1:2014/03/28(金) 23:02:53.31 :My0izQOO0

【ある日の夜、響宅】 

響「ただいまー」 

いぬ美「ばうっ!」 

響「おー、いい子にしてたかー?待っててね、すぐご飯の用意するから」 

響「さてと……いぬ美達のご飯は――」 

―――――――――――――――――――――――――――――― 

響「ふぅ……自分のご飯も作らなくちゃ」 

響「よし、こんな感じかな?」 

響「頂きます!」 

―――――――――――――――――――――――――――――― 

響「ごちそうさま。そろそろお風呂に入らないと……」 

響「はぁ……もうくたくただぞ……」 

―――――――――――――――――――――――――――――― 

響「あー、髪の毛って梳かすのめんどくさい……でも手入れしないと駄目だし……」 

響「もうこんな時間か……早く寝よ。ふぁあ……」 

響「おやすみなさい……」


2:2014/03/28(金) 23:03:25.91 :My0izQOO0

【翌日、事務所】 

千早「うーん……」 

ガチャッ 

響「はいさーい!」 

千早「あら、我那覇さん。おはよう」 

響「おはよ。千早っていつもこんな時間から居るのか?」 

千早「いえ、今度の仕事は遠出する必要があるから」 

響「そうなの?」 

千早「ええ。最悪、どこかに泊まるかもしれないわ」 

響「ホントに?じゃあ、体調には気をつけてね」 

千早「ふふ、ありがとう」


3:2014/03/28(金) 23:03:53.32 :My0izQOO0

響「そういえば」 

千早「何?」 

響「さっき、何か悩んでなかった?」 

千早「え?ええ、まあ……」 

響「自分でよければ話くらいは聞くぞ?」 

千早「そうね……じゃあ、少しだけ」 

響「うん」 

千早「実は、その……」 

響「うんうん」 

千早「……春香がヤバいのよ」 

響「うんうん――うん?」 

千早「だから、春香がヤバいのよ」 

響「……ごめん、ちょっと意味が分からないぞ」 

千早「と言われても、説明すると長くなってしまうし――あら?」 

響「どうしたの?」 

千早「そろそろ時間みたい。話を聞いてくれてありがとう」 

響「どういたしまして。それじゃ、行ってらっしゃい!」 

千早「ええ、行ってきます」


4:2014/03/28(金) 23:04:42.35 :My0izQOO0

【夜、事務所】 

響「ただいまー」 

小鳥「あら、響ちゃん。おかえりなさい」 

響「みんなは……流石に帰ってるよね」 

小鳥「いえ、春香ちゃんがまだ……」 

響「え?もう終電なくなっちゃうぞ?」 

小鳥「ええ……どうしようかしら」 

響「プロデューサーは?」 

小鳥「今日は千早ちゃんに付いてるのよ。ほら、かなり遠出してるから」 

響「あー……確かにそんな事を言ってたような……」


5:2014/03/28(金) 23:05:39.06 :My0izQOO0

ガチャッ 

春香「た、ただいま戻りました!」 

響「おお、春香!おかえり!」 

小鳥「おかえりなさい、春香ちゃん。終電は大丈夫?」 

春香「えっと……あー、無理ですね……」 

小鳥「どうする?春香ちゃんさえよければ泊めましょうか?」 

小鳥「あ、でも残業で遅くなっちゃうか……うーん……」 

響「そんなに遅くなるの?」 

小鳥「ええ。プロデューサーさんの分もあるから、早く帰るのは難しいわね」 

春香「あの、私は気にしませんよ?むしろ、泊めて貰えるだけでもありがたいと言いますか……」


6:2014/03/28(金) 23:06:09.41 :My0izQOO0

響「なあ、それって自分の家じゃ駄目か?」 

春香・小鳥「え?」 

響「もちろん、春香がよければだけど……」 

春香「……いいの?」 

響「いいよ。自分、今から帰るところだし」 

響「春香も疲れてるでしょ?早く休まないと明日が辛いぞ」 

小鳥「そうね……響ちゃん、お願いしてもいいかしら?」 

