■アイマスジョジョ
春香「あれ、なんですかこの『弓と矢』?」①
春香「あれ、なんですかこの『弓と矢』?」②
伊織「スタンド使いを生み出す『弓と矢』…」①
伊織「スタンド使いを生み出す『弓と矢』…」②
真「『弓と矢』を…ブッ壊すッ!」①
真「『弓と矢』を…ブッ壊すッ!」②
元スレ
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1360068979
春香「あれ、なんですかこの『弓と矢』?」①
春香「あれ、なんですかこの『弓と矢』?」②
伊織「スタンド使いを生み出す『弓と矢』…」①
伊織「スタンド使いを生み出す『弓と矢』…」②
真「『弓と矢』を…ブッ壊すッ!」①
真「『弓と矢』を…ブッ壊すッ!」②
469:『START!!』その①:2013/06/09(日) 22:04:28.30 :z7cWS5C/o
トゥー…タッタッ
『あぁぅ!』タン♪
『知っらぬが~♪ 仏ほ~っとけな~い♪』
『く~ちびるポーカーフェ~イス♪』
『Yo灯台~♪ もと暗しDo you know!?』
『ギ~リギリで♪』
『お~あずけFunky girl♪』
ダダッダッダッダン
ジャン!
・ ・ ・ ・
ワァァァァァ!!
………
……
…
471:『START!!』その①:2013/06/09(日) 22:06:06.18 :z7cWS5C/o
控え室…
亜美「よっし、終わった終わったー!」
あずさ「今回のライブも、無事成功ね~」
律子「みんな、お疲れ様」
伊織「ええ、ありがと。お疲れなんて言われるほど疲れちゃいないけど」
律子「へぇ、そう…それじゃあこの後、今日のおさらいでレッスンでも…」
伊織「待った待った! これで終わりでしょ、それに今日は…」
律子「あれ、疲れてないんじゃなかったの?」
伊織「アンタねぇ…わかって言ってるでしょ」
亜美「まぁ、亜美もそんな疲れてないけどね。行けって言われたらまだまだ行けるよ~ん」
あずさ「あらあら、私だって伊織ちゃんや亜美ちゃんには負けないわよ?」
律子「張り合うのはいいですけど、水分補給はしておいてくださいよ。結構、汗かいたでしょう」
伊織「そうね。お茶でも飲もうかしら」
カラッ
伊織(…控え室に置いてあったペットボトル、途中で飲み干してたわ)
伊織(飲み物の換えもないの? 期待するのも何だけど、気が利かないわね…)
473:『START!!』その①:2013/06/09(日) 22:06:52.84 :z7cWS5C/o
グビッ
亜美「あーっ、うまい!」
あずさ「そうねぇ」カラン
伊織(かと言って、疲れてるのは同じだし分けてもらうってのもちょっと…あずさに至ってはもう飲み終わってるし)
伊織「ちょっと律子…」クルッ
シン…
あずさ「律子さんなら、外でお偉いさん達とお話しに行ったわ」
伊織「会場のスタッフは?」
亜美「みんな舞台の後片付けじゃない?」
伊織「はぁ…」
スタッ
あずさ「あら? 伊織ちゃん、どうしたの?」
伊織「飲み物買ってくるわ。面倒だけど」
亜美「あっ、いおりんコーラ買ってきてコーラ!」
伊織「自分で買え! と言うか、今飲んだばかりでしょうが!」
亜美「お茶とコーラは違うYOー」
475:『START!!』その①:2013/06/09(日) 22:08:08.37 :z7cWS5C/o
………
伊織「はーっ…?」
ヴィーン…
伊織「何よこの自販機! 炭酸ばっかりでお茶すらないじゃない!」
伊織「つっかえないわね! この伊織ちゃんが来てあげてるんだからもっと品揃えよくしなさいよ!」
伊織「…って、自販機に当たっても仕方ないわね。スタドリでいっか…」ゴソッ
伊織「あれ、小銭入れが…ない? 鞄に入れておいたのに…」ゴソゴソ
伊織「え、嘘でしょ!? もーっ、なんでこんな時に…」
?「水瀬伊織」
伊織「わっ!?」ビクッ
?「マズハ、仕事オ疲レ様ト…ソウ言ウベキカナ」
伊織「ア、アンタは…『ファースト・ステージ』!」
FS「ウム。マズハコレヲ 返サナクテハナ」ヒョイ
パシッ
伊織「わ、私の小銭入れ!? アンタが持ち出したの!? 何のために…」
スッ
伊織「え? これって…」
FS「『おれんじじゅーす』…君ガ探シテイタイノハ コレダロウ?」
FS「らいぶガ終ワル前ニ 外ノ自販機デ買ッテキテ オイタノダ」
伊織「き、気が利くじゃない…」
477:『START!!』その①:2013/06/09(日) 22:08:58.17 :z7cWS5C/o
伊織「いや、それより…言いたいことは色々とあるけど…」
伊織「アンタ、あの時攻撃止めて消えたでしょうが! 何勝手に出てきてんのよ!」
FS「勝手モ何モ…原因ハ君ダ、水瀬伊織」
伊織「は?」
FS「私ハ、萩原雪歩ニ『すたんど』ノ情報ガ接触スルコトを『すいっち』トシテ出現スル」
FS「シカシ、萩原雪歩自身ガ すたんどヲ受ケ入レテシマッタカラナ…言ワバ今ハ『すいっち』ガ入リッパナシノ状態ナノダ」
伊織「え、じゃあ何よ…アンタ今、ところ構わず出てこれるわけ…?」
FS「ソウナルナ」
サッ!
伊織「や、やるの…? こっちはもうアンタとの戦い方なんてわかってるけど…?」
FS「モウ君達ト戦ウツモリハナイ、戦ウちからモナイ」
伊織「…? 力もないって?」
FS「私ノ、すたんどトシテノ在リ方ヲ 真ッ向カラ否定サレタカラナ…」
FS「君ヲ前ニシテモ マルデぱわーガ出テコナイノダ」
伊織「あ、そう…そりゃ、雪歩を説得した甲斐があったってもんだわ」スッ
FS「ソレハ 飲マナイノカ? セッカク買ッテ来タノダカラ、飲ンデクレルト アリガタイノダガ」
伊織「…そうさせてもらうわ」プシュ
479:『START!!』その①:2013/06/09(日) 22:09:22.72 :z7cWS5C/o
………
グビッ
伊織「ぷは…やっぱジュースは果汁100%に限るわね」
伊織「で、『ファースト・ステージ』」
FS「ム?」
伊織「アンタは何しに来たのよ? まさか、私に『オレンジジュース』を買ってくるために来たわけじゃあないでしょ」
伊織「で、この前みたいに私達をブチのめそうってわけでもない…なら…」
FS「ソノコトダガ…」
FS「マズ、最初ニ言ッテオコウ。コノ前ハ 済マナカッタ」
伊織「は?」
FS「私ノ勝手ナ『思イ込ミ』デ 君達ニ危害ヲ加エタコトダ。謝罪スル」
伊織「………」
FS「水瀬伊織?」
伊織「いや、今何を言われたのかちょっと理解できなかったわ…」
FS「ナンダト」
伊織「アンタ、謝るとかできたのね」
FS「私ダッテ謝リモスルシ 傷ツキモスル」
481:『START!!』その①:2013/06/09(日) 22:10:26.26 :z7cWS5C/o
伊織「話の通じない奴…いつでも自分が正しい! 他の意見なんて聞き入れない! って奴だと思ってたのに」
FS「アンナモノヲ見セラレテハ、受ケ入レル他ナイダロウ」
伊織(あんなもの…ね。雪歩がああ言ったのがそんなにショックだったのかしら)
伊織「だから、これで機嫌取りってワケ?」チャプッ
FS「ソウイウツモリデハ ナイガ」
伊織「ふーん、そう。へーぇ…それで?」
FS「ム?」
伊織「アンタ、私にどうしてほしいワケ…? 許してほしいと…そう言いたいの?」
FS「アア、ソウダナ」
伊織「別に、私達にどう思われてようがアンタは困らないでしょ」
FS「イヤ、ソレハ困ル」
伊織「それはまた、なんでよ?」
FS「萩原雪歩ガ、君達ト一緒ニ 戦ウト言ッタカラダ」
伊織「へ?」
FS「君達ガ彼女ヲノケモノニスルトハ思ッテハ イナイガ…私ガ皆ニ嫌ワレテイテハ、萩原雪歩モ肩身ガ狭イダロウカラナ」
伊織「…うーん…」
483:『START!!』その①:2013/06/09(日) 22:11:22.75 :z7cWS5C/o
FS「ドウシタ、水瀬伊織」
伊織「あれだけのことやられて…心を入れ替えましたって言われて、あっさり許すってのも…なんか…」
FS「駄目カ…?」
伊織「アンタね…」ハァ…
グッ
伊織「自分で何やったか覚えてんの!? この伊織ちゃんに何をしたか!」
伊織「真なんてベンチの下に叩き込まれた! 律子だって、車の修理代かかるんで落ち込んでるのよ!」
FS「ム…」
FS「ソウカ、ソウダナ。仕方ナイ…カ…」
伊織「………」
伊織「あーっ…!」グビッ
FS「?」
ゴクッゴクッ
FS「水瀬伊織…? 一気飲ミハ ヤメテオケ、体ニ悪イ…」
485:『START!!』その①:2013/06/09(日) 22:12:01.90 :z7cWS5C/o
伊織「ぷはっ…」
モクモクモク
伊織「『スモーキー…」グッ
FS「!?」
伊織「…スリル』ッ!」
グォォォ
FS「オ…!?」ドグシャァ
カラン
FS「鼻が…ナ、何ヲ…」
伊織「それは仲直りの『握手』の代わりよ」
伊織「『雪歩のため』…そう言ったわね」
伊織「やりすぎな場面はあったし行き過ぎた行動には出たけど、アンタはそのスタンスを崩したことはない」
FS「デハ…」
伊織「全面的に許したわけじゃあないけど…雪歩に免じて、アンタのやったことには目を瞑ってやるわ」
伊織「この伊織ちゃんの、海より広い心に感謝しなさいよね」
FS「アア…感謝スル、水瀬伊織」
伊織「む。……」
487:『START!!』その①:2013/06/09(日) 22:13:24.96 :z7cWS5C/o
FS「菊地真達ニモ謝ラネバ ナラナイナ…」
伊織「はいはい、この話は終わりよ。これからのことを話しましょ」
カラカラ
伊織「あ、その前に…その空き缶、アンタが捨てておきなさいよ」
FS「断ル。私ハ君ノ『すたんど』デモ 奴隷デモナイノデナ」
伊織「許してやったのに?」
FS「ソレトコレトハ話ガ別ダロウ」
伊織「あっそ。それもそうね」
モクモクモク…
カラン
FS「『すもーきー・すりる』カ…」
FS「缶ヲ拾イ上ゲ ごみ箱ニ捨テルトハ、使イコナシテイルジャアナイカ」
伊織「まぁ…ね。なんだかんだ、便利だし」
489:『START!!』その①:2013/06/09(日) 22:14:27.47 :z7cWS5C/o
FS「天海春香ト戦ウノダナ」
伊織「ええ。残っているのは春香だけ。もう、先送りは出来ない…」
FS「私ガ萩原雪歩以外ノ事ニ感情ヲ 左右サレルコトハナイ」
伊織「あっそ…」
FS「ダガ…」
FS「ソノ萩原雪歩ノ心ヲ動カシタノハ 他デモナイ君達ダ。デキルダケノコトハ シタイト思ウ」
伊織「………偽物?」
FS「何ヲ言ウ」
伊織「いきなり謙虚な事言い出すもんだから。ちょっと気持ち悪いわアンタ…」
FS「君ハ私ノ事ヲ誤解シテイル」
FS「萩原雪歩ニトッテノ害ト ナラナイノナラ、何モ進ンデ敵対シヨウトハ 思ワナイ」
伊織「ふーん?」
FS「タダ、天海春香…奴ハ別ダ。奴ハ危険スギル」
伊織「………」
491:『START!!』その①:2013/06/09(日) 22:15:31.09 :z7cWS5C/o
FS「ソレデ、勝算ハ ドレクライダト考エテイル?」
伊織「80%ってとこかしら」
FS「高イナ」
伊織「春香の『アイ・ウォント』は確かに強い。けれど、こっちには春香以外の765プロの全員揃っている…勝てない相手じゃあないわ」
FS「シカシ80ぱーせんとトイウコトハ、20ぱーせんとハ負ケル…ト言ウコトカ?」
伊織「いえ、低く見積もって80%よ。4人程度でも充分それくらいの勝算はあるわ。千早や美希のスタンドもよくわかってないし」
伊織「どんなに頑張っても、あっちは1人…こっちは12人いるんだもの、100%勝てるはずよ」
伊織「勝たなければならない」グッ
FS「………」
伊織「そのためにもアンタも協力しなさい、『ファースト・ステージ』」
FS「萩原雪歩ノ意思ヲ尊重シ、協力シヨウトハ 思ウ」
FS「ダガ、水瀬伊織…アエテ言オウ、君達ハ恐ラク天海春香ニハ勝テナイ」
伊織「え…?」
493:『START!!』その①:2013/06/09(日) 22:16:27.06 :z7cWS5C/o
伊織「な…なんでよ!?」
FS「コノ間、私ハ天海春香ノ寝込ミヲ襲イニ 行ッタノダガ…」
伊織「はぁ!?」
FS「ム? ヤハリ軽卒ナ行動ダッタカ…」
伊織「…い、いや、いいわ。それで、どうだったの?」
FS「見テノ通リダ、失敗シタ。『矢』ヲ 奪オウトシタ所ヲ気ヅカレ、返リ討チダ」
伊織「アンタ…やられたのね」
FS「手モ足モ出ナカッタ…マルデ 叩コウトシタラ引ッ込ム『モグラ叩キ』ノヨウニ、奴ニ遊バレテイルヨウナ感覚ダッタ」
伊織「『アイ・ウォント』は能力こそ強力だけど…スタンド自体の性能は中の下よ。アンタがそんな一方的にやられるとは思わないんだけど」
FS「同ジ『すたんど』ダカラ、ワカル…以前ノ『あい・うぉんと』トハ決定的ニ、何カガ違ウ」
FS「イヤ…『あい・うぉんと』モ変ワッテイルガ…ソレ以上ニ違ウノハ 天海春香ダ」
伊織「春香が?」
FS「他ノあいどるガ全テ敵ニ回ッタトイウノニ、奴ノ態度ハ 余裕ソノモノダ」
FS「事実、私ノ時モ マルデ本気ヲ出シテイナカッタ…何カ底知レナイモノヲ今ノ奴カラハ感ジル」
伊織「底知れない何か…ね」
495:『START!!』その①:2013/06/09(日) 22:17:18.24 :z7cWS5C/o
FS「奴ニハ警戒シテ シスギルトイウコトハナイダロウ…ソシテ、シタトコロデ…恐ラク、奴ハ ソノ上ヲ行ク」
伊織「真と同じようなこと言うのね…って言うか、それってまるで…」
FS「マルデモ何モ…」
FS「ソモソモ私ガココニ来タノハ、君ニ『忠告』スルタメダ。天海春香トハ戦ウナ」
伊織「………アンタ…」
FS「戦ウノナラ、協力ハスル。ダガ、私ノ意見トシテハ奴ト戦ウベキデハナイ。逃ゲテクレ」
伊織「ビビってるの、アンタ」
FS「私ガ恐レルノハ 萩原雪歩ヲ守レナイコトダケダ」
FS「ソシテ…私ガアノ天海春香カラ萩原雪歩ヲ守ルコトハ、恐ラク不可能。ダカラ、ソウダナ…怖イ」
伊織「『ファースト・ステージ』…」
FS「頼ム、水瀬伊織…」
伊織「…いいわ」
FS「! デハ…」
497:『START!!』その①:2013/06/09(日) 22:17:40.83 :z7cWS5C/o
伊織「もういいわ、『ファースト・ステージ』」
FS「ナニ?」
伊織「アンタみたいなビビリが戦う必要はない。協力も結構。雪歩の傍で震えてなさい」
FS「びびルトカびびラナイトカ、ソウイウ次元ノ話ヲシテイルノデハナイ!」
伊織「春香から逃げて、それでどうするのよ」
FS「戦エバ、萩原雪歩ハ…イヤ、君達全員、タダデハ済マンゾ!!」
伊織「春香は今…いや、『スタンド使い』になってからずっと独り。もしも私達がアイツから逃げたりしたらどうなるかしらね」
FS「天海春香ノ事ヲ気ニ シテイルノカ…? ソウナッタノハ奴ノセイダ、自業自得ダロウ」
伊織「…私達は逃げたわ。逃げたから、今こうなっている」
FS「…? 何ノ話ダ」
伊織「みんな逃げたのよ。貴音も美希も…真もやよいも律子も亜美も真美もあずさも響も雪歩も、そして私も」
伊織「『アイ・ウォント』を恐れ、アイツと向き合うことを放棄したの。だから春香はああなってしまった」
伊織「春香だけじゃあない。765プロ全員の責任で…765プロ全体の問題なのよ」
FS「水瀬伊織…」
499:『START!!』その①:2013/06/09(日) 22:18:58.45 :z7cWS5C/o
伊織「私達はやっとここまで戻ってきた」
伊織「けれど今…春香と向き合えなければ、765プロはきっとまたバラバラになってしまうわ」
伊織「アイツだって、私達の仲間よ! 切り捨てて、先に進めるわけがないッ!!」
FS「私ニハ…君ノ言ウコトガワカラナイ…」
伊織「わからないわよ。雪歩ともちゃんと向き合えてない臆病者には」
FS「………」
伊織「『ファースト・ステージ』アンタがなんと言おうと私達は春香と戦うわ」
FS「ソノ結果、ドウナロウトモ?」
伊織「ええ。納得できなければ時に衝突、逃げるなんてありえない。それが765プロよ」
FS「ソウカ…」
FS「『すたんど』ハ精神ノちから…ソコマデノ決意ガアルノナラ、勝テナイトシテモ…何モ デキズ終ワルコトハナイダロウ」
伊織「はぁ…ここまで来たら、『きっと勝てる』くらい言いなさいよ」
FS「私ハ嘘ハ ツカナイ」
501:『START!!』その①:2013/06/09(日) 22:19:38.20 :z7cWS5C/o
FS「サテ…私ハ ソロソロ萩原雪歩ノ下ニ戻ルトシヨウ。色々ト考エタイコトモアル」
伊織「あ、ちょっと『ファースト・ステージ』」
FS「ナンダ?」
伊織「何か迷ったりしたら、私の所に来なさい。話し相手くらいにはなってやるわよ。にひひっ」
FS「フ…アリガトウ、水瀬伊織」
スゥ…
伊織(春香の余裕…アイツが何を考えているのか、何を隠し持っているのか…私にはわからない)
伊織(だけど、私は…私達は前に進むしかない。みんなのために、私のために)
伊織(春香を…倒す)
………
……
…
503:『START!!』その①:2013/06/09(日) 22:20:46.31 :z7cWS5C/o
事務所…
キョロキョロ
千早「美希、美希…」
千早「姿が見えないわね…どこへ行ったのかしら」
美希「呼んだ…? 千早さん…」ヌッ
千早「ひゃっ…!」
美希「あはっ、ソファの陰から出ただけなのに、千早さんビックリしすぎなの」
千早「また、寝てたのね…そんな、部屋の隅の方で」
美希「向こうは工事の音でうるさいから」
美希「千早さん、何か用?」
千早「何か用って…忘れたの?」
美希「えーと…なんだっけ?」
千早「美希…」
美希「うそうそ、ちゃんと覚えてるの」
505:『START!!』その①:2013/06/09(日) 22:21:59.49 :z7cWS5C/o
美希「対策かいぎ…だっけ? それ開くって律子から聞いてる」
千早「ええ、そうよ。場所は覚えてる?」
美希「えーと、確か…携帯に…」ゴソゴソ
千早「近くの廃ビル…亜美と真美の秘密基地と言っていたわね」
美希「なんでそんなところでやるんだろうね」
千早「これ以上事務所の中でやるわけにもいかないでしょう。これまでも『スタンド』の影響で色々な物が壊されている」
千早「全員で行くなら、激しい戦いになるだろうし…これ以上派手に事を起こせないわ」
千早「かといって、道端でやるのもね。『スタンド』は人には見えないけれど、私達はアイドル…注目を集めるのは避けるべきよ」
千早「あの場に春香を誘い込み、迎え撃つという話みたい。そのための下準備も兼ねているわ」
美希「うーん…本当に必要あるのカナ、それ」
千早「必要あるのかって、どういうこと?」
美希「別にそこで戦うってのはいいケド、下準備とかいらないって思うな」
507:『START!!』その①:2013/06/09(日) 22:23:01.56 :z7cWS5C/o
美希「正面から挑んでバトル! それだけでしょ!」
千早「美希…貴女、何も考えてないの…?」
美希「考えてないって言うか、この期に及んでビビってるようじゃあ、むしろそっちの方が倒せないって思うな」
千早「………」
美希「…千早さん?」
千早「なるほど、それも一理あるわね。『スタンド』は精神力の高い方が勝つ…」
千早「それに、やるならこそこそとやるより、堂々と実力で倒した方が互いに納得できるわ」
美希「あ、千早さんもそう思う?」
千早「けれど…」
美希「へ?」
千早「貴女や私だけの問題でもない。それに春香の力は未知数、勝手に先走るのも危険なのも事実」
千早「話し合いは、ちゃんとするべきよ。その上で正面から戦いましょう」
美希「あふぅ…メンドーなの」
千早「…それが本音ね」
509:『START!!』その①:2013/06/09(日) 22:23:47.69 :z7cWS5C/o
美希「そう言えば、千早さん。あの後、ミキは忙しくてあんまり会えなかったケド、腕は大丈夫なの?」
千早「これかしら」グッ
美希「なんか、腕につけてるし…結構ひどいんじゃ…」
千早「ええ、まぁ…あの日からギプスは取れてないけれど…問題はないわ」
美希「う…」
千早「階段から落ちたということにして、その間仕事には穴を空けることになったけれど…問題はないわ」
美希「ご、ごめんなさーい!」
千早「いや、問題はないのよ本当に…一人暮らしで片腕しか使えないけれど」
美希「千早さんんん…」
千早「冗談よ。確かに不便だけれど、お互い様だし仕方ないわ」
511:『START!!』その①:2013/06/09(日) 22:25:38.64 :z7cWS5C/o
千早「さぁ、そろそろ行きましょう。みんな待っているわ」
美希「あふぅ…」
美希「もうちょっと時間あるでしょ? 竜宮小町がライブ終わってからって話だし、律子達が着く前に行けばいいの」
千早「行くのなら、早めに着いた方がいいでしょう。向こうにも寝るスペースはあるみたいよ」
美希「やっぱ事務所のソファが一番なのー」
千早「ちょっと、美希…」
美希「だいじょーぶ、時間までにはちゃんと着くから。千早さん、先に行ってて…」
千早(春香は、今日はライブで地方まで行っている…)
千早(終わっても、事務所には帰ってこない。新幹線でこっちの方まで来たらそのまま家に帰ることになっている)
千早(例え今からここに来るとしても、美希が待ち合わせまでに来れば鉢合わせにはならないわね)
千早(本当に、美希が時間までに着くなら…だけれど)
千早「もう…知らないわよ。私は行くわ」
美希「はいなのー」
513:『START!!』その①:2013/06/09(日) 22:27:04.75 :z7cWS5C/o
………
……
…
美希「ん…」パチ
美希「うーん…千早さーん…?」
シィーン…
美希「…誰もいないの。タブン、あとは他の部屋に小鳥が一人だけかな」
美希「あふぅ…えっと、竜宮小町のライブが終わったのがこれくらいで、車でこっちに向かってるとして今はどの辺だろ…」
美希「まぁ、まだ大丈夫でしょ。どこだっけ? ケータイで…」スッ
?「ここがどうかしたの?」
美希「確か、みんなで集まって…」パチ…
・ ・ ・ ・
ゴゴゴゴ
美希「な…」
?「やっほ、ただいま…」
ゴゴゴゴゴゴゴ
春香「美希」
美希「はる…ッ…!」
515:『START!!』その①:2013/06/09(日) 22:29:08.78 :z7cWS5C/o
ゴゴゴ ゴゴゴゴゴ
春香「美希、他に誰もいないけど(小鳥さんはいるけど)…どうしたの?」
美希(一瞬で目が覚めた…な、なんで…)
美希「なんでここに春香がいるの…!?」
春香「質問を質問で返さないでほしいな」
美希(春香は…地方にライブに出て…数十分前に終わったとして…ここに来れるわけがない…!!)
