※未完かも知れない作品です。

1:2013/11/30(土) 22:12:38.73 :pPF7KG630

小鳥「って、見たことないんですよねー」 

小鳥「履歴書にもPヘッドのままの写真しかないし……」 

小鳥「みんなでプールに行った時も水着+Pヘッド」 

小鳥「Pヘッドを外せない理由があるんですか?」 

P「……誰にも言わないでくださいよ」


2:2013/11/30(土) 22:17:21.91 :pPF7KG630

P「実は、俺……めちゃくちゃブサイクなんです」 

小鳥「ええ!? そんなにスタイルがいいのに!?」 

P「体つきは顔とは関係ありませんよ」 

P「むしろ、体だけはだらしなくないように鍛えているんですけど、」 

P「体が理想的になるほど、顔とのバランスが崩れて、逆効果に……」 

P「ブサイクが、細マッチョなブサイクになったんですよ?」 

P「ははは……逆に気持ち悪いでしょ、こんなの」 

小鳥「ぴ、ぴよ……」


3:2013/11/30(土) 22:26:36.49 :pPF7KG630

小鳥「で、でも、声はいいじゃないですか」 

小鳥「正直、かなりのイケメンボイスだと思いますよ?」 

小鳥「みんなもよく、声がいい、声がかっこいいって言ってるじゃないですか」 

P「声は、ですよ」 

P「声がよくっても、俺はブサイクなんですよ」 

P「それが全ての長所を台無しにするんです」


6:2013/11/30(土) 22:31:14.23 :pPF7KG630

小鳥「うーん。でも、プロデューサーさん、優しいじゃないですか」 

小鳥「それに気配り上手だし」 

小鳥「少しばかり顔が悪くても、わ、私は別に気にしな……」 

P「――俺の顔を見た同級生は、気絶しました」 

小鳥「え?」 

P「中一の頃です。同級生にせがまれた俺は、ちょっとだけならとPヘッドを取ったんです」 

P「すると、俺の顔を見るや否や、同級生の女子は全員気絶しました」 

P「それ以来、彼女たちは露骨に俺を避け、視線をそらすようになりました」


8:2013/11/30(土) 22:34:23.91 :pPF7KG630

小鳥「ま、またまたー! そんなことあるわけ」 

P「高二の時の文化祭」 

小鳥「え、え?」 

P「体育館のステージで演劇をしたんですよ」 

P「その時、転んだはずみにPヘッドがぽろり」 

P「しぃんと、体育館が静まり返りましたね」 

P「絶句とはこのことだと、俺は痛感しました」 

小鳥「は、はは」


11:2013/11/30(土) 22:39:41.31 :pPF7KG630

P「大学生だった頃は!」 

P「初めてできた彼女とキスをする瞬間!」 

P「彼女はパニックになって逃げ出して!」 

P「後日、『私では釣り合わないから、分かれよう』ってメールが!」 

P「他にも、サークルでは顔についてイジられ、」 

P「後輩は声もかけてくれない始末!」 

P「うっ、うっ、ブサイクは罪なんだ……俺なんて生まれてきちゃいけなかったんだ……」 

P「恥を忍んで行った美容外科でも、整形を断られたんですよ!」 

P「もう、俺はPヘッドを外しません……うっ、う、ううぅ」


14:2013/11/30(土) 22:44:03.70 :pPF7KG630

小鳥「プロデューサーさん……安易に質問をぶつけてすみませんでした」 

小鳥「今夜は私がおごります。さあ、下(たるき亭)に行きましょう」 

小鳥「顔のことを忘れるぐらいに、飲みましょうね」 

P「うっ、うっ! こ、小鳥さん!」 

P「小鳥さーん!」ウワーン! 

