■貴音「貴女様?!」 P「面妖な……」シリーズ
貴音「貴女様?!」 P「面妖な……」①
貴音「貴女様?!」 P「面妖な……」②
貴音「貴女様……」 P「面妖な……デュオ!」①
貴音「貴女様……」 P「面妖な……デュオ!」②


329:◆on5CJtpVEE:2012/12/18(火) 23:25:51.95 :SHDRKCdJo

千早「ぷ、プロデューサー?」 P「まぁ、なんでも、いいですけれど」 


はーじまーるよー 


330:◆on5CJtpVEE:2012/12/18(火) 23:26:41.39 :SHDRKCdJo

千早「……」ボー 

P「あー、お腹空いたなぁ」ビューティーボイス 

千早「お弁当、食べます?」 

P「食べちゃうか。俺の弁当取ってー」 

(ゴソゴソ) 

千早「はい、プロデューサー」スッ 

P「さんきゅさんきゅ。うん、やっぱりこういう弁当ってワクワクするなぁ」 

千早「私は、そういうのはよく分かりません」 

P「その内分かる日が来るよ。大丈夫大丈夫」ナデナデ 

千早「や、やめてください!」 

P「えー、今は女の子同士なのに……」 

千早「周囲の視線が痛いんです!」 



(ガタンゴトン…ガタンゴトン…)


331:◆on5CJtpVEE:2012/12/18(火) 23:33:06.00 :SHDRKCdJo

P「あんまり騒ぐと、アイドル千早だってバレちゃうぞ」 

千早「プロデューサーもばれますよ」 

P「うん、やっぱり電車と言ったらお弁当!」パカッ 

千早「逃げましたね。それは?」 

P「まっくのうち! まっくのうち!」デンプシーロォール!! 

千早「絵に描いたようにスタンダードな幕の内ですね」パカッ 

P「千早は?」ヒョコッ 

千早「30品目バランス弁当です」 

P「安定してるなー」 

千早「こういう機会でもないと、あまり色々食べないので」 

P「千早、今度俺の家に来なさい。一人が心配なら誰か連れてきてもいいから」 

千早「えっ?」 

P「食べさせてあげるから……お腹いっぱい、栄養のあるもの食べさせてあげるから……!」


332:◆on5CJtpVEE:2012/12/18(火) 23:41:09.56 :SHDRKCdJo

千早「それで、今回のスケジュールは?」 

P「着いたら先方と打ち合わせ。それから軽く下見をして、その後は今日はフリーだよ」 

千早「随分と緩いお仕事ですね」 

P「打ち合わせと言っても大したことはやらないし、下見なんてただの観光みたいなものだよ」 

千早「緩いとかいうレベルじゃないですね」 

P「ま、社長も今回の仕事は息抜き気分で、って言ってたし……食事代も宿泊代も向こう持ちだしね」 

千早「なんだかただの旅行みたいですね」 

P「あはは。折角の旅行なのに俺なんかとで悪いな。誰か共演者でもいればよかったんだけど」 

千早「……いなくてよかったです」ボソッ 

P「ん? なんか言った?」 

千早「何でもありません」シレッ


333:◆on5CJtpVEE:2012/12/18(火) 23:47:20.28 :SHDRKCdJo

(オワスレモノノナイヨウニ-) 


P「着いた着いたー……っておぉっ! 早速ほのかに硫黄の香りが!」 

千早「国内でも有数の温泉地ですからね」 

P「はー……なんだか仕事でって言うのが本当に申し訳なってくるな」 

千早「仕事は仕事ですから。浮かれすぎないようにしないと」 

P「千早が歌以外もやる気出してくれるようになったのは嬉しいんだけど、もうちょっとなぁー」 

千早「……でも、少しくらい羽目を外しても、罰は当たりませんよ、ね?」ニコッ 

P「千早……」 

千早「さ、行きましょう、プロデューサー」 

P「ああ、うん。まずは宿に行かないとなー」 



P(この調子なら) 

千早(大丈夫そう、かしら?)


334:◆on5CJtpVEE:2012/12/18(火) 23:51:49.05 :SHDRKCdJo

~P回想!~ 


P「は? 千早と温泉に?」ダンディーボイス 

社長「うむ。撮影が早朝だから、泊まりで行ってもらうことになる」 

P「俺が夜中に車出せばいいじゃないですか」 

律子「経費は全額向こう持ちだし、幸いプロデューサー殿の仕事もその前後は少ないです。これくらいなら、事務所残留組でカバーできますよ」 

社長「最近、如月君の疲れが溜まっているようだからね。息抜きになれば、と思ったのだが」 

P「あー、CDの収録で根詰めてましたからねー。確かに少しリフレッシュさせた方が良さそうです」 

小鳥「何も、サボってください、というわけではないですから。千早ちゃんのこと、上手くフォローしてあげてください!」 

P「分かりましたよ。いない間ご不便おかけするかもしれませんが、お守り役、承りました」 

社長「頼んだよ、君ィ!」


337:◆on5CJtpVEE:2012/12/19(水) 00:00:32.59 :KVaASnK3o

~千早回想!~ 


千早「え? プロデューサーと温泉に?」クールボイス 

社長「うむ。撮影が早朝だから、泊まりで行ってもらうことになる」 

千早「始発では間に合いませんか? それにプロデューサーにわざわざ来ていただかなくても……」 

律子「プロデューサー殿のためでもあるのよ」 

千早「プロデューサーの?」 

律子「あの人、全部抱え込んでやり切っちゃうのはいいんだけど、自分のこと省みないから……こっちとしてはいつ倒れるかハラハラしてるのよ」 

小鳥「言っても休んでくれないですしね」 

千早「確かに……休んでる間も暇潰しとか言いながらアイディア練ってそうですね」 

社長「というわけで、仕事という大義名分を使って、温泉地をエンジョイしてもらおうというわけだ。同行、頼めるかね?」 

千早「はい、私などでよろしければ……」


338:◆on5CJtpVEE:2012/12/19(水) 00:07:29.88 :KVaASnK3o

~回想ここまで!~ 


~そしてその頃、事務所では~ 



律子「あの二人、ちゃんとやれてるかしら……」 

小鳥「だ、大丈夫だと思いますよ! ……多分」 

社長「はっはっは、まぁ楽しんできてもらおうじゃないか!」 

律子「……互いに相手を休ませようとして空回りしないかしら。特に千早」 

小鳥「う、それを言われると……」 

社長「だ、大丈夫、だと思いたいのだがね」 

律子「変なことがないといいですけれど……」 

小鳥「……」ズズッ 

小鳥「……プロデューサーさん、女の子になっちゃってたりして」 

律子「……多分、大丈夫、でしょう」


339:◆on5CJtpVEE:2012/12/19(水) 00:11:14.47 :KVaASnK3o

prrrrrrr 


社長「おや、噂をすれば彼から電話だよ」 

小鳥「時間的には、丁度着く頃ですね」 

律子「到着連絡かしら」 

(ピッ) 

社長「もしもし、私だが」 

社長「……ん!? あ、あぁ。なんでもない。頑張りたまえよ! それでは」 

(ピッ) 

律子「……まさか」 

社長「……受話器の向こうから、麗しい声だ」 

小鳥「……楽しんでくれるといいんですけど」


340:◆on5CJtpVEE:2012/12/19(水) 00:17:30.26 :KVaASnK3o

P「ンン?」ピッ 

千早「どうしました?」 

P「いや、電話に出るなり社長が変な声を……」 

千早「亜美達に悪戯でもされたんでしょうか」 

P「さー。謎は永遠に謎のままだ」 

千早「でも、思っていたより綺麗な宿ですね」 

P「言っちゃ悪いけど、向こう持ちで泊めてくれる宿なんて、あまり期待してなかったんだけど」 

千早「小さいですけど、風情があっていいですね」 

P「よし、千早がこっちで、俺が向こうの部屋だな」 

千早「一人で使うと思うと、ちょっと広すぎますね」 

P「有名アイドル如月千早には小さすぎるくらいだ」 

千早「やめてください。怒りますよ」 

P「ぜーんぜん怒りそうには見えないんだよなぁ」


341:◆on5CJtpVEE:2012/12/19(水) 00:24:05.06 :KVaASnK3o

千早「プロデューサー、随分と荷物が多いんですね」 

P「俺は二人分だからな……」 

千早「二人分?」 

P「明日になれば、俺は……」 

千早「なるほど」 

P「はぁ……めんどくさいでござる……」コワイロダンディーボイス 

千早「仕方ないですよ。そこは割り切って、楽しみましょう」 

P「楽しむって仕事をか?」 

千早「あ、いえ……」 


P(なんだよ千早め、意外と温泉に乗り気じゃないか) 

千早(プロデューサーに気付かれてないかしら……)


342:◆on5CJtpVEE:2012/12/19(水) 00:31:39.60 :KVaASnK3o

P「ええと、会議室で打ち合わせか」 

千早「担当の方は……」 


D「あらン、また会ったわネ、代理ちゃん♪」 

P「」 

千早「プロデューサー、起きてください」ユサユサ 

P「あっ……ど、どうも!」 

D「悩殺しちゃってごめんなさいネ? でも、アナタにはそういう興味はないの」 

P(どういう人になら興味があるんですかね……) 

千早「それで、今回の収録なんですが」 

D「あ、そうネ。簡単な内容だし、さらっとやっちゃいましょう」ウフン


343:◆on5CJtpVEE:2012/12/19(水) 00:37:17.94 :KVaASnK3o

――――― 

―――― 

――― 


P「本当にさらっと終わったな」 

千早「30分もかかりませんでしたね」 

P「大丈夫なのか……」 

千早「まぁ朝の情報番組ですから」 

P「まだ15時かぁ。夕食まで大分あるぞ」 

千早「下見行きますか?」 

P「そうだねぇ。貰ったマップを元に行ってみますか」 

千早「ちょっと準備してきますね。ロビーで待ち合わせで」 

P「はいはーい」


347:◆on5CJtpVEE:2012/12/19(水) 00:46:01.91 :KVaASnK3o

P「さて、順番的には」 

P「お店回ってー、足湯に浸かってー、辺りを散策してー」 

P「小一時間ってところかな」 

P「あとは観光地だし、少しぶらついてみるか」 


「お待たせしました」 


P「あ、千早来たの……って……」 

千早「?」 

P「ハーフアップね……可愛さと色っぽさを両立してる……」 

千早「や、やめてください!」 

P「それに、縁の太い眼鏡だと大分印象変わるね」 

千早「律子が選んでくれたんです」


350:◆on5CJtpVEE:2012/12/19(水) 00:50:43.61 :KVaASnK3o

P「まずどこに行くかな……」 

千早「はい。下見的には、まず……」ペラッ 

P「丁度いい時間だし、温泉まんじゅうでも食べようか」 

千早「あ、いいですね」 

P「いくつかお店があるけど……」 

千早「有名なところは午前中で売切れちゃうみたいです」 

P「まじか。そりゃすごいな」 

千早「事務所へのお土産は、明日の朝の方がよさそうですね」 

P「そうだなー。じゃ、温泉街珍道中の旅、行きますか!」 

千早「はいっ!」


351:◆on5CJtpVEE:2012/12/19(水) 00:56:18.63 :KVaASnK3o

P「ん~、いいな、この硫黄の香り」 

千早「温泉街に来た、って気になりますね」 

P「なんだかテンション上がってくるなー」 

千早「ふふ、上がりすぎて疲れない様に気を付けてくださいね」 

P「? 今日の千早はなんだか優しいね」 

千早「普段の私、そんなに怖いですか」 

P「いや、怖いというわけでは……」 

千早「あっ、あそこに温泉まんじゅうありますよ」 

P「如月隊員、突撃だ!!」ダダダッ 

千早「あっ! ま、待ってください、プロデューサー!」


352:◆on5CJtpVEE:2012/12/19(水) 01:02:54.58 :KVaASnK3o

老婆「いらっしゃいませ」 

P「すいませーん、つぶあん、こしあん、胡麻を二つずつ」 

老婆「はい、どうぞ」 

千早「プロデューサー、いきなり走らないでください……」 

P「あはは、ごめんごめん。はい、お饅頭」 

千早「ありがとうございます……わっ、ほかほか」 

P「おおう、このこしあん……」 

千早「濁りのない舌触りが、饅頭の中に溶け込むように……」 

老婆「ほほ、まるでテレビみたいなことを言うねぇ」 

千早「あっ、いえっ、その……」 

P「なんだか偉そうにすみません」 

老婆「いやいや。美味しそうに食べてくれてありがとうね。これも持ってお行き」


353:◆on5CJtpVEE:2012/12/19(水) 01:08:10.20 :KVaASnK3o

P「流れで温泉卵まで貰ってしまった……」 

千早「……」ハムハム 

P「そして一心不乱に咀嚼する千早」 

千早「へ、変な解説を入れないでください」ゴクン 

P「だけど、温泉卵に温泉まんじゅう……いよいよもって温泉地満喫してるなぁ」 

千早「この調子で、足湯も入ってみますか?」 

P「いいねいいね。よぉし、お姉さん御御足晒しちゃうぞー」 

千早「すぐそこにありますよ。幸い、人も他には二、三人しか」 

P「ほんとだ。それじゃあ、ちょいと失礼して……」マクリマクリ 

千早「…………」ジーッ 

P「? どうしたの?」 

千早「いえ……足が、綺麗だな、って思って……」 

P「何言ってるの。自分もそんな綺麗な足しておいて」 

千早「まじまじと見ないでください」 

P「なんかなーもうちょっと恥じらいとか期待してたのになー、なんでそんな真顔なの」


354:◆on5CJtpVEE:2012/12/19(水) 01:15:09.61 :KVaASnK3o

(チャポッ) 

P「わっ、ぬくい!」 

千早「あ……これ、暖かくて気持ちいい……」ホウッ 

P「足元から、じんわりと……」 

千早「……少し、眠くなっちゃいますね」 

(トッ) 

P「千早?」 

千早「すみません……少し、肩を貸してください」 

P「いいけど」 

千早「……」 

P「寝ないでよ?」 

千早「寝ませんよ」


355:◆on5CJtpVEE:2012/12/19(水) 01:21:50.86 :KVaASnK3o

P「でも、こんな風に寄りかかられると」 

千早「?」 

P「足元はお湯でぽかぽか、上も人肌でぽかぽか」 

千早「服着てるじゃないですか」 

P「眠くなるね……」 

千早「でもプロデューサー」 

P「ん?」 

千早「なんだかんだで今の気温一桁ですからね」 

P「酷いよねぇ、この眠いのに寝かせてくれない悪魔の気温」 

千早「プロデューサー、寝相良くないですから寝たら湯の中に落ちますよ」 

P「え、千早の前で寝たことあったっけ?」 

千早「プロデューサーの寝相の話は、事務所内では有名ですよ?」 

P「待って、俺のいないとこで何が起きてるんだ」


356:◆on5CJtpVEE:2012/12/19(水) 01:26:51.90 :KVaASnK3o

P「さて、足湯から逃げよう……」チャポンッ 

千早「このままだと出れなくなりますからね」チャポッ 

P「あ」 

千早「?」 

P「タオル、持ってくるの忘れた……」 

千早「あ」 

P「お前もか」 

千早「……うっかりしてました」 

P「どうしようかなぁ……ハンカチで拭くしかないかな……」 

千早「ちょっと、気が進みませんけれど……」 


「ん? タオルがねぇのか?」 


P「げっ?! こ、この声って……」オソルオソル


357:◆on5CJtpVEE:2012/12/19(水) 01:33:56.02 :KVaASnK3o

千早「あなたは……」 

冬馬「だだだ誰でもねぇよ! 芸能人でもなんでもねぇ!!」 

千早(なんて嘘が下手な……) 

P(ってか俺らに気付いてないのか。変装と髪切ったお蔭か……) 

冬馬「ったく……温泉来たならタオルくらい持ってろよ……ほら、これ使え」ポイッ 

P「あ、ありがと……」 

冬馬「あっ、そろそろ時間じゃねーか! おい北斗、翔太ンとこ行くぞ!」ジャバッ 

北斗「分かったよ。そう急かさないで」 

P(コイツらだったとは……最近見なくて安心してたが、身の振り方、気を付けないとなぁ) 


北斗「エンジェルちゃん、冬馬が抜けてて命拾いしたね。チャオ☆」 

P「バレてんじゃねーか」


358:◆on5CJtpVEE:2012/12/19(水) 01:38:47.20 :KVaASnK3o

P「はー、焦った……」フゥ 

千早「彼らも何かの収録でしょうか」 

P「さぁねー。もう会わないといいな……」 

千早「そう祈りましょう」 

P「まぁでもタオルが助かったのは事実だし、今度お礼でもしてやるか……」 

千早「どうします? もう少し歩きますか?」 

P「そうだね。観光地だけあって、色々ありそうだ」 

千早「明日の収録、フリー散策もありますからね」 

P「あぁ、店の目星くらいは付けた方がいいかな」 

千早「うろうろしながら、何軒か入ってみましょうか」 

P「そうしよう。それじゃ、あっちの方から行くかー」


359:◆on5CJtpVEE:2012/12/19(水) 01:48:50.12 :KVaASnK3o

~土産屋~ 


P「ここは民芸品のお店かな」 

千早「色々ありますね。織物、漆器、湯呑、焼き物……」 

P「この辺りの土産って言うか、どこにでもあるTHE・土産というか」 

千早「でも、漆はちゃんとこの辺りの名産らしいですよ」スッ 

P「ん、それは髪飾り?」 

千早「そうみたいですね。あずささんとかには似合いそうです」 

P「"には"?」ヒョイッ 

千早「あっ」 

P「千早にも似合うと思うけどなぁ」スッ 

千早「あ……」 

P「うん、似合ってるよ。とっても美人さんだ」 

千早「ちゃ、茶化さないでください!」スッ 

P「あー……外しちゃった……」 

千早「何をそんなにガッカリしているんですか……」


360:◆on5CJtpVEE:2012/12/19(水) 01:52:29.04 :KVaASnK3o

~煎餅屋~ 


千早「また食べ物ですか?」 

P「だ、だって、美味しそうだから……」 

千早「はぁ……太っても知りませんよ」 

P「うぐっ」グサッ 

千早「この間、体重計に乗って溜息吐いてたそうじゃないですか」 

P「な、なぜそれを!」グサッ 

千早「四条さんに伺いました」 

P「……お姉様ぁ……」 

千早「えっ」 

P「なんでもありません。ところで千早」 

千早「はい」 

P「なんやかんや言いながらその手に持っているのはなんだ」 

千早「海苔煎餅と胡麻煎餅以外に何に見えるんですか?」ヤレヤレ 

P「千早のドヤ顔は珍しいなー」


361:◆on5CJtpVEE:2012/12/19(水) 02:00:06.26 :KVaASnK3o

~観光センター~ 


千早「温泉スタンプラリー?」 

P「フリーパス買って10か所回ってくると記念品がもらえるのか」 

千早「ちょっと面白そうですね」 

P「パスはちょうど二日間ね。……あっ、私達の宿もリストに入ってる」 

千早「"私"?」 

P「あー、そろそろ時間的に……」 

千早「女心化ですね」 


説明しよう! 

女心化とは、初登場以来ほとんど名称が出てきていないレア呼び名である! 

よーするに時間と共に段々心も女性化が進んでいくことである! 

もちろん命名は如月千早である!! 


千早「……このスタンプラリー、やってみません?」 

P「いいけど……千早、こういうの好きだったっけ?」 

千早「い、いえ! なんとなく……そう、なんとなくです!」 

P「まぁいっか。明日は結構時間余りそうだし。すいませーん、このパスを……」


362:◆on5CJtpVEE:2012/12/19(水) 02:07:23.65 :KVaASnK3o

~宿に戻って!~ 


P「ふぅ。ま、下見はこんなものかな」 

千早「食事までは……まだ二時間くらいありますね」 

P「確か、夕食は18時半からだったかな」 

千早「あ、春香から着信が来てる……ちょっと電話してきます」 

P「はーい。じゃあ私は温泉入ってこようかな」 

千早「そうですか。では、また後ほど」 

P「はいはーい。もし外出するならメール入れといてね」 

千早「分かりました」


363:◆on5CJtpVEE:2012/12/19(水) 02:11:16.60 :KVaASnK3o

P「ゆかーたゆかた♪ ゆかゆかた♪」 

P「サイズは……寝る時に男性用着ればいいか」 

P「じゃあ、今は女性用を……」シュルシュルキュッキュ 

P「……うん、ぴったりぴったり」 

P「……」カガミヲミナガラ 

P「うっうー!」ポーズッ 

P「……」 

P「にひひっ♪」ポーズッ 

P「……」 

P「温泉入ろ……」


364:◆on5CJtpVEE:2012/12/19(水) 02:17:42.47 :KVaASnK3o

P「この宿、今回のスタッフで貸切なんだよねぇ」パタパタ 

P「女性宿泊客は私達だけかぁ」テクテク 

P「ラッキーというかなんというか……」 


←男湯  女湯→ 


P「…………」 

P「男湯入って他のスタッフ来ちゃったら大問題だよな……」 

P「ま、言ってあるから大丈夫でしょ」 


<<オンナユニログインシマシタ>>


366:◆on5CJtpVEE:2012/12/19(水) 02:20:15.07 :KVaASnK3o

千早「……ええ、それで、さっきまで下見をしていたの。そしたらジュピターに会ってしまって……」 

千早「え? お土産? 勿論考えてるわよ。でも春香、そういうのは自分から言うものじゃないわ」 

千早「はいはい、分かってます。それじゃ、またね」 

(ピッ) 

千早「ふぅ。さて、どうしようかしら」 

千早「……」 

千早「時間が勿体ないし、私も温泉入りましょうか」 

千早「男湯との壁って薄いのかしら……」 

千早「プロデューサーとお話しとか……」 

千早「……何考えてるの、私」 

千早「えっと、浴衣浴衣……」シュルシュルキュッ 

千早「……」カガミヲミナガラ 

千早「……くっ」


367:◆on5CJtpVEE:2012/12/19(水) 02:22:11.35 :KVaASnK3o

千早「確か浴場はこっちの方に……」パタパタ 

千早「あ、あったわ」テクテク 


←男湯  女湯→ 


千早「汗を流して、さっぱりしないと」 

千早「温泉は……随分久しぶりね」 


<<オンナユニログインシマシタ>>


372:◆on5CJtpVEE:2012/12/19(水) 04:03:19.65 :KVaASnK3o

P「流石に広々してるぅ!」タオルマキマキ 

P「髪も洗ったし、身体も洗ったし……」 

P「突撃ーーーっ!!!!」 

(ジャッバァン!) 