響「任せて!春香もいい?」 

春香「うん。ありがとね、響ちゃん」 

響「どういたしまして!」


7:2014/03/28(金) 23:06:41.23 :My0izQOO0

春香「それじゃ、お先に失礼しますね」 

小鳥「ええ。お疲れ様」 

響「ぴよ子も頑張ってね!」 

小鳥「ありがとう、響ちゃん。二人とも気をつけて帰るのよ」 

響「大丈夫だって!じゃあ、また明日!」 

春香「お疲れ様でした」 

バタン 

小鳥「さて……ぱぱっと片付けちゃいますか!」


8:2014/03/28(金) 23:07:12.45 :My0izQOO0

【その後、響宅】 

響「ただいま。それといらっしゃい、春香」 

春香「お邪魔します。ごめんね、急に」 

響「別に気にしなくていいぞ。仕事が長引いたんだから仕方ないって」 

春香「うぅ……そう言って貰えると助かるよ……」 

響「ちょっと待ってて。先にみんなのご飯を――」 

春香「あ、響ちゃん」 

響「ん?」 

春香「それ、よかったら私にやらせてくれない?」 

響「どうして?」 

春香「実は前から気になってたんだよね、ペット――じゃなくて、響ちゃんの家族のお世話って」 

響「あー、確かにワニとか珍しいもんな。いいよ、ご飯はこっちね」 

春香「やったぁ!ありがと響ちゃん!」


9:2014/03/28(金) 23:08:09.18 :My0izQOO0

響「はい。これがワニ子のご飯」 

春香「鶏肉なんだ」 

響「うん。他には魚とかかな」 

響「そうそう。気をつけて欲しいんだけど、口の中に手は入れないでね。噛まれるから」 

春香「噛まれるの!?」 

響「正確に言うと、口の中に触れたりしたら駄目かな。反射みたいなものだから」 

響「まあ、上からゆっくり食べさせる分には安全だぞ」 

春香「そうなんだ……それじゃ、そーっと――」 

ワニ子「パクッ」 

春香「あ、食べた!食べたよ響ちゃん!」 

響「あはは、見れば分かるって。春香は大袈裟だなー」 

春香「むぅ、響ちゃんの意地悪……でも、これって何だか楽しいね」 

響「自分も世話してる時が一番楽しいぞ。さ、他の子にもあげちゃって」 

春香「うんっ。よーし、頑張っちゃいますよー!」


10:2014/03/28(金) 23:09:17.81 :My0izQOO0

春香「できたよー!」 

響「もうできたの?」 

春香「まだ簡単なものしか作れないから……それとごめんね。冷蔵庫の中身、勝手に使っちゃって」 

春香「本当はどこかで買い物できればよかったんだけど……」 

響「いいって。それより早く食べようよ。自分、もうお腹ペコペコだぞ」 

春香「わわ、そうだった!」 

響「それじゃ、頂きます!」 

春香「はい、召し上がれ♪」


11:2014/03/28(金) 23:10:00.62 :My0izQOO0

響「――ごちそうさま!美味しかったぞ!」 

春香「よかった。じゃあ、私は片付けを――」 

響「ちょっと待った!それぐらい自分がやるぞ!」 

春香「いいよ。これも含めて料理だし」 

春香「洗い物はやっておくから、響ちゃんはお風呂入ってきなよ。疲れてるでしょ?」 

響「まあ、そうだけど……でも……」 

春香「いいからいいから」 

響「そ、そうか……?じゃあ、お言葉に甘えて――」


12:2014/03/28(金) 23:10:30.09 :My0izQOO0

チャプン…… 

響「はぁ~、生き返る……」 

響「今日も疲れたな……あ、肩凝ってる……」 

春香『響ちゃん、ちょっといい?』 

響「なに~?」 

春香『さっき、着替え持っていかなかったよね?そこにあるの?』 

響「いや、無いけど……」 

春香『よかったら私が持ってこようか?』 

響「んー……そうだな。お願い」 

春香『どこにあるの?』 

響「自分の部屋のたんすだぞ」 

春香『分かった。すぐ持ってくるからね』 

響「ありがと~……」


