【SS速報VIP】モバP「俺の妹がこんなに清純令嬢なわけがない」
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1 :◆C2VTzcV58A :2015/06/16(火) 01:05:42.47 :xGW22CYa0

とある夕方 事務所からの帰り道 


P「あー、今日も一日疲れたなあ」 

P「家に帰ってゆっくり休もう」 

P「狭いアパートの一室でも、心安らぐ俺の城だからな」 


P「ふう、到着……あれ?」 

P「部屋に明かりがついてる……朝に消し忘れたか」 


3 :◆C2VTzcV58A :2015/06/16(火) 01:11:15.63 :xGW22CYa0

ガチャ 


??「おかえりなさい。兄さん」 

P「……ああ。なんだ、お前が来てたのか」 

??「様子を見に来たらいないようだったので、合鍵で入らせていただきました」 

P「そっか」 

??「………」 

P「ん、どうした」 

??「『おかえりなさい』の返事がまだだな~と思いまして」 

P「ああ、悪い悪い。ひとり暮らしだとそういう習慣を忘れそうになるんだ」 

P「ただいま、ゆかり」 

ゆかり「はい。お仕事お疲れ様でした、兄さん」ニコッ 


4 :◆C2VTzcV58A :2015/06/16(火) 01:16:50.55 :xGW22CYa0

芸能事務所で働き始めて2年目となる俺には、15歳の妹がいる。 

水本ゆかり。フルートを吹くのが趣味で、自慢じゃないがかわいい女の子だ。 

うちの家は裕福で、俺もゆかりも大事に育てられた。その甲斐あってか、わが妹は振る舞いからして上品な雰囲気が漂っている。 

……俺? 俺はまあ、男だから……正直、気品はそんなにないと思っている。 


6 :◆C2VTzcV58A :2015/06/16(火) 01:22:18.82 :xGW22CYa0

ゆかり「最近、食生活が偏っていませんか?」 

P「どうしてそう思う」 

ゆかり「台所に、カップラーメンなどの空き容器が多かったので」 

P「めざといな」 

ゆかり「ふふ、妹ですから」 

P「妹関係あるのか?」 


大学を出た俺がひとり暮らしを始めて以降、ゆかりは学校帰りなどにちょくちょく俺のアパートを訪ねるようになった。 

もともと両親に合鍵は渡していたので、俺が不在の時はそれを使って中で待っていることも多い。 


7 :◆C2VTzcV58A :2015/06/16(火) 01:27:49.09 :xGW22CYa0

ゆかり「一応、お母さんには報告しておきます」 

P「えー。またお小言言われるなあ……見逃してくれないか?」 

ゆかり「私にも、兄さんの生活の様子を観察するという役目があるので」 

P「うへえ」 

ゆかり「お金の問題があるなら、いつでも頼っていいんですよ? お父さんもそう言っていましたし……」 

P「いや。別に金がないからカップラーメン食べてるわけじゃないんだ。単純に、家に帰った後は疲れて、料理とかいろいろ面倒くさがるだけで」 

P「だいたい、社会人になったのに親に金をせびるのって相当カッコ悪いだろう」 

P「大学までは好き勝手させてもらえたんだし、これからはできるだけ自分の力で頑張らないとな」 

ゆかり「そうですか……なんだか、兄さんが頼もしく見えます」 

P「いつかは父さんくらい背中がでかい男になりたいもんだ」 

ゆかり「ふふっ。頑張ってくださいね。応援しています」 


8 :◆C2VTzcV58A :2015/06/16(火) 01:31:30.12 :xGW22CYa0

ゆかり「最近、お仕事のほうは順調ですか?」 

