやめなさい、や、やめ」
たかね「……ひびき。ねこきちどのが、わたくしに、いじわるを」グスッ
響「あー…… あの子、あれでなかなか気が強いし、それにこたつ大好きだから……」
たかね「わたくしもこたつにはいりたいのです! なんとかしてください!」
響「はいはい、自分と一緒のところに入れば大丈夫だから」
383 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/25(水) 21:59:24.63 :n7YYbfn30
【可否】
響(さてっと、たかねも寝たし…… うわー、片付いてない宿題、まだ結構あるなー……)
響「泣き言言ってても仕方ないか。さっさとやっちゃおう、っと、その前に」
ガチャ
たかね「……む。おはよぅごじゃます、ひびき」フラフラ
響「あれ、たかね。どうかした?」
たかね「おてあらいに、いこうと」
響「そっか、冷えたらいけないから、なんか羽織って行きなよ」ゴソゴソ
たかね「……?」ジーッ
響「ん、どしたの?」
たかね「ひびき…… そのこっぷには、なにがはいっているのです?」
響「え?」
384 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/25(水) 21:59:54.60 :n7YYbfn30
響「ああ、これ? うっかり寝ちゃうといけないからさ、自分用に……」
たかね「そのゆげ! わたくしのいぬまに、ここあをのもうというのですね!?」
響「えっ、違うよ? 寒い夜はココアもいいけど、今は眠気覚ましがメインだから」
たかね「ずるい! ずるいです! ひびき、わたくしものみたいです!」
響「いやだから、さっきから言ってるとおり、これはココアじゃなくて」
たかね「いいわけはききません! おてあらいからもどったら、あらいざらいはいてもらいます!!」
響「…… ええと、うん、とりあえず、トイレ行っておいで」
たかね「いいのがれはできませんよ…… かくごしておいてください!」タタッ
響(……ぷぷっ、なにを洗いざらい吐けっていうんだろ)
385 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/25(水) 22:00:21.75 :n7YYbfn30
ガチャ
たかね「ふう…… さて、ひびき。なにか、いいぶんは?」
響「言い分って言われても…… 自分は、眠くならないようにこれを作っただけだぞ!」
たかね「これは、どうかんがえてもゆうざいですね……」
響「なにがっ!?」
たかね「ひびき、ちゃんすをあげましょう。わたくしにもわけてくだされば、みのがしてあげます」
響「……ココアじゃないけど、いいんだな?」
たかね「やれやれ、まだしらをきるつもりですか。かんねんなさい」
響「ははー、お代官…… いや、姫さまー」
386 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/25(水) 22:00:49.03 :n7YYbfn30
響「では…… これを、どうぞ」
たかね「やはり、ちゃいろいではありませんか。どうみてもここあ!」
響「飲んでみてお確かめください、姫さま」
たかね「もちろんです。いただきます」
ズズ
たかね「……! ……!? !!」
響「いかがですか、姫さま!」
たかね「うえぇ、に、にがい!? ひびき、にがいです! これはここあではありません!!」
響「だから、あれだけ何度も言ったのに…… 自分の言うこと聞かないからだぞ」
387 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/25(水) 22:01:53.43 :n7YYbfn30
響「これはコーヒーって言ってね。この通り、にがいの」
たかね「みをもって、おもいしりました…… これはあくまののみものです」
響「これ好きな人、いっぱいいるんだからね? それに、今日は牛乳混ぜてカフェオレにしてるし」
たかね「とてもりかいできません…… なにゆえ、こんなものを!?」
響「味と成分が眠気覚ましになるんだよ。まあ、どっちみち、大人の味だからね」
たかね「…… おとなの……?」ピク
響「そう、大人はこれが好きなのさー。たかねが飲めないのも、しかたないよなー」ニヤ
たかね「そ、そんなことはありません! わたくしだってのめます!」
響「無理しなくていいって。自分も小っちゃいころは苦手だったし」
たかね「ばかにしないでください! わたくしはちいさくないですし、このようなもの、へいきです!」
響「じゃあ、残りも遠慮しないで飲んでいいぞ?」
たかね「ぐ、ぐぬぬ……」
響(…… 正直、ブラックは自分もまだちょっと苦手なんだけど…… 黙っとこっと)
388 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/25(水) 22:04:17.88 :n7YYbfn30
【かふぇいんのせい】
たかね「……」
たかね「……」パッチリ
たかね「……どうしましょうか。ねむれません」ムク
ガチャ
たかね「ひびき、ひびき」ユサユサ
響「ん、んんー…… たかね? ……えっ、ごめん、もう朝!?」ガバ
たかね「いえ、よるです」
響「はぁ!?」
たかね「めがさえてしまいました…… それになにか、どきどきします」
389 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/25(水) 22:05:04.44 :n7YYbfn30
【ふんわり落ちてくる夜】
響「自分がカフェオレ飲ませたせいだね、ごめん。考えが足りなかったぞ……」
たかね「いえ…… ただ、どうにも、よこになっていても、ねむれなくて」
響「いいよ、それよりどうしようか。トランプでもする?」
たかね「……」ジーッ
響「たかね?」
たかね「ひびき、なぜ、べらんだがあんなにあかるいのでしょう?」
響「…… ああ、月が出てるんだよ。この時期だと…… ええと、下弦の月、に近いはず」
たかね「つき…… おつきさま?」
響「そう、お月様。ベランダに出ようか…… あ、帽子とマフラー持っておいで、寒いから」
390 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/25(水) 22:06:15.29 :n7YYbfn30
たかね「…… きれい、ですね」
響「だねー。冬は空気が乾燥してるぶん、月や星がよけい綺麗に見えるとかって言うし」
たかね「あれは、かげんのつきというのですか?」
響「厳密にはちょっと違うかも。そのへんも…… 自分、教えてもらってただけだから」
たかね「なんだか、すこし、なつかしいようなきがいたします……」
響「そう? …… ひょっとして…… なにか思い出すようなこと、ある?」
たかね「…… ……いえ、そういうわけでは。すみません、ひびき」
響「謝るようなこと、なにもないって。じゃ、寒いし、そろそろ中に入ろうか?」
たかね「もうすこしだけ…… いますこしだけ、わたくし、ここでみていたいです」
響「ん。じゃあ、自分も一緒に見てるよ」
394 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/30(月) 20:58:08.55 :1356BGIn0
【諸説あるので知らなくてもしかたない】
たかね「おや? きょうのぱんは、いつもとなにか、ちがいますね」
響「フレンチトーストって言ってね、牛乳とか卵とか混ぜたものにパンをつけて、焼いたやつ」
たかね「ほう、それはずいぶんと、てまのかかった……」
響「こう見えて結構かんたんだぞ。凝る場合は、前の晩から漬け込んだりするらしいけど」
たかね「とおすと…… は、やいたぱんのことですが、ふれんち、とはなんですか?」
響「フランスって国があって、そこのもの、っていう意味だよ」
たかね「するとこれは、そのふらんすのおりょうりなのですね!」
響「ううん、違うぞ?」
たかね「えっ?」
395 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/30(月) 20:58:51.06 :1356BGIn0
響「説はいろいろあるけど、とりあえずフランス発祥じゃないんだって」
たかね「ほほう、そうなのですか…… さすが、ひびきはものしりです!」
響「当然さー、自分は頭脳もカンペキだからなー」
たかね「しかし、はて……? ひびき、それなら、なぜ『ふれんちとおすと』なのですか?」
響「……さてと、冷めないうちに食べようか、たかね!」
たかね「ごまかさないでください。なにゆえ、ふらんすの、というのです」
響「よーし、はい、手を合わせて、いただきまーす!」
たかね「しらないのですか? かんぺきなのに! それでよいのですか、ひびき!!」
響「い、いただきまーす!!」
たかね「ふわふわで、あまくて…… たまごやきのようです! おかわりはございますか?」キラキラ
響(ときどき鋭いこと言う一方で、このへんチョロいから助かるぞ)
396 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/30(月) 20:59:42.54 :1356BGIn0
【ふくら】
たかね「あそこにいるのは、なんというとりさんですか?」
響「んー? ああ、あれはスズメだよ」
たかね「すずめ…… とてもたくさんで、むれています!」
響「最近減ってきてるらしいけど、いまいち実感がないんだよね」
たかね「しかし…… おようふくのないすずめさんたちは、さぞ、さむいでしょう」
響「羽があるとはいってもねー。でもさ、よく見てごらん、体がぷくっとして見えるでしょ?」
たかね「…… なるほど、いわれてみれば、まるまるとしています」
響「ああやってふくらんで、空気を羽の間にためて、寒さをしのぐんだぞ」
たかね「ひとが、うわぎでまるまるとするのとおなじですね?」
響「だね。たかねも、上着にマフラーと帽子とでもっこもこだもんね」
たかね「わたくし…… もっこもこ、なのですか?」
響「うん、ふくらたかねになってるなー」
397 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/30(月) 21:00:34.68 :1356BGIn0
【そもそも雇用外】
たかね「たかぎどの、おりいって、ごそうだんがあるのですが……」
高木「私にかい? 珍しいな、私で答えられるようなことだとよいが」
たかね「わたくしがじむしょにおせわになるようになって、いくにちかすぎました」
高木「ああ、そうだね。おかげで事務所の雰囲気がなごやかになって、助かっているよ」
たかね「ここへきて、わたくし、まいにち、みなにめんどうをみてもらっております」
高木「気にすることではないさ。たかね君の状況から考えれば、当然のことだ」
たかね「みなのおはなしをきいたり、おかしをごちそうになったりと、たいへんここちよいです」
高木「そうか、それなら何よりだ…… ん? それで、いったい何が問題なのだね?」
たかね「ふと、おそろしいことに、きがついてしまいまして……」
たかね「わたくし、これは、『しゃないにーと』とよばれるそんざいなのではないかと……!」
高木「待ちたまえ、どこでそんな言葉を聞いてきたのかね」
398 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/30(月) 21:02:12.52 :1356BGIn0
【星井美希の場合】
美希「あっ、いたいた、たーかねっ!」
たかね「! ……み、みきではありませんか、ごきげんよう」
美希「ねえねえたかね、たかねはさ、お昼寝って好き?」
たかね「おひるね…… は、すきです」