P「あー……なんだか貸切風呂みたいで気分いいなぁ……窓からの眺めもいいし……」 

P「他の人いたらこんなにはしゃげないし」 

P「あーもうタオルも外して思いっきり伸びちゃおっかなぁ」 

P「んー……それに泉質もいい。つるつるして、濁ってて……」 

P「そしてこの……硫黄の香り……」ホウッ 

P「安らぐなぁ……」ボーッ


373:◆on5CJtpVEE:2012/12/19(水) 04:07:49.93 :KVaASnK3o

千早「……あら、他にもお客さんがいるのね」 

千早「これまで他に女性客は見なかったから、貸切かと期待してたのに」 

千早「まぁ、仕方ないわね。プロデューサーを呼んでみるのは……迷惑そうだしやめておきましょう」シュルシュル 

千早「タオルを巻いて……」スルスル 

千早「……」ペタン 

千早「……くっ」 

千早「……入りますか……」 



(カラカラッ)


375:◆on5CJtpVEE:2012/12/19(水) 04:14:32.14 :KVaASnK3o

(カラカラッ) 


P「えっ!? ほ、他にお客さんが!?」 

千早「あら? 聞いたことのある声が……」 


P「……」 

千早「……」 


P「えっ」 

千早「えっ」 

P千早「「……」」 


P「あの、さっき、私入るってちゃんとお伝えしたよね……?!」 

千早(そういえば……プロデューサー、今は男湯に入れないじゃない……)


377:◆on5CJtpVEE:2012/12/19(水) 04:21:47.30 :KVaASnK3o

P「あの、千早、さん?」 

千早「……あっ、はい!」 

P「えっと、その」 

千早「な、何か……?」 

P「……私いるんですけど、その、いいのかな?」 

千早「へ……」 

千早「……」 


千早「!?!?!?!?!」


378:◆on5CJtpVEE:2012/12/19(水) 04:24:48.12 :KVaASnK3o

千早(落ち着いて、如月千早。冷静に状況を分析するの) 

千早(温泉に入りに来ていて、湯船にはプロデューサー) 

千早(私はタオルを一枚巻いた状態) 

千早(つまり……) 


千早「プロデューサーに入浴姿を見られているんですね」 

P「そういうことになるね」 


千早「」ドサッ 

P「千早ぁーーーっ!!!」 



千早「……」カチッ


380:◆on5CJtpVEE:2012/12/19(水) 04:29:53.56 :KVaASnK3o

P「えっ、ちょっと!」ザバァッタタタッ 

P「だ、大丈夫!? 頭は打ってない?!」 

千早「……プロデューサー……」 

P「大丈夫!? 意識はしっかりしてる?」 

千早「私は、大丈夫です。ちゃんと受け身を取りましたから」 

P「よ、良かった……ほら、お風呂から出」 

千早「じゃあ一緒に入りましょう、温泉」 

P「うん! すぐに出るかr……は?」 

千早「考えてみたら、プロデューサーは女性です。何も恥じる必要はないんです」 

P「え、いや、でも冷静に考えt」 

千早「女性です!!!!!!!」ガッ 

P「はいっ!!!!」


384:◆on5CJtpVEE:2012/12/19(水) 04:32:56.79 :KVaASnK3o

(カポーン) 


P「浴室内には私達しかいないのにどこから音がしてるんだろう……」 

P(でもそれよりも、なんで千早と二人でお風呂入ってるんだろう) 

千早「いい湯ですね。つるつるしてて、身体の疲れが絞り出されていくようで……」 

P「う、うん……いい湯、ね……」 

千早「プロデューサー、どうしてそんなに離れているんですか?」 

(ズイィッ) 

P「あわわっ?!」 

千早「確かに広いお風呂ですし、狭く縮こまっている必要もない気はしますけど」 

P「そういう以前の話で! あのその!」 

千早「ふふっ。プロデューサー、なんだか変です」 

P(言ってやりたい。変なのはお前の頭だって言ってやりたい) 


千早「…………」


385:◆on5CJtpVEE:2012/12/19(水) 04:38:45.22 :KVaASnK3o

千早「別に、自棄になったり、変になったりしてるわけではないです」 

P「エスパーか」 

(チャポン) 

千早「その……吹っ切れたと、いうか……」ブクブク 

P「吹っ切れた?」 

千早「っ! いえっ、あのそのっ、深い意味があるわけじゃ!」アセアセ 

P「落ち着きなって」 

千早「えっと、その……プロデューサーと、こうして、同性として接してみたかったんです」 

P「お、女の子として?」 

千早「なんだか女性の時のプロデューサーって、魅力的ですから」 

P「最近、普段の私がディスられ過ぎてて……ちょっと自信失くすな……」ブクブク 

千早「あ、いえ! そういう意味ではなくて! 普段はちょっと意味合いが違うというか!」 

P「意味合い?」 

千早「~~~っ! な、なんでもいいじゃないですか!」プイッ 

P「えぇー……」


386:◆on5CJtpVEE :2012/12/19(水) 04:43:01.26 :KVaASnK3o

千早「プロデューサーのそういうところ、嫌いです」 

P「うぐっ、ご、ごめん……」 

千早「……」ジー 

P「え、な、なに? なんかまた悪いことしちゃった……?」 

千早「……」ペタペタ 

P「ん?」 

千早「……」モミモミ 

P「ひゃっ!? タオルの上から揉まない!」 

千早「…………くっ」 

P「千早!?」


387:◆on5CJtpVEE:2012/12/19(水) 04:45:46.48 :KVaASnK3o

千早「……出ます」ザバァ 

P「え、えっと、あの……」 

千早「お先に失礼します」ダッ 

P「あ、風呂場は気を付けないと……」 

千早「あっ!?」ツルッ 

P「千早!」 

(ベシャッ) 

千早「い、いたた……」 

P「大丈夫か、ちは……や……」 

千早「……? どうしました?」 

P「……」プイッ 

千早「プロデューサー?」 

P「……タオル」ボソッ 

千早「……?」チラッ 

千早「…………」 

千早「…………!!!」カァァァァサッ


388:◆on5CJtpVEE:2012/12/19(水) 04:49:11.20 :KVaASnK3o

千早「見ましたね」 

P「事故だったんだ」 

千早「見たんですね」 

P「ごめんなさい」 

千早「……これ以上この場にとどまっても、羞恥心以上に、敗北感に苛まれるので、失礼します」 

P「あ、じゃ、じゃあ私も出ようかな……」 

千早「3分待ってください」 

P「えっ」 

千早「同時に出たら……自分の心を守り切る自信がありません」 

P「あ、分かりました……」


389:◆on5CJtpVEE:2012/12/19(水) 04:54:24.48 :KVaASnK3o

(パサッ) 


P「ふぅ、い、いい湯だったね」 

千早「そうですね」 

P「……声に感情が籠ってないんだけど」 

千早「気のせいですよ」 

P「それならいいんだけど……」 


D「代理ちゃーん、ちょっといいかしらー?」 


P「はーい。今行きまーす」 

千早「私、部屋に戻ってますね」 

P「あ、う、うん」


391:◆on5CJtpVEE:2012/12/19(水) 05:00:10.16 :KVaASnK3o

(パタン) 


千早「…………」 

千早「私、何をしていたの……」 

千早「プロデューサーと二人で、お風呂……」 

千早「~~~~っ!!!」ジタバタ 

千早「……って」 

千早「ど、どんな顔して次会えばいいの……!」 

千早「私、何してるのかしら……!」 

千早「……」 

千早「しかも、プロデューサーに、見ら、れ…………」 

千早「……うぅ」カァァァァァアッ 

千早「……落ち着きなさい、如月千早。深呼吸して精神統一よ」


392:◆on5CJtpVEE:2012/12/19(水) 05:06:38.16 :KVaASnK3o

千早「すぅーっ……」 

(コンコン) 

P「千早ー」 

千早「ごほっ!!」 

P「ち、千早!?」 

千早「だ、大丈夫、ごほっ、です、ごほっ……ちょっと、呼吸が」 

P「は、入ってもいい?」 

千早「ええ、どうぞ」ゴホゴホ 

P「じゃあ、失礼します……」スゥゥゥ 

千早「……」 

P「ねぇ、なんで目を合わせてくれないの……」 

千早「知りませんっ!」カァッ


393:◆on5CJtpVEE:2012/12/19(水) 05:14:29.80 :KVaASnK3o

千早「それで、要件は」 

P「明日の収録は準備とか込みで、6時には動けるようにしておいてほしいって」 

千早「分かりました。2時間ほど早く起きればいいでしょうか」 

P「まぁ今回は衣装やメイクは特にないから任せるよ。じゃあ4時起きかな?」 

千早「ええ、そうします。……そろそろ、食事でしょうか」 

P「うん、そろそろかな。ところで」 

千早「なんでしょう?」 

P「そろそろ目を合わせてくれないかな」 

千早「……嫌です」プイッ 

P「ごめんなさい……本当にすみませんでした……」 

千早「……」 

P「千早様ぁ……」


394:◆on5CJtpVEE:2012/12/19(水) 05:20:49.94 :KVaASnK3o

千早「……じゃあ、あとで一つ、どんなお願いでも聞いてくれますか?」 

P「え゙っ」 

千早「ダメですか」 

P「で、できる範囲なら!」 

千早「……くすっ。それじゃあ、食事に行きましょうか」 

P「あ、千早! 騙したね!?」 

千早「さぁ、どうでしょう。折角のお料理が冷める前に行きましょう」 

P「ぐぬぬ……」


395:◆on5CJtpVEE:2012/12/19(水) 05:27:19.40 :KVaASnK3o

千早「他のスタッフの方たちと一緒ですか?」 

P「いや、こっちに気を遣ってくれたみたい。別々だって」 

千早「そうですか。なら、あまり気兼ねする必要はなさそうですね」 

P「うん。一応一通り料理は出るけど、一品物で気になるのがあれば、頼んでいいよ」 

千早「そんな気を遣わなくても……」 

P「ちなみにあちらはじゃんじゃん頼むそうだよ。経費で落とすって」 

千早「プロデューサー、何頼みましょうか」 

P「うん、事務所に入ってきた当初と比べると正直になったねぇいいことだ」


396:◆on5CJtpVEE:2012/12/19(水) 05:32:03.53 :KVaASnK3o

千早「思ってたよりも本格的な料理が出てくるんですね」パクパク 

P「さっき調べてみたら、ここの料理長、結構腕の立つ人らしいよ」モグモグ 

千早「山の中なのに海産物が多いですね」ムグムグ 

P「毎朝築地から仕入れてくるんだって。大変だね」ングング 

千早「これは……」 

P「石鰈のお造り」 

千早「これは」 

P「牛のひれ肉のステーキだ」 

千早「和え物も美味しいですね」 

P「舌触りがなんとも……」 

千早「ふふっ」 

P「?」 

千早「色とりどりの食事って、楽しいですね」ニコッ 

P「うん春香でも連れてうちに来なさい色々用意してあげるから」グスッ


397:◆on5CJtpVEE:2012/12/19(水) 05:39:58.19 :KVaASnK3o

千早「ご馳走様でした」 

P「ご馳走様でした」 

千早「結構量がありましたね」 

P「お腹いっぱい……けぷっ」 

千早「プロデューサー、下品です」 

P「ごめんごめん。んー、もうなんだかんだで21時前かぁ」 

千早「ちょっと外の空気を吸ってきますね」 

P「もう暗いし、あまり遠くに行かないようにね?」 

千早「分かってます。子どもじゃないんですから」 


千早「では、行ってきますね」テクテクテク 

P「うーん」 

P「……心配だ」


398:◆on5CJtpVEE:2012/12/19(水) 05:45:48.46 :KVaASnK3o

千早「あ、ここなら良く見える」 

千早「……綺麗な星空……一粒一粒が宝石みたいに」 

千早「星が多すぎて逆によく分からないなんて。なんだか不思議ね」 


(ガサッ) 


千早「……プロデューサー?」 


観光客A「おっ、誰かいんじゃん」 

観光客B「女じゃん。うわーっ! カワイーッ♪」 

千早「っ……」


399:◆on5CJtpVEE:2012/12/19(水) 05:49:35.44 :KVaASnK3o

観光客A「ねぇねぇ、どっから来たの?」 

千早「……」スッ 

観光客B「無視する事ねーだろ」ガッ 

千早「いたっ……!」 

観光客A「なぁこいつ、如月千早に似てね?」 

千早「!」 

観光客B「おっ、メガネ外してみろよ」グイッ 

千早「やめっ――」 

観光客A「すげぇ! まじそっくりなんスけど!」 

観光客B「このままいただいちまおうぜ」 

千早「持って……?!」 

観光客B「イイコト教えてやっからさ、ほら、あっちの方に」 

千早「や、やだっ……!」 

千早(プロデューサー……!)


400:◆on5CJtpVEE:2012/12/19(水) 05:53:06.36 :KVaASnK3o

(ガッ) 


観光客B「あ?」 

P「うちのお姫様に何してくれてんですかねぇ」 

(ドスッ) 

観光客B「おふ……」ガクッ 

P「あらまー、不意打ちとはいえ、女の子に膝受けてダウンってカッコ悪ぅい!」 

観光客A「あ!? 何しやがんだてめっ……ってこっちも可愛いなオイ!」 

P「……」ニコッ 

(ギュッ) 

観光客A「ふひひ、俺の相手してくれんの?」 


P「うん、相手してあげる」ニッコリ


401:◆on5CJtpVEE:2012/12/19(水) 05:56:56.59 :KVaASnK3o

(グギッ) 


観光客A「アイエエエ!」 

P「小手返しって凄くシンプルでいいよねぇ。少しずつ体重かけるだけで」 

(グググッ) 

観光客A「アバーッ!」 

P「私みたいな体格でも、簡単に壊せちゃうんだよね。イヤーッ!」 

観光客A「グワーッ!」 

P「まぁ、相手がよほどアホじゃないと上手くいかないけど」ポイッ 

P「ハイクを読め。カイシャクしてやる」 

観光客A「哀しい冬な 実際安い インガオホー」 

P「そいつ連れてさっさとどっか行け」 

観光客A「す、すんませんっした!!!」ダダダッ 


千早「ぷろ、でゅーさー……」


402:◆on5CJtpVEE:2012/12/19(水) 06:00:57.15 :KVaASnK3o

P「……」 

千早「怖かっ、た」 

(ペシン) 

千早「え……」 

P「暗いから遠くには行くなって言ったよね」 

千早「あ……ご、ごめ……」 

P「どれだけ心配したと思う?」 

千早「……ごめん、なさい」 

P「もう少し、考えなさい」 

千早「……はい」 

P「……」 

千早「……」 


(ギュッ) 

千早「ぁ、ぷろ……」 

P「……怖かったね。もう大丈夫だからね」 

千早「……ごめんな、さい……」グスッ


404:◆on5CJtpVEE:2012/12/19(水) 06:05:39.99 :KVaASnK3o

P「でも、私もちょっと気を抜きすぎてたかな……反省しないと」 

千早「さっきの二人は……?」 

P「逃げてったよ」 

千早「こ、ここから離れないと! 仲間を連れて復讐とか……!」 

P「ああうん多分大丈夫」 

千早「え?」 

P「逃げた方向が悪かったみたい」


405:◆on5CJtpVEE:2012/12/19(水) 06:09:55.68 :KVaASnK3o

観光客B「ち、畜生、あのアマ……!」 

観光客A「仲間連れてぶっ殺してやる……!」 

(ドンッ) 

観光客A「気を付けろダァホッ!!!」 


D「あらン? 何か言ったかしら?」 


観光客A「な、なんだコイツ……?!」 

D「さっきの声とその様子……なるほど、あなた達ネ?」 

観光客B「な、何言ってやが――」 








\ヤメロー! ヤメロー!/ 


\バクハツシサン!/


406:◆on5CJtpVEE:2012/12/19(水) 06:13:26.14 :KVaASnK3o

千早「……逃げた方から変な声が」 

P「放っておきましょ」 

千早「は、はい……」 

P「……千早」 

千早「?」 

P「星、綺麗だね」 

千早「あ……」 


(キラッ) 


千早「!」 

P「ん?」 

千早「今! 今、流れ星が見えました!」 

P「へぇ、どの辺り?」 

千早「丁度あの、明るい星が三つ並んでる……」 

P「三つ並んでる明るい星が多すぎてどれか分からないよ」 

千早「……ふふっ、そうですね。多すぎて分からないです」


407:◆on5CJtpVEE:2012/12/19(水) 06:19:09.70 :KVaASnK3o

(カラカラッ) 


P「うー、寒い寒い。凍えるかと思った」 

千早「なんだかんだで、あのまま30分くらい星を見ちゃいましたね」 

P「早く寝よう……」 

D「おかえり、二人とも」ツヤツヤ 

千早「あ、ディレクター……」 

P「ありがとうございました、探すのを手伝っていただいてしまって……」 

D「何事もなくて良かったワ」ツヤツヤ 

P「本当に、申し訳ありませんでした。如月にも、厳しく」 

D「いいのヨ。若い内は色々あるワ」ツヤツヤ 

千早「申し訳、ありませんでした……」 

D「じゃあその分、明日の収録は期待してるわよン」ツヤツヤ 

(テクテクテクテク) 


千早「……でもディレクター、どうしてあんなにツヤツヤしていたんでしょうか」 

P「世の中にはね、知らない方がいいこともあるの」


408:◆on5CJtpVEE:2012/12/19(水) 06:22:03.89 :KVaASnK3o

P「それじゃ、私はあっちの部屋だから」 

千早「あ、はい」 

P「起床は4時ね。それじゃあ、おやすみなさい」 

千早「はい、おやすみなさい」 


(パスッ) 


千早「……寝ましょうか」 

千早「…………」 




P「んー、4時起きかぁ。早起きは苦手なんだけど……」 

P「あ、浴衣を男物に着替えて……このままじゃ大参事に」ゴソゴソ 

P「やっぱり大きいなぁ……まぁあとは寝るだけだしいいよね」シュルシュルキュッキュ


409:◆on5CJtpVEE:2012/12/19(水) 06:25:57.24 :KVaASnK3o

P「さて、寝るとしますか……」 


(トントン) 


P「? どなた?」 

千早「……私です。入っても、いいですか?」 

P「うん、いいけど。どうぞ?」 

(ススッ) 

千早「……すみません、寝る直前に」 

P「いいよいいよ。どうしたの?」 

千早「えっと……夕方の約束、覚えていますか?」 

P「あー、アレ……何でも言うこと聞くっていう……」 

千早「はい。あの……」 

P「い、今使うの!? な、何をすればいいのよ……」 


千早「一緒に、寝てもいいです、か……?」 


P「」


410:◆on5CJtpVEE:2012/12/19(水) 06:28:57.92 :KVaASnK3o

P「い、いいけど……」 

P(まぁ響とも寝たし……) 

千早「すみません……隣、お邪魔します」ススッ 

P「……」 

千早「? どうしてそっぽを向くんですか?」 

P「顔が、近い」 

千早「……くすっ、女同士なのに」 

P「ハズカシイの!」 

千早「プロデューサー、なんだか可愛いです」 

P「うるさい!」


411:◆on5CJtpVEE:2012/12/19(水) 06:30:57.28 :KVaASnK3o

P「でも、どうして急に一緒に寝たいなんて……?」 

千早「………………くて」 

P「へ?」 

千早「その……一人では、怖くて、寝付けなくて……」 

P「そっか」 

(ギュッ) 

千早「あ……プロデューサー……」 

P「怖くなーい怖くなーい」 

千早「……はい。そうしていてもらうと、怖さが、なくなりました」


414:◆on5CJtpVEE:2012/12/19(水) 06:33:39.59 :KVaASnK3o

P「千早」 

千早「?」 

P「今の千早も、とっても可愛いよ」 

千早「っ……! おやすみなさい!」プイッ 

P「あはは、千早もそっぽ向いちゃったじゃない」 

千早「……」カァッ 

P「ふふ、おやすみなさい」 

千早「おやすみなさい」 


千早「……大好きな、プロデューサー」ボソッ


415:◆on5CJtpVEE:2012/12/19(水) 06:36:36.17 :KVaASnK3o

~翌朝!~ 


(チハヤチャン! アサダヨッアサッ! オッキナイトアミマミガイタズラシチャウツモリダッタノダガ…ウラギッタノカ、マミ?!) 


(カチッ) 


千早「ふあ……なんだかぐっすり眠れた気がする……」ンー 

千早「まだ外は暗いわね」 

千早「……そう言えば、プロデューサーに添い寝してもらって……」 

千早「……」カァァァッ 

千早「あ、プロデューサーを起こさないと……」 

千早「プロデューサー。プロデュー……サー……?」


416:◆on5CJtpVEE:2012/12/19(水) 06:39:49.36 :KVaASnK3o

(ムクッ) 

P「ふぁあ、おはよ、千早……」ビューティーボイス 

千早「……」 

P「……」 

千早「……え?」 

P「あれっ……」ビューティーボイス 

千早「……戻って」 

P「……ない…………?!」ダラダラ


418:◆on5CJtpVEE:2012/12/19(水) 06:44:11.65 :KVaASnK3o

P「どういうこと?! What's happen?! エマージェンシーエマージェンシー!」ビューティーボイス 

千早「え、ええと……!」 

P「なんで一晩経ったのに戻ってないの……?」 

千早「起きるのが早すぎたんじゃ……」 

P「前、3時起きした時もちゃんと戻ったのに……!」 

千早「ど、どういうことでしょうか……」 

P「う、うぅ……千早ぁ……」 


千早「」キュンッ


420:◆on5CJtpVEE:2012/12/19(水) 06:46:32.24 :KVaASnK3o

千早(えっ、今のは……) 

P「と、とりあえず仕事はしないと……念のために替えの下着持って来ててよかった……」グスッ 

千早「わ、私も準備してきますね!」 

P「う、うん……」 

P(どーして、どーしてぇ!?) 

