1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/03(日) 22:59:38.13 :wl2shT/N0

菜々「はあ、みんなイギリスツアーに行ってるのに、ナナは留守番なんて……」

菜々「福豆でも食べよ……21、22、23、24、25、26、にじゅ」

ちひろ「あ、菜々さん。もう来てたんですね」

菜々「じゅうなな♪ ちひろさん、おはようございます!」 


2:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/03(日) 23:00:55.20 :wl2shT/N0

菜々「ちひろさん、ナナにお願いしたいお手伝いがあるって言ってましたけど?」

ちひろ「そうなんですよ。新春ライブでお疲れのとこ、ごめんなさいね」

菜々「いいんですよーっ。ナナは24時間戦えますからね! ツアーにも行ってないから疲れてません!」

ちひろ「えっ、リゲイン……あ、うん良かったです。菜々さん頼りにしてますから」

菜々「はいっ、いつでも呼んでください! Pさんはツアーに呼んでくれませんでしたけど!」

ちひろ(根に持ってるなー) 


3:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/03(日) 23:05:30.17 :wl2shT/N0

菜々「それで、お手伝いというのは?」

ちひろ「そうそう、これなんですけど……」

菜々「すごい……福豆と恵方巻きの山……。これって?」

ちひろ「とーっても良心的で格安のお店で売り出してる節分商品なんですけど、ちょっと仕入れすぎちゃって」

菜々「うちってアイドル事務所ですよね……?」 


7:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/03(日) 23:11:15.27 :wl2shT/N0

ちひろ「それで、売り出しの手伝いを菜々さんにお願いしたいんですよ」

菜々「分かりました。こう見えてお客さん相手に売り込みするのは得意なんですよ。長年の経験がありますから♪」

ちひろ「長年……。あ、でも菜々さんにお願いしたいのは、これなんです」

菜々「恵方巻きですね。おいしそうです♪……それで?」

ちひろ「これをおいしそうに食べてもらうだけでいいんですよ」

菜々「えっ」 


12:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/03(日) 23:17:28.32 :wl2shT/N0

菜々「食べるだけで、いいんですよね?」

ちひろ「そうですよ! さあこの恵方巻きを!」

菜々「あ、どうも……。あのちひろさん、何でビデオ撮ってるんです?」

ちひろ「販促用のビデオですよ。気にしないでくださいっ」

菜々「は、はい……。じゃあ、食べますよ」

ちひろ「あっ、ちょっと待ってください! カメラ見ながら、上目遣いでお願いしますっ」

菜々「あ、あの、ちょっとそれは」

ちひろ「さあこの黒くてぶっとい恵方巻きを、かわいいお口でくわえてーっ!」

菜々「何かおっさんみたいな声音になってますけどーっ」 


13:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/03(日) 23:22:48.02 :wl2shT/N0

菜々「やっぱりイヤですっ。えーっと、ナナ17歳だから分かりませんけど、これは何かイヤですっ」

ちひろ「……アイドルになりたいんだろう?」

菜々「いやもうアイドルですし! 何で悪徳プロデューサーみたいな口調に?!」

ちひろ「もう冗談ですよ。この方が雰囲気が出るかなー、と思いまして」

菜々「何の雰囲気ですか……」 


15:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/03(日) 23:29:34.77 :wl2shT/N0

菜々「こんなの撮ったらPさんに怒られちゃいますっ。アイドルはイメージが大事なんですから」

ちひろ「そんなぁ。いい案だと思ったんですけど。じゃあ福豆だけでも」

菜々「いやもう嫌な予感しかしないんでイヤですっ」

ちひろ「しゃべるだけでいいんですよ。『ナナのお豆さん♪』って言ってくれれば」

菜々「……必死ですね」 


17:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/03(日) 23:33:54.53 :wl2shT/N0

