■アイマスジョジョ
春香「あれ、なんですかこの『弓と矢』?」①
春香「あれ、なんですかこの『弓と矢』?」②
伊織「スタンド使いを生み出す『弓と矢』…」①
春香「あれ、なんですかこの『弓と矢』?」①
春香「あれ、なんですかこの『弓と矢』?」②
伊織「スタンド使いを生み出す『弓と矢』…」①
4:『ブルー・バードは空へ飛ぶ』その②:2012/11/12(月) 22:41:27.44 :rV6R5Epio
ドドドドド
やよい「うーっ、うーっ、うっうっうーっ」
ゴチャッ
千早(高槻さんの、『くっつけ』る能力…『軽く』する能力が通用しない…!)
ドドドドドド
千早(だけど…高槻さんの分の『重量』はこっちにある。『パワー』は『ブルー・バード』の方が上のはず)
千早(高槻さんに攻撃するというのは気が引けるけれど…この状況、そうも言ってはいられない)
千早(不用意に攻撃してはまた『くっつけ』られる。一撃で決める必要があるわね)
やよい「なんか、こうしていっぱいくっつけてるのに歩けたりすると…」ガシャ
やよい「すっごい力持ちになったみたい」ガシャッ
千早「………」
シャッ
やよい「あれー、千早さんカーテンの中に隠れて…かくれんぼですかぁ?」
6:『ブルー・バードは空へ飛ぶ』その②:2012/11/12(月) 22:42:44.65 :rV6R5Epio
やよい「えーと、千早さんはどのへんにいるかなー」クルゥーッ
モゾモゾ
やよい「あ! そこですっ」ヒュッ
ガチッ!
やよい「あれ?」
シャッ
やよい「イスが…浮かんでます」
やよい「千早さん、どこ行ったんですかー?」
千早(高槻さんの動き…)
千早(かなり単調ね…こんな子供騙しにもならないような手にも引っかかったし、基本的にスタンドを直線的に突っ込ませるような動きしかしてこないわ)
やよい「あ、わかったー! 外に出たんですね!」グオン
ブチブチブチ
バサァ
千早「………」
やよい「千早さん、みーつけた」
8:『ブルー・バードは空へ飛ぶ』その②:2012/11/12(月) 22:43:13.35 :rV6R5Epio
やよい「えーっと…千早さんを『ゲンキトリッパー』で『くっつけ』て…それから…」
やよい「それ…から…」
やよい「………」
やよい「いいや、『くっつけ』てから考えよっと」グイッ
千早「乗ったわね、高槻さん」
やよい「え?」
バサァァ
やよい「はわっ、カーテンが…」
千早(『ブルー・バード』…これで『重量』はゼロ、空気より軽くなったカーテンは重力に逆らって上って行く)
やよい「うーっ、これ邪魔ですーっ」モゾモゾ
千早(そして、これで高槻さんの視界を封じた! ここに…叩き込む!)ビュアッ
やよい「よいしょっ」バサッ
ゴォォォ
千早(入る…!)
ス…
やよい「うっうー!」ビュン!
千早「はっ…!?」バサッ
10:『ブルー・バードは空へ飛ぶ』その②:2012/11/12(月) 22:43:47.64 :rV6R5Epio
ズザァァァ
やよい「ちょっと、危なかったかなー」
千早(あのスピード…『ブルー・バード』の攻撃を避けた…?)
千早(いくら高槻さんの身体能力が高いと言っても…この距離で『ブルー・バード』を見てから避けるなんて…人間に可能なことなの…?)
やよい「なんだか…」
やよい「体がポカポカーってなって、すっごい元気出てるかもーっ」
千早(!)
ピタァ…
千早(腕にカーテンが『くっついて』いる…)
バサァ…
千早(くっ、こう上がられると視界が…『ブルー・バード』を解除しなくては…)
フッ
12:『ブルー・バードは空へ飛ぶ』その②:2012/11/12(月) 22:44:11.37 :rV6R5Epio
やよい「あ…体、『重く』なりましたー」
ガシャン ガシャ
千早(これで…高槻さんの『重量』は元に戻り…こっちの手には『カーテン』をくっつけられ…)
千早(打撃のパワーはともかく、このカーテンを引きちぎるほどの腕力は『ブルー・バード』には…)
やよい「『くっついた』のもなくなって…ぜっこーちょーで行きますよーっ!」タカタカ
千早「くっ…」
千早(高槻さんが向かってくる、どうすれば…)
やよい「うーっ!」ドォ
千早(考えている時間はない、カーテンで包んで…抑え込む!)
グイッ
バファッ
やよい「わぷっ」
14:『ブルー・バードは空へ飛ぶ』その②:2012/11/12(月) 22:44:25.67 :rV6R5Epio
やよい「うーっ、苦しいですーっ」ジタバタ
千早「暴れないで、高槻さん…!」
やよい「………」ピタ…
・ ・ ・ ・
千早「ふぅ、ようやく止まって…」
グ…
千早「…え?」グラ…
やよい「うっうー!」グイイィ
千早「っ!? な、なんですって…!?」ズザ
千早(お、押されている…!? こんな小さな体のどこにそんなパワーが…)
やよい「えーいっ!」ドスン
千早「がっ!」ドギャァ
千早「こ…」ピタ…
千早「これは…!」グ…
千早(壁に『くっつけ』られて…動けない! 十字架に張り付けられた罪人のように…!)
16:『ブルー・バードは空へ飛ぶ』その②:2012/11/12(月) 22:44:48.03 :rV6R5Epio
やよい「これで千早さんは…えーと…えーっと…もういいや」
千早(まずい…! こんな状態では『ブルー・バード』で身を守る事も…)
ゴソゴソ
やよい「これでいっかなー」ヒョイ
ピト
千早「ひっ!?」ヒヤッ
千早(コーヒーの空き缶…? を、私の腹に『くっつけ』て…一体何を…)
やよい「えいっ」グイ
千早「ぐ…っ!?」ビッ
やよい「これを、ゆっくりゆっくり…」
やよい「『なめくじ』が動くようにゆっくりと、引っ張って…剥がしたいと思います」
ギリ
千早「あ…」
ギリリリリリリ
千早「あああああ…っ!」
千早(皮膚が…引きちぎられる…!)
18:『ブルー・バードは空へ飛ぶ』その②:2012/11/12(月) 22:45:37.59 :rV6R5Epio
千早「た…高槻さん…! 一体、何が目的なの…!?」
千早「何か望みがあるのなら…がっ…!!」ギリリリ
やよい「え、目的ですかー?」
やよい「言ったじゃあないですか、おしおきですよー」ギュイ…
千早「あああ…うあああああっ!!」ギリギリ
やよい「だからいっぱい時間かけて、もーっと…」
ヌ…
あずさ「そこまでよ~、やよいちゃん」
やよい「はわっ!?」クルッ
あずさ「『ミスメイカー』」ガシ!!
やよい「うっうー! 『ゲンキトリッパー』!!」バッ
ピタ…
やよい「ふぅ…あずささんもですか…」
やよい「だけど手が伸びてるところで『くっつけ』たから…これで一安心かもです」
20:『ブルー・バードは空へ飛ぶ』その②:2012/11/12(月) 22:45:59.06 :rV6R5Epio
あずさ「やよいちゃん、何をしているのかしら?」
やよい「今、千早さんにおしおきしてるんですよー」
あずさ「おしおき?」
やよい「はい、だからジャマしないでほしいかなーって」
あずさ「そう、それは…」
チッチッチッチッ
カチ!
やよい「はうっ」プツッ
ガラァァン
あずさ「ごめんなさいね、邪魔をしちゃって」
千早「う…」フラッ
カラン
あずさ「危なかったわね、千早ちゃん。大丈夫?」
22:『ブルー・バードは空へ飛ぶ』その②:2012/11/12(月) 22:46:17.92 :rV6R5Epio
千早「あ…あずささん…ありがとうございます、助かりました」
あずさ「やよいちゃんも、春香ちゃんの側のはず…気をつけてね、千早ちゃん」
千早「そういうことは、先に言ってくれるとありがたかったのですが…」
あずさ「あらあら~、ごめんなさい」
千早「…あずささん、既にご存知かもしれませんが…音無さんと高槻さんはスタンド使いでした」
千早「音無さんの方は『ブルー・バード』で攻撃したらあっさり倒せてしまいましたが…」
あずさ「あら? 音無さんも…そうなの?」
千早「知らないのですか?」
あずさ「やよいちゃんの方は知っていたけど、春香ちゃんは他に誰が『そう』なのかはあまり教えてくれないから」
あずさ「でも、そういうことなら…音無さんも『眠ら』せておいた方がよさそうね」
千早「はい、お願いします。それで…」
あずさ「あの~…とりあえず、千早ちゃん」
千早「はい?」
あずさ「服を着た方がいいと思うわよ~、女の子がいつまでも下着姿ってのはちょっとね…」カチッ
小鳥「むにゃ…」
千早「そうですね、音無さんがこんなじゃあ計測もできませんし…」
24:『ブルー・バードは空へ飛ぶ』その②:2012/11/12(月) 22:46:42.33 :rV6R5Epio
………
……
小鳥「うへへ…」
やよい「くー…」
千早「音無さん、それと高槻さん…どうしましょうか…」ソワソワ
あずさ「放っといていいと思うわよ~。私がここにいる間起きる事はないし、私が『ミスメイカー』を解除しても、しばらくは『眠って』いるはず」
千早「二人とも、様子がおかしかった…何か、『凶暴』になっていたような気がするのですが…」
あずさ「『凶暴』…?」
千早「ええ。『スタンド使い』になったことによる影響でしょうか?」
あずさ「うーん…春香ちゃんみたいに、『持った事』によって気が大きくなったりすることはあるかもしれないけど…」
あずさ「『凶暴化』というのは…ちょっと、わからないわね。二人とも、なの?」
千早「はい、そうですね。普段と様子が全然違いました」
あずさ「そう…だったら、何かあるのかもしれないわね。やよいちゃんは私の能力を知っているはずなのに、『くっつけ』たままだったし」
千早「何か、ですか…」
あずさ「…この話はひとまず置いておきましょう」
26:『ブルー・バードは空へ飛ぶ』その②:2012/11/12(月) 22:47:27.26 :rV6R5Epio
あずさ「それより、千早ちゃん…ちょっとお願いがあるのだけど」
千早「はい? なんでしょうか」
あずさ「千早ちゃんの『ブルー・バード』で…」
ゴゴ
あずさ「私の体重を…少し…」
ゴゴゴ
あずさ「『軽く』…してくれないかしら」
ゴゴゴゴゴゴ
千早「………」
あずさ「………」
ゴゴゴゴゴゴゴ
千早「いけないと思います、それは…」
あずさ「そこをなんとかお願い…」
千早「先程襲われたのに、そんなことをしている場合じゃあないかと…」
あずさ「やよいちゃんも音無さんも、倒したのでしょう? それに、二人とも『眠らせた』から大丈夫よ」
28:『ブルー・バードは空へ飛ぶ』その②:2012/11/12(月) 22:47:47.81 :rV6R5Epio
千早「しかし…」
あずさ「さっきのお礼と思って…!」
千早「それには感謝していますけれど、アイドルとして、こういう行為はよくないのでは…」
あずさ「私もそう思うけど…男の人に見られるとなると…」
千早「みんな、そうですよ!」
あずさ「お願い! 1kgだけでもいいから…」
スゥ…
あずさ「!」ビク!
・ ・ ・
千早「だけと言いますけれど、1kgって結構な重さでは…」
あずさ「………」
千早「あずささん…?」
あずさ「ふざけないでよ…」
千早「!?」
30:『ブルー・バードは空へ飛ぶ』その②/おわり:2012/11/12(月) 22:48:15.29 :rV6R5Epio
あずさ「ふざけるんじゃあないぞッ、この小娘がッ!!」
ドゴォ!
千早「うぐっ!?」
カチ!
千早「かはっ!!」ドサァ
千早「な…何ですってッ!?」ムク…
あずさ「下手に出てりゃ調子に乗りやがってよォォ~ッ、私に使う能力はないってかァ~ッ!?」
あずさ「それとも、まな板だから僻んでんのかよォ~ッ!? え? 去年からサイズ上がってんのか!?」
千早「くっ…」
千早「別に気にしてはいないけれど、そういうことを言われると腹が立つわね…」
千早(それにしても、あずささんまで…? この尋常じゃあない豹変っぷり、もう偶然なんて言っていられない…)
千早(人に取り憑くタイプの『スタンド』! きっと高槻さんも…音無さんも、誰かに操られていた…そうとしか思えないわ!)
千早(そして…『ミスメイカー』…『眠ら』されるまであと80秒!)
61:『ブルー・バードは空へ飛ぶ』その③:2012/11/17(土) 21:57:03.90 :+x0FVuqyo
カチ! カチ!
千早(音無さんも高槻さんも、『ミスメイカー』の能力で『眠って』いる。『凶暴化』はこの二人によるものではない)
千早(音無さんは関しては、そもそも私の『ブルー・バード』が見えていなかった。恐らく、スタンド使いではないのでしょう)
千早「本体は…別にいるッ!」
千早(そう遠くにはいないはず…探しに行きたいところだけれど、まずはこの『カウント』…あずささんを止めないといけない)
ザッ
あずさ「あら…扉の前に立って…どういうつもり?」
千早(狙う事は前と同じ…一度『軽く』して動きを封じれば、射程距離の外に出る事が出来る)
千早「もう時間はない…あなたを逃がしたりもしない、すぐに決着をつけさせてもらいます」
千早(『カウント』がゼロになれば勝利…恐らく、あずささんは私の攻撃を避けながら戦うでしょう)
千早(だけど、『ブルー・バード』のスピードならば捉えられる…はず)
63:支援ありがとうございます:2012/11/17(土) 21:57:57.53 :+x0FVuqyo
ズ…
あずさ「んん~?」
あずさ「千早ちゃん、頭の『カウント』がどんどん減ってるようだけど…」
あずさ「そんなゆっくり歩いてる余裕なんてあるのかしら~?」
千早(いえ、ゆっくりでいい)スッ
千早(こっちはまず、一撃当たればそれでいい…万が一もあるかもしれないけれど)
千早(1分あれば…充分よ)
ドドドド
千早(『ブルー・バード』の射程距離はおよそ7m、このままゆっくり近づいて…)
千早(どちらに向かう? 右? 左? 後方?)
千早(どこだろうが、逃げようとするならば…あずささんが動いたと同時に『ブルー・バード』を叩き込むだけよ)
ドドド
65:『ブルー・バードは空へ飛ぶ』その③:2012/11/17(土) 21:59:03.64 :+x0FVuqyo
あずさ「千早ちゃん…」
あずさ「一発当てればいいとか…そんなつまらない事考えてるんじゃあないでしょうね…?」
千早「………」
千早(挑発に乗ってはいけない。『ミスメイカー』の能力は死刑宣告のようなもの、確実にやるべきよ)
あずさ「こっちはチンタラやるつもりはないのよッ!!」ダッ!
千早「!」
千早(こっちに突っ込んできた!?)
あずさ「とっとと『眠ら』せて…縛り上げて、『軽く』してもらうわ…!!」
千早「そう…ならば」スッ
ズシッ
千早(床から『重量』を『奪う』…『重く』すれば『ミスメイカー』のパワーにも勝てる!)
あずさ「『重く』してるのォ~ッ!? 馬鹿の一つ覚えのように!!」
ゴゴゴゴゴ
千早「く…!」
千早(あずささんが近づいてくるスピードが思ったよりも速い…!)
67:『ブルー・バードは空へ飛ぶ』その③:2012/11/17(土) 21:59:35.72 :+x0FVuqyo
あずさ「ウシャアアアッ」グオン
千早(充分な『重量』は得た、『パワー』は充分…なはず)
千早「『ブルー・バード』!」ドォン
ガシィ!!
グイ!
千早「こっ…!?」ガッ!
千早「このパワーは…!!」グググ
千早(以前より強い…『重く』した『ブルー・バード』が…押し負ける…!)
あずさ「舐めるなッ!」ドガァ
ギュン
千早「んあっ!!」バキャ!!
カチ!
千早「く…」
千早(カウントが進んだ…あと40秒もない…)
千早(…『取り憑く』スタンド、大体見えてきたわ)
千早(『ミスメイカー』だけでなく、あずささん自身のパワーやスピードも上がっているのね…)
69:『ブルー・バードは空へ飛ぶ』その③:2012/11/17(土) 22:00:47.60 :+x0FVuqyo
千早(『ミスメイカー』で『眠ら』せるには時間が必要…先に『カウント』をつけられた私の前に何かを『眠ら』せることはできない)
千早(『ミスメイカー』の能力はないものとして考えていいわ。私が触れられるのはまずいけれど…)
あずさ「あらあら~。追いつめる側から一気に追いつめられる側ねぇ~ッ、どんな気持ちかしら~?」
あずさ「このまま『ミスメイカー』でブッ飛ばして…すぐに『カウント』を『ゼロ』にしてあげるわ~ッ、千早ちゃん!!」
千早(思考も短絡的…)
千早(『逃げ』に徹されたらもう私の勝ち目はないけれど…そうしない)
千早(恐らく、取り憑かれ『凶暴化』したことで判断力が低下しているのね…いつものあずささんならばこんな粗雑な攻め方はしてこないわ)
ザッ ザッ
千早(また真っすぐ突っ込んでくる…そうとわかれば…)
あずさ「とどめよッ!!」バオッ
千早(あずささんの攻撃の軌道が読める…)ス…
あずさ「え?」
ヒュ
ドギャァァ!
あずさ「ぐぎゃっ!?」
71:『ブルー・バードは空へ飛ぶ』その③:2012/11/17(土) 22:01:27.22 :+x0FVuqyo
千早「あずささん…あなたは以前、私の『ブルー・バード』の動きは単調…だから攻撃を当てるのは難しくないと言ったけれど」
あずさ「う…」
千早「その通りね。速くなった分、動きは単純…直線的に突っ込んでくるだけなら」
あずさ「うおおおおッ!!」バオッ
千早「ふっ!!」ヒュン
ドギャス!
あずさ「あがっ…!」グキ!
千早「簡単に攻撃を当てられるわ」
あずさ「なん…ですって…」グラ…
千早「もう時間がない…このまま離れてもカウントが『ゼロ』に前に射程距離の外に出る事は出来ない」
千早「なら、悪いけれどあずささん…あなたを気絶させる他ないわね」
あずさ「ぐ…」
73:『ブルー・バードは空へ飛ぶ』その③:2012/11/17(土) 22:02:18.40 :+x0FVuqyo
あずさ「シャァッ!!」ドバ
千早「遅いわ」ヒュン
あずさ「がっ!」バキ!
・ ・ ・ ・
千早「あなたから向かってくるのなら好都合…」
ドドドド
千早「さぁ、気絶してもらうわ」ザッ
あずさ「う…」
ドドドドドド
あずさ「あああっ!!」ダッ!!
千早(逃げた…)
千早(いかに『凶暴』な『野生生物』も天敵からは本能的に逃れようとする)
千早(『憑依スタンド』に取り憑かれた人も、こう叩きのめせば恐怖は感じるのね)
75:『ブルー・バードは空へ飛ぶ』その③:2012/11/17(土) 22:03:02.75 :+x0FVuqyo
千早(しかし…)
千早「逃がすと…思いますか?」
ササッ
あずさ「はっ、そんなところから何を言っているの千早ちゃん…」
ドドドドドド
あずさ「『ブルー・バード』の射程距離は7m、ここまでは…」
ヒュゥッ
あずさ「え…」
ドドド
千早(届く…)
あずさ「う…」
千早「行って…『ブルー・バード』」
あずさ「きゃああああああああああああああ」
ド バ バ バ バ バ
ギャン ドグオ
あずさ「う…が…っ!!」
ドッバァァン
77:『ブルー・バードは空へ飛ぶ』その③:2012/11/17(土) 22:03:22.04 :+x0FVuqyo
あずさ「あ…う…うぁ…」ガクッ
千早「少し…」
千早「やりすぎたかしら。いえ…」
千早「こうでもしなければ、私の方が…」
カチ! カチ!
・ ・ ・ ・
千早(『カウント』が…消えない…?)
あずさ「はぁ、ふぅ…」
千早「まだ…気絶していない…!!」
あずさ「ふ…少し…」
あずさ「及ばなかったわねェェ~ッ、千早ちゃん…!」
千早「く…」
千早(もう、時間がない…!)
