1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 21:45:25.95 :Q0ttBowT0

P「いやぁ、お互い大変ですよね」 

モバP「はは、全くです。今日までうち以上のブラックなんてないって思ってましたよ」 

P「私もですよ。ところで、ここはよく利用されるんですか」 

モバP「まさか。月に一度の贅沢ですよ」 

P「おや」 

モバP「……そちらも、でしょう?」 

P「……」 

モバP&P「はははははははははは」 

P「今夜はとことん飲みましょう!」 

モバP「ええ、では乾杯!」 

P「乾杯!」


2:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 21:46:22.91 :Q0ttBowT0

 一方、某事務所 



春香「千早ちゃん、そろそろ帰ろうよ。もう五時だよー」 

千早「……」 

貴音「では、わたくし達はそろそろお暇致します」 

響「次は明日……は予定ないから、明後日だぞ! 春香、千早!」 

春香「う、うん。またね、貴音さん、響ちゃん」 

千早「……」 

ハム蔵「ヂュヂュ」 

響「ははは、確かに!」 

春香「?」 

響「ハム蔵が、『最近千早の雰囲気がいぬ美に似てきた』って! その通りだと思うぞ」 

千早「……」


3:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 21:46:41.73 :Q0ttBowT0

春香「ほら、千早ちゃん。皆帰ったし、私達も」 

千早「春香」 

春香「? なぁに、千早ちゃん」 

千早「今、17時2分」 

春香「うん」 

千早「おかしいわ」 

春香「何が……かな。わ、分かんない。分かんないよ千早ちゃん」 

千早「普段なら、何があっても一度報告に戻るプロデューサーが帰ってこない」 

春香「千早ちゃん」 

千早「胸騒ぎがするわ」 

春香「帰ろう?」 

千早「悪いけれど、先に帰っていてもらえるかしら」


7:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 21:47:38.59 :Q0ttBowT0

春香「千早ちゃん、別にプロデューサーさんは戦場の最前線へ偵察に向かった訳じゃないんだよ」 

千早「音無さん、プロデューサーから何か連絡は」 

小鳥「特にないけど、大丈夫だと思うわよ? 今日は午後から――」 

千早「モバマスプロダクションとの打ち合わせですよね」 

春香「なんで知ってるの」 

千早「午後から向かって今まで……明らかに時間が掛かってる」 

小鳥「今度のコラボライブはかなり大掛かりなものになりそうだから、恐らくそれで」 

千早「私、帰りにちょっと様子を見てきます」 

春香「千早ちゃん、場所分かるの?!」 

千早「分からないわ。だから不安なのよ」 

春香「千早ちゃん!?」 

小鳥「……行っちゃったわね」 

春香(いつからだろう……千早ちゃんのブレーキがたまに故障するようになっちゃったのは)


10:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 21:49:16.96 :Q0ttBowT0

千早「……」クンクン 

千早(良かった。匂いはまだうっすら残ってる) 

千早(雨でも降ってたら匂いで追えなくなるところだった)クンクン 

千早「……こっちね」 

千早(待ってて、プロデューサー!!) 



 一方、某事務所 


凛「離して!! プロデューサーが!!」 

ちひろ「きらりちゃん、絶対離しちゃ駄目よ! 落ち着いて凛ちゃん! ただの打ち合わせよ!」 

きらり「にょわー! 落ち着くんだにぃ!」 

凛「さっきからプロデューサーの声が聞こえなくなった!!」 

ちひろ「えっ」 

凛「プロデューサーが……! 離して! 離せ、離せえええええええええええ!!」 

きらり「にょわわわわわー☆」


12:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 21:50:41.34 :Q0ttBowT0

ちひろ「き、きらりちゃんの羽交い絞めから抜けたッ?!」 

凛「プロデューサー!!」 

きらり「おほしさまが見えるにょわわわ~ん☆」 

ちひろ「きらりちゃん! 大丈夫?! しっかり!」 



 ―― 

凛(プロデューサー、やっぱりいない! さっきの足音はやっぱりプロデューサー) 

凛(匂いが玄関に続いてる……知らない男の人の匂いも一緒だ) 

凛(打ち合わせならここで出来るはず、どうして外へ) 

凛「……」 

凛(分からない。とりあえず追うしかない) 

凛(待ってて、プロデューサー!!)


14:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 21:52:58.95 :Q0ttBowT0

P「すみませーん! 生中二つ追加でー!」 

モバP「あ、この砂肝の唐揚げ? も、一つお願いします」 

店員「ありやとやっしたー! 生中2! 砂肝1入りまーす!」 

P「……いやぁ、それにしても」 

モバP「はい」 

P「どこも苦労するポイントって、一緒なんですね」 

モバP「そうですねぇ。まぁ、個性で売る訳ですから」 

P「違いない」 

モバP「喧嘩なんか毎日ですよ。年齢の上下なんて気にやしない」 

P「ははっ、うちもそうですよ。下の子らの小競り合いなら微笑ましいんですけどね」 

モバP「ありますあります」 

P「年齢的に一番難しい時期じゃないですか。翌日以降まで引きずる子もいたり」 

モバP「分かります分かります」 

店員「生中と砂肝でーっす」


16:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 21:54:34.98 :Q0ttBowT0

 店外 


千早「……」 

千早(なんだ、飲みにきてただけなのね) 

千早(対面にいるのがモバマスプロダクションのプロデューサーかしら) 

千早(はぁ、良かった。心配して損したわ) 


凛「……」 

凛(なんだ、飲みにいっただけか) 

凛(おおかた向こう側にいるのが相手プロダクションのプロデューサーかな) 

凛(例のコラボライブの……765プロだっけ) 

凛(飲みに行くなら一言声を掛けてから行けば良いのに) 

凛(にしても) 


千早(声……雑音が多すぎて流石に店の外からじゃ聞き取りにくいわね) 

凛(何話してるんだろう)


17:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 21:57:18.48 :Q0ttBowT0

千早(仕事の打ち合わせにしてはやたら楽しそう) 

凛(場所を移したって事は、仕事の話じゃない、のかな) 

千早(どうしよう、ここ居酒屋よね) 

凛(お酌しに……いや) 

千早(恐らくプロデューサー同士、男同士でしか話せない事で盛り上がってるはず) 

凛(そこにアイドルで女の私が入るのは――) 

千早&凛(無粋) 

千早(ひとまず安心出来た事だし、ここは大人しく帰るのが利口ね)クルッ 

凛(随分飲んでるようだし、ここは大人しく――)スタスタ 

千早「……」ピタッ 

凛「……」ピタッ 

千早(あの飲みよう……普段よりかなり多いような) 

凛(そういえば、明日から三日くらい皆の予定がかなり控え目だったよね。もしかすると) 

千早(プロデューサーの)クルッ 

凛(休日)クルッ


18:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 21:58:37.45 :Q0ttBowT0

千早(最近のプロデューサー、全く休んでなかったから心配してたけど) 

凛(ついに休みが取れたんだ。良かった) 

千早(あ、またお酒が運ばれてきた) 

凛(……ちょっと飲み過ぎじゃないかな) 

千早(これは帰り道が心配ね) 

凛(仕方ない) 

千早(出てくるまで待ちましょう) 

凛(出てくるまで待つか) 

千早「ん」チラッ 

凛「ん」チラッ 

千早(この人、どこかで……何かの雑誌で見た覚えが) 

凛(この人、テレビで見たような)


20:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 21:59:42.05 :Q0ttBowT0

千早(気のせいかしら) 

凛(気のせいだよね) 

千早「……」ペコリ 

凛「……」ペコリ 

千早(今はそんな事はどうでも良いわ) 

凛(ずっと待ってる間、何もしないのもあれだし) 

千早(どうにかして会話の内容を探れないかしら) 

凛「……」 

千早「……」 

凛(お客さんの出入りのとき、一瞬扉が空く。その瞬間なら声が耳に届くはず) 

千早(唇の動きから読めないかしら)


21:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 22:02:18.29 :Q0ttBowT0

 ガララッ 

店員「ありやとやっしたー」 

お客A「ふー、次どこ行く?」 

お客B「良い店知ってるんですよ! それが――」 

凛「……」 

 ――がははははは あはははは 

 ――んときあいつなんて言っ  思う?! 

