1:2013/09/22(日) 01:00:46.19 :xEuVa6MK0

【事務所・給湯室】 

やよい(え……?) 

小鳥『どうしてですか?あんなにいい子はそうそう居ないと思いますけど……』 

P『いえその……いい子なのは理解してるんです』 

P『でも、あれぐらいの年の子ってテンション高いというか、元気というか……』 

P『とにかく、俺にはついていけないんですよね……』 

小鳥『……プロデューサーさんでついていけなかったら私は何ですか?周回遅れですか?』 

P『い、いえっ!そんなつもりじゃ……』 

小鳥『まあいいです。何にしても、やよいちゃんを悲しませる事だけはしないでくださいね?』 

P『善処します……』 

小鳥『政治家みたいな事を言わない』 

P『す、すみません!』 

やよい(……私、プロデューサーから迷惑に思われてたんだ) 

やよい(どうしよう……あ、小鳥さんに訊いてみようかな)


2:2013/09/22(日) 01:01:38.04 :xEuVa6MK0

【事務所】 

P「じゃあ、営業に行ってきますね」 

小鳥「はい、行ってらっしゃい」 

バタン…… 

小鳥「さて、私も仕事しないと――」 

やよい「あの、小鳥さん!」 

小鳥「やよいちゃん?どうしたの?」 

やよい「ちょっと相談が……」


3:2013/09/22(日) 01:02:10.58 :xEuVa6MK0

小鳥「そう……あれ、聞こえちゃってたのね……」 

やよい「はい……それで、プロデューサーと仲良くなるにはどうしたらいいかなーって」 

小鳥(こんなにいい子を……あの人、本当に駄目ね……) 

やよい「何かいいアイデア、ありませんか?」 

小鳥「そうね……あ、そういえば」 

やよい「何ですか?」 

小鳥「プロデューサーさんは、『千早みたいな子がいいんだ』って言っていたわね」 

小鳥「何でも、あまり干渉してこないと気が楽なんだとか」 

やよい「じゃあ、千早さんみたいにすればいいって事ですか?」 

小鳥「多分ね。後は……そう。自分と好みが似てると落ち着くんですって」 

やよい「分かりました!早速やってみます!」 

小鳥「頑張ってね、応援してるわ」 

やよい「はいっ!」


4:2013/09/22(日) 01:03:42.83 :xEuVa6MK0

【プロデューサーが戻ってきた後、事務所】 

P「ふぅ……喉が渇いたな……」 

やよい「プロデューサー、コーヒーどうぞ」 

P「お、ありがとう。やよいが淹れてくれるなんて――」 

やよい「話しかけないでください」 

やよい(千早さんって、こんな感じだったかな……?) 

P「え?あ、ごめん……」 

P(ちょっと待って?何でこんな事になってるんだ?) 

P(話しかけないでって……じゃあコーヒー淹れてくれたのは一体……?) 

やよい(プロデューサー、黙っちゃいました……いや、黙らせたのは私ですけど……) 

やよい(これで合ってるのかなぁ……)


5:2013/09/22(日) 01:04:20.48 :xEuVa6MK0

P「…………」 

ズズッ…… 

やよい「…………」 

チビッ…… 

やよい(苦っ!え?コーヒーってこんなに苦いの!?) 

やよい(お砂糖とミルク――は、取りに行けない……) 

小鳥『自分と好みが似てると落ち着くんですって』 

やよい(うぅ……苦いよ……) 

P(やよいが物凄い顔でコーヒーを飲んでる……) 

P(もうなんか、般若のような顔で……) 

P(苦いのかな……?いや、それなら砂糖とか足せばいい話だし……) 

P(どうして足さないんだ……?) 