79:『ブルー・バードは空へ飛ぶ』その③:2012/11/17(土) 22:03:43.85 :+x0FVuqyo
千早「『ブルー・バード』!!」
あずさ「おっと」ヒュバッ
バキ! ドガ!
千早「……!」
あずさ「もう焦る必要もない…攻撃されなければ、終わりよ。こっちだって、避けるだけなら簡単」
千早「うおおおおおおおお」ゴォ
あずさ「もう、遅い」
カチィ!!
千早「あ…」フラ…
ドザァァ
あずさ「ふぅ…千早ちゃん」
あずさ「驚いたわ…この短期間になかなか扱えるようになってるじゃあない、『ブルー・バード』を」
81:『ブルー・バードは空へ飛ぶ』その③:2012/11/17(土) 22:04:09.87 :+x0FVuqyo
クンッ!
あずさ「なんだか…久しぶりに『ハイ』になっちゃったわ~」
ヒュァァァ
あずさ「よく分からないけど、他人を打ち負かすのって気分がいいわねェ~ッ」
ドバギャァ!!
あずさ「がふっ!?」
ガシャァァン
あずさ「な、何…」
バタム!
ヒュゥゥ
ゴツン!
千早「う…」
千早「『ブルー・バード』……ふぁ…」
千早「椅子と、高槻さんが持ってきた置物を…ん…『軽く』して浮かべておいた…」ゴシゴシ
83:『ブルー・バードは空へ飛ぶ』その③:2012/11/17(土) 22:04:38.04 :+x0FVuqyo
やよい「くぅ…」
小鳥「むにゃむにゃ…」
あずさ「………」
千早「自分の手は汚さず、他人を戦わせる…」
千早「こんな卑劣なスタンド…! 許せないわ…」
千早「本体をすぐに探し出して…」
ヒュッ
バリ!!
千早「………え?」
タラァ…
千早「な…何!?」
千早(また、同じスタンド…? だけど、三人とも気絶しているし、他に誰の姿も見えない…)
千早(今…どこから攻撃されたの…?)
85:『ブルー・バードは空へ飛ぶ』その③:2012/11/17(土) 22:05:07.99 :+x0FVuqyo
ゴゴゴゴゴ
千早「………」
キョロ キョロ
千早(何かが動いてるようには見えないけれど…)
ヒュン
ガリッ!!
千早「痛っ…!?」
千早(後ろから…! 何かに噛まれているッ!!)
千早「このっ…!」バッ
ヒュン
千早(くっ、逃げられた…)
ゴゴゴゴゴゴ
千早(今の噛まれた感触…小さな生き物? もしかして、小動物を『凶暴化』させているの…?)
87:『ブルー・バードは空へ飛ぶ』その③:2012/11/17(土) 22:06:30.21 :+x0FVuqyo
ジ…
グル ジィ…
千早(目で追うのは無理ね…だったら…)
スゥ…
千早(春香の『アイ・ウォント』は『五感』を『支配』するという…)
千早(なら、目だけに頼るのは危険と、あずささんは教えてくれた)
千早(そのため、音である程度判断できるよう訓練はしてある。元々、音楽に携わる者として耳はいいつもりだけれど)
シィーン…
千早(敵は攻撃するために飛びつく必要がある…足音が聞こえなくても、大きく踏み切る時には音はするはず)
千早(方向がわかれば…)
タッ
千早「そこっ!!」バッ
89:『ブルー・バードは空へ飛ぶ』その③:2012/11/17(土) 22:06:51.63 :+x0FVuqyo
「ヂュッ!!」
ギュォォーン
クル!!
千早(避けられた! だけど…)
千早「そっちに行くと思ったわ…『ブルー・バード』の手を避けるため空中で方向転換して…」
スタッ
千早「その先にあるのは…!!」
ブワッ バサァ!!
「!? !」
バァーン
千早「カーテン…今日はお世話になりっぱなしね」
千早「包むものがこれほど小さいのなら、空気よりも『軽く』すれば一緒になって天井に落ちていくわ」
91:『ブルー・バードは空へ飛ぶ』その③:2012/11/17(土) 22:08:16.60 :+x0FVuqyo
ガシィ!
「チュ… …!」
千早「さて…」
千早「やはり…あなたなのね。少し意外だったわ」
千早「出てきなさい、我那覇さん…!」
?「!」ビクッ
千早「これはあなたのスタンドでしょう…? コソコソ隠れて、みっともないと思わないの…!?」
シン…
千早「出てこないつもりかしら…それならそれで、こっちにも考えがある」
ガラッ
千早「あなたがこのまま姿を現さなければ…この鼠が空を旅することになるわよ」
「ヂュゥ!?」
千早(まぁ、本当に落とすつもりもないけれど…こういうのって、愛護団体に訴えられたりするのかしら)
93:『ブルー・バードは空へ飛ぶ』その③:2012/11/17(土) 22:09:03.33 :+x0FVuqyo
ザッ!!
・ ・ ・ ・
千早「来たわね、我那覇さん」クル
響「やめろ、千早…! ハム蔵を放せ!」
千早「ええ、いいわよ。あなたのように汚い真似はしたくないもの」パッ
ハム蔵「チュ、チュゥゥゥ…」ヒュッ ヒョコッ
響「なんだと…? 今なんて言った、千早?」
千早「自分の手は汚さず、高槻さんに、音無さん…あずささんにも戦わせ、こんな鼠にまで戦わせるなんて…信じられないわ」
響「ハムスターだ」
千早「?」
響「ハム蔵はハムスターだ、鼠じゃあない」
千早「知っているけれど…それがどうかしたの?」
ゴゴゴゴ
響「………」
千早「………」
ゴゴゴゴゴゴゴ
95:『ブルー・バードは空へ飛ぶ』その③:2012/11/17(土) 22:09:49.16 :+x0FVuqyo
千早「私も…『凶暴化』させる? そのつもりなら、やめた方がいいわよ」
響「何…?」
千早「あなたのスタンドは同時に複数の生物に取り憑かせることはできない」
千早「そして、誰かに取り憑かせていている間…あなた自身はスタンドを使うことが出来ない」
千早「だから、一人ずつ戦わせ…自分は出てこなかった。違うかしら」
響「それが一体…」
千早「見た限り、あなたの能力は『凶暴化』させるだけ。『自由に操る』ことができるわけではないわ」
千早「あずささんの『ミスメイカー』はともかく…高槻さんのスタンド、使ったことのないあなたがあれほど上手く操れるはずがないもの」
千早「『凶暴化』して動きが単調になったとはいえ…戦ってるのはあくまでも本人よ。違うかしら」
響「………」
千早「私が『凶暴化』させられたとしても、恐らく無差別に…目の前にいるあなたに襲いかかるだけよ」
千早「だから、意味がないわ。私にそれを取り憑かせたところで…」
97:『ブルー・バードは空へ飛ぶ』その③:2012/11/17(土) 22:10:20.14 :+x0FVuqyo
響「なぁ、千早」
千早「何?」
響「自分が、ハム蔵や…やよいやあずさやピヨ子を傷つけさせたいと思ってやったと…そう思ってるのか?」
千早「思ってなくても、実際そうなっているでしょう(実際にやったのは私だけれど…)」
響「こんなこと言ってもわかってくれないだろうけど、自分はこんなこと反対だった」
千早「え?」
響「だけど相手は手強い。リスクは最小限にするべきだって…だからやった」
千早(誰かに言われたの…? 春香が、そんなことを?)
千早「…それで?」
響「自分のスタンド、『トライアル・ダンス』」
響「誰かを『凶暴化』させるなんて、そんなの本来の使い方じゃあないんだ」
千早(本来の使い方じゃあない…?)
響「最初から必要なかったんだ、あんな手…自分が本気でやれば千早なんかに負けたりしないからな」
千早「…確かめてみる、我那覇さん? 本当に、私の『ブルー・バード』に勝てるのか」
響「ああ、そのつもりだぞ」
99:『ブルー・バードは空へ飛ぶ』その③:2012/11/17(土) 22:10:52.12 :+x0FVuqyo
響「ハム蔵、下がってろ。巻き込まれるぞ」
千早「巻き込まれる…? 何か心配をしているけれど…」
千早「あなたのスタンド…『人に取り憑く』スタンドで何が出来るというの?」
響「ま、見てるといいぞ…」
スゥ…
響「『トライアル・ダンス』ゥゥッ!!」バリ バリ バリ バリ
千早「!」
響「………」シュー
千早「…我那覇さん?」
響「フゥゥゥゥ…」
千早(これは…)
千早(スタンドを自分に取り憑かせたのね)
千早(なるほど、これが我那覇さんの言うところの…本来のスタンドの使い方というわけね)
101:『ブルー・バードは空へ飛ぶ』その③/おわり:2012/11/17(土) 22:11:13.08 :+x0FVuqyo
響「行くぞッ!!」ゴオッ
千早(しかし、やはりやることは変わってはいない。また馬鹿正直に突っ込んでくるだけ…)
千早「ふっ!」ドォ
ヒュンッ
・ ・ ・ ・
千早「え?」
千早(我那覇さんが、消え…)
響「ドラァッ!!」ゴッ
ドボォ
千早「くっ…!?」ガッ
ズザザザ
響「へぇ、いい反応してるじゃあないか千早」
千早(これは…スタンドと一体化してるためか『ブルー・バード』にも攻撃が…)
千早(いえ、そんなことよりも…このスピードは一体…!? 今までの『凶暴化』した人達とはまるで比べ物にならない…!)
響「手加減なんてできないからな…」
響「全力でブッ倒す! 覚悟しろ、千早!!」
103:『ブルー・バードは空へ飛ぶ』その③/おまけ:2012/11/17(土) 22:13:47.86 :+x0FVuqyo
スタンド名:「トライアル・ダンス」
本体:我那覇 響
タイプ:特殊型・憑依
破壊力:B スピード:A 射程距離:なし 能力射程:C(10m)
持続力:D 精密動作性:E 成長性:C
能力:生物に取り憑き、「野生」を呼び覚ます響のスタンド。
取り憑かれた者は「凶暴化」し、身体能力が大きく上がるが、判断力などの思考能力が低下する。スタンド使いが取り憑かれた時、その影響はスタンドにも及ぶ。
スタンドに取り憑かれたものは一時的に本体となり、本来の本体である響から離れていても充分な「パワー」と「スピード」を出すことができる。
本来の本体である響に取り憑いた場合、その能力は100%引き出され、目にも留まらぬほどの超スピードを発揮する。
普段は霊体のようなスタンドであり、生物に触れて取り憑かなければ物体に干渉する事はできない。
A:超スゴイ B:スゴイ C:人間並 D:ニガテ E:超ニガテ
うーむ…本日分はこれで終了です。支援ありがとうございました。
127:『ブルー・バードは空へ飛ぶ』その④:2012/11/19(月) 23:24:15.72 :7zFFj6Ozo
シュバ!
千早「く…」ズッ
響「ドラァッ!!」ドオッ
ガキィィィン
千早「くあっ…!」ビリビリ
響「もいっぱあああああつッ!」シュン
千早「ブ…『ブルー・バード』…!」ド バ バ バ バ
響「ん!」キィッ!
ビ!
ヒュン
千早「う…」ズズズズ
ドサァ
千早「はぁ、はぁ…」
ビトァ
響「千早の『スタンド』…」
響「『軽く』する能力で間違いないみたいだな。かすったらちょっと『軽く』なった気がするぞ」
129:『ブルー・バードは空へ飛ぶ』その④:2012/11/19(月) 23:24:50.16 :7zFFj6Ozo
バヒュン
千早(来る…!)
千早「はっ!」ドヒュ
キィッ!
響「ドラァ!」ゴォッ
メシャ!
千早「く…っ」メキメキメキ
響「ドラララララララ」ドギャ ドギャ ドギャァ
千早「ぐあっ…!」
ドゴォ!
ドドドドドド
響「早いとこ降参した方が身のためだと思うぞ」ズ…
響「自分の『トライアル・ダンス』…逃げられやしないし、抵抗しても怪我するだけだしな」
ブル…
千早(思った以上にまずい…このスタンド)
千早(我那覇さん本来の身体能力に、スタンドの能力がプラスッ!)
ドドドド
131:『ブルー・バードは空へ飛ぶ』その④:2012/11/19(月) 23:26:02.13 :7zFFj6Ozo
響「よし、まだまだいくぞ」トン トン
ドシャァ!
千早(特に、脚力…地面を蹴る力が凄まじいため、この移動スピードを生み出しているのね)
千早(だけど我那覇さんを『軽く』すれば…そうすれば、身体能力は関係ない、動けなくなるはず…)
響「………」
ゴゴゴゴゴゴゴ
千早(また正面から向かってくる…これなら…)
ゴッ
・ ・ ・
千早「………え」
千早(壁を…)
ダダッ
ビュ!
ピタ…
ゴゴゴゴゴ
千早(天井を…歩いている…)
133:『ブルー・バードは空へ飛ぶ』その④:2012/11/19(月) 23:27:03.70 :7zFFj6Ozo
ドザッ
ギュイ…
響「ドラララララララララララ」
千早「うおおおおおおお!?」バッ
ドゴ バキャ バゴ
千早「がふっ…」
ドッギャァァァン
響「………」シュゥゥゥ…
千早「く…!」ギュバ
響「!」ヒュン!
千早「げほっ、がほっ!」ゴロン
響「そんな攻撃、当たったりしないぞ」キキイッ
千早(移動の『スピード』が…)
千早(速すぎる! 身を守るだけが精一杯で…こっちの攻撃が当たらない…!)
千早(コントロールの利かない『ブルー・バード』ではとても捉えられないわ…!)
千早(だけど、聞こえた…地面が擦れる音が!)
135:『ブルー・バードは空へ飛ぶ』その④:2012/11/19(月) 23:28:39.64 :7zFFj6Ozo
スゥ…
響「ん?」
千早(我那覇さんは攻撃の直前でブレーキをかけている…ならば)
千早(最初にかすった時のように、ブレーキと同時に『ブルー・バード』を叩き込む…!)
響「動かない…カウンター狙いか」ヒュン
千早「!」
千早(我那覇さんが視界から消えた…いえ、関係ないわ。止まる音さえ聞こえれば…)
ダム!
千早「えっ!?」クル
ダムッ! ダムッ!
千早「こ、これは…!?」
ビダッ
響「ドラァ!!」シュゴォォォ
千早「うおおっ!?」バッ
バヒュン!!
ダムァ!
千早(床だけでなく、壁や天井を地面のように蹴って…飛び回っている…!)
137:『ブルー・バードは空へ飛ぶ』その④:2012/11/19(月) 23:31:18.57 :7zFFj6Ozo
ダム!
千早(しかも、飛び込んできた後、すぐに床を蹴って壁に飛び移っている…)
千早(移動と攻撃がイコール…これでは、こちらから攻撃ができない…)
ダム! ダム!
千早(しかし、今ので場所はわかった。速いけど動きは単純…軌道がわかる)
千早(ここにいるとまずいわね…)ダッ
キュッ
バチィィィッ!!
千早「くあっ…!?」
ダムゥ
千早「手、手が…!」ビリビリ
千早(軌道から攻撃が読めるかと思ったけれど…駄目だったわ…)
千早(我那覇さんは、私のいる方に飛び込んでいる…!)
千早(………)
千早(いえ、待って…だったら、どうして我那覇さんは壁から壁に飛び移るのではなく、わざわざ床や天井にまで飛び移っているの…?)
千早(伏せられなければ、二次元の攻撃…そっちの方が私に攻撃を与えやすいし…)
千早(伏せたとしてもその時に床に向かって飛び込めばいい。相手の動きも遅くなるから好都合でしょうに…)
千早(そこまで考えが回らないのかしら?)
139:『ブルー・バードは空へ飛ぶ』その④:2012/11/19(月) 23:32:31.38 :7zFFj6Ozo
ダム! ダム!
千早(…いえ、この飛び移る距離…)
千早(この脚力があっても、反対側の壁まで一気に移動することは流石に出来ない…ということ…?)
ダム! ダム!
千早(恐らく、壁か天井を経由しなければ、壁から反対側の壁に飛び移る事はできないのね…!)
千早(と、いうことは…)
ダムッ
千早(この床や壁や天井を蹴る行動…『スタンド』で身体能力を上げているとは言っても…いえ、だからこそ余計な負担はかけられない…)
千早(踏み切る時、『自然な方向』に向かって進んでいるはず)
千早(でも、それだと私のいる場所に向かって飛んでくる事は難しいし…軌道も読みやすいわ。だから…)
ビッ
響「ドラララララ」ゴォォォォォ
千早「!」ゴロッ
千早(こっちに飛んでくる時、狙いをつけるため…少し、体勢を無理に変える必要がある)スタッ
ダムッ!
千早(その時だけ…壁を蹴る『音』が、違う『音』になっている!)
141:『ブルー・バードは空へ飛ぶ』その④:2012/11/19(月) 23:33:48.21 :7zFFj6Ozo
ダム!
千早(『音』を聞けば…攻撃のタイミングも、方向もわかるわ)スッ
ズシッ…
千早(『ブルー・バード』。体を限界まで『重く』し…最大の『パワー』を生み出す)
ダムン!
千早(攻撃に合わせて、手を出せば…)
ビドォ
・ ・ ・
千早(そこよ…!)シュバァ
ドヒュゥゥン
メ…
ドドドド
千早(………)
『ブルー・バード』の拳が触れると同時…
飛んでくる響…この圧倒的なパワーを相手に、真正面から立ち向かうことの愚かさを…
このままでは自分が「電車の前に飛び出した犬」のように無惨な結末を辿るであろうことを、千早は、理解した…
千早(まずい…手…)ス…
ドッギャァァァン
千早「ぐぶっ!!」ガギャ!
響「うぇっ!?」ギギギギ
143:『ブルー・バードは空へ飛ぶ』その④:2012/11/19(月) 23:35:02.57 :7zFFj6Ozo
ドシャァ!!
千早「うぷっ!」
響「あぐっ!」ドサァ
千早「ぐぅっ…! うがっ…!」ウプッ
ビチャッ
響「いてて…避けないなんてどういうつもりだよ、危ないじゃあないか」
千早「はぁ、っ…ふ…」
千早「ぐっ…!」ドォ
響「うわっ!?」バッ
千早(こ、この…)クラ…
千早(『重量』なんておかまいなしに吹っ飛ばすこの威力…!)
千早(いえ、『重く』していなければ跳ね上げられ、全身コナゴナにされていたでしょうね…)
千早(この状態でも…あと一瞬、腕を引っ込めるのが遅れていたら折られていた…)
響「これを真正面から受け止めて、反撃できる余裕があるってのは千早のスタンド能力のお陰か…」
響「ま…今のでわかっただろ? 千早の『スタンド』では、ちょっとくらい威力を抑えられてもどうにも出来ないぞ」
千早(つ…強い…)
145:『ブルー・バードは空へ飛ぶ』その④:2012/11/19(月) 23:37:18.77 :7zFFj6Ozo
響「もっかい!」ダム!
千早(ま…また…来る…)
響「『トライアル・ダンス』…」
ダム ダムッ
千早「はぁ、はぁ…」
千早「………」
ダム
ドドドドドド
響「これでもまだ、『操るだけの能力』だなんて…思ってないよな、千早!」
キュゥン
千早「『ブルー・バード』…」フラ…
響「遅い!!」ギュァァァア
バキャァ!!
千早「く…っ!」
147:『ブルー・バードは空へ飛ぶ』その④:2012/11/19(月) 23:38:30.83 :7zFFj6Ozo
ギュルン!!
千早「がっ!」ドス!
ゴロゴロ
千早「はぁ…っぅ…」
タラ…
千早(くっ、鼻血が…)
響「もう、避ける体力も残ってないみたいだな」
バヒュン!
ダムッ! ダム!
千早(やられる…)
千早(もう、打つ手がない…周囲のものを『軽く』したところで、何の意味も…)
千早「………」
千早「『軽く』…?」
149:『ブルー・バードは空へ飛ぶ』その④:2012/11/19(月) 23:39:54.39 :7zFFj6Ozo
ダム! ダム!
響「千早のスタンドじゃあ、この攻撃は防げない…」
響「やっぱり、『トライアル・ダンス』は強い!」
ダム!
