1:2014/03/14(金) 20:14:21.56 :MxzpFKoT0

美希「あふぅ。皆おはようなのー」ガチャ 

春香「おはよう。随分ギリギリだったね」 

律子「あ、美希来たの? 良かった、これで全員揃ったわね」 

真「久々に皆揃ってテレビかぁ」 

雪歩「ライブとかでは一緒だけど、こういう仕事では珍しいね」 

響「最近は皆売れてきてるから仕方ないさー」 

亜美「おかげで休むヒマもないのはどーかと思うなー」 

伊織「特に律子は……ま、何言っても今は聞かないんでしょうね」


2:2014/03/14(金) 20:16:09.12 :MxzpFKoT0

真美「でもさ、皆一緒なのはやっぱ嬉しいよね」 

やよい「何だかいつもより張り切っちゃいます!」 

律子「プロデューサー、何してるんです? 皆揃ったみたいなので早く行きましょう」 

P「悪い。仕事っていうのウソなんだ……だから慌てなくていい」 

千早「はい?」 

貴音「貴方様、嘘とは……どういう事でしょう?」 

P「その仕事は架空のものだから実際には何も無いって意味」 

あずさ「という事は、今日は?」 

P「何にも予定はないな。だから全員休みだ」


3:2014/03/14(金) 20:19:07.23 :MxzpFKoT0

伊織「あ、あああアンタねぇ! 何しれっと言ってるのよ!」 

律子「どういう事ですか! 説明してください!」 

小鳥「あのー、私も全く初耳なんですけど」 

P「すまない。皆には本当に申し訳ないと思ってる。ただ、これは社長も同意してくれた話なんだ」 

春香「社長も? えぇと、話がよく分からないんですけど」 

P「さっき、亜美が言ってたろ。最近休む暇がないって」 

亜美「言ったね」 

P「それでもアイドルたちは俺や律子が調整してるが……その律子はどうなんだ?」 

律子「私は大丈夫です」 

P「それこそウソだろ。ついでに俺や小鳥さんも同じだ。このままじゃいつか倒れる」


4:2014/03/14(金) 20:21:00.12 :MxzpFKoT0

P「今が忙しい時期だって事は承知してるが、だからこそ休みが必要なんだよ」 

小鳥「つまり、プロデューサーさんは無理やり休みを作るために、社長と一計を案じたと?」 

P「そうです。律子は普通に休めって言って聞くタマじゃないからな」 

律子「だからといって、こんなやり方は……」 

P「それについては、さっきも言ったが申し訳ないと思ってる。結果的に、他の皆を巻き込むやり方だったからな」 

P「……だから、というわけじゃないんだがこんなものを用意してみた」サッ 

響「こんなものって……こ、これは!?」 

貴音「なんと、山のようなお菓子が……これは夢か幻でしょうか」 

P「今日はホワイトデーだろ。ホントは個別にお返ししようと思ったんだが、一個一個作りすぎてさ」 

千早「これは、作りすぎというレベルではないと思うんですが」 

真美「パッと見ただけでも30人分はあるじゃん。多過ぎってレベルじゃないYO!」


5:2014/03/14(金) 20:23:19.92 :MxzpFKoT0

P「ちょっとしたパーティみたいだろ。当然カロリー控えめに作ってあるから、皆食べてくれないか」 

真「まとめると、結局プロデューサーはパーティがしたかったって事ですか?」 

雪歩「そうなんですか?」 

P「ま、ぶっちゃけな」 

律子「……はぁ」 

P「そう考え込むなよ。俺はパーティしたかった。ついでに律子を休ませられれば一石二鳥だった。そんだけなんだから」 

律子「もう、こうなったら諦めますけど……今度からはちゃんと事前に言ってくださいよ」 

P「あぁ。約束する」 

貴音「では?」 

春香「せっかくなので、頂いちゃいましょう!」 

アイドル一同「おぉー!」


6:2014/03/14(金) 20:25:04.29 :MxzpFKoT0