13:2014/03/28(金) 23:11:01.60 :My0izQOO0

響「上がったぞー。着替え持ってきてくれてありがとね」 

春香「どういたしまして」 

響「春香も入ってきなよ。自分の後で悪いけど……」 

春香「そんな、私は気にしないよ――あ、そうだ」 

響「どうしたの?」 

春香「ねぇ、響ちゃん。髪の毛、梳かしていい?」 

響「へ?」 

春香「そんなに長いと手入れも大変でしょ?」 

響「まあ、そうだけど……」 

春香「それに、響ちゃんの髪って一度触ってみたかったんだ。駄目?」 

響「う……いや、駄目じゃない……」 

春香「よかった。ブラシは?」 

響「そこの鏡台にあるの使って」 

春香「えっと……あった、これだね。では――」


14:2014/03/28(金) 23:11:48.04 :My0izQOO0

春香「……響ちゃんの髪ってさ」 

響「ん~?」 

春香「サラサラだよね」 

響「そう?別に普通じゃないか?」 

春香「いやいや、そんな事ないよ。羨ましいな~」 

響「春香だってサラサラだと思うけど」 

春香「私は……まあ、髪自体はそうかもしれないけど……」 

響「けど?」 

春香「これ、伸ばすと外側にはねるんだよね。だから、綺麗なストレートヘアには結構憧れてたりして……えへへ」 

響「あー、そういう事か」 

春香「そういう事です……はい、終わったよ」 

響「ありがと。ねぇ春香、そろそろお風呂に……」 

春香「そうだね。それじゃ、頂きます」 

響「うん。ゆっくりしてくるといいさー」


15:2014/03/28(金) 23:12:17.90 :My0izQOO0

春香「――上がったよ~。いやー、気持ちよかった」 

響「パジャマのサイズは大丈夫だった?」 

春香「うん。でもまあ……ちょっと小さいかも?」 

響「それは言わないで……」 

春香「ご、ごめんね?そんなつもりは――」 

響「あははっ、冗談だぞ。ところで春香」 

春香「ん?」 

響「今度は自分が梳こうか?さっきのお礼って事で」 

春香「あ、もうやっちゃった」 

響「えー、何でさ」 

春香「ショートだからねー。あんまり手入れに時間は掛からないし」 

響「む……じゃあ仕方ないな」 

春香「気持ちだけ受け取っておくよ。ありがと」 

響「えっと、どういたしまして……?」


16:2014/03/28(金) 23:12:53.36 :My0izQOO0

響「もう寝る?」 

春香「そうだね。明日も早いし」 

響「それじゃ、春香はベッドを使って。布団は代えてあるから安心していいぞ」 

春香「響ちゃんはどこで寝るの?」 

響「自分?自分は普通にソファで――」 

春香「えぇっ!?そんなの駄目だよ!大体、ここは響ちゃんの家なのに……」 

響「でも、布団を敷くスペースないし……まあ、自分は完璧だから大丈夫だぞ!」 

春香「それなら私がソファで寝るよ!」 

響「いやいやいや!お客さんにそんな事させられる訳ないでしょ!?」 

春香「響ちゃんにだってさせられないよ!」 

響「とはいえ、他に方法は――」


17:2014/03/28(金) 23:13:22.10 :My0izQOO0

春香「……一緒に寝るとかは?」 

響「はい?」 

春香「こうなったら、もう一緒に寝ちゃえばいいんじゃないかな。どう?」 

響「どうって……」 

春香「もちろん、響ちゃんが嫌じゃなければだけど……」 

響「うーん……」 

春香「……駄目?」 

響「分かった……じゃあ、その……そういう事で」 

春香「うん。よろしくお願いします」 

響「……それおかしくないか?」 

春香「そう?」 

響「まあいっか。早く寝ちゃおう」 

春香「じゃ、お邪魔しまーす……」


18:2014/03/28(金) 23:13:55.50 :My0izQOO0

響「ん……」 

響(春香と一緒か……) 

響(温かいな……人の体温って、こんなに気持ちいいんだ……) 

響(何だか……安心、して……) 