P(もしかして、俺に気を遣って……?だとしたら――)


6:2013/09/22(日) 01:05:02.02 :xEuVa6MK0

P「あ、あー……何だか今日は砂糖とミルクが――」 

やよい「喋らないでください」 

P「ごめん……」 

やよい(ごめんなさいプロデューサー……でも、気を遣わせる訳にはいかないんです……) 

やよい(仕事から帰ってきて疲れてるのに、私と話すのなんてしんどいですよね……) 

P(あ、やよいがこっち見た) 

P(嫌われてるような感じはしないな……やっぱり気を遣わせてるのかな?) 

P(自分だけ砂糖とかミルクを入れるのは悪いと思っているとか……?) 

スクッ 

P「…………」 

スタスタ……←給湯室へ


7:2013/09/22(日) 01:05:55.65 :xEuVa6MK0

P(砂糖とミルクは……あった) 

P(これをコーヒーに入れて……) 

スタスタ……ギシッ 

スッ……←砂糖とミルクをやよいの方へ 

P「ああ、たまにはカフェオレもいいなー」 

やよい「…………」 

ポチャポチャポチャ……ドボッ 

P(角砂糖三個にミルクどっさり……もはやカフェオレかどうかも怪しいな……) 

チビッ…… 

やよい(あ、美味しいです!) 

P(すっげぇ笑顔……まるでおたふくさんみたいな顔してる……よっぽど苦かったのか……)


8:2013/09/22(日) 01:06:34.48 :xEuVa6MK0

P「…………」 

やよい「…………」 

P(俺はいつまで黙っていればいいのだろう……) 

やよい(無言って、思ったよりも居心地悪いかもです……) 

やよい(確か、プロデューサーはテンション高いのが苦手って言ってました……) 

やよい(じゃあ、テンション下げて話しかけてみようかな……) 

やよい「あの、プロデューサー……」 

P「え?あ、何だ……?」 

やよい「ダルいです……」 

P「そ、そうなのか……それはその、お大事に?」 

P(いや、何これ?俺と一緒に居るのはダルいって事なの?) 

P(なのに何で一緒に居るの?もう訳分からん……) 

やよい(プロデューサー、あんまり喜んでくれてないです……) 

やよい(はっ!?ダルいって、よく考えたらそんなにいい言葉じゃなかったかも……!) 

やよい(うぅ……反省です……)


9:2013/09/22(日) 01:07:11.06 :xEuVa6MK0

やよい「あのっ!」 

P「うぇっ!?ど、どうした?」 

やよい「さっきの『ダルい』はなかった事に……」 

P「え?ああ、うん。それはよかった」 

やよい「…………」 

P「…………」 

やよい(会話が……) 

P(続かない……) 

やよい(ダルい以外で何か……こう、疲れてる感じで……) 

やよい「私、疲れちゃいました……」 

P「えぇっ!?」 

やよい(あ、驚いてます。これって手ごたえアリなのかな) 

P(疲れてる?やよいが?何に?) 

P(もしや人生に!?それは不味い!)


10:2013/09/22(日) 01:07:38.37 :xEuVa6MK0

P「やよい!今すぐ病院に行こう!」 

やよい「え!?何でですか!?」 

P「何でもだ!いいから早く準備を――」 

やよい「私、別にどこも悪くないですよ?」 

P「いや、身体のどこかというか……さっき、疲れてるって言っただろう?」 

やよい「あれは収録で疲れただけですけど……どうしましたか?」 

P「え?あ、そうなのか……すまん、取り乱した……」 

やよい「いえ……」


12:2013/09/22(日) 01:08:25.93 :xEuVa6MK0

やよい(私はどこも悪くないのに、病院に行こうって事は……) 

やよい(もしかして、プロデューサーが病院に行きたかったとか……?) 

やよい(私と一緒なのは、一人だと心細いからで……) 

やよい(そういえば、プロデューサーはブラックが好きでしたね……) 

やよい(どうしてあんなに苦いのが好きなんでしょう……甘い方が美味しいのに……) 

やよい(なのに苦いブラックが好き――ううん、苦いブラックしか飲めないとしたら……) 

やよい(まさか、プロデューサーは糖尿病!?大変!すぐ病院に行かないと!) 

