1:2013/06/13(木) 18:48:14.69 :GW9JKO4c0

プルルルルルル… 


真「…さ、乗ろうか?雪歩」 

雪歩「…うん、真ちゃん」 

真「うわー……朝早いからかな?空いてるね」 

雪歩「そうだね、私達しか居ないみたい」 

真「この向かい合わせの席、懐かしいなぁ」 

雪歩「あ、真ちゃん…」 

真「ん?」 

雪歩「私、隣が良いな…」 

真「…もちろん、ほら、おいで」 

雪歩「ありがとう」 

真「なーに言ってるの、僕と雪歩の仲じゃない」 

雪歩「ふふふ、うん、そうだね」 


2:2013/06/13(木) 18:50:06.12 :GW9JKO4c0

真「大体…2,3時間って所かな」 

雪歩「ん」 

真「ん?眠いの?雪歩」 

雪歩「ううん、よっかかりたいだけ」 

真「そっか」 

雪歩「うん」 

真「…」 

雪歩「…」 

真「あのさ」 

雪歩「うん」 

真「手、握ってて良いかな?」 

雪歩「…うん」 


3:2013/06/13(木) 18:55:00.15 :GW9JKO4c0

真「着いたね~」 

雪歩「そうだねぇ」 

真「凄い、抜けるような青空だ!」 

雪歩「そうだね」 

真「さ、行こうか?雪歩」 

雪歩「うん、そうだね」 

真「あはは、見てよ雪歩、バスが1時間に2本くらいしかない」 

雪歩「…そうだねぇ」 

真「待とうか」 

雪歩「うん」 


4:2013/06/13(木) 18:57:07.54 :GW9JKO4c0

真「後に料金支払うシステムなんだね、恥かいちゃった///」 

雪歩「ふふふ」 

真「わー…窓の外見てよ、何も無いね、雪歩」 

雪歩「うん」 


真「ん…」 

雪歩「眠い?」 

真「うん、朝、早かったから」 

雪歩「肩、貸すね」 

真「ありがと…」 

雪歩「おやすみ…」 

真「ん…」 


5:2013/06/13(木) 18:58:35.30 :GW9JKO4c0

雪歩「真ちゃん」 

真「…ん……ん、付いた?」 

雪歩「うん」 

真「…それじゃあ、行こうか」 

雪歩「…うん」 

真「ちょうどお昼頃だね、太陽が少し暑い…」 

雪歩「本当だ」 

真「大丈夫?雪歩」 

雪歩「うん、大丈夫」 

真「そっか」 

雪歩「真ちゃん?」 

真「ん?」 

雪歩「大丈夫?」 

真「…うん」 


6:2013/06/13(木) 18:59:40.01 :GW9JKO4c0

真「食べたなぁーお腹いっぱいだよー」 

雪歩「凄い食べたね、真ちゃん」 

真「うん、どうせならね!」 

雪歩「私もどうせならいっぱい食べたかったけど」 

真「雪歩は元が小食だからね、仕方ないよ」 

雪歩「でも、美味しかった」 

真「そうだよね!いやー自分であんなにお金出して食べたの初めてかもしれないなぁ」 

雪歩「けっこうしちゃったね」 

真「うん、でも、ね」 

雪歩「…そうだね」 

真「…さぁ、ここからが大変だよ雪歩!がんばろう!」 

雪歩「うん!がんばる!」 


7:2013/06/13(木) 19:00:42.32 :GW9JKO4c0

真「よっほ!」 

雪歩「ふぅ、ふぅ」 

真「雪歩、大丈夫?」 

雪歩「はぁ、はぁ、ごめん、真ちゃん、もうちょっとゆっくり」 

真「うん、ごめんね、ゆっくり行こう」 

雪歩「うん」 

真「手、繋ぐ?」 

雪歩「繋いで良い?」 

真「もちろんだよ!」 

雪歩「ありがとう」 

真「…」 

雪歩「真ちゃん」 

真「…」 

雪歩「震えて…いるね」 

真「…」 


8:2013/06/13(木) 19:02:14.75 :GW9JKO4c0

真「もうちょっとだよ雪歩」 

雪歩「っうん」 

真「ここの岩場を登れば…っと!ほら、雪歩、手」 

雪歩「ありがとう真ちゃん、よっと」 

… 

… 


真「…うわぁ」 


雪歩「…綺麗」 


真「世界に二人だけみたいだ!!」 


雪歩「…本当だね!」 


真「ヤッホーーーー!!!」 