<ヨシヨシ、オモイッキリナイテ、アシタハゲンキニナリマショウネ 

<ハイッ、ウウ、ハイィ 

???「……」 

???「むふふ♪」


15:2013/11/30(土) 22:51:01.30 :pPF7KG630

~翌朝~ 

亜美「ってわけで、兄ちゃんはブサメンだったのだよ!」 

アイドル「「「えええええー!?」」」 

真美「いやー、まさか、兄ちゃんが雰囲気イケメンだったなんて、驚きですなー」 

亜美「Pヘッドを外したら、眼鏡が似合うイケメン顔が!」 

真美「なんて妄想をしてた人! 残念でした~!」 

真「そ、そんな……嘘だ……!?」


18:2013/11/30(土) 22:59:25.13 :pPF7KG630

春香「いや、そもそも、その話は本当なの?」 

亜美「ダメだよ、はるるん。現実を認めなきゃ」 

真美「真美たち、ちゃんと本人が言ってるのを聞いたもんねー」 

あずさ「あらー……それは信ぴょう性が高いわねー……」 

響「うぎゃー!? プロデューサーは『ふすま』みたいなオバケ顔だったのかー!?」


21:2013/11/30(土) 23:07:23.25 :pPF7KG630

千早「みんな騒ぎ過ぎよ。プロデューサーの顔の良し悪しなんて、大した問題じゃないわ」 

律子「そうよ。気配り上手で仕事ができるプロデューサー。それで十分じゃないの」 

貴音「人間にとって、大事なのは内面。それを忘れて、外見だけを気にしてはいけませんよ」 

亜美「ぶーぶー。すましちゃってさ」 

真美「みんなは気にならないの? プロデューサーのス・ガ・オ!」 

伊織「そ、そりゃあ、気になるけど」 

やよい「うっうー! 気になりますー!」 

美希「美希も興味あるかなって感じ!」 

真美「でしょー!?」


25:2013/11/30(土) 23:21:47.97 :pPF7KG630

亜美「だから……ね?」 

真美「みんなで協力して……兄ちゃんのPヘッド、取っちゃお?」 

律子「真美!」 

真美「ちょっとだけ! 一瞬だけだから!」 

亜美「それに、りっちゃん。知ってるんだよー」 

律子「な、何よ」 

亜美「最近、Pヘッドをちらちら見てるでしょ」 

真美「兄ちゃんの履歴書を、ぴよちゃんからこっそり見せてもらってたでしょ」 

律子「なっ――!?」 

亜美「気になるんでしょ? 兄ちゃんがどんな顔なのか」


26:2013/11/30(土) 23:24:41.10 :pPF7KG630

真美「千早お姉ちゃんも」 

千早「」ピクッ 

亜美「お姫ちんも」 

貴音「」ピクピクッ 

真美「手を貸してくれなくてもいいんだよ?」 

亜美「見てるだけでいいの。Pヘッドは亜美たちが取るから、」 

真美「邪魔さえしなければ――ね?」 

アイドルたち「……」ゴクリ


27:2013/11/30(土) 23:29:51.08 :pPF7KG630

<イヤー、スミマセン 

<イエイエ。カイダシグライハテツダイマスヨ 

亜美「帰ってきた!」 

真美「はい、じゃあ、みんなはその場で待機!」 

亜美「ドアが開いて、みんなに注意が向いたところで――」 

真美「真美たちは、給湯室からキョーシューをしかける!」 

亜美「それで兄ちゃんの素顔の」 

真美「ご開帳~♪」


28:2013/11/30(土) 23:32:53.28 :pPF7KG630

<サー、ゴゴカラモシゴトダ 

亜美(3) 

<ガンバルゾー 

真美(2) 

P「ただいまー」ガチャ 

亜美(1) 

アイドルたち「お、おかえりなさーい」 

P「お、みんな揃ってい」 

あまみ「「今っ!」」 

P「るなああああっ!?」


29:2013/11/30(土) 23:34:41.11 :pPF7KG630

小鳥(その時、私は見ました) 

小鳥(給湯室から飛び出してきた二つの影を) 

小鳥(プロデューサーさんの頭からもぎ取られたPヘッドを) 

小鳥(そして――プロデューサーさんの、素顔を)


30:2013/11/30(土) 23:36:22.33 :pPF7KG630

春香「わ……あ……」 

貴音「これ、は……」 

あずさ「あ、ら……?」 

小鳥(みんな、言葉もないようでした)


32:2013/11/30(土) 23:39:55.54 :pPF7KG630

響「う、うぎゃ~……」パタッ 

雪歩「……う~ん」パタリ 

美希「もう、ダメなの……っ」ヘチョン 

小鳥(感極まった子たちは、気を失ったり、腰を抜かしてしまいました)