小鳥「……あのー、私は?」 

P「もちろん、小鳥さんも。今日は楽しんでください」 

小鳥「では、ありがたく頂きますね!」 

真「とはいえ、この量は……」 

雪歩「どこに何があるのか見回すだけで大変ですぅ」 

千早「……この丸いのはチョコですか?」 

あずさ「小さくて食べやすそうね~」 

亜美「んん? それ、亜美たちがバレンタインで上げたのに似てるね」 

真美「っていうか、ほぼ一緒じゃん」 

P「あぁ、確かにそれは元々亜美たちへのお返しに作ってたやつだ」


7:2014/03/14(金) 20:27:08.54 :MxzpFKoT0

美希「このチョコだけで100個は超えてるの」 

律子「いくら一口サイズとはいえ……本当に作りすぎですよ」 

P「だから皆で食べて欲しいんだよ」 

春香「それじゃ、頂きますね」 

千早「では私も」 

貴音「私も頂きま……はて、亜美や真美は食べないのですか?」 

響「亜美も真美も、せっかくなんだし二人が一番に食べていいと思うぞ」 

亜美「……いやぁ~、先月のにーちゃんの事を思うとさー」 

真美「ちょっとエンリョしちゃうよね」 

伊織「……あんたたち、何したのよ」


8:2014/03/14(金) 20:29:41.81 :MxzpFKoT0

やよい「プロデューサー、何があったんですか?」 

P「なぁに、ちょっと丸ごと入ってた唐辛子が目に沁みただけだよ」 

美希「二人ともハニーに何してるの!?」 

亜美「ちょっとしたジョークだよー」 

真美「っていうか、一つだけで他はフツーだったし!」 

真「ちょっと待って。じゃ、これって……」 

律子「まさか。仮にも私たちにも食べてもらおうってモノにそんな……ですよね、プロデューサー?」 

P「はっはっは」 

雪歩「な、何で笑ってるんですかぁ!?」


9:2014/03/14(金) 20:32:55.32 :MxzpFKoT0

美希「こうなったら、春香! リアクション女王の出番なの!」 

春香「それ、いつから呼ばれてたの!? ……まぁ、いいけど。頂きまーす」パクッ 

あずさ「……春香ちゃん、どう?」 

春香「……ん? んん? 甘いけど……これって羊羹?」 

P「あぁ、それもあるな」 

春香「表面がコーティングしてあって分からなかったけど……これはこれで美味しいです」 

貴音「では私も……ふむ、これは餡子ですね」モグモグ 

千早「……これはココア味みたい。……もしかして」モグ 

P「おう。全部違う味になってるぞ」 

真「へぇー面白いですね……あ、これ抹茶だ」


10:2014/03/14(金) 20:34:18.58 :MxzpFKoT0

P「最初は全部茶色のもので統一しようと思ったんだが、途中でネタ切れしてな。表面だけ同じにした」 

小鳥「何が出るかお楽しみってやつですね……これは、バナナですね」 

伊織「オレンジ味も中々ね……ん? やよい、食べないの」 

やよい「そうじゃないけど、持ち帰りとかできないかなーって」 

P「やよい、そこら辺は気にしなくていいぞ。高槻家には別個で送ってある」 

やよい「えっ」 

P「やよいだけから貰ったわけじゃないからな。呼び方の都合でやよいしか呼べなかったが、ちゃんとお返しはしてあるよ」 

やよい「そうなんですか。プロデューサー、ありがとうございます」 

P「お礼を言われる事じゃないさ。さ、やよいも遠慮せずに食べてくれ」 

やよい「はいっ!」


11:2014/03/14(金) 20:35:55.83 :MxzpFKoT0

雪歩「他にはなにが……あ、可愛い。こっちの方にあるのは和菓子ですか?」 

貴音「確かに。これは、雪うさぎの形をしていますね」 

P「おっ、気付いたか。その辺は和菓子シリーズだ。雪歩のお茶に合うものをって考えて作ってみた」 

伊織「……今更だけど、これ全部手作りなのよね」 