美希「ありえない! なんで…」
春香「なんでだと思う? 当ててみなよ」
美希「サ、サボったとか?」
春香「まっさか~」ケラケラ
春香「ま、そんなことどうでもいいか。それより、みんなで集まるんだって?」
美希「………」
春香「じゃあさ、私も連れて行ってよ。仲間はずれはよくない…」
美希「春香にはサプライズのつもりだったんだけどな」
春香「え、そうなの? じゃあ知られちゃ駄目じゃない、美希?」
美希(………)
517:『START!!』その①:2013/06/09(日) 22:30:51.88 :z7cWS5C/o
ドドドド
美希「ねぇ、春香」
春香「何?」
美希「一緒に来る? みんな、春香のコト待ってるケド」
ドドド
春香「あれ、いいの?」
美希「もともと、そのつもりみたいだし。手間が省けるの」
春香「うーん…せっかくのお誘いだし、行きたいのは山々だけど…」
ドドドドド
春香「その前に…やっておいた方がいいと思う事があるんだよねぇ」
美希「…何かな」
春香「それはもちろん…」
ドドドドドドド
春香「美希を倒しておくことだよ。他のみんなを相手にする前に…ね」
519:『START!!』その①/おわり:2013/06/09(日) 22:33:53.44 :z7cWS5C/o
ゴゴゴゴゴ
チリ…
春香「『アイ・ウォント』」ズ…
ブルルッ
美希「…っ!」
春香「どうしたの? 腕が震えてるよ、美希…」
美希「はぁ…っ…」
春香「そんなんで、私と戦えるのかなぁ、美希ィッ!!」ダッ
美希「…あはっ」
春香「!?」ズァッ!!
ギュァァアア
美希「この震えはあれなの…えっと…」ビシュゥ!
ガッシィィッ
春香「む… …!」
美希「ま、いっか。いるはずがない春香が、なんでここにいるのかはよくわかんないしびっくりした…」
美希「だけど、ミキは今それよりも…春香を倒せると思ってすっごいドキドキしてる」
美希「ミキを倒すって言ったケド…倒されるのはどっちの方かな? 春香」
559:『START!!』その②:2013/06/21(金) 00:13:39.82 :AUlOVBzxo
………
P「あれ?」
P「春香、春香ー!? どこに行ったんだ、春香!?」
ブルルルル
P(ん、メールが…春香から?)
春香
すみませんっ(>_<)
ーーーーーーーーー
春香です。突然いなくなってごめんなさい!
この後、どうしても外せない用事があって…。
先に帰っちゃいました!本当にごめんなさい…。
今日のライブは大成功でしたね!プロデューサーさんのおかげです!
また一緒に頑張りましょうねっ☆
P(帰った…のか? 一人で…いつの間に…)
P(大事な用なら、あらかじめ言ってくれればいいのに)
P(いや、それより…今の時間から帰っての用事ってのは、なんだ…?)
P(春香…ライブも終わった直後だって言うのに、一体どこに行ったんだ…)
561:『START!!』その②:2013/06/21(金) 00:14:40.93 :AUlOVBzxo
………
真「あれ?」
やよい「あ、真さん! おはようございます!」
真美「まこちんおはよー」
雪歩「お、おはよう、真ちゃん」
真「おはよう。今いるのはやよいに真美に雪歩に…」キョロキョロ
貴音「私達もいますよ、真」
響「結構みんな集まってるぞ」
真「貴音さんと響か。みんな、早いね」
雪歩「今日は、春香ちゃんと竜宮小町以外はみんなオフだから」
真「そっか、伊織達がいないんだね。美希と千早は?」
貴音「まだ、のようですね。連絡もありません」
やよい「千早さんも美希さんも、どうしたんでしょうか…」
響「千早はわからないけど、美希はどこかで寝てるに決まってるぞ」
563:『START!!』その②:2013/06/21(金) 00:15:22.22 :AUlOVBzxo
真美「諸君! 今日は真美の秘密基地にようこそ!」
貴音「真美がこのような土地を所有しているとは…驚きました」
真「私有地だと思うんだけどなぁ…使われてないけど」
やよい「そういえば…雪歩さんのスタンドってどうなったんですか?」
雪歩「それが、全然出てきてくれなくって…」
真「…できれば出て来てほしくないな…」
雪歩「へっ?」
貴音「まぁ、よろしいではありませんか。過ぎたことです」
真「それはそうだけどさ…」
やよい「みんなが来るまでどうしましょう?」
真美「どーしよっかなー。みんなで話しててもいいけど、ちょっと退屈だよね」
響「ふふふ、そう言うと思って飲み物買ってきてるぞ! みんなで飲みながら待ってようよ」
真美「え、ほんとー!? コーラある?」
貴音「私も一つ頂きましょう」
真「何の集まりなんだ、これは…」
565:『START!!』その②:2013/06/21(金) 00:15:37.45 :AUlOVBzxo
………
亜美「あれ?」
亜美「いおりん、なんでコーラ買ってきてないのー!?」
伊織「自分で買えっつったでしょうが!」
亜美「それでもいおりんは買ってきてくれると信じてたのに!」
律子「運動した直後にそんな甘いもん摂ってたら太るわよ」
亜美「そんなー、あずさお姉ちゃんじゃあるまいし…」
あずさ「亜美ちゃん…?」
亜美「ハッ!」
ゴゴゴゴゴ
亜美「あ…あずさお姉ちゃん…今のはちょっとした…」
あずさ「今の? なんて言ったのかしら、ちょっとよく聞こえなかったわ」
亜美「絶対聞こえてたよ! 助けていおりん、りっちゃん!」
律子「ここの所、もうちょっと躍動感つけた方がよくない?」
伊織「そうかしら? これはこれでいいと思うんだけど」
あずさ「亜美ちゃん、話してくれる…?」
ゴゴゴゴ ゴゴゴ
亜美「うわああああああああああああごめんなさいいいいいいいい」
あずさ「えーっと…本当に聞こえなかったんだけど…」
567:『START!!』その②:2013/06/21(金) 00:16:01.26 :AUlOVBzxo
………
春香「あれ?」
春香「今…変な言葉が聞こえた気がするんだけど。なんて言ったの、美希?」
美希「聞こえなかった? ならもう一度言ってあげる。春香を倒すって言ったの」
春香「ふっ…」
春香「ふふふ…あはははは…あっはははははは!」
美希「………」
春香「倒す…? 美希が? 私を?」
春香「無駄だよ、無駄。自分の置かれてる立場、よく考えてみたら?」
美希「やってみなきゃわかんないって思うな」
春香「やらなくても、もうわかるよ」ズ…
美希「そこまで差があるとはケド」
春香「わかるってば。まさか、さっきのが本気だって思った?」
ゴゴゴゴゴ
569:『START!!』その②:2013/06/21(金) 00:16:31.68 :AUlOVBzxo
ゴゴ ゴゴゴゴ
春香「………」
美希「………」
ゴゴゴゴ
春香「行きなさい!」カッ!
美希「!」
春香「無駄ァッ!」
バヒュウ!!
美希(速っ…!! 千早さんの『インフェルノ』と同じくらい…)
美希「けど…」グッ
ヒュン
春香「…!」バチィ!!
ズガガッ
美希「速いだけなら、まだなんとかなる」
美希「さっき触った時につけた『ロック』目がけて叩いたの。そして…」
<LOCK!
春香「………」
美希「これで、ふたつ。『リレイションズ』のダメージはドンドン増えていくよ、春香」
571:『START!!』その②:2013/06/21(金) 00:17:13.66 :AUlOVBzxo
春香「はぁー…」
美希「………」
春香「どうして、みんなわかってくれないのかなぁ」
春香「私はみんなのために『弓と矢』を使ってるのに」
春香「美希だって、そうやって『スタンド』を使ってるのに」
美希「違うよ」
春香「?」
美希「春香が『スタンド使い』を増やしているのは他人のためじゃない。わからせたいってだけ」
春香「わからせたい? 何を?」
美希「誰も自分の『アイ・ウォント』には勝てないってコト」
春香「………」ピク…
美希「自分は他の誰よりも優れているってコト。そうでしょ?」
春香「違う…」
美希「違わない。春香がやってることって、つまりはそういうことでしょ」
春香「随分と…調子に乗ってくれるじゃあない美希」
美希「そういうセリフって、大体調子に乗ってるヒトが使うの」
573:『START!!』その②:2013/06/21(金) 00:17:24.91 :AUlOVBzxo
春香「言わせておけば…」ゴォォォ…
美希「怒った? 図星突かれて頭に来た?」
美希「こっちは春香から書けられた迷惑でそれ以上にプンスカしてるの!!」
春香「美希ィッ!」
ギュオン!!
美希「わかんないかな…『リレイションズ』を相手に…」
ォォォォォオ
美希「先に動いたら、駄目だって!」ヒュッ
ガスッ!
<LOCK!
春香「くっ…!」
美希「もう一回!」ダダン
春香「きゃ…」ドス! ガスッ
<LOCK! <LOCK!
美希「たーっ!!」ズダダダ
<LOCK! LOCK! LOCK!
春香「ぐぅ…っ…」タッ
ザザ…
575:『START!!』その②:2013/06/21(金) 00:18:01.33 :AUlOVBzxo
春香「ふぅーっ…」
美希「………」
美希(おかしい…)
美希(『アイ・ウォント』相手にこんな順調に攻撃を与えられるなんて…春香はどうして能力を使わないの…?)
美希(殴れた場所はバラバラ…ギリギリで避けられて、『ロック』した部分を捉えられてはいない)
美希(でも、それでも…体の『ロック』が増えれば不利になるなんてこと、春香だってわかってるはずなのに…何故…?)
春香「いやぁ…本当に厄介なスタンドだよ、『リレイションズ』は…」
春香「1m圏内ならその針の穴を通すような『正確性』…『近距離パワー型』なら大抵のスタンドには対抗できるだろうね」
春香「私の『アイ・ウォント』も…」
美希「『五感支配』を使えばいいの、春香」
春香「………」
美希「『アイ・ウォント』のパワーアップには結構びっくりしたケド…能力を使わずにミキに勝とうなんて、そうはいかないよ」
春香「『五感支配』ね…」
577:『START!!』その②:2013/06/21(金) 00:18:13.80 :AUlOVBzxo
春香「ふふっ…くくくっ…くふっ…」
美希「…何がそんなにおかしいの?」
春香「いや、だって…」
春香「ヴァイッ!!」
美希「!?」バッ
ガキィィィン
春香「あは、あは、あははははははは」
美希「…!? は、春香…?」
春香「無駄無駄無駄無駄」ビュォ ド ド ド バ バ
美希「リ、『リレイションズ』…ッ!!」
ガギャァ! バシィ!!
美希「っ…!?」ズザザ
春香「あはは…そうみたいだね…『アイ・ウォント』の能力を使わなかったら…美希には勝てないかもね…!!」
美希(な、何…? 今の春香、ゼッタイにおかしい…)
美希(なんていうか、妙に『ハイになってる』っていうか…ラリってるっていうか…すっごく、ヘン…)
579:『START!!』その②:2013/06/21(金) 00:18:30.10 :AUlOVBzxo
春香「それじゃ、お言葉に甘えまして。そろそろ行こっかな…うふふ…」ス…
パンッ!!
美希「!」ビクッ
フッ…
美希(春香が手を叩いたら、姿が消えた…)
美希(でも、ほんとに消えたわけじゃあない。これは『視覚支配』…すぐ近くにいるはず)
美希(それで、春香の『アイ・ウォント』が『支配』できる感覚は一つだけ…)
美希(『視覚支配』を使ってるってことは、他のは大丈夫ってコトだから…)
ザリッ…
美希「そこっ!!」バォッ
ガキィ!!
美希「よしっ…!」
美希(当たる…ちゃんと対抗できる)
美希「ミキは『アイ・ウォント』に勝つために…力を蓄えてきた! 前のミキとは違う!!」
581:『START!!』その②:2013/06/21(金) 00:19:09.20 :AUlOVBzxo
ザザッ…
美希(この音…離れるつもり…? でも、ミキの『リレイションズ』は…)
美希「一度射程距離内に入ったら…逃がさない…のっ!」クイッ
ゴォッ
バシィィン!!
ザザザッ
美希「それ聞こえてるっ!」シュバ!!
ブオン
美希「ん!?」
ズリズリ…
美希(音は聞こえるのに、そこに春香がいない…これは…)
春香「みーーーー」
美希「…!」
春香「きーーーー」ケラケラ
美希「み、耳元に春香の声!」
583:『START!!』その②:2013/06/21(金) 00:19:41.76 :AUlOVBzxo
美希(これは、『聴覚支配』? でも春香の姿が見えない…ってコトは…)
美希「春香は、この部屋から出て行ったの!? それなら…」
春香「って思うでしょ?」ボソッ
ドズゥ
美希「う…っ!?」
春香「違うんだなぁ」
美希(攻撃された…ってことは、春香は近くにいる…!? やっぱり、『視覚支配』!?)
美希(いや、春香は『五感支配』を好きなように使える…次々と切り替えて惑わせてるってことなの!)
ズズ…
春香「はぁい、こっち…」
美希「くっ!!」ブオン
スカッ
美希「なら…そっち!!」クルッ
春香「………」
美希(春香は別に、『瞬間移動』できるってワケじゃあない…両方叩けば!!)バビュゥ
フ…
美希「え…」
ゴゴゴゴゴゴ ゴゴゴ
585:『START!!』その②:2013/06/21(金) 00:20:02.63 :AUlOVBzxo
美希(ち…)
美希(違う…! 声を出したのも、そこに立っていたのも…どっちも春香じゃあない…!!)
春香「ヴァイッ!!」ヒュオッ
美希「!!」バッ
シーン…
・ ・ ・
美希「ぐ…!?」ボギャ
ズガァァァァァ
美希「うあああああああ!?」
美希(攻撃を…受けた!? どこから…また、声や音のする方じゃなかった…!!)
美希(春香は音のする場所にはいない…)
美希(でも、目にも見えない…これって、つまり…!!)
春香「美希は確かに強くなってるね…『ロック』する能力、それを活かせるくらい美希も『リレイションズ』も強くなった」
春香「だけど…私は、その上を行く」
美希「…!!」
587:『START!!』その②:2013/06/21(金) 00:21:07.96 :AUlOVBzxo
春香「前の美希とは違う…ね…」
春香「どうして私は前のままだと思ったのかな…どうして、自分のスタンドだけが成長していると思ったのかな…?」
美希(前提が、間違ってる…!?)
美希(春香の『五感支配』…『支配』できる感覚は、一つだけって…)
美希(もし、そうじゃなくなってるとしたら…?)
春香「美希が考えている通り…今の『アイ・ウォント』は五感のうち二つ…『支配』できる」
美希「…!」
春香「今使ってるのは、『視覚支配』と『聴覚支配』の両方だね」
美希「そ、そんな…」
春香「なんであっさりとバラすと思う? それがわかっても、無駄だからだよ」
春香「そう、無駄。無駄無駄」ス…
美希「…!」
美希(どこから来る…? どこから殴ってくるの…!?)