P「面妖なぁ……」 

千早(プロデューサーのことは心配だけれど、まずは収録をしっかりやらなきゃ) 

P「」マッシロ


423:◆on5CJtpVEE:2012/12/19(水) 06:49:09.45 :KVaASnK3o

~収録!~ 


千早「ここのお饅頭が美味しいんですよ」 

老婆「おや、あんた本当にテレビの人だったのかい」 

千早「昨日はありがとうございました。カメラを入れさせていただいてもよろしいですか?」 

老婆「どうぞどうぞ。こんなところで良ければ」 

千早「ここは何種類ものお饅頭と温泉卵が――」 

P「あうあうあー」 

千早(プロデューサー……)


424:◆on5CJtpVEE:2012/12/19(水) 06:51:23.75 :KVaASnK3o

D「千早ちゃん、いい調子ヨ!」 

千早(ごめんなさい、プロデューサー……集中集中) 

P「う、うぅ……千早が頑張ってるんだから、私も頑張らないと……」 

千早「このこしあんがたまらないんです。この、奥深さのあるさらりとした感触が……」 


――――― 

―――― 

―――


426:◆on5CJtpVEE:2012/12/19(水) 06:55:02.86 :KVaASnK3o

D「はい、終了!」 

「「「お疲れ様でしたー!」」」 

D「千早ちゃん、バッチリだったワ!」 

千早「これで、昨日のお礼に、少しでもなれば……」 

D「昨日何があったか忘れちゃったのよねン」ウィンクッ☆ 

千早「……くすっ。ありがとうございます」 


P「ち、千早。おつかれ……」 

千早「プロデューサー、大丈夫ですか?」 

P「大丈夫では、ないわよ……」 

千早「……え?」


427:◆on5CJtpVEE:2012/12/19(水) 06:57:13.41 :KVaASnK3o

P「?」 

千早「プロデューサー……昨日よりも更に、女心化が進んでいませんか?」 

P「えっ、ウソっ!?」 

千早「……多分」 

P「そんな……まさか、戻れなくなっちゃったの……?!」 

千早「そ、そんなことはきっと」 

P「やだ……戻れなくなるのなんて……イヤぁ……」グスッ 

千早「プロデューサー……」キュンッ 


千早「……」 

千早(私もどうかしてしまったのかしら……)


428:◆on5CJtpVEE:2012/12/19(水) 07:04:02.17 :KVaASnK3o

P「私……まさか、本当に女になっちゃったのかな……」 

千早「違います、きっと! きっと、何か、特別な理由があるんです!」 

P「……」ガクゥッ 

千早「……電車の時間まではまだだいぶありますし、温泉でも入りませんか?」 

P「千早……」グスッ 

千早「昨日買ったパスもありますし。どうせですから、全部回らないと、勿体ないです」 

P「確かに……落ち込んでいて解決するものでもないし……」ゴシゴシ 

P「お湯に入って、少し頭を落ち着けよっか……」 

千早「はいっ」


430:◆on5CJtpVEE:2012/12/19(水) 07:10:16.71 :KVaASnK3o

(カポーン) 


P「ふぅ……」 

千早「いいお湯ですね」 

P「心が癒されるわぁ……」 

千早「でも、女湯に入るのに、全然抵抗がないんですね」 

P「…………」ズゥーン 

千早「あっ! す、すみません!」 

P「うん……女湯に入るのも……女物の下着を身に付けるのも……多分今なら真美と行ったスイーツ店も余裕だよ……」 

千早「ご、ごめんなさい……」 

P「はぁ……私、このまま女の子のままなのかなぁ……」ブクブク 

千早「元気を出してください、プロデューサー……」


431:◆on5CJtpVEE:2012/12/19(水) 07:14:50.21 :KVaASnK3o

千早「ほら、プロデューサー。スタンプラリー、結構埋まってきました」 

P「……」グデー 

千早(プロデューサー……) 

千早「ほら、次の温泉、ちょっと面白いところにあるみたいですよ」 

P「面白いところ……?」 

千早「山の上みたいです。行ってみましょう!」 

P「えぇ、うん……」 

(ギュッ) 

P「って、千早?」 

千早「ふふっ。プロデューサー、早く行きますよ!」 

P「あ、ちょっと……走らないでぇ!」


432:◆on5CJtpVEE:2012/12/19(水) 07:18:00.50 :KVaASnK3o

千早「この山道、結構細いですね」 

P「気を付けないと落ちちゃうね」 

千早「一応、柵もありますけど」 

(ボロッ) 

P「これは古いね……」 

千早「落ちてしまったら、支えてくれそうにはありませんね」 

P「あれ、道が二手に分かれてる」 

千早「地図によると……」ガサガサ 

P「あ、こっちって看板に出てるじゃない! 左よ!」タッタッタッ 

千早「あっ、ちょっと、プロデューサー!」タッタッタッ 




『冬季は右の迂回路をご利用ください』


433:◆on5CJtpVEE:2012/12/19(水) 07:21:15.75 :KVaASnK3o

(ツルツル) 


千早「プロデューサー、足元が滑りやすくなってますから、気を付けてくださいね」 

P「分かってる分かってる」 

千早(少し、明るくなってきたかしら。良かった……) 

P「あ、あの上にあるのが温泉の建物?」 

千早「湯気が出てますから、多分……」 

P「なんだかちょっと秘湯みたいね。ふふっ」 

千早「秘湯にしては、整備されすぎてます」 

P「もう、千早は風情がな――」 

(ズルッ) 

P「わっ!?」 

千早「プロデューサー!?」 

(バキィッ!) 

P「柵がっ……!」 

千早「プロデューサー!!」ダッ


434:◆on5CJtpVEE:2012/12/19(水) 07:26:04.01 :KVaASnK3o

P「いやああああああ?!」 

(ガシィッ!) 

P「っ!?」 

千早「ぷろ、でゅーさー……!」ググッ 

P「ち、千早?!」 

千早「早く、上がってくださ……体力が……!」 

(ツルッツルッ) 

P「斜面が、氷で滑って……!」 

(ミシミシッ) 

千早「!」 

千早(掴んでる柵が、折れかかってる……! これが折れたら、私……!)ゾクゥッ 


P「千早ぁ……怖いよぉ……!」グスッ 

千早「っ!」


435:◆on5CJtpVEE:2012/12/19(水) 07:30:56.42 :KVaASnK3o

千早(私が怖いときは、いつもプロデューサーが助けてくれた) 


(P『怖くなーい怖くなーい』) 


千早(っ今度は……私が助けてあげる、番です) 

千早「プロデューサー」 

P「うぅ……ひっく……」グスッ 

千早「大丈夫です。怖くなーい、怖くなーい」 

P「千早……」 

(ミシミシッ) 

千早「私が、ついてますから。そんな泣かないでください、プロデューサー」 

P「千早ぁ……千早ぁっ……!」エグッ 

(ミシミシッ!) 

千早(持たない――!)


436:◆on5CJtpVEE:2012/12/19(水) 07:34:34.05 :KVaASnK3o

冬馬「おい、そこで何やってんだ!?」 

千早「!」 

冬馬「お前、765プロの……って、そっちはP子か!?」 

千早「柵が折れて……!」 

冬馬「今そっちに行って引き上げる! それまで落ちんじゃねぇぞ!!」 


――――― 

―――― 

―――


438:◆on5CJtpVEE:2012/12/19(水) 07:36:24.26 :KVaASnK3o

千早「っはぁっっっはぁ……」 

冬馬「っぶねぇ……」 

P「っはぁっはぁっはぁっ……」グスッエグッ 

千早「プロデューサー、もう大丈夫、大丈夫だから……!」 

P「千早ぁ……!」ギュウッ 

冬馬「なんたって、こんな閉鎖ルートに……」 

千早「閉鎖ルート……?」 

冬馬「冬は通行止めだとよ。そういや、通行止めの柵がなかったな……」


439:◆on5CJtpVEE:2012/12/19(水) 07:39:13.20 :KVaASnK3o

P「ごめんなさい……ごめんなさい…………!」 

冬馬「……チッ。管理側の責任だろうがよ。お前らだけが悪いわけじゃねぇ」 

千早「……ありがとう、助けてくれて」 

P「ぐすっ……」 

冬馬「……俺はいない方がいいみたいだな。もうあっちのルートには入るなよ」 

千早「分かってるわ」 

P「……ありがと……」ヒック 

冬馬「ああ……んじゃな」


440:◆on5CJtpVEE:2012/12/19(水) 07:42:17.32 :KVaASnK3o

P「千早ぁ……」 

(ギュッ) 

千早「プロデューサー、ちょっと今日は泣き虫すぎです」 

P「だって……ずっと、怖くて……」ギュウ 

千早「ずっと?」 

P「ずっと……」 

千早「…………」 



千早「わっ!!」 

P「ひゃあああああっ!?」 

千早「……もしかして、プロデューサー」 

P「……?」 

千早「性格が、すごく怖がりになっていませんか?」


441:◆on5CJtpVEE:2012/12/19(水) 07:45:48.09 :KVaASnK3o

P「え……?」 

千早「まだ、断定はできませんけど」 

P「うん」 

千早「もしかすると、何らかの理由で女性になったまま二日目に入ると、怖がりになる……?」 

P「わ、分からない……」 

千早「……」 

千早(一日目の夜の段階で、ほぼ女心化は終わる……二日目に入ると、違う変化が?) 

千早「……まだこれだけじゃ、情報不足ですね」 

P「というか」 

千早「?」 

P「転んだせいで、びしょびしょ……」 

千早「……じゃあ、早く温泉入りましょうか」 

P「うん……」


443:◆on5CJtpVEE:2012/12/19(水) 07:49:02.82 :KVaASnK3o

(カポーン) 


千早「いい眺めですね」 

P「……」 

千早「どうしたんですか?」 

P「さっきの怖いのが……忘れられなくて……」 

千早「……プロデューサー」 

P「え?」 

(ガシッ) 

P「えっえっ!? 千早!?」 

千早「可愛すぎです」 

P「えっ」 

千早「ちょっと反則です、プロデューサー」 

P「ち、千早……目が、怖い……」ウルッ


444:◆on5CJtpVEE:2012/12/19(水) 07:55:13.06 :KVaASnK3o

千早「怖くなんてないですよ」 

P「で、でも……」ジリッ 

千早「取って食おうだなんて、思ってませんから」 

P「て、手にすごく力が入ってるよ……?」 

千早「……プロデューサー」 

P「ひっ!」 

(ギュウウウウウウ) 

P「ちちちちはやー!?」 

千早「……」 

P「ち、ちはやぁ……」カァァッ 

千早「抱き心地がいいです」 

P「は、はい」 

千早「暫く、こうしていても、いいですか?」 

P「……うん」カァッ


446:◆on5CJtpVEE:2012/12/19(水) 07:59:18.29 :KVaASnK3o

(カタカタ) 

P「……千早?」 

千早「強がってはみたんですけど」 

P「……」 

千早「やっぱり、私も怖かったです」 

P「……そっか」ギュッ 

千早「……」 

P「ねぇ、千早」 

千早「……?」 

P「暖かいね」 

千早「……はい、暖かい、です」


448:◆on5CJtpVEE:2012/12/19(水) 08:02:46.32 :KVaASnK3o

P「いい湯だったね」 

千早「はい、とっても」 

P「じゃあ、ここのスタンプを……」 

千早「……あ!」 

P「?」 

千早「揃いました!」 

P「あ、本当だ。ここでゴールだったんだね」 

千早「プロデューサー! スタンプラリー、全部揃いました!」パタパタ 

P「いっぱいお風呂入ったもんね」 

千早「誉めてくださいっ!」パァァァアッ 

P「えっ」 

千早「……あっ、いえっ! な、何でもないです」


449:◆on5CJtpVEE:2012/12/19(水) 08:05:09.64 :KVaASnK3o

~温泉街に戻って~ 


職員「これが景品のご当地ヤキニクマンです」 

千早「……」ズゥーン 

P「ち、千早! 元気出して……ね?」 

千早「ヤキニクマン……」 

P「……じゃあそんな千早には、私からも景品を上げましょう」ゴソゴソ 

千早「……?」 

(スッ) 

千早「あ……」 

P「昨日の漆の髪飾り。似合ってるよ」 

千早「プロデューサー……!」ギュッ 

P「わっ! もう……千早は抱き着き魔だなぁ……」 

千早「……プロデューサーの抱き心地がいいのがいけないんです」


450:◆on5CJtpVEE:2012/12/19(水) 08:09:15.44 :KVaASnK3o

P「あ、そろそろ電車の時間だ」 

千早「本当ですね」 

P「宿で荷物受け取ったら行かなきゃ」 

千早「少し急いだ方がいいですね」 

P「うぅ……間に合うかなぁ……」 

千早「……くすっ」 

P「わ、笑わないでよ!」 

千早「大丈夫です、プロデューサー」 


千早「私が、ついてますから!」


451:◆on5CJtpVEE:2012/12/19(水) 08:12:19.13 :KVaASnK3o

~翌日!~ 


P「おはようございます」ゴホゴホ 

亜美「おっ、兄ちゃんおはよ……って風邪?」 

P「うむ、昨日は濡れたり濡れたり濡れたり濡れたりでひどい目にあってな……」 

律子(休んでもらうためだったのに……) 

社長(まさか、風邪を引いてしまうとは……) 

真美「千早お姉ちゃんとお泊りだったっしょ? どうだった?」 

亜美「ムフフなことはありましたかな→?」 

P「あった」 

律子「えっ」ガタッ 

P「ウソだよ落ち着け」 

律子「……」 

(バキィッ!) 

P「!? ありがとうございます!」


452:◆on5CJtpVEE:2012/12/19(水) 08:15:25.78 :KVaASnK3o

小鳥「そういえば、昨日は大変だったらしいじゃないですか」 

P「ビックリしましたよ。まさか朝になっても男に戻らないとは……」 

律子「プロデューサー殿の謎は深まるばかりですね……」 

P「俺が知りたいくらいだ……」ゴホッゴホッ 

(ガチャッ) 

千早「おはようございます」 

社長「おぉ、如月君。おはよう」 

P「あ、千早……」 

千早「戻れたんですね、プロデューサー」 

P「今日は朝起きたら何事もなく」ゴホッ 

千早「風邪……ですか?」 

P「やっちまったよ。まぁ結局、濡れた服で帰る羽目になったからな……」 

千早「お大事にしてくださいね」 

P「ああ、ありがとう」


453:◆on5CJtpVEE:2012/12/19(水) 08:18:27.55 :KVaASnK3o

千早「そうだ、これは事務所の皆に」ゴソゴソ 

真美「おぉ、温泉まんじゅうですな!」 

千早「それと、二人にはこれを」 

真美「!?」 

亜美「ご当地ヤキニクマンだ!!! いいの!?」 

千早「ええ。私が持っていても仕方ないし」 

小鳥「……そう言えば千早ちゃん」 

千早「?」 

小鳥「その髪飾りは買ったの? 似合ってるわよ」 

千早「そ、そうですか? その……スタンプラリーの景品で」 

律子「スタンプラリーなんてやったんですか」 

P「ま、まぁ……あはは」ゴホッ


454:◆on5CJtpVEE:2012/12/19(水) 08:21:22.60 :KVaASnK3o

亜美「ところでさ→兄ちゃん」チョンチョン 

P「ん?」 

真美「ホント→にムフフなことはなかったのかな→?」ニヤニヤ 

P「……なかった」 

千早「ありませんでした」 

真美「あれあれ→? 千早お姉ちゃんには聞いていませんがな→?」 

千早「っ」 

亜美「これは怪しいですな!」 

P「ち、千早。そろそろ収録行く時間だぞ」ガタッ 

千早「そ、そうですね。急ぎましょうか」ソソクサ 

律子「……」 

P千早「「……」」 

律子「話し、聞かせ――」 


P「逃げるぞ千早!」ダダッ 

千早「は、はい!」 

律子「こらぁ! 待ちなさい二人とも!!」


455:◆on5CJtpVEE:2012/12/19(水) 08:23:43.44 :KVaASnK3o

(タッタッタッタッ) 


P「はぁっはぁっはぁ……」 

千早「に、逃げ切り、ましたね……」 

P「じゃあ、タクシー捕まえてテレビ局行くか……」 

千早「あ、ちょっと待ってください」 

P「?」 

千早「ちょっとこちらへ」チョイチョイ 

P「はいはい、なんだ」 

千早「……失礼します」ギュッ 

P「!?」 

千早「……はい、落ち着きました。それじゃあ、行きましょうか」


456:◆on5CJtpVEE:2012/12/19(水) 08:24:12.47 :KVaASnK3o

P「おい、今平然と抱き着いたがなんだったんだ」 

千早「何でもありませんよ? ほら、タクシー捕まりました!」 

P「はぁ……」 

千早「プロデューサー」クイクイッ 

P「ん?」 

千早「……」ワクワク 

P「あぁ……タクシー捕まえてくれてありがとな。偉いぞ」ナデナデ 

千早「ふふ……♪」 

P「よし、それじゃ収録行くぞー」 

千早「はいっ!」 






千早編おわわ 
To Be Continued...


457:◆on5CJtpVEE:2012/12/19(水) 08:25:38.57 :KVaASnK3o

ダメだ、眠気のある中でやるもんじゃない 
素直に途中で切って続きは今日とかに持ち越すんだった 
ダラダラと冗長に変なやつになって申し訳なかった


貴音「貴女様……」 P「面妖な……デュオ!」 

551:◆on5CJtpVEE:2012/12/25(火) 03:52:42.24 :/LMOcuMro

(シャンシャンシャンシャン) 

貴音「今宵はくりすます。さんたくろぉすが良い子にぷれぜんとを届ける日……」 

貴音「……うぅ」ブルッ 

(ヒュウォォォォォオオ) 

貴音「……気温は……氷点下……」 

貴音「しかし、わたくしは、やり遂げなければならないのです」 


貴音「……P…………」


552:◆on5CJtpVEE:2012/12/25(火) 03:55:17.80 :/LMOcuMro

ちょびっと幕間 

   『聖なる夜に』 


554:◆on5CJtpVEE:2012/12/25(火) 03:59:12.69 :/LMOcuMro

【日中!(田中ではない)】 


P「うぃーっす」ビューティーボイス 

美希「あれ? ハニー、今日も女の子なの?」 

P「素晴らしいだろう? 世のリア充共が浮かれ騒ぐ日に、俺はと言えば彼女もないどころか、男であることすら許されないと来た!!」バンバン 

美希「じゃぁっ! ミキとラブラブな聖夜を過ごせばいいって思うな!」ギュッ 

P「シゴトガコイビトデス」カタカタ 

美希「ハニー! ミキと二人で聖なる鐘を鳴らして恋のテンカウントで勝利なの!」グググググ 

P「お前に足りない(中略)速さが足りない!!」グググググググ 

律子「アホなことやってないで仕事してください」ベシッ 

P「ひゃんっ! ど、どうして俺だけぇ……」 


貴音「…………」ジー


556:◆on5CJtpVEE:2012/12/25(火) 04:02:49.01 :/LMOcuMro

P「はぁ……でもお前ら、クリスマスは苦労してるんだなぁ」 

貴音「はて?」 

P「なんか知らないけど、今日はナンパの数が尋常じゃないお……」 

律子「それが、この子たちは意外といつも通りなんですよ」 

P「そうなの?」 

律子「ムカつくのは私よ……ナニ? クリスマスもビジネススーツ着てるような女は男っ気がなさそうだからちょろいって? ハッ!」 

P「り、律子……さん! 落ち着こう!」 

律子「良いわよ……仕事が恋人ですから……」 

P「Oh.....」 

貴音「くりすます……」 

P「え、まさかクリスマスを知らない?」 

貴音「いえ、そのようなことは。赤い衣を着た老人が、窓や煙突など穴という穴から入ってくるのでございましょう?」 

P「なんか怖いからその言い方やめて」 

貴音「むぅ……」


558:◆on5CJtpVEE:2012/12/25(火) 04:05:02.64 :/LMOcuMro

P「ま、サンタともプレゼントとも縁がなく、外回りして直帰なんですけどねーアハハハハハ」 

律子「ウフフフフフお互い大変ですねプロデューサー殿」 

P律子「アハハハハハハハハハハハハハハハハ」 

美希「ふ、二人とも怖いの……」 

貴音「美希……察するのです」 

美希「うん……」 

P「帰り、スーパーで売れ残りのホールケーキでも買って食べるか……」 


貴音「…………」


559:◆on5CJtpVEE:2012/12/25(火) 04:10:03.70 :/LMOcuMro

雪歩「お茶が入りましたぁ」 

P「あぁ、サンタはここにいた……」 

雪歩「えぇっ!? 私、サンタなんかじゃ……」 

P「サンタさん、お茶ありがとう!」 

雪歩「え、えっと……は、はい……」 

美希「ハニー、雪歩が困惑してるからそういう絡みはやめるの」 

P「失策だったかー」 

貴音「雪歩殿は、このあとは?」 

雪歩「私は収録ですよ?」 

貴音「でしたら、今の内に……」ゴソゴソ 

雪歩「?」 

貴音「雪歩殿には、こう言った方がいいのでしょうか。『お誕生日、おめでとうございます』」スッ 

雪歩「わぁっ!」


560:◆on5CJtpVEE:2012/12/25(火) 04:14:46.40 :/LMOcuMro

律子「プロデューサー殿は?」 

P「誕生日プレゼントならもう昨日渡したよ」 

雪歩「はいっ、綺麗なブレスレットをいただきました!」 

P「というわけで……」ゴソゴソ 

雪歩「?」 

P「今日は、『メリークリスマス』」スッ 

雪歩「えっ! ぷ、プロデューサー?!」 

P「ほら、お前らもおいでおいで。メリークリスマス」 

美希「やったぁ! ハニー大好きなの!」ギュゥッ 

P「やめなさい首が締まってるから俺の意識がテンカウントで遠のいてくから」タップタップ 

律子「え……私にも、ですか……?」 

P「おう、勿論。それにほら、貴音」チョイチョイ 

貴音「?」 

P「お前にも、だ。メリークリスマス」 

貴音「……!」


561:◆on5CJtpVEE:2012/12/25(火) 04:19:29.58 :/LMOcuMro

貴音「貴女様……」 

P「今年はまぁいい子で頑張ってたしね」 

律子「プロデューサー殿……私にまで、ありがとうございます」 

P「あ、律子には少し色付けといたよ」 

律子「……その心は?」 

P「美味しいよなースーパーの売れ残りのクリスマス食品ってアハハハハハ」 

律子「ウフフフフフ夜遅く帰る頃になると私達のようにひっそりと売れ残っていますよね」 

P律子「アハハハハハハハハハハハハハハハハ」 

美希「ふ、二人とも怖いの……」 

雪歩「美希ちゃん……察してあげて……」 

美希「うん……」 

P「帰り、スーパーで売れ残りのホールケーキでも買って食べるか……」 


貴音「…………」


562:◆on5CJtpVEE:2012/12/25(火) 04:22:53.24 :/LMOcuMro

【再び現在】 


貴音「うぅ、身を切り裂くような寒さ……」 

貴音「ですが、どうか待っていてくださいませ、貴女様」 

貴音「必ずや……必ずや、プレゼントを届けます故……!」 

貴音「……」 

貴音「貴女様に頂いた、手袋……」 

貴音「これのおかげで、手だけは、全く寒くないのです」 

貴音「手袋の防寒性能のお蔭か、それとも、貴女様の……」 

貴音「……ふふっ」 


貴音「さて、あの方の自宅に着きましたが」 

(スッ) 