P「ん? ああ、全部俺が作ったけど」 

春香「……プロデューサー、私よりお菓子作り上手じゃないかな」 

千早「そんな事はないわ。春香のお菓子も凄く美味しいもの」 

P「千早の言うとおりだ。大体、俺は毎日のように作る事なんてできないからな。今日が特別だよ」 

律子「一体いつこれだけ作る時間があったのか気になるんですが」 

P「気にするなよ。それより、和菓子も結構自信作なんだ」


12:2014/03/14(金) 20:38:38.66 :MxzpFKoT0

真「ここは雪歩が最初に食べるべきじゃないかな」 

雪歩「そ、それじゃこの雪うさぎのを頂きますぅ」ハムッ 

雪歩「……あ、これ上品な甘さですね。優しい味ですぅ」 

春香「私は桜の形をしたものを……なんたって、春香ですからね。春香」 

亜美「はるるん、それあんまり上手くないよー」 

真美「どっちかっていうと冬が来たって感じ」 

春香「ひ、ひどい……でも美味しい~♪」 

千早「見た目が綺麗だから、ちょっと食べるのに気が引けますけど」 

P「まぁ、和菓子だからな。見た目も拘らないと。でも、せっかくだから食べてくれよ」 

千早「はい……ん、いいですね」


13:2014/03/14(金) 20:41:19.62 :MxzpFKoT0

あずさ「伊織ちゃんもどうかしら……伊織ちゃん?」 

伊織「…………」 

響「どうしたんだ?」 

貴音「はて。視線の先にあるもの……真っ黒ですね」 

やよい「このケーキ、焦げてるんですか?」 

亜美「ちょっ、にーちゃんこっそり失敗作で水増ししたね!」 

真美「でも、なんでいおりんはそれをじーっと見てんの?」 

P「あぁ、それは伊織へのお返しで作ったやつだよ」 

あずさ「えっ」


14:2014/03/14(金) 20:43:55.86 :MxzpFKoT0

伊織「……やっぱりね」 

律子「ちょ、ちょっと! どういうつもりなんです!?」 

伊織「私がアンタに焦げたチョコ渡したから……それのあてつけでしょ」 

響「プロデューサー、これは幾らなんでも酷いと思うぞ」 

美希「ハニー……理由があるんだよね? そうだよね?」 

貴音「貴方様……どういう意図でこのような事を?」 

P「……なぁ、伊織。何も言わずにそれ、食べてみてくれないか」 

伊織「ふん。……いいわよ、別に」パクッ 

春香「あっ、ダ、ダメだよ。プロデューサーさんも、何で止めないんです!?」 

P「……」


15:2014/03/14(金) 20:47:16.44 :MxzpFKoT0

伊織「……美味しい」 

小鳥「えっ?」 

伊織「これ、トゥルトー・フロマージュね」 

真「と、トゥル……?」 

律子「確か、フランスのチーズケーキだったような」 

P「そう。表面をわざと焦がすお菓子だ。焦げ自体はそこまで美味くないと思うが、ケーキとしては美味いだろう?」 

伊織「私のとは違ってね」 

P「それは違う。伊織から貰ったチョコ、凄く美味しかった」 

伊織「そんなわけないでしょ。私だって、市販品にした方が良かったって後悔してるんだからっ!」 

P「それでも、嬉しかったんだよ。伊織の気持ちも、手作りのチョコも」


16:2014/03/14(金) 20:48:48.20 :MxzpFKoT0

P「だから伊織にも同じ気持ちを伝えたかった。伊織のチョコがどんだけ美味かったかって事を、このケーキで」 

P「伊織、さっき美味いって言ってくれたよな? それはお世辞か?」 

伊織「そんなわけっ……ないでしょ」 

P「俺も一緒だ」 

伊織「……」 

やよい「……伊織ちゃん、プロデューサーはウソなんてつかないよ。伊織ちゃんも分かってるでしょ?」 

伊織「……うん」 

亜美(今日皆を集めるのに、思いっきりウソついてたけど) 

真美(さすがにここでツッコむほど真美たちは空気読まなくないYO)