千早「次にあなたは『これでとどめだッ!!』と言うわ」
響「これでとどめだッ!!」
響「はっ!?」
バヒュン!!
千早「残念だけれど、我那覇さん…それは叶わない」
響「何を…!」
ゴォォォォォ
ズドム!
・ ・ ・ ・
響「…ん?」
151:『ブルー・バードは空へ飛ぶ』その④:2012/11/19(月) 23:41:07.71 :7zFFj6Ozo
ドドドド
千早「外した…」
ドドドドドドド
千早「わね、我那覇さん…」
響「!」ダムッ
響(くそっ、『トライアル・ダンス』はあまり正確な攻撃じゃあないからな…)
ダム! ダム! ダム!
ビガッ
響「喰らえッ!!」ヒュン!!
千早「………」ユラ…
ズダッ
響「へ?」
千早「『ブルー・バー…」ス…
響「うわっ!?」
ギュン!!
千早「………」
響(なんだ、また…千早は動いてないのに…何か、おかしい…)
響(もしかして、千早…何かやってるのか…? でも、千早のスタンドは触れたものを『軽く』する能力…それで何をするっていうんだ?)
153:『ブルー・バードは空へ飛ぶ』その④:2012/11/19(月) 23:42:42.13 :7zFFj6Ozo
響(追いつめられてるのは千早の方だ…大丈夫さー! これは一応、用心ておけって、それだけのことだ!)
響(だけど、さっきみたいに飛び込むのは当たらなかった時危険だな…それなら直接!)スタッ
ゴォォォォ
響「ドラララララララララララ」ドォ ドヒュ ドオォ
千早「…無駄よ、我那覇さん」ユラ…
響「う…」
スゥゥゥーッ
響「や、やっぱり…当たらないぞ! まるで霧か煙でも殴ってるみたいにッ!」
千早「『ブルー・バード』…」フワッ
ドドドドドド
響「! ち…千早…」
千早「この能力…どうやら、自分自身を『軽く』することも出来るみたいね」
ドドドドド
響「千早の体が…浮いてる」
千早「いえ、出来るようになった…と言うべきかしら」
155:『ブルー・バードは空へ飛ぶ』その④:2012/11/19(月) 23:44:33.16 :7zFFj6Ozo
響「『軽く』…」
響「…したって、自分を…」
千早「ええ。枝を折るほどの強い風も、柳のように流せば脅威ではない」
千早「どんなに威力のある攻撃でも…空気を殴る事はできないわ」
ドドドドドドドド
響「だ…」
響「だったら、殴ったり突っ込んだりじゃあなくても、攻撃する手段は…」
千早「我那覇さん」
響「ん!?」
千早「『ブルー・バード』は重さを移し替える能力。ない体重を減らしたり、限界を超えて重くすることは出来ないわ」
響「それがどうしたッ!!」
千早「質問だけれど、私の体重の分はどこへ行ったのかしら」
響「へ…千早の体重…? そんなこと言われても…」
ブチッ!!
響「ん? なんだこの音…」
ヒュルルルル…
ドスン!!
響「うぎゃー!?」グシャァ
千早「答えは、照明。前の事務所のようなパイプ型ではなく、ぶら下げるタイプで助かったわ」
157:『ブルー・バードは空へ飛ぶ』その④:2012/11/19(月) 23:46:37.75 :7zFFj6Ozo
響「あぐ…」
千早「さぁ起きて、我那覇さん」
千早「私の体重分くらい…天井から落ちてきても大したダメージじゃあないでしょう?」
響「………」
千早「あなたのスタンド…正直恐れ入ったわ。凄まじいパワーとスピードね…」
千早「正面から戦えば、勝てないかもしれない」
千早「だけど…」
響「きゅー…」
千早「私の『ブルー・バード』、は…」
響「うー…あー…」グルグル
千早「………」
千早「気絶…している…?」
千早「くっ…勝ったのは、いいけれど…なんだか不愉快だわ…!」
159:『ブルー・バードは空へ飛ぶ』その④:2012/11/19(月) 23:47:31.86 :7zFFj6Ozo
千早「これで…」クルッ
やよい「ふぁー…」
小鳥「うひひ…」
あずさ「ふふ…」
響「ぬー…」
千早「気を失ったり…『眠った』人が4人…どうしようかしら…」
千早「………」
千早「そっとしておきましょう。身体測定も途中だし…」
千早「サイズ計測…自分でやらないと駄目ね…」ビーッ
千早「………」キュッ
千早「72cm…くっ…」
千早(気にしてない…気にしてはいないけれど、また亜美真美達に馬鹿にされるかと思うと…)サラサラ
161:『ブルー・バードは空へ飛ぶ』その④:2012/11/19(月) 23:49:04.42 :7zFFj6Ozo
…
……
ガチャ
千早「失礼します」
P「おお、千早。遅かったな」
千早「もしかして、私で最後ですか?」
P「いや。雪歩とあずささんがまだ来てないんだけど…知らないか?」
千早「いえ…」
千早(そういえば…)
千早(あずささんに、『体重を軽くして』と頼まれていたわね。やるつもりはなかったけれど…)
P「そうか。じゃ、まずは体重だな。この体重計の上に乗ってくれ」
千早「はい。それでは失礼します」
P「あ、ちょっと待ってくれ。スイッチが切れてる、入れないと」
千早(プロデューサーが体重計を見ている…)
千早(私の体重が、プロデューサーに見られる…)
響『うぎゃー!』
ゴゴゴゴゴ
千早「………」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
163:『ブルー・バードは空へ飛ぶ』その④:2012/11/19(月) 23:50:09.33 :7zFFj6Ozo
千早(ほんの少し…)
千早(少しだけ…『軽く』…しようかしら…)
千早(『スタンド』のいざこざがなかったら、いつも通りのトレーニングでもう少し消費していたはず…)
千早(だから、その分だけ。それ以上は下げないわ、ええ)
P「よし、いいぞ。乗ってくれ千早」
千早「はい、プロデューサー」ヒョイ
千早(『ブルー・バード』…私の体重を…えーと、床にでも『与え』ましょう)
P「さてと、千早の体重は…」
P「…え…」
ゴゴゴゴゴゴ
P「ち、千早…どうしたんだ、この体重はッ!」
千早「?」チラ…
千早「はっ!!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴ
『12.7kg』
ド ォ ー ン
千早(しまった、『軽く』しすぎたッ! 高校生女子の体重が12…13キロだなんて明らかに異常ッ!!)
165:『ブルー・バードは空へ飛ぶ』その④:2012/11/19(月) 23:51:25.70 :7zFFj6Ozo
P「千早、少しどいてくれ!」
千早「え、えーと、プロデューサー、これは…」スッ
P「俺が乗っても…!!」ガタッ
P「………体重は正常…体重計は壊れてはいないッ!」
千早「あの…プロデューサー…」
P「千早、来い!」ギュッ
千早「あっ!?」グイッ
ガチャ
雪歩「あのっ、プロデューサー! 次、私をお願い…」
P「すまん雪歩! 今は一大事なんだッ!」
ダダダダダ…
雪歩「しま…えーと、あの…」ポツーン…
167:『ブルー・バードは空へ飛ぶ』その④:2012/11/19(月) 23:53:28.90 :7zFFj6Ozo
P(そうか…最近千早の様子がおかしいと思ったら、こういうことか…!)
P(そういうことに関心はないと思っていたけど、千早だって女の子だもんな)
P(だが、行き過ぎたダイエットは身体を壊すんだぞ、千早…!)
千早(プロデューサー…何か、勘違いしているのでは…)
千早「あ、あの…プロデューサー、どこへ…」
P「病院に決まってるだろ!」
千早「びょ、病院!」
千早(プロデューサーは私のことを病気だと思っている…)
千早(何も異常がないのに診てもらっては、プロデューサーに恥をかかせることに…)
千早「待ってください、プロデューサー!」
P「あっ…すまん、千早…急に動いたら体に響くよな」
千早「い、いえ…別に、そういうことはないのですが…」
千早「あの…さっきの数字、見間違いだったのでは…」
P「いいや、確かに見た、『12.7kg』! 俺がみんなのデータを見間違える事はありえん!」
千早(よ、よくはわからないけれど凄い自信だわ…)
169:『ブルー・バードは空へ飛ぶ』その④:2012/11/19(月) 23:54:04.76 :7zFFj6Ozo
ドルルルルル…
P「ほら、車乗ってくれ!」
千早(どうすればいいのかしら…何を言ってもわかってくれないような気がする…)
千早(こうなったら…多少強引でも、押し切るしか…!)
千早「あ、あのですねプロデューサー。これは別に病気というわけではなくて…!」
P「へ? いや、でもあの体重は…」
千早「お腹に食べ物が入っていないから、その分体重が減っていたのだと思いますッ…!!」バァーン
P「え…そういう問題なのか…?」
千早「そういう問題ですッ!」
P「いや、いくらなんでも…」
千早「体質なんです!!」ズイッ
P「そ、そうか、わかった」ススス…
千早(ふぅ、これで大事にならずに済んだわね…)
P「だけど…何も食べてないから体重が減ったってことだよな。それなら…」
千早「え?」
171:『ブルー・バードは空へ飛ぶ』その④/終わり:2012/11/19(月) 23:55:05.87 :7zFFj6Ozo
…
……
………
ドッサリ
千早「も、もう食べられません…」
P「多少無理してでも食わないと。病院には行きたくないんだろ?」
千早「一度にこんなに食べては声に影響が…」
P「馬鹿、体を壊したら歌どころじゃあないだろ!」
P「それに男料理で悪いけどさ…ちゃんと千早の事考えて作ったつもりだぞ」
P「ゆっくりでいい、時間をかけても全部食べるんだ、とりあえずこの分くらいは」
千早(とほほ…やはり、不正な手を使うと罰が当たるのね…)
千早(でも、プロデューサーが私のために作ってくれた手料理…心配してもらえるのは、少し嬉しいかも…)
千早(って、私ったら何を…)カァッ
P「千早、これも食べろ」
千早「うぷ…」
To Be Continued...
193:『スタートスター』:2012/11/23(金) 23:48:19.54 :PmYHwIdwo
ガチャ
バタン
千早「ふぅ…」
あずさ「あら…千早ちゃんも再計測?」
千早「あずささん…やはり不正など、するものではないですね…」
あずさ「…?」
千早(前の身体測定…異常値が出た私や、計測ができなかったあずささんや萩原さん達は仕事が入っていないこの時間に再計測を行うことになった)
千早(今日まで毎日のようにプロデューサーに呼び出され…結果、半年前よりも体重が上がっていた。まぁ、どうでもいいのだけれど)
千早(プロデューサーと言えば…)
千早「今日の計測、律子が行っていたけれど…プロデューサーはどうしたのでしょうか」
あずさ「プロデューサーさんは、今日は春香ちゃんと一緒に一日中仕事よ」
あずさ「律子さんはもう計測が終わってるし…やっぱり、男の人に体重を見られるのは…ね」
千早(見ようと思えば、後で雑誌等でも見られると思うのだけれど…)
千早(気分の問題ね。私も、プロデューサーに直接見られるというのはどうにも…)
195:『スタートスター』:2012/11/23(金) 23:49:18.67 :PmYHwIdwo
千早「…あずささん」
あずさ「何かしら」
千早「この間…身体測定の日、あの『凶暴化』は我那覇さんによるものでした」
あずさ「響ちゃんが…」
千早「はい。他人に取り憑いて『凶暴化』させるだけでなく、自分にも取り憑かせ身体能力も上げる…恐ろしいスタンドでした」
あずさ「でも、千早ちゃんがこうして無事でいるってことは勝ったのよね?」
千早「ええ、我那覇さんは私が倒したのですが…」
千早「あの、あずささん…」
あずさ「?」
千早「あのスタンドに取り憑かれた際の…意識だとか記憶は、残っていますか? ぼんやりしているとか…」
あずさ「それが、むしろ逆…あの時、意識はかなりはっきりしていた」
あずさ「千早ちゃんの成長っぷりも、見せてもらったわよ。すごかったわね~」
千早「そう…ですか…」
197:『スタートスター』:2012/11/23(金) 23:50:14.98 :PmYHwIdwo
あずさ「千早ちゃん、まだ何か言いたいことがあるの?」
千早「いえ…別に…」
あずさ「何か言いにくいことかしら? 遠慮しなくてもいいわよ、言ってちょうだい」
千早「…では、言いますけど。あずささん…あの時、貴女に様々な暴言を吐かれたような気がするのですが」
あずさ「………」
あずさ「ごめんなさい…あのスタンドに取り憑かれた時、猛烈な…闘争心のようなものに頭を支配されて、普段は口に出さないようなことが…」
千早「つまり、心のどこかではそう思っていたと?」
あずさ「千早ちゃん、響ちゃんは倒したのよね? 話はした?」
千早「…いえ、身体測定もありましたし…色々なことがあって、話すことはできませんでした」
あずさ「そう…私も、目が覚めた時には横にいたのだけれど…起こそうとしたら、逃げられちゃった」
千早「再び挑んで来るようなことがあれば…また、倒しますが」
あずさ「一度倒した相手に負けることはないでしょうけど、あのスタンドは『敗北した』という精神の弱みを消してしまう…」
あずさ「どのような戦法をとるのか、私は知らないけれど…次に戦うとなったら、気をつけた方がいいわね」
千早「はい」
199:『スタートスター』:2012/11/23(金) 23:51:45.02 :PmYHwIdwo
千早「それと、もう一つ」
あずさ「何?」
千早「音無さんは、ただ『凶暴化』されていただけ…しかし、高槻さんはどうなのでしょうか…」
あずさ「あの様子なら、やよいちゃんも『凶暴化』だと思うけど」
千早「ええ、そのように思えます…が、高槻さんは自分の『スタンド』を持っていました」
あずさ「『ゲンキトリッパー』…『くっつける』スタンドね」
千早「高槻さんは、ただ『凶暴化』されて私を襲ってきたのか、それとも…」
あずさ「…やよいちゃんは少なくとも最初は春香ちゃん側だった。だけど、今はわからないわ」
千早「例の『2人』の方に寝返った…ということも考えられますね」
あずさ「これは響ちゃんにも言えるわね。誰がどっち側なのか、春香ちゃん以外は誰もわからない」
千早「知るためにはやはり、本人と話をしなくては…ですか」
あずさ「そうね。場合によっては…戦うことも、必要になるかも」
千早(目的は同じ…なのに、対立しなくてはならない)
千早(春香…この状況を生み出しているのは春香…あなたは本当にこんなことを望んでいるの…?)
千早(高槻さん…)
201:『スタートスター』:2012/11/23(金) 23:53:00.61 :PmYHwIdwo
………
……
伊織「千早に…襲われたですって!?」
やよい「えっと、そうだけどそうじゃなくって…」
貴音「やよいが、千早を襲った…? 面妖な…」
真「一体、何があったんだい、やよい?」
やよい「うぅ~、なんかよくわかんないんですけど、急にメラメラ~ってきて…」
真(本当によくわからないな…)
伊織「えーと…やよいは、そんなつもりはなかったのよね? 新手のスタンド使いの仕業かしら…」
やよい「そーかも…すっごく不自然って言うか…ヘンな感じでした」
貴音「何者かがやよいを利用し、千早を始末しようとした…そういうことでしょうか?」
伊織「千早が春香側だとすると…そいつ、『もう1人』の可能性があるわね」
真「どう考えても逆だろう? 千早が春香にとって敵…『もう1人』だから、倒そうとしたんだよ」
伊織「あの二人、仲いいじゃない。だからそう思っただけよ」
真「やよいを利用するような奴が、こっち側のわけないだろ!」グワッ
伊織「そうとは限らないでしょうが! そうやって自分の都合のいいようにばかり考えない方がいいわ!」オッ
203:『スタートスター』:2012/11/23(金) 23:53:36.58 :PmYHwIdwo
やよい「あ、あの…二人とも…落ち着いて…」
貴音「やめましょう。今は仲間同士でいがみ合っている場合ではありません」
伊織「…そうね。こんなところで争っても仕方ないわ」
真「…うん。それで、千早について何かわかったの?」
やよい「えっと…千早さん、『軽く』するのーりょくを使うスタンド…で、『ブルー…なんとか』って呼んでました」
貴音「千早も…『スタンド使い』なのですね」
やよい「それで、なんか追いつめちゃったんですけど…後からあずささんが来て、『眠ら』されて…千早さんとは仲間みたいでした」
真「あずささんが…?」
伊織「ということは、やっぱり…」
貴音「伊織」
伊織「わかってるわよ。千早が『もう1人』なら、真ややよいみたいに…あずさが寝返ったという可能性もある」
真「あずささん、か…」
伊織「何にしても、千早…一度話してみる必要がありそうね」
205:『スタートスター』:2012/11/23(金) 23:54:26.93 :PmYHwIdwo
真「…あのさ、伊織」
伊織(もし千早がそうだったら…もし、そうじゃなかったら…)
伊織「真、アンタ『もう1人』って誰だと思う?」
真「え? そんなこと言われても…」
伊織「ま、そうよね…考えるより、行動した方が早いか」
真(………)
やよい「千早さん、たしかけーそくやって…この後、お仕事あったと思います」
伊織「じゃ、急がないと…」
貴音「…いえ。どうやら、その時間はないようです」
真「え?」
ドドドドドド
パタッ パタッ パタッ
真(誰か、近づいてくる…)
ドドドド
亜美「んっふっふ~」
伊織「アンタは…亜美!」
207:『スタートスター』:2012/11/23(金) 23:55:23.18 :PmYHwIdwo
亜美「じゃかじゃかじゃんじゃーん」スッ
真「!?」
亜美「我が名は双海亜美、はるるん閣下の命令で…」
亜美「貴様らを始末しに来たッ!!」ビッ
ポカーン…
伊織「なに、それ…」
貴音「面妖な…」
真「遊びかなにかと勘違いしてるのか?」
やよい「亜美、私達まじめにやってるんだよ!」
亜美「うっわ、ひどい反応。亜美だって真面目なんだYOー」
伊織「春香の命令って言ったわね?」
亜美「ん? そーだけど」
貴音「ならば、私達の敵…ということになりますが」
やよい「私達、そう簡単にやられたりしないよ」
真「わざわざボク達4人が集まってる前に来たってことは、よほど自信があるのか…それとも」
209:『スタートスター』:2012/11/23(金) 23:56:35.39 :PmYHwIdwo
真「亜美がここにいるってことは…もしかして、真美もどこかにいるのか?」
亜美「答える必要はないなぁ、まこちん」
伊織(やよい、私達で亜美の動きを止めましょう。そうすれば…)
やよい(うん! 真さんや、貴音さんがやってくれるんだよね!)
亜美「ん?」
伊織「『スモーキー・スリル』!」スゥーッ
やよい「『ゲンキトリッパー』!!」ヒュゥン
亜美「わわっ、いきなり!? 不意打ちはヒキョーっしょ!」タタッ
伊織「そっちから来といて何が不意打ちよ!」
ビッ!!
亜美「うおぅ…『煙』に引っ張られる…!」
グググ
ピタァ…
亜美「うわっ、靴が! 床に『くっつい』て…」
伊織「今よ! 真、貴音!」
211:『スタートスター』:2012/11/23(金) 23:57:30.93 :PmYHwIdwo
亜美「ちくしょー、はるるんに聞いてたのに!」グリグリ
ドドドド
貴音「私達の情報を春香から聞いている…のですか」
真「だったら、ボクのスタンドも知ってるよな!」
ダッ
真「『ストレイング・マインド』!!」ビキビキ
亜美「しかし、亜美だって壮絶な出オチになるためにここに来たわけじゃあない」
ゴゴゴゴゴゴゴ
亜美「『スタートスター』!」ドォーン
真(! これが亜美のスタンドか…!)
やよい「でも…」
亜美「うげっ!?」ビクッ
亜美「マ、マジかYOー!? 『スタートスター』まで『くっつい』て動けないって…」
伊織「亜美は動けないわ!」
213:『スタートスター』:2012/11/23(金) 23:58:10.03 :PmYHwIdwo
真(こう、一方的にいたぶるのは気が引けるが…)
真(亜美だって『スタンド使い』なんだ、『覚悟の上』だろう)
真(腕を狙う! このまま一気に…)
真「オラァッ!!」ゴォッ
亜美「ま、いっか」バッ
ゾワッ
貴音「真! 止まりなさい!!」
真「え? 貴音さ…」ゴォォォ
パシ!!