(カチャカチャカチャカチャ) 

(カチャン) 

(スゥッ) 

貴音「……ふむ」


563:◆on5CJtpVEE:2012/12/25(火) 04:26:41.98 :/LMOcuMro

貴音「失礼いたします……」ソロォリ 

貴音(灯りは消えていますね) 

貴音(奥から聞こえてくるのは……プロデューサーの寝息……) 

(ススッ) 

貴音「……」ソォ~ッ 


P「ん……すぅ……んー……」ムニャムニャ 


貴音「……」キュンッ 

貴音(ダボダボの男性用パジャマを着て、あどけない寝顔を……) 


(ススッ)


564:◆on5CJtpVEE:2012/12/25(火) 04:29:54.69 :/LMOcuMro

P「すぅ……すぅ……」 

貴音「……ふふっ。まこと、可愛らしい寝顔です」 

貴音「さて」 

(ゴソゴソ) 

貴音「……気に入っていただけると、いいのですが」 

(スッ) 

P「んー……」 

貴音「ふふ、めりぃくりすます……」


565:◆on5CJtpVEE:2012/12/25(火) 04:32:51.79 :/LMOcuMro

貴音「それはそれとして」 

(チュ) 

P「……んっ」ピクンッ 

貴音「……寝たままでいいのですよ、P……」 

(カプッ) 

P「んぅっ……ぁ……」ブルッ 

貴音「少しくらい……役得」アムッ 

P「はっ……ぅぁ……おねぇ、さまぁ……」 

貴音「……」ゾクゾクッ 

貴音「ふふふ、可愛らしいですよ、P……」 


(グッ) 

貴音「?」


566:◆on5CJtpVEE:2012/12/25(火) 04:36:07.25 :/LMOcuMro

(グァッ!) 

貴音「なっ!?」 

(ギュゥッ!) 

貴音(いきなり、抱き寄せられ――) 

P「ふぁ……誰……?」ネムネム 

貴音(寝惚けて……?) 

P「ん~……」ギュゥッ 

貴音「あっ……」 

P「ふふ、暖かい……」ムニャムニャ 

貴音「……全く、Pは仕方ないですね……」ナデナデ 

P「うぅん……」 

(ガッ) 

貴音「っ!?」 

P「……お姉様ぁ……たまには……私から……」 

貴音「……P?」 

(ガブッ) 

貴音「っ! そんなに強く……!」


567:◆on5CJtpVEE:2012/12/25(火) 04:38:24.64 :/LMOcuMro

貴音「うっ……!」 

P「ふふふ」 

貴音「だ、ダメでございます、P!」 

P「ふぁ……なんだか、幸せな夢……」 

貴音「ゆ、夢ではないのです。夢では、ないのです……!」 

(カリッ) 

貴音「あぅっ!」ビクンッ 

P「お姉様……もっと……もっと、素直になっていいからね……」 

貴音「はっ……あぁっ! んっ……ぁ――!」ビクビクッ! 


P「お姉様……今夜は、私が幸せにしてあげる……」 

貴音「う……P……」 




~見せられないよ!!!~


569:◆on5CJtpVEE:2012/12/25(火) 04:41:55.07 :/LMOcuMro

【翌朝!】 


(プロデューサーサン! アサデスヨッアサッ! オッキナイトアミマミガイタズラシチャ……アミ?! シンデル……) 

(カチッ) 


P「ふぁ……ぁ、良く寝た。何かいい夢を見た気が。サンタさんかな……」ビューティーボイス 

P「……二日目突入かぁ」 

P「なんなのかしら……あれ以来、一度も二日目入ったことないのに……」 

P「……ん? 何か、暖かいものが横に……」 



貴音「ふぁ……貴女、様ぁ…………」 



P「サンタは大変なものを置いて行ったようです」


571:◆on5CJtpVEE:2012/12/25(火) 04:44:23.99 :/LMOcuMro

P「とりあえず起こさないと不味いよね……おーい、貴音」ユサユサ 

貴音「あ、貴女様……もう、それ以上は無理でございます……」フルフル 

P「え?」 

貴音「はて?」 

P貴音「「…………」」 

P「おはよう」 

貴音「おはよう、ございます」 

P「早速だけど……」 

貴音「……はい」 

P「どうしてこちらに?」 

貴音「不幸な事故だったのです」 

P「事故かーそれはしょうがないねー」 

貴音「はい」 




\ンナワケアルカーイ/ 

(ドンガラガッシャン!) 

\メンヨウナー!/


572:◆on5CJtpVEE:2012/12/25(火) 04:46:16.35 :/LMOcuMro

P「ごめんね」ジンジン 

貴音「貴女様は……いけずです……」プイッ 

P「なら、いけずついでに」 

貴音「……?」 

(グイッ) 

貴音「あ……」 

(トサッ) 

貴音「貴女様……?」 

P「千早の時は怖がりだったけれども」 

貴音「……?」 

P「今はなんだか、無性に貴音を愛でたいのよね」 

貴音「なんと!?」 

P「んー……細かいことはよく分からないけれど」 

貴音「……」ダラダラ 

P「忍び込んできたのは貴音なんだから」 


P「ふふふ。覚悟、してね?」 



~やっぱり見せられないよ!!~ 



\メンヨウナー!!!/


573:◆on5CJtpVEE:2012/12/25(火) 04:47:57.98 :/LMOcuMro

律子「それで、プロデューサー殿」 

P「はい」ビューティーボイス 

律子「私達は昨日、仲間の絆を感じた気がしたんですが」 

P「はい」 

律子「あれは、ウソだったのかしら?」グイッ 

P「ひぃっ!」 

律子「たっぷり遅刻してきた上にこの首筋のキスマーク……あなたも、やはり敵だったんですね」 

P「ち、違くて、その」 

律子「それに、綺麗な指輪ですね」 

P「あ、これはプレゼントで……」 

律子「そのキスマークの主から、ということかしら?」 

P「ええ、まぁ……はっ!?」 

律子「…………」ドドドドドドドド 

P「ええと、律子、さん……?」 

律子「プロデューサー殿。イッペン、シンデミル……?」 

P「Help! I need somebody Help! Not just anybody Help! You know I need someone Help!」 

律子「歌ってもダメですよ」 

P「はい」


574:◆on5CJtpVEE:2012/12/25(火) 04:49:26.58 :/LMOcuMro

<ダレモタスケテクレマセンヨ 

       ワタシッテジンボウナイノネー> 

<ソレデハ、イツマデタエラレルカシラ 

  オレル! オレル! ギブギブギブギブ!!> 


貴音「……」 

(キラッ) 

貴音「……起きた時、わたくしの枕元にあったこの指輪」 

(ナデナデ) 

貴音「……何故、わたくしが差し上げたものと対になっているのでしょう?」 

貴音「これは、貴女様からのぷれぜんと、なのでしょうか」 

貴音「それとも、もしや……さん――」 

貴音「……」 

貴音「……いいえ、そのようなこと、詮索するのは無粋と言うものでしょう」 


貴音「ふふっ、お揃い……♪」ナデナデ 



おわり


576:◆on5CJtpVEE:2012/12/25(火) 04:52:11.11 :/LMOcuMro

サンタさんっぽく夜中にゲリラ投下など 
たまには攻めるのもいいよね 
こんな時間までPCに張り付いてるお前らに幸あれ 
メリークリスマス



639:◆on5CJtpVEE:2013/01/01(火) 17:04:15.11 :WYeMhNPYo

ちょびっと幕間 

『2013年』 


640:◆on5CJtpVEE:2013/01/01(火) 17:04:46.77 :WYeMhNPYo

【12月31日 夜】 


P「ふぃー、仕事納め終了、っと!」ビューティーボイス 

P「でも、大晦日までこの状態っていうのもなぁ……やだなぁ……」 

P「私以外、誰もいないし」 

P「あーやだやだ。こんな年末まで仕事に追われて、一人身で寂しく年越しなんてね。あたしゃ嫌だよ」 

P「……どうしようもないこの不条理は、私を解放してくれない」 

P「はぁ、どこかでお蕎麦でも食べて年越しするかなぁ……」 

(ガチャッ) 

(ビュウォォォォオオオ) 

P「さむ……」 

P「夜風が私の身を切り刻む……」 

風「ゆっくりゆっくり生きていることを(中略)残酷なほどに優しく切り刻む」 

P「うるさい」 

P「……幻聴に独り言返してりゃ世話ないね……」 

(ヒュウウゥゥゥゥ…)


641:◆on5CJtpVEE:2013/01/01(火) 17:05:37.53 :WYeMhNPYo

(ヴヴヴッ) 

P「ん、メールが三件……」パカッ 


春香『もうすぐ明けますね(^-^) 新年ですよ、新年!』 

美希『ハニ→と年越ししたかったの! 良いお年をね!』 

律子『昼間にお願いした書類、期日は一週間後でした。本当にごめんなさい』 


P「律子ォ……」プルプル 

P「……まぁ、いっか。どうせお仕事無くたって変わらないし……」 

(パァァー) 

P「そこらのビルはまだ灯りが付いてるし。夜勤かなぁ、大変だなぁ……」 

P「それに比べれば、年越しできる分マシかな……」 

P「……蕎麦屋どこがいいかなぁ」


642:◆on5CJtpVEE:2013/01/01(火) 17:06:16.32 :WYeMhNPYo

(ヴヴヴッ) 

P「ん? ええと……貴音から?」 


貴音『あなた様、今はどちらに?』 


P「えーと、事務所から帰宅中。ついでに貴女様だよ、と」カチカチ 

(ヴヴッ) 

P「あれれ、着信」 

(ピッ) 

P「もしもーし」 

貴音『こんばんは。まだ事務所の近くでしょうか?』 

P「そうよー、駅のそば」 

貴音『でしたら、いつものお店の前へいらっしゃってください』 

P「はいはい」 

(ピッ) 

P「どうやら、一人で年越しという寂しいことにはならなそうね」


643:◆on5CJtpVEE:2013/01/01(火) 17:07:18.35 :WYeMhNPYo

(テクテクテク) 

貴音「あ。貴女様」 

P「やっ、貴音」ピッ 

貴音「ふふ、こんばんは」 

P「こんばんは。先に言っておくけど、今日はナシだからね」 

貴音「わたくしとて、いつもいつもあのようなことばかり考えているわけではありません」 

P「その発言、比較的あのようなことの比重が貴音にとって大きいと捉えるよ」 

貴音「面妖な……」 

P「それ言えば許されると思わないでね。ほら、入ろ?」 


(パサッ) 

<ラッシャイ! 

P「味噌ラーメン」 

貴音「冷やし担々麺を」 

P「がっつり行くのねぇ」 

貴音「ふふ、良いではありませんか」 

P「いいんだけどね」


644:◆on5CJtpVEE:2013/01/01(火) 17:08:02.72 :WYeMhNPYo

P「もう一年も終わりかぁ」 

貴音「時間的にも、丁度年越しらぁめんでございますね」 

P「あと十分かぁ。でも、貴音と年越しすることになるとは思わなかったよ。なんでこんな時間に?」 

貴音「小鳥嬢に、貴女様が遅くまで残っていると教えていただきました」 

P「それだけで、わざわざ家から事務所まで?」 

貴音「わたくしには、貴女様がいらっしゃるというだけで、腰を上げる理由足り得るのです」 

P「そう言ってもらえるのは嬉しいけど」 

<ホラ、ナマトツマミ、サービスダヨ! 

P「わぁっ! ありがとうございます!」 

貴音「……」ヒョイパクッ 

P「あぁっ! ザーサイが一瞬で!」 

貴音「貴女様はびぃるをお飲みになればよろしいのです」ムグムグ 

P「うぐぐ……」


645:◆on5CJtpVEE:2013/01/01(火) 17:08:56.93 :WYeMhNPYo

<ヘイ、オマチィ! 

P「いただきます」 

貴音「いただきます」 

(ズルルッ) 

P「うん、刻み玉ねぎが麺とスープに絡んで……」ズズッ 

貴音「この冷やし担々麺の、凝縮された胡麻の味が……」ズズッ 

P「……冬に冷やしなんて食べて寒くない?」 

貴音「ふふ、問題ありません。一口、どうぞ」スッ 

P「ふぅん……」ズズッ 

P「! 本当だ、美味しい……」 

貴音「適度な辛みも身体を温めてくれるのです」 

P「はい、味噌ラーメンもどうぞ」 

貴音「では、一口……」ズゾゾゾゾッ!! 

P「ちょっとぉ!!!?」 

貴音「……まこと、美味でございます」ケプッ 

P「は、半分消えたぁ……」


646:◆on5CJtpVEE:2013/01/01(火) 17:09:48.48 :WYeMhNPYo

(チラッ) 

P「あ、もうあと二十秒くらいで……」 

貴音「貴女様」 

P「ん?」 

貴音「良いお年を」ニコッ 

P「ええ、良いお年を」ニコッ 

(カチッコチッ) 

貴音「……」 

P「……」 

(チッ!) 

P「あ」 


P貴音「「あけまして、おめでとうございます」」 


P「……新年最初に顔を合わせたのは貴音かぁ」 

貴音「ご不満でしょうか」 

P「いいえ。一人ぼっちの年越しに比べれば、全然」 

貴音「それ以外と比較しても勝るとは、言って下さらないのですね?」 

P「ふふ、嬉しいよ、貴音」 

貴音「……貴女様はいけずです」 

P「じゃ、続きに年明けらぁめんを。替え玉お願いしまーす」 

貴音「こちらにもお願いします、店主よ」


647:◆on5CJtpVEE:2013/01/01(火) 17:10:23.11 :WYeMhNPYo

<マイドアリィ! 

P「はぁ、食べた食べた」 

貴音「貴女様、このまま初詣へと参りましょう」 

P「んー、初詣かぁ。ここ数年、行ってない気がする」 

貴音「さぁ、行きましょう」グイグイ 

P「あぁもう、分かったから。服が伸びちゃうから!」 

貴音「ふふっ。こちらですよ」 





―――― 
――― 
――


648:◆on5CJtpVEE:2013/01/01(火) 17:11:34.28 :WYeMhNPYo

P「へー、こんなところに神社があったんだ」キョロキョロ 

貴音「あまり大きくはありませんが、風情のある場所です」 

P「いいよね、こういう地元の人ばかりの、こじんまりとした神社って」キョロキョロ 

貴音「大きなところでは、参拝よりも参拝客の多さに圧倒されてしまいますので」 

P「とはいえ、やっぱり初詣はそれなりに人が来るね。並ぼうか」 

貴音「はい」 

(テクテク) 

P「冷えるなぁ」 

貴音「こうすれば、暖かいですよ」ギュッ 

P「……あすなろ」 

貴音「すっぽりとはまります」 

P「うー、いつもは私の方が大きいのに……」 

貴音「ふふ、小さな貴女様も可愛らしいですよ」 

P「ちぇっ、馬鹿にしてー」 

貴音「そんなことはありません。素直な気持ちです」 

P「むぅ」 

<アマザケ、イカガデスカー 

P「あ、ください」 

貴音「わたくしにも」 

<ドウゾー 

P「ありがとうございます」


649:◆on5CJtpVEE:2013/01/01(火) 17:12:20.05 :WYeMhNPYo

P「さて、一口……あつぅっ!?」 

貴音「大丈夫ですか?」 

P「ちょ、超猫舌だから……うえぇ、コレ絶対火傷しちゃってる……」 

貴音「冷まして差し上げましょう」フーッフーッ 

P「じ、自分でできるから!」 

貴音「ふふふ」 

(ゴクッ) 

P「……温まるなぁ」 

貴音「はい、まことに」


650:◆on5CJtpVEE:2013/01/01(火) 17:13:15.47 :WYeMhNPYo

(パチパチ) 

P「あ、破魔矢とか燃やしてるね」 

(パチパチ) 

貴音「……わたくしは、この火が好きなのです。元日の夜、参拝客を暖かく照らす、この火が」 

P「火の粉が舞いあがってる」 

貴音「はい、宙を飛び交う様に」 

P「なんだか、蛍みたい」 

貴音「冬の紅い蛍。儚げで、しかし繰り返し繰り返し舞い上がる姿から、果て無きこの世の巡りを思わずにいられません」 

P「今年も、始まったのねぇ……新しい年が」 

貴音「そろそろ、わたくし達の番ですよ」 

P「あ、ホントだ」


651:◆on5CJtpVEE:2013/01/01(火) 17:13:51.52 :WYeMhNPYo

(チャリンチャリン) 

(パンッパンッ) 

P「……」 

貴音「……」 

P「……いこっか」 

貴音「はい」 

(テクテク) 

P「お参りしながら、何考えてた?」 

貴音「今年も、良き一年になりますように、と」 

P「も、ってことは、去年は良き一年だったんだ?」 

貴音「はい、それはもう」 

P「色々大変なこともあったと思うけど」 

貴音「……ふふっ」 

P「?」 

貴音(貴女様のお傍にいられただけで、わたくしには良き一年なのですよ)


652:◆on5CJtpVEE:2013/01/01(火) 17:14:40.31 :WYeMhNPYo

P「あ、貴音! おみくじ引こう、おみくじ!」 

貴音「では、参りましょう」 

(カラカラ) 

P「ええと……"は"の三、を」 

貴音「わたくしは"た"の一を」 

<ドウゾー 

P「ありがとうございます。じゃ、開けてみよっか」 

貴音「はい。それでは……」 

(ペリッ) 

貴音「ふふふ、中吉でございます!」 

P「あ、大吉だ」 

貴音「……」プイッ 

P「えっ、なんで拗ねるのよ!?」 

貴音「ふんだ」 

P「貴音ぇ……」


653:◆on5CJtpVEE:2013/01/01(火) 17:15:43.53 :WYeMhNPYo

貴音「内容を見てみましょう」 

P「まずは病気よ病気」 

貴音「何故?」 

P「だって……この不思議体質が治ってくれないと……」ガサガサ 

貴音「……わたくしは、そのままでも」ボソリ 

P「なんですって?」 

貴音「なんでもありません」 

P「ええと……『生命に気づかい無』って……そ、そりゃあ命は問題ないかもしれないけど!」 

貴音「ふふ、もしかすると、ずっとそのままかもしれませんよ」 

P「やだぁ……そんなのやだぁ……」グスッ 

貴音「わたくしは、それでもかまいませんよ」ボソリ 

P「え?」 

貴音「なんでもありません」


654:◆on5CJtpVEE:2013/01/01(火) 17:16:31.00 :WYeMhNPYo

P「ええと、縁談……」 

貴音「!」 

P「『思わず早く調う 他人に任せよ』?」 

貴音「!!!」グワッ 

P「た、貴音?!」 

貴音「お任せください、貴女様」 

P「は、はい?」 

貴音「わたくしが、全て調えて差し上げます。貴女様は、ごゆるりとなさっているだけでいいのです」 

P「目! 目が見開いてる!」 

貴音「ふふ、ふふふふふふ……」 

P「……喝っ!!!」 

(バシィンッ) 

貴音「なんとっ!? ……はっ!」 

P「ふぅ……大丈夫?」 

貴音「も、申し訳ありません。取り乱してしまいました」 

P「もう、びっくりさせないでよね」 

貴音(ですが……きっと今年中には……) 

貴音「……貴女様」 

P「ん?」 

貴音「……ふふ、なんでもございません」


655:◆on5CJtpVEE:2013/01/01(火) 17:17:18.20 :WYeMhNPYo

P「さて、それじゃあそろそろ帰ろっか」 

貴音「わたくし、終電が既に……」 

P「今日は大晦日だから夜も走ってるでしょ」 

貴音「……貴女様はいけずです」 

P「ほらほら、帰るよ」 

貴音「……はい」 

(テクテクテク) 

貴音「……ここまでで結構です」 

P「そう?」 

貴音(これ以上は……寂しくて離れられなくなってしまいますから) 

P「それじゃあ、今年も一年、よろしくお願いします」 

貴音「……はい、よろしくお願いいたします」ニコッ 

P「それじゃあ、気を付けてね。おやすみ」 

貴音「はい、おやすみなさいませ」 





―――― 
――― 
――


656:◆on5CJtpVEE:2013/01/01(火) 17:17:59.65 :WYeMhNPYo

(カララッ) 

