1:◆GXOTVbeo7k:2013/06/03(月) 19:46:44.47 :c8VnEsaDO

P「…」ヒクッ 

P「ま、まゆ? いまなんて…」 

まゆ「聞こえなかったんですかぁ? もう…本当に、プロデューサーは仕方のない人ですねぇ…」ハア 

P「あ、ああすまん。ちょっと…あれだ。聞き間違ったような気がして…」ハハ… 

まゆ「くす。じゃあもう一度だけ言ってあげますから、今度はきちんと聞いておいてくださいねぇ?」クスクス 

P「お、おう」 

まゆ「プロデューサー、お願いなのでそれ以上まゆに近寄らないでもらえますかぁ?」 

P(あ、なんかもっとひどい言い方になった気がする…)


3:◆GXOTVbeo7k:2013/06/03(月) 19:50:37.66 :x3D4KEF+o

P「あー…えっと…な、なにかあったのか?」 

まゆ「? なにか…ですか?」 

P「うん。…今日はその…なんて言うか、いつもより棘があるというか……」 

P「…棘の方向が俺を向いているというか」ボソ 

まゆ「??」 

P「な、なんでもない」 

P「それにいつもはPさんって呼んでくれるだろ? なのに今日はプロデューサーだなんて、そんな、他人行儀な…」 

まゆ「くすくす」 

P「ま、まゆ?」 

まゆ「…あは…プロデューサーは、変なことを言いますねぇ」 

まゆ「まゆとあなたは、他人じゃないですかぁ。仕事の上でお付き合いがあるだけですよねぇ?」 

P「……。それは…そうだけど」 

まゆ「はい」 

P「……そうだな」 

まゆ「はい」 


7:◆GXOTVbeo7k:2013/06/03(月) 19:54:17.49 :c8VnEsaDO

まゆ「とにかく…まゆは後ろの座席に座りますから…」ギシ 

まゆ「まゆの方、見ないでくださいねぇ。見られるだけでも気分が悪くなっちゃいますから」クスクス 

P「…う、うん。分かったよ」 

P「…」 

まゆ「…」 

P「…あ、あのさ、まゆ」 

まゆ「なにしてるんですか?」 

P「…え?」 

まゆ「送ってくれるんですよねぇ? だったら早く車出してください?」 

まゆ「…こんな狭いところでプロデューサーと二人きりだなんて…あんまりいい気分じゃないですから」 

P「…はい」 

まゆ「もう。プロデューサーってば、本当にとろとろしてますよねぇ」 

P「……すいません」 

まゆ「…はあ。いちいち謝らなくていいですから、早くしてもらえませんかぁ?」 

P「……。はい…」 



バタン 

ブウウン… 


「……」


11:◆GXOTVbeo7k:2013/06/03(月) 19:59:45.06 :x3D4KEF+o

ブロロロ… 


P「…」 

まゆ「…」 

P「…」チラ 

まゆ「…」 

P(スマホでも弄ってるのかな…) 