ヒュオン
亜美「ふぅ…これで万事OKっと」
ゴゴゴゴゴ
伊織「ま…」
やよい「真さんが…」
貴音「消えた…」
ゴゴゴゴゴゴ
215:『スタートスター』:2012/11/23(金) 23:58:42.26 :PmYHwIdwo
真「えっ!?」グラッ
ドサァ!!
真「うわっ!!」
真「痛たた…な、なんだ…? 何がどうなった…?」
真「伊織、やよい、貴音さん…亜美は…どこだ!?」
真「…ここは、どこだ? 駐車場…いや、廃ビルか…?」タタッ
ゴォォォォ…
真(高さは4階くらい…場所は…わからないけど、遠くの方に見覚えのある建物がある。事務所からそんな遠くじゃあない)
真「ボクは…もしかして飛ばされてきたのか、亜美のスタンドで」
?「その通り」
真「!」クルッ
ゴゴゴゴゴゴゴ
217:『スタートスター』:2012/11/23(金) 23:59:48.73 :PmYHwIdwo
真美「よく来たな、勇者まこちんよ」
真「真美…! やっぱり、二人ともか…!!」
真美「もうちょっと乗ってくれてもいいのにー」
真「今はそんな気分じゃあないんだよ」
真美「ぶーぶー」
真「…ここはどこだ?」
真美「ここ? 見てのとーり、ビルだよ。今は使われてないみたい」
真「ここに飛ばした理由は?」
真美「もちろん、戦う、そして勝利するためだ!」ビシッ
真美「一気に全員倒せるなんて思ってないけど…一人ずつ、プチプチくんを潰すみたいに確実にやるつもりだYO」
真「何故、ボクを選んだ?」
真美「お姫ちんじゃなければ誰でもよかったんだけどね。いきなり『フラワー・ガール』のちょースピードとちょーパワー相手にするのはヤバすぎっしょー」
真「ボクになら勝てると?」
真美「勝つよ?」
ゴゴゴゴゴゴ
真「『ストレイング・マインド』!!」ピキピキ
真美「うお、両手に…かっちょいー」
219:『スタートスター』:2012/11/24(土) 00:00:23.48 :7Fdcfmg7o
真(直接殴るよりは殺傷能力の低い、『硬化散弾銃』で攻撃したいところだけど…飛ばせるような手頃なものが転がってない)
真(『ストレイング・マインド』、負ける気はしないが…)
真(亜美の方に迂闊に飛び込んでこんな状況になっているんだ、まずは真美のスタンド能力を見極めるべきだろう)ジ…
真美「あれ、まこちん来ないの?」
ズズズ…
真「!!」
真(真美の周囲に釘や刃物や尖った石が…)
真美「なら、こっちから行くYO!」
ドシュゥゥ ドバァン
真「ち…!」
真「オラオラオラオラオラオラオラオラ」バキャ ドキャ ビス
パラパラ
真美「すっご…」
221:『スタートスター』:2012/11/24(土) 00:01:26.79 :7Fdcfmg7o
ヒュオン
真美「だけど、そんなのいつまでも保たないっしょー!」
ドシュ ドシュ ドシュゥゥ
真「そうだね…」ピキピキピキ
バキ ガキィン
真「こんなもの、叩き落とすまでもない」
真美「ぜ、全身に纏えるのか、それはッ!!」
真「わざとらしい反応はやめたらどうだい」
真「ボク達の情報があることは知っている。これくらいのこと、わかってるはずだろ?」
真美「ふ…流石ですな、名探偵まこちん…」
真「誰が探偵だよ…」
真美「よーし、それなら…」ズズズ
真「何だ…? うおっ!」
真(どこから持ってきたんだこのでかい岩は…! 出せる物質の重量はおかまいなしってことか!)
真美「これならどうだっ!!」ズズズズ
ギュン!
ドギャッシャァァァン
223:『スタートスター』:2012/11/24(土) 00:02:15.65 :7Fdcfmg7o
真美「勝ったッ! 『弓と矢』完!」
ゴトッ
・ ・ ・ ・
真美「あり?」
バリィィン
真美「うげっ!」
真「オラァッ!!」バキャァァァン
真美「ゲェーッ!?」
ガララ
ドドドドド
真「これで倒せると思っていたなら…」
真「情報不足だよ。『ストレイング・マインド』は瓦礫の山に埋まっても脱出できるくらいのパワーはある」
ドドドド
225:『スタートスター』:2012/11/24(土) 00:02:49.54 :7Fdcfmg7o
ガラッ
真(この破片を使えば…)
真「オラァ!!」バリィィィ
ギュゥゥン
真美「うおっ、これは…なんだっけ…『豪華三杯酢』!?」
真「『硬化散弾銃』!」
ボ ボ ボ
真(周囲に『コンクリートの盾』を出して…)
バキィ! メキャ
真美「うわわわわっ!!」バッ
真美「ふぅ…うっ!」ビクッ
ゴゴゴゴゴゴ
真「そうやって、無機物を『持ってくる』…あるいは『生み出』して『飛ばし』たりするのが真美のスタンド能力か…?」
真美「………」
ゴゴゴゴゴゴゴゴ
227:『スタートスター』:2012/11/24(土) 00:03:50.85 :7Fdcfmg7o
真「『ストレイング・マインド』のパワー…この距離なら、何か『持って』きても防ぎきれない」
真美「ふふ…真美の能力は『持ってくる』能力…か…」
真「オラァ!!」ゴォッ
真美「違うんだな、それが」サッ
ヒュン
真「…え?」
・ ・ ・ ・
真「こ、これは…『ストレイング・マインド』が消えた…!?」
真「馬鹿なッ! こんなことが、できるはず…うっ!?」グラッ
ビタァァァン
真「ぐっ…!?」グリリリ
真(体が…床に引っ張られる…! 全身を『重く』されたみたいだ!)
真(な、なんだこれは…! 何が起きている…!?)
229:『スタートスター』:2012/11/24(土) 00:04:14.52 :7Fdcfmg7o
ゴゴゴゴゴ
真美「んっふっふ~これでまこちんは『再起不能』かな~」
真美「んっふっふ~あっけないものですな~」
真(な、なんだ…真美が二人…いや、違う…これは…)
ゴゴゴ
真美「亜美隊長! くせ者を一人捕らえておきました!」バッ
亜美「でかしたぞ、真美君! 君は二階級特進だ!」
真美「ははっ! ありがたき幸せ!」スッ
真(亜美…なんで亜美がここに…)
真美「隊長、こやつどうしますか!」
亜美「閣下は生け捕りにしろと申しておる! 縛り上げい!」
真美「よっしゃー!」
真(駄目だ、体が動かない…なんなんだこれは…!)
231:『スタートスター』:2012/11/24(土) 00:04:58.78 :7Fdcfmg7o
真美「しかし、まこちんがこうもあっさりとね」
亜美「2対1だったからねー。しょうがないっしょー」
真美「実質1対1だったじゃーん」
亜美「よく言うぜ、亜美がいなかったら何もできないのにYOー」
真美「それは亜美だって同じじゃないかYOー」
?「そう…」ズ…
真「!?」
真美「何奴!?」バッ
亜美「その声は…」
伊織「なら、これで2対2ってわけね」
真「い…伊織…!?」
233:『スタートスター』:2012/11/24(土) 00:05:28.53 :7Fdcfmg7o
真美「いおりんがこんなところにいるなんて…ありえない!」
亜美「うんうん! さっきまで事務所にいたのに…!!」
伊織「んなもんお互い様だし、実際にここにいるじゃない。現実見なさいよ、アンタ達」
真「伊織…来てもらってありがたいけど…ボクはもう駄目だ…」
伊織「はぁ? 何言ってんのよ、アンタは」
真「真美に…攻撃されて、こんな状態なんだ…立ち上がることすら…できない」
伊織「真…アンタね、そんなくだらないことで弱音吐いてるんじゃあないわよ」
真「く、くだらないって…」グリリリ
伊織「まずは落ち着いてスタンドを解除しなさい」
真「え…あ…? でも、『ストレイング・マインド』は…」
バッ
真「! 動ける…」
真(ど、どういうことだ…?)
235:『スタートスター』/おわり:2012/11/24(土) 00:06:36.41 :7Fdcfmg7o
伊織「亜美、真美…あんた達の『スタンド』…『同じもの』ね」
真「! 伊織、もう二人のスタンドの正体を…」
伊織「ま、アンタとやりあってるのを見せてもらったから。滅茶苦茶単純よ、こいつらのやってること」
亜美「バレちゃあしょうがないな…」
真美「『スタートスター』と…」ビシッ!
亜美「『スタートスター』!」バシッ!
亜美真美「「二つの☆が、世界を救う!」」
・ ・ ・ ・
真美「…やっぱこれヘンじゃない? 別に世界救うためにやってるわけじゃないしさー」
亜美「うーん、後でまた決めゼリフ考えないとねー」
伊織「スタンド使い二人を一度に相手にするのは初めてね…真」
真「…ああ。あのガキんちょ達を懲らしめてやらなきゃな」
261:『スタートスターとスタートスター』その①:2012/11/30(金) 22:38:25.06 :hOsokL3ao
伊織「あんた達のスタンド、『スタートスター』とか言ったわね」
伊織「もう、種は割れたわ。そのスタンド能力は…」
亜美「そう! 亜美達の『スタートスター』の能力は…」
真美「真美から亜美に!」
亜美「亜美から真美に!」
亜美真美「「『ワープ』させる能力!」」
ゴゴゴゴ
伊織「………」
真「………」
ゴゴゴ ゴゴゴゴ
亜美「触ったものを『ワープ』させたり、『亜美自身』も『ワープ』できるZE!」
真美「受け取る時に、『ワープ』の勢いを使って飛ばすこともできるZE!」
亜美「一回使ったらすぐには使えないのと、あんまでかいのとか重いのは『ワープ』できないけどねー」
真美「これくらいの岩がギリだよねー」
真「………そうなのか、伊織?」
伊織「はぁ…」ガクリ
263:『スタートスターとスタートスター』その①:2012/11/30(金) 22:49:41.06 :hOsokL3ao
伊織「一度使ったらすぐには使えない…ってのは知らなかったわ。いい事を聞いたわね」
真美「えっ、マジでっ!? しまった!」
真「でも、『ワープ』させる能力…だって? 色々なものを飛ばしてきたのは納得できるけど…」
真「『ストレイング・マインド』が消えたり、ボクの体を『重く』したのはどういうことなんだ…?」
伊織「それは…」
亜美「それより!」ビシッ
伊織「何よ? 気安く人を指差してるんじゃあないわ」
亜美「なんでいおりんがここにいるのさ!」
真美「そーそー! 真美達にとってはそれが一番の謎だよ!」
真(ボクも気になる)
伊織「ふん、この伊織ちゃんはアンタ達みたいに得意気にペラペラ話したりしないわよ」
亜美「うーっ…なんでだと思う、真美?」
真美「きっとアレだよ、まこちんに発信器かなんかつけてたんだよ!」
伊織「は?」
亜美「あー、そっか! それでまこちんの居場所がわかって、すぐに飛んできたんだね!」
伊織「ちょっと…」
真「え、そ、そうなのか? 伊織…」ササ
伊織「違うわッ!! 引いてんじゃあないわよッ!」
265:『スタートスターとスタートスター』その①:2012/11/30(金) 22:56:12.30 :hOsokL3ao
…
……
………
亜美「んっふっふ~作戦成功!」
やよい「亜美、真さんはどこに…」
亜美「さて、どこでしょー?」
貴音「話さなくとも、真と同じように攻撃すれば…」
亜美「い?」
貴音「答えは見えるはず…『フラワー・ガール』!」ヒュオ
亜美「うわっと! 『スタートスター』!」パッ
スカッ
貴音「これは…」
貴音「双海亜美のスタンド能力…彼女自身まで消失するとは一体…」
やよい「あの、貴音さん…」
貴音「やよい、何かわかったのですか」
やよい「伊織ちゃんは?」
267:『スタートスターとスタートスター』その①:2012/11/30(金) 22:59:16.84 :hOsokL3ao
ヒュン
伊織(え!?)
ヒュゥゥゥウ
亜美「よっと」ポスッ
伊織(マットが敷いてある…ここはどこ…?)
伊織(いえ、それより…このまま落ちたら気づかれるわ)
モク モクモク
ピタァァァア
伊織(『スモーキー・スリル』…)
伊織(ここは…どこかの廃ビル…かしら?)
亜美「わっ、靴が一緒に来てないや。やよいっちに『くっつけ』られたせいか、おのれ…」
ゴソゴソ
亜美「うーん、このサンダルでいっか」
伊織(ガラクタがいっぱいある…これで何をするつもり?)
亜美「んっふっふ~それじゃあ始めますか~」
伊織(しばらく、天井に張り付いて観察させてもらうわ)
………
……
…
269:『スタートスターとスタートスター』その①:2012/11/30(金) 23:01:10.63 :hOsokL3ao
伊織「…というわけよ。その後はもう『舞台裏』から見る手品みたいによくわかったわ」
真「ペラペラと喋ったね」
伊織「アンタらが人を勝手に変態扱いするからでしょうがッ!」
亜美「えーっ!? 一緒に『ワープ』してきたって…なんで!?」
伊織「『スモーキー・スリル』でアンタに触ってたでしょう」
伊織「『重量オーバー』にならなければ、『身につけているもの』として一緒に『ワープ』できるんじゃない?」
亜美「Oh…全然気づかなかったぜブラザー」
真美「いいってことよブラザー」
亜美「そうだね、二人でもどーせ…」
真美「真美と亜美のコンビニエンスストアに、敵うはずがないからねー!」
真「もしかして、コンビネーションか?」
真美「知ってんだYOー。そんなん間違うはずないっしょー」
亜美「まこちん国語の先生?」
真「あのなぁ…」
伊織「何遊んでんのよ、アンタ達は…」
真「遊んでないから」
271:『スタートスターとスタートスター』その①:2012/11/30(金) 23:05:16.90 :hOsokL3ao
伊織「アンタ達…春香の命令でやってるのよね」
真美「ん? そだよ?」
伊織「遊び感覚でこんなことやってるなら、すぐにやめなさい」
真美「くっくっく…我々の遊びを舐めてもらっちゃあ困りますなぁ、いおりんさんよ」
亜美「そう、『全力で遊ぶ』! 遊びだからこそ、本気でやるのだー!」
真「春香のやってることを知ってるのか?」
亜美「もちのロンさ」
真「だったら、なんで春香の方に!」
真美「だって、『スタンド』って面白いじゃーん」
亜美「そーそー。いおりん達だって、便利だと思わない?」
伊織「…まぁ、それは否定しないわ」
伊織「だけど、あの『弓と矢』…『スタンド』能力を持って春香は変わってしまった」
真「真美達は、春香の様子を見て…事務所の雰囲気をなんとも思わないのか?」
亜美「はるるんは、今の事務所はおかしいけど…みんな『仲間』になれば、全部元通りだって言ってたよ」
真美「真美達は、そのためにこうしてまこちん達を倒しに来た」
伊織「…話し合いじゃ済みそうにないわね」
真「やるしかないのか…」
273:『スタートスターとスタートスター』その①:2012/11/30(金) 23:06:19.01 :hOsokL3ao
亜美「んじゃ、行きますか!」ダッ
真美「覚悟しろーっ!」ダダッ
伊織「来るわ…!」
真「く…」パキパキパキ
スゥーッ
真「ん!?」
真美「んっふっふ」グルグル
亜美「んっふっふっふ」グルグル
真(真っすぐ向かってこないで、周りだしたぞ…何のつもりだ…?)
伊織「真、あいつらは互いに『ワープ』させるスタンドだってのは聞いたわよね?」
真「え? ああ。それが?」
伊織「単純な二人組ではなく、二人一組ってことよ。例え一人ずつ分担したとしても、どちらか片方だけに注意すればいいということはないわ」ジリ…
真「つまり、真美と亜美、両方に注意していろって…そういうことか」グ
275:『スタートスターとスタートスター』その①:2012/11/30(金) 23:07:33.67 :hOsokL3ao
グル-リ グルーリ
真(まだ向かってこないぞ…こっちから仕掛けるか?)
伊織(いえ…あっちも、それを待っているはず…)
真(だけど、このまま動かないと…)
伊織(あいつらはいつまでも待ってられるような連中じゃあないでしょう)
クッ
真「!」
伊織「来るか…!」
亜美「行くぜーまこちん!」ダダッ
真(亜美がボクの正面から向かって来る…)
真「伊織は真美の方を!」ダッ
伊織「あっ、ちょっと真…ちっ」ザッ
真美「ほほう、いおりんは待ちいおりんか…」ダダダ
277:『スタートスターとスタートスター』その①:2012/11/30(金) 23:09:25.64 :hOsokL3ao
亜美「おりゃーっ!」
真「来い!」
亜美「『スタートスター』!」ギュン
真「オラァ!」ドン
亜美「おらぁ!」ビシュ
真「!」
真(速い…! スピードだけなら、ボクの『ストレイング・マインド』ほぼ同等か!)
パシッ サッ
真(飛ばされ…)ヒュン
パッ
伊織「『スモー…!?」
真「はっ!?」ゴォッ
伊織「え、ちょっ…」モクモク
ボフッ
真「く…っ!」ピタ…
279:『スタートスターとスタートスター』その①:2012/11/30(金) 23:10:55.30 :hOsokL3ao
真美「えりゃっ!!」ゲシィィッ
真「うおっ!」グラ
伊織「きゃ!?」
バタァァン!
真「うぐ…」
真(バランスを崩していては、いくら『ストレイング・マインド』でも倒されてしまうか…)
伊織「真、ちょっと…どいて、邪魔よ…」
真美「まこちんといおりん二人なら…」
亜美「いおりんの方を先にやっちゃった方がよさそうだねー」
ス…
伊織「!」
亜美「おらぁっ!」ビュン
シン…
・ ・ ・
伊織(石を…)
伊織(投げ…たわよね、今…)
281:『スタートスターとスタートスター』その①:2012/11/30(金) 23:12:36.75 :hOsokL3ao
ドドド ドドドド
伊織「はっ!」クルッ
ドシュゥゥウウ
真美「いっけー!」
伊織(しまった、そっちか…)
真「伊織!」グイッ
伊織「きゃっ!?」フラッ
真「オラオラァ」パキィィン
ドス!
伊織「亜美が投げたものは、真美の方から飛んでくるのね…」
真「いや、そのまま投げてくるかもしれない…厄介なスタンドだぞ、これは…」
真美「んっふっふー、やっと気づいたか『スタートスター』の恐ろしさに!」
亜美「亜美達のコンビーフに!」
伊織「コンビネーションね」
283:『スタートスターとスタートスター』その①:2012/11/30(金) 23:13:28.11 :hOsokL3ao
真(今、真美の所に『ワープ』させられた時…)
真(『ストレイング・マインド』が消えた時と違って全体が飛ばされた…飛ばす範囲はあっちが自由に決められるのか?)
真(いや、伊織がここに『ワープ』したという事は、『自分以外』を飛ばす時だけなのかも…)
真(…服だけを…あるいは、服以外を『ワープ』させるとか…そんなことを、やってきたりはしないだろうな…?)
亜美「行くぜぇ~どんどん行くぜぇ~」
真(って、そんなこと考えてる場合じゃあないな!)
ドドドドド ドド
真(あっちはどこに触れてもいいんだ、的はこっちの方が大きい)グ…
真(だけどスピードは互角、さっきと逆に、ボクが向こうの動きに合わせれば…)
亜美「『スタートスター』!」ドォン
ドドド
真(一発で決められる…!)
・ ・ ・ ・
伊織「!」
ゴゴ ゴゴゴゴゴ
伊織「待ちなさい、真! 真美がいないわ!」
真「何!?」ピクッ
285:『スタートスターとスタートスター』その①:2012/11/30(金) 23:16:05.30 :hOsokL3ao
ヒュン
真美「真美参上!」
真(なんだとォーッ!)
真美「WRYYY!」ピシッ
真「うっ…!」ガキィ!
真(真美は…どこにいたんだ…!? 『スタートスター』は相手いるところに『ワープ』させる能力…)
真(待て…亜美はボクを飛ばした後、下の階にいたんだ。『ワープ』先は、『相手の近く』ならある程度は調整できるのか…?)
