1:2015/02/20(金) 22:01:54.48 :kabjo9mA0

P「えっ?何だって?」 

志保「波動拳が出ないんです」 

P「波動拳ってあの波動拳?ゲームの?」 

志保「はい、ストツーです」 

P「ストツーとはまた、なんでそんな古いゲームを」 

志保「家にはファミコンしかないので」 

P「スーファミね」 

志保「長いので私はファミコンと呼びます」


2:2015/02/20(金) 22:03:22.06 :kabjo9mA0

P「志保もゲームをするんだな、意外だ」 

志保「いえ、私じゃなくて、弟が」 

P「成程、弟くんの為か」 

志保「練習してるんですが、上手く出来ないみたいで」 

P「それで志保が教えよう、と」 

志保「……こんなことを頼めるのは、プロデューサーさんだけなんです」 

志保「手伝ってもらえますか?」


3:2015/02/20(金) 22:03:59.24 :kabjo9mA0

P(ううむどうしたものか。出来る保証はないが……) 

P(……まぁ、志保が悩んでいて、それなりに手助け出来るのなら、やるべきか) 

P「正直ストツーは昔触ったくらいしか経験ないが、それでもいいなら力になろう」 

志保「ありがとうございます。……では、時間はどうしましょう」 

P「そうだな……お、明日の午後なら都合良さそうだな。俺も半休だし」 

志保「はい……あの、このことは皆には内緒に…」 

P「まぁ、誰かに言うことでもないな」 

志保「それじゃあ、私の家で」 

P「そんな時間はかからないし、終わったら折角だし何処か行くか?」 

志保「い、いえ、そこまでは……」


4:2015/02/20(金) 22:04:30.94 :kabjo9mA0

――――翌日 

P「おじゃまします」 

志保「今日は、よろしくお願いします」 

P「そんなかしこまらなくていいって」 

P「それじゃ、早速始めようか……って、あ、懐かしいなスーファミ」 

志保「やっぱり古いんですか」 

P「そりゃ俺が子どもの頃だからな……」


5:2015/02/20(金) 22:05:11.40 :kabjo9mA0

志保「お茶でも持ってきます」 

P「お、ありがと」 

P「うーん、やっぱスーファミのコントローラーは小さいな」 

志保「そういうものですか?」 

P「64のコントローラーとか二倍くらい重い気がする」 

志保「ふぅん」 

P「一番好きなのはキューブのヤツかな。今でも使えるし」 

志保「温かいお茶でいいですか?」 

P「ああ」


6:2015/02/20(金) 22:06:13.42 :kabjo9mA0

P「それじゃお茶も来たことだし、始めるか」 

志保「はい」 

P「よし起動」カチャ 

志保「……付かないですね」 

P「カセットフーフーするか」 

志保「あれって迷信らしいですよ?」 

P「まぁここは子どもの頃のおまじないとして一つ」


7:2015/02/20(金) 22:06:44.15 :kabjo9mA0

<デッデーッデテッデッデデデデーッ 

P「付いた。……あーこんな始まりだった気がする」 

P「よし早速2P対戦だ。志保はリュウでいいな」 

志保「はい」 

P「やったことは?」 

志保「少しだけですが」 

P「ま、正直俺も分からない事多いから説明書を見つつやろう」


8:2015/02/20(金) 22:07:11.13 :kabjo9mA0

P「それじゃあ俺はケンにしようかな」 

志保「リュウじゃないと波動拳は撃てないのでは?」 

P「いや、ケンとリュウは必殺技同じなんだよ」 

志保「そうですか」 

P「流派が同じだとか何とか」


9:2015/02/20(金) 22:07:39.77 :kabjo9mA0

P「早速波動拳やってみるか」 

志保「お願いします」 

P「コマンドはっと……ああそうだ、これだこれだ」 

<ハドーケン 

志保「あ……」 

P「出来た出来た、こんな感じだった」 

志保「凄い……」 

P「いやいや、全然凄くないから」 


10:2015/02/20(金) 22:08:16.83 :kabjo9mA0

P「書いてある通りにやればいい」 

志保「はい」 

P「下」志保「下」 

P「右斜め下」志保「右斜め下」 

P「右でパンチ」志保「右でパンチ」 

P「ハドーケン」志保「出ません」 

P「ええっ」


11:2015/02/20(金) 22:09:29.29 :kabjo9mA0

P「もしかして、丁寧に全部押してるんじゃないか?ちょっとコントローラー借りるぞ」 

P「こうして……下から勢い良く斜め下、右でパンチ」 

<ハドーケン 

志保「あぁ……そうするんですね」 

P「まぁあのコマンド表だけでは分かりにくいかもな」


12:2015/02/20(金) 22:10:03.38 :kabjo9mA0

志保「……………………………」 

P「……ラウンドの最後までリュウがパンチしてただけだな」 

志保「次は必ず……」 

P「俺は他の必殺技でもやるか。昇竜拳は……」 

<ショーリューケン 

P「そうだそうだ。似てるんだよなコマンド」 

志保「下斜め右、下斜め右……」 

P「えっと、後は竜巻旋風脚か……」 

<タツマキセンプーキャクッ 
<ウーワッ 

P「あっ」 

志保「邪魔をしないでください」 

P「すみませぇん……」


13:2015/02/20(金) 22:10:36.46 :kabjo9mA0

<ショーリューケン 

志保「ん?」 

P「何故そっちが出る」 

志保「間違えました」


14:2015/02/20(金) 22:11:10.20 :kabjo9mA0

志保「…………出来ない」 

P「うーん、もういっそ百裂張り手でいいんじゃない?コマンド簡単だし」 

志保「カッコ悪いので駄目です」 

P「な!エドモンド本田は相撲の復興のために頑張ってるんだぞ!」 

志保「えー……」 

P「本田めっちゃ頑張ってるんだぞ!頑張れ本田!!きっと輝けるからな、本田!!!!」


15:2015/02/20(金) 22:11:46.79 :kabjo9mA0

P(その後2、3戦かけて練習をしたが、志保は上手いこと波動拳を出せなかった) 