美希「だよね、気持ちいいもん。ミキも大好きなの!」
たかね「しかし……、あいにくわたくし、いまは、あまりねむくないもので」
美希「あれっ、そーなの?」
たかね「そ、そーなのです、それでは、そういうことで……」ススス
399 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/30(月) 21:02:48.68 :1356BGIn0
美希「でもさ…… たかね、お昼寝は好きなんだよね?」ズイ
たかね「ええ、その…… すきは、すきなのですが……」
美希「ですが、なーに?」
たかね「……おさらば!」タタタッ
美希「あはっ、追いかけっこなら負けないのー!」ダッ
たかね「み、みき! はなしなさい!」ジタバタ
美希「ふっふっふー、たかねの運動神経でミキから逃げきれると思った?」
400 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/30(月) 21:03:17.52 :1356BGIn0
たかね「このようなくつじょく! わたくしは、そふぁになどくっしません!」
美希「まーまー、いいからいいから。それっ」ボスン
たかね「ま、またこうなるのですかっ!? めんようなーっ!」
美希「あーっ…… やっぱり、ふかふかのソファとたかねのセットは何度やってもサイコーなの!」ギュー
たかね「…… なぜみきは、まいど、わたくしをかかえてねるのですか」
美希「だって、あったかいし、もふもふしてて気持ちいいし、ぎゅってするのにちょうどいいんだもん」
たかね「わたくしのつごうはどうなるのです!?」
401 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/30(月) 21:04:27.85 :1356BGIn0
美希「でも…… たかね、特になんの用事もないでしょ……?」
たかね「いいえ! わたくしのすけじゅーるは、いっぱいなのですよ!」
美希「…… ええー、そうなのぉ……? たとえば、どんな……?」
たかね「はるかにおかしをもらったり、ゆきほのおちゃをいただいたり、あみやまみとげーむをするなど、だいじな……」
美希「…… くう…… すぴー」ギュー
たかね「じ、じぶんからきいておいて、そのたいどはなんなのです!?」
たかね(いまは、かんぜんにかかえられていますが…… みきのちからが、ぬけるのをまてば!)キッ
402 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/30(月) 21:05:39.93 :1356BGIn0
やよい「真さーん、すみません、そこのタオルケットとってもらっていいですかー?」ヒソヒソ
真「えっと…… ああ、これだね、はい」ヒソヒソ
やよい「ありがとうございます。 ……んしょ、っと」ファサ
美希「…… あふぅ……」
たかね「むにゃ……」
やよい「美希さんがたかねちゃん抱えて一緒に寝てるの、もうすっかりおなじみですねー」
真「ホントにね。まあ、二人とも幸せそうだし、いいんじゃないかな?」
小鳥「美希ちゃん、今日の予定はもうないはずだから、そっとしておいてあげましょう」●REC
403 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/30(月) 21:06:34.67 :1356BGIn0
【おくめんもない】
たかね「ひびき、わたくし、とてもよいことをきいたのです」
響「えっ、なになに?」
たかね「ふふふ…… ききたいですか」
響「うん、知りたいな、早く教えてよ」
たかね「きいて、おどろくなかれ…… じつは……!」
響「実は……?」ゴクリ
たかね「えきまえのでぱあとで、ほっかいどうぶっさんてんがあるそうなのです!」
響「あ、そうなの」
たかね「しかもそこで、げんていの、ほっかいどうのらぁめんがしょくせると!!」
響「そうか、そりゃよかったなー。さ、帰ろうか」
たかね「なっ! そこは、『たかねはいいこだから、ごほうびにつれていってあげるぞ』でしょう!?」
響「ごほうびを自分から要求する時点でたぶん、いい子じゃないよね」
たかね「なんと!」
404 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/30(月) 21:10:13.47 :1356BGIn0
【シースルー】
たかね「おうちのえれべーたあと、なにかちがうのですか?」
響「乗ってみたらすぐにわかるさー。あっ、ちょうど着いたよ」
チーン
たかね「! すごいですっ、ひびき!! かべからおそとがみえます!」
響「でしょ? ほかのお客さんもいるんだから、あんまり騒がないでね」
たかね「うごきはじめました! おお、ぐんぐんと……!」
響「はいはい、そんなに張り付いてたらほっぺの跡がついちゃうぞ」
たかね「…… あの、ひびき…… まだ、うえにあがるのですか……?」
響「そりゃそうだよ、催事場ってだいたい一番上のフロアだから」
響「そろそろ着くよー。 ……たかね、自分にしがみついてたらお外が見えなくない?」
たかね「け、け、けっこうです、もう、じゅうにぶんにみたので、いりません」ブルブル
406 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/30(月) 21:11:27.49 :1356BGIn0
【函館札幌旭川】
響「早く決めちゃいなよ、たかね」
たかね「しお…… いえ、やはりみそ…… ああ、しかし、しょうゆもすてがたく……!」
響「もう店員さん呼ぶぞー?」
たかね「まってください! ひびき…… このかっとう、ひびきもわかるでしょう!?」
響「いやごめん、全然」
たかね「なにゆえです!?」
響「自分、こういうとき、悩まないでぱっと決めちゃう方だからさ」
たかね「ああ…… しょせん、ひびきには、このすうこうななやみは、りかいできませんか……」
響「よーし、たかね、帰りもさっきのエレベーターに乗ろうなー」
たかね「いやです! それだけはいやでございます!!」ガクガク
407 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/30(月) 21:12:10.47 :1356BGIn0
【らんぐどしゃ】
たかね「あちちっ…… のうこうで…… あひゅ、たいへんに、びみで、あちっ!」ズズ
響「無理にしゃべらなくていいから、落ち着いて食べなよ」ズズズ
たかね「このかんどう! くちにせずには、あちっ、いられな、あちち」
響「味噌ラーメンって、ただでさえ熱いんだからさ…… 少し冷めるの待てば?」
たかね「…… ひびきのしおらぁめんも、まこと、おいしそうですね」ジーッ
響「うん、すごくいい味。あっさりしてるんだけど、深みがあるっていうか」ズズ
たかね「ひびき。みそらぁめんがほどよくさめるまで、わたくし、てもちぶさたです」
響「だろうね。おとなしく待ってるんだよ」
たかね「…… そのしおらぁめん、こがらなひびきには、おおすぎませんか?」ダラダラ
響「よだれふいて、素直にくださいって言えたら、ちゃんと分けてあげるぞ」ズズ
408 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/30(月) 21:13:08.93 :1356BGIn0
【新井式廻轉抽籤器】
響「じゃあ、これでお願いします」
店員「かしこまりました」
たかね「ごちそうさまです! たいへんに、びみでした!」
店員「あら…… ふふっ、ありがとうございました。はい、お嬢ちゃん、抽選券をどうぞ」
たかね「おや、これは?」
響「…… へえ、今、キャンペーンで福引やってるんだってさ」
たかね「ふくびき?」
たかね「すると、きんいろがでたら、おにくのせっとがいただけるのですねっ!?」
響「当たれば、ね。何分の一の確率かもわかんないけど」
たかね「わたくしが! わたくしがあててみせます!」
響「はいはい…… すみませーん、抽選2回分、お願いしまーす」
409 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/30(月) 21:13:56.66 :1356BGIn0
係員「いらっしゃいませー。おっ、お嬢ちゃんが引くの?」
たかね「はい! きんいろで、おにくがもらえるとききました!」
係員「そうだよ、まだ1等は出てないから頑張って当ててね」
たかね「では…… まいります!」メラメラ
係員「おおー、いい気合の入り具合だ。じゃあ、張り切ってどうぞ!」
たかね「…… とおおーっ!!」
ガラガラガラガラ
たかね「しろ…… しろがふたつ! これは、なにがいただけるのですか!?」
響「そこに張ってあるでしょ。見事に残念賞だぞ」
たかね「なんと!?」ガーン
係員「んー、惜しかったね。さっきの気合に免じて、1個おまけしといてあげよう」
410 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/30(月) 21:15:33.66 :1356BGIn0
【ロゴbyダリ】
たかね「……」ズーン
響「元気出しなって、たかね。あんなの、まず当たらないんだから」
たかね「おにく…… おにくが……」ウルウル
響「それより、さっき残念賞でもらったもの、なんだか知ってる?」
たかね「…… いえ。もちろん、わかりません」
響「だよね? チュッパチャプスって言って、要は棒のついた飴なんだけど」
たかね「あめ…… ということは、つまり、おかしですか?」パァ
響「そうそう。さっき三本もらったからさ、帰ったら一緒に食べようよ」
たかね「では、わたくしがもらったのですから、わたくしがふたつでひびきがひとつですね!」
響「あはは、しょうがないなあ、それでいいよ」
411 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/30(月) 21:17:48.01 :1356BGIn0
【ことしもやってくる】
たかね「しかし、よるだというのに、まちなかは、ひるのようにあかるいですね」
響「時期が時期だからなー。もうすぐクリスマスだもん」
たかね「その、くりすます、というのは、なにかくるしいぎょうじなのでしょう?」
響「え? 違うよ、お祭りみたいなものだぞ。苦しいって、なんで?」
たかね「せんじつことりじょうが、ひどく、にがにがしげなかおでいっておりましたので」
響「あ、ああー…… たかね、今後ピヨ子にその話題振るのはやめとこうね」
たかね「では、くりすますとはなんなのですか?」
響「簡単に言えば、昔の有名な人の誕生日なんだ。みんなでそれをお祝いするんだよ」
たかね「ふむ。ならば、ことりじょうは、そのひとにうらみでもあるのですね」
響「絶対違うからね!? 間違ってもピヨ子に言っちゃダメだぞ!」
412 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/30(月) 21:19:35.91 :1356BGIn0
響「色々あって今では、大事な人に贈り物をあげる日、ってことになってるのさー」
たかね「おくりもの、ですか?」
響「誕生日のお祝いだったのが、家族とか親しい人とかに贈り物するように変わった感じかな」
たかね「ふむ、なるほど」
響「最近じゃまた違ってきて、大事な人と二人で過ごす、ってのが一般的だしね」
たかね「となると、ことりじょうはなぜ、あれほどにがにがしいようすだったのでしょう?」
響「え、ええと…… まだ、誰と一緒に過ごすか決まってない…… とか……、じゃないかな?」
響(ごめんピヨ子! ……なんで謝ってるのか自分もよくわかんないけど、とにかくごめん!)