17:2014/03/14(金) 20:50:46.47 :MxzpFKoT0

春香「えーっと、これは雨降って地固まるってやつかな?」 

千早「それでいいんじゃないかしら」 

伊織「全く……ずっと気にしてたのがバカみたい。やよいもどう? これ、美味しいわよ」 

やよい「うん! それじゃ、あーん」 

伊織「えっ……はい、あーん」 

やよい「えへへっ、ほんとにおいしいね」 

あずさ「良かったわ~」 

亜美「それにしても……」モグモグ 

真美「けっこー食べてるのに全然減らないね」ムシャムシャ 

響「一体どれだけあるんだろうな」パクパク 

美希「……ねぇ、ハニー。このケーキ、なんでこんな形なの?」


18:2014/03/14(金) 20:53:11.81 :MxzpFKoT0

春香「何か気になるケーキでも……うん、実に妙な形だね」 

千早「妙って……ケーキに妙も何も……プロデューサー、何ですかこれ」 

P「何って、Pケーキ」 

小鳥「パンケーキですか?」 

P「いえ。ですからPケーキです。ほら、Pの形してるでしょ」 

真「うん、だから凄く奇妙なんだよね」 

雪歩「なんでこんな形にしたんですか?」 

P「プロデューサーである俺が作ったからな、頭文字を取ってPにした」 

律子「それだけの理由ですか? こんな形……作るの大変だったでしょうに」 

響「気になるんだけど、これは元々誰へのお返しだったんだ?」 


19:2014/03/14(金) 20:55:49.00 :MxzpFKoT0

小鳥「……はっ」 

P「小鳥さんだよ」 

亜美「ピヨちゃんに?」 

真美「ピヨちゃん、どんなチョコ上げたの?」 

小鳥「え、えっと~、な、なんだったかしら~」 

あずさ「?? 覚えてないんですか?」 

貴音「私には動揺しているように見えますが」 

P「忘れたんですか? ヒヨコ型のチョコですよ」 

やよい「何だか可愛い感じですね」 

伊織「ふぅん、ヒヨコね……ヒヨコ?」


20:2014/03/14(金) 20:58:00.54 :MxzpFKoT0

P「小鳥さんの名前をとって、ヒヨコだったんですよね。その洒落っ気に返そうと思ったらこうなったんですよ」 

小鳥「へ、へぇ~、先月の私ったらそんなものを……」 

律子「……まさかとは思いますけど、私を食べて、なんてメッセージがあったり……」 

小鳥「ギクッ!?」 

春香「ギクって言ったよ。ギクって」 

千早「……そこまで動揺しなければ、ただの洒落で済んだでしょうに」 

あずさ「でも、プロデューサーさんには届かなかったのね~」 

亜美「にーちゃんだもん」 

真美「ちかたないよ」 

小鳥「ピヨォォ」


21:2014/03/14(金) 21:00:24.13 :MxzpFKoT0

P「製作で苦労したのはやっぱこの棒の部分で…………ん? お前ら、何を話してるんだ?」 

美希「別に何でもないの」 

P「そうか? ま、作り方の話なんてつまんないか」 

真「あはは……それにしても、平和だなぁ」 

雪歩「そうだね……あれ、でも何か忘れてるような」 

美希「?? 別に何も忘れてないよ?」 

律子「……たまにはこういうのもいいのかもね」


22:2014/03/14(金) 21:02:08.10 :MxzpFKoT0

黒井「で、お前は事務所にいなくていいのか」 

高木「私の役目は材料費を半分負担したところで終わったよ」 

黒井「それでいいのか」 

高木「私はどちらかといえばお邪魔虫だろうしねぇ」 

黒井「ふん。それがお前の優しさ……やり方だとでも?」 

高木「ウィ」 

黒井「人の口癖を取るなっ」 


終わり


24:2014/03/14(金) 21:19:52.01 :MxzpFKoT0

読んでくれた方、ありがとうございます。 

たまにはシリアスっぽいの混ぜてみるか……と欲を出したら中途半端な結果に。 
素直にコメディってれば良かった。

 
元スレ
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