P「まあまあかな。あんまり大きくない事務所だけど、みんなで頑張ってるよ」 

ゆかり「アイドルの方達のお世話、ちゃんとできていますか」 

ゆかり「兄さん、たまにデリカシーに欠けているところがあるので、少し心配です」 

P「………大丈夫だよ」 

ゆかり「少し気になる間ですね」 

P「うっ……努力します」 


13 :◆C2VTzcV58A :2015/06/16(火) 09:08:34.26 :xGW22CYa0

P「ゆかり。晩御飯はまだだよな」 

ゆかり「ええ」 

P「なら、今日はどっか食べに行くか。といっても、そんなに高いとこは無理だが」 

ゆかり「無理をして高級なお店を選ぶ必要はありません。兄さんが普段利用するような場所でいい……というより、むしろそちらのほうが気になりますから」 

P「なら、事務所の近くのファミレスにでも行ってみるか。デザートのプリンがおいしいんだ」 

ゆかり「プリンですか。楽しみですね」 


14 :◆C2VTzcV58A :2015/06/16(火) 09:12:11.18 :xGW22CYa0

ところかわってファミレス 


P「今日は俺のおごりだから、好きなもの頼んでくれ」 

ゆかり「いいんですか?」 

P「ファミレスでくらい、全額支払って兄貴の風格みたいなものを漂わせたいんだよ」 

ゆかり「ふふ、兄さんは見栄っ張りですね」 

ゆかり「どれにしましょうか……たくさんメニューがあって悩みます」 



みく「あれ、Pチャンだにゃ」 

卯月「こんにちは、プロデューサーさん!」 

P「やあ、奇遇だな。君達もここで夕食?」 

ゆかり「……兄さん。ひょっとしてこの方達が」 

P「ああ。俺が今担当しているアイドルの子達だ」 


15 :◆C2VTzcV58A :2015/06/16(火) 12:09:19.53 :xGW22CYa0

P「紹介するよ。俺の妹のゆかりだ」 

ゆかり「はじめまして。水本ゆかりと申します。いつも兄がお世話になっております」 

卯月「い、妹さんですか! これはこれはご丁寧に……島村卯月です。こちらこそ、プロデューサーさんにはいつもお世話になっています!」 

みく「前川みくだよ、よろしくね。Pチャンにこんなかわいい妹がいるなんて知らなかったにゃ」 

卯月「私、はじめは新しいアイドルの子かと思っちゃいました」 

ゆかり「アイドル、ですか」 

P「よかったな、ゆかり。容姿を褒められてるぞ」 

ゆかり「アイドルの方にそう言っていただけるのは、光栄ですね」 


16 :◆C2VTzcV58A :2015/06/16(火) 12:17:10.01 :xGW22CYa0

みく「……なんだか上品な子だにゃ。本当にPチャンの妹?」 

P「どういう意味だそれは」 

みく「べっつに~。ね、卯月チャン」 

卯月「ええっ!? な、なんで私に振るんですかー!」 

P「そうかそうか。卯月も俺には品がないと思っているのか」 

卯月「そ、そんなこと思っていませんっ」 

ゆかり「くすっ……元気な人達ですね」 

ゆかり「兄さんも、楽しそうでなによりです」 


17 :◆C2VTzcV58A :2015/06/16(火) 12:26:04.03 :xGW22CYa0

帰り道 


ゆかり「さすがはアイドル、という感じでした」 

P「あの二人のことか?」 

ゆかり「はい。どういえばいいのかわかりませんけど……おーら? のようなものがあったと思います」 

P「ま、あの子達はデビューしてからそれなりに経ってるし、その前も養成所で下積みしてるからな」 

ゆかり「ずっと前から、夢に向かって頑張っているんですね」 

