1:◆Z6F.wcm4u6:2013/12/19(木) 00:38:16.62 :B8eiPOLlo

P「寒い夜だと格別にうまいよな」 

春香「ですよねー、あ、これ終わったら一緒に食べにいきませんか?」 

P「いいな、ちょっと目をつけてたうどん屋があるんだ」 

春香「あ、絶対にそのうどん屋に連れていってくださいね」 

P「いいぞ、一人で食べるより二人のほうがうまいからな」 

春香「はい!おいしいです!」 

P「春香と一緒だと特にうまそうだな」


2:◆Z6F.wcm4u6 :2013/12/19(木) 00:39:02.04 :B8eiPOLlo

春香「えへへ、Pさんに褒められちゃった」 

P「うどんか、うん、冬の食べ物だ」 

春香「そうですね、もう冬、すぐに今年も終わっちゃいますね」 

P「早かったな」 

春香「ですね、春に春香に出会って、夏に春香と海へ行き」 

春香「秋に春香と紅葉を見に行き、冬に春香とおうどんを食べる」 

P「そういわれると春香中心の一年だったみたいだな、ハハハハ」 

春香「来年もよろしくお願いしますね、Pさん!」


3:◆Z6F.wcm4u6 :2013/12/19(木) 00:39:56.58 :B8eiPOLlo

P「こちらこそよろしくな春香」 

春香「ポっ」 

P「どうしたいきなり赤くなって」 

春香「なんだか夫婦みたいなやり取りだなと思って」 

P「そうだな、春香と話してると、そんな感じがしてくる」 

春香「わたしもPさんとお話してると、何年も一緒のような…」 

P「ともかく、この先もよろしくな、春香」 

春香「はい!」


4:◆Z6F.wcm4u6 :2013/12/19(木) 00:40:36.03 :B8eiPOLlo

P「春香…」 

春香「Pさん…」 

貴音「こほん」 

P「貴音じゃないか、いつからそこに!」 

貴音「先ほどからずっといましたよ、あなた様」 

P「そうだったな、それはすまなかった」 

春香「貴音さん、いるならいるっていってくださいよ」 

貴音「春香、いるのが、わかっていたのではないのですか?」


5:◆Z6F.wcm4u6 :2013/12/19(木) 00:41:01.55 :B8eiPOLlo

春香「いきなりしゃべられると、ビックリするんです」 

P「春香、まーまー、貴音どうしたんだ涙目になって」 

貴音「あなた様はいけずです」 

P「なにがだ?」 

貴音「あなた様が、そんなにうどんが好きだったなんて」 

P「うどんがおいしいなって話なんだが」 

春香「そうだ、貴音さんは、おうどんどうなんですか?」 

貴音「うどん、すなわちラーメンのライバル、そんなもの嫌いです」 


6:◆Z6F.wcm4u6 :2013/12/19(木) 00:41:47.14 :B8eiPOLlo

春香「どういうこと?」 

P「ほら両方の麺は小麦粉と塩で出来てるからだろ」 

春香「ああ、なるほど」 

貴音「あなた様、うどんをチュルチュルなどせずとも…ラーメン…」 

P「冬に食べるラーメンもうまいよな」 

春香「?っ、いいえ、冬にはおうどんですよPさんおうどん!」 

貴音「ラーメンのスープに浮かぶ月がきれいですね」 

P「貴音、いくらなんでもそれはどうかと思うぞ」 


7:◆Z6F.wcm4u6 :2013/12/19(木) 00:43:15.36 :B8eiPOLlo

貴音「しかし、あなた様!わたくしはあなた様に浮気をしてもらいたくないのです」 

P「浮気ってなんのことだよ、うどんとラーメンだろ」 

春香「…さっき、Pさんはおうどんがおいしいっていってましたよ」 

貴音「はて、昼食をご一緒にしたときに、ラーメンなら毎日いけるっていってましたが」 

春香「あたたかいうどん湯に入りたいといってたかも」 

貴音「ラーメンのためならダシになる覚悟があるともいっておりました」 

春香「うどんのためなら世界中の小麦畑を歩いて回りたいって、いってました」 

貴音「豚骨のためなら養豚業に転職してもいいと」 


8:◆Z6F.wcm4u6 :2013/12/19(木) 00:44:31.07 :B8eiPOLlo

春香「うどんのような柔肌、出汁のような薄茶色が憧れだって」 

貴音「博多ラーメンのような細く色白で、心は豚骨色が素敵だと」 

春香「…うどんには生卵だと断言してました」 

