1:2013/08/05(月) 03:05:44.58 :RfEH51wk0

小鳥「どうしたんですか?」 

P「音無さん……いえ、今人気のアイドルグループの名前を、ちょっとド忘れしちゃいまして……」 

小鳥「へぇ? えーと、特徴とかは?」 

P「はい。えーと……女性アイドルの……確か3人組みで……」 

小鳥「ジュピター……は男性アイドルだし、竜宮小町とフェアリーはウチのユニットだし……」 

P「流石に、身内のユニット名を忘れたりはしませんよ」 

小鳥「そうですよね。じゃあ……最近だとCGプロのニュージェネレーションとか……」 

P「いや……それも違いますね……ってそうだ、思い出した!」 

小鳥「お、自己解決しましたか。それで、どのグループですか?」 

P「ええ、致ウ匹匹って名前です」 

小鳥「……え?」 


2:2013/08/05(月) 03:06:54.72 :RfEH51wk0

P「? 音無さん、どうかしました?」 

小鳥「いや……今プロデューサーさんの言った名前……」 

P「ああ、小鳥さんわかります?」 

小鳥「わかりませんよ! そんな変な名前のユニット!」 

P「え? 変かな……?」 

小鳥「というより……かなり発音し辛い名前ですし……少なくともメジャーなユニットの名前じゃないですよ、それ」 

P「え、でもかなり大きくメディアに取り上げられてた覚えが……」 

小鳥「そんな名前で大きく取り上げられたなら、逆に覚えちゃいそうですけど……」 


3:2013/08/05(月) 03:08:31.28 :RfEH51wk0

P「うーん……でも気になるな……ちょっと検索してみるか……」カタカタ 

小鳥「……どうですか?」 

P「……なんだこれ」 

小鳥「?」 

P「全然変換できない……というより、改めて字を思い浮かべて、おかしいことに気付きました……」 

小鳥「そ、そうでしょう!」 

P「本来の発音とは違うけど……無理やり変換すれば……よし、打ちこめた。では、検索をば……」カチッ 

小鳥「……なんか、文字化けしたようなページしか引っ掛かりませんでしたね……」 


4:2013/08/05(月) 03:09:59.62 :RfEH51wk0

P「あれー……おっかしいなー……」 

小鳥「プロデューサーさん……その、大丈夫ですか……?」 

P「ちょ、頭のおかしな人を見る目で見ないで下さいよ!」 

小鳥「す、すみません……ちょっとガチっぽかったので……」 

P「うーん……アングラバンドか何かの紹介をTVで見たのを、勘違いでもしたのかな……?」 

小鳥「……プロデューサーさん、少し休んだらどうです? 最近休み、なかったですし……」 

P「そこまで言われると、ちょっと心配になってきた……少しだけ、仮眠を取ることにします……」 


5:2013/08/05(月) 03:10:59.19 :RfEH51wk0

律子「ただいま戻りましたー……ってプロデューサー? どうしたんです?」 

P「律子、お帰り。ちょっと仮眠をね……」 

律子「ああ……最近休みなしでしたもんね。そういえば、どうなんです? 新ユニットの方は?」 

P「うん。そこそこってとこかな……ま、期限の五日後には、社長も交えてちゃんと話ができる手筈になっているから」 

律子「そうですか……竜宮小町やフェアリーに並べるモノになるか、期待してますからね!」 

P「ははは……頑張らせていただきます……」 


6:2013/08/05(月) 03:13:22.58 :RfEH51wk0

・仮眠室 


P「ふう……しかし、新ユニット……まだ迷ってる部分もあるんだよな……」 

P「(竜宮小町とプロジェクト・フェアリーは間違いなく成功した……他の子たちも、個人個人で活躍している……)」 

P「(だが……“それなり”の活躍だ。それではいけない)」 

P「(そこで、ユニットを作ってのブーストを図ろうかとの提言が出たのだが……)」 

P「(ほとんどの子は、それでいけるだろうけど……ソロで映える子もいるしなぁ……)」 

P「(特に千早だ……彼女自身、あまりユニットには乗り気ではなさそうだし……俺自身、ソロの方がいいんじゃないか? という考えもある……)」 

P「……いかん、どうにも考えが纏まらない……仮眠をとることにしたのは正解だったな……」 

P「タイマーをセットしてっと……おやすみなさいってね……」 


