【SS速報VIP】南条光「アタシが悪役! ……そっ、それは本当か!?」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1428752626/

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南条光「アタシがウェディングドレス! ……そっ、それは本当か!?」
南条光「アタシが悪役! ……そっ、それは本当か!?」


1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/04/11(土) 20:43:46.83 :miC0JGUC0

モバP「監督さんが、どうしても光の悪役を撮ってみたいらしくってな。すまな……光?」 

光「…………」 

モバP「嫌ならちゃんと交渉をするが」 

光「……ふふふふふふふ……」 

モバP「光?」 

光「……悪役、キターーッ!」 

モバP「なに!?」


3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/04/11(土) 20:51:36.11 :miC0JGUC0

光「悪役は演技力を試されるんだ。こんなに燃えることはない……やらせてよ、P!」 

モバP「いや、もう引き受けてる。事後承諾になったのは申し訳ない」 

光「なら良かった。Pなら外したりしないからな! スケジュールは?」 

モバP「このように」 

光「ふんふん。了解!」メモメモ 

モバP「それにしても意外だ。悪役をそんなに喜ぶなんて」 

光「前に心さんが言ってたんだけどさ、ヒーローのカッコいい活躍には、悪役が必要なんだ」 

モバP「みんなが正義の心を持てばいい、は?」 

光「それはそれ。いい画にするためには、ライバルが必要なんだよ!」 

モバP「確かに、ヒールのいないプロレスは味気ないだろうな」 

光「うん。強い悪役がヒーローを引き立てるから、より応援したくなるんだ」 

モバP「ライバルの重要性というわけだな。必要な資料があったら早めに連絡をくれ」 

光「『そんなもの必要ない。私は私の力で演じる』」キリッ 

モバP「おお、もう役作りか」 

光「早いに越したことはないからな。もっと、もっと急がなきゃなんだ、それじゃっ!」ダッ 

モバP「気をつけてなー」 

バタン 

モバP「まったく。足下が見えてないんだから、光は……」


4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/04/11(土) 20:58:08.60 :miC0JGUC0

中庭 

光(……飛び出したはいいけど、悪役に必要な物ってなんなんだろう) 

光(ライバルなんだから、カッコよくないとダメだよね。あと、たいてい独りで行動してた。誰にも頼らない強さかぁ) 

光(……あれ、それってヒーローと同じなんじゃないか? ヒーローはたとえ独りでも戦うものなんだし) 

光(じゃあ、悪役とヒーローのどこに差があるんだろう。人を愛する心があるかどうか? いや仲間を大事するライバルはいる。知らない誰かを守る心? うーん……) 

ビュオッ 

ヒラリヒラリ 

光「うおっ。……いい桜なのに、もう散っちゃうんだなぁ」 

??「万物流転の理に従って、ね。散りゆくカタチを嘆いても、この世は無常なりと……」 

光「飛鳥か?」クルッ


7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/04/11(土) 21:06:31.36 :miC0JGUC0

飛鳥「ごきげんよう。どうかしたのかい?」 

光「どうしてそう思うんだ?」 

飛鳥「顔を見れば一瞬で理解るよ」 

光「たは……なんか超能力みたいだな」 

飛鳥「滅相もないよ。キミに似合わない顔をしていればね」 

光「そうなのか?」 

飛鳥「そうさ。ボクが聞いてもいい話なら、聞かせて欲しいな」 

光(……一人で考えたって、ドツボにはまるだけだよな。よし!) 

光「うん。実はさー」


9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/04/11(土) 21:14:04.57 :miC0JGUC0

……………… 
………… 
…… 

飛鳥「何が善悪の差を感じさせるか、か」 

光「見たら一目でわかるのにな。モヤモヤしてるんじゃダメな仕事になるし、きっちり言葉にしたいんだ」 

飛鳥「言葉に出来ないフィーリングのままに、とは思わないのかい?」 

光「言葉にすると、すっきり目標が見えるだろ? 言葉にはそういう力があるから」 

飛鳥「正しい理屈だね。けど、それだけが正しいと思うかい」 

光「思わない。正義だって沢山あるし」 

飛鳥「セイギに関して、一日の長があるみたいだね。……でも、これで一つゴールに近づいた」 

光「近づいたのか?」 

飛鳥「両者が正義を表題してるにも関わらず、どうして『神の視点』から善悪の区別がつくのか。ヒーローが『神の視点』の味方である以上の理由とは何か、とね」 

光「おお……わかりやすくなったような、そうじゃないような!」 

飛鳥「キミが言ったことを要約しただけだよ」 

光「してくれたのが嬉しいんだよ。わかりやすくなったし」 

飛鳥「その誉め方は、こそばゆくなるね」 

光「へへー」 

飛鳥「誉めてない」 

光「……そうなのか?」ショボーン 

飛鳥「落ち込まないで欲しいな……」


10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/04/11(土) 21:22:50.09 :miC0JGUC0

飛鳥「まぁつまり。キミは、正しさが正しさである為に必要なものは何、と求めているんだね」 

光「そう……かも!」 

飛鳥「明文化されたようで何よりだよ」 

光「サンキュッ! 簡単には見つからないけど、探してみる!」 

飛鳥「行くのかい?」 

光「うん。走ってる時、一番頭が回るんだっ!」 

飛鳥「キミが立ち向かうのは、芸と孤独の深淵だ。それを理解して、進むのかと聞いているんだ」 

光「当たり前だろ。もっと強くなって、皆を笑顔にしたいから!」 

飛鳥「皆じゃなく、キミだけに聞いてるんだ」 

光「皆の笑顔は、アタシのエネルギー源なんだよ!」 

飛鳥「……ならボクはキミに、yellを送らせて貰うよ」 

光「あ、それ最近習った。応援だったよね?」 

飛鳥「…………」 

光「……どうして黙るんだ?」 

飛鳥「応援しようか、考え直そうかな……」プイッ 

光「何でーっ!?」


12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/04/11(土) 21:27:59.17 :miC0JGUC0