413 :◆ccGlDikGP2 :2015/03/30(月) 21:20:45.19 :1356BGIn0
たかね「たしかに、いっしょにだれもいないのは、さびしいでしょうね……」
響「…… ま、そういう意味じゃ、自分もピヨ子と大差ないんだけどなー」
たかね「そうですか? ひびきは、さびしくないはずですよ?」
響「えー、どうしてさ?」
たかね「だって、わたくしが、となりにいるからです。ふふっ」ギュッ
響「…… ああ、うん、そっか。うん、おかげで、さびしくなんかないぞ!」ギュ
419 :◆ccGlDikGP2 :2015/04/01(水) 20:40:02.99 :o4CvwkJJ0
【透明キャンパス】
たかね「さむいので…… わたくし、おふとんからでるのをだんこ、きょひします」
響「もー、そんなこと言ってー。どうせ起きなきゃいけないんだからさ」
たかね「いいえ! いざとなれば、おふとんとしんじゅうするしょぞん!」キリッ
響(…… どうせいつもどおり、ご飯できるころには出てくるだろうけど…… そうだ!)
響「ふーん、そうかぁ。じゃあ自分、お絵かきでもしよっかなー」スタスタ
たかね「…… おえかき? こんなあさから……?」
響「おおー、指だけでどんどん描けて楽しいぞー!」キュキュッ
たかね「ゆ、ゆびだけで…… おえかき……?」
響「まだスペースいっぱいあるなー、よーし、自分だけで使い切っちゃおーっと」キュキュキュ
たかね「…… ひびき、わたくしも、おえかきしたいです!」ムク
響「じゃあ、早くおいでー。ちゃんとあったかい格好するんだよ?」
響(……結露が役に立つのって、こんなときくらいだなぁ)
420 :◆ccGlDikGP2 :2015/04/01(水) 20:40:50.87 :o4CvwkJJ0
響「どーだっ! 我那覇響作、題して『いぬ美とたかね』!」
たかね「ほほう…… これは、なかなかのりきさくですね」
響「カンペキだから、絵だってすらすら描けるのさー。たかねもいぬ美も毎日見てるし」
たかね「しかし、このわたくしにはいっぽ、およばないようです」フフン
響「そういえばたかねの描いたの見てなかったな、どれどれ?」
たかね「どうですか。わたくしのうでまえに、こえもでないようですね、ひびき?」
響「こっ…… これは!?」
たかね「これこそは、だいして」
響「すごいぞ、アメーバ上手に描けたな! え、たかね、見たことあるの?」
たかね「あめえば!?」
421 :◆ccGlDikGP2 :2015/04/01(水) 20:43:06.36 :o4CvwkJJ0
【明】
たかね「おや…… ひびき、あそこにみえるのは、おつきさまですか?」
響「そうだよ。時期によって、朝とか昼とかでも見えるのさー」
たかね「なぜですか? ひるはおひさまが、おつきさまはよるに、でるものでしょう?」
響「えーっと、それはね……」
響(地球の自転と月の公転が、なんて話してもわかんないだろうしなぁ……)
響「…… きっと、お日様が一人ぼっちに見えたから、お月様が遊びにきてあげたんだよ」
たかね「ふふ、すると、あかるいようで、おひさまはさびしがりなのですね」
響「でも案外、お月様が、一人じゃ寂しいからって会いにきたのかも」
たかね「む、りょうほうとも、ありそうです…… ひびきは、どちらだとおもいますか?」
響「なんとなく、お月様が寂しがってそうな気がするぞ。たかねはどう思う?」
たかね「ならばわたくしは、おひさまがさびしがり、というほうをとります!」
422 :◆ccGlDikGP2 :2015/04/01(水) 20:44:39.52 :o4CvwkJJ0
【1520mm】
『…… お立ちのお客様は、吊り革や手すりなどにおつかまりください……』
ガタンゴトン
たかね「どうしてでんしゃのなかには、わっかがぶらさがっているのですか?」
響「立ってるお客さんがあれを持って、体を支えるためだよ」
たかね「いったい、どのようなてざわりなのでしょう……」
響「いやぁ、別に、そんないいものでもないと思うけど」
たかね「わたくし、とどかないので、きになります。ひびきは、もったことがあるのですね」
響「えっ…… え、ああ、も、もちろんだぞ、自分はたかねと違ってちゃーんと手が届くからな!」
たかね「どのようなかんじなのです? つるつるしているのですか? やわらかいのですか?」
響「その、えっと、……まったりとして、それでいてしつこくないっていうか」
たかね「ひびき、どうしたのですか、めがおよいでいます」
423 :◆ccGlDikGP2 :2015/04/01(水) 20:45:54.04 :o4CvwkJJ0
【修行】
たかね「ことりじょう、あまっているかみはありませんか?」
小鳥「紙? たかねちゃん、なにか書くの?」
たかね「はい、わたくし、おえかきをしたいのです」
小鳥「なるほど、それなら大きめで真っ白のがいいわね。ちょっと待ってて」
小鳥「お待たせー。これ全部コピーのし損じだから、どれだけいっぱい使っても大丈夫よ」ドサ
たかね「こんなに! ありがとうございます、ことりじょう」
小鳥「どういたしまして。すてきな絵が描けたら、わたしにも見せてね」
たかね「ええ、もちろんです。にどとひびきに、あめえばなどとはいわせません……!」ゴゴゴゴ
小鳥「アメーバ?」
424 :◆ccGlDikGP2 :2015/04/01(水) 20:47:10.42 :o4CvwkJJ0
たかね「ちなみに、ことりじょうは、おえかきはすきですか?」
小鳥「わたし? そうね、うん、嫌いじゃないわ」
たかね「よろしければ、いっしょにおえかきはいかがでしょう」
小鳥「じゃあ…… こっちの作業もちょうどひと段落したし、ちょっとだけ」
小鳥「よーし、完成っと。たかねちゃんと響ちゃん描いてみたわ、どう?」
たかね「わたくしもできました! だいして、『みそらぁめんとわたく ……!?」
小鳥「……たかねちゃん? ごめんなさい、イマイチだったかしら」
たかね「ことりじょう…… いえ、ししょうとよばせてください!!」
小鳥「ええ!?」
425 :◆ccGlDikGP2 :2015/04/01(水) 20:51:59.70 :o4CvwkJJ0
【秋月律子の場合】
律子「うーん……」カタカタカタ
律子「……」ペラ カリカリ
律子「…… あー…… なんか、どうにもしっくり来ない……!」
小鳥「だいぶお疲れみたいですね。律子さん、ちょっと息抜きとかしてみたらどうですか?」
律子「ありがとうございます。企画書、もう一息なんですよ」
小鳥「根を詰めすぎないでくださいね。それじゃあわたし、ちょっと買い物へ行ってきます」
律子「わかりました。お気をつけて、小鳥さん」
426 :◆ccGlDikGP2 :2015/04/01(水) 20:53:26.30 :o4CvwkJJ0
律子(ううーん…… もう一息、なんて言ってはみたけど、どうにも……)
たかね「……」ジーッ
律子(……ぐだぐだ考えてたって始まらないわね。やるしかないんだから)
たかね「あの、りつこじょう?」
律子「…… あー、たかね? ごめん、今ちょっと手が離せないの、もう少ししたら――」
たかね「これをどうぞ」
律子「え、これ…… 私にくれるの? あ、ありがと」
427 :◆ccGlDikGP2 :2015/04/01(水) 20:54:10.53 :o4CvwkJJ0
たかね「それは、ちゅぱちゅ…… ちゅっぱ、ちゅぱっち……」
律子「ああうん、チュッパチャプスね?」
たかね「はい、そういうなまえのあめで、あまくてびみなのです」
律子「たかね、自分で食べたらいいじゃない。これ、おやつ用に持ってきたんでしょう?」
たかね「あまいものをたべると、げんきがでるといいます、りつこじょう」
律子「!」
たかね「おつかれのように、みえたので…… ごめいわくでしたか?」
律子「……いいえ、助かったわ。じゃあこれ、ありがたくもらうわね」
たかね「はいっ!」
428 :◆ccGlDikGP2 :2015/04/01(水) 20:55:17.02 :o4CvwkJJ0
ガチャ
あずさ「戻りました~」
亜美「ただいまー…… って、あああああーっ!?」
たかね「ひゃっ!?」ビクゥ
律子「ちょっ…… なにごふぉ!? ほうかひはの!?」
亜美「あ、あずさお姉ちゃん! 律っちゃんが、律っちゃんがグレちゃったぁーっ!!」
律子「……は?」
あずさ「えっ? 亜美ちゃん、何を言っ…… ……!?」
律子「?」
あずさ「…… あのぉ、律子さん、それ…… たばこ……、ですか……?」
律子「え?」
429 :◆ccGlDikGP2 :2015/04/01(水) 20:57:04.80 :o4CvwkJJ0
律子「たふぁこ……? ……あ、あっ、ふぇ、ひが…… ええい!」
チュポン
律子「ほ、ほらっ違いますって! ねっ!? これ飴です飴の棒! チュッパチャプス!」
あずさ「あ、ああ…… なぁんだ! もう、びっくりしちゃいましたよ」
亜美「…… だ・と・し・て・も、さぁ?」
律子「こ、今度はなによ?」
亜美「律っちゃんともあろうお方がさー、お仕事中にチュッパチャプス舐めたりしていいのかなー?」ニヤニヤ
律子「え……、これは、その、だって!」
あずさ「うふふ、しかたないですよね~? 甘いものがほしいときって、ありますよね」ニコニコ
律子「あ、あずささんまでっ!?」
430 :◆ccGlDikGP2 :2015/04/01(水) 21:00:58.38 :o4CvwkJJ0
たかね「ふふ、すっふぁりげんひになっふぁようでしゅね、りふこじょお」ペロペロ
律子「……おかげさまでね。とりあえずそれ、私からお礼、ってことで」
たかね「ひかひ、こんふぁにおおひな、ぼうふひのあめを、いたふぁいてよいのでふか?」ペロペロ
律子「食べながら言う台詞じゃないわよね、それ」
たかね「む…… たひふぁに……」ペロペロ
律子「ま、たまにはそういうのもいいでしょ。危ないから、歩きながら舐めるのは絶対ダメよ?」
たかね「ふぁい!」ペロペロ
小鳥(……律子さん、ペロペロキャンディなんて、どこで見つけてきたのかしら) ●REC
431 :◆ccGlDikGP2 :2015/04/01(水) 21:02:26.78 :o4CvwkJJ0
【商標登録済】
たかね「ひびき、れいのものをだしてください」