P「ふぅ、いい湯だったぁ……」 

P「新年早々、思ったより充実してたなぁ」 

P「……って、まるで恋人か何かみたいじゃない、これ……」 

P「う、うわぁ……なんだかむず痒い……でも、暖かい年越しだったなぁ」 

(ストンッ) 

(キィッ) 

P「窓の外はまだ暗いなぁ」 

P「……ってダメ……眠くなってきちゃ……」 

(ポテッ) 

P「……すぅ……すぅ……」


657:◆on5CJtpVEE:2013/01/01(火) 17:18:42.68 :WYeMhNPYo

(ガタンゴトン) 

貴音「……」 

貴音「今年は年初から、良き時間を過ごすことが出来ました」 

貴音「しかし、欲を言えば……」 

貴音「……もう少し、お傍に」 

貴音「……いえ、上を見ると、きりがありません。致し方ないこと」 

貴音「それにしても……」 

(ガタンゴトン) 

貴音「心地良い揺れが……ねむ……」 

貴音「……すぅ……すぅ……」


658:◆on5CJtpVEE:2013/01/01(火) 17:19:15.72 :WYeMhNPYo

P「……ン……寝ちまったか」メンズボイス 

P「お、戻ってる。良かった良かった」 

P「流石に元旦であのまんまだったら泣くしかないな……」 

P「しかし、無理してでもシャワー浴びといて良かった……あのまま倒れてたら爆肉鋼体やっちまうとこだった」 

(チラッ) 

P「七時前か……寝直すか。寝正月だなこりゃ」 

P「……お?」


659:◆on5CJtpVEE:2013/01/01(火) 17:19:54.23 :WYeMhNPYo

貴音「……はっ!」 

(ガタンゴトン) 

貴音「……すっかり寝てしまったようですね」 

(チラッ) 

貴音「もう、七時前……。何時間も……何たる不覚」 

貴音「一体何往復してしまったのやら……わたくしとしたことが……」 

貴音「おや……?」


660:◆on5CJtpVEE:2013/01/01(火) 17:20:36.17 :WYeMhNPYo

(パァァァァァア) 



P「あ、初日の出だ。眩しいな」 

P「……そうだ」 

(ゴソゴソ) 



貴音「初日の出……このような場所で目にすることになるとは」 

貴音「……ふむ」 

(ゴソゴソ)


661:◆on5CJtpVEE:2013/01/01(火) 17:21:40.02 :WYeMhNPYo

(ヴヴヴッ) 

P「ん?」 



(ヴヴヴッ) 

貴音「はて?」 



(ピッ) 



貴音「あ」 



P「これは……」


662:◆on5CJtpVEE:2013/01/01(火) 17:22:26.77 :WYeMhNPYo

貴音「……ふふ。考えることは」 



P「同じだったか」 



from:プロデューサー 
sub:明けたな 
添付ファイル:2013110651.jpg 
本文:眩しい 



from:四条貴音 
sub:謹賀新年 
添付ファイル:201301011.jpg 
本文:今年の、初日の出でございます。 



おわり


663:◆on5CJtpVEE:2013/01/01(火) 17:24:54.55 :WYeMhNPYo

皆さま、改めてあけましておめでとうございます 
年越し直後は疲れて寝てしまったので、ちょっと遅いですが、正月投下を 

貴音は俺の嫁、千早は俺の彼女、真美は俺の血のつながらない妹 
今年も一年、よろしくお願いいたします



754:◆on5CJtpVEE:2013/01/20(日) 00:34:53.49 :z8lYFzy7o

律子「……プロデューサー、姫?」 P「Pチャンハ、カワイイデスヨ」 


はーじまーるよー 


755:◆on5CJtpVEE:2013/01/20(日) 00:35:47.45 :z8lYFzy7o

【レッスンスタジオ】 


『進もう毎日夢に向かって』 

律子「っと! っはいっ!」タッタッ 

『漠然とじゃない意図的に』 

律子「って、わわっ!」ドテッ 


真「すとーっぷ!」カチッ 


律子「はぁ……大分勘は戻ってきたけど、まだまだだなぁ」クタァッ 

真「十分だって、ボクらみたいに本業じゃないのに、それだけできれば十分だよ」 

律子「いーえ! ダンスは完璧に踊れてこそ、よ!」 

真「プロデューサーなのに意識高いなぁ」 

律子「徹底して突き詰めてやる! それが、プロってものでしょう?」 

真「それはそうなんだけどさ。律子が踊ってるのって……」 



真「ダイエットのためでしょ?」 

律子「それを言わないで……」


756:◆on5CJtpVEE:2013/01/20(日) 00:40:38.31 :z8lYFzy7o

真「でも、律子も可愛いところあるんだね」 

律子「何が?」ゴクゴク 

真「ダイエット始めたの、プロデューサーに影響されたからでしょ?」 

律子「!?」ブーッ! 

真「うわぁっ!? な、なんだよもう、汚いなぁ!」 

律子「げほっげほっ……だ、誰に聞いたのよそれ!?」 

真「え? 亜美が言ってたけど」 

律子「べ、別にね? プロデューサー殿のせいってわけじゃないのよ」ワタワタ 

律子「いやぁ、前から気になってたんだけど、プロデューサー殿の話を聞いて改めて痛感したというか?」アセアセ 

律子「決して、プロデューサー殿のスタイルがいいからとかそういうわけじゃなくて」アタフタ 

律子「聞いてみたらあなた達と時々一緒にやってるって言われて私も!とか思ったわけじゃ」キョロキョロ 

真「うん、事細かに説明してくれてありがとう。よく分かったよ」


757:◆on5CJtpVEE:2013/01/20(日) 00:47:57.34 :z8lYFzy7o

真「でも、確かにずるいですよね、プロデューサー」 

律子「そうよ! 男のくせに、何よアレは! こっちは日々悩んで苦労してるっていうのに……!」 

真「律子の方がスタイルいいし、その律子の言動一つ一つがボクに突き刺さるんだけどね」ジトーッ 

律子「どうしてよ。真だってそんなにスタイル良くて……羨ましい……」 

真「それはアレかな? 宣戦布告かな? そうだと受け取っていい? ねぇ、いいかな?」 

律子「……って、そろそろ事務所に行かないと! 真、ありがとう!」ガチャッ 

真「あっ!? ちょっと、律子ー!!」


758:◆on5CJtpVEE:2013/01/20(日) 00:55:14.29 :z8lYFzy7o

【事務所】 


(ガチャッ) 

律子「おはようございまーす!」 

P「お。律子、おはよう」ビューティーボイス 

律子「……」ジー 

P「ん?」 

律子「……このイカサマ師」 

P「なんで出社早々にディスられてんだ?!」 

律子「ふん。自分の身体に聞いてみればいいじゃないですか。シャワー浴びてきますね」バタン 


P「あの野郎……」 

P「ん? これは……」チラッ 

P「……ふっふっふ……」


759:◆on5CJtpVEE:2013/01/20(日) 01:03:31.31 :z8lYFzy7o

(シュルシュルトサッ) 

律子「あーもう……なんでプロデューサーは男のくせに……」ボソボソ 

(ヌギヌギファサッ) 

律子「涼だって胸は……いや、あったらそれはそれでイヤだけど」 

(カララッ) 

律子「……寸胴だなぁ」ムニムニ 

(キュッキュッ) 

(シャワワワワワワ) 

律子「……もう」シャワワワワ 



律子「ああああああああああもう!!!!!!!!!!!!」


760:◆on5CJtpVEE:2013/01/20(日) 01:08:35.53 :z8lYFzy7o

『ああああああああああもう!!!!!!!!!!!!』 


P「っ!?」ビクゥッ! 

P「き、気付かれたのか?!」 

P「……」 

P「なんだ、独り言叫んだだけか……」 

P「さて、鬼の居ぬ間に……」


761:◆on5CJtpVEE:2013/01/20(日) 01:11:02.41 :z8lYFzy7o

律子「……ふぅ、さっぱりした」 

律子「今日も張り切って行きますか!」 

(ガチャッ) 

律子「さて、早速メイクをしないと……」ゴソゴソ 

律子「……あれっ!? 化粧水がなくなってる!?」 

律子「えっえっ、昨日見た時はもう一回分くらいはあったのに……!」 

(ガタッ) 

P「ふいー、おっしごっとおっしごっと大変だーっと」ツヤツヤ 

律子「……」 

P「さぁて、気分転換にコーヒーでも……」 

律子「待ちなさい」グイッ 

P「な、なんでしょう?」 

律子「ふふふ、プロデューサー姫ぇ? 私に何か、言うことはありませんか?」 

P「なんだよ姫って」 

律子「女の子になってるから、殿ではなく姫……じゃなくてですね」グイィ 

P「リ、リッチャンガ、コワイデスヨ?」 

律子「コッチヲミロォ」グイィ


762:◆on5CJtpVEE:2013/01/20(日) 01:20:07.48 :z8lYFzy7o

律子「姫、私の目を見てください」 

P「のワの」ツヤツヤ 

律子「さっき私が事務所に来た時は、姫はすっぴんだった。違いますか?」 

P「違いません」 

律子「そして、シャワーから戻ってみると、残っているはずの私の化粧水が空になっていた……何か釈明はありますか?」 

P「それでも私はやってない」 

律子「チークが出しっぱなしになってるんですがそれは」 

P「黙秘権を行使します」 

(ガチャッ) 

美希「ふあぁ……おはようなの」 


律子「……」ズズズ 

P「……」ズズズ 


美希「朝っぱらから修羅場はやめてほしいって思うな」


763:◆on5CJtpVEE:2013/01/20(日) 01:25:47.32 :z8lYFzy7o

律子「往生際が悪いですよ、姫」 

P「な、何か証拠があって言っているのか!」 

律子「それは……」 

(クンクン) 

P「み、美希?!」 

美希「……ハニーから律子の匂いがするの」 

律子「美希?」ニッコリ 

美希「あ、あわわっ! え、えっと!」 

律子「ふふ。今回だけはその功績に免じて許してあげるわ」 

美希「あれ? 今日の律子……さんは優しいの」 

律子「代わりに、その怒りは一緒くたにして、姫に受けてもらうことにするわ」 

P「」 

美希「姫?」 

律子「覚悟、決めましたか?」ニッコリ 

P「」


764:◆on5CJtpVEE:2013/01/20(日) 01:31:20.66 :z8lYFzy7o

美希「へー、女の子だから姫……」 

律子「可愛い愛称でしょ?」 

美希「でも、ミキにはやっぱりハニーなの!」 

律子「ま、別にいいけど。なら、私だけのお姫様ってことね」 

美希「むむ……その言い方は、ちょっとズルいって思うな」 

律子「美希だってハニーハニー言ってるじゃない。お互い様よ」 

美希「律子……さん、なんでそういうことをハニーが起きてる時に言わないの?」 

律子「そ、それは……」 

P「きゅう……」 

美希「律子ったら奥手すぎるの」 

(ゴツンッ) 

美希「いたぁっ!」 

律子「律子『さん』、でしょ?」 

美希「うぅ……さっきは許してくれたのに……」


765:◆on5CJtpVEE:2013/01/20(日) 01:39:28.91 :z8lYFzy7o

律子「さぁて。起きてください、プロデューサー!」ユッサユッサ 

P「う、うぅ……や、やめ……頭が揺れる……」 

律子「今日午後は収録の付き添いなのにどうしてくれるんですか! このままじゃすっぴんですよ!!」 

P「知らないもん。律子がいきなり人をディスるのが悪い」プイッ 

律子「……」ギリギリ 

P「いたいいたいいたい!! ごめんなさい!! 俺が悪かったから手首を捻らないで!!!」 

律子「はぁ……ま、これくらいで勘弁してあげます」パッ 

P「世の中は理不尽だ……」 

美希「でもどうするの? 化粧水が無いのは事実なんでしょ? ミキの貸してあげてもいいけど」 

律子「いつものじゃないと肌に合わないのよ。幸い亜美の収録は15時からだから、買ってきちゃうわ」 

P「そうか。行ってらっしゃい」


766:◆on5CJtpVEE:2013/01/20(日) 01:44:44.70 :z8lYFzy7o

(グイッ) 

P「え゙」 

律子「勿論、姫も来るんですよ。お財布なんですから」ニッコリ 

P「は、はは……ま、まぁ俺も一緒に真美の付き添いだから、暇なんですけどね」 

美希「えーっ!! 律子さんだけデートなんてズルいの!」 

律子「で、デートなんかじゃないわよ!」 

P「美希とはこの前行ったろ。それに律子に限ってデートなんて」 

律子「っ……」ゲシッ 

P「いたぁーーーっ!?」 

美希「今のは流石にハニーが悪いって思うな」 

律子「はい、行きますよ、プロデューサー!」 

P「はぁ……世の中は理不尽だなぁ……」 

美希「むー……行ってらっしゃい」


767:◆on5CJtpVEE:2013/01/20(日) 01:48:34.12 :z8lYFzy7o

【街中】 


P「まだまだこないだの雪が残ってるねぇ」 

律子「積もりましたからね。ここ最近、気温も低いし、ここはビルで日陰ですし」 

P「あっ、雪だるまだ」 

律子「そこのアパートの子どもですかね。ふふっ、可愛いもの作っちゃって」 

P「で、その化粧品店とやらは?」 

律子「すぐそこですよ……あ、ここです、この店。ここの化粧水じゃないと肌が荒れちゃって」 

P「さいですか……」 

律子「姫はそういうことありませんか? 肌の相性とか」 

P「その姫っていうのやめてもらえないかなぁ……」 

律子「いいじゃないですか、なんだか可愛くって」 

P「どうしてもそれじゃないとダメかなぁ」 

律子「姫」 

P「ダメかぁ」


768:◆on5CJtpVEE:2013/01/20(日) 01:57:06.54 :z8lYFzy7o

(カランカラァン) 

<イラッシャイマセー 


律子「化粧水化粧水、と」 

P「へー。結構いい感じのお店じゃないの」キョロキョロ 

律子「行きつけのお店なんですよ」 

P「あっ、この香水いい匂い」 

律子「え、どれです?」 

P「ほら、これ」 

律子「あっ、ほんとだ……この前来た時にはこんなのなかったのに」 

P「よし、買ってっちゃおっと。そういや、私もファンデ買わないと……」 

律子「あ、ファンデならこっちにありますよ」 

P「あったあった。どれがいいかなぁ」 

律子「そうですね、姫なら……って」 

P「?」 


律子「完全に溶け込んでますね、女社会に」 

P「哀しいけど、これ、現実なのよね」


769:◆on5CJtpVEE:2013/01/20(日) 02:04:42.25 :z8lYFzy7o

P「確かに自分を見失わないことは大切だけど、環境にもある程度適応しないとね」 

律子「いつの間にか私服のバリエーションも増えてますしね」 

P「美希や春香が着せたがるからさぁ。なるべく応えてあげたいじゃない?」 

律子「で、本音は?」 

P「いやぁ、似合う服ってなんだかんだで嬉しいよ」 

律子「……プロデューサー"殿"はそれでいいんですか……」 

P「バタバタしても仕方ない。のんびり頑張るよ、のんびり」 

律子「……はぁ。やっぱり姫は大物ですね……」 

P「そんなことないって。あっ、このアロマいい匂い」 

律子「あっ、本当」


770:◆on5CJtpVEE:2013/01/20(日) 02:11:36.98 :z8lYFzy7o

<アリガトウゴザイマシター 


P「結局色々買ってしまった……」 

律子「ありがとうございます、姫」ニコッ 

P「どの口が! どの口がありがとうございますなどと仰るのか!」 

律子「言わせたのはこの口ですよ」グニィ 

P「むー! むー!」 

律子「はいはい。あまり騒がないでください。周りの人が見てるじゃないですか」 

P「こんにゃろう……」 

律子「さて、と。まだ時間だいぶあるなぁ……」 

P「んー、じゃあ丁度いいし、このままご飯でも食べてく? 奢るよ」 

律子「えっ! ひ、姫、熱でもあるんですか?」ピトッ 

P「人が、たまにはセンパイらしいところを見せてあげようと思えば……! もういいもん!」 

律子「わーっ! 冗談です! 冗談ですから! 食べに行きましょう!」 

P「ふん……」


771:◆on5CJtpVEE:2013/01/20(日) 02:20:41.19 :z8lYFzy7o

【ちょっとおしゃれっぽいカフェ】 


律子「へー、姫ってこういう趣味なんですね」キョロキョロ 

P「あずささんに教えてもらって」 

律子「……」ギンッ 

P「な、なんで睨むんですか!?」 

律子「……まぁいいでしょう。姫は何にするんです?」 

P「え、えっと……どうしようかな……」 

律子「私はサンドイッチとコーヒーのセットで」 

P「それだけでいいの?」 

律子「……小食なんですよ」 

P「そっか。じゃあ私は……」ペラッ 

店員「ご注文はお決まりですか」 

律子「えっと、コーヒーセットでサンドイッチを」 

P「えっとー」ペラッ


772:◆on5CJtpVEE:2013/01/20(日) 02:25:13.42 :z8lYFzy7o

P「ホットドッグと有機野菜のサラダとポタージュスープとハンバーグとオニオンリングと」 

律子「ちょちょちょちょっとぉ!?」 

P「えっ、何かまずかった?」 

律子「そんなに注文して食べれるんですか?!」 

P「う、うん、余裕だけど」 

律子「でも、体重とか……」 

P「食べても食べても太らないんだなーこれが」 

(ガタァッ!) 

律子「この卑怯者!!」 

(ベシィンッ!) 

P「いたぁっ!!?」 

律子「わ、私がっ! どんなに苦労してると……!」 

P「えっ、なんでいきなり罵られて殴られたの!?」 

店員「お客様、ご注文は以上でよろしいですか?」 

P「え、えっと……」チラッ 

律子「……」ジロッ 

P「は、はい……以上で……」


773:◆on5CJtpVEE:2013/01/20(日) 02:30:52.06 :z8lYFzy7o

P「リッチャンハ、コワイデスヨ……」 

律子「はいはいすみませんでした私がわるうございました。ほら、料理来ましたよ」 

P「横暴だ……」 

店員「お待たせしました。ご注文は以上でよろしいでしょうか?」 

P「大丈夫です」 

律子「ありがとうございます」 

店員「では、ごゆっくりおくつろぎください」 


P「さて、いただきますっと」 

律子「いただきます」


774:◆on5CJtpVEE:2013/01/20(日) 02:36:34.11 :z8lYFzy7o

(ムシャムシャ) 

P「でも律子、そんなので足りるの?」モグモグ 

律子「私は省エネなんです。これくらいの量でも、しっかり頭が動くんですよ」モグッ 

P「その割には一口一口を名残惜しそうに食べてるけど」 

律子「気のせいです」モグ 

P「そう? いやぁ、ホットドッグ美味しいなぁ」ムシャリ 

律子「……」モグ 

P「うん、ハンバーグもジューシィ」ジュワッ 

律子「っ……」タラッ 

P「律子、よだれよだれ」 

律子「はっ!?」


775:◆on5CJtpVEE:2013/01/20(日) 02:42:32.49 :z8lYFzy7o

P「……食べたいんでしょ?」 

律子「ば、馬鹿なこと言わないでくださいよ! ど、どうして私が食べたがってるなんt」 

P「ほらぁ、切ったハンバーグから、肉汁があふれ出て……」 

律子「わぁ……」ジュルッ 

P「……」 

律子「はっ!? ち、違います! 違いますから!!」 

P「……律子」 

律子「え?」 

(スッ) 

P「はい、あーん」 

律子「ふわっ!?」 

P「ほら、口開けて」 

律子「た、食べません! 食べませんから!!」 

P「こっちを見なさい、秋月律子」 

律子「悪魔の誘惑になんてぇ……!」 

P「ほら、ハンバーグちゃんが、律子を待ってるよ」 

P「『りっちゃん! 私を食べてっ』」ウラゴエ 

律子「……」グルルルル


776:◆on5CJtpVEE:2013/01/20(日) 02:46:50.68 :z8lYFzy7o

律子「ししし仕方ないですねぇ! ひ、姫がそこまで言うなら、た、食べてあげないこともないですよ!」 

P「はいりっちゃん、あーん」 

律子「……あ、あーん……」 

(モグッ) 

P「どう?」 

律子「……」モグモグ 

(ゴクン) 

律子「こ、これは……!」 


律子「国産牛挽きのみを使った、旨みたっぷりのオールビーフの味わい……」 


律子「丹精込めて手でこねられ、繋ぎも最小限に抑えた、期待を裏切らない触感……」 


律子「焼き加減はもちろん完璧。アツアツのホットプレートが、今なお香ばしい匂いと、心地良い油の音を響かせる……」 


律子「……そうよ……」 



律子「これこそまさに、ハンバーグ!!!」


777:◆on5CJtpVEE:2013/01/20(日) 02:53:42.63 :z8lYFzy7o

P「はいもう一口。あーん」 

律子「あーんっ!」パクッ 

(モグモグ) 

律子「んー♪ おいしー!」 

P「じゃあポタージュスープもどうぞ」 

律子「あーんっ!」パクッ 

(ゴクンッ) 

律子「……ほっとする、柔らかい味……胃に染み渡るわ……」ウットリ 

P「ハンバーグ、半分いる?」 

律子「いいんですか?! 食べます!!」 



(モグモグ) 

P「ふふっ、美味しいね」 

律子「ええっ! やっぱりお食事は幸せですってあああああああああ!?!?!?」バチィン! 

P「?! なんで私ビンタされたの!?」 

律子「ばか! なんてことしてくれるんですか! 卑怯者!!」ウルッ


778:◆on5CJtpVEE:2013/01/20(日) 03:01:28.05 :z8lYFzy7o

P「り、律子が食べたそうにしてたから……」 

律子「人がどれだけ辛い思いしてダイエットしてると思ってるんですか!」 

P「ふぅん……」 

律子「あっ!」バッ 

P「いやまぁ、ダイエットっていうのは分かってたけど。でも、律子そんなに太ってないじゃない」 

律子「放っておいても体型維持できる姫には分からない悩みですよええ」 

P「だってこの間の健康診断では4」 

律子「だああああああああっ!!!」バチィン! 