ゆかり「私とそう年は変わらないはずなのに、すごいです」 

P「ゆかりくらいの年頃の子は、まだ目標も決まってないのが普通だよ。俺だってそうだったし」 

ゆかり「そうでしょうか」 

P「学生のうちは、いろんなことに手を出して、いろんなことを知るっていうのも大事だからな」 

ゆかり「………」 


18 :◆C2VTzcV58A :2015/06/16(火) 12:34:27.56 :xGW22CYa0

ゆかり「兄さんは、もう夢や目標は決まりましたか?」 

P「俺か? 俺はもう大人だからな、一応決まってる」 

P「卯月やみく達が、一人前のアイドルになる手伝いをしてやりたい。今は、これかな」 

ゆかり「なるほど」 

P「なんならお前もアイドルになるか?」 

ゆかり「えっ?」 

P「なんてな。冗談だよ」 

ゆかり「もう……驚かさないでください」 

P「でも、ゆかりに資質がありそうっていうのは事実だけどな。見た目はいいし、音感もあるだろ」 

P「ちょっと運動に不安があるのが難点か。ははっ」 

ゆかり「………」 


19 :◆C2VTzcV58A :2015/06/16(火) 12:44:56.23 :xGW22CYa0

別の日 


ゆかり「兄さんの家に来てみたけど……まだ帰って来ていないみたい」 

ゆかり「……先に入って、少し片付けでもしてあげましょうか。あまり掃除には自信がありませんが」 


パタパタ、ガサガサ 


ゆかり「本棚に本を並べるくらいなら、私にもできます」フンス 

ゆかり「あとは――」 


ピンポーン 


ゆかり「……誰でしょうか」 

ゆかり「はい」インターホンポチー 

卯月『あれ? 女の人の声?』 

卯月『ここってプロデューサーさんの部屋じゃ……』 

ゆかり「……ええと。島村卯月さん、ですか?」 

卯月『あ……もしかして、ゆかりちゃん?』 


20 :◆C2VTzcV58A :2015/06/16(火) 12:55:21.43 :xGW22CYa0

ややあって 


ゆかり「紅茶です。どうぞ」 

卯月「ありがとうございます! わあ、いい香り……」 

ゆかり「家からお気に入りの茶葉を持ってきたんです。味は保証しますよ」 

ゆかり「それで、兄に何か用がおありで?」 

卯月「あ、そうでした。これ、お菓子の包みをもらったんですけど、プロデューサーさんにもおすそ分けしようと」 

卯月「事務所にはいなかったので、もう帰ったのかなと思ってここに来たんですけど……」 

ゆかり「どこかを散歩しているのかもしれません。兄さん、そういうことが結構好きですから」 

卯月「へえ、そうなんですか」 


21 :◆C2VTzcV58A :2015/06/16(火) 13:05:04.70 :xGW22CYa0

ゆかり「あの、島村さん」 

卯月「卯月でいいですよ」 

ゆかり「あ、はい。では卯月さん。ひとつ、お聞きしたいことがあるのですが」 

卯月「なんでしょう」 

ゆかり「卯月さんは……どうして、アイドルを志されたのでしょう」 

卯月「アイドルを目指した理由、ですか?」 

卯月「うーん、そうですねー……いろいろありすぎて、なかなか説明しづらいんですけど」 

卯月「一言で言うなら、キラキラ輝いていたから、でしょうか」 

ゆかり「輝いていた……?」 


22 :◆C2VTzcV58A :2015/06/16(火) 13:15:36.98 :xGW22CYa0

卯月「小さい頃に見た、アイドルのステージがすっごく綺麗に見えて、私もあの場所に立ちたいなって思って。そんな単純な思いから始まって、今では本物のアイドルになれました。まだ駆け出しの新人ですけど」 

