■○年後の伊織シリーズ
P「五年後の伊織」伊織「ちょっと一人でなに言ってるの!?」
P「六年後の伊織」伊織「なに一人で言ってんのよ!?」
P「七年後の伊織」伊織「一人でなに言ってんの!?」
1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/05 00:44:15 :pTrS1R0l0

P「おはよう、いおりん」 

伊織「いおりんってどんな呼び方よ!」 

P「はは、ごめんごめん」 

伊織「もう、朝からふざけてんじゃないわよ」 

P「ごめんってば、伊織姫」 

伊織「キィー、なんなのよ!」 

伊織は去年俺と結婚したそれと同時にアイドルを引退し 
まぎれもなくトップアイドルだったその座を 
あっさり捨ててしまうことになった


2:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/05 00:45:03 :pTrS1R0l0

今日は俺たちが結婚して初めて迎える伊織の誕生日だ 
ディナーの予約はしてあったが 
伊織は、気持ちは嬉しいけど 
これからお金がかかると思うから 
贅沢はやめておきましょ 
そう言って断ってしまった 

せっかくだからなにかサプライズをしたい 
そう思って伊織のためにプレゼントを買ったが 
どのタイミングで渡すかはまだ決めていなった 

P「なあ今日、時間あるしどっか行かないか?」 

伊織「いいわよ、どこへ行くの?」 

P「そうだなー、伊織はどっか行きたい所ないの?」 

伊織「喫茶店とかいいわね」 

P「よし、じゃあ行こうか」 

俺と伊織はのんびり仕度をして、家を出た


3:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/05 00:46:27 :pTrS1R0l0

伊織「えっ?車で行くの?」 

P「ああ、たまにはいいだろ」 

伊織「だっていつものとこ行くなら歩いて行った方がいいじゃない」 

P「いつものとこじゃなくて別のとこにしようと思ってさ」 

伊織「そうなの、まあ任せるわ」 

P「はい、任されたよ」 

車内での会話は特に記憶に残るものでもなかった 
そんな気の抜けた会話をしているうちに目指していた場所についた


7:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/05 00:49:37 :pTrS1R0l0

P「さあ、ついたぞ」 

伊織「お疲れさま、どうしてここにしたの?」 

P「ここな、オレンジジュースが美味しいんだって」 

伊織「へー、そうなの楽しみね」 

さっそく俺たちは店の中に入ると 
この小さい店は老夫婦が営んでいるようだ 

P「伊織は何頼む?」 

伊織「私はオレンジジュース」 

P「俺も同じやつにしよう」 

伊織「あれ?あんたオレンジジュース嫌いでしょ?」 

P「まあな、でも今日くらい伊織と同じもの頼もうかと思ってさ」 

注文してまもなくオレンジジュースがきた


9:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/05 00:55:16 :pTrS1R0l0

P「どう?おいしい?」 

伊織「うん、すごくおいしいわこれ!」 

P「そっか、よかった」 

ご機嫌で伊織はジュースを飲んでいた 

今日は周りにはほかのお客さんはいないようだ 
人の目もないので 
俺はここでプレゼントを渡すことにした 

P「伊織、誕生日おめでとう」 

伊織「んっ…、あ、ありがと」 

P「それで、これプレゼント」 

伊織「開けてもいい?」 

P「もちろん」 

ちゃんと気に入ってくれるかな? 
実際伊織はやさしいから気に入ってなくても 
そんな素振り全く見せないだろうけど…


12:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/05 01:03:56 :pTrS1R0l0

伊織「これって万年筆よね!」 

P「あ、ああ、気に入らなかったかな?」 

伊織「そんなことないわ、すごくうれしいわよ!」 

にひひっ、伊織はそう笑って大切そうに万年筆を握りしめていた 

P「万年筆ってさ、大事に手入れすれば 
 伊織がおばあちゃんになっても使えるんだ」 

伊織「そうなの?」 

伊織はそんな気の向けた返事をしつつ 
俺のあげた万年筆を隅々まで見るように眺めていた 

P「ああ、しかも使っているうちに自分の癖に合わせて 
 書きごごちも変わってくる」 

伊織「生きてるみたいね」 

P「うん、だからずっと大事に使ってくれたら嬉しいよ」 

すると伊織は、すっと万年筆から目を離し 
じっと俺の目を見て、力強く言った 

伊織「大事にするわ、絶対」


14:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/05 01:07:44 :pTrS1R0l0

そのあと伊織は鼻歌まじりに紙に絵や文字を書いていた 

もしかしたら万年筆なんて 
爺くさいと思われるかもしれないと考えていたが 
そんな事いらない心配みたいだった 

そろそろ日が暮れてきたので家に帰ることにした 
家に帰ると夕飯の準備を二人でして 
出来上がるとすぐに二人で食べ始めた 

P「おいしいよ、伊織って料理うまいよな」 

伊織「当たり前でしょ私を誰だと思ってるの?」 

そんなこと言って少し誇らしげに胸をはる 
本当においしい料理だけど、 

俺がこんなこと言うのは 
この時の伊織の誇らしげな顔を見るのが好きだからだ 

食事を終え片付け終わり二人で 
リビングでくつろいでいたら伊織が口を開いた


15:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/05 01:18:32 :pTrS1R0l0

伊織「今日は、プレゼントありがとね」 

P「いや、気に入ってくれたならよかったよ」 

伊織「私ね物心がついてから初めてプレゼント貰ったわ」 

P「えっ?」 

伊織「私の家では、誕生日には好きなものを買ってくれていたの」 

P「いいじゃないか」 

伊織「ううん、全然」 

P「なんで?」 

伊織「あくまでそのプレゼントは自分で選んだものでしょ 
    
   それって自分がお金を持っていたら買いたいもので 
   プレゼントをくれるパパやママの 
   あげたいものではないじゃない?」


16:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/05 01:19:10 :pTrS1R0l0

P「うん、まあな」 

伊織「くれる人の気持ちがこもってるプレゼントって初めてだから 
   その気持ちがすごくうれしいの 
    
   いくらお金を貰おうと 
   こんなうれしい気持ちにはならないと思う 
    
   私の一番好きな人が私のために悩んで 
   時間を割いて選んでくれたプレゼントだから特にね…」 

そんな歯の浮くようなセリフを 
大好きな優しい笑顔で言われると 
思わず顔が熱くなってしまう 

P「ど、どういたしまして…」 

伊織「にひひっ」 

こんな風に俺たちは何十年先も一緒にいられるのかな… 
気がつくと俺はそんな遠い未来を夢見ていた 

終わり


元スレ
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