P「……ふむ、ちょっと気分でも変えて他のキャラで遊んでみるのはどうだ」 

P「俺だって」 

志保「もう少しだとは思うんですが……」 

P「まぁゲームなんだからもっとゆったりすればいい。肩に力が入ると窮屈だぞ」 

志保「……何だか、プロデュースされてるみたいです」 

P「まぁ、プロデューサーだしな」


16:2015/02/20(金) 22:12:14.20 :kabjo9mA0

志保「春麗を使ってみます」 

P「じゃあ俺はダルシム」 

<ファイッ 

志保「相手の体力を0にすればいいですよね」 

P「そうそう」 

<ヤァッヤァッヤァッヤァッ 

志保「これが百裂キックですね」 

P「しかしここまで離れれば当たるまい」 

志保「でもプロデューサーさんの攻撃も当たりませんよ」 

P「それはどうかな?」


17:2015/02/20(金) 22:12:47.93 :kabjo9mA0

<ヨガファイヤー 

志保「えっ?」 

P「飛び道具は波動拳だけじゃない」 

志保「ジャンプでかわします」 

P「それかガードね」 

志保「ガードは難しいです」 

P「分かる。正直俺も使えない」 


18:2015/02/20(金) 22:13:21.50 :kabjo9mA0

<ヨガ、ヨガ、ヨガ、ヨガ 

志保「……何がヨガなんでしょうか」 

P「相手の頭殴ってるだけなんだよな……」 

志保「そもそもなんでこの人は手が伸びるんですか」 

P「ダルシムはヨガの達人だからな」 

志保「……百瀬さん、ヨガが趣味って言ってましたよね」 

P「このみさんに教えてあげればいいと思う」 

志保「なんという」


19:2015/02/20(金) 22:13:49.59 :kabjo9mA0

P「よしっ」 

志保「む……」 

P「っと、夢中になってしまったが、志保の特訓してたんだな」 

志保「……もう一回です」 

P「え?」 

志保「もう一回、して下さい」 

P「あ、ああ……」 


20:2015/02/20(金) 22:14:46.17 :kabjo9mA0

P(その後、勝負は何度も続いた……) 

P「時に志保」 

志保「なんですか」 

P(怒ってる……) 

P「なんでザンギエフだけ使わないんだ?」 

志保「弱そうなので使いません」 

P「ザンギエフさん……本田は一度使ったのに……あんなに楽しそうに百裂張り手をしていたのに……」 

志保「た、楽しくなんて」 

P「連打してる時とても可愛かった」 

志保「なっ、何見てるんですか!!」


21:2015/02/20(金) 22:15:23.61 :kabjo9mA0

志保「やった……」 

P「調子に乗ってソニックブームの練習してたら負けた……」 

志保「勝ちましたよ、プロデューサーさん」 

P「それはよかった」 

志保「そろそろ波動拳、いけそうです」 

P「そうだな。コマンドは斜めを意識しなければいいと思うぞ」 

志保「やってみます」


22:2015/02/20(金) 22:15:52.46 :kabjo9mA0

<ファイッ 

志保「では……」 

志保「下から、右へ……」 

志保「波動拳!」 

<ハドーケン 

P「おっ!」 

<ハドーケン 
<ハドーケン 
<ハドーケン 

志保「出来た……」 

P「おめでとう」 

<ハドーケン 
<ハドーケン 
<ハドーケン 

P「いやー、やっと出来たな」 

<ハドーケン 
<ハドーケン 
<ハドーケン 

P「あっ、えっ、ちょっと」 

<ハドーケン 
<ハドーケン 
<ハドーケン 




P「まじかー……」


23:2015/02/20(金) 22:16:24.05 :kabjo9mA0

志保「やりました」 

P「まけましたー……」 

志保「プロデューサーさん、ありがとうございます」 

P「これで弟君に教えられるな。所で……」 

志保「はい?」 

P「波動拳、いただきました」 

志保「…………あっ!」 

P「いやぁ迫真の演技だったぞ。本当に波動拳が撃てそうだった」 

志保「わすれてください!!」


24:2015/02/20(金) 22:17:04.43 :kabjo9mA0

――――翌日 


志保「プロデューサーさん、お早うございます」 

P「おはよう志保」 

志保「先日はありがとうございました」 

P「いいっていいって。弟君は波動拳出来るようになった?」 

志保「はい、私よりも飲み込みが早かったです。とても喜んでました」 

P「それはよかった」 

志保「……あの、また相談したいことがあるんですけど……」 

P「ん、何だ?」 



志保「スクリューパイルドライバーが出ません」 

P「ザンギエフ使ったんかい」 




25:2015/02/20(金) 22:22:35.79 :kabjo9mA0

以上になります。 

昨夜ストⅡ芸人なるものを見て、ふと「北沢志保なら弟と対戦してそう」と思い立ったのが話の骨子です。 
昔やったストⅡの記憶を引っぱり出しましたが、波動拳が出た時の喜びはそこそこありました。そんなことを志保にも思ってもらいつつ、しかし中身はPと色々喋るものとなりました。 

北沢志保が何時か現実で波動拳を撃てる日を願って! 


28:2015/02/20(金) 23:21:37.74 :Ocvr0F1vo
???「わっほーい!やっぱりエドモンド本田が一番ですね!」

29:2015/02/20(金) 23:40:07.11 :HIXsYGGHo
おつー志保かわ


元スレ
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