34:2013/11/30(土) 23:42:46.18 :pPF7KG630

真「お、王子様……!」 

律子「ほぅっ……」 

千早「……」 

小鳥(残った子たちも、皆一様に顔を真っ赤に染めて、陶然としていました)


37:2013/11/30(土) 23:45:29.17 :pPF7KG630

小鳥(もちろん、私もです) 

小鳥(明らかにされたプロデューサーの『美貌』に) 

小鳥(指先一つ、動かせなくなってしまいました) 

小鳥(真美ちゃんたちなんて、Pヘッドを持ち上げたまま) 

小鳥(時が止まったかのように、笑顔のままで固まっていました)


44:2013/11/30(土) 23:52:17.67 :pPF7KG630

P「……っ!」 

亜美「あっ!」 

小鳥(最初に動いたのはプロデューサーさんでした) 

小鳥(ハッと我に返ったかと思うと、亜美ちゃんたちの手からPヘッドを乱暴に奪い取り、) 

小鳥(被るのもそこそこに、事務所から飛び出していきました) 

小鳥(慌ただしく駆け下りていく足音) 

小鳥(消えていくプロデューサーさんの香り) 

小鳥(その日、プロデューサーさんはとうとう) 

小鳥(事務所に帰ってくることはありませんでした)


45:2013/11/30(土) 23:57:31.39 :pPF7KG630

P(不覚にもPヘッドを奪われ、みんなの前で素顔を晒してしまった日) 

P(その日から、俺のプロデューサー生活は憂鬱なものとなった) 

P(あからさまに態度を変えるアイドルたち) 

P(何かを言いたそうにしている小鳥さん) 

P(事務所に入る前に聞こえるひそひそ話は、) 

P(俺の前ではピタリと止まる) 

P(ああ……本当に……) 

P(どうして俺は、ブサイクなんだろう……) 

P(親じゃない。祖父母でもない。ブサイクに生まれてしまった自分を、) 

P(俺は誰よりも恥じて、恨んだ)