真(真美が下の階に『ワープ』すれば…また亜美の所まで『ワープ』することで、消えたり出てきたりできる…)
真(一瞬で移動し、どこからでも神出鬼没に現れる…)
真(強いぞ、この能力は…)
パッ
真「く! またボクのスタンドが…」
真(このスタンドが消える効果が、『ワープ』させる能力というなら…)チラ
亜美「うーん、このカッチョいー鎧、亜美は着れないのかぁ…残念」ペタペタ
真(亜美の方に、『ストレイング・マインド』が…!)
287:『スタートスターとスタートスター』その①:2012/11/30(金) 23:17:17.01 :hOsokL3ao
グッ
グォォォオォォン
真「うおおおおおおおお!?」
真(これかッ…! さっきの現象は!)
真(射程距離が存在しない『ストレイング・マインド』を無理矢理『ワープ』させられたら…)
真(飛ばされた『ストレイング・マインド』に引っ張られる!)
真(さっきは、下の階層にいた亜美のところに飛ばされたから…互いに引っ張られ、『重く』されたように感じたのかッ!)
亜美「うわっ!?」グオン!
真「だけど…動かない壁と違って、ここなら引っ張られるのは亜美も一緒だろ!」
真(途中で放すだろうが、『ストレイング・マインド』にひっついてこっちに飛んでくるなら…)
真(『スタートスター』を使った直後は再度使えない、亜美が『ワープ』する前に抑え込んでやる!)
真(ボクに触れた時や、さっき投げた石…『ワープ』させる時、一度触れたものを放す必要があるようだ)
真(しっかり捕まえておけば、逃れる事はできないはず!)
289:『スタートスターとスタートスター』その①:2012/11/30(金) 23:19:06.72 :hOsokL3ao
グググ…
真(移動が速い、ボクの体も引っ張られているからか)
真(『ストレイング・マインド』はボクのスタンドだ。激突する事はない)
ス…
亜美「うおっ、こっち来た!」
真(亜美は離れないな…どういうつもりかは知らないが、好都合…)
ヒュン
伊織「なっ!?」
真「何っ!?」
真(おい、ボクと『ストレイング・マインド』の間に…)
真美「一丁上がり!」
亜美「よっと!」バッ
ギュォォォオオ
291:『スタートスターとスタートスター』その①:2012/11/30(金) 23:20:29.06 :hOsokL3ao
ギャァァァン
伊織「ぐえっ…」グガッ
真「がっ…!」ギリギリギリ
伊織「は…挟まれる…!」ギギギ
真「ス…『ストレイング・マインド』を解除しなきゃ…!」
スゥ…
ドサァ
伊織「げほっ、ごほっ…」
真「ふぅ、はぁ、い、伊織…」
真「ボクがあんな状況だったのに、真美に近づくなよ! 伊織が『ワープ』されてなければ…!」
伊織「く…なんですって真…」
伊織「アンタがさっさとスタンドを解除しないからでしょう…!」
真「なんだって…?」
伊織「ちゃんと両方を見ろって言ったでしょうが! アンタが真美の方を見ていればこんなことには…!」
真「伊織だって、人の事言えるのか!? 自分の事を棚に上げるな!」
293:『スタートスターとスタートスター』その①:2012/11/30(金) 23:21:51.12 :hOsokL3ao
真美「おーっと、まこちんといおりんがケンカだー!」
亜美「こんな時でもおっぱじめるんだねー」
真美「仲間同士の争いは醜いものですな~」
亜美「ですな~」
真美「ま、ケンカするほど仲がいいってねー」
亜美「お二人さんアツアツ~」
いおまこ「「はぁ!?」」ギロリ
亜美「うわっと、こっち見たよ真美ー」
真美「へーんだ、まこちんもいおりんも怖くないもんねー」
ゴゴゴ
真「…伊織、色々言いたいことはあるけど…」
伊織「ええ、あいつらをとっちめてからにしましょう…!」
ゴゴ ゴゴゴゴ
295:『スタートスターとスタートスター』その①:2012/11/30(金) 23:23:18.99 :hOsokL3ao
伊織「今から作戦を考えてる暇はないわ。春香対策に考えたアレ…」
伊織「使えるかも。やりましょう」
真「あれか。わかった」パキパキパキ
真美「まこちんが前に出て…」
亜美「いおりんが後ろか。いおりんにちょーっと手出しにくくなったねー」
真美「ま、関係ないけどねー」
真「伊織、任せたよ」
伊織「OK、真」
タタッ
真美「二人で真っすぐ並んで…何が狙いだ!」
亜美「んっふっふ~、しかし甘いぜ! アメちゃんよりも甘ーい!」
ヒュン
伊織「真美が消えたわ」タタタ
真「見ればわかるよ」ダダ
297:『スタートスターとスタートスター』その①/おわり:2012/11/30(金) 23:24:35.97 :hOsokL3ao
ヒュン
真美「いおりんはスタンドを出してない…」
真美「後ろがガラ空き! もらった!」グォォォオオ
グイッ
真美「! えっ?」ノロ…
伊織「後ろよ、真」
真「オラァッ!!」グオン!
真美「わわっ!?」パッ
ヒュオン
真「やっぱり、当たらないな。もう少し引きつけるか」スカッ
真美「な、なんで…」
真「ん?」
真美「なんでわかったのさ!? 二人とも、ずっとこっち見てたのに!」
伊織「アンタ達頭脳がマヌケなの?」
真「ボク達は春香の『アイ・ウォント』に対抗しようとしてるんだ、『視覚』だけに頼った戦いなんてするわけないだろう」
亜美「え? 何? どーいう意味?」
伊織「二人とも、戦い慣れてないわね。最初は手こずったけど、思ったより簡単に済みそう」
299:『スタートスターとスタートスター』その①/おまけ:2012/11/30(金) 23:26:46.44 :hOsokL3ao
スタンド名:「スタートスター」
本体:双海 亜美/双海 真美
タイプ:近距離パワー型・発動
破壊力:D スピード:A 射程距離:E(2m) 能力射程:A(500m以上)
持続力:C 精密動作性:D 成長性:B
能力:亜美と真美がそれぞれ1つずつ持っている、2体で1組のスタンド。
触れたものや自分自身を、もう一方の「スタートスター」のもとに「ワープ」させることができる。
一方からものが「ワープ」で飛ばされてきた直後に、本体がもう一方のもとに「ワープ」することで、擬似的に位置交換も可能。
「ワープ」は一瞬のうちに飛ばせるほどスピードが速く、一度に「ワープ」できる距離も長いが、スタンド自体の射程距離は短く、またパワーも弱い。
移動先は、相手の「スタートスター」射程距離内であれば、好きな場所に飛ばすことができる。
一度「ワープ」したら、ひと呼吸置かないと再び「ワープ」することはできない。
A:超スゴイ B:スゴイ C:人間並 D:ニガテ E:超ニガテ
本日分はこれで終了です。支援ありがとうございました
320:『スタートスターとスタートスター』その②:2012/12/04(火) 00:55:32.14 :vuEnnrqCo
スタタタッ
真美「近くからの攻撃がわかるって言うなら…」ババッ
真「ガラスの破片! 両手に…」
真美「WRYYYY!」ブン ブンッ
ヒュゥゥウン
真(避けたら伊織に当たるか…)
真「オラオラオラオラ」ガシャン ピキャン
パララ
真美「引っかかったー! そっちは囮で…」
亜美「こっちが本命だもんね!」ズッ
ヒュン ヒュン
伊織(片手の方だけを『ワープ』させたのか、器用な真似を…)
322:『スタートスターとスタートスター』その②:2012/12/04(火) 00:56:43.74 :vuEnnrqCo
伊織「左斜め後ろ…だけど、そのままでいいわ」
真「そっちはいいのか?」
伊織「ええ。こっちの方も試しておきたいし」
亜美「ヘイいおりん! 避けなくてもいいのかい!?」
ククッ
亜美「あり?」
ゴスッ ゴロン
スカン!
真「痛っ!? …くはないけど、伊織! やるならちゃんとやってくれよ!」
伊織「わざとじゃあないわ。やっぱ、この濃度じゃあパワーが足りないのよ」
真美「もー、亜美! 何外してんのさ!」
亜美「いや、これは…」
324:『スタートスターとスタートスター』その②:2012/12/04(火) 00:57:47.16 :vuEnnrqCo
真美「えーい、もっかい!」スッ
ドシュン! ドシュゥ
伊織「今度は右からよ。これもそのままでいいわ」
クル…
真「そっちか…」
真美(まこちんが真美の方からの攻撃の盾になって…)
亜美(そのまま、亜美の方に向いた…)
真「オラオラァ!」バキ! ガキィ
キィン バラッ
亜美「亜美のいる方向がカンペキにわかってる! さっきとは違う方に行ったのに!」
真美「こっちを見たままで…!」
伊織「そのままでいいって言ったんだけど?」
真「また顔にぶつけられるのも嫌だしね」
伊織「肩とか背中ならいいの? ナルシストね」
真「いや、そういうわけじゃあ…」
326:『スタートスターとスタートスター』その②:2012/12/04(火) 00:58:46.16 :vuEnnrqCo
亜美「いおりん! きさま! 何かやってるなッ!」シュゴォォーッ
伊織「ええ、やってるわ。この伊織ちゃんが何もしないでボーッと突っ立ってるなんて思ってないでしょうね」
スゥゥーッ
亜美「はっ! これは…うっすらとだけど、まさか…!」
真美「いおりんの『煙のスタンド』で…」
伊織「アンタ達にしては、勘がいいわね」
ヒュン
伊織「…っと、亜美がいなくなったわ。人が話してる間に消えないで欲しいわね」
真「オーケー」グッ
パッ
伊織「真美の隣に出現した」
真美「亜美! これもバレてるよ!?」
亜美「消えたことまでバレバレなの!?」
伊織(『スモーキー・スリル』の結界…完全にくっついてると一緒に『ワープ』してしまうから、この部屋に細かくバラけさせている)
伊織(『双子』の動き、この中ならどこに『ワープ』しても…あるいは外に出た事も、私には筒抜けよ)
伊織(これくらいの勢いなら、この濃度でも飛んでくる物の軌道をずらすこともできる)
伊織(…奇妙だけど、面積が小さいからか…飛び込んできた『真美』の勢いは多少止められたけど、さっきのような小さいものを止めるのは難しいわね)
328:『スタートスターとスタートスター』その②:2012/12/04(火) 01:00:13.23 :vuEnnrqCo
亜美「どーする、真美!? なんか、ヤバいっぽいよ!?」
真美「諦めんなよ! 諦めたらそこで試合終了だ!」
亜美「先生…!」
伊織「もういいかしら? そんなくだらないコント見るために飛ばされてきたんじゃあないわ」スッ
亜美「くだらないとは何だー!」
真美「そうだそうだー!」
真「…悪いけど、『再起不能』してもらうよ」ザッ
亜美「今だッ!」バッ
真美「待ってたぜー! いおりん達が近づくのを!」パッ
伊織「隣に…」
真美「WRY!」ビュン
伊織(真美が私の隣に飛んで来て、攻撃…だけど『ワープ』した直後、そんなすぐには…)
ヒュン
・ ・ ・
真「伊織っ!」
330:『スタートスターとスタートスター』その②:2012/12/04(火) 01:00:46.95 :vuEnnrqCo
亜美「『思い込む』というのは…何よりも『恐ろしい』事なのだ!」
真美「真美の『スタートスター』でワープさせた直後でも、亜美の『スタートスター』は使えるのだ!」
真(伊織は…どこだ、下の階か!?)
フ…
亜美「お、いおりんのスタンドが消えた」
真美「これでセンターは使えないね!」
真(センサーと言いたいのか? 伊織のいた所に真美はいるが…)
真「オラァ!」ゴォ
ヒュン
真美「んっふっふ~当たりませんな~そんな攻撃は」
亜美「まこちん一人ならなんとかなりそうだねー」
グイーン
グルグル
真(また、二手に分かれて…)
332:『スタートスターとスタートスター』その②:2012/12/04(火) 01:01:18.01 :vuEnnrqCo
真(どっちだ…どっちを見ればいい…)
亜美(いおりんがいなければ、どっちかはどこにいるのかわかるまい!)
真美(まこちんがどっちかに標準を定めた瞬間…)
真(亜美…)ジッ…
ヒュン
真(消えた…!)
亜美(真美の方、できるだけまこちんに近いとこまで『ワープ』!)パッ
亜美(まこちんが見回して亜美達を見つける前に、『スタートスター』で触れる!)ズズズ
スゥ…
真美「!」
真美(亜美! またいおりんのスタンドが出てきた!)
亜美(だいじょーぶだって、いおりんは下の階、声は届かない!)ヒュォ
亜美(またまこちんのスタンドを飛ばして、『はりつけ』にしてやるZEー!)ォォォオオ
クル…
真「わかってるよ。そっちだろう?」
亜美「…え…!?」
334:『スタートスターとスタートスター』その②:2012/12/04(火) 01:02:09.17 :vuEnnrqCo
………
……
…
ドドドドド ドド
伊織「下の階に飛ばされる…『スタートスター』が連続で使えるとは思わなかったけど…」
伊織「『スモーキー・スリル』は『遠隔操作』…こんな近くなら使用に問題はない」
伊織「むしろ、ありがたいわ。私は自分の身を守る事にまで気を回さなくていいもの」
ドドドド
伊織「『スモーキー・スリル』が感知した動きは… ……」
伊織「『触覚』で真にもちゃんと伝えてある、声が聞こえなくても機能するわ」
伊織「声で確認しているのは、『アイ・ウォント』対策のためよ。『視覚』、『聴覚』、『触覚』…どれかが支配された時、わかるようにね」
ドドド ド
伊織「そしてこの距離、取った…! 行きなさい、真!」
336:『スタートスターとスタートスター』その②:2012/12/04(火) 01:02:48.77 :vuEnnrqCo
………
亜美(ヤバっ…まこちんに触れる時が『ひと呼吸』のタイミングだから、間に合わ…)
真「オラァ!!」ゴォォォ
真美「亜美!」
亜美「真美!?」
真(何っ…!? 真美の方が速い…!?)
ヒュン
亜美「あっ、危なーっ…!」
真(真美が、亜美に触れて…飛ばしたのか…!)
真(なら、真美の方を…)
亜美「ひと呼吸あれば!」ザッ
真「! この…」グッ
亜美「おらぁ、『スタートスター』!」ビュン
真「くっ!」ボコォ
ヒュン
338:『スタートスターとスタートスター』その②:2012/12/04(火) 01:03:38.98 :vuEnnrqCo
真「あっ!?」パッ
ドサァ!
伊織「きゃっ!?」
真「いたた…」
真(ここは…下の階層に飛ばされたのか…)
伊織「ちょっと、真…」ググ…
真「あれ、伊織? なんでボクの下に…」
伊織「あんたが落ちてきたんでしょうが! さっさとどきなさい!」グオッ
真「わわっと…そうか、伊織も飛ばされてたんだよな…」
伊織「…アンタもここまで『ワープ』させられてきたのね」
真「ああ…あと少しってところで、真美の妨害が入ってね…」
伊織「………」
340:『スタートスターとスタートスター』その②:2012/12/04(火) 01:04:18.59 :vuEnnrqCo
真「よし、上に戻ろう。このまま行けば勝てそうだ」
伊織「…そう思う?」
真「え?」
伊織「真…アンタ今、なんで直前で止めたの?」
真「直前で止めた…? 何の話だ?」
伊織「何のって…亜美に攻撃した時、止めたでしょう? その隙に逃げられたんじゃない」
真「…は?」
伊織「攻撃にブレーキがかかっていた。アンタが途中で止めなければ、真美に『ワープ』させられるより先に、亜美の腕をブチ抜いてたはずよ」
真(止めた…だって、ボクが…?)
伊織「…やよいが春香側の回復手段だったなら、一撃だけ、どちらかの手か足を砕けばもう降参するわ」
伊織「そうなれば、それ以上戦う必要はない。アンタもそのつもりだったでしょう?」
真「そうだよ、それで終わる…! なのに、そのチャンスを逃すような真似をするわけがないだろ!」
伊織「…だったら、無意識よ。とにかくアンタは間違いなく直前でブレーキをかけてるってのは事実だわ」
342:『スタートスターとスタートスター』その②:2012/12/04(火) 01:05:07.25 :vuEnnrqCo
真「いや、そんなはずはない…! そうだったとしても、なんで伊織にそんなことが…」
伊織「わかるわ」
伊織「何のために『スモーキー・スリル』を漂わせていると思ってるのよ? アンタの動きだって、きっちり感知してる」
伊織「その上で…私は、事実だけを話しているのよ」
真「………」
真(ボクが…手加減している…?)
伊織「…まぁ、無理もないわね。私だって、あいつらの手足がガラスのようにフッ飛ぶのなんて見たいわけじゃあないわ」
伊織「だけど、長引けば長引くほど…互いに傷を負うことになる。さっさと終わらせるのも、優しさよ」
真「…ああ。そうだね」
真(ボクだって、積極的に相手を傷つけようだなんて思ってはいない…)
真(だけど…これは戦いなんだ。やらなければ、こっちがやられる…それくらいわかっている)
伊織「………」
344:『スタートスターとスタートスター』その②:2012/12/04(火) 01:05:56.04 :vuEnnrqCo
真「…とりあえず、上に戻ろう。階段はどっちなんだ?」
伊織「ええ、それなら…」
パッ パパッ
真「!」
亜美「戻ってこないと思ったら、まだここにいましたね真美さんや」
真美「二人で作戦会議ですかね亜美さんや」
伊織「アンタ達…そっちから来たわね。手間が省けたわ」
真(痛いのは一度だけ…それに、後でやよいの『ゲンキトリッパー』で治せる…)
真(これは、戦いだ…わかってる。あっちだって、それをわかった上で来てるはず…)
伊織「…真?」
真「大丈夫だよ、伊織。大丈夫…」グッ
伊織(余計な事…言ったかしら…)
346:『スタートスターとスタートスター』その②:2012/12/04(火) 01:06:40.16 :vuEnnrqCo
真(この二人は、放っておくと『ワープ』する能力を駆使してどんどん手を打ってくる…)
真「その前に…!!」ダダッ
伊織「な…!?」
亜美「おおっ、まこちんがこっち来たよ!?」
真美「せんてひっしょーってやつか…!」
伊織「止まりなさい! 何を不用意に飛び込んでるのよアンタは…!」
真(いまなら二人とも同じ場所にいる、『ワープ』で避けても充分捕らえられる距離だ…今がチャンスだろ!)
(パリィィィン)
真(く…)
真「オラァッ」ゴォァ
ササッ
亜美「甘いぞまこちん! そんなねむっちまいそうなのろい動きでこの亜美が倒せるかァー!?」
真(駄目だ、避けられる…! やっぱり、本当に無意識のうちにブレーキがかかってるのか…!?)
348:『スタートスターとスタートスター』その②:2012/12/04(火) 01:07:27.82 :vuEnnrqCo
スゥーッ…
亜美「うぇっ!?」ボフッ
真美「おおぅ!?」ギュッ
真「ん!?」
亜美「な、なにこれ!? 真美、なんでくっつくのさー!」
真美「くっついてるのは亜美の方じゃん! これじゃ『ワープ』できないよー!」
伊織「『スモーキー・スリル』…スタンドまでは抑え込めないけど、一ヶ所にまとめてやったわ」
伊織「真! やるならとっととやっちゃいなさい!」
真「伊織…!」
真(伊織も協力してくれている…)
真(これで、決めなきゃ…!)ギュッ
真「オラァァッ!」ギュォォ
350:『スタートスターとスタートスター』その②:2012/12/04(火) 01:07:58.85 :vuEnnrqCo
亜美「真美!」バッ
真美「亜美!」パッ
伊織「!」
伊織「いや…止まりなさい、真! あいつら手をつないで…何かやるわよ!」
真(伊織が作ってくれたチャンス、無駄にはできない…!)ォォォォオオ
ピク…
・ ・ ・ ・
亜美真美「「『スタートスター』!!」」バッ
ヒュン
真「え?」
真(亜美達の背後…壁まで、飛ばされ…)
亜美「こうして手をつなげば…」
真美「真美達は『ワープ』できないけど、触ったものはちょっとだけ遠くまで飛ばせるんだYOー」
真(壁に突っ込む…『ワープ』の勢いもあって、止まらない…)
パリィィィィン
352:『スタートスターとスタートスター』その②:2012/12/04(火) 01:09:00.04 :vuEnnrqCo
真「うわああっ!?」グアアアァァ
伊織「真!!」ダッ
真(壁が崩れた…! 掴まないと…!!)