P「いたいっ! それでもその身長の平均をかなり割ってるでしょ!」 

律子「うぅ……そ、そうですけどぉ……」


779:◆on5CJtpVEE:2013/01/20(日) 03:04:18.38 :z8lYFzy7o

P「いたた……元の体重がそもそも痩せすぎだって。今でも軽すぎるくらいなのに」 

律子「でも、やっぱり可愛くいたいじゃないですか……」 

律子「……特に、気になる人の近くでは」ボソッ 

P「え? 後半よく聞こえなかったけど……私は、今くらいの方がいいと思うけどな」 

律子「!!」ガタァッ! 

P「わわっ!」 

律子「ホントに?! ホントですか!!?」 

P「う、うん、ホントホント……」 

律子「今の方が……可愛い、ですか?」カァッ 

P「うん……今すぐアイドルに復帰してもいいんじゃないかってくらいよ」 

律子「……えへへ」ニコーッ 

P「……ハンバーグ、食べる?」 

律子「食べます!!」


780:◆on5CJtpVEE:2013/01/20(日) 03:08:47.35 :z8lYFzy7o

<アリガトウゴザイマシター 


P「ふぅ、美味しかった」 

律子「いやぁ、久しぶりにガッツリ食べちゃいました!」 

P「結局ホットドッグ追加で頼んだもんね」 

律子「ここ最近、ずっと我慢してたんですから。これくらい罰は当たりませんって」 

P「それで調子に乗ると、今度はシャレにならない感じで太っちゃうから気を付けましょう」 

律子「うぐ……分かってますよぅ」 

P「んー。それにしても、まだ時間が大分あるね。今日はゆったりできていいなー」 

律子「姫とこんな風に歩くの、随分久しぶりですね」 

P「そうだねぇ。二人きりでブラつくなんて、アイドル時代以来かな?」 

律子「プロデューサーに転向してからは、一緒に休みなんてまずありませんでしたからね」 

P「今日も別に休みではないけど」


781:◆on5CJtpVEE:2013/01/20(日) 03:12:54.61 :z8lYFzy7o

律子「亜美達には直接スタジオに来るように言ってありますし、それまでは休みみたいなものじゃないですか」 

P「まぁね。でも、ここ最近律子休みないんじゃない? どうせ亜美真美セットの仕事だし、私に一任してくれて良かったのに」 

律子「どうせ他の子は休みで、暇でしたから。それに、チャンスじゃないですか」 

P「チャンス?」 

律子「い、いえ! な、なんでもないです!」 

P「んー……?」 

(prrrrr) 

P「っとと、電話だ。ごめん、ちょっと待ってて」テクテク 

律子「あ、はーい」


782:◆on5CJtpVEE:2013/01/20(日) 03:17:04.26 :z8lYFzy7o

律子「……そう、チャンスよ、チャンス」 

律子「プロデューサーに、私の成長を見てもらうための」 

律子「……ずっと、ずっとプロデューサーの背中を追いかけてきたんだから」 

律子「……」チラッ 


P「もしもし。ああ、私私。今女の子だからさ」 


律子「ああ見えても、765プロをここまで押し上げた立役者」 

律子「そして何より、私のアイドル時代の……」 

律子「あの頃は、本当に輝いて見えたなぁ。年上の男性っていう憧れもあったのかもしれないけど」 

律子「……今日は、しっかりと見せつけないと。私の成長を」グッ 


P「……え゙っ!?」 


律子「……?」


783:◆on5CJtpVEE:2013/01/20(日) 03:21:13.02 :z8lYFzy7o

P「あ、あぁ、うん……そりゃ不味いね……」 

P「分かった。まずは行ってきて。分かり次第すぐに連絡してね。間違っても、無理はしちゃダメだからね」 

P「それじゃ」ピッ 

律子「……姫?」 

P「……」テクテク 

P「……律子」ガシッ 

律子「えっ!? ひ、姫?」 

P「……しよう」 

律子「はっ?! え、えっと心の準備が」 

P「どうしよおおおおおおおおおおりっちゃあああああああああああん!!!!!!!!」ユッサユッサユッサユッサ! 

律子「あうあわわわわうぇっあ!?」ガクンガクン 


P「亜美と真美、ノロかもしれんて……」 

律子「えっ」


794:◆on5CJtpVEE:2013/01/20(日) 22:16:00.36 :z8lYFzy7o

律子「ど、どうするんですか? というかノロが疑われるような体調で出すわけにはいかないですよ」 

P「う、うぅ……誰か、誰か今から捕まえられないか!」 

律子「他はみんなオフなので、一人か二人くらいは……」 

(prrrrr) 

(prrrrr) 


(prrrrr……) 



P「どうしてこういう時に限って誰も出ないの!!」 

律子「美希、さっき事務所に居たのに」 

P「寝てるのか気付いてないだけなのか……」 

律子「……」ピッピッ


795:◆on5CJtpVEE:2013/01/20(日) 22:24:12.89 :z8lYFzy7o

(prrrrr) 

(ガチャッ) 


涼『もしもし、律子姉ちゃん、どうしたの?』 

律子「涼、あんた今すぐステージの準備して私の所に来なさい」 

涼『えっ、いきなりどうしたの?』 

律子「うちの双子が病気で倒れちゃったのよ! この前、あんたが事故った時に代理やってあげたでしょ!!」 

P「やったの私なんだけど」 

涼『う、うぅ……て、手伝ってあげたいのは山々なんだけど……』 

律子「何か問題でもあるの?」


796:◆on5CJtpVEE:2013/01/20(日) 22:29:43.12 :z8lYFzy7o

(ヒュオオオオオオオオオオオオオ) 

玲子「外出たくない……」 

愛「涼さん、麺が伸びちゃう……」 

絵理「……焦らしプレイ?」 

涼「い、今……札幌……」 

(ブツッ) 

涼「えぇっ!? い、一方的にかけてきて一方的に切るなんて……」


797:◆on5CJtpVEE:2013/01/20(日) 22:37:33.32 :z8lYFzy7o

(ピッ) 

律子「……ど、どうしよう」 

P「まぁとりあえず律子、落ち着いて」 

律子「な、なんで一人も捕まらないのよ! ど、どうしよう?! えっと、えっと!!」 

P「律子」 

(ポンポン) 

律子「あ……頭……」 

P「ほら、テンパらないの。あまりにも想定外のことが起きると動揺する癖は相変わらずね」ポンポン 

律子「……プロデューサー、私……」 

P「こんな風に頭撫でるのも、もう随分久しぶりな気がするよ」ナデナデ 

律子「……私っ……」 

P「どうしたの?」 

律子「あの頃から、全然成長してないですね……」 

P「そんなことないよ」


798:◆on5CJtpVEE:2013/01/20(日) 22:40:10.17 :z8lYFzy7o

P「正直、今は一瞬私もテンパってたし」 

律子「でも、どうするんですか、プロデューサー。このままじゃ収録に穴開けちゃいますよ」 

P「ふむ……」 


P「!」ティンッ 


律子「どうしました?」 

P「……律子クン、妙案を思いついたぞよ」 

律子「え?」 

P「ちょっと待ってて」ピッピッ 

(prrrrr) 

P「あっ、お世話になっております。765プロの――」 


律子「……プロデューサー、どんな手を使うつもりなの……」


799:◆on5CJtpVEE:2013/01/20(日) 22:47:46.98 :z8lYFzy7o

(ピッ) 

P「よし、話はついた。私達はスタジオに向かうとしましょう」 

律子「えっ、誰か捕まったんですか!」 

P「まぁ、捕まったと言えば捕まった、のかな?」 

律子「なんだかはっきりしない物言いですね」 

P「まぁ来てみれば分かる! ヘイ、タクシー!」 

(キキッ) 

P「さあ、スタジオへ行きましょう!」 

律子「心配だなぁ……」


800:◆on5CJtpVEE:2013/01/20(日) 22:52:15.12 :z8lYFzy7o

(ブロロロロロ) 


律子「プロデューサー、本当に大丈夫なんですよね?」 

P「大丈夫大丈夫」 

律子「私、信じてますからね? これで大ミスしでかしたら765プロにも大打撃なんですからね!」 

P「いつだって仕事には本気だよ、私は」 

律子「そ、それは、そうですけど……」 

P「はぁー……りっちゃんに信用されてなかったんだなぁー、ショックだなぁー」 

律子「そこまで言ってないじゃないですか!」 

P「じゃあ、私の作戦、ちゃんと協力してくれるよね?」ウルッ 

律子「っ……あ、当たり前、じゃないですか……私にできる事なら、なんでも……」プイッ 

律子(えっなんですかその表情はどうしてそんな目で私を見るんですかプロデューサー!)カァッ 


P「……」ニヤッ


801:◆on5CJtpVEE:2013/01/20(日) 22:54:21.04 :z8lYFzy7o

【スタジオ】 


P「結構遅れちゃったな……もう16時近いよ」 

律子「設営の方も押してるみたいですね。これじゃあ曲はリハできないですよ」 

P「まぁこっちもやらかしちゃったから、文句は言えないけど」 

律子「私達はいいですけれど……代理の方に申し訳が立たないですよ」 

P「あー、それは立つから大丈夫大丈夫。というか文句は言わないと思うし」 

律子「?」 

P「収録まであと3時間かぁ……メイクさんの方にも変更を伝えて……」 

(ヴヴヴッ) 

律子「あ、メール……やっぱり二人とも、ノロだそうです」 

P「ま、仕方ないかな」ピッピッ 

(prrrrrr)


802:◆on5CJtpVEE:2013/01/20(日) 23:00:07.64 :z8lYFzy7o

【某所】 


(prrrrrr) 

(ピッ) 

真美「もしもし……」 

P『もしもし、真美?』 

真美「あ、姉ちゃん……」 

P『今電話してても大丈夫?』 

真美「うん、もう病院から帰ってるとこだから……本当にごめんね、迷惑かけちゃって……」 

P『ま、ノロは仕方ないよ。流行ってるしね』 

真美「うん……あ、ちょっと亜美に代わるね」 

P『はいはい』


803:◆on5CJtpVEE:2013/01/20(日) 23:03:24.49 :z8lYFzy7o

亜美「姉ちゃん、収録の方、大丈夫……?」 

P『うん、代理も確保したしね。二人は安静にして、しっかり治す事。分かった?』 

亜美「はい……」 

P『今日はこのまま家に帰るんだよね?』 

亜美「うん、そうだけど」 

P『どうせなら、今日の番組観てごらん。面白いものが観れるから』 

亜美「はぁい。そんじゃね、姉ちゃん」 

P『ばいばーい』 

(ピッ) 

亜美「……姉ちゃんが聖人に思えてきた……」 

真美「だよね……天使すぎるっしょ……」 

亜美「そうそう、姉ちゃんが、今日の番組、面白いものが観れるから観ててって」 

真美「? なんだろ……誰か面白い代理でも呼んだのかな?」


804:◆on5CJtpVEE:2013/01/20(日) 23:16:18.36 :z8lYFzy7o

【スタジオ】 


律子「で、楽屋まで来たのはいいんですけど」 

P「うん」 

律子「代役の人はまだ来てないんですか? 部屋に誰も居ませんけど」 

P「いや、もう来てるけど」 

律子「打ち合わせか何かですか? 荷物もありませんけど」 

P「ううん、今目の前に」 

律子「え?」 

P「うん」 

律子「……え?」 




P「今日の出演者は、YOU&I」 

律子「誰です、それ?」 

P「翻訳すると『私達というプロデューサー』……戸田奈津子訳」 

律子「ちょっ……えっ、えぇぇえええええええ?!?!?!」


806:◆on5CJtpVEE:2013/01/20(日) 23:23:05.97 :z8lYFzy7o

P「いーなくなってしまぁえ~♪ 憂鬱といぃっしょぉにぃ~♪」 

律子「こらああああああ!!!!」ベシィンッ! 

P「いたぁっ!?」 

律子「なっ、何をっ……何を考えてるんですかぁ!?」 

P「だ、だって、他に捕まらないんだから実際こうするしかないでしょう?」 

律子「か、勝手にそんな話を進めてぇ!」 

P「だからちゃんと、協力してくれるか聞いたじゃない」 

律子「き、聞かれましたけど……」 

P「私にできる事ならなんでもやるって言ったじゃないですかぁ」 

律子「う、うぐぐ……」 

P「りっちゃんは嘘つきなのかなぁ」 

律子「ややややりますよやればいいんでしょう?!」 

P(ちょろい)


807:◆on5CJtpVEE:2013/01/20(日) 23:28:05.74 :z8lYFzy7o

律子「で、でも番組側は許可したんですか? いくらなんでも、引退したアイドルとアイドルですらないプロデューサーのぶっつけ本番じゃ……」 

P「許可出てるよ」 

律子「う、嘘ぉ……」 

P「ただ……」 

律子「……?」 

P「完璧なステージを求められるアイドルとしてではなく、『引退した元人気アイドル』『正体不明の少女』として、って感じみたい」 

律子「え……」 

P「まぁ言ってしまえば話題性が欲しいだけで、ぶっちゃけステージで大ミスしてもそれはそれでウケるってことなんでしょうね」 

律子「……っ」ギリッ 

P「……そう言われるとさ、律子」 

律子「……言われると?」 


P「一発、見返してやりたくならない?」ニヤァッ 

律子「……!」 


律子「乗ってやろうじゃないですか、その話!」


808:◆on5CJtpVEE:2013/01/20(日) 23:34:40.58 :z8lYFzy7o

P「久しぶりだね、そのエビフライ。衣装のサイズはどう?」 

律子「エビフライ言わない! 亜美達がゆったりした衣装で良かったですよ……ちょっと胸が苦しいですけど」バッバッ 

P「こっちも。ま、これくらいは我慢しないとね。動けるだけマシマシ」バババッ 

律子「リハ、やってる時間ないんですよね?」 

P「勿論。それもあって、先方は出来を期待してないんでしょ」 

律子「……燃えるじゃないですか、この逆境からの攻め戦!」 

P「ふふふ、なんだかあの時を思い出すね」 

律子「あの時?」 

P「駆け出しの頃、律子が格上のオーディションに挑んだ時さ」 


律子『敵は強いからこそ燃えるんですよ!』 


P「……って」 

律子「確かにそんなことがあった気も……よく覚えてましたね」 

P「そりゃあ、私は律子のプロデューサーだもの。覚えてるよ」 

律子「~っ……!」カァァァッ 

P「り、律子?」 

律子「こ、こっち見ないでください!」


809:◆on5CJtpVEE:2013/01/20(日) 23:41:40.11 :z8lYFzy7o

P「バタバタしちゃったから、ここで通してる暇すらないか。本当にぶっつけ本番ってカンジ! あはっ☆」 

律子「イライラするんでやめてください」 

P「ごめんなさい。しっかり柔軟しておかないと……」グッグッ 

律子「でもリハなしぶっつけって、現役時代だってそんな無茶しませんでしたよ。曲は何やるんですか?」グイッグイッ 

P「THE IDOLM@STER」グググッ 

律子「えっ」 

P「THE IDOLM@STER」グィー 

律子「……プロデューサー、本気ですか?」グッグッ 

P「この土壇場で冗談なんか言わないって」グイッグイッ 

律子「踊れるんですか?」ググッググッ 

P「ちょっと前まで、ちょうど響に教えてもらってたんだよね。まぁ、律子も大丈夫でしょう」グィーン 

律子「な、何を根拠に言ってるんですか。もう、現役退いてから長らくやってない曲なのに……」グニッグニッ 

P「朝の感じなら、Bメロさえ気を付ければ大丈夫でしょ。っふー」ノビーッ 

律子「え?」 


<ステージカクニンオネガイシマース 


P「ほら呼ばれてる! 行くよー」タッタッタッ 

律子「あっ、プロデューサー!」タタタッ


810:◆on5CJtpVEE:2013/01/20(日) 23:49:24.01 :z8lYFzy7o

律子(プロデューサー、いつも見ててくれたんですね) 

P「うん、確認もできたし、準備オッケー。律子、いける?」 

律子「さっきはいきなりで驚きましたけど、大丈夫です」 

P「まぁダメって言っても」 

律子「もう、やるしかないですけどね!」 


<デハ、シュウロクハジメマース! 


P「よしっ、じゃあ気合入れていこう!」 

律子(私がアイドルをやめた後も、ちゃんと……) 

P「しかし、律子とこうしてステージに立つなんて、思ってもなかったなぁ」 

律子(……やっぱりまだまだ、私はあなたに並ぶことは出来ません) 

P「今宵限りのプロデューサーデュオ! 記録保存モノにしないとね」 

律子(でも、今はそれでも構いません。単純に、私が力不足というだけですから) 

P「律子、用意はいい?」 

律子(だから、今日は、今夜のステージだけは……) 


律子「はいっ!」 


律子(また、あなたの担当アイドルでいさせてください!)


811:◆on5CJtpVEE:2013/01/20(日) 23:59:18.41 :z8lYFzy7o

【音無邸】 


小鳥「ふぅ。確か今日は亜美ちゃん真美ちゃんのステージよね」 

小鳥「19時過ぎかぁ……そろそろ出番かな?」 

(ポチッ) 

(ヴンッ) 


『それでは登場していただきましょう!』 

『本日のシークレットゲストは、765プロからぁーーーっ!!っ!』 


小鳥「あ、ちょうどよかった! 生中継かぁ。ヘマしちゃダメよ、二人とも」 

小鳥「どれ、お手並み拝見……」 


『引退したあの元人気アイドルと、話題沸騰中の謎少女が織り成す、一夜限りのスペシャルデュオだァーーッ!!』 


小鳥「」ブフゥッ


814:◆on5CJtpVEE:2013/01/21(月) 00:27:03.99 :/+3nN0Nao

【双海邸】 


亜美「え……代理って……」 

真美「り、りっちゃんと姉ちゃん!?」 


P『こんばんはーっ! 謎の美少女こと、P子です!』 

律子『こらっ、調子に乗らないの! 初めましての方は初めまして、お久しぶりの方はお久しぶりです。秋月律子です!』 


亜美「姉ちゃん、ノリノリだね……」 

真美「りっちゃんもなんかスイッチ入ってんね」 


『律子ちゃんは久しぶりのステージだけど、大丈夫かなー?』 

律子『この私が、ダメだと思ってステージに立つと思います?』ニヤッ 

『凄い自信だねぇ! P子ちゃんはステージは初めて?』 

P『うふふ……そこも含めて、秘密です☆』 

『ミステリアスっ! 今日はその秘密が、明らかになるのかなーっ!?』 


亜美「……姉ちゃん、ちょっちキモいYO」 

真美「言うな、亜美よ……」


815:◆on5CJtpVEE:2013/01/21(月) 00:30:55.08 :/+3nN0Nao

【天ヶ瀬邸】 


(prrrrrr) 

(ピッ) 

冬馬「んだよ北斗」 

北斗『テレビ付けた方がいいと思うよ、今日のアイドルステージ』 

冬馬「あ? なんでだよ、いきなり……」 

北斗『いいからいいから』 

冬馬「はぁ……」ピッ 


P『それじゃあ聴いてください!』 


冬馬「……」 

北斗『ね、言ったでs』ピッ 

冬馬「……」ジーッ


816:◆on5CJtpVEE:2013/01/21(月) 00:36:24.97 :/+3nN0Nao

(ワァァァァアアア) 


P「これがステージ……」ボソッ 

律子「今更怖気づきました?」ボソッ 

P「そんなわけないでしょ。楽しく、そして完璧に、ね」ボソッ 

律子「ふふっ、分かってます」ボソッ 




『では、歌っていただきましょう!』 



律子「秋月律子と」 

P「P子で」 



律子・P「「THE IDOLM@STER」」 


817:◆on5CJtpVEE:2013/01/21(月) 00:46:41.27 :/+3nN0Nao

(カッ) 


律子(眩しい――) 


律子(私、本当に帰ってきたんだ) 


律子(――ステージに!) 




(ピロリロリロリロリロリロリロリロリロリロヴワァォーン) 




律子・P「「もう伏し目がちな昨日なんていらない♪」」テクテクパッ 


律子・P「「今日これから始まる私の伝説♪」」サッサックルッスッ 


律子「きっと男が見れば……」フッフッ 


P「他愛のない過ち♪」スッ…クルンッ 


律子・P「「繰り返してでも」」スッ


818:◆on5CJtpVEE:2013/01/21(月) 00:53:42.06 :/+3nN0Nao

【音無邸】 


小鳥「うぬぼれとかしたたかさも必要♪」パン!パン! 


律子『そう、恥じらいなんて時には邪魔なだけ♪』ピョンパッグルゥン 



【双海邸】 


P『清く正しく生きる……』スゥゥ 


律子『それだけでは退屈♪』グッグックイックィッ 


亜美・真美「「一歩を大きく!」」パン!パン! 



【天ヶ瀬邸】 


律子・P『『進もう毎日! 夢に向かって♪』』テクテクパッ 


冬馬「漠然とじゃない、意図的に!」パン!パン! 


律子『っ!』グッ


822:◆on5CJtpVEE:2013/01/21(月) 00:59:41.20 :/+3nN0Nao

【ステージ】 


律子(ちょっと危なかった……) 

律子(でも、なんだろう。この充足感) 

律子(声を出して、ステップ踏んで) 

律子(……あぁ、私) 

律子(やっぱり、アイドル活動、好きだったんだ) 


律子・P「「泣きたい時には」」パッパッ 


P「涙流して♪」ニコッ 


律子(この人と一緒に作り上げるステージが、好きだったのね) 


律子・P「「ストレス溜めない!」」スッ 



P「……」チラッ 

律子「……」コクン 


(スゥッ)


823:◆on5CJtpVEE:2013/01/21(月) 01:06:05.48 :/+3nN0Nao

律子「ほんの些細な言葉に傷付いた――」 


(タンッ!) 


P「だけど甘いもの食べて幸せよ――」 


(タタットンッ!) 


律子・P「「気まぐれに付き合うのも大変ね♪」」 


(トントントン!) 