8:2013/08/05(月) 03:14:12.32 :RfEH51wk0

――俺はテレビを見ている。 

――テレビには3人のアイドルが映っている。 

――致ウ匹匹。輝ける少女たち。 

――観客は彼女たちに熱狂し、凄まじいまでの声援を送る。 

――彼女たちは最高のパフォーマンスでそれに応える。 

――そうだ……これこそが、最高のアイドルユニット…… 


9:2013/08/05(月) 03:15:07.36 :RfEH51wk0

--……ゴマエー ゴマエー ガンバッテ 

P「……時間、か……うーん!!」 

P「……夢……見たな……致ウ匹匹の……」 

P「ウチの……あの子達に……似ていたな……」 

P「……本当に……只の夢なのか……」 


10:2013/08/05(月) 03:16:03.01 :RfEH51wk0

・その日の夜 


小鳥「うーん……終わった……プロデューサーさんの方は、どうですか?」 

P「ええ、こっちもちょうど終わったところです」 

小鳥「おお、じゃあ……帰りにどうです? 一杯?」 

P「あ……すみません。新ユニットのことで、ちょっと調べたい事がありまして……」 

小鳥「そ、そうですか……」 

P「……あ、昼間のこと気にしてます? 大丈夫ですよ。ほどほどで切り上げて、しっかり休みますから」 

小鳥「はい……それじゃあ、お先に失礼します。戸締り、よろしくお願いしますね」 

P「はい、お疲れ様です。お気をつけてー」 


11:2013/08/05(月) 03:16:55.32 :RfEH51wk0

・資料室 


P「あれから調べてみたが……やはり、致ウ匹匹なるアイドルユニットは存在していない……」 

P「似た様な名前のアングラバンドはあったけど……違う、そもそも致ウ匹匹は正統派なアイドルユニットだ。」 

P「……過去の765プロの活動……765エンジェルスとしての全員ごった似の活動時の映像……」 

P「その中で、とある3人が一緒に歌っているものがあった……」 

P「似ている……すごく似ている……致ウ匹匹に……」 

P「……あの夢との類似点は、どうにも気になるが……」 

P「行けるんじゃないか? この3人なら……阿のユニットのように……」 


12:2013/08/05(月) 03:19:19.20 :RfEH51wk0

・5日後、会議室 


高木「ほう? 天海くん、高槻くん、如月くんの3人のユニットかね……」 

律子「へえ……意外ですね。てっきり、千早はこのままソロで行くのだと思ってましたけど」 

P「正直、俺も直前まで迷いました……しかし、765エンジェルス時代の資料でこの3人が一緒に歌ってるものを見つけて、確信を得る事が出来たんです」 

律子「ああ……あの企画かぁ……確かに、あの頃より皆の実力も上がってるし……いけるかも……」 

高木「うーむ……よし、わかった! それでいってみよう!」 

P「ありがとうございます!」 


13:2013/08/05(月) 03:20:19.62 :RfEH51wk0

P「と、言う訳で3人が新生ユニットとして決定した!」 

やよい「うっうー! 春香さん、千早さん、よろしくお願いします!」 

春香「えへへ……よろしくね。2人も!!」 

千早「ええ……よろしく頼むわね」 

P「(ふむ……もしかしたら、千早はごねるかもと思ったが……杞憂だったようだな。最近、この2人と仲良くなっていたのも大きいか……)」 

P「さて……3人とも、このユニットではリーダーは春香とする」 

春香「うう……緊張するな……」 

千早「でも、私もリーダーなら、春香が適任だと思うわ」 

P「……ま、まとめ役としてのリーダーは春香だが……いざステージに立つ場合は、誰が主役、というのは決まらなくなる」 

やよい「? どういうことですか?」 


14:2013/08/05(月) 03:22:10.17 :RfEH51wk0

P「曲調によって、歌の中心人物を入れ替えて行くんだ。3人の組み合わせはバランスの良さを重視しているが……見方を変えれば、皆バラバラの魅力を持っている主役級といえる」 

P「そうでありながら……これは過去の資料や、最近のレッスンから確認できたんだが、各人がサポートにも適しているんだ。3人が3人とも主役であり、立役者であるってことだな」 