春香「……響ちゃん、起きてる?」 

響「すぅ……ん……」 

春香「寝ちゃった、か……」 

春香「……今日はありがとね、響ちゃん」 

響「んみゅ……どういたしまして……」 

春香「ふふ、寝言だ……」 

春香「……私も寝よう」 

春香「おやすみなさい……」


19:2014/03/28(金) 23:14:28.40 :My0izQOO0

【翌朝、響宅】 

響「ん……ふぁ……」 

響「朝か……なんかよく眠れた気がするな……」 

響「何でだっけ……?昨日は確か――」 

―――――――――――――――――――――――――――――― 

春香「響ちゃん、ご飯だよ」 

春香「私が後片付けしておくね」 

春香「あ、先にお風呂入ってきたら?」 

春香「そうだ、私が髪の手入れしてあげる」 

春香「響ちゃん、おやすみなさい……」 

―――――――――――――――――――――――――――――― 


響「ちょっと待って?もしかして自分……何もしてない……!?」 

響「だからこんなに疲れが取れて……そうだ!」 

響「せめて、今日の朝ご飯ぐらいは自分が――あれ?」 

響「朝ご飯、できてる……」 

響「あ、手紙……えっと、なになに……」 

―――――――――――――――――――――――――――――― 

響ちゃんへ 

私は早くに仕事があるので先に出ます。 
朝ご飯を用意しておいたので、よかったら食べてください。 
玄関のカギはポストに入れておきます。 
泊めてくれてありがとう。助かりました。 

                         春香より 

―――――――――――――――――――――――――――――― 

響「は――」 

響「春香がヤバい……」


20:2014/03/28(金) 23:15:21.44 :My0izQOO0

【翌日の昼、事務所】 

ガチャッ 

響「ただい――おわっ!?」 

美希「ひゃっ!?」 

響「ごめん、大丈夫?」 

美希「うん、大丈夫。ミキこそ飛び出してごめんね」 

響「それはいいけど……急いでるのか?」 

美希「あ、そうだったの!もうミキは行くから――っと、響!」 

響「何?」 

美希「気をつけてね!それじゃ!」 

たたっ! 

響(気をつけろ……?何にだろ……?) 

響(……まあいいか。早く事務所に入ろっと)


21:2014/03/28(金) 23:15:48.57 :My0izQOO0

響「ただいまー!」 

やよい「あ、響さん!おかえりなさい!」 

響「あれ?やよいだけ?」 

やよい「はい。皆さん忙しいみたいで……」 

響「確かに美希も忙しそうだったな……やよいは大丈夫なのか?」 

やよい「私、今日はオフなんですよ」 

響「なら、どうして事務所に……?」 

やよい「何か手伝える事があるかなーって。ご迷惑でしたか……?」 

響「いやいや、そんな事ないぞ!やよいはいい子だな!」 

やよい「そ、そうですか?えへへ、ありがとうございますっ!」


22:2014/03/28(金) 23:16:23.00 :My0izQOO0

響「にしても、喉渇いちゃったな。何か飲み物でも――」 

やよい「あ、それなら私が用意します。響さんは休んでてください」 

響「え?でも、やよいに悪いんじゃ……」 

やよい「いいんです。今日は皆さんのお手伝いに来てるんですから!」 

響「そっか……ありがとね、やよい」 

やよい「いえいえ!それじゃ、ソファで待っててください。すぐ持っていきますね」 

響「分かったぞ」 

やよい「それと、確かこの辺に――あった。はい、響さん」 

響「これは?」 

やよい「今月号のファッション誌です。待ってる間の暇潰しにと思って」 

響「おお、ありがと!これ、まだ読んでなかったんだよね」 

やよい「よかった。私は向こうに居ますから、何かあったら呼んでくださいね?」 

響「はーい」


23:2014/03/28(金) 23:17:52.28 :My0izQOO0

ペラ…… 

響(やよいはいい子だなぁ……自分、こんなにだらけてていいのかな……?) 