律子・P「「悪いとは思うけどやめられない!」」


824:◆on5CJtpVEE:2013/01/21(月) 01:11:56.38 :/+3nN0Nao

【音無邸】 


小鳥「ふ、二人とも、いつの間にこんな……」 

小鳥「すごい……ブランクをあまり感じさせない律子さんも、なんだかんだでついていけてるプロデューサーさんも……」 

小鳥「……でもどうして二人が出てるのかしら」 



【双海邸】 


亜美「すご……そりゃ、現役の亜美達より!ってわけじゃないけど……」 

真美「そこらのへっぽこアイドルよりは全然上手いよね……」 

亜美「二人とも、一緒にレッスン頑張ってたもんね」 

真美「なんだかんだで二人とも努力家だもんねー」 



【天ヶ瀬邸】 


冬馬「?! やべぇっ! 録画してねぇ……って、そんなのは後でいい」 

冬馬「特に竜宮のプロデューサー……さっき一瞬危なかったけど、良い動きしてやがる……本当に引退してんのか?」 

冬馬「……なんだよ、こんなの見せられたらウズウズしてくるじゃねえかよ……」


825:◆on5CJtpVEE:2013/01/21(月) 01:16:47.91 :/+3nN0Nao

【ステージ】 


律子(飛び回るレーザー) 

律子(四方からぶつかってくる音圧) 

律子(スポットライトの熱) 

律子(観衆から注がれる視線、声) 

律子(ステージ横では分からない、ダイレクトな感覚) 

律子(やっぱり……気持ちいい!) 


P(これが、ステージ) 

P(確かに、すごい存在感……気を抜いたら空気に呑まれそう) 

P(でも、私だってプロデューサー) 

P(ステージには、いつもアイドルと一緒に立つつもりでやってきた!) 

P(技量不足はいざ知らず……こんなものに負けるもんか!!) 



(ピロリロリロリロリロリロリロリロリロリロヴワァォーン)


826:◆on5CJtpVEE:2013/01/21(月) 01:20:31.47 :/+3nN0Nao

(ドォンッ!) 


律子「新しい物大好き、詳しいの――」 


(タンッ!) 


P「機嫌取るには何よりプレゼント――」 


(タタットンッ!) 


律子「男では耐えられない痛みでも……♪」 


(トントントン!) 


律子・P「「女なら耐えられます、強いから!」」


829:◆on5CJtpVEE:2013/01/21(月) 01:30:02.60 :/+3nN0Nao

(ピロリロリロテーッテッテッテ) 


(ピロリロリロテーッテッテッテ) 


(ピロリロリロテーッテッテッテ) 


(ピロリロリロリロリン♪) 



律子・P「「ありがとうございましたっ!」」ニコッ 


律子(Bメロの所、また転びかけた……) 

律子(完璧なTHE IDOLM@STER、見せてやるって、思ってたのに……!) 

P「律子」ボソッ 

律子「ごめんなさい……また、同じところで」 

P「ううん。ほら、前を見てごらん」 

律子「え?」スッ


830:◆on5CJtpVEE:2013/01/21(月) 01:36:39.32 :/+3nN0Nao

(ワアァァァァァアァアアアア!!!) 


律子「あ……」 


<ヨカッタヨー! 

   リッチャンオカエリー!> 

<カワイイヨー! 

    ケッコンシテクレー!> 

<リッチャンハ、カワイイデスヨ! 


P「ほら、みんなのアイドルは、しっかり前を見ないと」 

律子「……はいっ」 

(スッ) 

律子「こらぁー! そこっ! サイリウムと一緒に婚姻届を振るなぁ!!」 

P「訓練されてるなぁ律子ファン」


831:◆on5CJtpVEE:2013/01/21(月) 01:40:53.82 :/+3nN0Nao

【楽屋】 


P「ふぅーっ! 一時はどうなることかと思ったけど、どうにかなったね」 

律子「はい、なんとか……で・す・が、プロデューサー!」 

P「は、はいっ!」ビシッ 

律子「次回からは、ちゃんと思いついた段階で言ってくださいね?! なんで直前まで黙ってたんですか!」 

P「え、ええと、不確定要素だったから実際に確定するまではと思って……」 

律子「嘘おっしゃい。私の反応を見て楽しんでたでしょ」 

P「ご、ごめんなしゃい」 

律子「かわい子ぶったってダメですからね!」グニーッ 

P「ひはひひはひ!!」


832:◆on5CJtpVEE:2013/01/21(月) 01:45:16.19 :/+3nN0Nao

律子「でも、今日は特別に許してあげます」パッ 

P「へっ? どういう風の吹き回し?」 

律子「……ま、色々あったんですよ」 

P「はぁ……?」 

律子「さっ! 挨拶回り終わったら帰りましょう、姫!」 

P「う、うん。なんかやけに機嫌がいいね、律子?」 

律子「そう見えますか? ふふっ」 

P「あ、分かった! さっきのステージで痩せたんだ!」 

律子「……」 

(ゲシィッ!) 

P「いたぁっ!?」 

律子「やっぱり姫には厳しくいくことにしますね」 

P「そんな殺生な……」


833:◆on5CJtpVEE:2013/01/21(月) 01:50:58.93 :/+3nN0Nao

【スタジオを出て】 


P「あばばばば完全に陽が落ちてさむゥい!!」ブルルッ 

律子「冷え込みますね……うー、上着がもう一枚くらい欲しいかも……」 

P「律子はこのまま帰る?」 

律子「ええ、そのつもりですけど……」 

(グイッ) 

律子「へっ?」 

P「よし、今日はお姉さんに付いてきなさい!」 

律子「ど、どこに行くんですか?」 

P「丁度近くに行きつけのバーがあるの。夕食メニューもあるから、奢ってあげる!」 

律子「私、まだ未成年なんですけど」 

P「大丈夫大丈夫、ノンアルコールも充実してるから」 

律子「はぁ、分かりました。ステージの打ち上げも兼ねて、ね」 

P「よーしっ! それじゃ、レッツゴー!」


840:◆on5CJtpVEE:2013/01/21(月) 03:46:30.25 :/+3nN0Nao

(ヒュウウウウウウウウウウ) 

律子「もうしつこい寒さですね……ステージの熱がどこかに飛んでっちゃいましたよ」 

P「でも、さっきのスタッフの顔見た? あの間抜け面!」 

律子「ぽかーんとしてましたもんね。ふふっ、思い出しただけで笑いが」 

P「あんなにできると思ってなかったんだろうね。終わってみれば、ミスらしいミスもなかったし」 

律子「私もまだまだいけますね。いっそ、もう一人くらいプロデューサー雇って、二足の草鞋しちゃいましょうか」 

P「それもいいねー。そういやエビフライ解いちゃったんだ。勿体ない」 

律子「う、うるさいですね! 今となってはあっちの方が違和感があるんですよ」 

P「私は嫌いじゃないよー、律子のエビフライ」グイィ 

律子「こっ、こらぁっ! 髪を掴まない!」 

P「ふふふ。あ、ついたついた」


841:◆on5CJtpVEE:2013/01/21(月) 03:54:09.01 :/+3nN0Nao

【バー・Fossile Vivant】 


マスター「いらっしゃい」 

律子「へぇ、ここが姫の行きつけの店ですか」 

P「学生時代からちょくちょくね」 

マスター「……?」 

律子「怪訝そうな目で見られてますよ」ボソボソ 

P「あっ、こっちの時に来たことないかも」ボソボソ 

律子「あぁ……」 

P「ま、食べるものは追々頼むとして……飲み物いっちゃおう」 

律子「えっと、私は……」 

P「この辺りがノンアルね」 

律子「じゃあ、このダミー・デイジーっていうのを……」 

P「私はバレンシアを」 

マスター「かしこまりました」


842:◆on5CJtpVEE:2013/01/21(月) 04:01:24.17 :/+3nN0Nao

P「律子も、もうすぐ二十歳だしね。こういうお店も知っておきましょ?」 

律子「ちょっと緊張しますね」 

P「大丈夫よ、ここはそんなにうるさくないから」 

律子「こういうところに来ると、ちょっと大人になった気がしますね」 

P「そこらの大学生以上に社会の荒波に揉まれておいて何を今更」 

律子「……やっぱり、そうですか?」 

P「うちの事務所回せれば大体どの会社に行ってもやってけるよ」 

律子「ですよね」 


マスター「お待たせしました」コトッコトッ 

P「ありがとうございます」 

律子「いただきます」 

(ユラユラ) 

律子「……こういう飲み物は初めてですけど、面白いですね」 

P「星の数ほど種類があるからね。飲めると楽しいよー?」 

律子「ふふっ、二十歳になる日が待ち遠しいです」


843:◆on5CJtpVEE:2013/01/21(月) 04:07:44.05 :/+3nN0Nao

P「それじゃ、今日のステージに!」 

律子「うんざりさせられるアホ面を見せてくれたスタッフに!」 

律子・P「「かんぱいっ」」チンッ 

(クイッ) 

律子「ジュースとも清涼飲料水とも違う、不思議な飲み心地ですね」 

P「お酒になると、そこにアルコールが加わってより一層不思議だよ」クイッ 

律子「私もあずささんみたいになるんでしょうか」 

P「……さぁ、どうでしょう。弱いくせに呑むからねぇ、あの人。あ、お腹空いてる?」 

律子「いえ、そんな」 

(グゥーッ) 

律子「……」 

P「ま、あれだけ動いた後だから、気にしなくても……」 

律子「そ、そういうつもりじゃないんですよぉ……!」


844:◆on5CJtpVEE:2013/01/21(月) 04:12:15.67 :/+3nN0Nao

P「今日は私の奢りだから気にしないで。ステージ復帰と、バーデビュー祝いに」 

律子「……いつか、倍にして奢り返してあげますから」 

P「なんでだろう。なんでイイコトしたのに恨み節なんだろう……」 

律子「じゃあ、ナポリタンで」 

P「私も同じで」 

マスター「かしこまりました」 

P「で、ステージはどうだった?」 

律子「やっぱり、私アイドルやるのも好きだなぁって。Bメロのところ、また危なかったですけど」 

P「気を付けないとね」 

律子「そういう姫は、三か所ほどそもそも振付を間違えてました」 

P「え゙っ」 

律子「幸い、流れが途切れることはありませんでしたから目立たなかったみたいですけど、ファンには多分バレてますよ」 

P「や、やっちゃったぁ……」ガクゥッ 

律子「……ふふ、ドンマイですよ、姫」ナデナデ 

P「りっちゃぁん……」


845:◆on5CJtpVEE:2013/01/21(月) 04:17:16.93 :/+3nN0Nao

律子「……ねぇ、姫」 

P「ん?」 

律子「私、本当は今日、プロデューサーとして成長した自分の姿を、間近で見て欲しかったんです」 

P「そんなわざわざ見なくても、律子が成長してるのは良く分かってるよ」 

律子「違うんです。そういうのとは、違うんですよ」 

P「……んー」 

律子「アイドルだった頃から……ずっと、今の自分から変わりたいと思ってました」 

律子「自信を持てない自分、思ったようにできない自分、もどかしい自分」 

律子「それは、プロデューサーに与えられてばかりだったからって、思ってました」 

律子「だから、私も独り立ちして、同じようにやって行けば」 

律子「……プロデューサーを追いかけていけば、きっと、何でもできる自分に変われるって」 

P「律子は良くできてるよ。私なんかより、よっぽど」 

律子「出来ていませんよ」


846:◆on5CJtpVEE:2013/01/21(月) 04:22:20.19 :/+3nN0Nao

律子「結局小手先ばかり器用になって、根っこの部分では変わってなかったんです」 

律子「今日だって、自分からは何一つできていません」 

P「自分に厳しいんだね、律子は」 

律子「当たり前のことですよ。自己を律せず、成長なんてないんです!」 

P「……そっかぁ」 


マスター「お待たせしました」コトッ 

律子「ありがとうございます」 

P「……じゃあ律子、一つ昔話をしてあげよっか」クルクルモグッ 

律子「昔話?」モグッ 

P「そう、昔話」


847:◆on5CJtpVEE:2013/01/21(月) 04:34:57.97 :/+3nN0Nao

P「昔々、あるところに、一人の青年がいました」 

P「青年は自分に合った職を見つけられず、日々を食いつなぎながら、転々としていました」 

P「そんなある日、ある男の人に声をかけられ、その人のところへ居座ることになります」 

P「しかし、やっぱり上手くいかない日々。居心地の良かった青年は、自分を押し殺し、変えて、なんとか頑張ろうとしました」 

P「それでも、一向に上手くいく気配はありません。青年はここも居場所ではないと諦め、またどこかへ去ろうとしました」 

P「男の人は、そんな青年の肩に手をかけ、こう言ったのです」 

P「『慌てる必要はない。変わる必要もない。私達はもう君を受け入れた。なら、あとは君らしくしていればいいだけだ』」 

P「青年は立ち去ることをやめました。代わりに、僅かな成長でも喜び、ゆっくりゆっくり、マイペースに頑張るようになりました」 

P「ちょっと厳しめの女の子と会って、一緒に頑張ることになったのは、それから数年後のお話です」 

P「……つづく」


848:◆on5CJtpVEE:2013/01/21(月) 04:42:04.25 :/+3nN0Nao

律子「それって……」 

P「ちょっと補足すると、その青年は最近、性の悩みを抱えているらしいよ」 

律子「きっとだらしがない人なんでしょうね」 

P「……どうかなぁ」 

律子「ふふっ」 

(クルクルモグモグ) 

律子「私アイドルの頃、プロデューサーに憧れてたんです」 

P「んんっ!?」ゴホッ 

律子「へ、変な意味じゃなくて!」 

P「げほっ……へ、変なこと言うからむせちゃったじゃないの!」 

律子「この人は何でもできるんだなぁ、何を任せても大丈夫だなぁって」 

律子「頼ってばかりで、助けられてばかりで、どんな無茶でも受け入れてくれて」 

P「そんなに完璧超人だったかなぁ……」 

律子「今だって十分すぎるくらい完璧超人ですよ。ちょっとドジですけど」クスッ


849:◆on5CJtpVEE:2013/01/21(月) 04:48:54.91 :/+3nN0Nao

律子「最初は、事務所開く勉強も兼ねて、765プロに入ったんですけど」 

律子「アイドルやって、プロデューサーを見ていたら、こういう人になりたいなって」 

P「お手本にしたらまずいと思うんだけどなぁ、私は」 

律子「その背中を追いかけて、追いついて、並びたかったんです」 

P「……追いかけるのはあまりお勧めできないなー」 

律子「え?」 

P「目標は、他人に依存しちゃダメ。もしその人を見失ったら、目標を失くした時、どうなる?」 

律子「え……プロデューサー……い、居なくなるんですか?!」ガタッ 

P「ち、違うよ違う! たとえ話! 一応バーだから、少し静かに……」 

律子「あっ、すみません……」 

P「……例えば幻滅しちゃったりとかさ。可能性はいくらでもあるけど……不意に期待が裏切られた時に、これまでの自分までも否定することになるから」 

律子「……プロデューサーは、そういうことがあったんですか?」 

P「……さぁ、どうでしょうね」ゴクッ 

P「マッカランの12年を水割りで」 

マスター「かしこまりました」


850:◆on5CJtpVEE:2013/01/21(月) 04:55:14.23 :/+3nN0Nao

P「一つだけ言えるのはね、誰かを目標にして、同じようになろうとすると、その人は本当につまらない人間になるよ」 

律子「けど、並ぶためには、今の私から変わらないと……自分を捨ててでも……!」 

P「そんなに変わらなくていいの」 

律子「え?」 

P「進み方や良さ、やり方なんて人それぞれなんだから。そのままでいいのよ。心まで変わる必要はない」 

P「私達の仕事は、アイドルのプロデュース。アイドル達と、心と心でコミュニケーションする仕事」 

律子「心と、心で……」 

P「そりゃあ、営業で愛想を振りまくこともあるけど。でも取引だって、本音を見せ合わないと、本当の信頼関係は築けない。お父さんを見てれば分かるでしょ?」 

律子「……」 

P「特に、多感な時期のアイドル達なんだから。律子もだけどね」 

P「最終的に一番伝わるのは、ここ。そこを偽ったら、全部台無しだよ」 

(トントン) 

律子「っ!」カァァッ 

(バッ) 

律子「ぷ、プロデューサー、セクハラですよ」 

P「あ、ごめん……女同士だから、つい……」


851:◆on5CJtpVEE:2013/01/21(月) 05:02:21.51 :/+3nN0Nao

マスター「どうぞ、マッカランです」 

P「ありがとうございます」 

律子「……プロデューサー」 

P「ん?」チビッ 

律子「私は、あなたの隣に並べますか?」 

P「自分のペースでやってればすぐだよ。全く、私が何年もかけて身に付けたことを、一年そこらで覚えちゃって……」 

律子「……いなくなったり、しないですよね」 

P「まださっきのこと引き摺ってるの? 765プロ追い出されたら、飢え死にするしかないよ」 

律子「ちょっと、アイドルだった頃を思い出しました」 

律子「実は内心、いつもプロデューサーを頼りにしてて」 

律子「……プロデューサー業に転向したばかりの頃は、心細くて泣きそうになってばかりで」 

P「やけに素直じゃない、今夜は」チビッ 

律子「……姫だからですよ」 

P「そうかぁ、姫だからかぁ」


852:◆on5CJtpVEE:2013/01/21(月) 05:06:40.37 :/+3nN0Nao

律子「あなたがいなけりゃ、楽な気持ちになれると思ったんですよ。寂しさに耐えればいいだけだって」 

P「ここでYOU&Iかぁ」 

律子「でも結局、あなたに並びたいんじゃ仕方ないですね」 

P「今だって十分、隣に居させてもらってるよ」 

律子「つきあいがいがありすぎて、身も心もくたくたですよ」 

律子「……特に、ここ最近は」ジロッ 

P「うっ」 

律子「……」


853:◆on5CJtpVEE:2013/01/21(月) 05:09:22.09 :/+3nN0Nao

(ガッ) 


P「えっ?」 

律子「……」グイッ 

P「ちょっ」 

律子「……」ゴクッ 

P「そっ、それっアルコールっ!」 

マスター「?」チラッ 

P「っ」バッ 

律子「……」ポー 

P「み、水割りと言ってもウイスキーだよそれ……もう、貴音といい止める間もなく……! すみません、お冷二つ……」 

律子「……ぷろでゅーさー」 

P「ほら、水飲んで水」 

律子「……」ゴクッ 

P「ああもう、これはダメだなぁ……すみません、お会計を……」


854:◆on5CJtpVEE:2013/01/21(月) 05:15:07.22 :/+3nN0Nao

(カランカラァン) 


P「一気飲みなんてするから……あんまり減ってなかったのに……うぅ、冬の夜はやっぱり冷えるなぁ」 

律子「うー……」 

P「立てる?」 

律子「……色んな子といちゃいちゃしてぇ……」 

P「ダメだこりゃ……タクシー捕まえないと。ほら、おんぶしてあげるから」 

律子「この馬鹿プロデューサー……」 

P「伊織みたいなこと言わないの……よっこいせっと。軽いなぁ」 

律子「……私が、どんな気持ちで見てるか……」 

P「はいはい。話はまた今度聞いてあげるから」 

律子「私はぁ! 真面目に話してるんですよぉ! うっ……」 

P「急に大声出すと辛いよ、律子」 

律子「うぅー……」


855:◆on5CJtpVEE:2013/01/21(月) 05:23:11.12 :/+3nN0Nao

律子「……いつもいつもみんなとばかり……」 

P「ごめんね」テクテク 

律子「私、だって」 

P「……」テクテク 

律子「好き、なんですからぁ……」 

P「……」テクテク 

律子「プロデューサーのこと……誰よりも前から、ずっとずっと……アイドルだった頃から……」 

P「……」テクテク 

律子「……好き、なんですよ……プロデューサー……」 

P「……」テクテク 

律子「……すぅ……すぅ……」 

P「……姫は何も聞いてないよ、律子」 

(ナデナデ) 

律子「ん……」 

P「……ごめんね、一人ぼっちにして。寂しがり屋だもんね、律子は」 

律子「すぅ…………」


856:◆on5CJtpVEE:2013/01/21(月) 05:26:43.96 :/+3nN0Nao

(ブロロロロロ) 


律子「……ん、あれ、ここは……」 

P「あぁ、起きた? タクシーの中よ」 

律子「うー、バーに居た辺りから記憶が……」 

P「いきなり人のウイスキー奪ったりするから……まだ未成年でしょうが」ボソッ 

律子「うっ」 

P「まぁ、あれは事故ということで」 

律子「は、はい。間違えて飲んでしまったということで」 

P「……以後、気を付ける様に」 

律子「……はい」


857:◆on5CJtpVEE:2013/01/21(月) 05:30:55.96 :/+3nN0Nao

(キキッ) 


P「あ、着いたみたいだ。もう歩けるよね?」 

律子「ご迷惑をおかけしました……」 

P「いいのいいの。私はこのまま乗って帰るから」 

律子「今日は、ご馳走様でした。……あの」 

P「?」 

律子「……私、酔ってる時に何か言いました?」 

P「私は何も聞いてないけど」 

律子「そうですか? んー……夢だったのかな……」 

P「へー、どんな夢?」 

律子「ひ、秘密です秘密!!」 

P「ふふ、そっか」


858:◆on5CJtpVEE:2013/01/21(月) 05:36:37.14 :/+3nN0Nao

P「それじゃあ律子、また明日」 

律子「はい、おやすみなさい」 


(バタン) 

(ブロロロロロ…) 


律子「あーあ、行っちゃった。折角、久しぶりに二人きりだったのにな」 

律子「……恥ずかしい夢だったなぁ」 

律子「……」 


律子「プロデューサー」 


律子(今はこんな意地っ張りな私ですけど) 


律子(やっぱり、変わろうと思います) 


律子「……いつか、夢なんかじゃなくて」 

律子「ちゃんと、正面からプロデューサーに伝えますからね」 

律子「私の、気持ち」 


―――――― 
―――― 
――


859:◆on5CJtpVEE:2013/01/21(月) 05:45:36.17 :/+3nN0Nao

~翌日!~ 


律子「プロデューサー、アレあります?」 

P「あー、残ってたかなぁ……あったあった。はいよ」 

律子「ありがとうございます」 


やよい「すごいなぁ……なんだか、以心伝心って感じだね!」 

伊織「たまたまでしょ?」 


小鳥「あ、すみません、アレ取っていただけます?」 

P「? アレってなんです?」 

律子「ええと、ドレですかね」 

小鳥「えっと、そっちの角の……」 

P「アレのことじゃないか?」 

律子「ああ、アレですか」 

小鳥「そう、ソレですソレ!」 


伊織「……あの二人限定みたいね」 

やよい「やっぱり二人は仲良しさんなのかな?」 

伊織「ま、付き合いも長いみたいだしね」 

やよい「でも、小鳥さんの方がプロデューサーと付き合い長いんじゃ……」 

伊織「担当の絆ってやつかしらね」


860:◆on5CJtpVEE:2013/01/21(月) 05:52:20.91 :/+3nN0Nao

小鳥「そういえば昨日の中継! あれ、どうしたんですか?」 

P「あー、亜美真美がノロで倒れたから、急遽……」 

真「びっくりしましたよ、いきなり二人がテレビに映ってて。お茶どうぞ」コトッ 

P「ふむ、真のお茶力もだいぶ上がってきたな。これも賢者雪歩のお陰か」ズズッ 

真「へへっ」 

伊織「でも、いきなりにしてはそれなりに良かったじゃない」 

P「おっ、観てくれたのか」 

やよい「うっうー! お二人とも、かっこよかったです!」 

真「ボクも教えた甲斐がありましたよ。Bメロ、危なかったね」 

律子「うっ」 

真「あと、プロデューサー間違えすぎ」 

P「うっ」 

小鳥「でも、よく二人でやる気になれましたね」 

律子「まぁ、色々あったんですよ、色々」 


(ガラッ) 


美希「……その色々について、聞きたいの!」 

P「美希?」


861:◆on5CJtpVEE:2013/01/21(月) 05:54:21.63 :/+3nN0Nao

(ガッ) 

P「うぐっ」 

美希「ミキもハニーとステージに出たかったのに!」 

P「ちゃんと電話したぞお前にも……」 

美希「王子様が起こしに来るものでしょ!」 

P「んな無茶な! それに昨日はお姫様だっただろ!!」 

美希「デートした挙句二人でステージなんてズルいのーーっ!!」ギャーギャー 

P「こっちだって大変だったんだよ!」ギャーギャー 

(バタバタ) 

P「あっ」ガッ 

(バサァッ) 

P「あ……」 

美希「書類が……」 


律子「…………」


862:◆on5CJtpVEE:2013/01/21(月) 06:00:15.08 :/+3nN0Nao

(ゴツンッ!) 