貴音「…ラーメンには煮卵が最高だとおっしゃっていました」 

P「どっちでもいいよね?」 

春香「よくないです、うどんかラーメンか選んでください」 

貴音「お分かりですよね?ラーメンとうどん、どちらが美しいのか」 

P「もう両方付き合ってやるから、それでよくねえ?」 


9:◆Z6F.wcm4u6 :2013/12/19(木) 00:45:45.69 :B8eiPOLlo

春香「りょ、両方って!二股ですか!?」 

貴音「あなた様…わたくしはどうしたらよいのでしょう」 

P「だったら、間を取って、そば食いにいこう」 

春香「第三の…」 

貴音「あらわれた…これがあなた様の本心なのですか?」 

P「おまえらが、なにを話しているのか、さっぱりわからないんだが」 

春香「Pさん、うどん、ラーメンとそばは異なる食べ物ですよ」 

P「同じ麺だろ」


10:◆Z6F.wcm4u6 :2013/12/19(木) 00:46:24.67 :B8eiPOLlo

貴音「そばにはそば粉が入っておりますゆえ」 

春香「さすがにそれはないですよねーそ、ば、粉」 

貴音「ええ、春香のいうとおりでございます、あなた様はそばなどに…」 

春香「Pさん、そば粉なんていらんのですよ、偉い人にはそれが分からないんです」 

貴音「そうです、月でもそば粉は悪魔の粉として嫌われております」 

P「おまえらな…そばをバカにするなよ!」 

春香「Pさんどうしたんですか?」 

貴音「あなた様…?」 


18:◆Z6F.wcm4u6:2013/12/19(木) 09:51:44.89 :B8eiPOLlo

P「いいだろ、これから、二人に本当のそばを食べさせる」 

春香「Pさんがキレた…」 

貴音「今のあなた様、とても殿方らしゅうでございますよ」 

春香「…うどんより、おそばのほうがおいしいよね、貴音さん?」 

貴音「春香、最初からわたくし、そう申し上げているではありませんか」 

春香「そうでしたね、日本人ですもん、年越しにはそばですよね」 

貴音「ええ、それ以外になにがあるというのですか、春香?」 

春香「あたたかいおそばの上にえび天のせて、…幸せですよね」


19:◆Z6F.wcm4u6:2013/12/19(木) 09:52:17.57 :B8eiPOLlo

貴音「さすが春香ですね、至高の食べ方をしっていますね」 

春香「貴音さん、至高じゃなくて究極ですよ」 

貴音「そうでしたね」 

春香「はい♪」 

P「は?二人ともなにいってんだ?」 

春香「どうしました?」 

貴音「あなた様?」 

P「あたたかいそば?えび天を乗せる?ハッ!なにいってんだい、こんちくしょ!」


20:◆Z6F.wcm4u6:2013/12/19(木) 09:53:00.61 :B8eiPOLlo

春香「まさか、Pさんは…」 

貴音「ざるそば派なのですか…」 

春香「…そうですよね、あたたかいそばなんて、そばの風味が飛んでダメですよね」 

貴音「…ええ、わたくしも昔からラーメンより、ざるそばだと思っておりました」 

春香「うちも毎年、年越しそばはざるそばなんですよ」 

貴音「それは奇遇ですね、わたくしの家でも先祖代々ざるそばでした」 

春香「ざるそばで年を越してこそ日本人ですよね」 

貴音「ええ、ラーメンなんかで年越しするのは日本人にあらずです」


21:◆Z6F.wcm4u6:2013/12/19(木) 09:53:33.51 :B8eiPOLlo

P「そうだろ、そうだろ、ざるそばこそがそば日本の食文化なのだ」 

春香「さすがPさん!わたしと食の好みが一緒ですね、運命を感じます」 

貴音「わたくし、これからはそば道を邁進しますゆえご指導のほどを」 

P「いいだろ、いいだろ!二人まとめて、そばを教える」 

春香「楽しみです!」 

貴音「あなた様がわたくしのために、感激です」 

春香「貴音さん、違うよ、わたしのためですよ」 

貴音「春香は耳が遠いのですか?わたくしのためっといいましたよ」 


22:◆Z6F.wcm4u6:2013/12/19(木) 09:55:04.41 :B8eiPOLlo

P「…二人にはまず、そばとはなにか、そこから知ってもらうことにする」 

春香「そばはそばですよ」 

貴音「春香、ラーメンが奥深いようにそばもまた奥深いものなのですよ」 