響「例の…… ああ、あれか。ふふ、あれなら掃除機と違って怖くないもんね?」
たかね「こ、こわいのではありません! おそうじのこうりつがよいだけです!」
響「まあ確かに、夜にあんまり掃除機使うわけにもいかないもんなー……」ゴソゴソ
たかね「おともせず、てがるにつかえますし…… それに、わたくしがたのしいです!」
響「最後のがメインの理由だよね、知ってるぞー」
響「じゃあ、これ。よろしくね」
たかね「はい! わたくしがこの"ころころ"で、おへやじゅう、ぴかぴかにしてみせます!」
432 :◆ccGlDikGP2 :2015/04/01(水) 21:03:30.15 :o4CvwkJJ0
たかね「むむ…… やはり、るすのあいだにみなが、けやはねをちらかしていますね」コロコロ
たかね「やわらかで、あまりながくないこのけは、ねこきちどののもの」コロコロ
たかね「こちらにはこまかい、わたのようなものが…… おうすけどのの、はねでしょう」コロコロ
たかね「これは…… うさえどのか、ぶたたどの、はたまた、ももじろうどのの……?」コロコロ
たかね「む。この、ながくてなみうった、しろいけは…… いぬみどののものですね」コロコロ
響「なに言ってるのさ。どう見てもそれ、たかねの髪の毛だぞ」
たかね「なんと!?」
433 :◆ccGlDikGP2 :2015/04/01(水) 21:05:23.30 :o4CvwkJJ0
【弟子入り志願】
たかね「そういえば、ひびき。わたくし、ひびきにおそわりたいことがあるのです」
響「自分に? へえ、いったい何?」
たかね「あみもののつくりかたを、おしえてください」
響「編み物? ……セーターとかマフラーとか、そういう編み物?」
たかね「はい、そのあみものです」
響「教えるのは全然かまわないけど…… なんで?」
たかね「…… わたくしも、ゆくゆくは、まふらーやぼうしをつくれるようになりたいのです」
響「ふーん? まあ、なんにでも興味もつのはいいことだぞ!」
434 :◆ccGlDikGP2 :2015/04/01(水) 21:05:55.65 :o4CvwkJJ0
響「たかね、最初はなにを作ってみたいの?」
たかね「はじめてあむのに、おすすめはなんでしょうか」
響「定番は…… やっぱりマフラーかな。セーターとか帽子とかは、立体的で難しいからね」
たかね「それならば、まふらーにします!」
響「よし、じゃあ…… 毛糸はこのへんの番手がいいかな」
たかね「お、おお……!? おもっていたより、ずいぶんふといのですね」
響「最初はこれくらいがいいよ。あんまり細いと、完成まで時間がかかっちゃうのさー」
たかね「ふむ…… まるで、おうどんのようです」
響「言われてみれば、確かに。しかし、たとえがうどんって、ぶれないなホントに」
435 :◆ccGlDikGP2 :2015/04/01(水) 21:06:27.27 :o4CvwkJJ0
【What kind of color】
響「あ、そうだ、色はどうする?」
たかね「いろ?」
響「そう、毛糸の色。これ次第で、けっこうできあがりの印象が違うぞ」
たかね「どんないろでも、あるのですか?」
響「だいたい揃ってるよ。こないだ自分が使ったのに似た、臙脂っぽいのとかはどう?」
たかね「…… あの、ひびき、あおいけいとはありませんか」
響「青? なくはないけど…… でも、たかねには臙脂色、よく似合うと思うけどなー」
たかね「わたくしも、たまには"いめちぇん"をしてみたいのです」
響「んー、じゃ、これなんかどうかな? 明るめの青、ライトブルーって感じだけど」
436 :◆ccGlDikGP2 :2015/04/01(水) 21:10:14.16 :o4CvwkJJ0
【前途多難】
響「それじゃまず、作り目ってものの作り方から説明するね」
たかね「つくりめ、ですか」
響「編み物の、土台になる部分っていえばいいかな。これを作って、そこから編み始めるの」
たかね「なるほど。よろしくおねがいします」
響「じゃあ最初は、編みたいマフラーの幅の3倍ぶんくらい、毛糸玉から糸を引き出すぞー」
たかね「このはしっこを、ひっぱればよいのですね?」
響「端っこ? ……ちょっと待った、たかね、玉の外じゃなくて、内側から――」
たかね「えいっ」ズルッ
コロコロコロ
たかね「おや? たまが、ころがってしまい…… はっ!?」
ねこ吉「ニャッ」 ダッ
たかね「なっ、わ、わたくしのけいとになにをするのです!?」
響「ねこ吉っ!? なんてお約束な…… じゃなくて! こらーっ!」
437 :◆ccGlDikGP2 :2015/04/01(水) 21:11:02.56 :o4CvwkJJ0
【冷気と熱が両方そなわり】
たかね「わたくし、おもうのですが……」
響「んんー? なあにー?」クター
たかね「こたつは、にんげんのかんがえた、もっともいだいなはつめいではないでしょうか……」トローン
響「冬場はそう思うよねー…… そうだ、ちょうどいいから、別の偉大な発明も足そう」
たかね「? ……なぜ、このさむいのに、れいとうこをあけるのです?」
響「寒いからこそ、ってね。はい」
たかね「これは…… いったい? こおっているのですか?」
響「アイスクリームだぞ。たかねの言ったとおり、凍ってるお菓子」
たかね「おかし! ……とはいえ、こおっているのでは、たべられませんね」
響「それが食べられるんだなー。それ、開けてみて」
438 :◆ccGlDikGP2 :2015/04/01(水) 21:11:49.98 :o4CvwkJJ0
たかね「しかし…… ひびき、これはいかにもつめたそうです」
響「冷たくなきゃアイスはおいしくないぞ。こたつに入ってるんだから、寒くないでしょ?」
たかね「それはたしかに、そうですが……」
響「ん、それじゃあまず、自分のぶん一口あげるよ。大丈夫、すごくおいしいから」
たかね「ふむ、そういうことなら」
響「はい、あーん」
たかね「…… あーん」 パク
たかね「!! つ、つめた…… あま! おおお!?」
響「ね、おいしいでしょ」
たかね「あまくて、おくちで、とけて…… ああ、なくなってしまいました!?」
響「どう? もっと食べたくなった?」
たかね「ひ、ひびき、わたくしのぶんは、どうやってあけたらよいのですかっ!」ワタワタ
響「ふふ、焦らなくてもアイスは逃げないぞー。ほら貸して、開けてあげるから」
439 :◆ccGlDikGP2 :2015/04/01(水) 21:13:06.80 :o4CvwkJJ0
たかね「ああ…… なんという……! つめたくて、あまくて、とろけて……!」パクパク
響「これもすごい発明だと思うんだよね。凍ってるのに、こんなにおいしいなんてさ」パク
たかね「ええ、ええ、まことに」パク
キーンッ
たかね「!?」
響「たかね、どうかしたの?」パク
たかね「い、いたあぁぁぁっ!? あ、あたまが、きーんとなって……!!」
響「…… あー、冷たいもの食べるとそうなる人、いるらしいね」
たかね「ひびきは…… ひびきは、いたくならないのですか!?」
響「うん。自分はそれ、経験ないんだ」パク
たかね「そんな、めんような…… っ! ふこうへいです!! ああ、いたた……!」
445 :◆ccGlDikGP2 :2015/04/02(木) 23:40:26.09 :mGPC/xzh0
【Catch!】
響「……うん、たぶん、ただの風邪だとは思うんだ」
響「熱が出てるくらいで、あとはちょっと咳をしたりとか」
響「とりあえず、家にあった風邪薬は飲んだから、少しはマシになったと思う」
響「うーん、もっとひどくなるようなら考えるけど…… でも、ほら、保険とかさ……」
響「えっ? ああ、学校の方は大丈夫だぞ、もう連絡入れといたから」
響「ごめんプロデューサー、迷惑かけて。みんなにもよろしく伝えといてね。うん、それじゃ」
ピッ
響「さてと、お待たせ。たかね、気分はどう?」
たかね「…… ゆうべよりは、けほ、だいぶ…… らくです」
446 :◆ccGlDikGP2 :2015/04/02(木) 23:40:52.89 :mGPC/xzh0
【くーるだうん】
響「うん、お薬、きいたみたいだね。熱はまだあるけど、ちゃんと下がってるよ」
たかね「そうですか…… じぶんでは、よく、わかりません」
響「だよね。あんまり気にしなくていいぞ」
たかね「はい……」
響「とはいえ、まだ冷やしといたほうがよさそうだな…… 冷えピタ、交換しとこう」
たかね「おでこの、これですか?」
響「そう、貼ってるやつ。今ついてるぶん、ぬるくなっちゃったでしょ?」
たかね「そうですね…… もう、ひんやりはしません」
響「ん、よし。じゃ、新しいのと替えようね」
たかね「こころえました…… ただ、あの、ひびき?」
響「なあに?」
たかね「ゆっくり、おねがいします。きゅうに…… ひやっとすると、どきっとしますゆえ……」
447 :◆ccGlDikGP2 :2015/04/02(木) 23:41:32.27 :mGPC/xzh0
【ただでは寝ない】
たかね「…… おねがいが、あるのです、ひびき」
響「なぁに、たかね。なんでも聞くよ」
たかね「わたくし…… らぁめんが、とてもすきです」
響「うん、知ってるぞ…… ラーメン食べたい? 作ってこようか?」
たかね「もし…… もし、わたくしの、やまいがなおったら……」
響「たかね……」
たかね「そのときは…… かっぷめんを、まいにちたべてもよいという、やくそくを……」
響「ちょっと待って、ホントに熱あるんだよね?」
たかね「……げんちをとりそこねましたか」
響「!?」
448 :◆ccGlDikGP2 :2015/04/02(木) 23:42:39.12 :mGPC/xzh0
【見舞い客ズ】
響「なにか食べられそうなもの用意してくるよ。自分、見えるとこにいるから、大丈夫だよね?」
たかね「はい…… もちろんです。わたくし、もう、ごさいですから……」
響「そうだったなー、えらいぞたかね。眠かったら、気にしないで寝ちゃっていいからね」ナデナデ
たかね「…… おや、いぬみどの、ねこきちどの。わざわざ、きてくれたのですか」
たかね「はむぞうどのに、しまおどの…… うさえどの、ぶたたどのまで」
たかね「ふふ、おうすけどのと、ももじろうどのが、そろってとぶのは、はじめてみました……」