春香「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄」
バォッ ドガ ドギャ ズギャ
美希「うぉっ…おおおっ…!!」グギャン
589:『START!!』その②:2013/06/21(金) 00:22:09.85 :AUlOVBzxo
春香「人間は見えないものを恐れ…見えないものには対抗できない…」
春香「例えば『スタンド』を見ることができない一般人には、スタンドから見を守る手段はない」
春香「そして私の『アイ・ウォント』は『スタンド使い』にすら見ることはできない」
美希「っ…はぁ…」
春香「どうする美希? 今なら謝れば許してあげるけど」
美希「…やだよ。ミキ、なんにも悪いことしてないモン」
美希(でも…姿も見えない、音も別の方から聞こえる…どうやって春香に対抗すれば…)クイッ
美希「…? これって…」クイクイ
春香「悪いこと…ね。いいとか悪いとか、そういう話じゃあないんだけどなぁ…」
春香「やっぱり、美希にはちゃんとわからせてあげないと…駄目みたいだね!」ビュァァ!!
美希「!」シュッ
グオン
春香「ん!?」バッ
美希「…外した…」
591:『START!!』その②:2013/06/21(金) 00:24:37.09 :AUlOVBzxo
春香「当てずっぽうで…方向を当てた? でも、そんなのは…」
美希「そっち!」ビュッ
春香「!」サッ
春香「違う…当てずっぽうじゃない、ちゃんと私の居場所がわかって攻撃してきている…?」
春香「『視覚支配』と『聴覚支配』…してるはずなのに、なんでわかるんだろ…」
キィン…
美希「ミキの能力…なんだったか、忘れたの? 春香」
春香「! そっか、体についてるこれを目印に…」
美希「『リレイションズ』の『ロック』は…」
美希「これは誰にも邪魔されない、ミキだけの感覚…! 『アイ・ウォント』の影響は受けない、何も問題ないの!」
春香「ふーん…なるほどね…」
美希「これで、春香に届…」ヒュバッ
春香「………」スッ
美希「わっ…」フラッ
春香「届かないね」
春香「無駄だよ、無駄。例え『ロック』で、方向がわかろうが何も変わらない」
春香「当てるには『距離感』が必要。『視覚支配』と『聴覚支配』は美希の距離感も奪っている」
春香「方向はわかる…それで? それだけで、『アイ・ウォント』をどうやって攻略するつもり?」
593:『START!!』その②:2013/06/21(金) 00:25:17.84 :AUlOVBzxo
美希「………」ピン!
ピシ! ビシ!
・ ・ ・ ・
春香「何か…当たった? 今…『リレイションズ』の指が何かを弾き飛ばして…」
春香「これは…ビーズ?」
<LOCK! <LOCK!
春香「!」
美希「はぁっ!!」ゴォッ
春香「無駄無駄ァ」ブォン
バッチィィィ!!
春香「む!」
美希「なのーっ!!」グイーン
春香「こっ…!!」バチィ!!
春香「美希の『リレイションズ』の引っ張る力が上がっている…! 距離が2mくらい開いてても一気に縮められるくらい…」
春香「スピードも、そっちを上回りつつある…! これは…」
美希「名付けて…押せ押せとっこー作戦…なの!」
595:『START!!』その②:2013/06/21(金) 00:26:17.82 :AUlOVBzxo
ビュオッ!!
春香「くっ…!!」ガスッ
春香(いや、だけど…なんで私が『リレイションズ』の2m圏内、その中にいる時がわかるのは…これはなんでかな?)
美希(勝てる…)
美希(勝てる! 春香の姿は見えないからダメージはわからないケド…このまま行けば…春香を倒せる!)
春香「ああ…そっか、わかった」
美希「! そこっ!」クルッ
ゴォッ
シン…
・ ・ ・
美希「あれ…?」
美希(こっちに…『ロック』はない…春香は、いない…)
美希(なんでミキは振り向いたの…? なんで、そこに春香がいるって思ったんだろ…?)
春香「ヴァイッ!!」ゴォッ!
美希「デッ!?」ガキィン!!
ズザザ
597:『START!!』その②:2013/06/21(金) 00:26:48.04 :AUlOVBzxo
春香「ふふ…ふふふふふふふふふ」
美希(今、春香の攻撃と音が一致した…)
美希(『聴覚支配』を解いた? なんのために? それに今のは…)
美希(ワケわかんない…何が起きてるの…?)
美希(春香の『アイ・ウォント』…まだ、何か隠してるっていうの…!?)
美希「………」クイッ
美希(『リレイションズ』の『ロック』はそっちに引っ張ってる…)
美希(春香はこっちにいる、ゼッタイにいる…)
春香「どうしたの? もう、終わり?」
ゴゴゴゴ ゴゴゴ
美希「………」ゴクッ
美希「はぁぁっ!!」ゴォッ
春香「………そろそろ、いいかな」ス…
パチン
ズ…
ズズズ…
美希「…え!?」
599:『START!!』その②:2013/06/21(金) 00:27:35.63 :AUlOVBzxo
…
……
………
カツ カツ カツ
千早(…結局、戻ってきてしまったわ)
シーン…
千早(事務所は不気味なほど静か…何も聞こえないわね)
千早(…何か、胸騒ぎがする)カツ カツ
ピタ…
千早(部屋の前まで来た…)
千早(さっき出てきたばかりだし、美希はまだ…寝ていると思うのだけれど…)ス…
ガチャ
千早「美希、まだいる…?」スッ
千早「あれ…」
601:『START!!』その②/おわり:2013/06/21(金) 00:27:59.85 :AUlOVBzxo
春香「無駄ァッ!!」ゴッ
美希「ぐ…ぁ…」グシャ
ドグバァ
春香「惜しかったね美希…」シュゥゥゥゥ…
ゴゴ
美希「う…」ヨロ…
春香「あと少し、あとほんの数ミリ程度腕が前に出ていれば…」
ゴゴゴゴ
春香「この『ロック』した部分をブッ叩いて私の全身に『再起不能』するほどのダメージを与え、勝利してたかもしれないのにね…」
美希「うぐ…ぅ」ガクッ
ゴゴゴゴゴゴ
千早(これは…)
千早(春香が美希を…一体、何があったと言うの…?)
ゴゴゴゴ ゴゴゴゴ
春香「ん?」クル!
千早「………美希」
美希「千早…さん…?」
春香「あ、千早ちゃんだ」
621:『START!!』その②:2013/07/16(火) 22:32:04.04 :pddZCa+No
春香「やっほー、千早ちゃん」
ドド ドドドド
千早(何か胸騒ぎがして戻ってきてみれば…)
千早(これは、どういうこと…? どうして、春香がここに…)
春香「元気?」
千早(美希がやられている…ということは…)
千早「………顔は時々合わせてるから、こんなことを言うのも奇妙だけれど」
千早「ようやく、会えたわね…春香」
春香「そういえば、こうしてスタンド使いとして千早ちゃんと話すのは初めてだったね」
美希「………」シン…
千早(戦いは、既に始まっていた…!)
千早「これは貴女がやったの? 春香…」
春香「私は美希に何もしてないよ」
千早「嘘おっしゃい…なら、そこで倒れているのは何だって言うの?」
春香「倒れてる? 寝てるの間違いじゃない?」
千早「何を馬鹿なことを…!!」
春香「まぁ、落ち着いてよ千早ちゃん」
623:『START!!』その②:2013/07/16(火) 22:35:10.06 :pddZCa+No
春香「千早ちゃんはさ、どこまで知ってるの?」
千早「全て聞いている…『弓と矢』を使い事務所の皆を『スタンド使い』にしたこと、『アイ・ウォント』で皆を傷つけ無理矢理『仲間』にしていること…」
春香「ふーん…でもさ、それって千早ちゃんが直接確かめたわけじゃあないよね?」
千早「え?」
春香「私が『弓と矢』を使ってみんなを『スタンド使い』にしたのは事実。みんなを誘ったのもまた事実」
春香「けど、それだけだよ…それってそんなに悪いこと?」
千早「なんですって?」
春香「無理矢理引き込む事なんてしないよ。断られたらそれでいいじゃない、そんなことしなくても事務所の仲間であることには変わりないんだから」
千早「え!? それは…」
春香「そもそも、考えてみてよ。どうしてみんなを『仲間』にする必要があるの?」
春香「私は『矢』さえ手元にあればいい。私がみんなに攻撃する動機なんて何もないんだよ」
春香「それに…」
ドクドク…
千早「う、その腕…」
千早(血が沢山流れている…)
春香「先にやってきたのは美希の方…私も、攻撃されたとあったら黙ってはいられない」
春香「千早ちゃんが見た美希の姿は、私の『矢』を壊そうと襲ってきた結果…正当防衛だよ」
625:『START!!』その②:2013/07/16(火) 22:36:42.39 :pddZCa+No
春香「確かに、ちょっとやりすぎたかもしれない…けど、私は自分を守るため…やるしかなかったんだ!」
春香「ねぇ、信じてよ千早ちゃん! 私はこっちから手を出したりはしてない!」
春香「その証拠に、今日まで千早ちゃんは私に襲われなかったでしょ? タイミングはいくらでもあったのに!」
千早「………」
春香「もしも千早ちゃんが誰かに襲われたのなら、それはその人が勝手にやった事…」
千早(響や美希は元々春香側ではなかった…あずささんは春香の側にいながらも春香を倒す事を考えていたわ)
春香「信じてくれないの千早ちゃん…?」
千早「うっ!」
春香「やっぱり…私一人よりも、他のみんなの言うことを信じるのかな…?」
千早「春香の言うことと他の皆の言うことならば…」
千早「私は貴女を信じる…信じたい」
春香「千早ちゃん! それじゃあ…」
627:『START!!』その②:2013/07/16(火) 22:37:50.58 :pddZCa+No
千早「けれど」グオン
春香「え?」
ビシュゥ!
春香「ちょっ…!?」
ガッシィィッ
春香「な、なにするのかな…千早ちゃん…」
千早「確かに…血は流れているように見える」
春香「え?」
千早「だけど、ならば…何故、貴女からは血の臭いがしないのかしら」
春香「………」
ゴゴゴゴゴゴ
千早「それほど流れていれば、少しくらい臭いがしてもいいはずなのに…不自然だわ」
千早「春香、貴女に人を騙すことなどできやしないわ」
千早「偽りの像を見せている? 臭いを消している? どっちにしても、これは現実ではない」
千早「そして私を騙そうとしているのなら、貴女の言う事でも信じることは出来ない。残念だけれど」
春香「フゥー…」
千早「春香…?」
629:『START!!』その②:2013/07/16(火) 22:39:38.41 :pddZCa+No
春香「やっぱり、駄目かぁ…」
スゥ…
千早(血が引いていく…)
春香「千早ちゃんとはあんまり戦いたくなかったんだけど…本当に…」
千早「そう。奇遇ね春香、私もよ」
千早(美希…)チラ…
美希「………」ブルブル
千早(あんなに震えて、相当酷い目に遭わされ…)
美希「ち、『血の臭いがしない』って…」プルプル
千早「…え?」
美希「千早さんって、結構…ぷぷぷ」
千早「な、何!? そんなにおかしかった!?」
美希「ぐっ…」ズキン
千早「美希…! 貴女、その怪我…」
美希「あはは…やられちゃったの…」
千早「…そう…」
631:『START!!』その②:2013/07/16(火) 22:41:35.67 :pddZCa+No
千早「そこでじっとしてて、美希…」
千早「後は私がやる」
美希「ち、千早さん、その腕!」
千早「腕? 腕がどうかしたのかしら?」
美希「それ、折れてるんじゃ…片腕で大丈夫…」
千早「折れてる? 何のことかしら」
美希「さっき、ギプスつけてたの! そんな腕じゃ…」
千早「………」ジャラ…
春香「ん? コイン…」
ポイッ
千早「『インフェルノ』」ヒュバ!!
ズバッ バッ バッ バッ
千早「そんな腕じゃ…何?」パッ
チャリン
美希「片腕でたくさんのコインを取ったの…」
千早「確かに折れていたけれど…まぁ、治った。問題はないわ」
美希「あ、あれ…さっき、仕事が大変だとか…言ってたの…」
千早「あれは冗談と言ったでしょう」
美希「え、それってそういう意味だったの!?」
633:『START!!』その②:2013/07/16(火) 22:43:13.19 :pddZCa+No
春香「そろそろいい?」
千早「ええ…待たせたわね」
美希「あ、ちょっと待って千早さ…!」ムクッ
春香「『アイ・ウォント』」ヒュ
千早「!!」
ドスゥ!
美希「うぶ…」
ガクッ
春香「美希はもう黙ってなよ…決着はついたでしょう」
千早「春香…!」ギリッ
春香「ねぇ千早ちゃん…最後に聞いておくけど、『仲間』になる気はない?」
千早「何をぬけぬけと…目の前で美希にこんなことをやっておいて…!!」
春香「これは見せしめだよ。千早ちゃんさえ『仲間』になってくれれば、今みたいに誰かに手を出したりはしない」
千早「…!」
635:『START!!』その②:2013/07/16(火) 22:44:09.98 :pddZCa+No
春香「私もさ…何もみんなのことを傷つけたくてこんなことをしてるんじゃあないんだよ」
千早「なに…?」
春香「『スタンド』に出会って私は変わった…だからこそ、みんなに『スタンド』の素晴らしさを知ってほしかった」
春香「誰か一人でも…わかってくれる『仲間』が欲しかった。誰もわかってくれなかったけど」
千早「春香…」
春香「そして…そんなスタンド能力を引き出してくれた『矢』を美希や貴音さんは破壊するべきと、そう言ったの。そんなこと納得できない」
春香「互いに納得できないのなら…戦うしかない…」
春香「戦って…勝ち取るしかない。でしょう?」
千早「………」
春香「私も、事務所のみんなを傷つけるのは心が痛む…『矢』を壊そうだなんて言ってこなければこんなことはしたくない」
春香「だけど今、私は孤立している…そしてみんなが『矢』を狙ってくる。『仲間』がいなければ安心もできない」
千早「………」
春香「ねぇ…千早ちゃん。千早ちゃんが私の『仲間』になって、私は誰も傷つけない…みんなからは距離を置いてもらう…」
春香「こうするのが一番いい、これが765プロ全員にとって幸せなことだと思うんだ」
春香「だから、一緒に…」
千早「………」
春香「一緒にトップアイドル目指そうよ!」
637:『START!!』その②:2013/07/16(火) 22:45:07.05 :pddZCa+No
千早「春香」
春香「ん?」
千早「アイドルとは『与える者』よ」
千早「美希を傷つけ…自分の都合で皆から平穏を奪い…」
千早「そして今、私を引き込み他の仲間を奪おうとしている…今の貴女はアイドルではないわ」
春香「………」
千早「そんな貴女とはトップアイドルなんて目指せないわね」
春香「…前も同じようなこと言われた気がするなぁ…」
千早「ねぇ、春香。既に事務所の皆が『スタンド使い』になった…それでも『矢』を手放さないということは…」
千早「つまりはこれから事務所に入ってくる人達、全員を『スタンド使い』にすると…そういうこと?」
春香「そのつもりだけど」
春香「ああ、もしかして…みんな、自分だけの物にしたいのかな? だから『矢』を壊そうと…」
千早「違う、危惧しているだけよ。貴女のやっていることには考えがなさすぎる」
639:『START!!』その②:2013/07/16(火) 22:46:31.26 :pddZCa+No
千早「例えば、『スタンド使い』になった誰かがスタンドを悪用するかもしれない…そうなったら、貴女はどうするの」
春香「そのための『仲間』…そのための『アイ・ウォント』…だよ」
千早「そうなら、何をしてもいいと言うの?」
春香「問題を起こすのなら…そうなるかもね。だからみんなもそうなった」
千早「私達がいつ問題を起こしたの?」
春香「問題だよ。『矢』がなくなったら私の考えていることは全部崩れてしまう」
千早「事務所に入った皆を『スタンド使い』にすると…もしも、『スタンド使い』になれなかったらどうするの」
春香「それはもう仕方ないよ。その子はアイドルとしての才能がない、可哀想だけど」
千早「…春香…やっぱり、今の貴女の話を飲むわけにはいかない」
千早「ここで止めてみせる」グッ
ドドドドド
春香「そっか、残念…千早ちゃんはあくまでも、私に対抗する気でいるんだ」
千早「ええ。そのために今日まで鍛えてきた」
春香「ふーん…じゃあ、千早ちゃんには美希と同じ目に遭ってもらおっか」
ドドド
千早「だったら…春香には美希よりももっと酷い目に遭ってもらうわ」
ドドドド
641:『START!!』その②:2013/07/16(火) 22:47:41.56 :pddZCa+No
春香「やってみなよ、千早ちゃん!」
千早「言われなくても…『インフェルノ』!」カッ!
バヒュウ!!
春香「ふーん…これが千早ちゃんのスタンドかぁ…」
春香「能力は、ものを『軽く』するんだっけ? 『温度』を変えるんだったっけ」
春香「ま、どっちでもいいけど」
ユラ…
千早「!」ピタッ
千早(春香の姿が歪んで消えていった…これが『五感支配』というやつかしら)
バチィ!!
千早「う…っ!」
千早(止めた腕が弾かれたわ…外した時点でさっさと引っ込めるべきだった)ビリビリ
千早(春香の『アイ・ウォント』、なかなかの正確性を持つスタンドのようね)
千早(けれど、攻撃のタイミングを見るに…私の『インフェルノ』の方が速い)
千早(問題はどうやって春香を捉えるか…だけれど)
643:『START!!』その②:2013/07/16(火) 22:48:29.44 :pddZCa+No
千早「………」
シン…
千早(音がない…私が動くまで行動する気はない…と言うことかしら)
千早(なら、誘き寄させてあげるわ)
千早「『ブルー・バード・インフェルノ』」ヒュオッ
スカッ
千早(………)
コッ
千早「そっちね」クル
春香「あ、速…」
千早「そこよ!!」ブオンッ
シン…
千早「ん…?」
春香「うん、方向は合ってる。方向だけは…」
千早「!」
春香「でも…ちょっと『射程距離』が足りないかな? 美希の『リレイションズ』よりは長いけど、それでも2mちょっとくらいみたいだね」
645:『START!!』その②:2013/07/16(火) 22:49:48.34 :pddZCa+No
千早「呑気に話している場合じゃあないでしょう、春香」
春香「お? こっちに来る?」
千早(声の聞こえた方にいるのはわかった、けれど私が突っ込んでいけばどちらかの方向に逃げるはず…ならばそこに『インフェルノ』を…)
コツッ
千早(右ね…!)
千早「んあっ!」ギュオン!!
シン…
千早「う…」
千早(駄目だわ、手応えがない…)
千早(これは、春香の足音じゃない? 何かを床に落とせばそれで音は出る…)
千早(見透かされてる…ということは、春香は元の場所に…)
春香「ちーはやちゃん」ボソッ
千早「…!」ゾク
千早(じゃない! 後ろにいる…いつの間にか回り込まれている…!!)
春香「無駄」ヒュッ
千早「ぐ…っ!」ガスッ
春香「無駄無駄」ダダン
ドス! ガスッ
春香「無駄無駄無駄無駄」ズダダダ
千早「きゃ…!!」タッ
ザザ…
647:『START!!』その②:2013/07/16(火) 22:50:59.79 :pddZCa+No
春香「ほらほら、もっと頑張ってよ千早ちゃん。これなら美希の方が強…」
千早「『イン…」
春香「!」
千早「…フェルノ』!!」ゴッ
春香「防いで『アイ・ウォント』」バッ
ガキィィィン
千早「そこよ…!」ビュォ
ド ド ド
春香「うっ!」ガギャァ!
千早「んああっ!!」バ バ
春香「くーっ…!」バシィ!!
千早(浅い…)
春香「千早ちゃん、結構突っ込んでくるね…怖くないの? 『アイ・ウォント』が」
千早「知らないわ。『それ』を見たのは今日が初めてだもの」
千早「そんなものを、どうやって怖がれというの?」
春香「ふーん…ま、いいけど」
649:『START!!』その②:2013/07/16(火) 22:52:05.01 :pddZCa+No
春香「千早ちゃんのそれ、『ブルー・バード』…だったっけ」
千早「『ブルー・バード・インフェルノ』よ」
春香「私、千早ちゃんには『矢』を使った覚えないんだけど…なんで、使えるのかなぁ。『スタンド』を」
千早「さぁ…私にもわからない。だけど、そんなことはどうだっていい」
千早「私はこの『インフェルノ』を貴女を止めるために使う…それだけでいい」
春香「止める? 無駄だよ、無駄。未だに私の『アイ・ウォント』を捉えられないのに」
千早「やってみなければわからないわ」
春香「わかるよ」ス…
パンッ!!