ガッ
真(あ…破片、が…)
ズリッ!
真(落ちる…)
真(例え人が圧死するような量の瓦礫が落ちてきても、『スタンド』に影響することはない…『スタンドはスタンドでしか倒せない』から…)
真(だが、このままボクが落下したら…それは『ストレイング・マインド』自身が、地面にぶつかることで生み出されるエネルギーだ)
真(スタンドが衝撃に耐えられれば、ダメージ程度で済む…だが、割れてしまったら…全身を覆う鎧がコナゴナにされたら…どうなる?)
ゴォォォォオオ
真「うわああああああああああああああ」
354:『スタートスターとスタートスター』その②:2012/12/04(火) 01:09:19.95 :vuEnnrqCo
伊織「うおおおおおおおおおおおおお」
ドドドドド
伊織「どきなさい、アンタ達!!」ダダダダ
亜美「そいつぁ聞けませんな」
伊織「どけッ!!」モクモク
亜美「!?」ビクゥ
クッギュゥゥゥゥン
真美「飛んだ!?」
亜美「いおりんも、外まで…」
ゴォォォォオォォォ
伊織「ったく、世話が焼けるわね…!!」
ドドド ドドド
真「い…伊織…」
伊織「『スモーキー・スリル』ッ!!」
ドッフゥゥゥゥァ!
356:『スタートスターとスタートスター』その②:2012/12/04(火) 01:10:02.94 :vuEnnrqCo
シュゥゥゥゥ…
伊織「はぁ、はぁ…」
真「た…」
真「助かったよ、伊織…」
伊織「………」
真「ごめん…少し焦っていた。キミの忠告に耳を貸すべきだった」
伊織「…いいわよ。元はと言えば、私のせいって部分もないことはないし」
真「もう不用意に突っ込んだりはしない。確実に攻撃できるタイミングを狙って…」
伊織「いえ。今のではっきりした、アンタにあいつらは倒せないわ」
・ ・ ・ ・
真「…え」
伊織「事務所に帰りなさい、真。もうアンタに戦う事はできない」
358:『スタートスターとスタートスター』その②:2012/12/04(火) 01:11:08.42 :vuEnnrqCo
真「ボクに亜美真美が倒せないって…」
真「ボクが戦う事ができないって…どういうことだよ、伊織!」
伊織「そのままの意味よ。アンタは戦いに向いてないわ」
真「向いて…ない…?」
伊織「いくら『スタートスター』が速いと言っても…あのタイミングでもあっちの方が先に当たるってのは、やっぱりアンタに原因があるわ」
伊織「『ワープ』する能力…ただでさえ攻撃が当てられないような相手にこれは致命的よ」
真「…それは…そうかもしれないけど…だからと言って…」
伊織「いえ、やよいの時だってせいぜい『硬化散弾銃』を使うくらい…『くっつけて』治せるやよい」
真「『ゲンキトリッパー』は遠隔操作だった。殴れるような距離になった時には、もう勝負はついて…」
伊織「私の時もそうだったわね。事務所を壊しても、結局私を殴る事はできなかった。いえ、しなかった」
真「………」
伊織「頭では殴るつもりはあったのかもしれない。でも、アンタは心のどこかでそれを拒否してるのよ」
伊織「スタンドは精神力のエネルギー…そんな無意識でも、影響は出ていた」
360:『スタートスターとスタートスター』その②:2012/12/04(火) 01:11:43.48 :vuEnnrqCo
伊織「私がアンタに勝てたのは、春香の影があったから…今はやりあえば私だってただじゃあ済まない…」
伊織「そう思ってたけど、間違いだった。本当に恐れていたのは、春香なんかじゃあなかったのね」
真「伊織、何を…」
伊織「『ストレイング・マインド』…アンタのスタンドよ。アンタは、自分のスタンドで他人を傷つけることを極端に恐れている」
真「…!」
伊織「それでいいわ。臆病で結構。あいつらは事務所の仲間…『ブッ殺す』だなんて考えるようなら、そっちの方が間違ってる」
伊織「異常な破壊力を持ち、動きも大雑把な『ストレイング・マインド』…そうなるのは仕方ないと思うわ」
伊織「だけど、本気で相手が出来ないというのなら…戦いには向いてないわ」
伊織「アンタは戦力外よ、真。もう、戦わなくてもいいわ」
真「な…」
362:『スタートスターとスタートスター』その②:2012/12/04(火) 01:13:36.53 :vuEnnrqCo
真「………」
伊織「今から事務所に戻って貴音を…いえ、やよいも連れてきて。『ゲンキトリッパー』であいつらを『くっつけ』ればなんとか…」
真「…伊織は、どうするんだ」
伊織「ここに残る。二人が来るまでにあいつらに逃げられると厄介だわ」
真「大丈夫なのか、一人で」
伊織「むしろさっきより存分に戦えるかも。裏方に回るなんて伊織ちゃんの性分じゃあないし」
真「………」グ…
伊織「…真。別にアンタが足手まといなんて言ってるんじゃあないわ。ただ、人を傷つけるのが嫌って…それだけでしょう」
伊織「それに、アンタの本職はアイドル。『スタンド使い』であるという方が、異常なのよ…」
伊織「だから、今は帰りなさい」
真「…わかった」
伊織「………」
伊織「それじゃ、私は行くわ…頼んだわよ」ザ…
364:『スタートスターとスタートスター』その②:2012/12/04(火) 01:14:32.72 :vuEnnrqCo
ワナワナ
真(腕の震えが止まらない…悔しさで…)
真(だけど、情けない話だが…伊織の言う通り、ボクは恐れているのかもしれない…)
真(最悪、一撃で人を殺しかねないこのスタンド…『ストレイング・マインド』の威力に)
真(もしもボクのスタンドが…こんな、こんなスタンドじゃあなくやよいの『ゲンキトリッパー』のようなものなら…)
真(あるいは伊織の『スモーキー・スリル』なら…いやせめて、貴音さんの『フラワー・ガール』のように正確な動きができるスタンドなら…)
伊織「う…」フラ…
・ ・ ・ ・
クル…
伊織「………」スタスタ
真「…伊織?」
伊織「何…? わかったんなら早く帰れば…」
真(いや、ちょっと待て…)
真(『スモーキー・スリル』は煙のスタンド…例えスタンドで殴っても、霧散するだけ…ダメージは伊織には届かない)
真(だが、受け止めること…そのダメージが、『スモーキー・スリル』自身が生み出したものなら…?)
366:『スタートスターとスタートスター』その②:2012/12/04(火) 01:15:08.06 :vuEnnrqCo
真「待て伊織…」
伊織「………」
真「さっき落ちるボクを受け止めたこと…あれは」
真「あの高さから…ボクと自分の体を受け止めて無事でいられるほどのパワーが『スモーキー・スリル』にあるのか…?」
伊織「私の心配をするなら…二人を呼んできて」
真「いや、そうじゃなくても…! ボクの『ストレイング・マインド』が飛ばされた時に挟まれたり…」
真「『スモーキー・スリル』の結界! あれも、かなり神経を使うんじゃあないか!?」
伊織「別に…大したもんじゃあないわよあんなの。そんなんでバテてちゃ春香とは戦えないわ」
伊織「それに、一人で戦うわけでもない。アンタが早く誰かを連れてくれば、私はそれだけ楽になるわ」
真「…伊織」
伊織「そうとわかったら…」
真「あて身」ドスッ
伊織「!?」
ドサァ
368:『スタートスターとスタートスター』その②/おわり:2012/12/04(火) 01:15:59.69 :vuEnnrqCo
伊織「………」
真「ごめん、伊織。こうでもしないとキミはそんな体で、這ってでも行くだろう」
真「そこで休んで…って、気絶って休んでる事になるのかなぁ…まぁ、いいか…」
真「…これはボクのワガママだ。こうして一人で行くよりも、二人を呼んできた方がきっと勝てる可能性は高いだろう」
真「それに伊織の言う通り、ボクは臆病なのかもしれない…」
ザッ
真「だけど…」
ドドドド
真「だけど、誰かを戦わせてひとりだけ逃げるなんてこと、ボクはしたくない…!!」
ドドド ドドドドド
真「ボクは…戦う」
真「戦うんだ、みんなと一緒に…! 765プロの仲間であるために!!」
伊織「………」
382:『スタートスターとスタートスター』その③:2012/12/10(月) 23:18:05.17 :8h7H08q/o
真美「ン!」
ドドド ドドドド
真「………」
亜美「ほらー、戻って来たじゃーん。わざわざ追っかけなくてもさー」
亜美「戻ってこないってことは…それはそれで、亜美達に対して負けを認めるってことだし」
真美「でも、お姫ちんとかやよいっちを連れて来られたらそれはそれでヤバいっしょ」
真(伊織も、そうしろと言ってたな…真美でもわかることだ、ボクの判断は間違っているかもしれない。だけど…)
真「続きを始めよう。せっかく待っててくれたみたいだしね」
亜美「いおりんは?」
真「さぁな…」
真美「とぼけたって無駄だー、証拠は挙がってるんだぜまこちんさんよー」
真「何の証拠だよ…」
真(ボクは、戦うために戻ってきた。それは、自分で決めたことだ)
真(だけど、それだけで…ボクは真美と亜美相手に、まともに戦えるのか?)
384:『スタートスターとスタートスター』その③:2012/12/10(月) 23:18:57.27 :8h7H08q/o
亜美「ま! いおりんはこの際どうでもいっかー」
真美「まこちん一人なら、どうにでもできるからねー」
亜美「元々、そのつもりだったしねー」
ドドドド
真「伊織が誰かを呼びに行ってるとして…」
真「それまでの間に、ボクを倒すつもりか?」
亜美「モチですぜダンナぁ。まこちんを倒す方法は、色々考えてあるし」
ドドド
真美「とりあえず、まこちんを倒す!」
真美「いおりん達の中でもけっこー強いまこちんを倒せるとわかれば、後は大体らくしょーだからね」
ドドド ド
真(どう考えても、真美達の態度はふざけている。遊びか何かをやってるような気分だ)
真(だけど…そんなふざけた態度の二人に、ボクは絶体絶命に追い込まれた)
真(遊びでも本気、か…)
386:『スタートスターとスタートスター』その③:2012/12/10(月) 23:19:27.97 :8h7H08q/o
亜美「いっくぜー!」ダッ
真美「んっふっふ~、真美達の動きが見切れるかーっ!?」ババッ
真(こんなんでも、双子は本気だ…そして、伊織も本気だった…)
真(多分…ボクだけが、違う…)
グルン グルン
真「またそれか…! 芸のない…」
亜美「いおりんがいないから…」
ゴゴゴ
亜美「まこちんには亜美と真美二人が何やってるか、りょーほーはわからないっしょ?」
ザッ…
真「!(後ろから…)」グルッ
真美「遅いッ!」バヒュ
ヒュン
真「ぐ…今度は『ストレイング・マインド』か…っ!」クンッ
ズダン!!
388:『スタートスターとスタートスター』その③:2012/12/10(月) 23:20:31.73 :8h7H08q/o
真「ぐあっ…!」ギリリリ
真(下の階に飛ばされたら…『解除』しなくてはどうしようもない…!)
フッ
真(どうやって『スタートスター』に対抗…)スゥ…
ヒュォ
真「え?」
グシャァ!!
真「がふっ…!」グラ…
真(岩が…降ってきた…亜美が真美の方に『ワープ』させたのか…)
真美「まこちんのスタンド、すっごく『硬く』てあんま攻撃効かないみたいだけど…」
真美「カニを食べる時、殻を取り除くように…『ストレンジ・ディマンド』を飛ばしてから攻撃すりゃいい」
真「『ストレイング・マインド』だ…」フラ…
真(ボクのスタンドができるのは、近距離で殴って壊すことと…後はせいぜい『硬化散弾銃』みたいに『硬く』したものをブッ飛ばす…それだけだ)
真(勝てるのか…この二人に)
390:『スタートスターとスタートスター』その③:2012/12/10(月) 23:21:30.81 :8h7H08q/o
真(くそっ、さっきから弱気になってどうする! 戦うために来たんじゃあないのかボクは!)
真(この岩を逆にぶつけてやる…!)ピキピキ
真「オラァ!!」ドシュゥゥ
真美「『スタートスター』!」ドォン
真美「WRYYYYYYYYY」ヒュン
真「!」
真(やっぱり、速い…! そして、『ワープ』したということは…!)
グォォォォ
ガスゥ!!
真「ぐっ…!」パリィィン
真(背中が…!)タラ…
ゴゴゴゴ
亜美「へー、まこちんが『硬く』したものなら…」
真美「その鎧にもダメージを与えられるみたいだね」
亜美「いや、『硬く』しなくても…もしかしたら、アレも行けるかも?」
ゴゴ ゴゴゴゴ
392:『スタートスターとスタートスター』その③:2012/12/10(月) 23:22:31.44 :8h7H08q/o
真(完全に翻弄されている…何をやってるんだボクは…)
亜美「ヘイヘーイ、動きがにぶいぜニーチャン!」
真美「もっと本気で来なYO!」
真(本気か…)
亜美「よーし真美、次だー!」
真美「おうよー!」ヒュン
真(今度は真美が消えた…)
亜美「次がメインディッシュ! 覚悟しな、まこちん!」
真「間違…ってはいないな」
真(…そもそも、本気とはどういうことだ?)
真(がむしゃらに向かって行くことは、本気とは言わない…よな)
真(少なくとも、双子はボクを倒すために…考えて行動している)
394:『スタートスターとスタートスター』その③:2012/12/10(月) 23:23:06.41 :8h7H08q/o
ドドド ドド
真(オーディションやフェスでライバルと勝負する時…ボクは、本気だ)
真(ライバル達とぶつかり合うことに、喜びを感じてさえいる)
真(スタンドに関してはどうだ…?)
真(伊織と戦った時…あの時は、春香の『アイ・ウォント』の影に追い立てられるように戦っていた)
真(今となってはわからない…)
真(だけど、やよいの『ゲンキトリッパー』と戦い、片腕を落とした時…あの時、ボクは間違いなく本気だった)
真(あの時と今の違いはなんだ…何が足りないんだ…?)
ドドドドドド
真「オラァッ!!」ドン
亜美「オラァッ!!」ゴォ
ス…
・ ・ ・ ・
ヒュン!!
396:『スタートスターとスタートスター』その③:2012/12/10(月) 23:23:43.47 :8h7H08q/o
真「!!」
真美「ててーん! まこちんがあらわれた!」グッ
真(『ストレイング・マインド』がない…ボクの方だけ…!)
真(そして、この光景…ここは上の階か…!)
真美「『スタートスター』!」スパァァン
真「うおっ…」
ヒュン
亜美「もう一丁!」ゴォ
真「なっ…」
真(これは…)
真(一発殴る度に、別の階にいる相手のところに『ワープ』させて…)
ゴシャァ
ヒュン
真美「うりゃぁ!!」バヒュ
真「ぐっ…」ドグォ
398:『スタートスターとスタートスター』その③:2012/12/10(月) 23:24:13.26 :8h7H08q/o
真(『ストレイング・マインド』はどこに行った…!? 飛ばされた時の向きもメチャクチャだから、反撃しようにも…)
真(どうにかしようと動く前に、『スタートスター』の制限が切れて飛ばされる…!)
亜美「オラオラオラオラオラオラオラオラ」ドン ドン ドン ドン
真美「WRYYYYYYYYYYY」ドシュ ドシュ ドシュ ドシュ
真「ぐっ、あああっ!!」バキャ ドス グシャ
ヒュン ヒュン ヒュ ヒュン
亜美「オラァッ!!」ガオッ
ヒュン
ドッパァーッ
真「うっ、うお…」ドグサァ
真美「『スタートスター』のパワーはあんまないけど…」
パッ
亜美「塵も積もれば山のにぎわいってね、けっこー効いたっしょ?」
真(無茶苦茶だが…)
真(確かに、効いた…)ガクッ
400:『スタートスターとスタートスター』その③:2012/12/10(月) 23:25:12.95 :8h7H08q/o
真「はぁ、はぁ…」フラフラ
亜美「フフフフまこちんよ、そこの階段を二段おりろ」
真美「再びはるるん閣下の仲間にしてやろう」
真(………)
真(壊すか…? この廃ビルを…)
真(『ワープ』できるとはいえ、今は二人集まっている…)
真美「どうしたー早く行けよー」
真「オラァッ…!」ヒュゥ
ガシャァァァ
亜美「うお!? 階段を使わずにおりやがった…」
真(地面をブチ抜いて行けば…次の使用までひと呼吸必要な『ワープ』よりは速いだろ…!)ガガガ
真美「まさか、アレをやるつもりじゃあ…いおりんの時にやったらしいし…」
亜美「えーっ!? それ困るよ、ここ秘密基地っぽくて気に入ってんのに!」
402:『スタートスターとスタートスター』その③:2012/12/10(月) 23:26:20.91 :8h7H08q/o
ドサァ!!
ギッ
真「く…落ちた衝撃が体に響くな…」
真(ダメージを受けたせいで『ストレイング・マインド』の耐久力にまで影響しているのか…)
真(それとも、ボクがずっと弱気だから精神力のエネルギーであるスタンドが劣化しているのか…)
真(真美達はすぐに来る…早いところ、柱をブッ壊して…)
真(このビルを破壊しなくては…)グッ
真「オラ…」ドォ
真(………)
真(ビルが崩れてきたら…)
真(真美達は大丈夫なのか…? 『ワープ』出来るとはいえ、崩れる前に、脱出できるのか…?)
真(ボクには『ストレイング・マインド』があるが、この規模…二人はただでは済まないだろう…)
真(しかし、ただで済むようなら…それで牽制になるかと言えば、答えはNOだ)
真(こんなことをしても、何の意味もないんじゃあ…)
404:『スタートスターとスタートスター』その③:2012/12/10(月) 23:26:55.81 :8h7H08q/o
パッ
亜美「おろ? なんだ、まだ何もやってないじゃーん」
真「亜美…」
亜美「下まで来てもらって悪いけど…また上に戻ってもらうぜ!」
真「そうはさせるか…!」
亜美「オラオラー!!」ドドド
真「オラァッ!!」グォオ
ブルッ
真(この期に及んで…)
真(どうあっても、ボクは本気で行くことが出来ない…)
ヒュン
真美「んっふっふ~、おかえりまこちん」
真(誰かを傷つけるのが…怖いんだ)
真(手に感触が残らない『硬化散弾銃』ならまだ大丈夫だが…)
真(『ストレイング・マインド』で直接殴ったり…相手が死ぬ可能性があることは、ボクには出来ない)
真(ボクは、弱い…)
406:『スタートスターとスタートスター』その③:2012/12/10(月) 23:27:52.82 :8h7H08q/o
パッ
亜美「さぁおしおきの時間だよベイベー」
真美「へっへっへ、ちょろいもんですな~」
真「ふ…」
真美「ん?」
真「はは…あはははははははは!」
亜美「!?」
真「伊織…伊織は言ったな…」
伊織『異常な破壊力を持ち、動きも大雑把な『ストレイング・マインド』…そうなるのは仕方ないと思うわ』
真「仕方ないだって、伊織…」
真「ボクはまだまだ本気でぶつかっていない! スタートラインにすら立てていないんだ!」
真「………」グッ
真「何が仕方ないんだよ!!」ガシャァァン
亜美「ま、まこちんが壊れた…」
408:『スタートスターとスタートスター』その③:2012/12/10(月) 23:28:55.92 :8h7H08q/o
真「ああ、ボクは確かに相手を傷つけるのが怖い…自分の腕が体をブチ抜くことを想像するだけで腕が止まる」
亜美「ああ、なんか動きがちょっとヘンだよね」
真「だけど、それは弱さじゃあない! 伊織の言う通りだ、当たり前なんだそんなことは!」
真「ボクの弱さは、『ストレイング・マインド』…自分のスタンドと向き合おうとしなかったこと…!」
真「許せないのは…その弱さのせいで、真美達の本気に応えられないということ…」
真美「…まこちん」
真「そして…!」
ド ドドド
真「その結果…伊織に怪我を負わせたことだ…!」
ドドドド
真「何もしないまま、真美達に負けるようなら…」
真「ボクはただの大馬鹿野郎だ」
ドドドドド ド
410:『スタートスターとスタートスター』その③:2012/12/10(月) 23:29:37.71 :8h7H08q/o
真美「まこちんの言ってる意味は何かわからんけど…」
亜美「いおりんがケガ? だったら他は来なさそーだし、まこちん倒せばオールオッケーじゃーん」
真「…覚悟したよ。もう、後には引けない」パキ パキ パキ
真美「!」ビクッ
真美(なんかまこちんマジになってるっぽいけど…大丈夫かな、これ?)