 ――手羽先二つはいり 

 ――ってお前、 いたか?! あいつそんとき 

 ――『へぇ、そうなんですか。うちの千早もですよ』 

 ――『どこも同じですね。うちの――』 

 ――ありが  っしたー!! 

 ピシャ 

凛「……千、早?」


23:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 22:04:29.53 :Q0ttBowT0

P「――。――――――、――――」 

モバP「――!! ――、――――――」 

千早「た、し、か、に……そ? う、で、す、ね」 


P「――――――――、――?」 

モバP「――、――」 

千早「う、ち、の、り、ん。うちの凛? どこかで……あっ」 

凛「……あ」 


千早「あ、あの」 

凛「……はい」 

千早「渋谷、凛さん?」 

凛「もしかして、如月千早さん?」


25:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 22:06:16.78 :Q0ttBowT0

 ―― 

千早「なるほど、渋谷さんも」 

凛「如月さんも苦労してますね」 

千早「ふふっ、お互いもう少し年を取っていれば、店に入って色々話したかったですね」 

凛「はい、機会があれ――」 

 ガラララッ 

店員「ありやとやっしたー!」 

お客(なんだこの子ら、居酒屋の前で) 

 ――『ちの凛も同じ感じなん』 

 ――『千早もあれで』 

 ――あははははは! 

 ――三つはいりまーす!! 

 ――すみませーん! 

 ピシャ


28:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 22:07:59.04 :Q0ttBowT0

千早「……今」 

凛「はい、はっきりと」 

千早「私と、渋谷さんの話題のようですね」 

凛「きっ、聞きたい! 凄く」 

千早「くっ、なんとかして中の―― 

 ガラララッ 

店員「ありやとやっしたー! またどうぞー!!」 




P「……」 

モバP「……」 

千早「……」 

凛「……」


31:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 22:10:17.66 :Q0ttBowT0

千早「……」 

凛「……」 

P「そっちから見えるって事は、こっちからも見えてるって考えなかったのか?」 

モバP「見えてないふりするの凄く大変だったんだぞ」 

P「というより、なんでここにいるんだ」 

モバP「お互いの担当アイドル二人が窓の外で尻尾振ってるところを発見した俺達の気持ちが分かるか……?」 

千早「……」 

凛「……」 

千早「ご、ごめんなさい」 

凛「悪かったよ。でも」 

千早「一切連絡を入れず、帰ってこないプロデューサーにも原因はあると思います!」 

凛「出掛けるなら行先くらい言っていくべきだよ」 

P「まぁ、それに関しては」 

モバP「……悪かったよ。とりあえず一度事務所に戻ろう、な?」


32:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 22:12:02.18 :Q0ttBowT0

千早「はい。それと、明日の予定ですが――」 

P「ああ、それはあちらに話してくれ」 

千早「……えっ」 

モバP「初めまして、如月千早さん。モバマスプロダクションプロデューサー、モバPです」 

P「コラボライブの日程が具体的に決まってな。丁度二か月後になる」 

モバP「それまで色々準備はあるけど、とりあえず相手側の事務所に所属してるアイドル達の特徴が分からない事には、コラボ企画もお粗末なものになると思った訳だ」 

P「だから、支障が出ない程度に……三日くらいお互いの仕事を引き継ぎあってみようって事になった」 

千早「……」 

凛「……」 

P「だから明日から三日間だけ、俺はモバマスプロダクションに」 

モバP「私は765プロダクションにお世話になる」 

P「千早、皆のフォローを頼めるか」 

モバP「凛、色々支障は出るだろうが、お前が中心になって皆を――」


33:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 22:12:47.36 :Q0ttBowT0

千早「お断りします」 

凛「嫌だよ」 

P「えっ」 

モバP「えっ」 

千早「モバPさん、初めまして。如月千早と言います」 

凛「Pさん、初めまして、渋谷凛です」 

千早「明後日から三日間、そちらのプロダクションの方に移籍させて頂きます」 

凛「宜しくお願いします」 


P&モバP「……」スッ 

 ppp ――prrr prrr prrr 

P「春香ァァー!!」 

モバP「卯月ィィー!!」 


    「「はやくきてくれぇー!!」」 


 END


元スレ
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1371991525