千早「!」ビク
シン…
千早(音が…消えた…?)
ガキィ!!
千早「くっ…!?」メシャ
ザザ
千早(何処からか攻撃を受けた!?)
651:『START!!』その②:2013/07/16(火) 22:52:58.33 :pddZCa+No
千早(春香が攻撃している!? しかし、足音がしないのは…)
シーン…
千早(そうか、スタンドには足音がないから…! これではどこから来るのかがわからない…!)
バシィィン!!
千早「ぐっ!!」ブン
スカッ
ザザザッ
千早(当たらない…)
千早(正確に打ち込んでくる…反撃しようにもすぐに避けられるわ、間に合わない…)
ズリズリ…
千早(離れても、この方向でいいのか…『アイ・ウォント』の射程距離はどれくらい?)
千早(また攻撃は来る…どうやって躱す? 次は…どこから…)
ピタ…
ズズ…
春香「千早ちゃん、どうしたの立ち止まって…もう諦めちゃった?」
千早(姿を現した…けれど、やはり見えてからでは間に合わないわね…)
春香「ヴァイッ!!」ブオン
フワ…
・ ・ ・ ・
春香「………ん?」
千早「どこから来るのかわからないのなら…」フワリ
千早「どこでもいいわ。当たらなくすればいいだけの話よ」
653:『START!!』その②:2013/07/16(火) 22:53:57.54 :pddZCa+No
春香「なに、それ…」
千早「叩き込む、『ブルー・バード』!!」
ポフッ
春香「ん?」
千早(当たった! このまま体重を戻し、更に春香の体重を『奪って』…)
ズシ…
春香「う…?」
千早(『ブルー・バード』を『重く』する!)
ドズゥ
春香「うぐっ…!」
ズシャァァァ
春香「こ…これは…」
千早「よし…捉えたわ、春香…」
655:『START!!』その②:2013/07/16(火) 22:54:56.80 :pddZCa+No
春香「どういうこと? 『スタンド』は一人一能力のはず…」
千早「『インフェルノ』は『ブルー・バード』の能力の延長線上よ」
千早「『熱』を『奪い』『与える』『インフェルノ』に対し、この『ブルー・バード』は『重量』を操作する」
千早「私の体重を空気より『軽く』し…当てた瞬間、体重を戻し更に『奪って』一時的に『重く』した」
千早「美希の『リレイションズ』には破られたけど…貴女の『アイ・ウォント』相手には通用するみたいね」
春香「二つの『ブルー・バード』…二つの能力…」
春香「それは…ちょっとずるくないかな、千早ちゃん…」
千早「ずるい? 貴女からそんな言葉を聞くとは思わなかったわ春香」
春香「『軽く』する能力…ですって? そんなもの、『アイ・ウォント』で…」
フッ
千早「また消えた…けれど…」
ブワッ
千早「もう、当たらないわ」クルン
春香「空中で一回転した…!?」
千早「『ブルー・バード』!!」ヒュン
春香「ぐっ…」ボギャ
ズガァァァァァ
春香「むうううっ!!」
657:『START!!』その②:2013/07/16(火) 22:56:27.72 :pddZCa+No
ズズ…
春香「ふぅーっ…」
千早「さぁ…チェックメイトよ、春香」
春香「こんなので私を追いつめたつもり?」
千早「もう貴女が私に攻撃を加える手段はないわ」
千早「『五感支配』を使おうと関係ない。私の方が優位よ」
春香「何もわかってない…美希も、千早ちゃんも…私の『アイ・ウォント』の恐ろしさを」
千早「確かに、みんなの言う通り恐ろしいスタンドであるとは思うわ。けれど、どうしようもない差があるわけではない」
春香「ふ…」
千早「?」
春香「あはははははははは! あはははは!」
千早「は…春香?」
春香「ああ、駄目だ…もう駄目! これで笑うなって方が無理!」ケラケラ
千早「………」
659:『START!!』その②:2013/07/16(火) 22:57:27.92 :pddZCa+No
春香「あっははははははは! ひーっひひひっひ!!」
千早(…よくわからないけれど…)
春香「ひぃーっ、ひぃーっ…」
千早(笑い声が聞こえるということは、そこにいるのね?)
千早「『ブルー・バード』!」
春香「あーっはっはっはっはっは」
バォッ ドガ ドギャ ズギャ
春香「おぶっ」グギャン
千早「春香…一体どうしたの? 何がそんなにおかしいの?」
春香「すぐにわかる…いや本当に、面白くて仕方ないよ…ふふふ…」
千早「なら、勝手に笑っていなさい。顔には手を出さないであげるから」
春香「おっとぉ、そうはいかないよっ!」ヒュッ
千早「む!」バッ
661:『START!!』その②:2013/07/16(火) 22:58:22.02 :pddZCa+No
ピシ! ピシ!
・ ・ ・
千早「浅いわ、春香! そんな攻撃で…」
春香「ヴァイッ!!」ゴォッ
バッチィィィ!!
千早「ん!?」
春香「そーれっ!!」グイーン
バチィ!!
千早「おおっ!?」
千早(こ…これは!? 『アイ・ウォント』のパワーが上がっている…)
千早(今までは本気じゃあなかったってこと…? それとも…)
春香「無駄ァッ」ビュオッ!!
千早「『インフェルノ』!」ガスッ
春香「ん…」
千早「こうして見た目通り防げるということは、『五感支配』に使っていたパワーを回したのね? それしか考えられない」
春香「はー…」
千早「でも…こっちの方が…私のスタンドの方が強いわ」
千早「んあっ!!」ゴォッ!
春香「きゃああああっ!!」ガキィン!!
ズザザ
663:『START!!』その②:2013/07/16(火) 22:59:35.05 :pddZCa+No
春香「はぁ、はぁ…」
千早「さぁ、春香…これで全て終わりよ」
春香「ああ…そっか、そうみたいだね」
千早「………」
千早(何、春香のこの態度は…諦観? それとも何か隠している…?)
千早「春香、降参しなさい。そうすればもう攻撃はしない」
春香「降参? 冗談でしょ」
千早「もう決着は着いた、これ以上やる意味はないわ」
春香「なら、『再起不能』させれば? 負けを認めればスタンドは力を失う」
千早「………」
千早(やはり…何か企んでいる…?)
千早(けれど…ここで引き下がる選択肢なんてないわ。春香の『何か』に怯え引き下がるようなら、私の精神は敗北したということになる)
千早「なら、望み通り…『ブルー・バード・インフェルノ』!!」ゴオッ
春香「………そろそろ、いいかな」ス…
665:『START!!』その②:2013/07/16(火) 23:00:16.45 :pddZCa+No
パチン
千早「!」ビクッ
千早(何? 春香が指が鳴らし…)
千早「…は?」オオッ
美希「え!?」ピタッ
千早(美…希…? なんで、美希の『リレイションズ』が私の目の前に!?)
千早(駄目だわ、『インフェルノ』を止め…)
グシャァァァ
美希「おぶっ」ドザァ
ドッバァァーッ
千早「あ…!! …!」
ドドドド ドドドド
美希「う…」ピク…
千早「み…美希…?」
667:『START!!』その②/おしまい:2013/07/16(火) 23:01:13.86 :pddZCa+No
春香「はい、おしまい」
685:『逆襲のインフェルノ』その①:2013/08/03(土) 00:17:39.14 :0PWTRv5oo
千早「え…?」
春香「千早ちゃんのそのスタンド…」
春香「美希ほどは使いこなせてるわけじゃあないみたいだね。美希のはピッタリ止まったのに」
美希「うっ、くぅ…っ…」ブルブル
千早「な、なんで美希が…?」
美希「う…うぅ…」
千早「だって美希は…春香にやられて…そこで…」
春香「うん、今やられたね。私じゃあない、千早ちゃんの手で」
千早「美希が戦ってて…え? 私と…?」
春香「まだわからないかなぁ。『アイ・ウォント』の能力、忘れたの?」
千早「は…」
春香「ああ、千早ちゃんはわからないのか。直接見せたのはこれが初めてだから…」
千早「ご…『五感…支配』…まさか…!」
春香「『五感支配』…ね」
春香「ま、そうだよ。美希も千早ちゃんも…互いのことを私だと思って戦っていた」
千早「そんなこと、『アイ・ウォント』にできるはずがない…!! 音も映像も確かに…」
春香「千早ちゃんには言ってなかったし、見せてもなかったね…私、二つの感覚を『支配』できるの」
千早「そ…そんな…」
687:『逆襲のインフェルノ』その①:2013/08/03(土) 00:33:32.96 :0PWTRv5oo
美希「いや…ちょっと待って…」
千早「! 美希…」
春香「あれ? 美希、千早ちゃんの『インフェルノ』の攻撃を受けてもう喋れるんだ」
美希「だとしても…『五感支配』でごまかしたとしても、カンペキに騙しきるなんてできっこないの…」
春香「なんで?」
美希「春香が操れるのは二つだけ…他の感覚は元のままだから、繋ぎ繋ぎでごまかしてもどこかヘンになってるはずなの」
美希「人そのものが変わっていれば尚更! 動きとかで、ゼッタイボロは出てる! 違和感感じるはず…!」
春香「違和感は覚えるものだよ、美希」
美希「春香は国語の先生なの…」
美希「いや、そんなことどうだっていい…! ミキと千早さんの両方を、どっちも春香だと思わせようとするなんて、そんなことできるわけが…」
春香「ねぇ二人とも、『ダウジング』って知ってる?」
美希「へ?」
千早「は?」
春香「細い鎖に重りを繋げた振り子…鎖の先っぽを握って重りを垂らすと、手の僅かな動きによって振り子が揺れる」
春香「その振り子の揺れる方向に、探し物があるという…これが『ダウジング』。地下水脈を探すのに使われるらしいね」
千早「い、いきなり…何の話…? 何を言っているの…?」
689:『逆襲のインフェルノ』その①:2013/08/03(土) 00:36:42.51 :0PWTRv5oo
春香「知らない? なら『こっくりさん』でもいいよ」
春香「『こっくりさん』っていうのは文字が書かれた紙の上で十円玉に触れると、十円玉が勝手に動いて質問に答えてくれるってものなんだけど…」
美希「いや…それは知ってるケド…」
春香「『ダウジング』で水脈や、なくしものを見つけられる…『こっくりさん』が答えを出す…何故だと思う?」
千早「ただの偶然よ…そういうオカルトめいたものはあまり信じてはいないわ」
美希(千早さん、スタンドのことはどう思ってるんだろ…)
春香「他には…そう。漫画家の『荒木飛呂彦先生』は子供の頃、見えないところからやってきた医者の存在を探知できたという」
千早「…それとこれと、何の関係があるの?」
春香「ん?」
美希「さっきから何? ゼンゼン意味わかんないの」
千早「要領を得ないわ。はっきり言ってくれないかしら、一体何を言いたいのか」
春香「ああ、うん。『ダウジング』とか『こっくりさん』とか『荒木先生』はあまり関係なくて…つまり、何が言いたいかと言うと」
春香「人間の『脳』は感覚を使わなくても、無意識のうちに周囲のことを感じ取っているってこと」
美希「???」
千早「………」
春香「ああ、そんな顔しないでよ…こっちも、説明するのが難しいんだから…」
691:『逆襲のインフェルノ』その①:2013/08/03(土) 00:41:16.68 :0PWTRv5oo
春香「この10円玉だけど…数字描いてある方が裏ね」
ピン!
春香「さぁ千早ちゃん、表と裏どっちだと思う?」パシッ
千早「は?」
春香「答えてよ、話が進まないからさ」
千早「………『裏』」
ス…
春香「うん、正解。答えは『裏』」
千早「…これが何なのかしら」
春香「千早ちゃん、今この10円玉の表裏を当てられたのは何故?」
千早「これこそ偶然よ。二分の一だもの、たまたま当たっただけ」
春香「じゃあ、裏を選んだのはなんで? 表でもよかったのに」
千早「…勘よ。特に理由はないわ」
春香「そう、それ。『勘』。それが重要なんだよ」
千早「勘が重要って、何を言っているのか…」
千早「…………え」
美希「千早さん?」
693:『逆襲のインフェルノ』その①:2013/08/03(土) 00:42:10.14 :0PWTRv5oo
春香「千早ちゃんは気づいたみたいだね」
千早「いえ…まさか、そんな…」
春香「人間は例え『五感』で感知できないようなものの存在も、潜在意識ではわかっている」
春香「だから、無意識に振り子を揺らしたり…10円玉を動かして答えを出す」
美希「そんなの、アレがないの。えーと…コンキョ?」
春香「そう、はっきりとした根拠はない! 本人も気づいてすらいない! けど、わかっている!」
春香「それが『勘』というものなんだよ!」
千早「『勘』…」
千早「『勘』というのは、つまり『直感』…」
美希「ちょ、直…『感』…?」
美希「ま…」
ドドドド
美希「まさか…」
ドド ドドド
春香「そう、『直感支配』!!」
ドドドドドド
695:『逆襲のインフェルノ』その①:2013/08/03(土) 00:43:19.88 :0PWTRv5oo
千早「直感は『第六感』とも呼ぶ…」
千早「『六感…支配』…!」
春香「そうそう。二人とも、さっきから『五感支配』『五感支配』って…ふふ…」
美希「そ…そんな馬鹿なコトって…!!」
春香「成長しているんだよ、私の『アイ・ウォント』も」
春香「『直感』をズラせば勘は100%外れる、普通なら気づくはずのほんのささいな違和感にも気づかない」
美希(ミキが振り向かされたのもそれのせい…!?)
春香「さっきのは、千早ちゃんの『直感』に10円玉のことを深く植え付けた」
春香「千早ちゃんは偶然と言ったけど…あのまま繰り返してたら、何十回でも何百回でも千早ちゃんは当て続けただろうね」
千早「そんな馬鹿なことが…」
春香「『直感』自体の影響は微々たるものだし…流石に、『五感』ではっきりとわかるような事実はごまかせないけどね」
美希「『アイ・ウォント』は受け入れた感覚しか支配できない…じゃあ、『直感支配』はどこから…」
春香「さっきから言ってるでしょう! 『人間の脳』は! 無意識のうちに! 『視覚』よりも! 『聴覚』よりも! 遥かに多くの情報を手に入れている!」
春香「『アイ・ウォント』はただそこに在るだけで『直感支配』できるッ!!」
697:『逆襲のインフェルノ』その①:2013/08/03(土) 00:44:53.01 :0PWTRv5oo
春香「これで種明かしは終了。わかったかな?」
千早「自分からは手を出さず、私と美希を戦わせたわね…」
千早「なんのために…こんなことを…」
春香「真正面から挑んじゃあ流石に…能力の大半を『六感支配』に使っている『アイ・ウォント』じゃ美希の『リレイションズ』や千早ちゃんの『インフェルノ』には勝てないからね」
春香「でも…互いのスタンドなら…」
美希(千早さんの『インフェルノ』と同じくらいのパワーとスピード…)
美希(当たり前だった、ミキが戦っていたのは千早さんだったんだから…)
千早(『リレイションズ』と同等の能力…正確性…)
千早(私は…美希を相手に戦わされていた…)
春香「『直感』は人の『潜在意識』…すなわち『精神』そのもの」
春香「そしてスタンドは『精神』のエネルギー…すなわち、『精神』を支配できる『アイ・ウォント』は…」
春香「『スタンド』の頂点…ということだよ」
千早「こ…こんなもの、ただ同士討ちを仕向けただけじゃない…! 『アイ・ウォント』自身の力で勝ったわけじゃあない!」
千早「そんなのが頂点であるわけが…」
699:『逆襲のインフェルノ』その①:2013/08/03(土) 00:46:41.11 :0PWTRv5oo
春香「ねぇ千早ちゃん…ちゃんと現実見なよ」
千早「なんですって?」
春香「千早ちゃん達はボロボロ、私は無傷。それが今の状況だよ」
千早「くっ…」
春香「勝てるんだよ。千早ちゃんは自身の力じゃないって言ったけど、これが『アイ・ウォント』の力なの」
春香「みんなで私を倒そうとしてるみたいだけど…無駄。何人集まっても、無駄。無駄無駄無駄無駄」
春香「集まれば集まるほど…相手が多ければ多いほど、『アイ・ウォント』は脅威を増す」
春香「ま…一対一でも私は負けないけどね」
千早「………」ブルッ
千早(なんなの…春香のこの『自信』は…)
春香「…その顔。『アイ・ウォント』の恐ろしさを知った人はみんなそういう顔をするね」
千早「うっ…!」
千早(飲まれている…春香に…)
美希「千早さん…!」
千早「!」ハッ
春香「ん?」
701:『逆襲のインフェルノ』その①:2013/08/03(土) 00:47:27.79 :0PWTRv5oo
美希「折れたら駄目なの…!」
千早「…美希」
美希「恐怖を感じたら『アイ・ウォント』には勝てなくなる…!! だからしっかり…」
春香「『アイ・ウォント』」ヒュッ
美希「ぐふっ…!」ボコォ
千早「………は」
ガクン
春香「最初に私に逆らってきたのは美希だったね…」
春香「美希があんなことを言い出さなければ、こうはなってなかったかもしれないのに」
春香「私は『矢』を手放すつもりはない。そのことさえわかってくれれば、『再起不能』にまで追い込んだりはしない」
春香「だからもう襲って来ないで」
千早「…るか…」
春香「ん?」
千早「春香ああああああああああああ」ズアッ
春香「案外…元気だね。美希がちゃんと止め刺さないから」
703:『逆襲のインフェルノ』その①:2013/08/03(土) 00:48:18.27 :0PWTRv5oo
千早「『インフェルノ』ォォォーッ」ヒュバ
スカッ
・ ・ ・
ボコォ
千早「が…!」
春香「さっきも言ったでしょう! 精神を『支配』する『アイ・ウォント』はスタンドを支配する存在!」
春香「無駄だよ、無駄! 千早ちゃんのスタンドじゃ、私に触れることすらできない!」
千早「美希に…あそこまでする意味はあったの!? 春香…!!」
春香「やったのは千早ちゃんでしょう? 私は止めを刺しただけ」
千早「は…春香ぁぁぁ…!!」
春香「やだなぁ、そうやって敵意剥き出しにして…」
千早「ああああああ!!」ヒュン
春香「向かってくるなら、いくらでも相手してあげるよ。千早ちゃんが無駄だと理解するまでね」
705:『逆襲のインフェルノ』その①:2013/08/03(土) 00:49:51.43 :0PWTRv5oo
美希「ち…」
美希「千早さん、落ち着いて…! ミキは何もされて…」
春香「無駄だよ美希。美希が何を言ったところで、千早ちゃんには届かせないから」
春香「ほら、見なよ美希。美希にやったことが、『六感支配』によるものだってことも気づいていない千早ちゃんの姿を」
千早「ああああああ!!」ヒュン
春香「こうなったら…」
千早「んあっ!!」ゴォッ
ブンッ!!
春香「人は、脆い。簡単に崩れる」シュッ
千早「が…!!」ドゴォ
美希「千早さん…!」ググ…
春香「無理しない方がいいよ、美希。千早ちゃんの攻撃をモロに受けたんだから。それに…」
春香「美希が立った所で、また同士討ちになるだけだと思うけどなぁ。あはは」
美希「く…」
707:『逆襲のインフェルノ』その①:2013/08/03(土) 00:50:37.51 :0PWTRv5oo
千早「ふーっ、ふーっ…」
千早「そこっ!!」ブンッ
スカッ…
春香「『勘』で当てようだなんて無駄だよ。『直感支配』で100%外れるって、言ったよね?」
千早「くっ…」
春香「そもそも、私は千早ちゃんの射程距離の中にはいないし」
千早「なんですって…?」
春香「嘘だよ、ちょうどこっちの方にいるよ。ほら、声のするところ」
千早「そ、そうなの…? いえ、そんな言葉に騙されは…」
春香「そうだよ、こっちだよ」春香「いやいや、こっちこっち」
千早「…!」
春香「ねぇ、千早ちゃ~ん」ボソッ
千早「あああっ!!」ヒュバッ
スカッ…
千早「ああ…」プルプル
709:『逆襲のインフェルノ』その①:2013/08/03(土) 00:51:40.50 :0PWTRv5oo
ブゥン…
千早(は…春香の姿が…)
春香「無駄」春香「無駄」春香「無駄」春香「無駄」
千早(春香の声が、あらゆる方向から響いてくる…!!)