P「な、なあまゆ」 

まゆ「…」 

P「……」 

P「な、なにしてるんだ?」 

まゆ「…」 

まゆ「これは言ってませんでしたねぇ」 

P「え?」 

まゆ「話しかけるのもやめてもらえますか?」 

P「……。わ、分かったよ」 

まゆ「それとミラーでちらちらこっちの様子を伺うのもよしてくださいねぇ。不愉快です」 

P「……、はい…」 


12:◆GXOTVbeo7k:2013/06/03(月) 20:05:34.77 :c8VnEsaDO

P「あ、…じ、じゃあ。最後に一つだけ…」 

まゆ「……」 

まゆ「なんですか?」 

P「あ、ありがとう」ハハ… 

P「えっと…お腹、空いてないか? 今日も遅くまで仕事だったし…」 

まゆ「…」 

P「まゆさえよかったら、俺奢るからさ、このままどっか――」 

まゆ「プロデューサー」 

P「お、おう。なんだ?」 

まゆ「…その…まゆって呼び方、やめてもらえませんかぁ?」 

まゆ「あなたにそんな風に呼ばれると……すごく、気分が悪くなんですよねぇ」 

P「……え、え?」 

まゆ「それと、仕方ないので、一応質問に答えますねぇ」 

まゆ「あなたみたいな人の顔を見ながら食事ができると思いますか? 思えませんよねぇ?」 

まゆ「けっこうです。寮で摂りますから」 

P「……そ、そっか…」 

まゆ「それからいちいちこちらに気を向けていないで、ちゃんと前を向いて運転してくださいねぇ」 

まゆ「好きで乗っているわけでもないのに、事故でも起こされちゃうとたまりませんもんねぇ」 

P「……うん……ごめん…」


13:◆GXOTVbeo7k:2013/06/03(月) 20:10:54.91 :x3D4KEF+o

キッ 


P「…着いたよ」 

まゆ「はい」ガチャ 


バタン 


P「…ま、また、明日、な」 

まゆ「…」 

まゆ「あの」 

P「な、なんだ?」 

まゆ「送ってくださって、どうもありがとうございました」ペコ 

P「!」 

P「ま、まゆ――」 

まゆ「…」ハア 

まゆ「さっき名前で呼ばないでって言ったばかりですよねぇ?」 

P「…あっ…す、すまん」 

まゆ「謝ってばかりですねぇ。学習できないんですか? それとも謝ればなにをしてもいいとでも思っているんですかぁ?」 

P「ち、ちが…」 


14:◆GXOTVbeo7k:2013/06/03(月) 20:14:07.92 :c8VnEsaDO

まゆ「送って頂いたので――礼を言っただけです。まゆは立派な社会人ですから」 

まゆ「なのでお願いですからプロデューサーも、まゆの言葉をいちいち私人として受け取らないでくださいねぇ」 

P「……うん…ごめんな」 

まゆ「分かってくれればいいんですよぉ」ニコ 

まゆ「では」 


スタスタ 


P「……まゆ…」 

P「…帰るか…」 


トボトボ 




「ほうほう」


16:◆GXOTVbeo7k:2013/06/03(月) 20:19:24.55 :x3D4KEF+o

・ 
・ 
・ 


凛「幸子も気づいてたんだ」 

幸子「もちろんです。あの二人、普段これでもかというくらいべたべたしていますからね。気づかない方がおかしいですよ」 

凛「…喧嘩…かな」 

幸子「喧嘩というよりは、一方的にまゆさんがプロデューサーさんに怒っているように見えましたけどね」 

凛「どっちにしてもいま二人は」 

幸子「仲違いしている、ということで間違いなさそうですね」 

凛「…」 

幸子「…」 


18:◆GXOTVbeo7k:2013/06/03(月) 20:23:16.03 :c8VnEsaDO

凛(これは…) 

幸子(まゆさんからプロデューサーさんを取り返す、千載一遇のチャンス!)グッ 

凛「…」 

幸子「…」 

凛「幸子。いやさっちゃん」 

幸子「なんですか、しぶりんさん」 

凛「こんなときに争ってても仕方ないと思わない?」 

幸子「奇遇ですね。ボクもそう思います」 

凛「決まりだね」ニヤ 

幸子「共に戦いましょう。プロデューサーさんの目に再び光を!」オー 

凛「おー」 


20:◆GXOTVbeo7k:2013/06/03(月) 20:27:35.33 :x3D4KEF+o

タタッ 


凛「プロデューサー」 

P「ん? …おお、凛か。おはよう。調子はどうだ?」ゲッソリ 

凛「…」 

凛(そんな顔で調子を聞かれても返しに困る) 

凛「私はいいよ。プロデューサーこそどうなの?」 

P「へ…俺?」 

凛「うん。なんだか元気がないように見えるけど、大丈夫?」 

P「あー…ははっ。担当アイドルに心配されるなんて…情けないな。ありがとな」ニコ… 

凛(……安らかな顔だ) 


21:◆GXOTVbeo7k:2013/06/03(月) 20:30:48.04 :c8VnEsaDO

凛「なにかあるなら、相談、乗るよ」ポン 

ナデナデ 

P「…」 

凛「私だけはになにがあっても絶対プロデューサーの味方だから」 

P「…」 

幸子(なにが「私だけ」ですか! ぼ、ボクだってそうですからね!)ピョンピョン 

幸子(くぅ…邪魔したい……で、でも凛さんとの約束ですし…) 

幸子(あーもう! どうしてジャンケンで負けてしまったんです、さっきのボクはぁ!)ダンダン! 