やよい「プロデューサー!病院に行きましょう!」 

P「え!?何で!?」 

やよい「いいから早く!プロデューサーは病気なんですっ!」 

P「いや、俺は至って健康なんだけど……」 

やよい「糖尿病じゃないんですか!?」 

P「何で俺が糖尿病なんだ!?この歳でそんなのになってたまるか!」 

やよい「あぅ……ごめんなさい……」 

P「あ、ああ……すまん、俺も強く言いすぎたみたいだ……」


13:2013/09/22(日) 01:09:07.35 :xEuVa6MK0

P(しかし、どうしてやよいは俺の事を糖尿病だと思ったんだ……?) 

P(まさか、お父さんが糖尿病なのか……?) 

P「なあ、やよい」 

やよい「何ですか?」 

P「やよいのお父さん、元気か?」 

やよい「お父さんですか?元気ですよ」 

P「何ともないのか?」 

やよい「何が訊きたいのか分かりませんけど……普通に元気ですよ?」 

P「そ、そうか……」 

P(普通に元気……それを言葉通りに受け止めていいのだろうか……?) 

P(確かに、健康だから元気……という解釈もできるが……) 

P(逆に、糖尿病だけど普通に元気なように振る舞ってます……という風にも考えられる……) 

P(いや、家庭の事情に他人が踏み込むのはよくない……考えるのは止めにしよう)


14:2013/09/22(日) 01:11:30.42 :xEuVa6MK0

やよい(プロデューサー、何だか難しい顔してます……) 

やよい(やっぱり、私と居てもつまらないですよね……) 

やよい(どうにかして――あ) 

やよい(そういえば、前に貴音さんとラーメン食べに行った時……) 

―――――――――――――――――――― 
【回想】 

貴音「いいですか、やよい」 

貴音「人は、一から十まで教えられるだけでは……それを実行するだけでは駄目なのです」 

貴音「一を聞いて十を知る事……それこそが、真の知性と言うもの……」 

貴音「わたくしがらぁめんのすぅぷを一口飲んで、その材料を全て当てるように……」 

貴音「貴女も、そんな素晴らしい人間になるのですよ……」 

―――――――――――――――――――― 

やよい(貴音さんの言葉から分かるのは……) 

やよい(小鳥さんは、私にそういう事を求めていたんじゃないかな……って事) 

やよい(多分、千早さんみたいに振る舞うとか、好きな物を合わせるとか……大事なのは、そこじゃなくて) 

やよい(プロデューサーが本当にして欲しい事を、そこから考える事……) 

やよい(だから、私が本当にしないといけないのは――) 

やよい(仕事以外では誰にも構って欲しくない疲れきったサラリーマンの気持ちになりきる事!) 

やよい(私、プロデューサーみたいになります!)


15:2013/09/22(日) 01:13:34.39 :xEuVa6MK0

やよい(でも、プロデューサーってどんな事を考えてるんだろ?) 

やよい(今に対する不満?誰かの悪口とか……?ううん、悪口なんて駄目……) 

やよい(それでも、何か不満をぶつけるとしたら……) 

やよい「最近は不況で、ホントやんなっちゃいますよね」 

P「え?ああ、うん……そうだな……」 

P(不況!?やよいが不況って言ったの!?) 

P(いや待て、落ち着くんだ俺……もしかしたら、仕事のギャラに不満があったのかもしれないじゃないか) 

P(いや有り得ないけど……でも万が一って事もあるし……) 

P「あーその……もしあれだったら、もうちょっと割のいい仕事に絞っても……」 

やよい「でも、仕事を選ぶ余裕なんてありませんよね……部下が上司を選べないみたいに……」 

やよい(確か、ドラマのセリフでこんなのあったよね?) 