グルグル
春香「「「「無駄無駄無駄無駄」」」」グルングルン
千早「あああ…ああああ…!!」ブン ブン
春香「そんな攻撃じゃ」春香「当たらないよ」春香「千早ちゃん、だだっ子みたい」
春香「「「「あはははははは」」」」
711:『逆襲のインフェルノ』その①:2013/08/03(土) 00:52:41.95 :0PWTRv5oo
千早「ああああ…っ!!」ブルンッ
美希「う…千早さんの声、すっごくプッツン来てる…」
美希(どうにかしないと…誰か呼ばなきゃ…!)
美希(! ケータイがあるの! 春香に気づかれないよう、コレで連絡を…)サッ
カタカタカタ…
美希(あれ、勝手に画面に文字が…?)
それは
リモコン
だよーん☆
ズズ…
美希「…っ!!」ポチポチ
美希(遊ばれてる…完全に…!!)
春香「ねぇ、美希。『春香さんには勝てません、諦めます』って言ってよ。そうすれば…」
美希「うるさいっ!」
春香「おお、こわいこわい」スゥ…
美希(『ロック』もない…『視覚』と『聴覚』…二つの感覚を『支配』されたらどうやって春香を認識したらいいの…!?)
美希「………」ハッ
美希「リモコン…テレビの…リモコン!?」
713:『逆襲のインフェルノ』その①:2013/08/03(土) 00:54:05.05 :0PWTRv5oo
千早「ああああ…っ…!!」ブオン ブンッ ブオッ
ス…
春香「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄」ダム ドギャ バギャォ
千早「うぶっ」ゴキャ
グギャン
メシャァ
千早「はぁ、はぁ…」
春香「千早ちゃんには私を認識出来ない。認識できなければ攻撃すら出来ない」
春香「だから、こうなるのは『必然』なんだよ千早ちゃん」
千早「っはぁ…ぁ…」
千早「うっ…」クラッ
千早(『視覚支配』を中心に…『聴覚支配』と『直感支配』…合間合間にもう片方を挟んでくる…)
千早(もう、何が何だかわからないわ…春香をまともに捉えることもできない…)
千早(春香の『六感支配』…どうやって攻略すればいいのか、見当もつかない…)
715:『逆襲のインフェルノ』その①:2013/08/03(土) 00:55:38.86 :0PWTRv5oo
千早(駄目なの…?)
千早(私では、春香を止めることは出来…)
ブワッ
・ ・ ・ ・
千早「………」ビリビリ
千早(何? 何かが…あっちの方から何かの衝撃が…私の体にぶつかってくる)
春香「?」
千早「『ブルー・バード』…」ズ…
ヒュオッ
バキィ!!
千早「………」
千早(これは…テレビ?)
717:『逆襲のインフェルノ』その①:2013/08/03(土) 00:58:11.80 :0PWTRv5oo
春香「あ…止まった?」
美希「………」
春香「美希…どうしたの、テレビの電源なんかつけて。しかもボリュームまで上げて…」
春香「でかい音を出して、あっちの部屋にいる小鳥さんにでも気づかせようと思ったのかな?」
美希「………」
春香「でもね、美希。『聴覚支配』のための音は『アイ・ウォント』が起こした『音』であればいい、ここで起こっている音は最初から聞こえなくしてあるよ」
春香「それに『直感支配』で違和感も拭い去っている。『スタンド使い』じゃなくても、『なんとなく、何かがある』ってことは脳は感知してるみたいだから」
春香「ここで何があったとしても、気づく人はいないし…第一誰か来たとしても、何が起こっているのさえ理解できない」
美希「違う…ミキが狙ってるのはそんなことじゃあないの」
春香「?」
美希「春香にはわかんないか」
春香「………なに?」
719:『逆襲のインフェルノ』その①:2013/08/03(土) 00:59:17.31 :0PWTRv5oo
千早(今のは…これも春香の『六感支配』?)
千早(いえ、わざわざこんなことをする理由がないわ…すると、美希?)
千早(美希が…何故? 私に何か伝えたいことでも)
千早(…いや、待って。私はどうしてテレビの場所がわかったの?)
千早(目には見えない、音も聞こえなかった…)
千早(そしてなぜ、私はテレビを殴ったとわかったの…?)
千早(そう、私は何かが体にぶつかってくる感覚があって…まるで…)
千早(ライブの時、歓声が自分に降り掛かってくるようなあの感じ…)
千早「………!」
千早「そう…そういうことね…美希」
春香「え…なに? あのテレビになにかあったの?」
千早「『インフェルノ』」
シュー シュゥゥゥーッ
春香「千早ちゃんのスタンドが…腕から蒸気を吹き上げてる…?」
721:『逆襲のインフェルノ』その①:2013/08/03(土) 01:00:49.62 :0PWTRv5oo
春香「何をするつもり? 何がわかったのかな」
千早「『五感』で情報を得る方法は光や音だけではない…」
千早「音による空気の震え…振動だって、私達には感じ取れる」
春香「ああ、振動…なるほど、『視覚』と『聴覚』が使えないなら『触覚』か…」
春香「でもね千早ちゃん、『アイ・ウォント』は『スタンド』! 意識させなければ移動による空気の揺れだとか…足音だとかの振動は起こらないよ!」
春香「私だって、さっきから一歩も動いてない! この話し声だって、『聴覚』に直接訴えている!」
春香「振動で感知!? 無駄だよ、無駄! 私は一切の震えも起こしていない!!」
春香「なんのために自分に『熱』を集めているのかわからないけど、振動がなければ『触覚』で感じ取れる情報なんて…」
千早「春香。どうして私がこんなことをわざわざ話していると思うの?」
春香「はい?」
千早「自分に『熱』を集めている…? 違うわ、春香」
春香「それじゃ、な~にをやってるっていうのかな千早ちゃーん!?」
千早「私の目的は、熱くすることではない…その逆、周囲の空気を冷やしているのよ」
春香「…?」
723:『逆襲のインフェルノ』その①/おわり:2013/08/03(土) 01:01:28.24 :0PWTRv5oo
ゴゴゴゴ
フワ…
春香「…ん? 風…」
コォォォォ
千早「空気は暖かい場所から冷えた場所に移動する。空を羽ばたく鳥のように…風の流れを感じ取る」
ヒュゥゥゥゥゥ…
千早「肌に触れる感覚の違和感…気流の乱れがあれば…」
スゥ…
千早「春香…貴女はそこにいる」グッ
春香「…!」ゾク
ゴゴゴゴゴゴ
千早「やっと…今度こそ、捉えたわ。春香」シュゥゥゥゥ…
千早「『インフェルノ』」ボ
春香「『アイ…」
千早「んあっ!」ビュシィッ!!
春香「うげ!」メキャア!!
738:『逆襲のインフェルノ』その②:2013/08/05(月) 23:46:34.06 :bqLZS2D1o
春香「うが…ががが…っ…!!」
シィーン…
千早「………」
千早「殴った音は聞こえない。私から見ても全く見当外れの所を叩いている」
ググ…
千早「でも…感触は確かにある」
春香「ぉ…」
千早「ためらったりは…しないわ」
千早「『インフェルノ』ォォーッ!!」ゴォッ
ズババ バババ ババババ
春香「ああああああああ!」ジュッ
ジュァァァァァァ
ドギャン!!
ジュゥ!!
春香「も…『燃える』!」
春香「空気から奪った『熱』を…そのまま攻撃に…ッ!!」ジュァァァァ
741:『逆襲のインフェルノ』その②:2013/08/05(月) 23:59:36.42 :bqLZS2D1o
コォォォォォ
春香「はっ!?」
千早「まだ終わりじゃないわ」ジュゥゥゥ…
春香「ちょっ…ちょっと待…」
千早「はぁっ!!」ヒュン!
春香「がっ…!!」ガギャ
バリバリバリ
スゥ…
千早「!」
美希「あっ、『アイ・ウォント』の『六感支配』が解除されたの!」
春香「く…ああ…」ジュゥァァッ
千早「空気の振動…風の動き。完全とはいかないけれど、『インフェルノ』のスピードがあればさほど問題にはならないわね」
春香「こ、こんな…こんな…ことで…!」シュゥゥゥゥ…
743:『逆襲のインフェルノ』その②:2013/08/06(火) 00:00:57.83 :doCE6jZNo
千早「人は『触覚』でも物事を感じ取れる、そして私の『インフェルノ』なら風の操作ができる…」
千早「これが伝えたかったのね、美希」
美希「はいなの!(そこまでは考えてなかったケド)」
春香「風の…動きですって!?」
春香「そんなもの…『アイ・ウォント』!!」
ブァッ!!
千早「!」
ゴォォォォォォ
千早「これは…」チリッ、チリッ
春香「『触覚支配』で空気の触れる感覚を操った! これで…」
千早「そこね」ヒュオッ
春香「うびゃ!!」ゴギャ!
春香「な…なんで…『触覚支配』で、もう私の居場所はわからないはずじゃ…」
千早「ええ。音も肌の感覚も、まるで部屋の中に暴風が吹いているようだったわ」
千早「…あなたの姿は丸見えだけれど」
春香「はっ!?」
745:『逆襲のインフェルノ』その②:2013/08/06(火) 00:24:41.40 :doCE6jZNo
千早「どうやら、『実は三つ支配できる』とはいかないようね」
春香「ぐ…ぐぬぬ…」
千早「『視覚』『聴覚』そして『触覚』…これで三つ。貴女が二つの感覚を『支配』しようが、私にはもう通用しない」
千早「『直感支配』で違和感を奪っても、はっきりと捉える感覚が増えるだけ…何も問題はない」
千早「さぁ…どうする? 春香…」
春香「………無駄ァッ!!」グオッ
千早「『インフェルノ』」ヒュバ!
春香「うおっ…」ドゴォ
ザザッ
春香「速…」フラ…
ドサァ
春香「あ…」ジュゥウッ
春香「ああああ…熱い! 熱いぃぃぃぃぃ…」ゴロゴロ
747:『逆襲のインフェルノ』その②:2013/08/06(火) 00:25:44.48 :doCE6jZNo
千早「地獄の業火に身を焼かれる気分はどうかしら、春香」
美希「………」
春香「調子に…乗らないでよ…」
千早「あら、それを貴女が言うの? 散々調子に乗ってきた貴女が」
春香「千早ちゃんんん…!!」ズズズ…
・ ・ ・
千早「…何度姿を消しても同じよ。『インフェルノ』で空気を冷やして…」
美希「千早さん、気をつけるの!」タタッ
千早「美希…動かないで。春香の居場所を探知できないわ」
美希「春香は何か企んでるの!」
千早「美希…」
美希「だから…」
千早「動くなと言ったでしょう」ズビュ!!
美希「ぐべ!!」ゴシャ
749:『逆襲のインフェルノ』その②:2013/08/06(火) 00:26:37.01 :doCE6jZNo
ズズ…
春香「な、なんで…」ヨロ…
千早「あら…春香だったのね」
美希「自分にミキの姿を重ねて、千早さんを騙そうとしてたんだね」
美希「だけど、千早さんには…」
千早「気づかなかったわ。姿も声も美希だし、探知にも引っかかるし…」
美希「え?」
春香「気づかなかったって、美希だと思って攻撃したってこと…?」
千早「まぁ、怪しいとは思ったけれど」
美希「え?」
春香「本当に美希だったらどうするつもりだったの千早ちゃん…」
千早「仮に本物だったとしても、忠告を無視した美希が悪いのであって、私は悪くないわ」
美希「え?」
751:『逆襲のインフェルノ』その②:2013/08/06(火) 00:27:38.23 :doCE6jZNo
春香「ふふ、美希だって気づかなかった? でも攻撃した」
春香「そんな戦法はいつまでも続かない…ヴァイッ!!」ゴッ
千早「! そこっ!」ヒュッ
スゥ…
千早「偽物ね、向かってくるから思わず反応してしまったわ…」
千早(『インフェルノ』、空気を早いところ冷やして…)シュゥゥゥ…
ズ…
ズズズ…
美希「千早さん! 後ろから出てきてるの!」
千早「わかったわ」クルッ
春香「あはは! かかったね、千…」ゴォッ
ズ…
春香「え…? 『スタンド』が…こっちを向いて…」
千早「『インフェルノ』」ビシュゥ!!
春香「おおおおおおおおおおッ!?」バッ
ズギャッ ギャギャン ギャギャォン
ズザザザザザ
753:『逆襲のインフェルノ』その②:2013/08/06(火) 00:28:11.92 :doCE6jZNo
ザリ…
春香「なんで…あらかじめ『直感支配』で違和感は潰しておいたはずなのに…」シュゥゥゥゥ…
千早「耳はいいのよ、私は」
春香「は…?」
千早「美希の声はしたけれど、他の物音は全くしなかった…明らかに不自然だわ。『直感支配』でどうにかなるような違和感じゃあない」
千早「だから振り向きながら、背中に『インフェルノ』を出した。結果的に、こっちが騙したみたいになったわね春香」
春香「う…ぐぅぅぅ…!!」
千早「いくら小細工をしたところで…そう、無駄よ」
千早「もう一度言うわ、春香。貴女に人を騙すことなどできない」
美希(違う…『アイ・ウォント』の『六感支配』、精度は凄く…えっと…スゴかった)
美希(ミキも千早さんも一度騙されてたし、さっきまで他の音がしないとか、そんな失敗はしなかった!)
美希(春香がこんなことで間違えるってコトは…春香は動揺してるってコト…)
美希(つまり、春香は千早さんに追いつめられてるの!)
千早「春香が『支配』できる感覚は二つ…そして『直感支配』。種はすべて割れた」
千早「そして…立ち向かう手段もある」コォォォォ…
春香「く…」
千早「もう、負ける道理はない」
755:『逆襲のインフェルノ』その②:2013/08/06(火) 00:29:02.98 :doCE6jZNo
春香「まだだよ…」
千早「?」
春香「まだ…………じゃない…」
千早(…? なんと言ったの、今?)
春香「『アイ・ウォント』…」ズズ…ズ…
千早「また『視覚支配』…芸がないわね」
千早「それはもう通用しないと…」シュゥゥゥ…
フ…
千早「…? え…!?」
千早(どこにもいない…探知に引っかからない?)
千早(まずい、油断しすぎた…春香を見失った…!)
春香「ふふ…空気による探知はそんな遠くまで感じ取れるわけじゃあないみたいだね」
千早(く…どこにいるの!? 風は繊細、うかつに動けない…)
春香「一旦、外に出て体勢を立て直す…千早ちゃんみたいに無闇に突っ込んだりはしない…」
757:『逆襲のインフェルノ』その②:2013/08/06(火) 00:30:08.13 :doCE6jZNo
春香「あの『空気探知』を封じる方法…エアコンをつけるか…うちわでも使うか…」
千早「…! ……!」アタフタ
春香「ふふ。千早ちゃんの姿、おかし…」
ムニュッ
春香「ん? 何かぶつかった?」クルッ
?「前くらい…」
美希「ちゃんと見るべきだって思うな」
春香「みっ…!?」
美希「『リレイションズ』!!」ゴォッ
春香「きっ」ダン!
<LOCK!
美希「そのうち逃げるかと思って、ドアのとこに立ってて正解だったの」
美希「1m! これで『リレイションズ』の射程距離内…」
春香「む…無駄ァッ」バッ
美希「なのっ!」シュッ
春香「うお…」バチィ!
759:『逆襲のインフェルノ』その②:2013/08/06(火) 00:30:49.30 :doCE6jZNo
<LOCK!
美希「なのなのッ」ズダ ダダ
春香「うぼっ…」
<LOCK! <LOCK!
美希「なのなのなのなのなのなのなのなのなのなの」
ダダ ダダ ダダダダダダダダダダ
<LOCK!LOCK!LOCK!LOCK!LOCK!LOCK!LOCK!LOCK!LOCK!LOCK!LOCK!
春香「ぐああああああああああああああああああああああああああああああ」
美希「なのっ!!」ゴキャ
バヒュゥ!!
春香「おぐっ」バリッバリバリバリバリ
ズッギャァァァーン
千早「! 美希、これは…」
美希「千早さん、油断しちゃダメだよ」
761:『逆襲のインフェルノ』その②:2013/08/06(火) 00:31:31.35 :doCE6jZNo
美希「さっきからミキを使って千早さんを騙そうとしてたみたいだけど…そうはいかないの」
春香「ま…まだ…」グ…ググ…
春香「あてっ!?」ズルッ
ドンガラガッシャーン
千早「………」
春香「こ…この…」グググ…
春香「きゃっ!」ガクン
ドンガラガッシャーン
春香「た…」
春香「立つことが…美希の今の攻撃で…立つことができない!?」
美希「千早さんにボコボコにされたダメージもあるし…」
美希「『リレイションズ』の攻撃はダメージが倍々に増えてく。あれだけ受ければそうなるに決まってるの」
春香「こ、この…美希がァァーッ!!」
美希「意味不明なの…」
千早「春香…哀れね」
763:『逆襲のインフェルノ』その②:2013/08/06(火) 00:32:07.58 :doCE6jZNo
春香「私が! 私の『アイ・ウォント』が! これしきで負けるわけない…!!」
フッ
美希(春香と音が消えた…千早さん!)
千早(わかってるわ)
コォォォォォォ
千早「そこよ」ヒュン
ズギャ
春香「うお…」フラ…
千早「もう一発」ギュゥン
春香「アグバァーッ」グゴャァン
ズ…ガガッ…
春香「ぐぅ、うぐ…」チリッ
美希「もう、スタンドにパワーもスピードもゼンゼンなくなってる。カンネンするといいの」
千早「貴女のダメージは限界に近いでしょう。チェックメイトよ、春香」
千早(春香のスタンド、『六感支配』…厄介ではある、だけど…)
千早(だけど…それだけよッ! 何も恐れることはない!)
765:『逆襲のインフェルノ』その②:2013/08/06(火) 00:33:05.23 :doCE6jZNo
春香「ぐっ、ぐうう…ぐぬぬ…」シュゥゥゥ…
千早「この光景は春香、また『視覚操作』で見せているのかしら? それとも、これが現実なのかしら」
千早「どっちでもいいわね。どの道…貴女の『アイ・ウォント』を『再起不能』させるまでやるだけだから」
春香「つ…」
春香「強い…」
千早「私が強い?」
千早「違うわ春香。一人でいくら意地を張っていたところで、所詮はそんなものなのよ」
春香「ふ…」
春香「ははははははっははっはははあーっはははっはははっははっはっっはっは!」
春香「ははははっは、ははっはーはっあはははっはははっはははは!!」
千早「ま、まだ何かあるのかしら…」
美希「正直、もうカンベンしてほしいって思うな…」
春香「は、あはは…ふぅ…」
767:『逆襲のインフェルノ』その②:2013/08/06(火) 00:33:56.62 :doCE6jZNo
春香「すごいよ、私の『アイ・ウォント』をここまで追いつめるなんて」
千早「追いつめる? 随分と悠長なことを言っているのね」
美希「これ以上変な悲鳴上げる前にコーサンした方がいいって思うな」
千早「『弓と矢』を破壊する…それで終わりよ、春香。目を覚まさせてあげるわ」
春香「千早ちゃんはさ…」
千早「ん?」
春香「前から、ずっと一人でなんでもできたよね」
千早「今の状況のことを言っているのかしら? それなら美希の…」
春香「才能もあって、プロデューサーさんにも最初から見てもらって…」
千早「…春香、貴女…」
春香「アイドル活動だって、最初から…」
千早「! それは違うわ! だって…」
春香「いいよ、なぐさめなんていらない」
千早「春香! 話を聞いて、私は…!」
春香「いいって言ってるでしょ!!」
千早「…!」ビクッ
春香「私は…ずっと足踏みしてた。今まで、前になんて進めていなかった。千早ちゃんとは…違う」
千早「春香…」
769:『逆襲のインフェルノ』その②:2013/08/06(火) 00:35:06.23 :doCE6jZNo
美希「千早さん、もう終わらせよう」
千早「ええ、そうね…そうしましょう」
春香「これで勝ったと本当に思ってる?」
千早「…それは貴女が一番よくわかってるんじゃないかしら、春香」
春香「そうだね。『アイ・ウォント』は完全に敗北した。本当に『再起不能』ってくらい完膚なきまでに…ね」
春香「けど、私が負けたわけじゃあない」
美希「? どーいうコト?」
春香「私にはまだ…これがある」ス
千早「え?」
春香「これだけは使いたくなかった。使うつもりはなかった」
キラ…
美希「あれは…」
千早「これは…『矢』!?」
千早(『鏃』だけを取って…春香が持ち歩いていたのね…!)