飛鳥「冗談さ。ただ、ボクなりにヒントを送りたくてね」 

光「聞かせて聞かせて!」 

飛鳥「聞き上手は長生きするよ、長生きすればね。……桜は散るから風情がある、ってことかな」 

光「風情って?」 

飛鳥「年中通して桜が咲いていたとすれば、桜は春のシンボルでは無くなるだろう?」 

光「確かに、特別って感じが無くなるよな」 

飛鳥「そう。散ること自体に意味があるとしたら?」 

光「……滅びの美学!」 

飛鳥「イグザクトリィ」パチン


13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/04/11(土) 21:33:56.15 :miC0JGUC0

光「そっか、それを意識して演じてみる!」 

飛鳥「グッドラック。迷っても動き続けるなら、どこかで描いてた理想と希望が出会うはずだから……」 

光「そういうものだろ?」 

飛鳥「む、不要だったみたいだね。彼方に見えるセカイを、彩ってみせてくれ」 

光「任せろ。アタシは、立ち止まったりしないから! ……ところでさ」 

飛鳥「ン?」 



光「そろそろ降りたら?」 

飛鳥(樹の上)「……この場所が懐かしくなるような、予感がしてるんだ。もう少し……」プルプル 

光「大丈夫、飛鳥なら降りられるって! こい!」バッチコーイ! 

飛鳥「こわい」 

光「自分を信じろ! 飛鳥は本当に強いんだから!」 

ワーギャー!…… 


14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/04/11(土) 21:38:27.40 :miC0JGUC0

……………… 
………… 
…… 


数日後 


撮影所 

監督「プロデューサー、南条の雰囲気が変わったな?」 

モバP「三日会わずんば刮目せよって、誉めてあげてください。仕事のたびに伸びる子ですよ、ウチの南条光は」 

監督「こんな時にまで売り込みかい」 

モバP「そりゃしますよ。何卒よろしくお願いしますね」 

監督「言われるまでもない。打てば響くようで、撮っていて面白いのだよ……じゃ、そろそろ」 

モバP「はい」 

監督「本番五秒前! 四! 三! 二! 一! ーーアクションッ!」カチンッ 

『ーー戦え。私で正義を証明しろ!』


16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/04/11(土) 21:44:55.53 :miC0JGUC0

撮影後:控え室 

モバP「お疲れさま。ゾクゾクする名演だった」 

光「ホント?」 

モバP「ホント。良く練り込んであった」 

光「っしゃあ! 特訓の甲斐があったぜっ!」 

モバP「いつもそれだな」 

光「それ以外の何があるんだ? ……あのさ、ちょっといい?」 

モバP「何が?」 

光「特訓中、色々考えてみたんだ。ヒーローと悪役の違いをさ」 

モバP「人を傷つけるとか、どうとか?」 

光「それはヒーローも同じなんだ。だから、結局、後になってみないとわかんないんだ……だから!」 

光「P! ずっと、カッコいいPでいてくれるか?」 

モバP「善処しよう。それだけか?」 

光「うんっ、それだけ!」 

モバP「そうか」


17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/04/11(土) 21:52:23.40 :miC0JGUC0

光(たった独りでも戦うヒーローと、孤高を貫くライバルの違いがやっとわかった。自分を信じるのがヒーローで、自分しか信じられないのが悪役なんだ) 

光(そして、自分しか信じていなかったら、アタシだって道を踏み外す……自分は正義を貫いてると、信じたまんまにだ) 

光(でも。自分以上に信じられるものがあれば、きっと道を間違えない。正しさが正しさである為に必要なのは、自分の運命すら任せられるくらいに信じられる人なんだ!) 

光「Pには、飛鳥には、皆には、そんな人であり続けて欲しい!」 

モバP「どうした?」 

光「決意を決めたんだ。さぁ、そろそろ行くぞっ!」 

モバP「別にいいが、今日はもうあがりだろう?」 

光「飛鳥にさ、特訓のお礼をしたいんだ。だから、急ぎたいんだよ!」 

モバP「飛鳥は別の現場だが……」 

光「だから急ぐんだろ?」 

モバP「いや、今日は飛鳥に用事は無い予定だったから、一昨日くらいに言ってくれれば調整したのに」 

光「……ホント?」ヒヤッ 

モバP「ホント。電話かけるから、先に車に向かってくれ」 

光「おうっ! すぐに来てくれよーーっ!」タッタッタッタ 

モバP「はーい」ピポパポ 

バタン 

モバP「……三日も離れてないのに、刮目させられたな。もしもし俺だ、いや詐欺じゃない。待って切らないでーー」 

おわり


18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/04/11(土) 21:56:10.66 :miC0JGUC0

前作 

南条光「アタシがウェディングドレス! ……そっ、それは本当か!?」 


またコラに感動したから書きました。案外ライバル属性あると思います。 

よろしければ、南条光と二宮飛鳥に一票を投じていただけないでしょうか。その一票が再登場に繋がります。依頼出してきます。 

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