春香「また、それですか、そのいいかた便利ですよね」 

貴音「ざるそばですよプロデューサーさんざるそば!と一緒ですよ」 

春香「今のいいかた、ちょっとグサって来ましたよ」 

貴音「それは、痛いでしょう、少しむこうでお休みになられたらどうですか?」 

春香「貴音さんのいじわる」


23:◆Z6F.wcm4u6:2013/12/19(木) 09:57:01.74 :B8eiPOLlo

P「そうだな、まずは駅前にある立ち食いそばから始めるか」 

貴音「そばなら下のたるき亭にあるのでは?」 

P「たるき亭のだるんだるんに伸びたそばに、なにを学ぶんだ?」 

貴音「それは…」 

P「いいか貴音、そばにはいいそばと、悪いそばの二種類があるんだ」 

貴音「と、いうと、たるき亭のそばは悪いそばだと?」 

P「違う、全然違う!どっち付かずのそばだ、そんなもの食べるに値しない」 

貴音「さすが、あなた様です、凡庸なそばを食さない、ごもっともです」


24:◆Z6F.wcm4u6:2013/12/19(木) 09:57:56.35 :B8eiPOLlo

P「精進したまえ」 

春香「Pさん、わたしにもそばの教えを…」 

P「つゆを甘くみるな、甘くすればそばが台無しになる」 

春香「なんだか、奥深そうなこといってますけど、ただの好みのような」 

P「春香の作るクッキーは甘くていい、それはうまいからだ」 

春香「ありがとうございます」 

P「しかし、そばつゆは甘すぎてはダメなのだ」 

春香「甘すぎてはいけない…」


25:◆Z6F.wcm4u6:2013/12/19(木) 09:59:14.47 :B8eiPOLlo

P「かといって、あまりにも甘くないのもダメなんだ」 

春香「どうすればいいんですか?」 

P「なにごともほどほどにしろという、先人の教えだ」 

春香「そば道、すなわち人の生きる道、人生そのものなんですね」 

P「そう!そばのように細く長く、つゆのように世の中の甘さ辛さを知れということだ」 

春香「すごい!おそばにそんな意味があったなんて、感激です!」 

P「だろ?だろ?これから駅前の立ち食いそば屋で、初歩の初歩を教えるぞ」 

春香「あの…Pさん」


26:◆Z6F.wcm4u6:2013/12/19(木) 10:00:10.92 :B8eiPOLlo

P「なんだ、春香?」 

春香「さすがに今からは、ちょっと無理ですよ」 

貴音「そうですね、今からだと無理があるかと…」 

P「?」 

春香「忘れちゃったんですか?みんなで大掃除中ですよ」 

貴音「そのあと、みんなで鍋パーティです」 

春香「鍋の〆でうどんの話になって、うどん屋に連れて行ってくれる話ですよ」 

P「そういえば、そうだったな」


27:◆Z6F.wcm4u6:2013/12/19(木) 10:01:12.48 :B8eiPOLlo

貴音「すみません、わたくしがつい余計な口を挟んだばかりに…」 

春香「わ、わ、貴音さんは悪くないですよ、謝らないでください」 

貴音「春香…」 

P「〆にうどんか、そばじゃダメかな?」 

春香「鍋にそばは合わないと思いますよ」 

貴音「あなた様がどうしてもとおっしゃるなら、わたくしは…」 

春香「貴音さんはそうやってすぐに純情ぶるんですよね!」 

貴音「わたくしは純情ぶってはおりません、本心をいったまでです」


28:◆Z6F.wcm4u6:2013/12/19(木) 10:02:16.43 :B8eiPOLlo

春香「どうだか」 

貴音「春香は、すごくあざといことをいったり、したりしてますよ、Pの前で」 

春香「なっ!そんなことないです、えーん、Pさん!貴音さんが…!」 

貴音「それをあざといというのですよ」 

P「おいおい、喧嘩はそのあたりでやめなさい」 

春香「はーい」 

貴音「あなた様のご命令ならば」 

ジッーガヤガヤ 

P「で、なんでみんなこっちをにらんでるんだ?」 

春香「さーなんでですかね」 

貴音「それは、わたくしたちが大掃除をしていないからです」


29:◆Z6F.wcm4u6:2013/12/19(木) 10:02:43.83 :B8eiPOLlo

おわり


元スレ
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