春香「な、なるほどー」 

P「元々、このユニット企画はソロ活動での限界から、各人の人気ブースト……そしてそれに伴うよう、実力アップが狙い、という部分もあるしな」 

P「ソロ活動時よりも、求められる能力は大きくなるぞ……レッスンも厳しくなる。その辺は覚悟しておいてくれ!」 

春やよ千「「「はいっ!」」」 


15:2013/08/05(月) 03:24:49.91 :RfEH51wk0

やよい「そういえばなんですけど、このユニットってもう名前はあるんですか?」 

P「ああ……Song The Echoってのを考えてるけど……」 

千早「Song The Echo……こだま……いや、共感を歌う、ですか。いい名前ですね」 

春香「うーん……私としては、ちょっと硬い様な気もするけど……」 

P「……致ウ匹匹が、確かこんな意味だった筈なん陀……」ボソ 

やよい「? あの……どうかしましたか?」 

P「あ、いや……なんでもない。ユニット名に関してはまだ仮決めだから、他にいい候補があるなら変更も考えるぞ」 


16:2013/08/05(月) 03:26:31.19 :RfEH51wk0

・車にて移動中 


千早「そういえば、この車も随分古いですよね……」 

P「ははは……ま、まだ十分走れてるしね。……エンジンのかかりが、悪くなってきてるけど……」 

春香「私達が売れればさらに事務所に余裕が出来て、車も買い替えるかも! 新車ですよ、新車!」 

やよい「えー……でも、この子もまだまだ頑張れそうなのに……」 

P「まあ、新しいやつのほうが、イロイロ便利そうではあるかな。特に箕理フ捲テのなんかは……」 

千早「……すみません、今の……名前? は何ですか?」 

P「え、ああ、自動車メーカーの名前だよ」 

千早「……そんな名前のメーカー、ありましたっけ?」 

P「まあ、女の子には馴染み薄いかな。俺もそこまで詳しいわけ邪ないけどさ……」 

千早「はあ……? そういう……ものですかね?」 


17:2013/08/05(月) 03:28:14.10 :RfEH51wk0

・数ヵ月後 


小鳥「3人とも、お疲れ様!」 

やよい「うぅー……くたくたですー……」 

千早「大丈夫、高槻さん?」 

春香「結構、強行軍なスケジュールだったからね……嬉しい悲鳴ってやつだけど……」 

P「お疲れ様! 3人ともよく踏ん張ってくれた奈……フェスは大成功だ!」 

春香「プロデューサーさん! やりましたね!」 

P「うん! ……しかし、今回はちょっと笥まなかったな。どうしても、連続して仕事が入って死まって……」 

千早「まあ……仕方ない部分もあるんでしょうね。STE(Song The Echoの略)は今、乗りに乗ってる時ですし」 

小鳥「運営側としては、どうしても今この勢いを止めるわけにはいかないものね……」 

やよい「確かに疲れましたけど……すごく充実してました!!」 


18:2013/08/05(月) 03:29:47.39 :RfEH51wk0

P「まあ、これで何とか一息つける陀ろう……3人とも、2日だけだが完全オフに出来タからな」 

春香「正直ほっとしてます……。人気も出て嬉しいけれど、これ以上は倒れそうでしたから……」 

やよい「えへへ……家族のみんなとも、いっぱい過ごせます!」 

千早「プロデューサー……あなたは大丈夫なんですか? スケジュール調整、結構無理をしているのでは?」 

P「気遣ってクレ晃ありがとな……でも、心配はいら奈い。俺モ明日は休みを取るしな」 

春香「戦士の休息ってやつですね! では、リーダーから各員に伝達! しっかり休んで、次のお仕事に備えるよーに!」 

やよい「おー!」 

千早「ふふ……おー!」 


19:2013/08/05(月) 03:34:02.00 :RfEH51wk0

小鳥「ふふ……しかし、STEがここまでブレイクするとは……既に竜宮小町やフェアリーに匹敵……いや、もうすぐ越えんばかりですね!」 

P「ええ……そう出スね……」 

小鳥「この調子ならIA大賞ノミネートも夢じゃないかも!」 

P「ええ……葬奈ンです……彼女らの人気は……実力は……こン奈もの邪ナ異……」フラッ 

小鳥「ちょ……プロデューサーさん! 大丈夫ですか!?」 

P「すみません……やっぱり俺も疲れが溜まって瑠みたいです……」 

小鳥「……明日は、しっかり休んでくださいね」 

P「ええ……そう死磨す……あ、そうだ。資料室の資料、持って帰ッテもいい出すか?」 

小鳥「もう! 言った傍から……しっかり休んでくださいよ!」 

P「はは……はイ……そうします」 


20:2013/08/05(月) 03:41:19.36 :RfEH51wk0

・P自宅 


P「大ブレイクしたSTE……単純な目新しさだけに留まらず、デビューから着実に人気を伸ばしていった……」 

P「……春香達も必死に特訓を死、ポテンシャルはどんどん上がッていった……」 

P「このまま……音無サンが言った通璃、IA大賞ノミネートも夢じゃない……」 

P「だが違う! こんなモノ邪ない! 彼女らは……彼女ラの人気ト実力は……!!」 

P「……ぐ……いかん、な……夢に……引っ張られている……のか……?」 

P「……でも……どうしても、忘れられない……致ウ匹匹……」 

P「俺の感じている……この違和感は……何なんだ……?」 