P「うん、その通りなんだけど……」 

P(何なの?この日々の仕事で疲れきったサラリーマンみたいなやよいは……) 

P(いや、もしや――中二病か!?患ってしまったのか!?) 

P(確かにやよいは中二だけども!そんなのからは一番遠い子だって思ってたのに……) 

P(しかし、誰もが通る道と思えば叱る事も憚られる……どうしたものか) 

やよい(あれ?プロデューサー、黙っちゃいました……) 

やよい(と思ったらこっち見てます……あの目は――) 

やよい(綺麗に咲いていた花が枯れていくのを見つめるような……そんな慈愛と憐憫が混ざり合ったような目をしてます……)


16:2013/09/22(日) 01:14:23.75 :xEuVa6MK0

やよい(でもでも、私はプロデューサーになりきらないと!) 

やよい(後は……お金が大事、とか言えばいいのかな……ドラマでもそんな事を言ってたし……) 

やよい「はぁ……」 

P「やよい?どうしたんだ?」 

やよい「いえ……この世は結局、お金が全てなんだなーって……」 

P「え」 

P(やよいってこんなキャラだっけ?違うよね?患ってるからだよね?) 

P「そんな事はなんじゃないかな……ほら、お金で買えないものとかたくさんあるしさ」 

やよい「それって何ですか?」 

やよい「寝ても一日で抜けきらない疲れが取れる方法とかですか?」 

P「やよいぃ!?一体どうしたんだ!?」 

やよい「たいむいずまねー……時は金なり、ですか」 

やよい「なんですか『なり』って。変な語尾つけないでください」 

P「違うから!『なり』は口癖とかじゃないから!」


17:2013/09/22(日) 01:15:20.15 :xEuVa6MK0

P「やよい、本当にどうしたんだ?今日は何だかおかしいぞ?」 

やよい「おかしい……ですか?」 

P「うん。お金が全てとか、いつもだったら言わないだろう?」 

やよい「そう……ですね。だって、違いますもんね……」 

P「え?」 

やよい「買えないもの……あります」 

P「あ、ああ。ほら、世界の平和とか――」 

やよい「そんなの要りません!私が欲しいのは、プロデューサーの笑顔なんです!」 

P「ど、どういう事だ……?」 

やよい「私、聞いたんです。プロデューサーが、私の事を『苦手だ』って言ってた事」 

やよい「でも、私はプロデューサーと仲良くしたくて……それで……」 

P「もしかして……今日のおかしなやよいは、俺に気を遣って……?」 

やよい「はい……でも、上手くいきませんでした。こんなだから、プロデューサーに嫌われるんです……」 

やよい「ごめんなさい……もう、話しかけたりしませんから……」 

やよい「だから、嫌わないでくださいっ……!」 

P「やよい……」


18:2013/09/22(日) 01:15:46.56 :xEuVa6MK0

P「ごめんな。仕事に追われるばっかりで、ちょっと疲れてたんだ」 

P「俺がやよいを嫌う事なんてないから、安心してくれ」 

やよい「本当……ですかぁ?」 

P「ああ、本当だ。辛い思いをさせて、すまなかった」 

P「普通は、俺が年下に合わせてあげるべきだったのにな……」 

P「なのに、年下の子に合わせて貰うなんて……プロデューサー失格だ」 

P「だけど、今回の事で目が覚めたよ。俺は、ちゃんとやよいに向き合う」 

P「だから……これで仲直りしよう――」 

P「うっうー!やよいちゃん!はい、たーっち!」 

やよい「……プロデューサー、気持ち悪いです」 

P「ごめん……」 


――END――


20:2013/09/22(日) 01:17:31.30 :xEuVa6MK0

以上で完結となります。お楽しみ頂ければ幸いです 

何と言うか、思いつきです。なので酷いです。申し訳ありません 
一応ギャグにしたかったような感じです。そんな感じでお願いします


元スレ
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1379779245