雪歩「ふふ…ヤッホー!」 


真「はは、雪歩の声だ!」 


雪歩「真ちゃんの声もだね!」 


9:2013/06/13(木) 19:03:57.44 :GW9JKO4c0

真「寒くなってきたね、それにちょっと苦しいかな?」 

雪歩「随分高い所まで、来たから…うん」 

真「道は平らになってきたね、尾根って言うのかな」 

雪歩「うん、さっきよりは、少し楽、手、繋いだままで歩きにくくない?」 

真「平気だよ」 

雪歩「うん」 

… 

… 

真「あ、雪歩」 


雪歩「うん、私も見えた」 


「「雪だ」」 


10:2013/06/13(木) 19:05:56.82 :GW9JKO4c0

真「六月でも、この辺には結構雪が残っているんだね」 

雪歩「うん、まばらだけれど」 

真「真っ白で、まるで雪歩みたいだ」 

雪歩「褒められているのかな?」 

真「褒めているんだよ」 

雪歩「ふふ、なら、ありがとう」 

真「……さぁ、探そうか?雪歩」 

雪歩「…うん」 


11:2013/06/13(木) 19:08:57.73 :GW9JKO4c0

… 

…… 

真「夕陽が沈むね…」 

雪歩「…うん」 

真「寒い?」 

雪歩「ううん」 

真「…雪歩の手、冷たいね」 

雪歩「…真ちゃんの手は、暖かいよ」 

真「地平線がユラユラしている」 

雪歩「こんなに、こんなにも、綺麗なんだね、世界って」 

真「…うん」 

雪歩「真ちゃん」 

真「うん?」 



雪歩「ごめんね?」 



真「…ううん」 


12:2013/06/13(木) 19:11:55.50 :GW9JKO4c0

… 

…… 

真「んぅ…」 

雪歩「少し、ぼうっと、してきた、ね」 

… 

真「星しか、ないね」 

雪歩「…綺麗」 

真「へへ、雪のベッドは、少し、寒いね?」 

雪歩「うん…冷たい、ね」 

真「雪歩」 

雪歩「真ちゃん」 

真「肌、冷たいね、本物の雪、みたいだ」 

雪歩「真ちゃん、泣いてるの?」 

真「ううん…ないて、ない、よ…ないて……なんて……」 

雪歩「真ちゃんの涙、暖かい…」 

真「へへ、指先の冷たさも…解らなくなってきちゃった…」 

… 

… 

真「もう、寝る、ね、雪歩」 

雪歩「…うん」 

… 

… 

雪歩「ねぇ、真ちゃん?」 

真「うん…雪歩」 



「「好きだよ」」 


13:2013/06/13(木) 19:14:38.57 :GW9JKO4c0

… 

…… 

……… 

………… 

…………… 

………………………… 


14:2013/06/13(木) 19:16:08.62 :GW9JKO4c0

P「少し大人びたか?」 

真「あー!少しは酷いですよ!!僕はもう27歳ですよ!プロデューサー」 

P「それを言うなら、俺はもう社長だ!」 

真「ふふ、あははははは」 

P「ははははは…」 

真「……10年、経ちますね」 

P「…やっと、出向く決心がついたのか?」 

真「…僕だけ、ずっと行けませんでしたから……」 

P「無理も無い、だって見つかったのはお前だけだったんだから…」 

真「…」 

P「あ、悪い…」 

真「いえ………今だって、どこかに居るって思ってます…」 

P「…気持ちは、解るよ」 

真「さ!行きましょう!こういうのは勢いが大事なんです!」 

P「おう!」 


15:2013/06/13(木) 19:17:57.94 :GW9JKO4c0

P「…ここからは、一人で行くか?」 

真「お気遣い、ありがとうございます」 

P「あの、さ……真、解っているとは思うが」 

真「大丈夫です、そんな事絶対にしません」 

P「そうか…そうだな、よし、じゃあ、行ってこい」 

真「はい」 

…… 

………… 

……………… 

P「たった一度のキスを見られて」 

P「ゴシップに晒されて、二人で会う事も禁止されて…」 

P「…」 

P「…なぁ」 

P「…なぁ、雪歩」 

