1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 03:55:30.99 :Xkh40PgZ0

響「えっ? お、おはよう……春香」

春香「あれ? 今日は『はいさーい』って言わないの? 我那覇」

響「え、いや……っていうか」

春香「ん?」 


4:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 03:57:38.89 :Xkh40PgZ0

響「なんで、その……名字で」

春香「ああ……これはね」

響「うん」

春香「春香さんゲーム! その1!」

響「えっ」

春香「『とりあえず適当な人を名字で呼んじゃおうゲーム』なんだよ!」

響「えっ、あっ、そ、そう……。(また春香の変な思いつきが始まったぞ……)」 


8:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 04:00:16.71 :Xkh40PgZ0

春香「このゲームのターゲットはね、その場のノリと流れで決まるの」

響「なんかえらく適当だな……」

春香「で、ターゲットになった人は、周りの人から名字呼び捨てで呼ばれるの」

響「……じゃあ今は、事務所に自分と春香しかいないから自分がターゲットになったってことか」

春香「そういうこと! だからよろしくね! 我那覇!」

響「何をどうよろしくされたのか全然わかんないぞ……」 


12:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 04:02:59.40 :Xkh40PgZ0

春香「まあいいじゃん! ゲームなんだし!」

響「……まあ、別にいいけどさ」

春香「うふふふ。我那覇! 我那覇!」

響「……だからって、用もなく呼ばれても対応に困るんだけど……」

春香「でも名前呼ばないとゲームにならないし。ね? 我那覇! 我那覇!」

響(めんどくさいから早く誰か来てくんないかな) 


13:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 04:07:57.32 :Xkh40PgZ0

ガラッ

雪歩「おはようございますー……ってあれ? 春香ちゃんと響ちゃんだけ?」

春香「ああ、おはよう雪――……」

春香「…………」

雪歩「? どうしたの? 春香ちゃん」

響(まさか)