春香「だけど、二人は私のことを追いつめてしまった…だから」
千早「何…? 何を言っているの…」
春香「挫折を…本当の絶望っていうものを…千早ちゃんにも思い知らせてあげる…!!」
771:『逆襲のインフェルノ』その②:2013/08/06(火) 00:35:38.83 :doCE6jZNo
美希「なんかヤバいの、千早さん…!」
千早「大丈夫よ、こんなもの…飛んできたって『インフェルノ』で叩き落として…」
春香「『アイ・ウォント』」ヒュッ
ザクゥ
千早「…え」
千早(『矢』を…自分のスタンドに…『アイ・ウォント』に刺した…)
千早「春香…何を、やっているの…!?」
春香「『弓と矢』が私達に『スタンド能力』をもたらした…」
春香「そして…この『弓と矢』が…私に更なる力をもたらしてくれる」
ピキ!
千早「!」
ピキ パキ パキ パキ
千早(『矢』を刺した部分にヒビが…)
春香「うっ!」ドバァ
千早「春香!」
773:『逆襲のインフェルノ』その②:2013/08/06(火) 00:36:41.31 :doCE6jZNo
春香「ふ…ふふ…!」ヨロ…
パラ…
千早「………え」
キラリ
千早(あれは、何…? 『アイ・ウォント』の割れた体から、何かが覗いている…)
パキッ
ボロボロボロボロ
春香「ああ、『アイ・ウォント』の体が…」
春香「崩れている…『新しいもの』へと変わっていく…!」
千早(何かわからないけど…まずい…!!)
千早「はっ!!」ゴオッ
ドグシャァ!
春香「がっ…」ボグッ
千早「『インフェルノ』ォォーッ!!」ドッ ドォ ドォオ
春香「あ…」ゴキャ
春香「あはははははははははは」ドゴバキベキ
ギャァァァーン
775:『逆襲のインフェルノ』その②:2013/08/06(火) 00:37:23.89 :doCE6jZNo
千早「………」ス…
シン…
春香「は…」ス…
ガクリ
美希「倒れた…?」
千早「はる…」
春香「………」
パラ…
千早「!」
ドクン
千早「………っ…」
千早(何か… ………)
ドクン ドクン
千早(何か、とてつもないことが、今…)
キラリ
千早(起こっている…)
ドクン ドクン ドクン
777:『逆襲のインフェルノ』その②:2013/08/06(火) 00:37:56.13 :doCE6jZNo
ドォ
…
……
………
…………
………
……
…
ーン
779:『逆襲のインフェルノ』その②/おわり:2013/08/06(火) 00:38:23.95 :doCE6jZNo
千早「………」
・ ・ ・ ・
千早「…え?」
美希「え!? 何、今の…」
千早(今の感覚…まるで…)
千早(自分の存在が、この世界から引き剥がされそうになるような…)
春香「………」ズ…
ド
千早「あ…」
春香「流石に…」グ…
ドドド
春香「今のはちょっとだけ死ぬかと思った」ムクリ
美希「立ち上がった…!? 今の攻撃を受けて…」
ズズズ…
千早(春香のスタンドが…)
ド ドドドド
千早(『アイ・ウォント』…じゃあない…違うものへと変わっている…)
春香「さぁ…」
ドドドドド ドドド
春香「続けよっか。二人とも」
ドドドドド ドドドド ドドドドド
793:『逆襲のインフェルノ』その③:2013/08/08(木) 01:44:38.62 :4KATWwBuo
ゴゴゴゴ ゴゴゴ
春香「れべるあ~っぷ♪」
ゴゴゴゴ
千早(変わった…春香のスタンドが…)
キラリ…
千早(あの姿、スタンドの左手首に『矢』がくっついている…『矢』と一体化したということ…?)
春香「………」クイッ
ゾォッ!!
千早「!」
美希「うわっ…」
ズズズズズズ
千早(景色が変わっていく…何をする気…!?)
春香「………」パチン!!
フッ
千早「え?」
美希「も…戻った?」
795:『逆襲のインフェルノ』その③:2013/08/08(木) 01:45:18.44 :4KATWwBuo
春香「『六感支配』はもういらない…どうせ二人には通用しないし」
春香「これに比べたら…チャチな能力だしね…! こんなものは!!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
美希「ろ、『六感支配』が…チャチな能力…?」
千早「春香…貴女の『アイ・ウォント』は、一体どうしてしまったというの…」
春香「『アイ・ウォント』?」
春香「これはもう、『アイ・ウォント』なんかじゃあない」
春香「私は頂点(トップ)に立ったの。アイドルの頂点に君臨した」
春香「だから名前は決まっている。アイドルの頂点…」
春香「『ジ・アイドルマスター』」
春香「…が」スゥ…
千早「う…」
春香「ふさわしい」ピッ
797:『逆襲のインフェルノ』その③:2013/08/08(木) 01:45:47.61 :4KATWwBuo
千早「ス…ステージでもないのに人を指差さないで欲しいわね」
春香「変なことを気にするね…動揺してるの千早ちゃん?」
美希「ち、千早さん…ビビったら駄目なの…」
千早「美希こそ…声が震えてるわ…」
春香「あはははは、どっちもどっちだよ二人とも」
千早(春香の…『ジ・アイドルマスター』? 今まで見てきたあらゆるスタンドと、決定的に何かが違う…)
千早「…いえ、関係ないわ。私のやることは…春香を止める、それだけよ」
美希「ねぇ千早さん、気づいてる?」
千早「? 何が?」
美希「治ったのは千早さんの最後の攻撃だけ…春香はもうボロボロ」
春香「………」
美希「『ロック』も消えてない…そのままなの」
千早「ええ、そのようね…早く止めを刺しましょう」
美希「ミキは逆だって思うな」
千早「え?」
799:『逆襲のインフェルノ』その③:2013/08/08(木) 01:47:24.82 :4KATWwBuo
美希「今の春香からは余裕とかが感じられる、得体が知れない…」
美希「ここはちょっと様子を見るべきだって思うな」
千早「どうしたのよ美希…貴女らしくもない」
美希「だって、千早さんが千早さんらしくないから。春香のコトになると落ち着きを失うね」
千早「…私は冷静よ」
美希「ゼンゼンそうは見えないケド」
千早「………」
美希「ねぇ千早さん。戦うならもっとちゃんと…正しく動かないと駄目だよ」
美希「トラックを間違えたら、迷子になるのは確実なの」
千早「…それでも」
千早「飛び込んで行かなければ相手が何なのかもわからないわ」
美希「…わかった。千早さん、ムリしないでね」
千早「ええ…ありがとう美希」
801:『逆襲のインフェルノ』その③:2013/08/08(木) 01:48:12.63 :4KATWwBuo
春香「あ、終わった?」
千早「黙って見ているなんて、随分と余裕ね…」
春香「ん? あぁ…」
春香「どうせ二人が何やっても無駄だし…やりきった方が逆らう気もなくなるでしょう?」
千早(もう既に勝った気になっている…気に入らないわね)
千早(しかし、それだけ春香がこの『スタンド』を信用しているということでもある)
春香「どうしたの千早ちゃん? いいんだよ…どこからでも打ち込んでくれば」
千早「………」
春香「千早ちゃんが来ないのなら、こっちからでも…」
千早「そこよ!」ヒュオッ!!
春香「無駄ァ!!」バッ
ガッシィィ!!
美希「! 速い…」
美希(ケド…これは)
美希「なのっ!!」ブン!!
千早「!? 美希…?」
803:『逆襲のインフェルノ』その③:2013/08/08(木) 01:49:35.48 :4KATWwBuo
春香「何か投げてきたね…水を差さないで欲しいな、美希!!」スッ
バガァ!
千早(叩き落とした!)
春香「!!」ビリビリビリ
美希「そのリモコン…『ロック』つけて返したの」
春香「…これしきでどうにかなると…」
千早「いいえ、これで充分…」ヒュ
ゴォッ
春香「こんなもの、目くらましにもならないよ」ガッ
千早(また止められた…)
千早(このスタンド…『アイ・ウォント』に比べるとパワーとスピードはかなり上がっているわ)
千早(…けれど!)
千早「『インフェルノ』ォォーッ!!」ギュォン!!
春香「! これは…」
シュバァ!!
春香「きゃっ!」ジュゥッ!
千早「かすったわッ!」
805:『逆襲のインフェルノ』その③:2013/08/08(木) 01:50:30.05 :4KATWwBuo
千早「パワーアップしても、元はあの『アイ・ウォント』…」
美希「『インフェルノ』のスピードは春香の新しいスタンドよりも上なの!」
春香「あー………やっぱりかぁ」
千早「空気中から集めた『熱』を、ありったけ…」
プシュゥゥゥゥ…
千早「叩き込むッ!」
バキィ!!
春香「うあっ…あぐっ…」ジュゥゥゥゥ
春香「………」ゥゥウウ…
千早「春香、貴女が何をしようと私は負けたりはしない…」
千早「これで…」
春香「『ジ・アイドルマスター』」
ドォ……………ーン
千早「終わり…よ…」
・ ・ ・ ・
807:『逆襲のインフェルノ』その③:2013/08/08(木) 01:51:15.09 :4KATWwBuo
千早「え…?」
美希「えっ!?」
千早(い…今の感覚は…最初、あのスタンドが目覚めた時と同じ…)
千早(春香の新しいスタンド…今、『なにか』したの…?)
ドドド
春香「びっくりしちゃった」
千早「!?」
千早(ど…)
春香「千早ちゃんのスタンド、『ブルー・バード・インフェルノ』…だっけ?」
ドドドド
千早(どうして…)
春香「本当に…『強い』ね」
千早(どうして春香は平然と立っているの…!?)
春香「だけど、無駄。千早ちゃんのスタンドがいくら強くても…」
春香「例え私の『ジ・アイドルマスター』を超えてようが、ね」ス…
ツヤ…
ドドドド ドドドドド
809:『逆襲のインフェルノ』その③:2013/08/08(木) 01:51:54.00 :4KATWwBuo
千早(春香の…! 春香の傷が…消えている…ッ)
千早(どういうこと…『治癒能力』!?)
美希「ち、千早さん…」ブルブル
千早「? 何かわかったの、美希?」
美希「あ、頭…」
千早「頭…?」スッ
ベトォ…
千早「…え?」タラッ
春香「千早ちゃん…頭から血が出てるよ」
ゴゴゴゴゴ ゴゴ
千早「うおおおおおおお!?」ダラダラ
ゴゴゴゴゴゴ
千早(ダメージを受けている! 春香ではなく、私がッ!)
千早(春香のスタンドは、私に触れてすらいないのにッ!)
811:『逆襲のインフェルノ』その③:2013/08/08(木) 01:52:37.13 :4KATWwBuo
千早「ま、また『視覚操作』!?」ペロ…
千早「違う…この『痛み』も! 流れる血の『熱』も! 鉄っぽい『臭い』も、『味』も! どれも幻覚じゃあないッ!」
千早「いえ…全ての感覚が、操られているとしたら…それなら、もはや現実と変わりはない…!」
千早「まさか、『六感全て』を『支配』する能力ッ!? 触れることもなくッ!!」
春香「その質問に対する答えは『No』」
千早「!」
春香「だーから、『ジ・アイドルマスター』はそんなチャチな能力…ごまかしなんかじゃあ断じてないって言ったでしょう」
春香「まぁ、何か『予想外』のことが起こるかもしれない…『直感支配』だけは使わせてもらってるけど」
千早「わ、私は…」
千早「私は…夢でも見ているの…?」
春香「ちがうよ。これが現実だよ千早ちゃん」
春香「今起こってることはすべて現実で、必然なの」
千早(『インフェルノ』で与えた熱が元に戻っている…まるで『なかったこと』にされているかのように…)
千早(『なかったこと』にする…? いえ、それじゃあ私の傷に説明がつかないわ! これは元々『なかったもの』だもの!)
千早(なら、春香の能力というのは…一体…?)
813:『逆襲のインフェルノ』その③:2013/08/08(木) 01:53:32.66 :4KATWwBuo
春香「私なんて、こうまでしないと千早ちゃんは到底敵わない」
春香「でも、『矢』を持っているのは私…そして勝つのも…ね」
千早(『ダメージを押し付ける』能力…?)
千早(いえ、それなら私の『インフェルノ』が与えた『熱』もそのまま私に返ってくるはず…)
美希「千早さん! 何ぼーっとしてるの、春香が攻撃してきてる!!」
ドドド
千早「はっ…!」
春香「ヴァイッ!!」ヒュン
美希「『リレイションズ』!!」グイン
ガッ!
春香「お…」バリッ
千早「み、美希」ズザ…
春香「『ジ・アイドルマスター』の間に割って入るなんて…」
春香「美希の『リレイションズ』も…『ロック』の数でここまで速くなるのか」
815:『逆襲のインフェルノ』その③:2013/08/08(木) 01:54:12.84 :4KATWwBuo
グ…
グググ…
春香「どうしたの? 美希の『リレイションズ』なら私についた『ロック』に正確に攻撃できるでしょう」
春香「この状態ならどこか一つにでも攻撃できれば一発で倒せるんでしょ…ほら、何をためらっているの?」
千早「くっ…美希!」
美希「…千早さん、よく見てて」グッ
ゴキュ!!
春香「うぐ…!! ぐっ…」バリバリバリ
美希「なのっ!」バキャア
春香「………」グォォォ
ドォ…………ーン
千早「! 今…」
美希「………!」ピタッ
美希(春香がいない…今、真正面にブッ飛ばしたのに…)
千早「美希! 後ろ…」
美希「え?」
春香「無駄無駄ァ」ヒュヒュン
美希「…!! うぶ…」ゴキャ
ドシャア
千早「美希…!!」
817:『逆襲のインフェルノ』その③:2013/08/08(木) 01:55:06.64 :4KATWwBuo
千早(今のは…美希が春香に攻撃したと思ったら、後ろに回り込んで…そして攻撃していた…)
千早(『ワープ』…あるいは『時を止める』能力なの…?)
千早(違う、今回もまた美希の攻撃によるダメージがなくなっている)
千早(回復に、私へのダメージ…そして瞬間移動…わからない、春香は何をやっているの…?)
千早(スタンドは一能力のはず…しかし、そう言いきれもしない。あのスタンドは『六感支配』を見せたわ…)
美希「ぐっ…このっ…」
春香「美希。もうやめにしない? 結果がわかってる戦いなんてつまらないもの」
春香「『春香には勝てない』…一言そう口にしたら、見逃してあげるよ」
美希「誰がそんなこと…」
春香「あ…そう。じゃあ…」ガシッ
千早(『ジ・アイドルマスター』が美希の両腕を掴み…背中に足を…あれは…)
春香「ほら…気絶するまでやるよ」グッ
美希「う…うあああああああああ…!!」ミシミシミシ
千早「は…春香! やめなさい…! そのスタンドのパワーでそんなことをしたら…」
美希「ああ…ああああ…!!」ミシミシミシ
819:『逆襲のインフェルノ』その③:2013/08/08(木) 01:55:38.79 :4KATWwBuo
春香「降参すればすぐにでもやめるよ」
春香「つまらない意地を張ってるそっちにも責任はある…違う?」
千早「春香、貴女は…!」
春香「ほらほら、美希!!」グッ!!
ゴリュ…
美希「かふ…」ピキッ
ブラン
千早「え…」
春香「あ…やりすぎちゃった」
千早「は…? 美…希…」
美希「………」……………
千早「は………はる…………はるか………」
ドォ…ーン
千早「あああああああああああああああ!! …あ…?」
美希「え…?」パチ…
春香「ごめんね美希。今度はやりすぎないようにするから」
美希「あれ…治ってる…」
821:『逆襲のインフェルノ』その③:2013/08/08(木) 01:56:15.58 :4KATWwBuo
美希「え…また、なの…?」
春香「ほらほら、やるよ?」グ…
美希「や、やめ…やめて…」
春香「何か、言うことなかったっけ?」
美希「ごめんなさい! ごめんなさい!」
春香「ちがうでしょ、美希…」グリグリ
春香「ほら、さん…に…いち…」
美希「うわあああああああああああああ!! あああああああああ!!」
春香「ああ…やっぱり、ちょっとやりすぎちゃったかな」パッ
美希「あうっ」ドサァ!!
美希「ひぐ、えぐっ…」プルプル
春香「まぁ、いいか…これで美希は『再起不能』だろうし…ね」
千早(何か…)
千早(私達は何か、取り返しのつかない間違いをしてしまったのでは…?)
千早(もう、春香には何をしたって無駄なんじゃあないの…?)
823:『逆襲のインフェルノ』その③:2013/08/08(木) 01:56:43.89 :4KATWwBuo
春香「さて…」クルッ
千早(いえ、こんなところで諦めるわけにはいかない…)
千早(春香を止める…それもあるけれど、それ以上に…美希にあんなことをした春香を許せない…)
千早(………あれは、私の知っている春香ではないわ…!!)
春香「次は千早ちゃんの番だよ」カツ カツ
千早(『蜃気楼』を作る…)シュゥゥゥゥゥ…
千早(これで春香の攻撃は一回だけならかわせるはず…)
千早(この世に完全なものなんてない…どこかに、弱点がある…)
春香「ないよ。『ジ・アイドルマスター』に弱点なんて存在しない」
ドォ………ーン
ヒュバァ
千早「!?」
春香「止めて、『ジ・アイドルマスター』」ブォン
パシッ
千早「う…! …!?」
春香「ま、この程度だね…できることは」
千早(何? 今のは…『インフェルノ』が勝手に攻撃した…?)
825:『逆襲のインフェルノ』その③:2013/08/08(木) 01:57:08.46 :4KATWwBuo
千早「くっ」ガクッ
千早(…う、今の攻撃で右腕が…)
春香「あーあ…また折れちゃったね、腕…せっかくやよいに治してもらったのに」
千早「ま…負けるものですか…」
春香「まだ諦めないのか。千早ちゃんのそういう所、好きだよ」
春香「でも…今はちょっと余計かな」
千早(考えるのよ…どうすれば、春香に攻撃が届くのか…)
バッ!!
春香「ん…?」
シン…
春香「どうしたの、千早ちゃん? ソファの陰に隠れたりして」ヒョイッ
千早(乗ったわ…)
千早「『ブルー・バード』!!」
春香「!」フワ
春香「ソファを『軽く』…足下のバランスが…」グラ…
827:『逆襲のインフェルノ』その③:2013/08/08(木) 01:57:29.05 :4KATWwBuo
千早「ソファは足を乗せるものじゃないわよ…春香!!」ビュン
春香「ムッ!」ガシィ!
千早「そのまま…地面に叩き付けて『ブルー・バード』!!」グイッ
春香「わっ…!!」グルン
ドグシャア!!
春香「ぐ…があああああっ!!」バキバキバキ
千早(この手応え…間違いなく…腕を折った…)
千早(さらに…)
ズシン!!
春香「千早ちゃんの体重に、ソファ分の重量も…『プラス』…か」ググ…
千早(これで…この状態で『重量』を押し付けたら春香はもう動けない…私の勝ち、そのはず…)
千早(でも…)
春香「千早ちゃん…困難に打ち勝とうとするその『意志』…尊敬に値するよ」グググ…
千早「春香、貴女の能力はッ…!!」
春香「でも、無意味」
春香「『ジ・アイドルマスター』」
829:『逆襲のインフェルノ』その③:2013/08/08(木) 01:57:43.57 :4KATWwBuo
ドォ
…
……
………
……
…
ーン
831:『逆襲のインフェルノ』その③/おわり:2013/08/08(木) 01:58:10.25 :4KATWwBuo
千早「う…」ベキ…
千早「うわあああああああ!!」バキバキバキ
美希「あ…あああ…」
千早(腕が…折れているッ!! 春香のではない、私の腕が!)
