1:2014/03/19(水) 01:58:55.54 :/9gPCPtu0

P「新人ランキングでトップテン入り! マイナー誌のコラムとはいえ、噂は俺も聞いたことがある」 

P「活動地域も被ってるから、なかなかのライバルになりそうだ」 

P「……ちょっと、聞いてますか」 

ヘレン「聞いているわ。私には及ばない、そうよね?」 

P「聞いてないでしょ」 


2:2014/03/19(水) 01:59:25.70 :/9gPCPtu0

ヘレン「P、動揺し過ぎよ。それでも私のプロデューサー?」 

P「あんたのプロデューサーだから、こうやって敵情に戦々恐々してるんですよ」 

ヘレン「だとしたら、それは不手際ね」 

P「は?」 

ヘレン「彼女、幸子の瞳をご覧なさい」 

P「瞳って……写真は綺麗に撮れてますけど」 

ヘレン「世界を見ていないわ」 

P「あんたに何が分かるんだよ!」 


4:2014/03/19(水) 01:59:52.42 :/9gPCPtu0

ヘレン「世界を視野に入れてない者が、私の壁にはなりえない」 

P「聞いてくださいよ」 

ヘレン「よって、彼女に怯えるだけ、無駄ということ。分かったかしら?」 

P「……はぁ、分かりましたよ。確かに、輿水さんとライブバトルするとは、決まってませんしね」 

ヘレン「そうよ。怯えるのは、私のポテンシャルにだけ」 

P「さっさとレッスンに行って、それを発揮してきてください」 

ヘレン「ええ、今日も見せつけてしまうのね……ワールドクラスを」 

P「早く行け」 


5:2014/03/19(水) 02:00:24.94 :/9gPCPtu0

「幸子、今日の仕事はどうだった?」 

輿水幸子「いつも通り、ボクがカワイイことを証明しましたよ!」 

「そうか。それならいい」 

幸子「ふふーん、褒めてくれても、ボクは構いませんけど?」 

「よくやった。俺はまた、予定を立ててくる」 

幸子「あ、ちょっと!?」 

幸子「……ちぇっ」 


6:2014/03/19(水) 02:00:51.80 :/9gPCPtu0

ヘレン「あなたはプロデューサーと、上手くいっていないようね」 

幸子「だ、誰ですか。ここは関係者以外立ち入り禁止ですよ!」 

ヘレン「ご存じのとおり、ヘレンよ。私が関係者では、ないとでも?」 

幸子「いや、知りませんけど……関係者なんですか」 

ヘレン「アイドルであれば、関係ないとは言えないわ」 

幸子「あなたもアイドル! ふふーん、敵情視察ですか。まあ、ボクはカワイイから、警戒するのも」 

ヘレン「いいえ。私は確かめにきただけ……あなたが、世界を見ているのか」 

幸子「は? 世界?」 

ヘレン「けど、分かったわ。あなたはやはり、私の壁になりえない」 

P「なにやってんですか、あんた!?」 


9:2014/03/19(水) 02:01:27.41 :/9gPCPtu0

P「レッスン抜け出して、なにをしてるかと思ったら……本当にすいません!」 

幸子「い、いいですよ。ボクは寛容ですから!」 

P「ありがとうございます。ほら、行きますよ」 

ヘレン「幸子。あなたが見ているのは、見てほしいのは、世界じゃない。そうでしょう?」 

P「アホなことを言ってないで、行きますよ!」 

ヘレン「去り際の私は、背中に世界を……」 



幸子(ボクが、見てほしい相手、見ている相手) 