P「……ありがとな。でも大丈夫だよ」 

凛「本当に?」 

P「おう」ニコ 

凛(…)ドキ 

幸子(…あーいい笑顔だなぁ…もっと近くから見たいなぁ)ハア


22:◆GXOTVbeo7k:2013/06/03(月) 20:34:51.74 :x3D4KEF+o

ガチャ 


まゆ「おはようございます」 

幸子「おや、まゆさん。おはようございます。今日もボクはカワイイですよね」ペコ 

まゆ「おはよう幸子ちゃん」ニコ 

まゆ「…えっと…」キョロキョロ 

幸子「? なにかお探しですか?」 

幸子「あひょっとして…プロデューサーさんですか?」ニヤニヤ 

まゆ「? ええ」 

幸子「ふふん。そうですよね、避けるためにはプロデューサーさんがどこにいるか知っておかないといけませんもんね」 

まゆ「避ける? …えっと…なんの話?」キョロ… 

幸子「え?」 

まゆ「あ…Pさん♪ 見つけましたよぉ」パタパタ 

幸子「……え?」 


23:◆GXOTVbeo7k:2013/06/03(月) 20:39:07.51 :c8VnEsaDO

ダキッ 


P「おっと」 

まゆ「えへへ…おはようございます、Pさん♪」ギュウ 

P「なんだまゆか。驚かせるなよ」 

まゆ「ふふ? だって昨日はちゃんとお喋りできなかったんですもの。抱き着くの、我慢できませんでした…」エヘヘ 

P「現在進行形で抱き着いてるけどな」ギュウ 

まゆ「いけませんかぁ?」 

P「そんなわけないだろ?」ギュウ 

まゆ「あ…。ふふ…」// 



凛「」 

凛「」 

幸子「……どういうことです……お、お二人は、喧嘩の最中だったのでは…」 

P「え? 俺とまゆが?」 

まゆ「まゆがPさんと喧嘩するなんて…ありませんよねぇ?」 

幸子「え、…いやでも、ボクたち昨日見たんですよ! お二人が剣呑な雰囲気だったところを…」 

P「ああ」 

まゆ「それは…その」モジ// 

幸子「?」


24:◆GXOTVbeo7k:2013/06/03(月) 20:42:58.12 :x3D4KEF+o

まゆ「え、えっと…Pさんが、いっつもくっついているんじゃ、張り合いがないよなって言うから…その」 

P「まゆにそういう風に振る舞ってもらったんだよ」 

幸子(担当アイドルになにさせてんですかこの人) 

まゆ「…おかげで、まゆはすっかり焦らされちゃいましたよぅ…Pさぁん」スリスリ 

P「アイドルが焦らされたとか言うんじゃありません」コツン 

まゆ「あう」 

P「…まあ、俺もだけどな」 

まゆ「! …ふふ、ふふ♪」 

まゆ「もう、Pさんったら…」// 

幸子(公然と事務所でいちゃつき始めないでください) 


26:◆GXOTVbeo7k:2013/06/03(月) 20:48:27.69 :x3D4KEF+o

まゆ「でも…冗談でもPさんに冷たくあたるなんて、まゆには辛すぎます……」 

まゆ「もう二度と、まゆにあんなことさせないでくださいねぇ?」 

P「ああ。…あ、でも…その」 

まゆ「?」 

P「…た、たまになら、…いいだろ?」 

まゆ「…。ふふ。もう…Pさんったら…」クスクス 

まゆ「あんな風にされて喜んじゃうなんて…本当に、どうしようもない変態さんなんですねぇ…」ニコ 

P「…っ」ゾクゾク 

まゆ「ふふ? たまに、ですよ?」 

P「あ、ああっ…分かってるよ…」ハハ… 


イチャイチャ 


幸子「…」 

凛「」 

幸子「……おかしい…こんなことは許されません…」 

凛「」 

幸子「……り、凛さん?」 

凛「」 

幸子「! し、死んでる…」 

凛「」シンデハナイヨ 

凛「……ふふ…そっかそっか…私もプロデューサーを罵ってあげればいいんだ…そしたらプロデューサーは、私に夢中になってくれるんだ…ふふっ」ボソボソ 

幸子「…??」ゾクッ 



おわりん 


27:◆GXOTVbeo7k:2013/06/03(月) 20:49:48.22 :c8VnEsaDO

まゆに罵られたかっただけなんです。ありがちなオチですまんかった。 
画像先輩ありがとうございます、合いの手もサンクス。 


元スレ
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