美希「いたぁっ!」 

律子「事務所で暴れない!」 

美希「うぅ……」 

P「え、えっと、律子、さん……?」 

律子「……」 

(グワッ!) 

P「ひっ!」 


(コツンッ) 


P「……ん?」 

律子「もうっ。子どもと一緒になって騒がないでくださいよ」 

P「あ、あぁ、うん、すまん」


863:◆on5CJtpVEE:2013/01/21(月) 06:01:32.42 :/+3nN0Nao

美希「今日の律子、ハニーにだけなんだか甘いの」 

律子「さんを付けなさい、さんを」 

美希「……」 

律子「?」 

美希「……やっぱり律子、さん、ハニーのこと……」 

律子「っ!!!」カァァァアッ 

美希「あれ、真っ赤だよ?」 

律子「……!! くぉらぁぁぁあああ美希ぃぃぃいいいいい!!!!」 

美希「た、退散なのーーー!!!」ダダダッ 

律子「待ちなさぁぁぁぁああい!!!!」ダダダッ


864:◆on5CJtpVEE:2013/01/21(月) 06:03:31.35 :/+3nN0Nao

(ヒュウウウウウ) 

やよい「……」 

小鳥「嵐のように去って行きましたね……」 

P「ふぅ……」 

真「とりあえず書類はこれで全部かなぁ。並びは自分で戻してくださいよ」 

P「サンキューまこりん」 

伊織「……というか、律子、気付かれてないとでも思ってるのかしら」 

P「ああ、世界は今日も平和だなァ」ペラッペラッ 

伊織「そこんところどうなのよ、馬鹿プロデューサー」チラッ 

P「……俺は何も知らんよ、俺は」 

伊織「……あっそ」 





(ダダダダダダダダ) 

美希「律子もミキみたいにアタックすればいいって思うな!」ダダダッ 

律子「それが出来たら苦労しないのよ!」ダダダッ 

美希「あ、今自白したの」ダダダッ 

律子「?!?!?! うるさあああああああい!!!!!!」 






律子編おわわ 
To Be Continued...


865:◆on5CJtpVEE:2013/01/21(月) 06:07:32.64 :/+3nN0Nao

延ばし延ばしにしてきた上に長丁場で申し訳なかた 
わたくしは今から課題に取り掛かります 
お疲れ様でした


977:◆on5CJtpVEE:2013/03/31(日) 01:04:25.93 :xv1XeHYjo

「みんなの日常一コマ劇場」 


はーじまーるよー 


978:◆on5CJtpVEE:2013/03/31(日) 01:07:00.12 :xv1XeHYjo

【モーニングコール】 


P「んー、今日もいい朝……」ビューティーボイス 

P「ちっ、面倒な日だな」 

(prrrrrr)ピッ 

P「もしもし」 

春香『あっ、プロデューサーさん、今日はそっちなんですね!』 

P「確実にそのようだ」 

春香『今日は寒いですから、レギンスとか穿くといいと思いますよ! またあとで事務所で!』ピッ 

P「レギンスか……どこにしまったっけ」 

(prrrrrr)ピッ 

P「もしもし」 

あずさ『あら、プロデューサーさん? 今日はそっちなのね~』 

P「おはよーあずさ。面倒ったらありゃしない」 

あずさ『もしお暇だったら、新しく見つけたカフェに行きましょう? ちょっと考えておいてくださいね』ピッ 

P「予定どうだったかなぁ……」 

(prrrrrr) 

P「今度は伊織か。毎朝毎朝、みんなマメだなぁ」 

P「……つーかなんで俺の不規則起床スケジュールを把握してんだこいつら」


979:◆on5CJtpVEE:2013/03/31(日) 01:13:24.51 :xv1XeHYjo

【通勤ラッシュ】 


(マモナク4バンセンニ、カイソク、トウキョウユキガ…)プァーン 

(プシュー) 

(ギチィッ!) 

P「今日も人ごみをかき分ける作業が始まるお……」 

(グイィ) 

P「暑苦しい……ん?」 

(スゥゥゥ) 

P(視界の端に見える、この怪しい腕は……) 

P「はぁ、俺も次からは女性専用車両行こうかなぁ……ホアァッ!!」カカッ! 

(ビクゥッ!)ススッ 

P「おっ、ラッキー。なんか知らないけど周囲が空いたぞ」 



やよい「今日電車に乗ってたら、いきなり奇声を上げた人がいて……」 

雪歩「最近、変な人増えてるよね。やよいも気を付けなきゃダメだよ?」 

P(うん、俺も気を付けよう)


980:◆on5CJtpVEE:2013/03/31(日) 01:21:06.81 :xv1XeHYjo

【レディースデー】 


真「あっ、プロデューサー、そこの映画館レディースデーですよ!」 

P「今日の撮影は夕方過ぎだし……ま、いっか」 

真「やーりぃ!」 


~受付にて~ 

真「2枚お願いしまーす!」 

受付「はい、高校生の方でしょうか?」 

真「? そうですけど」 

受付「では、高校生一枚と女性一枚で、2500円になります」 

真「えっ」 

受付「えっ」 

P「アハハハハ、ジョセイ2マイデスヨ?」 


真「……プロデューサー、なんなんでしょう、この敗北感は……」 

P「奇遇だな……俺も深い悲しみに包まれたところだ……」


981:◆on5CJtpVEE:2013/03/31(日) 01:32:01.76 :xv1XeHYjo

【オトコノコの悩み】 


冬馬「チッ、お前か……チラチラ目障りなんだよ」 

P「いきなりご挨拶だなお前は……」ダンディーボイス 


冬馬「あっ?! え、あっと、その、げ、元気か?」 

P「あ、天ヶ瀬さん、こ、こんにちは……」ビューティーボイス 


冬馬「畜生っ! お前らみたいな甘い連中に、どうして……!」 

P「ククク、いつでもかかってくるがいい!」ダンディーボイス 


冬馬「あ、あのよ! じ、実はこの前、遊園地のチケット貰ってさ……!」 

P「ごごごごめんなさい予定が入ってて!!!」ビューティーボイス 



冬馬「なんでうまくいかねぇんだよ……俺、嫌われてるのか……」 

響「そ、そんなことはないと思うぞ! な、プロデューサー!」 

北斗「そんなことないさ! ねぇ、プロデューサー!」 

翔太「き、きっと照れ屋なだけだって! そうだよね、プロデューサー!」 

冬馬「そ、そうだと思うか、プロデューサー!?」 

P(そんなキラキラした目で俺を見るなよ……)


982:◆on5CJtpVEE:2013/03/31(日) 01:48:35.84 :xv1XeHYjo

【目下一番の悩み】 


美希「ほら見て! 絶対にコレ似合うと思うの!」 

P「へぇ、こんなのもあるんだ……」ビューティーボイス 

美希「こっちもこっちも!」 

P「ふぅん……あっ、結構いいカンジ」 

美希「ハニーなら……ほらっ、ぴったりなの!」 

P「どう?」クルッ 

美希「すっっっっっっごくカワイイの!!」 

P「そ、そう? そ、それじゃあ買っちゃおうかな……」 

美希「こっちも!」 

P「これも……」 

美希「こんなのも!」 

P「こういう風なのも……」 

キャッキャ…… 

    ウフフ…… 

  キャッキャ…… 

      ウフフ…… 




~翌月~ 

請求書『見せられないよ!』 

P「しにたい……」ダンディーボイス


983:◆on5CJtpVEE:2013/03/31(日) 03:40:21.81 :xv1XeHYjo

【直面する危機】 


千早「どこもすごい熱気ですね、プロデューサー」 

P「流石、旬のアイドルが勢揃いのフェスってとこかな」ビューティーボイス 

千早「女性ファンも沢山いますね。少し新鮮です」 

P「いつも男性ファンが多いからねぇ。ちょっと席外すよ」 

千早「挨拶か何かですか? ここで待ってますね」 

P「なるべく早く戻るよ」 


(テクテク) 

P「お手洗いに行くとか、言いづらいし……う、結構我慢してたからちょっと不味い」ヒョコヒョコ 

P「マップによると、ここを曲がった先……」チラッ 


(ズラァッ!) 


P「…………」 

看板『最後尾はこちら!』 

P「……」ピッピッ 

(prrrrrrガチャッ) 

千早『どうしました、プロデューサー?』 

P「ごめん、ちょっと慣れたからって女人生を嘗めてたかもしれない」ガクガク 

千早『え?』


984:◆on5CJtpVEE:2013/03/31(日) 03:51:05.36 :xv1XeHYjo

【儚い一夜】 


P「貴音……」ダンディーボイス 

貴音「あなた様……」ウットリ 

P「お姉様……?」ビューティーボイス 

貴音「貴女様?!」クルッ 

P「どうしたんだ、貴音。俺はこっちにいるぞ」ダンディーボイス 

P「お姉様、こっちを見て?」ビューティーボイス 

貴音「あ、あぁ……何ということでしょう……これが、これが両手に華という……」 

P「貴音」ダンディーボイス 

P「お姉様」ビューティーボイス 

貴音「……っ、駄目でございます、わたくしに、お二人を選ぶことなど!」 



貴音「できにゃあぁぁぁあ……?」ガバッ 

貴音「……夢……」 

貴音「うぅ、いけずでございます、あなた様……」ガクッ 

(prrrrrr) 

貴音「っ!?」バッピッ 

貴音「あなた様!」 

伊織『えっ、ど、どうしたのよ?』 

貴音「……この泥棒猫!!」カッ! 

伊織『はぁっ!?』カチンッ!


986:◆on5CJtpVEE:2013/03/31(日) 04:05:05.62 :xv1XeHYjo

【濃厚な二人の】 


北斗『あぁっ、駄目だよ、冬馬……!』 

冬馬『うるせぇっ! お前が、お前がファンの子たちに、色目を使うから……!』 

北斗『そうか……寂しかったんだね、冬馬』 

冬馬『馬鹿野郎ッ……!』 



P「そして北斗はおもむろに自分の服をああああああああ?!」ズバァ-z_ンッ! 

小鳥「あぁっ?! な、なんということを!」 

P「こんなもの読めません! P子は純真な乙女なんです!」ビューティーシャウト 

雪歩「そうです! この二人なら北斗攻冬馬受に決まっt」ババッ 

P「だらっしゃあああああああ!!!!」バッサァ-z_ッ! 

雪歩「わ、私の宝物がぁー!?」 

P「なんてものを! 二人ともなんてものを事務所に持ってきてるの! 没収、没収です!」バッ! 

小鳥「ああん!」 

P「ほらっ、小鳥さんはやることあるでしょ! 雪歩は遅いから帰りなさい!」 

小鳥「うぅ……女の子な今ならこっちに引き込めると思ったのに……」テクテク 

雪歩「ふえぇ、ごめんなさぁい……」トボトボ 

(ガチャッ) 

(バタンッ) 

P「全く! 二人してこんなものを!」バサッ 

P「年少組に見られたりしたらどうするの……」チラッ 

P「……」 

P「……」カァッ


987:◆on5CJtpVEE:2013/03/31(日) 04:12:32.65 :xv1XeHYjo

【目下一番の悩みの二番目】 


P「それじゃあ、この後のことだけど……うっ」ズキンッ 

亜美「?」 

真美「どったの?」 

P「う、ううん! な、なんでもないから!」ビューティーボイス 

亜美「えー、そう言われると心配になるっしょ」 

真美「なんかお腹押さえて苦しそうだよ?」 

P「ホント! ホントなんでもないから!」アセアセ 

真美「でも……」 

亜美「りっちゃーん! 姉ちゃんがなんか体調悪そうだよ!」 

律子「え? 姫、どうかしましたか?」 

P「え、あ、いや、その……うぅっ」ガクッ 

律子「えっえっ!? わ、私が続きやっておきますから! と、隣の部屋で休んでください!」 

真美「姉ちゃん……無理はしないでほしいよ……」 

亜美「立てる?」 

P「だ、大丈夫。ありがとね、みんな」フラフラガチャッ 

(バタン) 

真美「姉ちゃん、ホントに大丈夫かな……」 

亜美「ねぇ、りっちゃん! 姉ちゃん、死んだりしないよね!?」 

律子(……まさか、姫……) 


P「こ、こんなに苦しい世界だったとは……」 

P「言えない……まだ来てない二人には……女の子の日だなんて……うぐっ」ピクピク


988:◆on5CJtpVEE:2013/03/31(日) 04:25:06.82 :xv1XeHYjo

【策士策に溺れる】 


律子「私が独自にまとめた姫周期の統計データによれば……」ペラッペラッ 

律子「今日、プロデューサー殿が姫である確率は、七割以上……!」 

律子「そして……姫である時は、押しに弱い傾向があることも確認済み……」 

律子「ならば、この作戦は、高確率で成功するはず……」 

律子「ファッションショー招待券……!」ピラッ 

律子「ふふ、最近女の子ファッションに関心があるのもリサーチ済み! これならば……」 


P『わっ、綺麗な衣装! うちの子たちにもこんな服を着せてみたいねー』ビューティーボイス 

律子『でも、姫にもきっと似合いますよ?』 

P『っ!?』アセアセ 

律子『ふふっ、冗談ですよ、冗談!』 

P『も、もうっ!』 

律子『……着てみます? 私が着せてあげますから……』チラッ 

P『り、律子が、そう言うなら……』 


律子「なんて、なぁんて!」キュンキュンッ 

律子「あっ、そろそろ出社時刻ね! この時間に来る確率は99%!」 

(ガラッ) 


P「ちぃーっす、おはよう」ダンディーボイス 


律子「出直して来い」 

P「?!」


989:◆on5CJtpVEE:2013/03/31(日) 04:36:08.66 :xv1XeHYjo

【最近は知識が豊富】 


P「もやしパーティーかぁ、なんだか久しぶりかも」ビューティーボイス 

やよい「前に来たのは先月でしたっけ?」 

伊織「ちょっと、私それ知らないわよ!」 

P「ふふん、私とやよいだけのヒミツ回だったからねー?」ニコッ 

やよい「ねーっ!」ニコッ 

伊織「きーっ!」 

(ガラッ) 

やよい「ただいまー!」 

伊織「お邪魔しまーす」 

長介「あ、おかえり。それに伊織さんもいらっしゃ……?」 

P「こんばんはー」 

やよい「プロデューサーも連れてきたよ!」 

長介「え……プロ……?」 

伊織「あれ? 馬鹿プロデューサー、その状態で来るのは初めてなの?」 

P(いっそ別人扱いしてくれた方が良かったのに……子供に説明するのは面倒だなぁ) 

P「え、えーと、久しぶり! ちょっと理解できないかもしれないけど、私……」 

長介「に、兄ちゃん、新しい人生を歩むことにしたのか?! お、俺はそんなんで差別したりしないけど……」 

P「半端に物分かりのいいガキは嫌いだよ私」


990:◆on5CJtpVEE:2013/03/31(日) 04:47:49.04 :xv1XeHYjo

【自分達、完璧だったからな……】 


P「よ、いらっしゃい」ダンディーボイス 

響「お邪魔しまーす!」 

春香「うわぁ、プロデューサーさんのお部屋……」 

P「散らかってるけど勘弁してくれな」 

響(……思ってたより綺麗だ……) 

春香(片付けて出来る子アピールしようと思ってたのに……) 

響「あ、自分ご飯作るぞ!」 

P「ん? ああ、大丈夫だよ。前に女の子の嗜みとか言って、料理教えてくれただろ。バッチリ準備してるよ」ジュージュー 

響(うわぁぁぁぁあああ昔の自分の馬鹿ぁぁぁあああ!!!) 

春香「な、ならデザートを私が!」 

P「心配すんなって、この前教えてくれたお店で買ったからさ。お前、このチョコレートケーキがうまいって言ってたよな」ゴソゴソ 

春香(ざ、材料まで買ってきたのにいいいいいい!!!) 

P「……ん? どうしたんだ、二人とも?」 

響「い、いや……あはは……」シュンッ 

春香「な、なんでもないですよ……女子力高いですね……」ガクゥッ 

P「? 変な二人だな」 

春香・響((厚かましく遊びに来ただけだコレ……))


991:◆on5CJtpVEE:2013/03/31(日) 04:59:46.41 :xv1XeHYjo

【むしろ逆の差】 


P「んー、いい香り」ビューティーボイス 

あずさ「うふふ、豆をその場で挽いてくれるのがいいわよね~」 

P「早く来ないかなー」 

あずさ「もう、慌てないの。すぐに来るわよ」 

P「分かってるけど……」チラッ 

店員「お待たせいたしました」カチャッ 

P「来た来た! んー、おいし」ゴクッ 

あずさ「ふふっ、本当ねぇ」ゴクッ 

店員「お仲がよろしいんですね」ニコッ 

あずさ「うふふ、そうかしら?」 

P「そう見えると嬉しいですね」 

店員「ご姉妹ですか?」 

あずさ「」ピシィッ! 

P「い、いえっ、あはは、大学の友人で……」 

あずさ「……」ピクピク 

P(ダメだ! そ、それ以上は言っては……!) 

店員「あっ、失礼いたしました。てっきり、あなたが妹さんかと……」 

あずさ「」プツンッ 

P「あは、あはは……私、童顔で……」 

あずさ「……」ゴゴゴゴゴゴ 

P(ひいいいいいいい!!!!)


992:◆on5CJtpVEE:2013/03/31(日) 05:11:38.52 :xv1XeHYjo

【もう一度、新たな一年】 


(ベリッ) 

P「ん、明日からもう新年度かぁ」ダンディーボイス 

貴音「元旦とはまた違う、新たな一年の幕開けでございます」 

P「番組改変とかもこの時期が多いしな。俺にとってはこっちの方が年の始まりらしいかもしれん」 

貴音「新しい年度は、どんな日々が待っているのでしょうか」 

P「ビジネススケジュールは結構決まってるぞ。春の新番組のレギュラーもそれなりにあるしな」 

貴音「……無粋な殿方は嫌われます」 

P「分かってる分かってる。決まってるのは所詮、仕事のスケジュールだ。その過程でどんなことがあるかも、誰と出会うかも、未知がいっぱいだ」 

P「ましてや、私生活もあるしな。どんな一年になるのやら」 

貴音「あなた様は、やはりいけずです……」 

P「あはは。でも、俺はどっちで新年度を迎えることになるのかなぁ……朝起きるのが若干怖いな」 

貴音「それは……ふふ、どちらでも良いではありませんか」 

P「良かないよ。どっちになるかで幸先が良いか悪いか、左右される気もするし」 

貴音「わたくしにとっては、あなた様に会えれば、どちらでも幸先の良い一年の始まりですから」ボソッ 

P「え? 手羽先?」 

貴音「鶏肉?!」パァッ! 

P「……買いに行くか」 

貴音「はいっ!」


993:◆on5CJtpVEE:2013/03/31(日) 05:17:40.69 :xv1XeHYjo

そんなわけで、前回のりっちゃんから二か月以上、一コマ劇場でした 
通勤ラッシュとレディースデーにビューティーボイス付け忘れた 

目下就活真っ最中につき、色々と遅れてて申し訳ござらん 
ES文章ばかりでSSは二か月ぶりだから書く感覚なかなか思い出せん 
同じような形式でバレンタインデーネタ考えてたんだけどオチと展開に詰まったからお蔵入り疑惑濃厚 

軽食レベルの腹の足しにもならんとは思いますが、本編の続きはもうしばらくお待ちください 
真に申し訳ねぇ 
まこまこりんじゃないよ 
皆さま、良い新年度を
 

元スレ
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1354904121