ちひろ「ああもう節分終わっちゃいますよ。どうしようこの在庫の山っ」

菜々「高級おせちの時も大概でしたけど……ナナ一生分のおせち食べさせられましたよ」

ちひろ「じゃあお口直しに恵方巻き」

菜々「ナナはNO! と言えるウサミン星人ですっ」

ちひろ「懐かしすぎるでしょ……」 


19:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/03(日) 23:39:37.19 :wl2shT/N0

菜々「もう、まだマイナーとは言えナナはアイドルですよ? アイドルはその……そういうのはダメですっ」

ちひろ「またまた、そんな何も知らないようなこと言ってぇ、もう」

菜々「ち、地球のことは知らないこともいっぱいありますっ」

ちひろ「うふふ、でも菜々さんだって、恋愛経験は結構あるんでしょう?」

菜々「え?」

ちひろ「え?」

菜々「だって……アイドルは恋愛禁止ですよ?」 


22:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/03(日) 23:45:46.85 :wl2shT/N0

ちひろ「あー、まあそういうところもあるみたいですけど、えっ、それって……?」

菜々「ナナは昔、ってそんな昔じゃないですけどっ……アイドルになりたいと思った時から、恋愛はご法度ですよ?」

ちひろ「いやいやいいですよ私しかいませんからキャラ作らなくても……え、そういう設定なんです?」

菜々「設定ってなんですかっ……ホントですよ。だって」

菜々「惚れた腫れたでアイドルになる夢、諦めたくなかったですから」

ちひろ「おお……」 


29:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/03(日) 23:51:45.87 :wl2shT/N0

ちひろ「うちの色ボケアイドルたちに聞かせてやりたい言葉ですよ。さすが菜々さん、歳のこ……偉いですねー」

菜々「褒められちゃうとちょっとフクザツですけど。でも、色恋沙汰でダメになるアイドルは昔からいっぱいいましたし。ナナはそういうのはイヤですから」

ちひろ「アイドルの鑑じゃないですか。ほかの子たちは揃いも揃ってプロデューサーが好きだの何だのって……。菜々さんは大丈夫ですね、安心ですよ」

菜々「あー……うん、えっと」

ちひろ「おい」 


34:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/03(日) 23:59:47.89 :wl2shT/N0

ちひろ「さっきまでと言ってることとやってることが違うでしょ?! 何モジモジしてるんですかっ。禁止ですよ禁止っ。モジモジも禁止ッ!」

菜々「ち、違いますよっ。そういうのじゃなくて! その、Pさんはナナのことスカウトしてくれて……夢を叶えてくれた恩人というか……運命の人っていうか」

ちひろ「重いなーっ。菜々さんそれダメでしょ! 若い子たちより何か重いんですよそれ!」

菜々「な、ナナはまだ17ですよっ。それにその、恋愛とかじゃなくて! プロデューサーとして感謝してるってことですっ」

ちひろ「ふーん」

菜々「あ! 信じてないっ。ナナには分かりますよっ。ちひろさん全然信じてないっ」 


36:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/04(月) 00:06:59.37 :4cBDDUZN0

ちひろ「あーいいですよ別に。うちそういう子ばっかりですから。慣れてますから」

菜々「違いますっ。Pさんはその……プロデューサーとしては最高ですけど……お、男の人としては、その、イヤなとこもあるんですっ」

ちひろ「あーそれ聞きたい聞きたい。何ですか菜々さん?」

菜々「すごい食いつきですね……」 


38:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/04(月) 00:12:26.13 :4cBDDUZN0

ちひろ「さあ、あの破廉恥プロデューサーに何されたんですか菜々さんっ」

菜々「あ、いやそんな大それたことじゃ……。この間の新春ライブが終わった後のことなんですけど」

ちひろ「あ、ちょっと待ってください、ビデオ……」

菜々「撮らなくていいですからっ。……帰り道、神社にお参りに行った時、ナナに言ったんですよ」

菜々「『菜々、俺の専属メイドになってみる?』なんてっ。ナナはもうアイドルなのにーっ」

ちひろ「うわあ……なんて無神経な……」 


40:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/04(月) 00:17:58.16 :4cBDDUZN0