亜美(えー、ハッタリっしょー。そんなちょっとやそっとで急に変わったりしないって)
タタタタ
真「オラァ…!」グオッ
真美「! 亜美!」スッ
亜美「オッケー! 『スタートスター』!!」バッ
ヒュン
真「………」ピタ…
亜美「ほら、やっぱり…結局、まこちんは亜美達を殴れない」
真美「ちょいとカワイソーだけど…まこちんの勝手で真美達にはカンケーないよね」
412:『スタートスターとスタートスター』その③:2012/12/10(月) 23:30:24.29 :8h7H08q/o
真「………」ス…
亜美「ヘイまこちん! 本気で来るんじゃあないのかYO!」
真美「『攻撃してください』って言わんばかりに突っ立ってていいのかYO!」
亜美「行くぜ! この岩を…投げる! そして『ワープ』!」ドシュン!!
ヒュン
真美「真美はそれを…もう一回、亜美の方に『ワープ』だ!」ヒュン
亜美「『ワープ』二倍の『スターキャノン』!! 喰らえッ!!」ドヒュォ
ォォォォォオオオ
真「………」
ガシャァァァン
バカ!
・ ・ ・ ・
亜美「頭が割れた!」
真美「うひー、いったそー」
414:『スタートスターとスタートスター』その③:2012/12/10(月) 23:31:13.59 :8h7H08q/o
真「………」フラ…
バタン!!
亜美「勝ったか…厳しい戦いだった…」
真美「そーでもないけどねー。いおりんとやってた方がキツかったかも」
亜美「でもさ、まこちんに勝てるってことは…お姫ちんとかも行けんじゃね!?」
真美「うーん、どうかなー…このイキオイなら行けるかも?」
ギ
ギギ ギギギ
亜美「ん? 何、この音」
ギ… ギギギ
真「勝利ムードのところ、悪いけど…」ムク…
真美「なっ…!?」
真「全然、効かなかったんだよな…今の」
亜美「まこちん…まだ立てるのかッ!?」
真美「いや、つーか…効かなかったって、どういうことさ!?」
416:『スタートスターとスタートスター』その③:2012/12/10(月) 23:31:54.31 :8h7H08q/o
真「春香は教えてくれなかったのか?」
真「スタンド使いの基本…『スタンドはスタンドでしか倒せない』」
亜美「あ、なんか聞いたような聞かなかったような…」
真「スタンドが直接触れているならともかく…」
真「一度『ワープ』させただけの物質が、スタンドに当たるわけないだろ」
真(伊織の『スモーキー・スリル』のように、飛ばした後も『煙』をまとわりつかせて『スタンドパワー』を込めていたり…)
真(ボクの『硬貨散弾銃』や、やよいの『ゲンキトリッパー』のように能力を使っていれば話は別だけど…)
真「『スタートスター』で『ワープ』させただけでは、ダメージは与えられない」
亜美「嘘だ! だって、ちゃんと当たったし!」
真美「大体、まこちんの頭割れてるじゃん! 避けられなかったのか、グリーンベットだし!」
真「違うな…正しくはクリーンヒットだが、そのことを言ってるんじゃあない」
真「避けなかったのは、『集中』していたからだ」
亜美「は? 集中…」
418:『スタートスターとスタートスター』その③/おわり:2012/12/10(月) 23:33:12.49 :8h7H08q/o
真「そして、『ストレイング・マインド』の頭部が割れたってのは…」
真「ボクが自分でやっていることだ」
ギギ ギギギギギ
亜美「うっ!?」
亜美(全身の鎧が、左右に引っ張られてる…)
真美(つーか、両腕に集まってる…?)
真「わかったんだ。本気ってのは…」
ギギギギ
真「自分の持てる力を、全て出すことだ。ボクはまだ、できることをやりきっていない…!」
ギギギ ギギギギ
真「ボクはまだ、何もしてはいないんだ…!!」ギギギ
・ ・ ・ ・
ゴゴ ゴゴゴ ゴゴゴゴ
真美「まこちんのスタンドが…」
亜美「『両腕』を覆う手甲に…」
真「行くぞ真美、亜美。ボクの全部をぶつけてやる」
466:『スタートスターとスタートスター』その④:2012/12/18(火) 01:57:12.80 :hVEcGfaJo
ギ…
ゴゴゴゴゴ
ガチ
ゴゴゴ ゴゴ
真「………」パ…
グッ
真「行くぞ、真美! 亜美!」バァーン
亜美「そ…」
亜美「そんな形が変わったからって、メチャメチャ変わるわけじゃないっしょ!」
真美「ってゆーか、腕だけ出してた時とそんな変わってないじゃん!」
亜美「そーそー! 手甲みたいにしたところで…」
真「篭手だろ」
亜美「どっちでもいーよ!」
468:『スタートスターとスタートスター』その④:2012/12/18(火) 01:58:24.55 :hVEcGfaJo
真美「それで、どうするつもりですかなーまこちん?」
真美「そうやって腕だけ出せば、スタンドだけ飛ばされることはない…そう思ったのかな?」
亜美「わかってないねぇ、まこちん」ヒュン
真(………)
真美「それだけで、『スタートスター』を止められると思ったら大間違い!」
ズズ…
真「岩、まだあったのか…さっきよりは小さいが」
真美「わざわざスタンドを飛ばしてたのは、まこちんにそのまま攻撃しても効かないからってだけで…」
真美「まこちんがやったのは、ミカンが自分から皮をむいて『どうぞ食べてください』って言ってるのと同じことだよ!」グオッ
ゴオオオオォォォォ
真美(殴って壊せば、破片が飛び散る! 体がモロ出しになったまこちんにはそれは防げ…)
真「うおおおおおおおお」
バッ!
ドスゥ!
・ ・ ・
470:『スタートスターとスタートスター』その④:2012/12/18(火) 01:59:26.68 :hVEcGfaJo
ピタ…
真美「へ?」
真美(殴らないで…片腕で、受け止めた…)
真「わかってないのは、そっちの方だ」
真「これは単に腕だけに出してるわけじゃない。全身の鎧を、両腕に集中させている…」
ガシッ ガシ!
真「つまり、『ストレイング・マインド』の全パワーが両腕に集まっているということだ」グググ…
真美「え? まさか…投げ返すつもり?」
真「………」ググ…
真美「いくらまこちんでもそれは無理っしょー」
真美「病院のベッドくらいあるじゃーん。片手で投げ返すなんて…」
真「オラァッ…!」グォオ
ギュァァァァァォン
真美「できた!?」
472:『スタートスターとスタートスター』その④:2012/12/18(火) 02:00:24.92 :hVEcGfaJo
パッ
亜美「やったか!?」
真美「ちょ…亜美!? 何で戻ってきちゃったのさ!?」
亜美「へ? 何でって…」
オォォォォ
亜美「うぇっ!?」
タタタ
真美「うおーっ、『スタートスター』!!」カスゥ
ヒュン
ズゥゥゥゥン…
真美「ふぅ…」
亜美「はぁ…」
真「横からかすらせるように触って飛ばしたのか…真正面から受け止めればただじゃあ済まないからな…」
真美「!」
真「何も考えてないようで…しっかりと考えながら戦ってる。あそこまで一方的にやられるわけだ」
474:『スタートスターとスタートスター』その④:2012/12/18(火) 02:01:54.19 :hVEcGfaJo
真美「余裕だね…まこちん」
真「余裕?」
亜美「まこちんはけっこーボロボロ、こっちはダメージゼロ。まだまだこっちの方が有利なのに…」
真「それは違う、むしろ逆だよ」
亜美「逆?」
真「亜美の言う通り、やられた疲れやダメージはまだ残っている…どちらかと言えばボクの方が追いつめられている」
真「だからこそ、落ち着いて対処する。そうしなければ、勝てない相手だからね」
真「追い込まれているからこそ、余裕を持つ必要がある」
真美「あ、それって排水溝ってヤツ?」
真「背水の陣ね。ここまでくるとわざと言ってるんじゃないかと思うよ」
真「とにかく、ボクはもう油断とか手加減とか…」
真「そういうのは、しない」
476:『スタートスターとスタートスター』その④:2012/12/18(火) 02:02:34.58 :hVEcGfaJo
真美「よろしい、ならばこっちも手加減しないぜ! 亜美、持ってきてる!?」
亜美「おうよ! たっぷり入荷したぜ!」バララ
真「! さっきの『ワープ』の時一緒にコンクリートの破片を持ってきたのか」
真美「よーし! 発射よーい!」
亜美「ファイヤー!!」ギュン
ドシュ ドシュ ドバ ドシュァァ
真美「今度こそ! この数を止められるかァーッ」
スゥ…
カッ
真「オラオラオラオラオラオラオラオラ」ズババババ
シン…
真美「…え?」
478:『スタートスターとスタートスター』その④:2012/12/18(火) 02:03:29.60 :hVEcGfaJo
真「………」ス…
バララッ
亜美「うぇっ!?」
真美「と…」
真「止められる…な」
真美「止めた…!? しかも、殴るんじゃあなくつかみ取って…!?」
亜美「はるるんはまこちんのスタンドはパワーとかスピードはスゴいけど、正確に動かせないって言ってたのに…!」
真「ああ、そうだね…ゆっくり動かさないと、かなり不器用だと思うよ『ストレイング・マインド』は」
亜美「全然ゆっくりじゃないじゃーん!」
真美「! まさか…」
亜美「え? 何かわかったの、真美?」
480:『スタートスターとスタートスター』その④:2012/12/18(火) 02:04:07.54 :hVEcGfaJo
真美「そうやってスタンドを両腕に集めたのって…」
真「そう。全身に纏って自制が利かないなら、一部だけに集中すれば正確な動きが出来ると思ってね」
亜美「これならどうだ! 『スターガン』!!」ブンッ
真美「さっきと名前変わってない?」ヒュン
亜美「こまけーこたぁいいんだYOー!」パッ
ギュォォォォン!!
真「人が話してる間に…」
ス…
ヒュバァ!
真「攻撃しないでもらえるかな」シュゥゥゥ…
亜美「うげっ!?」
真「腕だけだが、『スピード』は衰えたわけじゃあない。むしろ上がってるくらいだ」
真「こんな真っすぐ飛んでくる石を掴むなんて雑作もないことだよ」グッ!
パララ…
真美(握った石がコナゴナ…)
482:『スタートスターとスタートスター』その④:2012/12/18(火) 02:04:22.34 :hVEcGfaJo
亜美「な、何か…」
亜美「すげーパワーアップしてない、それ…?」
真「いや。『掴む』ことはできなかったけど…パワーは元々こんなもんだよ」
亜美「う…叩き落としたりはしてたからね。じゃあ、ものを掴めるってとこが変わったの?」ス…
真「それはそうだね。あと…」
クルッ
真「オラァ!」ピンッ
ヒュン
真美「うおっ!?」バッ
パキィィン
真美「あぶなっ…!」
真「こうやって、振り向きざまにコンクリートの破片を指で弾き飛ばすってことも、前も出来なかったことだ」
484:『スタートスターとスタートスター』その④:2012/12/18(火) 02:06:46.22 :hVEcGfaJo
亜美「なんで真美がそっちにいることわかったんだこの野郎!」
真美「それも、スタンドの能力!?」
真「さっき伊織が言ってただろう? 春香の『アイ・ウォント』だよ」
真美「は?」
真「伊織にだけ任せるわけにもいかないしね。ボクもボクなりに、対策はしているんだよ」
真「元々、あの鎧を纏ったまま戦うつもりだったんだ。別に音とかを遮断してたわけじゃあないが、集中してるのもあって気分的には…」
真「さっきまでよりも感覚は鋭くなってる…かな」
亜美「気分の問題なの!?」
真「それより、話してる間に後ろからとか…さっきから小細工ばかり」
真美「うぐ…」
真「どうしたんだ? 何を怯えている?」
亜美「べっ、別に怖がってなんてないもんねー!」
真「ま、得体の知れないものに飛び込んで行くのは得策じゃあない…試しているってとこか」
真美「それはまこちんも同じ…でしょう?」
486:『スタートスターとスタートスター』その④:2012/12/18(火) 02:07:59.01 :hVEcGfaJo
ドドドド ドドド
真美「………」ジリ…
亜美「………」
真「………」ス…
ドドド
タッ
亜美「オラァッ!」グオッ
真美「『スタートスター』!」ヒュッ
真「オラァァッ」シュバ!
ス…
ヒュン!
真「!」パッ
ヒュオオォォォ
亜美「よし!」
真美(今、ちょっと触られた…危ない危ない)
亜美「自分で開けた穴! 一番下まで落ちて行きなーッ」
488:『スタートスターとスタートスター』その④:2012/12/18(火) 02:08:55.80 :hVEcGfaJo
オォォォオオォ
真(落ちる途中の床を掴むか…いや)
真「行けるな?」
ギギギ
真「『ストレイング・マインド』を…」
ギギギギ ギギ
真「『脚』に集中する!」
ドォーン
グルン
真「オラァ!」
ガギィィィッン
シュー シュゥゥ…
真「………この、集中した『ストレイング・マインド』…」
真「『強度』も以前とは比べ物にならないようだ。4階から落ちてもなんともないな」
490:『スタートスターとスタートスター』その④:2012/12/18(火) 02:09:45.95 :hVEcGfaJo
亜美「うわ、凄い音…やりすぎちゃったかな…?」
真美「どーだろ。ちょっと見てみよ」ヒョイ
ォォォォ…
真美「うーん、ここからじゃまこちんは見え…」
ガシャン!!
真美「ふぇっ!?」バッ
亜美「え…窓の外に!?」
真「オラオラオラオラ」ゲシゲシゲシッ
パリィィン
真美「うわっ!」バッ
亜美「伏せろ!」バッ
ガシャン パリャ
真「流石に…」
真「二人を一度に相手にするのは分が悪かったみたいだ」ヒョイ
492:『スタートスターとスタートスター』その④:2012/12/18(火) 02:10:23.98 :hVEcGfaJo
ゴゴゴゴゴ
亜美「か…壁を破って入ってきた…?」
真美「ここ、4階なんだけど…どうやって上ってきたの…?」
真「ああ、こいつで…」ス
真「ビルの壁をブチ抜いてきた」
亜美「人間じゃねぇ…」
真美「そのまこちんの…スト…スト…ストレイツォ…?」
真「『チアリングレター』だ」
亜美「へ?」
真「『ストレイング・マインド・チアリングレター』。自分に向けた応援の手紙」
ギギギギ
真「腕だけじゃあない…集中するのは他の部分にもできる」
真「脚に集中させれば、今のように、蹴りで壁を『硬く』してブチ抜いたりもできるみたいだ」
494:『スタートスターとスタートスター』その④:2012/12/18(火) 02:10:43.98 :hVEcGfaJo
亜美「チアリーダーがなんか知らないけど…」
亜美「まこちんのそれより…やっぱ亜美達の『スタートスター』の方が速い!」
真「そうかな…」ギギギ
亜美「そーだよ! 壁を登ってきたのは流石にビビったけど…」ス…
真(『チアリングレター』を『腕』に戻したが…亜美は穴を挟んで反対側か…)
真(『スタートスター』の射程距離は広くないが、こっちはゼロだ。不利だな)
亜美「『スピード』で勝ってるなら、『ワープ』させる能力が負けることはないっ!」
真「だったら、見せてみろ!」ダッ
亜美「んっふっふ~、さぁどっちから来る? 右か、左か!?」
真(飛び越える!)ピョーン
亜美「そう来ると思ったぜ! 『スタートスター』!」
グォォォ
亜美「オラオラー!」ゴォォォ
ガグ!
亜美「おっ!?」スカッ
真美(まこちん…天井に腕を突っ込んで…!)
496:『スタートスターとスタートスター』その④:2012/12/18(火) 02:11:57.37 :hVEcGfaJo
真「オラァッ!」ヒュ
亜美「へぶっ!?」バキィ
ゴロゴロ
真美「亜美!! 大丈夫!?」
亜美「うわーん、まこちんに蹴られたー!!」
真美「だいじょーぶそうだね」
亜美「ううっ、まこちんが本気で攻撃してくるならヤバいんじゃあ…」
真美「いや、今のでわかった! なんだかんだ言っても、まこちんはまだ手加減してる!」
真「………」
真美「スタンドカンケーなしにまこちんの蹴りはヤバいからね。痛いで済んでるのがキセキみたいなもんっしょ!」
真美「んっふっふ~、そうとわかれば!」ダッ
真「次は真美か…」
498:『スタートスターとスタートスター』その④:2012/12/18(火) 02:12:17.52 :hVEcGfaJo
真美「うおおおおおおお!」ダダダ
真「突っ込んでくるか…」
ヒュン!
真「!」
亜美「はっはー、引っかかった! 『ワープ』できんのにバカしょーじきに行くわけないっしょ!」
真美「WRY!」ヒュ
グォォォオオ
クル…
真「オラァ!!」
ガッシィ!!
真美「う…っ…!?」
真美(速い…そして、ためらいなく真美の腕を掴んできた…!)
真「確かに…思い切りやれば亜美を一発で『再起不能』させることもできたかもしれないな…」
真「だが、手加減とは違う。やらなかったのは、必要がないからだ」
ピキピキピキ
500:『スタートスターとスタートスター』その④:2012/12/18(火) 02:12:40.28 :hVEcGfaJo
真美「は、放れない…!」グイグイ
亜美「真美を放せー!」
ヒュン
真「おっ」パッ
亜美「捕まえたと思ったかな? けど、真美を捕まえても亜美がいる!」
亜美「まこちんでも亜美と真美を一度に捕まえるのは不可能!」
真「確かに、そうかもね」
亜美「よし、まだまだ行くぜ! 真美!」
真美「………」
亜美「…真美?」
真美「手が…」
亜美「?」
真美「真美の手が…カッチカチになってる…」
亜美「え…」
502:『スタートスターとスタートスター』その④/おわり:2012/12/18(火) 02:13:25.51 :hVEcGfaJo
真「腕の関節を『硬く』した。それだけなら、殴らずとも…触れるだけでいい」
真美「こ、これじゃ動かせない…」
真「無理に動かそうとしない方がいいよ、折れるかもしれない」
真美「う…」
真「まぁ、そうなればやよいに治してもらうだけだけどね」
亜美「よくも真美を…!」
真「壊す必要はない。触って『硬く』すれば…」
亜美「オラァ!」ヒュバッ
真「オラァ!!」ビュオッ
亜美「うわあっ!?」ヂリッ
バタン!!
亜美「あ、足が…」カチィン
真「戦闘不能! ボクの勝ちだ!」ドォーン
505:『スタートスターとスタートスター』その④/おまけ:2012/12/18(火) 02:16:22.82 :hVEcGfaJo
スタンド名:「ストレイング・マインド・チアリングレター」
本体:菊地 真
タイプ:近距離パワー型・装着
破壊力:A スピード:A 射程距離:なし 能力射程:D(5m)
持続力:C 精密動作性:B 成長性:D
能力:吹っ切れた真が発現させた「ストレイング・マインド」の別形態。進化した、というよりは伊織の「スモーキー・スリル」のように、形や使い方を変えたようなもの。
真は今までも一部だけにスタンドを出していることもあったが、あくまでも「全身の一部」という扱いであった。
「チアリングレター」は、全身を覆うスタンドを一部分のみに集中させることで、以前と比べて遥かに正確な動きができるようになり、部分的な強度も遥か上がった。
A:超スゴイ B:スゴイ C:人間並 D:ニガテ E:超ニガテ
本日分はこれで終了です。支援ありがとうございました。
540:『スタートスターとスタートスター』その⑤:2012/12/25(火) 00:01:10.11 :ztVWpZlOo
ゴゴゴゴゴ ゴゴゴゴ
真「ボクの勝ちだ。真美、亜美」
真美「ま…まだ終わってない…」
真「まだ、戦うつもりかい? その両腕じゃあ『スタートスター』で殴ることすらままならないと思うけど」
真「春香がそんなに怖いのか?」
真美「はるるんは関係ないよ。『アイ・ウォント』はスゴいけど、怖くはない」
真美「怖いのは、やるだけやったと、このまま諦めること…そんなん、全然楽しくない!」
真「よし! なら来い、真美!」ビシッ
フラ…
亜美「おっと…亜美を忘れてもらっちゃあ困りますな…」
真「!」
亜美「『硬く』されたのは『片足』だけ…まだ、亜美は戦える!」
真美「亜美と一緒なら…真美は無敵だ!」
542:『スタートスターとスタートスター』その⑤:2012/12/25(火) 00:01:43.37 :ztVWpZlOo
亜美「う…」グラッ
真「向かってくる気概は買いたいけど、片足じゃあ機動力はガタ落ちだ…」
真「ボクの『チアリングレター』と張り合えるとはとても思えないが」
ガシッ
真美「やってみなけりゃ…」
亜美「わかんない!」
グルン
真(真美を軸に回転運動!?)