春香「これが、『ジ・アイドルマスター』」シャラン
千早(また…春香のダメージがなくなっている…なぜ…)
春香「これが、『頂点』(トップ)に立つ能力!!」
千早「何が…一体…なんだって言うのよ…!!」
千早(春香の能力が何なのかはわからない…)
千早(でも、わかることはある…春香の『スタンド』は私の理解を遥かに超えた領域に行ってしまったということ…)
千早(そして、自分がどうしようもなく『無力』だということッ!! 『ブルー・バード』も『インフェルノ』も通用しない…)
千早(それ以前に、もう両腕が使えない、どうすれば…!!)
863:『逆襲のインフェルノ』その④:2013/09/08(日) 22:53:15.25 :s5MQtGvfo
千早「ああ…あああああああああああ…!!」
千早(何が…一体何が起こっているの…!? 春香の能力は何!?)
春香「………」ザッ
千早「わ…私のそばに近寄らないで…!!」
春香「ふふ…」ツカ ツカ
千早(攻撃される前に『ブルー・バード』で私の『体重』を…)
千早「あぐっ…」ズキンズキン
千早(くっ、手が…)
プルプル
千早(み…右腕はなんとか動く…けれど…)
千早「はぁ、はぁ…くっ…」
千早(左腕が…指が全く動かない…)
865:『逆襲のインフェルノ』その④:2013/09/08(日) 22:56:11.07 :s5MQtGvfo
千早(しかし、動くのなら…『与える』ことはできるわ)
春香「ヴァイ!!」グオォォ
千早「『ブルー・バード』…」
フワッ
春香「無駄無駄無駄無駄」ダン ダン ダン
千早「そんな力任せに振っても当たらない…」
ビュオォォ!!
千早「わ…?」ジク…
千早「うあああああ…ああああ…!?」ズキンズキン
春香「『軽く』したってことは、少しの力で動くってこと…」
春香「拳の風圧でちょっと腕を動かしてやればいい。折れてるでしょ? それ…」
ドサ!
千早「ううう…!!」ダラダラ
春香「汗が凄いね千早ちゃん、暑いの?」
867:『逆襲のインフェルノ』その④:2013/09/08(日) 22:57:51.24 :s5MQtGvfo
千早(春香は…もう私なんて倒そうとすればいつでも倒せるはず)
千早(それでも、私を精神的に追いつめるため…あえて手加減している)
千早(私の行動を一つ一つ封じていき…私の心を折ろうとしている…)
千早(決定的だわ…もう私ではどうあっても春香を倒すことなんて…できない)
千早「………」トス
春香「ん?」
ズリリ…
春香「まだやる気なんだ」
千早「はぁ、はぁ」ヨロ…
春香「ねぇ千早ちゃん、もうやめようよ。そうやって壁に背中つけないと立てないのにどうしようっていうの」
千早「………」
春香「この『ジ・アイドルマスター』に勝てないのはわかったでしょう?」
千早「ええ。そのようね…私ではもうどうにもならないわ」
869:『逆襲のインフェルノ』その④:2013/09/08(日) 23:01:22.95 :s5MQtGvfo
春香「それなら、もう…」
千早「それで…春香」
ゴゴゴゴゴ
千早「そんなことで私が諦めると…本当にそう思っているの…?」キッ
ゴゴゴ
春香「…わからないよ。どうして勝てないとわかってるのに諦めないの…?」
千早「わからないでしょうね。今の貴女には」
春香「…強いんだね、千早ちゃんは」
千早「やはり、わかってないわね。私は…強くなんてないわ」
千早(春香に勝てる可能性はゼロ…ならば、私のやるべきことは春香を止めることでも…春香を倒すことでもない)
千早(私がこうして立っていられるのは美希のお陰…)
千早(私も次に繋げる…私が駄目でも、春香の能力くらいは見抜いて皆に伝えるわ、それが私のすべきことよ…!)
千早(そのためには倒れてなんていられない)ズ…
871:『逆襲のインフェルノ』その④:2013/09/08(日) 23:02:03.00 :s5MQtGvfo
春香「その目…」
千早「………」
春香「美希や貴音さんも同じような目をしていたけど、何がそんなに気に入らないのかな」
千早「もう話し合いなんて意味はない。これまで通り力づくで、この『スタンド』で決めればいいでしょう」
春香「私はいいけど、千早ちゃんはもう無理だよね? 意地を張ってもいい事なんて何もないよ」
千早「私には、ずっと意地を張っているのは貴女の方に見えるけれど」
春香「…いいよ。お望み通りこれで決めてあげる」ズズ
千早「………」ス…
春香「『ジ・アイドルマスター』!!」ズォン
ドドドド ドド
千早(私から動く必要はない)
千早(春香が能力を使うのは、私の攻撃が春香にダメージを与えた時だけ)
千早(『ジ・アイドルマスター』の射程距離は『アイ・ウォント』よりも短い…)
千早(そして射程距離が同じくらいでも私の『インフェルノ』の方が速いわ)
873:『逆襲のインフェルノ』その④:2013/09/08(日) 23:03:26.98 :s5MQtGvfo
ザッ
千早(まだよ…)
ザッ
千早(まだ…)
ザッ
千早(入った…!)
千早「はっ!」ドゥォ
春香「蹴りか…腕が駄目なら足を出すってこと?」
パシッ!
春香「無駄無駄!! 腕が折れてるんじゃ力の入った蹴りなんてできないでしょう!」
ガシャン!!
春香「ん?」
千早「『ブルー・バード』…」フワ…
千早「私の『体重』をこのおはじきに与えた。こうすればどこにも触れずに体重を『軽く』できる」
春香「無駄だって…さっきのことをもう忘れたの?」
千早「そうね。ここにいては危ない、早く離れることにしましょう」グッ
トン!
ブワッ!!
春香「!? 私を踏み台にした…!?」
875:『逆襲のインフェルノ』その④:2013/09/08(日) 23:05:03.21 :s5MQtGvfo
グゥゥゥーン
千早「『ブルー・バード』、体重を元に戻して!」
クン…
スタ!
千早「っ…」クルッ
ダダッ
春香「………え、なに?」
春香「逃げた…の? 部屋の外まで飛んでいって…」
千早「く…」プルプル
パチ!
千早「こんな腕でも、窓を開けるくらいなら…なんとかできるわね」ガラガラ
千早(ここから飛び降りる…)ヒョイッ
フワ…
スゥ…トン
千早(『ブルー・バード』で体重を軽くすれば…高いところからでも風の抵抗でゆっくりと降りられるわ)
877:『逆襲のインフェルノ』その④:2013/09/08(日) 23:06:06.54 :s5MQtGvfo
千早「これで…少しくらいは時間が稼げるわ」
千早「春香が二階から飛び降りられるというのなら話は別だけ…」
ドォ………ーン
千早「………」
春香「無駄…」
千早「は…春香…目の前に春香がいる…」
春香「私の『ジ・アイドルマスター』からは逃げることすら許されない」
千早「く…」
春香「ヴァイッ!!」ズァ
千早「うおおおおおおお…!!
千早(…え…?)
・ ・ ・ ・
ァァァァ
千早「これは…」
ヒュン!!
ガッ
春香「…あれ?」
879:『逆襲のインフェルノ』その④:2013/09/08(日) 23:06:49.24 :s5MQtGvfo
千早「動く…」
ググ
千早「右腕が動く…治った…!!」ヒュン
春香「!!」サッ
ガキィッ
春香「おっ…」ズザ…
千早「今ここで攻撃したとしても、意味はないのでしょうけど…」
千早「まぁ…いいわ。せっかくだから喰らっておきなさい」
春香「無駄…」グアッ
ベキャ
・ ・ ・ ・
春香「お…腕が…」プラン
千早「『インフェルノ』ォォーッ!!」
ドン ドン バゴ ドゥン
春香「『ジ・アイドルマスター』ッ!!」
881:『逆襲のインフェルノ』その④:2013/09/08(日) 23:08:36.71 :s5MQtGvfo
ドォ…ーン
千早「………」ピタッ
千早「後ろ? また『ワープ』している…」クルッ
春香「ああー…そっか、そうだよねぇ…」
千早(やはり…春香に与えたダメージはもう治っている)
千早「春香…腕が治ったのは貴女の能力によるものかしら」
春香「まぁ、ちょっとしたサービスだよ。このままじゃ張り合いがないし」
千早「張り合いがないから…?」
千早「私の腕が動いた所で、貴女にとっては何も変わらないでしょう」
春香「ま…そうなんだけど…ね」
千早(春香は意識して私を治したわけじゃないのでは…?)
千早(『アイドルマスター』を使ったことで、私の腕が治ってしまった…そういうことじゃあないの?)
千早(しかし、さっき能力を使われて左腕を折られた時…その後も私の右手は折れたままだった)
千早(さっき折られた時と、今春香が目の前に出てきた時の違いは何…?)
ズキン
千早「うっ…」
千早(左腕が…こっちは折れたままだわ。頭の傷も治っていない…)
千早(春香は『何か』をして私達や自分の傷を治している、しかしその『何か』によってつけた傷は元には戻らない…そういうこと?)
883:『逆襲のインフェルノ』その④:2013/09/08(日) 23:09:05.75 :s5MQtGvfo
千早(なにか…)
千早(あと一つ、なにか…)
春香「そろそろ…終わらせようか」ドドドドド
千早(春香が来る…けれど、能力を使われなければ片腕でも私の方が強いわ…!)シュゥゥゥ…
パキ! パキ!
千早「『インフェルノ』!!」ビュア
春香「っと!」スゥーッ
千早「! 左側に避けた…」
春香「左腕は動かないはずでしょう? もらった…!!」
千早「いえ…」
春香「え…!?」
コォォォォ
千早「これを待っていたわ、春香…」
春香「動かない左腕を『凍らせ』て…今の音はそれかッ!!」
885:『逆襲のインフェルノ』その④:2013/09/08(日) 23:09:51.10 :s5MQtGvfo
千早「叩き…つけるッ!!」ブオン!!
春香「おぶっ…」グシャア
ゴロゴロゴロ
千早「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」
春香「む…」
千早「は…」
ゴゴゴ
春香「無駄だよ、もうわかってるだろうけど」
ゴゴゴゴゴゴ
春香「千早ちゃんが何度優勢になろうと、何度私を倒しても…このスタンドの前には…!」
千早「………春香」
ゴゴゴゴ
春香「さぁ、終わらせなさい…『ジ・アイドルマスター』」
ドォ
887:『逆襲のインフェルノ』その④:2013/09/08(日) 23:10:20.36 :s5MQtGvfo
…
……
………
ドドドドド
春香「………」
ドドド
春香「…『戻って』きたよ。私の『意識』だけ…」
千早「うっ…」ズキン
春香「これは『過去』の出来事。ついさっき起きた、私が攻撃を受けて敗北する『過去』」
春香「ここで…」
シュゥゥゥ…
パキ! パキ!
千早「『インフェルノ』!!」ビュア
春香「千早ちゃんは『インフェルノ』の右腕で殴ってくる。私はそれを知っている。ここで…」
スゥ…
春香「私が攻撃の前に出ても、ぶつかることはない…今、この場所には『私に攻撃が当たった』という出来事が存在しないから」
889:『逆襲のインフェルノ』その④:2013/09/08(日) 23:11:00.97 :s5MQtGvfo
千早「! 左側に避けた…」
春香「千早ちゃんの行動も言葉もさっきと『同じ』。私が動いても何も変わらない」
千早「いえ…」
コォォォォ
千早「これを待っていたわ、春香…」
春香「一度起こった『過去』の出来事は誰にも変えられない」
千早「叩き…つけるッ!!」ブオン!!
春香「おっと、これには当たっちゃ駄目だ」サッ
コォォォォ…
春香「『ジ・アイドルマスター』…このスタンド以外は」グッ…
ゴゴゴゴ ゴゴゴゴ
春香「私以外は、変えられない」
春香「ヴァイッ!!」ビュン
バキィィィィィイイ
千早「うぐっ…」ミシ
千早「ああああああっ!?」ミキミシ
891:『逆襲のインフェルノ』その④:2013/09/08(日) 23:12:04.80 :s5MQtGvfo
千早「は…春香…これは…!」
春香「これが、『ジ・アイドルマスター』の能力だよ」
春香「過去の出来事をビデオのように再生し、その中で私だけが動ける。そして、『ジ・アイドルマスター』だけが過去を変えられる」
千早「…! やはり…そういうこと…なのね…」
千早「い、いや…ちょっと待って、春香…何故そんなことを話すの…?」
春香「そして…」
春香「『ジ・アイドルマスター』が書き換えた出来事は『現在』にその結果だけが残る」
春香「記憶は残らない。今の出来事も…だから、話した」
千早「…!」
春香「何故自分がダメージを負っているのか、千早ちゃんには理解できない」
千早「うっ…」フラッ
春香「これが『ジ・アイドルマスター』。これが頂点の力」
春香「どんなに優れた人間も、どんなに強力なスタンドも、私の世界に踏み込むことすら許されない!」
………
……
…
ーン
893:『逆襲のインフェルノ』その④:2013/09/08(日) 23:13:04.10 :s5MQtGvfo
千早「………あ…」
ドサァ
春香「………終わったね」
春香「こうやって倒しちゃ、何が何だかわからないだろうけど…」
春香「ま、いいか。千早ちゃんなら『ジ・アイドルマスター』の恐ろしさは充分に理解したでしょう」
スッ
春香「さて、美希から奪った携帯…」
春香「このメールによると、みんな近くの廃ビルに集まってるみたいだね」
春香「今まで、長かった…けど、これで終わる」
春香「これでみんなに私の考えをわかってもらえる…ふふふ」
………
……
…
895:『逆襲のインフェルノ』その④:2013/09/08(日) 23:13:44.77 :s5MQtGvfo
………
美希「!」ガバッ
キョロキョロ
美希「春香………はもういない、か…」
美希「こうしちゃいられない、みんなに春香のコトを伝えなきゃ…」
ゴソゴソ
美希「カバンにケータイがない…ってコトは、春香が持っていったのカナ…」
美希「電話したいけどリモコンしかねぇの」
美希「あ、そっか。別に携帯にこだわる必要なかった、そこにあるちっちゃいの(電話の子機)を使えば…」
美希「みんなに伝えないと…」カチャッ
美希「あれ、律子の電話番号ってなんだったっけ?」
?「美希、貸して」
美希「え…?」
千早「電話番号なら私が知っているわ」
美希「ち、千早さん! 大丈夫だったの!?」
千早「大丈夫ではないけれど…美希こそ、春香に酷い目に遭わされていたけれど無事だったのね」
美希「あれは演技なの。ミキ、アイドルだからこれくらいできないとね」
897:『逆襲のインフェルノ』その④:2013/09/08(日) 23:14:17.01 :s5MQtGvfo
美希「千早さん、腕は…」
千早「凍らせたわ。痛みは引いたわね。後でまた高槻さんに『くっつけ』てもらう必要はあるけれど」
美希「千早さんがここにいるってことは、春香は…」
千早「いえ、春香は…倒せなかったわ。私は『ジ・アイドルマスター』の前に完全に敗北した」
千早「けれど、春香はこれで私が折れて諦めてしまうと…そう思っていたようね…『再起不能』にまでは追い込まれなかったわ」
千早「私が諦める時は…私達、仲間全員が立ち止まってしまった時…それだけよ」
美希「うん、そうだね。今の春香にはそんなこともわからないの」
千早「…呑気に話している場合じゃあないわ。まずは…」ピポパ
電話『とぅるるるるるるるる』
律子『もしもし?』ガチャ
千早「律子…」
律子『その声は千早? どうしたの、今そっちに向かってるところよ。もう少しかかりそう…』
千早「春香が…動き出したわ…」
律子『………』
律子『は? 何言ってんのよ…春香って、今日は…』
899:『逆襲のインフェルノ』その④:2013/09/08(日) 23:15:01.49 :s5MQtGvfo
千早「詳しくは後で話すわ。春香がスタンド能力で事務所に現れたの、私達は…」
律子『ちょ、ちょっと待った。今…』カタカタ
ヒュン
キュルキュル
千早「これは…」
律子『「ロット・ア・ロット」を出したわ。これでビルにいるみんなとも会話できるはずよ』
雪歩『ひっ!? な、なんですかこれ!?』
やよい『あっ、これ律子さんの…えっと…』
伊織『「ロット・ア・ロット」よ、やよい』
千早「助かるわ、律子」
真『あれ? 千早、今どこにいるんだい?』
美希(みんなで集まらなくても、最初からコレ使えばよかったんじゃ…)
901:『逆襲のインフェルノ』その④:2013/09/08(日) 23:16:01.39 :s5MQtGvfo
………
……
…
あずさ『千早ちゃんが…負けるなんて』
真『「アイ・ウォント」の時でも手が付けられなかったのに…その「ジ・アイドルマスター」というのはそんなに強いの…?』
美希「強いっていうか、イミわかんなかったの…」
千早「私達を倒して、今は真…貴女達のいる場所に向かってるはずよ」
貴音『春香が…来るのですか』
伊織『いや、ちょっと待ちなさいよ。そもそも、今日って春香は帰ってこないんじゃなかったの?』
亜美『亜美達の「スタートスター」でもそれほどは「ワープ」できないよ』
美希「そんなの、実際にいるんだから考えるだけ時間の無駄なの」
千早「いえ、美希…春香は『ジ・アイドルマスター』の能力を使ってここまで来たのよ」
千早「それだけじゃない。私達に起こったこと、全てに説明がつくわ」
美希「え…千早さん、春香の能力が…わかったの!?」
千早「ええ。これのお陰で確証するに至った」パッ
カラン
美希「千早さん、それは…」
千早「血よ…『インフェルノ』で凍らせた、私の血の塊」
903:『逆襲のインフェルノ』その④:2013/09/08(日) 23:17:46.21 :s5MQtGvfo
千早「右手で転がしながら…『6個』だけ作っておいた。春香と戦う中で、間隔を空けながら1つずつ落としていたわ」
伊織『なんでそんなことを…』
千早「そして、私の記憶では…これは、全て落としたはず。もう手の中に残っていないわ」
美希「え、でも…」
千早「そう。あるのよ…私の手の中に、『3個』」
ゴゴゴゴゴゴ
千早「計算が合わないわ。これはどういうことかしらね?」
響『え…数え間違いじゃあないのか』
美希「響は黙ってて」
千早「私は、攻撃を受けた時これを落とすのをやめようとそう考えていた。結局、受ける前に全て落としてしまったけれど」
雪歩『それが、「3個」残っている…?』
真美『それって、つまり…』
千早「私は『3個』落とした時点で攻撃を受けた…ということになるわ」
905:『逆襲のインフェルノ』その④:2013/09/08(日) 23:18:34.23 :s5MQtGvfo
千早「全部落としたはずなのよ…減るのならともかく、増えるというのはおかしな話じゃないかしら?」
千早「数がズレたのは…ちょうど春香が『ジ・アイドルマスター』を使った時よ」
美希「!」
千早「一瞬意識が飛びそうになったかと思ったら、私は倒れていた。攻撃を受けたの」
律子『千早…もったいぶらないで早く教えなさい!』
千早「このことから導き出せる答え…『ジ・アイドルマスター』の能力は」
千早「過去を変える…」
全員『…!!』
千早「時間をやり直し、過去の出来事を変える能力…そうとしか、考えられないわ」
律子『か…過去を変える…だって!? そんなバカなこと…』
美希「で…でも…確かに、それなら色々説明できる…」
美希「過去を変えて別の場所に動けば、『ワープ』したように見える…」
美希「攻撃した過去を変えれば、攻撃はしなかったコトになって、『治った』ように見えるの…」
真美『ちょ…ちょっと待ってよ、それってさ…』
亜美『マジ「無敵」…なんじゃないの…?』
真『…無敵だろうが何だろうが』
伊織『…そうね、真。やるしかないのよ、私達には」
907:『逆襲のインフェルノ』その④/おわり:2013/09/08(日) 23:19:11.61 :s5MQtGvfo
貴音『千早、安心してください。春香を修羅の道に引き込むあの「矢」は…必ず、私達が破壊します』
やよい『悪いことする春香さんなんて、「くっつけ」て止めちゃいます!』
千早「…ありがとう、みんな…」
あずさ『礼なんて必要ないわ。だって私達みんな…』
小鳥「きゃあああああああああ!?」
千早「!?」バッ
小鳥「ち、千早ちゃん、美希ちゃん…そのケガは一体…!?」オロオロ
美希「………」
小鳥「い、今病院呼んでくるから…」
美希「あて身」ドスッ
小鳥「はうっ」
ガクッ
響『おーい? どうした? 何かあったのかー?』
千早「何してるの、美希…」
美希「なんかメンドーなことになりそうだったから…」
←To Be Continued
909:『逆襲のインフェルノ』その④/おまけ:2013/09/08(日) 23:20:41.22 :s5MQtGvfo
スタンド名:「ジ・アイドルマスター」
本体:天海 春香
タイプ:?