66:2013/12/01(日) 22:35:33.83 :VEofFvSo0

春香「プロデューサーさんの素顔。あれは……やばい!」 

千早「確かに。直視した瞬間、心臓が止まりかけたわ」 

真「ほんとだよー! もう、ドキーッ! ってして、そのまま気絶するかと思ったもん」 

雪歩「私は気絶しちゃいましたけど……」 

伊織「無理のないことだと思うわ」


67:2013/12/01(日) 22:38:52.60 :VEofFvSo0

響「イケメンにもほどがあるぞ!」 

貴音「ええ。アイドルと比べても、遜色ないどころか……」 

律子「圧倒的に上回ってるわね。プロデューサーが」 

美希「とってもキラキラしてたの!」


68:2013/12/01(日) 22:42:57.24 :VEofFvSo0

小鳥「キラキラしてたというか……神々しくさえあったというか……」 

律子「元カノさんは、あれを間近で見たのよね? パニックになるのもしょうがないと思うわ」 

春香「ですね。現に、ほら。近くで見た亜美たちなんて……」チラ 

亜美「」 

真美「」 

千早「まだ固まってるわ」


70:2013/12/01(日) 22:47:25.58 :VEofFvSo0

真「あずささんとやよいに至っては、まだ熱を出してるよ」 

律子「あれだけ止めたのに、また見ちゃったのね?」 

伊織「見たらダメよ、仕事に支障が出るわよ、って言っておいたのに……」 

春香「うう、でも、私ももう一度見たい……」 

律子「ダ・メ・よ!」 

美希「ソファーにもう空きはないの」


73:2013/12/01(日) 22:53:45.33 :VEofFvSo0

小鳥「しかし、困ったことになりましたよね」 

律子「ええ。プロデューサーはどこかよそよそしくなったし――」 

小鳥「765プロのみんなは、そわそわしているし」 

律子「しかも、その様子を見て、あの人は妙な勘違いをしているようだし」 

小鳥「ううーん。どうにかしなくちゃいけませんね」


74:2013/12/01(日) 22:57:14.20 :VEofFvSo0

律子「……そうだ! いっそのこと、Pヘッド解禁、なんてのはどうでしょう?」 

小鳥「ええ!? それはまずくないですか?」 

律子「いえいえ。美食も続けば飽きが来る」 

律子「見慣れることで、プロデューサーの美貌による弊害もなくなるんじゃないでしょうか」 

律子「最初のうちは混乱も大きいでしょうが、このまま放置するよりはマシじゃないかと」 

小鳥「なるほど……考えてみると、いい案かもしれませんね」


76:2013/12/01(日) 23:00:59.04 :VEofFvSo0

小鳥「自分はブサイクだって思い込みがなくなれば、」 

小鳥「プロデューサーさんの悩みも解消されますからね」 

律子「ええ。真実が明らかとなった以上、しょうがありません」 

律子「臭いものに蓋をしても匂いは漏れます」 

律子「ここは前向きに! 攻めの姿勢で、問題解決に取り組みましょう!」 

小鳥「おおー!」


83:2013/12/02(月) 01:01:02.10 :LjByzL+w0

P「ううう……社長直々に『事務所内では帽子・被り物禁止令』が下された」 

P「従うしか……ないよなあ」 

P「みんな、嫌がるだろうけど……社長命令だもんな」 

P「慣れるしかないのかな。俺も、みんなも」 

P「はあ……早く社長のように、顔にモザイクをかけれるようになりたいな」


85:2013/12/02(月) 01:03:17.09 :LjByzL+w0

春香「おはようございまーす!」 

P「あの元気な声は春香」 

P「あいつの笑顔を曇らせるのは忍びないが――」 

P「ええい! うじうじしていてもしょうがない!」 

P「ここはこちらも笑顔で返して、せめて雰囲気だけは明るくいくぞ!」


87:2013/12/02(月) 01:08:19.70 :LjByzL+w0

P「は、春香! おはよう!」 

春香「あ、おはようござ……っ!?」 

春香「ぷ、プロデューサーさん! すが、素顔っ。Pヘッドはっ!?」 

P「あ、ああ。事務所では被り物、禁止なんだって」 

P「だかりゃ、う、うんっ! だから、Pヘッドも、な」 

春香「そうなん、ですか~!」 

P(うおお! 噛んだ! 恥ずかしい~!) 

春香(カッコ良すぎて、は、話をするだけでも恥ずかしい~!)


88:2013/12/02(月) 01:11:30.71 :LjByzL+w0

P「ご、ごめんな。変な顔で」 

春香「いえ! こちらこそすみません。驚いたりして」 

P「仕方ないって。俺みたいなブサイク、そうそういないもんな」 

春香「いえいえいえいえいえ!」 

春香「逆ですよ、逆!」 

春香「いい機会だからハッキリ言いますけど、」 

春香「プロデューサーさんのような美形、私、見たことないですよ!」


90:2013/12/02(月) 01:16:18.09 :LjByzL+w0

P「……慰めてくれてるのか?」 

春香「は?」 

P「春香は優しいな」ニコッ 

春香(うっ、弱々しい笑顔とイケボ……こ、腰が砕けそう) 

P(うん……これなら、何とかやっていけそうだ)


101:2013/12/02(月) 19:55:27.56 :LjByzL+w0

社長「諸君、おはよう」 

P「あっ、社長。おはようございます」 

P「そういえば、今日のスケジュールなんですけど……」 

春香(はー、プロデューサーさん、横顔もかっこいいなー)ポー 

千早「おはよう、春香」 

春香「あっ、千早ちゃん、おはよう」 

千早「Pヘッドを外したのね、プロデューサー」 

千早「少し驚いたけれど、いいことだと思うわ」 

千早「私たちに心を開いてくれたのね」 

春香「うん……千早ちゃん?」 

春香「顔を真っ赤にしながら、私のリボンを結んだり解いたりするのは止めてくれる?」 

春香「気持ちは分かるけどさ」


102:2013/12/02(月) 19:57:45.01 :LjByzL+w0

真「おはようございまー……うわわっ!?」 

伊織「おは……よ、う」 

雪歩「あわわわわわわ……!」 

春香「あっ、みんな揃ってきたみたいだね」 

春香(まだPヘッドじゃないプロデューサーさんには慣れないけど、) 

春香「今日も一日、はりきっていこー!」





元スレ
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