菜々「そう、無神経ですよね! いつまでもメイドさん扱いしてっ」

ちひろ「あ、いや、そうじゃなくて。女の子に言うセリフじゃないですよ」

菜々「え?」

ちひろ「え? って……。え、あれ? あんまり分かってなかったりします?!」

菜々「え、えーっと、お前なんかアイドルとしてまだまだ!……って意味では?」

ちひろ「違いますよっ。それって……俺と一緒にならないか?……って意味でしょ?!」

菜々「」 


42:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/04(月) 00:22:01.25 :4cBDDUZN0

菜々「ううう嘘ですよっ。何でいきなりそんな話になっちゃうんですか?!」

ちひろ「あの野獣プロデューサーめ……ケツの毛までむしってやらねば……」

菜々「いや、なんか怖いんですけど」

ちひろ「しかし何のフリもなくそんなことを言うのも変な話……。菜々さん、ひょっとしたらですけど」

菜々「は、はい」

ちひろ「何かこう、プロデューサーのプライベートでお手伝いするとか……言った覚えありません?」

菜々「え? えーっと……あ」 


43:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/04(月) 00:25:38.43 :4cBDDUZN0

菜々「えっと、その、Pさんは家事が苦手そうだから、手伝いましょうか? って」

ちひろ「うわー……。それっていつの話ですか?」

菜々「いつっていうか、その、割と頻繁に……」

ちひろ「いっつも?!」

菜々「そう、かも……。ま、マズいですかね……?」

ちひろ「何てこった」 


47:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/04(月) 00:31:05.70 :4cBDDUZN0

ちひろ「いいですか菜々さん。一度だけならまだしもしょっちゅうそんなアピールをしちゃうってことは」

菜々「は、はい」

ちひろ「つまり……」

菜々「つ、つまり……?」

ちひろ「ナナはあなたのウサギちゃん! あなたのおうちにお邪魔して、あーんなお世話もこーんなお世話もしちゃいます! だから素のナナをあなたの手でメルヘンチェンジさ・せ・て♪……って意味でしょうがーッ!」

菜々「ひゃああああッ!」 


53:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/04(月) 00:36:29.17 :4cBDDUZN0

菜々「そ、そんなつもりは全然なかったんですよっ。信じてください!」

ちひろ「なーにが恋愛禁止ですか……。ものすごいアピールじゃないですかこれ」

菜々「ううっ、ということは、Pさんも……」

ちひろ「そりゃあもういくらプロデューサーとはいえ? 男の人ですから? 菜々さんみたいな魅力的な人に、いーっつも私を食べて? みたいに言われたら? どうでしょうねぇーッ!」

菜々「あわわ」

ちひろ(おもしろいなこの子)

ちひろ「しかしそうなると、さっきの言葉の意味も違ってきますねー」 


55:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/04(月) 00:42:06.31 :4cBDDUZN0

菜々「というと……」

ちひろ「プロデューサーの例の発言ですよ。専属メイドになれ、ってことはですよ?」

菜々「は、はい」

ちひろ「つまり……」

菜々「つ、つまり……?」

ちひろ「菜々は俺のウサギちゃん! あーんなご奉仕やこーんなご奉仕もたっぷり仕込んで俺好みのメイドちゃんにしてやるっ! 菜々のメルヘンは、俺が貪り食ってやるぜぇーッ! って意味でしょーがッ!」

菜々「いやああああッ!」 


59:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/04(月) 00:47:36.97 :4cBDDUZN0

菜々「ど、どうしましょう?! 担当プロデューサーに、て、手籠めにされちゃうなんて、アイドルとしては最悪ですよぉ!」

ちひろ「そりゃあもうアイドルは……引退でしょうねー」

菜々「そ、それだけはイヤですっ! 絶対にッ!」

ちひろ「もう行き先は場末のスナックですよ。夜明け前の吉野家で牛丼ですよ」

菜々「そんなっ。中島みゆきワールドじゃないですかーッ!」

ちひろ(知ってるんかい) 


60:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/04(月) 00:52:29.09 :4cBDDUZN0

菜々「そ、そうです! ことが起きないうちに、何とか誤解を解かないとっ」

ちひろ「お、ガラケー」

ちひろ(そろそろからかうのも大概にしとくか)

ちひろ「まあ、あくまでかもしれないってk」

菜々「送れましたっ」

ちひろ「早いなっ! ケータイ手にして5秒も経ってないでしょ!」

菜々「これで大丈夫ですよねっ?!」

ちひろ「え、どれどれ……」 


63:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/04(月) 00:56:12.33 :4cBDDUZN0

『Pさんへ
 ひどいですっナナはそんなつもりなかったのに
 もしものことがあったらどうするんですか?
 責任取ってください!』

ちひろ「これもうわかんねぇな」 


71:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/04(月) 01:05:23.99 :4cBDDUZN0

ちひろ『もしもし、プロデューサーですか? あーお騒がせしました。

 いやいや大丈夫ですちょっとした早とちりというか……まあそんなのなんで。

 え? 違いますってー。……はい、はい……ほお……いやいや、すみませんね。

 ……あはは、エナドリハーフでお返ししますってー。じゃ、また』

ちひろ「……菜々さーん、聞いてました? とりあえず大丈夫みたいですよ」

菜々「……大丈夫じゃないですよーっ。もうナナ、どんな顔してPさんと話せばいいんですかーっ」

ちひろ「いや向こうはもっと大変だったみたいですけどね……アイドルたちに見られたみたいで」 


75:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/04(月) 01:12:39.40 :4cBDDUZN0

菜々「ちひろさんがいけないんですよっ。変なことばっかり言うからっ」

ちひろ「いやー、菜々さんの反応がかわいくて。ああ、でも今日は菜々さんの若さの秘密が分かった気がしますよ」

菜々「ナナは17歳です!……それって?」

ちひろ「うふふ、菜々ちゃんって、心は完全に乙女のままですよねー。だからですよ。……これからはもう菜々ちゃんって抵抗なく呼べそうです」

菜々「ちょっと、体だって花も恥じらう乙女ですよっ。……バカにしてぇ、どうせナナはウサミン星人ですよ」

ちひろ「変なすね方しないでください」 


76:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/04(月) 01:21:22.65 :4cBDDUZN0

ちひろ「そうそう、プロデューサーも菜々ちゃんのこと、心配してましたよ」

菜々「な、なんて?!」

ちひろ「いよいよ頭の芯までウサミンに染まってきちゃったかなー、って」

菜々「うわあ……完全にバカな子扱いですよお……」

ちひろ「それに……」

菜々「そ、それに?」

ちひろ「こんなことなら、ツアーに一緒に連れてくんだったな、って」

菜々「……えへへ♪」

ちひろ「何がえへへですか……」 


83:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/04(月) 01:36:36.78 :4cBDDUZN0

ちひろ「こんなことしてる間に節分が! 終わっちゃうじゃないですか!」

菜々「あ、ホントですね。ナナも豆まきしないと♪」

ちひろ「じゃなくてっ! 在庫、在庫処分をする!」

菜々「仕方ない。がんばって売りに行きましょう! ナナも手伝いますから!」

ちひろ「じゃあ恵方巻きの実演販売を」

菜々「……スタドリの主成分ばらしますよ?」

ちひろ「アカン。ただの砂糖水だってのは内緒だからっ」 


86:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/04(月) 01:41:11.61 :4cBDDUZN0

菜々「じゃあ行きましょうっ」

ちひろ「お願いしますね、菜々ちゃん!それじゃあ……」

菜々・ちひろ「よっこらしょっ!……ハッ!!」


おわり 


元スレ
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