卯月「だから、プロデューサーさんには感謝してるんです」 

卯月「養成所にいた私を見つけて、夢を叶えてくれたんですから」 

卯月「今も一生懸命プロデュースしてくれていますし、私もそれに応えられるよう頑張らなきゃって」 

卯月「あと、私のファンの人達にも……って、すみません。なんか勝手に熱くなって語り過ぎちゃいました」 

ゆかり「いいえ。……それを聞いたら、兄も喜ぶと思います」 

ゆかり「よいお話を、聞かせてもらいました」 


23 :◆C2VTzcV58A :2015/06/16(火) 13:27:09.31 :xGW22CYa0

P「ふう、ちょっとぶらぶらしすぎたかな……って、また部屋に明かりがついてる」 

P「ゆかりが来てるのか。結構待たせちゃったかな」 

P「ただいまー」ガチャ 

P「……あれ」 



ゆかり「……すう」 

P「俺のベッドで寝てる……待ちくたびれたのか」 

P「悪いことしたな」 


24 :◆C2VTzcV58A :2015/06/16(火) 13:36:07.04 :xGW22CYa0

ゆかり「……んぅ……にいさん?」 

P「起きたか。ごめんな、ちょっとその辺ぶらぶらしてて――おわっ」 

ゆかり「にいさんも、一緒に眠りますか……?」ポワポワ 

P「お、おい。ベッドに引きずりこむな」 

P「(こいつ、寝ぼけてるといろいろ突拍子のないことしだすんだよなあ)」 

ゆかり「覚えていますかあ、にいさん……?」ポワポワ 

ゆかり「昔はこうして、よく一緒に寝ていましたよね」 

P「……そうだったな」 

P「お前、寝つきの悪い日はいつも俺の布団にもぐりこんできてさ」 

ゆかり「夜が、怖かったんです……だから、誰かのそばにいたくて」 

ゆかり「にいさんの隣には、あたたかくて、おちつきました」 

ゆかり「今も、あまり変わりませんね……」ギュッ 

P「うおう、大胆だな」 


25 :◆C2VTzcV58A :2015/06/16(火) 13:38:47.04 :xGW22CYa0

ゆかり「先ほど、卯月さんがいらしてました」 

P「卯月が?」 

ゆかり「にいさん、卯月さんに感謝されてるんですね……」 

ゆかり「もう、私だけのにいさんではないみたいで……ちょっとだけ、寂しいです」 

P「……そういえば、昔のゆかりはお兄ちゃんっ子だったなあ」 

P「いっつも俺の後ろをついて回ってた」 

ゆかり「ふふ……でも、寂しいだけじゃないんです。うれしいような気もして」 

ゆかり「私のにいさんは、ちょっと頼りないところもあるけれど、いい人ですよって。そう自慢できるから」 

P「お前の期待に応えられるような兄ちゃんにならないとな」 

ゆかり「がんばってください……私も……」 


26 :◆C2VTzcV58A :2015/06/16(火) 13:40:37.17 :xGW22CYa0

P「(ゆかりの意識がきちんと覚醒した後、俺はびっくりするような話を聞かされた)」 

P「アイドルになりたいだって?」 

ゆかり「はい」 

ゆかり「兄さんも言っていましたよね。私には、資質があると」 

P「それはそうだけど……急にどうした」 

ゆかり「ただ学生生活を送るだけではなく、新しいことに挑戦したくなったんです」 

ゆかり「私にも、きらびやかな舞台に憧れる想いはありますから」 

P「大変だぞ。学校との両立もあるし」 

ゆかり「わかっています。お父さんやお母さんに迷惑をかけるだろうことも……でも、私は」 

P「……わかった」 

ゆかり「許してくれるんですか」 

P「お前、意外と気が強いもんな。それがあれば、なんとかなるかもしれない」 

P「というか、ゆかりがアイドルやるかどうかはゆかりの自由だ。父さんや母さんはともかく、俺の許可は必要ない」 

ゆかり「……ありがとうございます。お父さんとお母さんに許してもらえたら、オーディションなどを調べてみます」 

P「あー、待て待て。実はうちの事務所、そろそろ新人をスカウトしようかという話になっていたんだ」 

P「うまくいけば、うちで面倒見られることになるかも」 

ゆかり「本当ですか? そうなったら、とてもうれしいですっ」 


27 :◆C2VTzcV58A :2015/06/16(火) 13:43:27.97 :xGW22CYa0

後日。両親の許可も得られたゆかりは、晴れてうちの事務所の一員となっていた。 

ゆかり「兄さん……いえ、プロデューサーさんとお呼びした方が?」 

P「好きな方でいいよ。どうせ一部の人間はもう俺達の関係を知ってるわけだし」 

ゆかり「わかりました」 

P「まずは、同じ新人ふたりと一緒に、レッスンに励んでくれ」 

有香「ゆかりちゃーん、早く行きましょう!」 

法子「限定ドーナツが売りきれちゃいますよー!」 

P「ほら、呼んでるぞ」 

ゆかり「はい」 


28 :◆C2VTzcV58A :2015/06/16(火) 13:44:35.26 :xGW22CYa0

ゆかり「あの、兄さん」 

P「なんだ?」 


ゆかり「これからも、よろしくお願いしますね」 

ゆかり「私、今でもお兄ちゃんっ子ですから」 


おしまい 


29 :◆C2VTzcV58A :2015/06/16(火) 13:49:36.40 :xGW22CYa0

アイチャレでゆかり嬢の魅力に気づいたのですが、最近特にSSが増えている様子もなかったので自分で書きました 
お付き合いいただきありがとうございます


30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/16(火) 13:50:51.77 :hIQqLYR40
乙、ゆかり嬢に甘えられたい

31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/16(火) 13:54:02.05 :YloAiu5aO
今回も乙でした 
ゆかりのような妹が居たら 
シスコンまっしぐらだろうなぁw