幸子「あの人は、なんであんなことを」 


10:2014/03/19(水) 02:02:04.33 :/9gPCPtu0

P「もう、事務所に苦情が入ったら、どうするんですか」 

ヘレン「私は世界レベルの相手を、放っておけなかっただけよ」 

P「は? そりゃ、輿水さんは人気がありますけど」 

ヘレン「実力もそうよ。私に並ぶ、いい瞳だった」 

P「世界を見てない、とか言ったくせに」 

ヘレン「そうね。彼女は世界を見ていない。惜しいわ」 

P「なにが惜しいんだか……」 


11:2014/03/19(水) 02:02:35.44 :/9gPCPtu0

幸子「プロデューサーさん」 

「どうした、幸子」 

幸子「ライブバトルをしたい、相手がいます」 

「そうか」 

幸子「確か……ヘレン、という人です」 

「ヘレン? 聞いたことがないな」 

幸子「それで、ボクが勝ったら、お願いがあります」 

「ああ、なんだ?」 

幸子「ボクが勝ったら、一緒に――」 


12:2014/03/19(水) 02:03:14.90 :/9gPCPtu0

P「輿水幸子さんから、ライブバトルを挑まれました」 

ヘレン「そう。奇遇ね」 

P「あ、な、た、が! 妙な因縁をつけたからでしょう!?」 

ヘレン「因縁……そうね。世界というのは、知らず知らず強者が集うもの」 

P「煙に巻かないでください。ああ、もう、どうしてこうなるかなぁ……?」 

ヘレン「P、私のプロデューサーなら」 

P「これくらいで、動揺するな、でしょう? わかってますよ!」 

P「勝ちますよ。ええ、世界レベルですもんね!?」 

ヘレン「そう、私は世界レベルよ」 


13:2014/03/19(水) 02:03:41.58 :/9gPCPtu0

P「レッスンはどうしたんですか」 

ヘレン「ティータイムよ」 

P「早く行け」 


14:2014/03/19(水) 02:04:10.17 :/9gPCPtu0

P「レッスンは?」 

ヘレン「シエスタよ」 

P「行け」 


15:2014/03/19(水) 02:04:37.15 :/9gPCPtu0

P「レッスン」 

ヘレン「映画鑑賞よ」 

P「取り繕え!」 


16:2014/03/19(水) 02:05:06.28 :/9gPCPtu0

幸子「ヘレンさん、負けませんよ」 

ヘレン「世界レベル同士、ファンタスティックなライブにしましょう」 

幸子「ふぁ、ファンタ?」 

ヘレン「幸子」 

幸子「なんですか」 

ヘレン「私はいつも、世界を見て、世界に見られているわ」 

ヘレン「あなたどう? 何を見て、何に見られている?」 

幸子「……ボクは」 

ヘレン「それをライブで、私に見せてみなさい」 

幸子「え、偉そうに。ふふーん、やってあげますよ!」 


17:2014/03/19(水) 02:05:39.76 :/9gPCPtu0

幸子(――ふざけた人だと思ってたのに、なかなかやりますね) 

幸子(特に、ダンスのキレは、ボクじゃかなわない) 

幸子(それでも、ボクの方がカワイイんですよ!) 


18:2014/03/19(水) 02:06:06.06 :/9gPCPtu0

P「マイペースなレッスンをしてたくせに、相変わらずのキレだな……」 

P「けど、やっぱり輿水さんのほうが、総合的に勝ってる」 

P「……ああ、もう、負けないでくれよ!」 

P「俺はヘレンさんを、信じてるんですよ。マイペースさも、変な言動も」 

P「全部に惚れて、プロデュースしてるんですから、勝ってくださいよっ!?」 


19:2014/03/19(水) 02:06:31.67 :/9gPCPtu0

幸子(ヘレンさんのプロデューサー、すごく熱心に応援してる) 

幸子(プロデューサーさんは……やっぱり、見てくれてない) 

幸子(少し、うらやましいな) 

幸子「……あっ!?」 

キャー! 幸子ちゃん、大丈夫!? 

怪我してないだろうな? 俺が守らなきゃ 

幸子「大丈夫ですよ。ボクはカワイイから!」 

ワァアアア! 

幸子(集中、しないと) 


20:2014/03/19(水) 02:07:20.09 :/9gPCPtu0

ヘレン「――ナイス、世界レベル」 

幸子「ありがとうございます」 

ヘレン「良いライブだったわ。あなたの迷いが、なければだけど」 

幸子「……そうですね。ボクはプロデューサーさんを見てたけど、プロデューサーさんは、そうじゃなかった」 

ヘレン「互いに向き合えば、私すら超えることができるわ。あなたなら、海の向こうへ」 

幸子「ふふっ、そうですね。ヘレンさんとライブができて、良かったです」 

ヘレン「次は負けないわ。私は世界を、背負っているのだから」 

幸子「今度は、ボクのカワイさも、世界レベルですよっ!」 


21:2014/03/19(水) 02:08:00.58 :/9gPCPtu0

P「俺の熱い応援を返せ!」 

ヘレン「やはり、世界レベルの戦いには、Pも熱くならざるを得なかったのね」 

P「担当アイドルのライブで、熱くならないわけないでしょ」 

ヘレン「そうでなくちゃ、私のプロデューサーは務まらないわ」 

P「本当、俺以外にはできそうにないですけど」 

ヘレン「そうね。あなたの瞳は、いつも世界を映している。私に相応しい、瞳よ」 

P「……ふんっ、ヘレンさんと付き合ってたら、自然とそうなりますよ!」 

ヘレン「次は勝つわ」 

P「当然です」 


22:2014/03/19(水) 02:08:29.13 :/9gPCPtu0

幸子「ほら、プロデューサーさん。こっちですよ!」 

「なんで俺が、買い物に付き合わなきゃ……」 

幸子「約束だったじゃないですか。ボクと一緒に買い物なんて、滅多にできませんよ?」 

「しかし、俺はこういうのに、慣れてなくて」 

幸子「これから慣れていけば、いいんですよ」 

「無茶苦茶だ!」 

幸子「お互いのためですから。プロデューサーさんは、もっとボクを知るべきですっ」 

「確かに、俺はお前をよく知らないが」 

幸子「ほら、カワイイボクを、もっと見てください。プロデューサーさん!」 


23:2014/03/19(水) 02:09:28.22 :/9gPCPtu0

P「輿水幸子……注目アイドルのランキングで、トップに食い込んだのか」 

P「あのライブから、まだ数ヶ月だっていうのに、なんていう才能だ」 

P「これは負けていられないな! ……ヘレンさん?」 

ヘレン「P、これを見なさい」 

P「な、なんですか、この怪しい雑誌……『週刊ワールドワイド』?」 

P「このアイドルがダンサンブル、第一位――ヘレン」 

ヘレン「世界の評価よ」 

P「バカ言ってないで、さっさとレッスンに行け、ちきしょー!」 





                           おしまい 






26:2014/03/19(水) 02:11:30.36 :/9gPCPtu0

ヘレンさんは、小柄でスタイルがよくて、垂れ目がちょっとセクシーな、世界レベルの人 

俺では世界レベルを書ききれなかった。指先がダンサンブルしなかった 

読んでくれてあざました。依頼だしてくる 


元スレ
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