ペラ…… 

響(まあ、たまにはいっか……うん、今日ぐらいは――お) 

響「ふむふむ……こんな着こなしもあるんだな……」 

響「こっちはちょっと露出多めなんだ……美希なら似合うかな?」 

やよい「響さん、お茶です」 

コトッ 

響「お、ありがと」 

やよい「お菓子も持ってきたので、よかったらどうぞ」 

コトッ 

響「わ、お菓子まで……ホントにありがとね、やよい!」 

やよい「いえいえ。そうだ、響さんの予定はどうなってますか?」 

響「自分?確か……あと1時間ぐらいで出ないと駄目だな」 

やよい「なるほど、分かりました」 

響「それがどうかしたのか?」 

やよい「へ?いえ、別に大した事じゃないですよ」 

響「そう?とにかく、お菓子とお茶ありがと」 

やよい「えへへ、どういたしまして」


24:2014/03/28(金) 23:19:13.21 :My0izQOO0

【30分後、事務所】 

ペラ……パタン 

響「そろそろ準備しないと……って、肩凝っちゃったな」 

やよい「響さーん。そろそろ時間が――あれ?どうしました?」 

響「あ、やよい。ずっと本を読んでたら、ちょっと肩が……」 

やよい「はわっ!それは大変です!」 

響「いや、これぐらいなら別に――」 

やよい「無理しちゃ駄目ですよ。肩を揉みますから、少し座っててください」 

響「いやいや、いくら何でもそこまでして貰うのは――」 

やよい「え?これぐらい普通ですよ?」 

響「普通……?」 

やよい「はいっ!疲れた時は、誰かを頼っていいんです」 

やよい「それに、こう見えて肩揉みは得意ですから!任せてくれませんか?」 

響「やよいがそう言うなら……その、お願いします」 

やよい「はい、任されました!」 

響(そっか、これが普通なんだ……) 

やよい「んしょ……んしょ……どうですか?」 

響「うん、気持ちいい……」 

やよい「よかった。それじゃ、もう少し強くしますね?」 

響「はーい……」 

響(そういえば、春香も色々してくれたっけ……) 

響(こんなに楽なら……もう少しだけ甘えても――)


25:2014/03/28(金) 23:20:04.34 :My0izQOO0

【数日後、事務所】 

貴音「ただいま戻りました」 

響「ん~?あ、貴音ぇ。お帰り~」 

貴音「ええ……あの、響?」 

響「なぁに……?」 

貴音「いえ、いつもと様子が違うように思えたので……」 

響「そぉ……?自分、至って普通だぞ~」 

貴音「それならばいいのですが……」 

響「あ、そうだ。貴音ぇ、何か飲み物ちょうだい」 

貴音「飲み物ですか?」 

響「うん。あとお菓子もよろしく~……」 

貴音「え、ええ……分かりました」


26:2014/03/28(金) 23:20:34.27 :My0izQOO0

貴音(言われるまま給湯室に来ましたが……やはり、響の様子がおかしいような……) 

貴音(こんなに気だるげな雰囲気ではなかった筈です。そう、いつもなら――) 

―――――――――――――――――――――――――――――― 

響「あっ!貴音おかえり!」 

響「ねぇ何か飲む?喉渇いてるでしょ?」 

響「そうだ、確かこの辺にお菓子が……あった!貴音も食べるよね?」 

響「食べ終わったの?じゃあ、自分は洗い物してくるね!」 

―――――――――――――――――――――――――――――― 

貴音(と、元気に接してくれるのに……これは一体……?) 

響『貴音ぇ~、まだぁ~?』 

貴音「あ、申し訳ありません。すぐそちらに向かいます」 

響『はーい』 

貴音「もしや疲れているのでしょうか……?ならば、今日ぐらいは……」


28:2014/03/28(金) 23:22:12.05 :My0izQOO0

貴音「お待たせしました」 

コトッ 

響「ありがと。それじゃ、頂きます」 

貴音「では、わたくしも一つ……はむ」 

響「お、これ美味しいな」 

貴音「ええ、真に」 

響「はぁ、幸せ……そうそう、確かこの辺に雑誌が――あった」 

響「…………」 

ペラ…… 

貴音「…………」 

響「…………」 

ペラ…… 

貴音(会話がない……いつもの響なら、こんな事は――いえ) 

貴音(先程『疲れているのかもしれない』と思ったばかりではありませんか。ここは堪えましょう)