たかね「へ、へびかどの、わにこどの…… おきもちは、まこと、こころから、うれしいのです」
たかね「ただ…… あの、ごはんのおすそわけは、あの、ほんとうに、けっこうですので、ひぃ」
449 :◆ccGlDikGP2 :2015/04/02(木) 23:43:17.91 :mGPC/xzh0
【ド定番】
響「昔から、風邪をひいたときにはこれって決まってるんだぞ」
たかね「……だれが、きめたの…… ですか?」
響「さあ…… ふふ、そう言われてるだけで、ほんとは誰でもないんだろうね」
たかね「ひびき…… それは、なんですか」
響「食べたときのお楽しみ。きついだろうけど、何かおなかに入れたほうがいいからさ」
たかね「…… いちり、ありますね。では……」
響「ああ、いいよ、食べさせてあげる。ちょっとだけ体起こすよ?」
たかね「はい…… おねがいします」
響「ん、しょっと…… よし。じゃあ、はい、あーん」
たかね「あーん……」
450 :◆ccGlDikGP2 :2015/04/02(木) 23:43:57.73 :mGPC/xzh0
たかね「…… ひんやりして、ここちよいです」ムグムグ
響「よかった。これなら熱があるときでも、すっと食べられるからね」
たかね「これは、おりんごですね?」
響「そう、すりおろしたりんご。蜂蜜と、ちょっとだけショウガも足してるの」
たかね「おいしいです…… まだ、ありますか?」
響「たかねならきっとそう言うと思って、たくさんすっといたよ。はい、あーん」
たかね「……あーん」
響「自分もひどい風邪のときは、あんまーに食べさせてもらってたさー。懐かしいなー」
たかね「んむ…… たいへん、びみです。もうすこし、ください、ひびき」
響「しっかり食べて、早くよくなるんだぞ。ほら、あーん」
451 :◆ccGlDikGP2 :2015/04/02(木) 23:49:12.16 :mGPC/xzh0
【"FAIRY" Tale】
たかね「ひびき。ねむれないので、なにか、おはなしをしてほしいです」
響「え? ああ、お話、お話かあ…… どんなのでもいい?」
たかね「はい!」
響「――とある南の島にね、元気な女の子がいたんだ」
たかね「おんなのこ……」
響「その子は、家族に大事にされて、すくすく元気に育ったの」
たかね「ふふ、わたくしとにています」
452 :◆ccGlDikGP2 :2015/04/02(木) 23:49:52.77 :mGPC/xzh0
響「大きくなって、どうしてもやってみたいことができたその子は、住んでる島を離れることにした」
たかね「かぞくからはなれて、ひとりになるのは、さびしかったでしょうね」
響「きっとね。人前じゃ泣かなくても…… ひとりの時とかは、どうだっただろうなー」
たかね「そのこは、やってみたいことは、できたのでしょうか?」
響「ふるさとから離れてまで始めたことだから、すごく頑張ったんだ。寝る間もないくらい」
たかね「すごい…… わたくしには、なかなかまねできそうにありません」
響「でも、出てきたばっかりで友達もいないし、やっぱり大変だしで、くじけそうになっちゃったの」
たかね「ああ、むりもないことですが…… それから、それからどうなったのです?」
響「そこで、同じ目標を持った友達ができたんだ」
たかね「おお! それはいったい、どのような?」
453 :◆ccGlDikGP2 :2015/04/02(木) 23:50:25.25 :mGPC/xzh0
響「それがまあ変わった友達でさ、実力はあるし性格もいいんだけど、どこか抜けてるの」
たかね「ぬけている、とは?」
響「うーんと…… そうだなぁ、ちょうどたかねみたいな感じ」
たかね「し、しつれいな!?」
響「…… とまあ、それで、友達もできた女の子は、改めて目標に向かって頑張った」
たかね「みかたもできて、がんばりやさんですから、きっと、うまくいったのですね!」
響「ところが、そうでもなかったのさー」
たかね「え?」
響「その子と友達は一緒に大きな勝負をしたんだけど、負けちゃったの」
たかね「なんと……」
454 :◆ccGlDikGP2 :2015/04/02(木) 23:51:32.20 :mGPC/xzh0
響「悪いことって続くもので、負けたのを理由に、それまで味方してくれてた人に見放されちゃって」
たかね「それは、あんまりです。だれだって、いつもかてるわけではないのに」
響「たかねの言う通りだぞ。でも、それでも許してもらえない場合って、あるんだよね」
たかね「しかし…… うう、それでは、そのこと、おともだちは……」
響「そう、目標は変わらずあるんだけど、そこからどうしていいかわからなくなっちゃった」
たかね「……」
響「…… でもね、悪いことばかりでもなかったのさー」
たかね「なにかいいことがあったのですか?」
響「行くところがないなら一緒においで、がんばろう、って誘ってくれる人たちが現れたの」
たかね「お、おお!!」
455 :◆ccGlDikGP2 :2015/04/02(木) 23:52:32.03 :mGPC/xzh0
響「ちょっと悩んだけど、その子も友達も一緒に、その誘いを受けることにしたんだ」
たかね「ばしょはちがっても、こころざしがあれば、がんばれますからね」
響「そうだね。いろいろ変化があった分、苦労もあったみたいだけど」
響「そうやってその子が新しい居場所を見つけたところで、お話はおしまい。おもしろかった?」
たかね「ええ、とても、それで、いま、そのおんなのこは?」
響「さあ、どうなったのでしょう…… たかねは、その子がどうなってると思う?」
たかね「わたくしの、かんですが…… おさないながら、よくできたしゅくじょと、くらしていそうです」
響「…… ふふ、さて、どうだろうね?」
456 :◆ccGlDikGP2 :2015/04/02(木) 23:56:23.85 :mGPC/xzh0
【いまいるもの】
響「さて、たかね、ほかになにか欲しいものとか、食べたいものとかはない?」
たかね「たべたい、もの……? ほしいもの……」
響「うちに今ないものなら、言ってくれればすぐ買ってくるよ」
たかね「…… そうですね、とくになにも、いりません」
響「そう? 冷たいものとかいらない? ほら、前に飲んだアクエリとか、アイスとかさ」
たかね「いまのところは、だいじょうぶそうです」
響「そっか。あ、もし気を遣ってるんだったら、遠慮なんかしなくても――」
たかね「ですので、ひびき…… わたくしが、ねむるまで、てをにぎっていてくれませんか?」
響「……ふーん、それだけでいいの? お安い御用だぞ」
462 :◆ccGlDikGP2 :2015/04/12(日) 20:18:43.81 :upkkSkME0
【まなばない】
響「たかねー! ほーら起きた起きた、朝だよ朝ーっ!」
たかね「…… くうう、すぴいいー」
響「わざとらしい寝息立てたってダメだぞ。目が覚めてるの、わかってるんだから」
たかね「ですが、ひびき、おそとはさむいです」モゾ
響「確かにね。でもそこをえいやっ! と起きちゃえば大丈夫さー」
たかね「しかし、このおふとんのぬくもりは、なにものにもかえがたく……」
響「……実はきょう、雪が積もってるんだけど」
たかね「まことですかっ!?」ガバ
響「まことまこと。さ、見に行っておいでよ」
たかね「はいっ!」タタタ
463 :◆ccGlDikGP2 :2015/04/12(日) 20:19:22.31 :upkkSkME0
たかね「どこにもつもっていないではありませんか! だましたのですね!?」
響「…… たかね、これでひっかかるの何度目だっけ。そろそろ気づこうよ」
たかね「ああっ!? いまのあいだに、おふとんをあげてしまうとは! なんとひれつな!」
響「ここまでチョロいとかえって不安になってくるぞ、自分」
たかね「おに! あくま! いけず! ひびき!!」
響「はいはい、まず顔洗っておいでー」
464 :◆ccGlDikGP2 :2015/04/12(日) 20:22:55.81 :upkkSkME0
【櫛にながるる】
響「今に始まった話じゃないけど、頭が毎朝すごいことになるよね、たかねは」
たかね「わたくし、かたにはまらないおなごなのです」ボワン
響「なんの自慢なんだか…… 梳かしてあげるからほら、こっちおいで」
たかね「はい、いつもどおり、おねがいいたします」ボワ-
たかね「…… なぜ、わたくしのかみはこうなるのに、ひびきはならないのですか?」
響「うーん、なんでかなぁ。髪の質とか?」
たかね「そうです! きっと、わたくしのかみのほうが、ひびきのものよりげんきなのです!」
響「なるほどね。でも、それを言うなら、自分の髪のほうがおしとやかなのかもよ?」
たかね「むっ…… ちがいます、しゅくじょのわたくしのほうが、おしとやかです!」
響「あー、こら、あんまり動かないでよ、うまく梳けないからさ」
465 :◆ccGlDikGP2 :2015/04/12(日) 20:23:41.28 :upkkSkME0
【あさらー】
響「さてと。きょうはパンとごはん、どっちが食べたい?」
たかね「ときにひびき、わたくし、こんしゅうぶんのかっぷめんを、まだいただいておりません」
響「そういえばそうだなー…… って、たかね、まさかと思うけど」
たかね「あさ、しょくしてはいけない、というるーるは、ありませんでしたね?」
響「ええー…… ホントに? 夜とかの方がよくない?」
たかね「これはわたくしの、せいとうなけんりです! ひびき、らぁめんをください!」
たかね「ひさかたぶりの、たいめん……! ああ、おなつかしゅうございます!」
響「…… うがー、見てるだけで胃にきそう。よく朝からそんなの食べられるなぁ、たかね」
たかね「ふふ、あさのらぁめんはきん、ひるのらぁめんはきん、よるのらぁめんはきん、ともうしますよ?」
響「自分の人生で間違いなく初耳だぞ、それ」
466 :◆ccGlDikGP2 :2015/04/12(日) 20:24:18.46 :upkkSkME0
【in a sense】
たかね「ひびき、このうわぎなら、したはなにがおすすめですか?」
響「そうだなぁ。このスカートとか、合うと思うよ」
たかね「ふむ、これが、こおでぃねえと、というものなのですね」