破壊力:? スピード:? 射程距離:? 能力射程:?
持続力:? 精密動作性:? 成長性:?
能力:「弓と矢」の力により「アイ・ウォント」の先に到達した春香の新スタンド。「アイ・ウォント・レクイエム」。
自分の「精神」を「過去」に飛ばし、既に起きた「過去」の出来事を再現する。
「過去の世界」では一度決まってしまった運命は確定していて、何者も変えることはできない。
ただし、「ジ・アイドルマスター」以外は。
「ジ・アイドルマスター」によって変えられた出来事は、春香の意識が「現在」に戻ってきた時、書き換えた後の「結果」だけが残る。
A:超スゴイ B:スゴイ C:人間並 D:ニガテ E:超ニガテ
本日分はこれで終了です。支援ありがとうございました。
次は1週間後に…できるかなぁ…
920:>>1 ◆T8u.wEhpZwhL:2013/09/09(月) 03:02:58.87 :1rOQeqkro
「ジ・アイドルマスター」の能力内で行われている行動は言わばビデオで撮影した映像を再生しているようなもので、バイツァダストの「過去をやり直す」能力とはまた別です
春香が何もしなければ、春香以外のあらゆるものは本来の時間と全く行動をします。行動が確定しているというのはそういう意味です
能力の中であれば、例えライブのステージから春香が消えても、観客は勝手に盛り上がります
「ジ・アイドルマスター」が直接触れない限りは、目の前に落とし穴を掘ろうが重力の影響すら受けず歩き続けます
そして、その確定した行動を無理矢理変えてしまうのが「ジ・アイドルマスター」の能力です
千早は血を落としている途中で「ジ・アイドルマスター」によって攻撃を受けたので行動が変わりました
単に時間を戻すというよりは、既に起こったことを基に仮想現実を作り出し、その中で変化させた事実だけを現実に反映させるといった感覚の方が近いかもしれません
925:>>1 ◆T8u.wEhpZwhL:2013/09/09(月) 19:10:31.74 :DGcxqwJTo
もひとつ補足
「ジ・アイドルマスター」で直接触れなくても、能力を使って時間を戻した場合、それまでの間に「ジ・アイドルマスター」が直接与えた影響だけは一切なくなります
春香のダメージは「ジ・アイドルマスター」によって変化したことで消えていますが、美希や千早達のダメージが治っているのはそのためです
ただし影響がなくなっても触れない限り行動は変化しないので、折れてもいない腕を大げさに痛がりますし、「ジ・アイドルマスター」が壊した壁を通り抜けて移動していれば、再現世界の中では壊さなくても壁を突き抜けます
943:『ジ・アイドルマスター』その①:2013/09/19(木) 01:29:07.99 :j/Ksazbyo
ブロロロロロ…
あずさ「まだかかりそうですか?」
律子「ええ、交通法規をはみ出さない程度には飛ばしてますけど…」
伊織「『スタートスター』は駄目なの?」
亜美「まだ距離が足んないよ、もっと近付かないと」
律子「…ねぇあんた達、本当に…春香と戦うつもりなの…?」
伊織「そのつもりだけど」
律子「なんて言うか、話を聞いている限り…その…」
律子「逃げた方が…いいんじゃあないかしら…」
伊織「逃げるったって、どこに逃げるって言うのよ!」
律子「あーもう…そんなことわかってるわよ…」
律子「冗談よ冗談! もう腹を括るしかないでしょうがこんなの!」
あずさ「うふふ、律子さんでも冗談を言うんですね」
律子「はぁ…なんでそんな落ち着いていられるんですか…」
945:『ジ・アイドルマスター』その①:2013/09/19(木) 01:52:52.17 :j/Ksazbyo
………
……
真「春香が来る…」
響「こうしちゃいられない、準備しないと…」
真美「ジュースは!?」
真「後だよそんなの!」
貴音「…そう…ですよね」
響「たかね、今はそんなので落ち込んでる場合じゃないでしょ」
やよい「終わったら、みんなで飲みましょう!」
真「…そうだね。全部終わったら…それがいいと思う」
雪歩「み、みんな…大丈夫…だよね? これでおかしかったのも全部、元に戻るんだよね…?」
響「ああ大丈夫! なんくるないさー!」
真美「うん! なんとかなるっしょ!!」
やよい「みんなでがんばりましょー!」
貴音「…待ってください」
真「貴音さん?」
947:『ジ・アイドルマスター』その①:2013/09/19(木) 01:58:54.12 :j/Ksazbyo
貴音「聞けば美希や千早も負けた相手…何の策もなしに勝てるとは思えません」
響「みんなで戦えば、きっと勝てるよ!」
真「『ジ・アイドルマスター』…あれの打開策なんて、あるのか…?」
真美「無理…だよね」
やよい「『あい…』えっと、前のスタンドならたぶん大丈夫だったかもですけど…」
雪歩「前のスタンドかぁ…なんとかして、元に戻せないのかな」
真「…元に戻す?」
真美「そーいや、『ジ・アイドルマスター』って『矢』がくっついてできたんだよね?」
響「そっか! 何度でもやり直せるなら、いくら攻撃をしても無駄…だったら」
やよい「『矢』を取っちゃえば春香さんも元に戻るかも!」
真「だけど、本当に『矢』を取ったくらいで元に戻るのか…?」
貴音「しかし、無策のまま立ち向かうよりは…希望があると思います」
真「…それもそうだね」
949:『ジ・アイドルマスター』その①:2013/09/19(木) 02:03:13.77 :j/Ksazbyo
真美「あ、あのさ…」
真「ん?」
真美「真美達ってどうすればいいかな…」
響「あ、そっか…二人とも、今のままじゃスタンドが使えないのか」
雪歩「あうぅ…ごめんなさいぃ…」
真「二人とも、上に行っててくれ」
雪歩「上に? みんなは…」
貴音「私達はここで春香を迎え撃ちます」
やよい「二人の分まで、私達が頑張ります!」
真美「…りょーかい。みんなならきっと大丈夫だよ」
雪歩「気をつけてね、みんな…」
パタパタパタ…
951:『ジ・アイドルマスター』その①:2013/09/19(木) 02:05:34.47 :j/Ksazbyo
真「さて、春香から『矢』をどうやって取り上げる?」
真「『五感支配』…いや『六感支配』に加えて『過去』を変える能力まであるんだ」
響「まぁ、普通に戦うだけでも…難しいよね」
貴音「ええ。正面から挑めば、美希と千早を負かせた『スタンド』…まず勝つことはできないかと思われます」
貴音「しかし、それ故に…春香は自分の『スタンド』に相当の自信を持っているはず。まずは堂々と踏み込んでくるでしょう」
響「うん、美希と千早の話ではそうかも。随分余裕あったみたいだし」
真「! それなら…」クルッ
やよい「え? 私ですか?」
貴音「やよいの『げんきとりっぱぁ』動きを止めれば、私達の『スタンド』で能力を使われる前に取り上げるのは可能かもしれません」
響「できるか? やよい」
やよい「はい! 私の『ゲンキトリッパー』でなんとかなるなら、とっても嬉しいかも!」
真「それじゃやよい、今から…」
ドォ………ーン
・ ・ ・ ・
954:『ジ・アイドルマスター』その①:2013/09/19(木) 02:08:02.80 :j/Ksazbyo
ゴゴゴゴ
春香「やっほ」
真「………!!」
ゴゴゴゴゴゴ
春香「本当にみんなここに集まってたんだね」
やよい「はわっ!? は、春香さん…」
真(早すぎる…!!)
貴音「なるほど。『あいどるますたぁ』で移動してきたのですね」
春香「ん? あれ…なんで貴音さんが『ジ・アイドルマスター』のことを知ってるの?」
真「…千早達から聞いた。キミに完敗したらしいけど…無駄なんかじゃあなかったってことだよ」
春香「ああ…千早ちゃん、まだ折れてなかったんだね…流石だなぁ…」
響「自分達はみんな春香の能力を知ってる、美希と千早から受け継いだんだッ!」
やよい「春香さんが『過去』を変えたって、消えたりしません!」
春香「いいや、消えるよ…」
春香「私がここで全員を倒せば…全部ね」
956:『ジ・アイドルマスター』その①:2013/09/19(木) 02:10:34.32 :j/Ksazbyo
真(今の会話の間に…)
ウー ウッウー ウー
真(やよいが『ゲンキトリッパー』を仕掛けた、これなら…)
真「ボク達は…」パキッ
真「春香なんかに絶対負けたりしない…!」パキパキパキ
春香「いいや…やっぱり私には勝てなかったんだって…すぐ思い知ることになるよ」コツ コツ
真(! 春香が近付いてきた…)
真(『矢』を引き離すのなら、一番適任なのは貴音さんの『フラワーガール』だ)
響(わかってるぞ。まず自分達が春香の両腕を封じるんだ)
貴音(響、真、お願いします。動きを止めれば私が…)
春香「………」ピタ…
真「止まった!」ダッ
響「行くぞ!」ダム
春香「二人して飛び込んできたか…」
響「ドラァ!!」グババッ
真「オラァ!」ビュオッ
959:『ジ・アイドルマスター』その①:2013/09/19(木) 02:12:03.39 :j/Ksazbyo
ゴォォォォォ
春香「フン!」
ゴゴゴゴゴ
真(これが…『ジ・アイドルマスター』、春香の新しいスタンドか!)
響(確かに、左手首に『矢』がついてるな!)
春香「無駄無駄無駄無駄」
ガシィ!!
春香「あれ? どうしたの、この手応えのなさは…」
真(よし、これで両腕を塞いだ!)
響(今だたかね、能力を使われる前に…)
貴音「『フラワーガール』」ヒュオッ
春香「三人がかりか…けど…」
ググ…
貴音「そこです」ヒュバァ
春香「! これは、腕にくっついてる『矢』を狙って…」
真(取った…!)
961:『ジ・アイドルマスター』その①:2013/09/19(木) 02:12:43.28 :j/Ksazbyo
ゲシャァ!
真「え!?」
貴音「ぐ…!?」グオッ
春香「ざーんねん。はずれ」
真「け…蹴り!? だって!?」
春香「無駄無駄無駄無駄」ガン ガン ガン ドン ドン
真「うおっ!」ピキィ!
響「うわっ!!」ドグォ
バッ バッ
真「ど…どういうことだ!? なんで蹴ることができる!?」
響「やよいの『ゲンキトリッパー』で足は『くっつけ』られたはず…」
春香「『ゲンキトリッパー』ね…どうなの? やよい」
やよい「う…」ヘタリ
真「え?」
やよい「うう…」ガタガタ
真「や、やよい…!? どうしたんだ!?」
963:『ジ・アイドルマスター』その①:2013/09/19(木) 02:14:20.42 :j/Ksazbyo
やよい「た…」
真「た?」
やよい「高いところは…やだ…」
真「な、何を言ってるんだやよい!? ここは…」
真「!! まさか…」
春香「『視覚支配』」
春香「やよいには、自分が断崖絶壁の上にいるように見えているだろうね…」
響「そういえば、やよいは『高所恐怖症』…」
貴音「卑劣な…」
真「やよい! それは幻覚だ!」
やよい「はぁっ、はぁっ」ブルブル
真(聞こえてないのか…!? 『音』でも恐怖心を煽られているのかもしれない!)
春香「はい、まずやよい」
965:『ジ・アイドルマスター』その①:2013/09/19(木) 02:15:10.58 :j/Ksazbyo
春香「それにしても…なるほどね。どうするのかと思ったけど…ここを狙ってくるのか」
真「春香…!!」
貴音「真。まずはやよいを安全な場所へ移動させてください」
真「! はい…」
春香「まずは貴音さん? いいよ、相手してあげる!」
貴音「『フラワーガール』」ヒュオッ
シュバァ!
春香「ヴァイ!」グオ
ガシィ!!
貴音「む…」
ガキッ! バキィ!!
春香「無駄…」グ…
貴音「うっ…! これは…」グググ…
貴音(『フラワーガール』が押されている…!?)
967:『ジ・アイドルマスター』その①:2013/09/19(木) 02:16:05.40 :j/Ksazbyo
春香「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄」
ガギャ ギン ガリャ グギャ ガン
貴音「ぬぅ…っ」ブシュ
真「貴音さん!」
貴音「強い…」ポタッ
真(春香の『アイドルマスター』のパワーは貴音さんの『フラワーガール』を上回るのか…!?)
春香「弱い! やるならもっと本気でやってよ、貴音さん!」
ダムッ
春香「千早ちゃんや美希はこんなものじゃ…」
響「ドラァッ!!」ゴォォッ!!
春香「おっ…!?」サッ
バッチィィィ!!
ゴリュ
・ ・ ・
春香「ありゃ…」プラン
真(響の体当たりで腕が折れた! けど『矢』には当たっていない…)
春香「貴音さんは囮…響ちゃんの勢いを活かした攻撃は受けきれないか」
969:『ジ・アイドルマスター』その①:2013/09/19(木) 02:16:25.79 :j/Ksazbyo
響(今から『視覚支配』を使っても…その場から逃げる前に攻撃してやる!)
響「行くぞ春香ッ!! ドラァ!」ゴォォォォォ…
春香「『ジ・アイドルマスター』」
ドォ…ーン
フッ
響「え」ゴォッ
貴音「な」ピタッ
ゴシャ
貴音「ぐっ…!?」
ドサッ
貴音「………」ゴフッ
響「た…たかね…」
春香「響の攻撃の直線上にいる私を取り除けば…」
春香「その先の『未来』で起こるのは『響ちゃんが貴音さんにぶつかった』という事実」
貴音「う…く…」シン…
971:×響の ○響ちゃんの:2013/09/19(木) 02:16:53.63 :j/Ksazbyo
響「は…春香ァッ…!!」
春香「なに?」
響「ドラァッ!!」ダム
ス…
春香「『トライアル・ダンス』の脅威は真っすぐ飛んでくる…スピードの乗った力だけ」
ゥゥゥ…
春香「後ろにかわし、勢いが落ちたところで…捕まえる」
ガシィ!
響「あ…」ピタ…
春香「無駄だよ。こんな広い場所じゃあ響ちゃんの能力は活かせない」
春香「無駄無駄ァ」バガ ガ
響「おぶっ…」グギ
ドパァ!
真(バ…)
真(バカな…こんな、こんな…簡単に…)
春香「貴音さん…そして響ちゃん」
973:『ジ・アイドルマスター』その①:2013/09/19(木) 02:17:19.47 :j/Ksazbyo
春香「さて…」
真「く…!」バッ
スタスタ
真「え?」
真(ボクは…無視?)
春香「真美と雪歩もいるよね…千早ちゃんと美希と『竜宮小町』以外はみんなここにいるはずだから」
真「…! ま、待て春香!」
コツ コツ コツ
真「ま…」
…………
雪歩「う、凄い音がしてるけど大丈夫かな…」
真美「大丈夫だよ、これはみんながはるるんを…」
真『真美ー! 春香がそっちに行った!!』
真美「うぉ…!?」
雪歩「真ちゃんの声…春香ちゃんが上ってくるってことは…」
真美「そ、そんな…だって、さっき来たばかりだよ!? 早すぎる!!」
975:『ジ・アイドルマスター』その①:2013/09/19(木) 02:17:46.47 :j/Ksazbyo
コツ コツ
真『雪歩を連れて逃げろーッ!!』
真美「逃げろったって…」
雪歩「どこに行けば…」
コツ コツ
真美「ゆきぴょん、とりあえず上に逃げよう!」
雪歩「いや、でも…階段の方は春香ちゃんが来てるんだよね!?」
真美「あっ…い、いやでも! このままここにいたら…」
コツン!
春香「やっほ」
真美「は…」
雪歩「春香…ちゃん…」
春香「どうしたの? 二人揃って」
春香「あ、そっか。使えないんだね、二人とも…『スタンド』が」
真美「く…!」
977:『ジ・アイドルマスター』その①:2013/09/19(木) 02:18:04.24 :j/Ksazbyo
雪歩「ち、近寄らないで! 近付いたら私の『スタンド』が…」
春香「どうするの?」
雪歩「悪い春香ちゃんなんて、ぼこぼこにして、めためたにして、ベンチの下に叩き込んでやっつけちゃうんだから…!」
春香「あはは。その頼りになる『スタンド』はいつになったら出てくるのかな?」
雪歩「うぅぅ…!」
春香「まぁ、あんなの出てきたとしても何も怖くないけど」
真美「はぁーっ、はぁーっ」ガタガタ
春香「真美の『スタートスター』も亜美がいなければ何もできない…」
春香「弱いものいじめみたいで気が引けるけど、まぁいっか。『ジ・アイドル…」
ピシ!
春香「ん?」
ピシ!ピキピキピキ
春香「床が…」
979:『ジ・アイドルマスター』その①:2013/09/19(木) 02:18:31.00 :j/Ksazbyo
真「オラァッ!!」
ドッボォォ
春香「やっぱり真か…」
雪歩「真ちゃん…!!」
真「そこまでだ、春香…喰らえッ!!」ドギュン
春香「ち…!」バッ
真「!」ブルン
春香「『ストレイング・マインド』…下の階から無理矢理床をブチ抜いてきたのか」
真「ボクを無視するなんてひどいじゃあないか、春香」
春香「忘れたの? 私の『アイ・ウォント』にこっぴどくやられたことを」
真「ボクはもうあの時のボクじゃあない!」
真美「まこちん!」
真「雪歩、真美、ボクが春香を引き付ける! その間に逃げるんだ!」
真美「わかった! ゆきぴょん!」
雪歩「う、うん」
981:『ジ・アイドルマスター』その①/おわり:2013/09/19(木) 02:19:27.33 :j/Ksazbyo
春香「逃がすと思う?」
真「いいや…そうするしかないだろう、春香は」
春香「?」
真「『アイドルマスター』の能力を使えば、わけのわからないままにみんな倒すことはできる」
真「けど、それじゃ恐怖心を植え付けることは出来ない。自分の力を存分に思い知らせてから倒す…だから、ボク達はまだ全滅していないんだろう?」
春香「ま、そうだね。何より無抵抗のままじゃ私もつまらないし」
真「だからこそ、ボクがここで何もしないうちに倒されることはない。ボク達にも勝機がある」
春香「ないよ」
真「別に能力で雪歩達を追いかけてもいいさ」
真「けれど、ボクを放って雪歩達の所に行くということは、ボクから逃げることだ」
真「無敵の『アイドルマスター』の能力を使ってまでボクから逃げたいってことだ…そうなってしまうんだよ、春香」
真「『スタンド』は精神力のエネルギー、例え『矢』でパワーアップしてもそれは…」
春香「はいはい、つまり…」
ゴゴゴゴ
春香「どうしても先に倒されたいってことなんだよね? 真は」
ゴゴゴゴゴ
真「………」
元スレ
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1360068979
自分が悪だと気づいていない、最もドス黒い『悪』だ。