29:2014/03/28(金) 23:22:46.06 :My0izQOO0

響「――終わりっと」 

バサッ 

響「はぁ……」 

響(あー……なんか眠くなってきたぞ……) 

貴音「……あむ」 

響(そういえば、貴音が居たっけ……よし) 

響「貴音ぇ」 

貴音「ふぁい?」 

響「ちょっとごめんね――よいしょっ」 

ぽすっ 

貴音「あの……響?これは一体……」 

響「これ?貴音の膝を借りようと思って」 

貴音「えっと……」 

響「んー、柔らかくて気持ちいいぞ……」 

貴音「そ、そうですか?」 

響「うん。ちょっと寝かせてね」 

貴音「……まあ、少しなら」 

響「ん、ありがと」


30:2014/03/28(金) 23:23:31.99 :My0izQOO0

響「ふあぁ……」 

貴音「……今日の響は」 

響「ん?」 

貴音「どこか変に思えます」 

響「そぉ?」 

貴音「はい。ここまで甘えてくるのは珍しいかと……」 

響「えー、別に甘えてないって。これぐらい普通だぞ」 

貴音「普通、ですか……」 

響「それとも、自分がこうしちゃ……駄目?」 

貴音「……仕方ありませんね。今日だけ、ですよ?」 

響「ありがと……すぅ……」 

貴音「寝てしまいましたか……」 

貴音「…………」 

貴音(思えば……これはいつもと立場が違うだけなのかもしれません) 

貴音(響がおかしいのではなく、わたくしの認識がずれていただけ……) 

貴音(そうだとしたら、わたくしは――)


31:2014/03/28(金) 23:24:01.48 :My0izQOO0

【数日後、事務所】 

P「千早、着いたぞ」 

千早「やっとですね」 

P「すまないな。遠出させてしまって」 

千早「いえ、これも仕事ですから」 

P「そう言って貰えると助かる。あ、千早は先に降りていいぞ」 

千早「分かりました」 

P「じゃあ、また後で」 

千早「はい。お先に失礼します」


32:2014/03/28(金) 23:24:34.80 :My0izQOO0

千早「さてと、事務所に入りましょうか……あら?」 

響「あ、千早。帰ってきてたの?」 

千早「ええ、ついさっきね」 

響「そっか。仕事はどうだった――って、そんな場合じゃないぞ!」 

千早「どうしたの?」 

響「どうしたもこうしたも……春香がヤバいんだよー!」 

千早「それなら注意したじゃない。『春香がヤバい』って」 

響「そうじゃなくて――ああもう!見て貰った方が早いぞ!こっち来て!」 

ぐいっ! 

千早「きゃっ!?あの、我那覇さん!?」 

響「いいから!」 

千早「もう、一体何なのよ……」


33:2014/03/28(金) 23:25:04.29 :My0izQOO0

響「……いい?入るぞ?」 

千早「ええ」 

響「それじゃ――」 

ガチャッ 

千早「これは……」 

―――――――――――――――――――――――――――――― 

貴音『春香。はい、あーん』 

春香『え?いやいや、自分で食べられますって』 

貴音『遠慮しなくともいいのですよ。普通の事なのですから』 

春香『そ、そうですか……?じゃあ――はむっ』 

貴音『いかがですか?』 

春香『美味しいです。あ、喉が渇い――』 

貴音『お茶です』 

コトッ 

春香『わぁ、ありがとうございます!』 

貴音『ふふ、どういたしまして。おや、口に汚れが……動かないでくださいね』 

春香『あ、はい』 

ふきふき 

貴音『これでよし、と。はい、綺麗になりましたよ』 

春香『えへへ……』 

―――――――――――――――――――――――――――――― 

千早「は――」 

千早「春香がヤバいわ……」


34:2014/03/28(金) 23:25:43.62 :My0izQOO0

――END―― 


35:2014/03/28(金) 23:27:15.30 :My0izQOO0

以上で完結となります。お楽しみ頂けましたら幸いです 

書いてる途中で何かに似てるなーと思っていましたが 
完全に働きアリの法則のアレですね


元スレ
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1396015373