響「そういえばたかね、最近は、自分で何着ていくか決めなくなったなー」
たかね「…… はなすも、くつじょくなのですが」ギリギリギリ
響「え…… えっ、屈辱? なにが?」
たかね「ひびきにふくをえらんでもらったひは、みな、『おしゃれだね』といってくれるのです」
響「そりゃ当然さー、カンペキな自分のチョイスだからね!」
たかね「そして、わたくしがじぶんでえらんだときは……」
響「選んだときは……?」
たかね「……『きばつだね』『さすがたかねちゃん、めんようだね』などと!!」
響「えーっと……、それもさ、みんなきっと褒めてくれてr」
たかね「みえすいたきやすめはおやめなさい!!」クワッ
響「うん、ごめんなさい」
467 :◆ccGlDikGP2 :2015/04/12(日) 20:25:48.40 :upkkSkME0
【カンガルー状態】
たかね「うう、かぜがしょうしょう、こたえます……」
響「駅のホームって、壁がなくて吹きさらしだからねー」
たかね「ひびきのうわぎは、ぶあつくて、あたたかそうです」
響「ダッフルコートって言うんだぞ。もともとは漁師さんが海で着てたやつ」
たかね「なるほど……」ブルブル
響「…… あ、そうだ、いいこと思いついた。たかね、こっちにおいでよ」
たかね「いいこと? なんでしょうか、たのしいことですか?」トコトコ
響「ふふ…… よっと!」バサッ
たかね「ひゃあ!?」
468 :◆ccGlDikGP2 :2015/04/12(日) 20:26:45.22 :upkkSkME0
響「どう? 寒いの、少しはマシになったでしょ?」
たかね「はいっ! ぽかぽかです! だっふるこおとは、いだいですね」
響「だぼっとしてる分、たかねくらいならこうやって、一緒にくるんであげられるからなー」
たかね「それにひびきも、わたくしがくっついたぶん、よりあたたかでしょう?」
響「うん、お互いいいとこどりさー。 ……おっ、電車来たよ」
たかね「でんしゃのなかでも、このままがいいです、ひびき」
響「えー、さすがにそれは暑苦しくない?」
たかね「さきほどまで、たいへんさむかったので、しばらくだんをとらせてください!」ヌクヌク
469 :◆ccGlDikGP2 :2015/04/12(日) 20:27:37.68 :upkkSkME0
【立ち往生】
響「はいさーい! ピヨ子、おはよーっ」
小鳥「おはよう響ちゃ…… あら? たかねちゃんは?」
響「ふっふっふっふ…… たかねなら……」
たかね「ここにおります!」ヒョコッ
小鳥「ピヨッ!?」
響「へへー、どうどう? びっくりした? 人間カンガルー、なんちゃって!」
470 :◆ccGlDikGP2 :2015/04/12(日) 20:28:37.51 :upkkSkME0
たかね「ふふっ、おどろいたでしょう、ことりじょ…… あの、ことりじょう?」
響「ん、あれっ、ピヨ子……?」
小鳥「」ダラダラ
たかね「ひびき。ことりじょうはなぜ、はなぢをながしているのですか?」
響「…… ええっと、その、ちょっと衝撃が強すぎたのかも」
たかね「それになぜ、ほほえみをうかべて、たちつくしているのですか?」
響「だいたい察しはつくけど、とりあえず幸せそうだからいいってことにしとこう、ね」
471 :◆ccGlDikGP2 :2015/04/12(日) 20:32:00.62 :upkkSkME0
【水瀬伊織の場合】
伊織「……なあに、人のことじっと見て」
たかね「いおりはいつも、そのうさぎさんをつれているのですね」
伊織「そう、だけど…… なによ、なんか悪い?」
たかね「いえ、うさぎさんがとてもかわいらしいと、わたくし、つねづねおもっておりまして」
伊織「えっ…… あ、そ、そう? ふーん、なかなか見る目があるじゃない」
たかね「もしよろしければ、わたくしにも、だかせてもらえませんか?」
伊織「…… 仕方ないわね、そーっとよ? 落っことしたりしたら承知しないんだから」
たかね「は、はいっ! こころします」
472 :◆ccGlDikGP2 :2015/04/12(日) 20:32:29.42 :upkkSkME0
たかね「おお…… このうさぎさんは、ふわふわで、てろてろです」
伊織「……シャルル、よ」
たかね「え?」
伊織「この子の名前。シャルルっていうの」
たかね「しゃりゅ…… しゃ、しゃるりゅ……」
伊織「…… あー、そうだった、あんた元々カタカナはダメだったわね……」
たかね「はい…… どうにも、はつおんがふえてで……」
伊織「じゃあ仕方ないわね、特別に、"うさぎちゃん"って呼んでもいいわよ」
たかね「うさぎちゃん……どの?」
伊織「殿、はなくても…… まあいいわ。あ、そうそう、間違っても"うさちゃん"じゃないからね」
たかね「こころえました。うさぎちゃん……どの、うさぎちゃんどのですね!」
473 :◆ccGlDikGP2 :2015/04/12(日) 20:33:15.82 :upkkSkME0
伊織「ところでたかね、あんたのど渇いてない?」
たかね「はい? いえ、さほどは」
伊織「そうかしら。ここ、結構乾燥してるし、それなりに渇いてるはずよ」
たかね「ふむ……、そういえば、しょうしょう……」
伊織「そ、じゃあちょっと待ってなさい」
たかね「?」
伊織「はいこれ。シャル…… うさぎちゃんから、お近づきのしるしよ」コト
たかね「これは…… おれんじじゅーす?」
伊織「そうよ。のどが"すっっごく"渇いてるならしょうがないわ、ちょっとだけ分けてあげる」
たかね「まことですか! ありがとうございます、いおり。では、さっそく……」
474 :◆ccGlDikGP2 :2015/04/12(日) 20:34:40.50 :upkkSkME0
伊織「……どう?」
たかね「びみです…… これはたいへんにびみです! まさに、かんろ!」
伊織「ふ、ふん、当然よ。この伊織ちゃんが愛飲してる特製なんだから」
たかね「いおりは、いつもこのようなおれんじじゅーすをのんでいるのですか?」
伊織「まあね。あ、勘違いしないでよ、特別に今日はちょっと分けてあげただけで――」
たかね「…… これからはもう、いただけないのですね」ウルッ
伊織「え…… ……えっと、その」
たかね「いまいただいたぶんが…… こんじょうの、わかれのさかずきに……」ウルウル
伊織「…… あー、もう、大げさなんだから。今後あげない、とは言ってないでしょ」
たかね「!」
伊織「のどが渇いてしょうがない、ってときは言いなさい。分けてあげなくもないから」
たかね「……いおりっ! いおりが、まばゆくかがやく、めがみにみえます!」キラキラ
伊織「な、なによ、やめなさいよ…… もう、現金なんだから」
475 :◆ccGlDikGP2 :2015/04/12(日) 20:36:31.12 :upkkSkME0
【黒蝸牛】
真美「…… ショージキ、真美はこれ、いらないかなぁ」
春香「ううーん、といって、捨てるのもなんだかね…… どうしよっか」
たかね「おや? ふたりとも、どうしたのですか?」
真美「あ、おひめっち。いやー、これなんだけどさあ……」
たかね「…… なにか、どくとくなにおいがしますね」
春香「今日収録のあった番組で扱ってた余りを、スタッフさんがくれたんだけど……」
たかね「この、くろいうずまきのようなものは、いったいなんですか」
春香「一応、分類上はお菓子なんだよ。……分類の上では、ね」
たかね「おかし!?」キラキラ
真美「ちょっとはるるん、それフェアじゃないって。おひめっち反応するに決まってるじゃん」
476 :◆ccGlDikGP2 :2015/04/12(日) 20:37:18.78 :upkkSkME0
たかね「す…… しゅ、しゅにぇけん?」
真美「おしい、ちょーっと言えてないなー。"シュネッケン"っていうんだって」
春香「ただ、番組内での触れ込みからして…… 世界で一番まずいグミ、っていうコピーで……」
たかね「ぐみ……? おかしなのに、おいしくないのですか?」
春香「……うぷっ、おえ」ズーン
たかね「!?」
真美「はるるん!? まずい、フラッシュバック起こしてるYO!」
たかね「そ、それほどまでに……」
春香「…… その、なんていうか、養命酒に漬けたタイヤを噛んでるみたいな……」
たかね「たいや……? ようめいしゅ?」
真美「真美もほんのちょっとかじったけど…… お菓子っていうか、食べ物とは認めたくないかな」
477 :◆ccGlDikGP2 :2015/04/12(日) 20:38:11.72 :upkkSkME0
春香「うん、だから、こればっかりはたかねちゃんもやめといた方がいいよ」
たかね「…… しかし、おかしはおかしなのですね?」
真美「いやいやいや、おひめっち。よーく考えてみなよ、この見た目とにおいなんだし」
たかね「いえ、いただいてみます」ヒョイ パクッ
真美「うえええっ、マジで!?」
春香「そんな、丸ごとなんて自--行為だよたかねちゃん!!」
たかね「……ふむ? それふぉろ、ひろいあじれもないれふが?」ムグムグ
春香「ええーっ!? いや、たかねちゃん、ホントに無理しなくていいんだよっ!?」
真美「はるるんですら素のリアクションしたんだよ!? 耐えても別にえらくないよおひめっち!」
たかね「んく…… かんぽうやくのようで、なかなかにいけます」
真美「…… うわー、マジかー。はらぺこおひめっち、おそるべし、だぜぃ……」
春香「ねえところで真美、はるるん"ですら"ってどういう意味かな」
478 :◆ccGlDikGP2 :2015/04/12(日) 20:41:16.81 :upkkSkME0
たかね「ひびき。きょうは、はるかとまみから、めずらしいがいこくのおかしをいただきました」
響「へえ、ほんと? よかったなー! ねえねえ、それって自分のぶんもある?」
たかね「もちろんですよ、たくさんあります。かえったら、いっしょにたべましょう!」
響「いいねー、どんなのか楽しみだぞ」
響「な、なにこれ、どう見ても食べ物じゃないでしょ!? たかね、絶対だまされてるって!!」
たかね「ひびき! なぜにげるのです! みためのわりにびみですから、ほら、さあ!」
響「や、やめ、いらないってば…… ちょっ、口に、むぐっ!?」
たかね「どうです? かおりたかく、ほのかなあまみと、にがみが…… ……ひびき?」