真美「ウリャァ!!」バフォ
ヒュン
真美「真美が投げ…真美を亜美の『スタートスター』で『ワープ』! そして…」
パシッ
亜美「今度は、亜美が真美を投げる!」グオン
ヒュ パシッ
真美「さらに、真美の『スタートスター』で飛ばして、投げれば…!!」バッ!!
バヒュゥゥォン
亜美「亜美ロケット、喰らえッ!!」
544:『スタートスターとスタートスター』その⑤:2012/12/25(火) 00:04:20.74 :ztVWpZlOo
グォォォオオォ
真美「まこちん、こういう言葉を知ってるかな? 相手が勝ち誇ったとき…」
亜美「そいつはすでに敗北している!」
ドドドドドド
亜美「オラぁ!!」ヒュ
クルッ…
真「オラァ!!」スアッ
ガッ!!
亜美「ひっ!?」ガバァ
真「亜美自身には一見、勢いはあったが…肝心の『スタートスター』に勢いがないな」
真「相手の策がなくなったとわかれば、そりゃ勝ち誇るさ」グ…
亜美(あ、頭を掴まれ…)
真「さて、どうしようか」
真美「うっ」ドサァ
真美「ああああ…ああ…」ブルッ
真美「亜美…! や、やめて…」
真「別に…さっきの石みたいに頭を握りつぶそうなんて思ってないさ。安心していいよ」
546:『スタートスターとスタートスター』その⑤:2012/12/25(火) 00:05:20.21 :ztVWpZlOo
真美「は、放してよ…!」
真「信用ないな…そんなに怖がらなくてもいいじゃないか」スッ
亜美「うわっ!」ドサァ
真「放した」
真美「あ、亜美!」タタッ
真美「大丈夫、亜美…? よかったよ…」
亜美「う…」
真美「? 亜美…」
亜美「うわああああああああああああああ」
真美「あ、亜美!?」
亜美「まぶたがカッチカチに『硬く』なってるゥゥゥゥゥ開かないよォォォォ」バタバタ
真美「落ち着いて、亜美!」
548:『スタートスターとスタートスター』その⑤:2012/12/25(火) 00:05:40.60 :ztVWpZlOo
カツッ
亜美「ひっ…」ビクゥ
ゴゴゴゴゴゴ
真「亜美は今度こそ戦闘不能みたいだが…」
真「まだやるかい? やるのならいくらでも相手をするよ」
真「もっとも…もうネタギレだろう? もうボクに通用する策はないはずだ」
真美「ふ…ふふふ…」
真「?」
真美「あるんだな、それが…最後に残ったやつが…」グッ
真(手をつないだ…飛ばせる距離を伸ばすだけのはず、まだ何か…)
亜美「あっ、とっておきのやつだね…!」
真「な、なんだ…それは…」ジリ…
真美「それは…」 パッ ヒュン
亜美「逃げる」パッ ヒュヒュン
真「はっ!?」
550:『スタートスターとスタートスター』その⑤:2012/12/25(火) 00:06:23.70 :ztVWpZlOo
真「二人一緒に消えた…下か!」バッ
ォォォ…
真(いない…もっと下か…?)
ギギギギ
ヒュッ
ォォオォォ
バギャム!!
真美「!」
真「真美…」シュゥゥゥ…
真美「ほうほう、やっぱこっちに来たかぁ」
真「亜美はどこだ? 近くにいるんじゃあ…」
真美「んっふっふ…亜美はこっちにはいないよ~ん」
真「何?」
真美「『同時』に飛ばせば…上と下、両方に飛ばすこともできる…これがどういうことかわかるかな?」
真「な…」
真美「じゃ~ね~、バイビー」ヒュン
真「ば…馬鹿な…!」
552:『スタートスターとスタートスター』その⑤:2012/12/25(火) 00:07:00.82 :ztVWpZlOo
………
亜美「み…」
亜美「見えるッ、それに足も動く!」ピョン ピョン
亜美「そっか、射程距離! まこちんの『硬い』のはあんまし長くないんだね!」
亜美「真美も、『ワープ』すれば治るはず…!」
パッ
真美「おっ!? 腕が…」
亜美「真美!」
真美「亜美、亜美も治ったの?」
亜美「うん! これからどうする?」
真美「まずはここから逃げよっか、まこちんがすぐに追いかけてきそうだし」
亜美「おっけー!」
554:『スタートスターとスタートスター』その⑤:2012/12/25(火) 00:07:48.86 :ztVWpZlOo
ドス! ドス!
ヒョイッ
コォォォォ…
真「屋上にはいない…もう逃げたのか…!」
真「くそっ、下にいるべきだったか…いや、どの道…」
真(『逃げる』と言う点なら『ワープ』する能力、はっきり言って無敵だぞ…)
真「…考えていても仕方ない、まずは下に戻らなくては…」
………
真美「下まで来たけど…まこちんもすぐ来るよね」
亜美「外に出れば、大丈夫だよ! 早く行こう!」ダダダッ
ドギャァア!!
真美「うっ、今の音…」クルッ
亜美「真美、振り向いちゃダメだ! 前を向いて生きていこう!」
556:『スタートスターとスタートスター』その⑤:2012/12/25(火) 00:09:26.40 :ztVWpZlOo
ヒュン パッ
亜美「『ワープ』すれば、出入り口から外に出なくても…」
パキィィ
真美「ひっ…!?」
亜美「え、これは…」クルッ
ガギギギギガギ…
亜美「こ…こじ開けてる…」
ゴゴゴゴ ゴゴゴ
ズ…
亜美真美「「うわあああああああああああああああああ」」
ダダダダ
真「待て…!」ガシィ
亜美「待てと言われて待ったら警察はいらないんだYO!」
スゥ…
真美「はっ、亜美! 足下!」
亜美「えっ!? うわっ!」バッ
558:『スタートスターとスタートスター』その⑤:2012/12/25(火) 00:10:26.11 :ztVWpZlOo
モクモク…
伊織「ちっ…!」
伊織(まだ頭がフラつく…上手く操れない…)
亜美「あ、あっぶなー…いおりんがいたんだね…」
真美「フラフラだねー。まぁ、相手にしてるヒマもないし行くよ!」
伊織「待ちなさい…!」
真美「ふっ、待てと言われて待つ人なんてやよいっちくらいしかいないっしょー」
タタタタ
伊織「あいつら…」
真「伊織!」
伊織「真…」
真「目を覚まし…」
バギィッ
真「ぐえっ!?」
伊織「アンタ、何やってんのよ…!! この伊織ちゃんを気絶させるなんて、とんでもないことをしてくれたわね…!」
560:『スタートスターとスタートスター』その⑤:2012/12/25(火) 00:10:53.71 :ztVWpZlOo
真「い、伊織…今はそんなことを言ってる場合じゃ…」
伊織「わかってる。今のは仲直りの『握手』の代わりよ、あいつらを追いかけましょ」クルッ
真「あ、ああ…」
伊織「…あいつらを追いつめたの?」
真「うん、こうしてまんまと逃がしたけど…」
伊織「『ストレイング・マインド』の形が変わってるわね」
真「ああ、『チアリングレター』…これで、なんとか戦うことができた」
伊織「やればできるじゃない」
真「はは…そうだね」
伊織「…戦力外とか言って悪かったわ」ボソ…
真「え? 何?」
伊織「なんでもないわ! ほら、追いかけるわよ!」
真「なんなんだ…」
562:『スタートスターとスタートスター』その⑤:2012/12/25(火) 00:11:26.27 :ztVWpZlOo
ドドドドドドド
ドドド
ヒュン パッ
真美(速い…! 二人とも、真美達と同じくらいだ…!)
真(あの二人、『ワープ』しながら移動しているのか…)
亜美(いおりん、スタンドに乗ってる…あれいいなー)
伊織(真の『チアリングレター』…足にも装備できるのね…)
真「く…引き離されはしないが、距離が詰まらない!」
伊織「さっき捕まえられれば…いえ、言っても仕方ないわ」
真「このまま逃がすのもアリなのかもしれない…だが、『逃げるが勝ち』とは思わないが…逃げる相手に勝つこともできない」
真「逃がせば、『どうせ捕まらない』『いつだって逃げられる』と…心に余裕が生まれる! 現に、二人は平静を取り戻していた!」
伊織「そうなると、面倒なことになるわね…あいつらは挽回の意志と余裕を持って、何度でも襲ってくるわ」
564:『スタートスターとスタートスター』その⑤:2012/12/25(火) 00:12:40.96 :ztVWpZlOo
真美「はぁ、はぁ…」
ヒュン パッ
真美「この、走りながら『ワープ』するのって…凄い疲れる…」
真美「まこちんはそんなすぐ疲れないだろうし、いおりんともどもスタンドでの移動…いずれ追いつかれる!」
亜美「それならいい考えがありますぞ真美様」
真美「なんですかな? 言ってみなさい軍師亜美」
亜美「まず、二手に分かれるっしょ? そうすると一人ずつ着いてくるよね」
真美「うんうん…」
亜美「そしたら、片方に『ワープ』して…」
真美「二人とも片方に追いかけられるんじゃ?」
亜美「その後、また二手に分かれるんだよ。で、追われてる方はもう片方に『ワープ』すれば…」
真美「おお!? すげぇ、天才じゃん!」
亜美「んっふっふ~、まぁカンタンですな!」
真美「よし、そうと決まれば捕まらないようダッシュだ!」
566:『スタートスターとスタートスター』その⑤:2012/12/25(火) 00:13:35.41 :ztVWpZlOo
真「『スタートスター』の能力、どうやって捕まえる!?」
真「普通の人間相手なら、向こうの体力切れを狙うと言いたいが…恐らく、その前に…」
伊織「ええ、送る側が遠くにいれば事務所からあの廃ビルにまで飛ばせるあの射程…」
伊織「このまま追いつけなければ、すぐに見失うわ…」
真「何か方法はあるのか、伊織!」
伊織「それを今考えてる」
伊織「私の探査能力を使おうにも、あいつらの『ワープ』範囲は軽く『スモーキー・スリル』の射程距離を超えている…」
ダダダダ
伊織「ち…分岐点…! あいつら、二手に分かれるつもりね…!」
真「まずい…さっきのように、まんまと逃げる気だ…」
スゥ…
伊織(無理か…ギリギリ届いても、あいつらの足を止める『パワー』を出すには距離が足りない!)
568:『スタートスターとスタートスター』その⑤:2012/12/25(火) 00:14:31.96 :ztVWpZlOo
伊織「真! アンタの『チアリングレター』で私を投げなさい!」
真「駄目だ、『スモーキー・スリル』は捕獲に使うんだろ!? 追いつけはするだろうが、伊織の体が無事じゃ済まない!」
伊織「くっ…ここまで来て…!」
伊織(私を気絶させたから自業自得とは言え…)
伊織(コイツは一人であの二人と戦い、追いつめた…それを、みすみす逃がすなんて結末にはしたくない!)
ババッ
真「うっ、分かれたぞ…伊織!」
伊織(どうすれば…)
伊織(どうすれば、あいつらを捕まえられるのよ…!!)
ブオン
キュルキュル
真「…ん?」
伊織「こ…これは…」
570:『スタートスターとスタートスター』その⑤:2012/12/25(火) 00:15:32.20 :ztVWpZlOo
亜美(亜美はこっち、で…)ダッ
伊織「………」
ドドド ドド
亜美(いおりんが追ってきてる…さっきちょっと触られたけど…)
亜美(距離を詰めるためには『煙』を一カ所に集めなきゃダメっしょ! 触れてなければ!)
パッ
亜美「よしっ! 成功!」
真美「あっ、亜美!」
ダダダダ
真美「こっちはまこちんが追ってきてる、『ワープ』しないとぐんぐん差を詰められる、早く分かれよう!」
亜美「わかった!」ダダッ
バッ ババ
ヒュン
真「………」
ドドドドド
572:『スタートスターとスタートスター』その⑤:2012/12/25(火) 00:15:56.61 :ztVWpZlOo
パッ
真美「や…」
真美「やった、逃げ切ったよ、亜美…!」
亜美「油断するなー、まだ近くにいる。逃げ切るまでが遠足だ!」
真美「いやー、これもう撒いたも同然…」
キュルキュル
真美「あれ、なにこれ?」
亜美「えーと…なんだろ? どっかの国のスパイ衛生とか…?」
スゥーッ…
真美「え…!」グ…
真美「こ、これは…!?」
伊織「見つけたわ…!」
真美「い、いおりん!?」
574:『スタートスターとスタートスター』その⑤:2012/12/25(火) 00:16:26.27 :ztVWpZlOo
真美「なんで…置いてけぼりにしたはずなのに…!」
伊織「『スモーキー・スリル』!」モクモクモク
真美「うわっと!?」ヒュン
パッ
亜美「わーっ、捕まっちゃうよ真美!?(いおりんのスタンドは気体だから、スタンドだけ『ワープ』はさせられないし!)」
真美「は、走れ! 逃げるんだ!」
ダダダダ
真美「う…っ!」グッ
伊織「逃がさないわ…」
真美「亜美、真美のことは置いて逃げるんだ…!」
亜美「わ、わかった!」ダダッ
伊織「二人まとめては無理か…だけど、片方捕まえれば『ワープ』は…」
真美「WRYYYYYYY!!」シュバババ
ブワッ
伊織「!」
576:『スタートスターとスタートスター』その⑤:2012/12/25(火) 00:17:12.71 :ztVWpZlOo
ヒュン
真美「『煙』は散らせる…はるるんに聞いてた通りだ」
亜美「危なかったね、真美…」
真美「うん…だけど、なんで真美達がそこにいたのわかったんだろ…」
亜美「偶然だよ。この辺、分かれて迷路みたいになってるんだもん、ちゃんとした場所なんてわかりっこないよ」
?「と、そう思うだろう?」
亜美「は…」チラ…
真「違うね。キミ達のいるところはちゃんと把握してる」
真美「いーっ!?」
亜美「な…なんで亜美達の居場所がわかるの!?」
真「これさ…ボクも見たことはなかったんで、最初は驚いたが…」
キュルキュル
亜美「はっ! このカメラ…まさか…!」
579:『スタートスターとスタートスター』その⑤:2012/12/25(火) 00:18:11.80 :ztVWpZlOo
………
律子「『ロット・ア・ロット』」
律子「町中にカメラを仕掛けたわ。この監視網からは逃げられないわよ」
伊織『律子、助かったわ…アンタが協力してくれるなんて』
律子「今日は春香は出張でここらにはいないからね。堂々と使えるわ」
律子「貴音とやよいが来たのよ、なんとかできないかって。さっきまで見つからなかったということは、屋内で戦ってたみたいね」
伊織『そうなの…でかしたわ。やよい、貴音』
やよい「えへへ…貴音さんが、律子さんに協力を頼もうって言って…」
律子「ふふふ、ガキンチョどもが…この律子さんを出し抜こうなんて思わないことね…!」
やよい「あっ、律子さん悪い顔してます!」
伊織『って言うか「ロット・ア・ロット」…会話機能なんてついてたのね。前見たときはわからなかったわ』
律子「この前は使う意味なかったでしょう、あんた達に情報与えてもしょうがないし」
581:『スタートスターとスタートスター』その⑤:2012/12/25(火) 00:19:35.53 :ztVWpZlOo
………
律子『真美の方が「ワープ」したわ。その先の交差点を左に行って』
伊織「わかったわ」
伊織「ところで、貴音は? さっきから声が聞こえないけど」
律子『貴音なら…えーと…?』
伊織「?」
やよい『…あれ? さっきまで、いたんだけど…』
伊織(…いない?)
やよい『私、探して…』
伊織「いえ、いいわ。そこにいて、やよい」
やよい『う、うん…』
伊織(何か気になるけど…)
伊織(…貴音は大丈夫。何も心配することなんてない)
伊織(それより今は、あいつらを捕まえることが先よ)
583:『スタートスターとスタートスター』その⑤:2012/12/25(火) 00:20:20.79 :ztVWpZlOo
……
…
亜美「はぁ、はぁ…」
真美「ふぅ、ふぅ…」
亜美「そ…そんな…」
グァァア
真美「行き、止まり…」
伊織「律子の奴、妙な進路に決めてると思ったら…」ザッ
真「こういうわけか。これなら、もう逃げられないな」バァーン
伊織「そこらの家にワープしてもいいけど…『お茶の間にアイドル出現!』大騒ぎね」
亜美「う…」
亜美「ゆ、許してまこちん!」
真美「『スタンド』使いになって…はるるんにそそのかされて、ついその気になっちゃって…」
亜美「ここまでする気はなかったんだYO! だから!」
伊織「…どうする、真?」
真「…いいよ。降参するって言うなら、それ以上やるつもりはない」
585:『スタートスターとスタートスター』その⑤:2012/12/25(火) 00:21:48.97 :ztVWpZlOo
亜美「ククク…ゆだんしたな、今だ!」バッ
伊織「ちょっ…」
真「オラァ!!」ゴォッ
亜美「『一手』遅れたね、まこちん! そんなんじゃ甘いぜ!」
ヒュン
亜美「腕のスタンドを飛ばした! これで…」
ドギャァ!!
亜美「うっ… !?」
真「元から、こいつを使うつもりはなかった…飛ばしてくれたのなら、手間が省ける」
真「さっきまでは騙すような小細工にもこだわりを感じたものだが…こんな、人の良心につけ込むような真似をするとはね」
亜美「あ…」
真「覚悟しろよ、亜美…! いい加減プッツン来たぜボクも…!」ゴッ!
亜美「あああああああああああ」
真「オラオラオラオラオラオラオラ」ドォ ドバァ メキャ ガス
亜美「うげっ、がふっ!」ボゴァ
真「オラァッ!!」ドガァ!!
587:『スタートスターとスタートスター』その⑤:2012/12/25(火) 00:23:00.54 :ztVWpZlOo
亜美「うわぁぁぁぁああああ」ドサァ
ドッバァーン
真美「あ…亜美!」
伊織「ま…真…」
真「さて…」クルッ
真美「うっ!」
真「真美…真美にも、お仕置きが必要かな…」
真美「ご、ごめんなさい! ごめんなさい!」
真美「さっきも言ったけど…スタンド使いになって、ついちょーしに乗っちゃったんです!」
真美「亜美も、魔が差したんです! もうしません!」
真「うん。今度は心から謝ってるみたいだし…許すよ」
真美「ふぅ…」
真「でも一発!!」ゴンッ!!
真美「ぎゃーーっっ!!」
ドサッ
589:『スタートスターとスタートスター』その⑤/おわり:2012/12/25(火) 00:23:33.27 :ztVWpZlOo
真美「うわーん、謝ったのに! まこちんがぶったー!!」
亜美「うぅぅ…痛いよー、痛いよー」
伊織「や…」
伊織「やったわね…真、うん」
真「………」
伊織「真?」
真「いや…殴る必要はなかったよなぁ…」
伊織「は…いや、いい戒めじゃない。今回は流石に調子乗りすぎよこいつら」
真「亜美に関してもやりすぎだし…真美だって、謝ってたのに…」
伊織「そりゃ、あんなんやられたら怒るのも当然じゃない。あれで許すなんてどこの聖人かっての」
真「あぁ、こんなんじゃあ父さんの思う壷じゃないか…自分が情けない…」ショボン
伊織「あーもう、めんどくさい奴…!」
To Be Continued…
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http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1352727299
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と思わないでもなかったり