P「……本当に疲れているのかな……もう……寝るか……」 


21:2013/08/05(月) 03:43:46.79 :RfEH51wk0

――俺は、彼女らの活躍を見ている。 

――ショートカットにリボンの少女。 

――短いツインテールの少女。 

――ロングヘアーの少女。 

――アイドルユニット、致ウ匹匹。 

――日本中を席巻する、最高のアイドルユニット 

――その傍らに、一人の男がいる。 


22:2013/08/05(月) 03:47:49.52 :RfEH51wk0

――その男と目があった。 

――そいつは、俺だった。 

――いや、違う。俺じゃない。でも。俺だ。 


――……ああ、そうか、そうだったのか。わかったぞ。 

――やっと、見つける事が出来た。 


23:2013/08/05(月) 03:51:25.02 :RfEH51wk0

千早「……いいのかしら、勝手に訪ねて……」 

春香「いいじゃない、戦士の休息はプロデューサーさんにも当てはまります! 私達で労うのも、悪くないと思うよ?」 

やよい「うっうー! みんなで楽しくすごしましょー!」 

春香「プロデューサーさん、ほとんど自由な時間がなかったみたいで、カップラーメンばっか食べてたし……手料理をふるまうってのも、オツなものじゃない?」 

千早「……まあ……2人がそこまでいうなら……」 


24:2013/08/05(月) 03:52:21.88 :RfEH51wk0

春香「こんにちは、プロデューサーさん、いますか~?」ピンポーン 

やよい「……返事がありませんねぇ」 

千早「寝てるか、出かけてるんじゃないかしら……って、あら?」キィ 

やよい「はわ!? ドアがあいちゃいました!」 

春香「プロデューサーさん、鍵閉め忘れかな? 不用心な……」 


25:2013/08/05(月) 03:57:40.54 :RfEH51wk0

千早「……? ちょっと……お邪魔しようかしら……?」 

春香「え!? ちょ……流石に勝手に上がるのは……」 

やよい「そ、そうですよー」 

千早「……そうなんだけど……ごめん、どうしても気になるの!」 

春香「ちょ、千早ちゃん! 入って行っちゃった……」 

やよい「ま、待ってください! 千早さん!」 


26:2013/08/05(月) 04:02:41.35 :RfEH51wk0

やよい「もう、千早さん、勝手に上がりこんだらめっですよ!?」 

春香「プロデューサーさんは、いないみたいね……出かけたのかな?」 

千早「……やよい、お願いがあるのだけど……プロデューサーに電話をかけて、今どこにいるか聞いてみてくれない?」 

やよい「う? わ、わかりましたー」 


春香「……千早ちゃん? どうしたの……?」 

千早「……見て、春香……ベッドの上に……こんなものが……」 

春香「……!? な……なに……これ……!?」 


やよい「うー? おかけになった電話番号はって……なんで……?」 


28:2013/08/05(月) 04:06:41.46 :RfEH51wk0




小鳥「春香ちゃん達がプロデューサーさんの部屋を訪ねてから数カ月……」 

小鳥「皆、プロデューサーさんが失踪したショックからなんとか持ち直して……アイドル活動を続けています」 

小鳥「引き継ぎとか、急だったから大変だったんですからね、もう!」 

小鳥「……結局、プロデューサーさんがどこに行ったかはわからないままですね……」 

小鳥「財布とか、通帳とか、全部部屋に残ったままですし……」 

小鳥「手がかりになりそうなものは、ベッドの上に残された、変てこなメモのみ……」 

小鳥「漢字とカタカナがめちゃくちゃに書いてあって、とても読めるようなものじゃなかったですけど……あれ、どういう意味なんですか?」 

小鳥「かろうじて……見つけた、行かなくちゃ、って書いてあるらしいのは、わかったんですけど……」 

小鳥「とにもかくにも、早く帰ってきてください、プロデューサーさん……」 

小鳥「……誰もいない机に向かって話しかけてる、私の気持ちにもなってください……」


29:2013/08/05(月) 04:07:57.58 :RfEH51wk0

・??? 


――泡涬ヲツヤ獷タナ清タ従ズ蕕タゾミ株ッ官 

――槧獷フイユ狐ヨヨ戮ウロ棊ヤ椀爵ウ匹繃イ 

――椅ホオイ軟ヒ簀蹐ク纐カチ任ウヤ攴嵜アト 

――致ウ匹匹 



                  ・終・ 


30:2013/08/05(月) 04:09:48.42 :RfEH51wk0

というわけで、終わりです。 
読んでくさった方々、ありがとうございました。 


途中のコメントでもありましたが、元ネタは「異次元にいった話のコピペ」(?)の内の一つです。



55:2013/08/06(火) 12:22:08.37 :AMSUo7O/0

最後の一文は、別段暗号とかじゃなく、適当な文字を当てはめて書いてあります。 

イメージとしては「帰って行った」プロデューサーが向こうの世界で「致ウ匹匹最高や! 彼女らプロデュース出来てホントに幸せや!」みたいな台詞を言っている……ってことです。 

分かりにくい表現で、すみませんでした。


元スレ
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1375639544