\ うぎゃーっ /
479 :◆ccGlDikGP2 :2015/04/12(日) 20:43:47.79 :upkkSkME0
【らいくらいすけーき】
響「……」ボー
たかね「……」ポケー
響「……」
響「……」ムニ
たかね「…… にゃにを、ひゅるのでふ、ひびひ」
響「なんか、たかねのほっぺ、お餅みたいだなーと思って」
たかね「はなひてふだはい」
響「よく伸びるなあ、ほんとにお餅みたい」ニュー
たかね「ひゃめなはい、ひゃめゆのでふ」
響「なに言ってるかわかんないぞー」ムニュー
480 :◆ccGlDikGP2 :2015/04/12(日) 20:44:38.39 :upkkSkME0
たかね「……わたくし、たいへんくつじょくをあじわいましたので、やりかえします」ゴゴゴ
響「でも、自分のほっぺはそんなにぷにぷにしてないよ」
たかね「もんだいはそこではありません。おもうさま、つねられたことです」
響「力もそこまで入れてたつもりはないけどなぁ」
たかね「もんどうむよう! ひびき、むくいをおうけなさい!」バッ
響「手触りも含めて、やっぱりお餅だなぁこれ」ムギュ
たかね「ひ、ひひょうな! ひびひ、てをのふぁふのは、ひひょうでふ」ジタバタ
響「あはは、今度もなに言ってるかわかんないなー」ムニー
たかね「めんひょうにゃーっ!」
490 :◆ccGlDikGP2 :2015/04/18(土) 23:39:41.47 :9rNrLV4h0
【摘出】
響「よいしょっと……」ゴソゴソ
たかね「おふとんというのは、そとがわと、うちがわがあったのですね」
響「この外側のはシーツっていうんだよ。いい天気だし、ちょうどいいから洗っとこう」
たかね「うちがわのほうはあらわないのですか?」
響「そっちは洗うんじゃなくて、干すの。ふかふかになって気持ちいいよ」
たかね「ふかふか……! なんと、かんびなひびきでしょう」
響「よーし、じゃあたかね、ベランダに出すの手伝ってくれる?」
たかね「はいっ!」
491 :◆ccGlDikGP2 :2015/04/18(土) 23:40:34.02 :9rNrLV4h0
【お砂糖てんぷら】
たかね「ごはんには、まだはやいきがしますが…… ひびき、おりょうりをするのですか?」
響「うん、明日は久々に事務所におみやげ持って行こうかと思って」
たかね「なにができるのです?」
響「自分の地元の名物でね、サーターアンダギーっていうの」
たかね「さ、さーた……?」
響「だから、"サーターアンダギー"だぞ」
たかね「さー、しゃーた……、しゃ、さーた、あんだ、ぐゅ」
響「……」
たかね「さ、さた、あん…… それは、いったいなんですか」
響「あー、たかね、うまく言えないからってごまかしたなー?」
たかね「ちがいます! きょうは、その、したのちょうしが、しょうしょう……」
響「名前がちゃんと言えない子には、タダじゃ教えてあげられないなー」
たかね「せっしょうなーっ!?」
492 :◆ccGlDikGP2 :2015/04/18(土) 23:41:12.13 :9rNrLV4h0
響「ということで、詳しく知りたかったらお手伝いをしてもらうぞ!」
たかね「むうぅ、いたしかたありません」
響「じゃあ、まずは卵を混ぜてね」
たかね「きみをつぶしてしまって、よいのですか?」
響「うん、いいよ。どうせ全部混ぜちゃうから」
たかね「では…… しょうしょう、なごりおしいですが」シャカシャカ
響「そこにお砂糖と、それからサラダ油も足すぞー」
たかね「これが、おさとう……? しかし、ひびき、いろがしろくありませんよ」
響「黒砂糖っていって、これはこういう色のがふつうなの。たかね、はい、あーん」
たかね「? あーん」
響「ほいっ」ポイ
たかね「むぐ!?」
493 :◆ccGlDikGP2 :2015/04/18(土) 23:41:44.46 :9rNrLV4h0
たかね「お、おお、これは? あまいなかにも、どくとくなふうみが」ムグモグ
響「黒砂糖って、もともと固まりやすいの。そうやって飴みたいに食べてもおいしいでしょ?」
たかね「はい、はじめてたべるあじです」
響「やっぱり、サーターアンダギーにはこれ使わないとなー」
たかね「ということはつまり、その、さたん、だ…… それは、あまいおかしなのですね!?」キラキラ
響「そうだよ。何度か事務所に持っていったことあるんだけど、なかなか好評だったんだ」
たかね「どのようなものができるか、たのしみです!」
響「今度は…… 小麦粉とベーキングパウダー入れるんだけど、それ混ぜるのは自分がやるね」
たかね「む、なぜです? わたくしのうでを、しんようしないのですか」
響「たかねにはこの後、大事な作業をしてもらいたいんだ。そのために今は休んでてよ」
たかね「なんと、そのようなじゅうようなにんむが!? わかりました! ここは、おまかせします」
響(……粉を入れて『さっくり混ぜる』って、貴音もなかなか要領つかめなかったからね)
494 :◆ccGlDikGP2 :2015/04/18(土) 23:42:52.06 :9rNrLV4h0
響「さて、お待ちかね。たかねの出番だよ!」
たかね「まちくたびれましたよ、ひびき。うでがなります」
響「いいかー、これ次第で出来栄えが変わるから、心してかかるんだぞ」
たかね「ほう…… のぞむところです。して、わたくしはなにをすれば?」
たかね「こ、これは、なかなかにてごわい……!」
響「けっこう生地の粘り気があるからね、こう、ぱぱっとやっちゃった方がいいよ」
たかね「しかしさきほどは、これを、まるくするようにと」
響「だいたいでいいのさー、だいたいで。同じくらいの大きさになってれば」
たかね「くっ、この、ぬ、むむ…… てに、くっついて!」
響「うーん、ちっちゃいたかねにはまだ難しかったかなー?」
たかね「そ、そんなことはありません!」
495 :◆ccGlDikGP2 :2015/04/18(土) 23:43:22.92 :9rNrLV4h0
響「初めてでこれなら上出来さー、よくがんばったね」
たかね「なかなかのしれんでしたが、わたくし、やりとげました!」
響「うんうん、ご苦労だったなー、たかね。あとは自分にまかせといて!」
たかね「もうおてつだいはよいのですか?」
響「うん、今からは油とか使うし、危ないからね。いぬ美やみんなと遊んでてよ」
たかね「しょうちしました!」
響「おー、よしよし、いい色になってきたぞー」ジュウウゥゥ
たかね「あのう、ひびきー? ほんとうに、わたくしのたすけは、いりませんかー?」
響「大丈夫ー! それより油がはねると熱いからなー、しばらくこっち来ちゃダメだぞー」ジュワ-
496 :◆ccGlDikGP2 :2015/04/18(土) 23:44:09.60 :9rNrLV4h0
いぬ美「……! ばうっ!」
たかね「いぬみどのも、わかりますか? とてもあまくて、こうばしいかおりです!」ワクワク
響「できたぞー、お待たせっ!」
たかね「おお! これが、さーて…… さ、しゃーたんだぎゅう!」
響「そう、サーターアンダギー、ね」
たかね「おや? わたくしがせっかくまんまるにしたのに、ひびがはいっています」
響「ああ、これはね、油で揚げるときにふくらむから、かりかりになった表面が割れるの」
たかね「なるほど…… ところで、ひびき」
響「どうかした?」
たかね「これを、じむしょへのおみやげにするなら、ひつようなことがありますね?」
響「必要なこと? えーと、なにかなぁ?」
たかね「もちろん、おあじみです! あじをみないで、みなにわたすわけにはいきません!」キラキラ
響「あはは! たかねなら絶対、そう言うと思ってたよ」
497 :◆ccGlDikGP2 :2015/04/18(土) 23:44:49.40 :9rNrLV4h0
たかね「では…… あ、あちちっ!?」
響「こら、揚げたてだから熱いのも当然だよ。もうちょっと待っといたほうが……」
たかね「いいえ! あげたてだからこそ、いまいただくのがれいぎ!」
響「まあ確かに、作ったほうとしてはその方がうれしいけどさ」
たかね「でしょう? それでは、いただきます!」
たかね「んん! んむ、はむ……! こへは…… んく、これは!」
響「どうどう? これは自分よく作るし、けっこう自信あるんだけど」
たかね「…… ひとつだけでは、はんだんできないので、もうひとつ、いただくひつようがあります!」
響「ふふ、適当なこと言っちゃって、食いしん坊なんだから」
たかね「おあじみも、だいじなおてつだいです。ひびき、はやくつぎをください!」
響「はいはい、ちょっと待っててねー」
498 :◆ccGlDikGP2 :2015/04/18(土) 23:45:40.76 :9rNrLV4h0
【スライディング】
たかね「とりこんだおふとんが、まだあたたかで…… それに、よいかおりがします」スンスン
響「お日様のにおい、ってやつさー。自分、このにおい、大好きなんだ」
たかね「わたくしもとてもすきです!」
響「なんだか落ち着くよね。あ、そうだ、たかね、ねこ吉どこにいるかわかる?」
たかね「ねこきちどのなら、さっき、おとなりのへやでねていましたよ」
響「ホント? じゃあちょうどいいや、さっさとお布団にシーツかけちゃおう」
たかね「はて…… ねこきちどのがいると、なにか、もんだいがあるのですか?」
響「そうなんだよ、あの子、シーツとふとんの間のすきまに突っ込んでくるの。ズサーって」
たかね「しーつと、おふとんのあいだ? というと、ずいぶんせまいのでは……」
響「その狭さが猫には魅力的みたい。よくわかんないけどさ」
たかね「めんような…… ねこきちどのは、いったいなにがたのしいのでしょうか」
499 :◆ccGlDikGP2 :2015/04/18(土) 23:46:21.40 :9rNrLV4h0
響「んしょ…… ファスナー開けてお布団突っ込むの、意外とめんどくさいんだよね……」
たかね「……」ジーッ
響「よしっ、と。これでだいたい入ったかな?」
たかね「……とぉーっ!!」ズサー
響「ちょっ、ちょっとーっ!? たかね、何してんの!?」
たかね「おお!! ひびき、これはなかなかにたのしいです!」
響「もー、せっかくねこ吉に邪魔されずに済んだと思ったら…… いいから、早く出ておいでよ」