P「真、綺麗だったぞ」 

P「見に来てやれよ…」 


16:2013/06/13(木) 19:19:15.53 :GW9JKO4c0

パンッパン 


「久しぶりって、言いたく無いんだけど、久しぶりかな?雪歩」 

「でも、雪歩はこの下には居ないんだよね?はは、不思議な気持ちだなぁ」 

「…」 

「この時期にしては、少し、寒いね、あの日を思い出すよ」 

「こういう日はさ、決まって雪歩の幻想を見ちゃうんだ」 

「へへ、恥ずかしいんだけどね」 

「…」 

「あの日、雪の上に寝ていたはずの僕は」 

「救助隊に発見された時、雪の上に居なかったって聞いて」 

「雪歩に、おいてかれちゃったかな、って思ったんだ」 

「…」 

ピトッ 

「冷たいなぁ…」 

「まるで、あの日の雪歩のようだ」 

「…僕が怖くなっちゃったから、かな?」 

「…生きたいって…思っちゃったから?」 

「雪歩…」 


17:2013/06/13(木) 19:21:22.74 :GW9JKO4c0

… 

… 

「…」 

「…行くね?雪歩」 

「プロデューサー…いや、社長がさ、まってるから」 

「また、これるか、決心はつかないけどさ…」 

「……じゃあね、雪歩」 

… 

… 

… 

「…雨、かな……」 

「夜だから、良く見えないや」 

「あの日のように、星は見えているのに…」 

「冷たい……これって…」 

「雪…?」 


18:2013/06/13(木) 19:23:02.86 :GW9JKO4c0

「あぁ…」 

「見たくなかった」 

「…こんな所で、見たくなかったなぁ」 

「…また、幻想だ」 

「あの日のように、雪歩は僕に向かって」 



「泣いているの?」 



「そう、聞くんだ」 

「そして冷たい手を伸ばして」 



「真ちゃんの涙、暖かい…」 



「そう、言うんだ」 


「…あれ?」 


「…暖かい、な」 


「…この手は、暖かい」 




「ただいま……真ちゃん」 


19:2013/06/13(木) 19:24:47.25 :GW9JKO4c0

… 

… 

P「遅いな…真…」 

P「う~冷える…珍しいんじゃないか?この時期にこんなに寒いのは…」 

P「小雨もパラついてるし…」 

P「…」 

P「…」 

P「おい…」 

P「おい、まさか!!」 



「ただいま、プロデューサー」 



P「うわ!びっくりした!随分遅かったなまこ………」 

P「………まったく!いつ、帰ってくるかと思ったよ!」 



P「お帰り、ふたりとも」 


20:2013/06/13(木) 19:25:31.73 :GW9JKO4c0

終わりです。 

お付き合いいただきありがとうございました。 


21:2013/06/13(木) 19:36:00.90 :xgGFIrS1o
乙 
バッドエンドじゃなくてよかった 
社長になってもP表記なんだ

22:2013/06/13(木) 19:43:27.24 :bfPxx5hc0
乙!シリアスは久しぶりに読んだわ。 
ドキドキしながら読んだ。

23:2013/06/13(木) 19:44:47.76 :wYLDaocB0
乙 

ラストがどういう状況かあまり想像できんかったけど涙腺に来た

24:2013/06/13(木) 19:58:47.51 :AzF/60ivo
おつん! 
なんかホラーだな

26:2013/06/13(木) 23:37:13.54 :3d1UD2rUo
なんスかこれ……俺の心にズンと来たわ。短いのに名作だわこれ。

28:2013/06/14(金) 18:59:09.59 :+1vBu6A1o
内容がわけわからないけど 
雪歩はいままでどこにいたわけ?

29:2013/06/14(金) 20:51:21.46 :14y1rBxjo
とっぷしいくれっとです

元スレ
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1371116894