たかね「ふかふかのおふとんのうえで、しーつがやねになり、まるで、かくれがのような」
響「…… よーし、もうこのままファスナー閉めて、たかねも閉じ込めちゃう」ジー
たかね「な、なんと!? おまちを! まってください、ひびき!」ガサゴソ
500 :◆ccGlDikGP2 :2015/04/18(土) 23:47:08.29 :9rNrLV4h0
【ともだおれ】
たかね「まったく…… ひびき、おどろかせないでください」ムス
響「たかねこそ、ねこ吉がなんでそんなことするかわかんない、なんて言ってたくせに」
たかね「やってみなければわからないこともあります!」
響「そりゃ確かにそうだけど、あれはやんなくていいことでしょ!」
たかね「むむむ……」
響「ぬぬぬ……」
たかね「…… よしましょう、ひびき。このおふとんのうえでは、ささいなことです」
響「そーだなー。ね、シーツ洗って干したお布団、気持ちいいでしょ?」
たかね「ええ、このまま…… ねむって、しまいそうな、ほどに……」
響「もー、しょうがないなー、ちょっと寝ててもいいよ。少ししたら起こしてあげる」
たかね「……くぅ」
響「すー…… むにゃ……」
501 :◆ccGlDikGP2 :2015/04/18(土) 23:48:36.95 :9rNrLV4h0
【半分こ】
たかね「ひさしぶりに、たくさんおかいものをしましたね、ひびき」
響「そうだね…… って、しまった、牛乳も買うんだったぞ! まあ、コンビニでいいか」
たかね「さきほどのすうぱあには、いかないのですか?」
響「ここからだとけっこう戻らなくちゃいけないから、近いところで済ませちゃおう」
店員「いらっしゃいませー」
たかね「すうぱあと、にていますが…… ちいさいですね」
響「うん、そのかわり、どこにでもあるのがコンビニだから」
たかね「…… ところで、ひびき、よいかおりがします」スンスン
響「そ、そう……? 自分はわかんないなぁ。なんのにおいだろうなー?」
たかね「こちらのほうから、ですね……」
響「あ、たかね、勝手にうろついちゃダメだってば…… こら、ちょっと待って!」
502 :◆ccGlDikGP2 :2015/04/18(土) 23:49:16.15 :9rNrLV4h0
たかね「わかりました! このあたりで、たいへんよいにおいがします!」
響「へ、へえー…… そうかなぁ……」
たかね「ひびき、あそこのとうめいなはこには、なにがはいっているのですか?」キラキラ
響「…… さあ、なんだろうね?」
たかね「たべものですか?」
響「どうだろうなー?」
たかね「たべもの、ですね?」
響「どうだr」
たかね「たべものなのですね!?」
響「…… すみません。この牛乳と、あと、肉まんをひとつ、お願いします」
店員「ありがとうございます。二点のお買い上げで、合計……」
503 :◆ccGlDikGP2 :2015/04/18(土) 23:50:07.94 :9rNrLV4h0
たかね「その…… とうぜん、さめてしまうまえに、たべなくてはなりませんね?」ソワソワ
響「時間的にもうすぐ夕ご飯だから、半分だけだぞ」
たかね「なんと!?」
響「だいたい、分けなくっちゃ自分が食べる分がないしさ」
たかね「ひとつまるごと、わたくしのものではないのですか!?」
響「欲張りだなぁ、たかねは。肉まん、自分には分けてくれないの?」
たかね「…… むむ…… いたしかたありません」
響「よーし、決まり! まだ熱いから、自分が割ってあげるよ」
504 :◆ccGlDikGP2 :2015/04/18(土) 23:50:54.25 :9rNrLV4h0
響「はい、これ。やけどしないようにね」
たかね「……ひびき。わたくしのぶんのほうが、ずいぶんと、おおきくみえますが」
響「んー? たかねはお子様だから、ちっちゃいほうあげたら怒るでしょ?」
たかね「な"っ、い、いつもいうとおり、わたくしはしゅくじょで!」
響「じゃあこっちと交換する?」
たかね「う…… ぐぬぬ、ううー…… しかし、それでは……」
響「あはは、だから、子供は我慢しなくていいんだってば」
たかね「…… あくまで、こどもではありませんが、そういうことにしておきます」
響「よしよし。さ、冷えちゃう前に食べよ?」
たかね「はいっ! いただきます!」
505 :◆ccGlDikGP2 :2015/04/18(土) 23:51:42.99 :9rNrLV4h0
【一目ゴム】
たかね「ええと…… けいとを、てまえがわにだして、あみぼうを、わっかにとおして……」
響「そうそう、裏編みはその順序。それからどうするんだった?」
たかね「この、とおしたぼうに、けいとをまいて…… てまえに、ひきだします」
響「ああ、ちょっと待って。そのとき、毛糸はたかねから見て反時計回りに巻かなくちゃ」
たかね「む、そうでしたね。とけいまわりの、ぎゃくですから……」
響「そうそう、逆だから?」
たかね「おはしをもつてから、おちゃわんをもつてのほうこうです!」
響「正解! で、最後は作り目の端っこの輪を、左の編み棒から抜くの」
たかね「…… うまくできました!」
響「ね、慣れてきたらけっこう楽しいでしょ? ゆっくりやれば大丈夫さー」
506 :◆ccGlDikGP2 :2015/04/18(土) 23:52:23.27 :9rNrLV4h0
響「ところでさ、たかね、そろそろ教えてよー」
たかね「なにをですか?」アミアミ
響「急に編み物やりたいなんて、なんか目的があるんでしょー?」
たかね「ですから、わたくしもじぶんでつくってみたいのです、ともうしたでしょう?」アミアミ
響「ほんとかなぁ。それだけで、こんなめんどくさいことするの?」
たかね「それに、これはしゅくじょのたしなみともいえますし」アミアミ
響「どうだか。本物の淑女なら編み物なんて、お付きの人にまかせてそうだけど」
たかね「ですから、ひごろはひびきにまかせて…… あっ!?」
響「ん?」
たかね「か…… からまってしまいました! ひびき、たすけてください!」
響「ああ、大丈夫、ゆっくり落ち着いて戻せばいいから。ちょっと貸して」
507 :◆ccGlDikGP2 :2015/04/18(土) 23:53:18.99 :9rNrLV4h0
響「ね、ほら、ちゃんとリカバリーできたでしょ」
たかね「ほっ…… つい、あせってしまいました。ありがとうございます」
響「ところでさ、たかね」
たかね「どうかしましたか?」
響「さっき、さらっと"日ごろは響にまかせて"って言ったよね」
たかね「…… そ、そうでした、でしょうか?」
響「つまり淑女のたかね様は、自分のことお付きの人だと思ってるってことかなー、ん?」
たかね「え、ええと…… それはきっと、ひびきのききちがいで…… あの、ひびき?」
響「だーれがお付きの人さー、このーっ!」コチョコチョコチョ
たかね「ひゃっ、きゃっ、きゃははははっ!?」
508 :◆ccGlDikGP2 :2015/04/18(土) 23:56:44.48 :9rNrLV4h0
【いんびてーしょん】
たかね「ああ、ふかふかで、おひさまのにおいがします!」ボフッ
響「それにシーツも洗いたてだから気持ちいいぞ。きっといい夢見られるよ、たかね」
たかね「そういえば、ひびきのおふと…… べっどは、ほさなかったのですか」
響「あはは、ベッドそのものはさすがに無理さー。もちろん、シーツとか敷きパッドとかは干したよ」
たかね「しかしそれでは、ふかふかぐあいがたりないのでは?」
響「うーん…… まあ、確かに。今日のたかねのおふとんにはちょっと負けちゃうかもね」
たかね「ふむ……」
響「仕方ないからたかねに譲ったげるよ。それじゃ、おやすみ」
たかね「ひびき?」
響「ん、なあに?」
たかね「その…… たまには、おふとんでねたいのではありませんか?」
509 :◆ccGlDikGP2 :2015/04/18(土) 23:57:24.81 :9rNrLV4h0
響「んー? そういえば、最近は自分、お布団で寝てないなぁ」
たかね「そうでしょう、そうでしょう」
響「それに、よく干したふかふかのお布団は確かに魅力的だぞ」
たかね「ええ、わたくしがほしょうしますよ」
響「でもなぁ、たかねが使ってるから、自分が一緒に入るわけにはいかないもんなー」
たかね「もちろん、ほんらいは、わたくしがひとりじめするところですが……」
響「だよね。じゃあ自分はおとなしく、いつもどおりベッドに行くよ」
たかね「その…… ひびきが、どうしてもというなら、とくべつに、まねきいれてさしあげますが?」
響「そうなの? 自分、お邪魔なんじゃないかな?」
たかね「ですから、とくべつです。ふかふかのおふとんでねられる、またとないきかいですよ」
響「うーん、それじゃあ、お言葉に甘えちゃおうかな?」
たかね「!」パァ
510 :◆ccGlDikGP2 :2015/04/18(土) 23:58:29.00 :9rNrLV4h0
たかね「さ…… さいしょから、そういえばよいのです。まったく、ひびきはすなおではありませんね」
響「……くくっ、どっちがさ」
たかね「む。あくまで、ひびきがどうしてもというから、いれてあげるのですよ」
響「はいはい、そういうことにしといてあげる」
たかね「それではまるで、わたくしがひびきといっしょにねたがっているようではありませんか!」
響「あれっ、そうだと思ってたんだけど違うの?」
たかね「ち、ちがいます、わたくしは、ひびきがいうのでしかたなく」
響「そっかー…… それじゃあ残念だけど自分、やっぱりベッドで……」ゴソ
たかね「……ごめんなさい、ひびき、うそです。ときには、いっしょでもよいでしょう? だから……」ギュ
響「ふふ、わかってるよ、たかね。ちょっと意地悪しちゃっただけさー」
たかね「あの……、ひびきにも、ふかふかのおふとんをつかってほしいというのは、ほんとうですよ?」
響「それもちゃーんとわかってるぞ、ありがとね。じゃ、お邪魔します」
響「貴音!?」たかね「めんような!」②に続きます。
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【SS速報VIP】響「貴音!?」たかね「めんような!」
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