春香「――…萩原!」

雪歩「うぇっ?」 


14:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 04:08:54.19 :Xkh40PgZ0

春香「ふふふ。今からターゲット変更ね。萩原! 萩原!」

雪歩「え……えぇ? 何なの急に? なんで名字?」

響「あー……雪歩。これはね、春香の思いつk」

春香「響ちゃん!!」

響「うぇっ!?」

春香「今のターゲットは……」

響「あ、あー……わかったぞ。……えっとね、萩原」

雪歩「!?」 


18:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 04:13:19.27 :Xkh40PgZ0

響「……っていうことらしいんだぞ」

雪歩「なるほどねー」

春香「うふふ。そういうことで今のターゲットは雪h……じゃなくて、萩原なんだよ、萩原!」

雪歩「……でも、それならさ」

春香「ん? 何? 萩原」

雪歩「ゲームの事を、ターゲットに説明しない方が面白いんじゃないかなあ?」

春香「!?」

響「雪h……萩原!?」

雪歩「だってこのゲームって、親しい友達からいきなり訳もなく名字呼び捨てで呼ばれた人が困惑ないし狼狽する様子を皆で観察して愉悦に浸るゲームでしょ?」

春香「! ゆk……萩原……!」

響「い、一瞬にしてゲームの趣旨をそこまで読み取ったのか……! ゴクリ」 


20:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 04:17:20.43 :Xkh40PgZ0

雪歩「なのに、ゲームの事をターゲットにバラしちゃったら、それ以上ターゲットが困惑したり猜疑心に駆られたりする様子を楽しめなくなっちゃうよ」

春香「た……確かに……」

響「萩原の言う通りだぞ……」

春香「よ、よし。じゃあ次に事務所に入ってきた人をターゲットに変更することにしよう。そしてゲームの事をターゲットに話すのは……そうだね、10分くらい経ってからに」

響「おお、それがいいぞ」

雪歩「なんか楽しみだね!」

春香「…………」

響「…………」 


21:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 04:18:55.05 :Xkh40PgZ0

ガラッ

千早「おはよう、皆」

春香「あ、おはよー、如月!」

千早「あ、おはよう春k……えっ?」

雪歩「おはよう、如月!」

響「は、はいさーい! 如月!」

千早「…………」 


23:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 04:23:47.65 :Xkh40PgZ0

春香「あれ? どうしたの? 如月」

千早「…………」

響「な、何で黙ってるんだ? 如月」

千早「……また、春香が変な遊びを始めたのね」

春香「うぇっ!?」

雪歩「……春香ちゃん……」

響「……バラす間も無くバレてるぞ……」

春香「くっ……。やはり千早ちゃn……如月は私の事を知り過ぎていたか……」

千早「……まったく。こんな下らないことをしてる暇があったら、ボーカルレッスンでもしてなさい」

春香「はうっ!」

響「しかも逆に春香にダメージを与えたぞ」

雪歩「流石は如月だねー」 


25:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 04:30:26.75 :Xkh40PgZ0

響「……というか、全員呼び捨てにするってとこが、やっぱり違和感大きいと思うぞ」

春香「えっ?」

雪歩「あーそれ私も思った。たとえば普段『千早ちゃん』って呼んでるのを『如月』にしたら、呼んでる自分でも違和感凄いもん」

春香「あー……」

千早「確かにね。たとえば萩原さんが『如月さん』と呼んできていたら……私にとっては、かなりの不安感が込み上げていたでしょうね」

春香「よし! じゃあ次に入ってきた人には各々の普段の呼び方に対応させた呼び方で呼んでみよう!」

響「あと、名前を不自然に呼び過ぎないような工夫も必要だな」

雪歩「あくまでも自然な感じで不安を掻き立てるんだね!」

千早(……今日の萩原さん……なんか妙にイキイキしてるわね……) 


26:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 04:35:52.55 :Xkh40PgZ0

ガラッ

あずさ「おはようございまーす」

春香「あっ。おはようございます、三浦さん」

あずさ「あ、春香ちゃん、おはよ……?」

春香「? どうしました?」

あずさ「ああ、いえ、なんでも……おはよう、春香ちゃん」

あずさ(な、なんか今……気のせいかしら?)

響「はいさーい! 三浦さん!」

あずさ「え、あ、は、はいさーい。響ちゃん」

あずさ「…………」

響「? 何?」

あずさ「ああ、ううん、何でもないのよ」

あずさ(……気のせいじゃ、ない……?) 


27:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 04:38:48.51 :Xkh40PgZ0

千早「三浦さん。これ、今週の全体練習の日程です」

あずさ「えっ……あっ……はい」

あずさ(千早ちゃんまで……)

雪歩「…………」

あずさ(まさか……雪歩ちゃんも……?)

あずさ「あの……雪歩ちゃん……?」

雪歩「? 何ですか? 三浦さん」

あずさ「!」 


28:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 04:40:46.18 :Xkh40PgZ0

あずさ「…………」

あずさ(皆……何で……?)

あずさ(私……皆に嫌われるようなこと、しちゃったかしら……?)

響「……は、春香。そろそろ」

春香「ああ、うん。そうだね……えっと、三浦さん」

あずさ「!? な、なんでしょう……」

春香「えっとですね、実は……」 


29:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 04:45:48.24 :Xkh40PgZ0

あずさ「な~んだ。そういうことだったの~」

春香「研究に研究を重ねて、今回はかなりリアリティにこだわってみました」

あずさ「もう、私、てっきり皆に嫌われるようなことしちゃったとばかり……」

春香「まさか! あずs……三浦さんに限って、そんなことあるわけないじゃないですかー!」

あずさ「あら? まだ私は『三浦さん』のままなの?」

千早「ええ。一応、ターゲットを変更するまではそのままの呼び方で呼ぶというルールなんです」

雪歩「そして今までの慣例から、次に来た人が次のターゲットになるんですぅ~」

あずさ「あらあら。それは面白そうねえ」

春香「ふふふ……人数が増えてきた方が面白くなりますからね! この春香さんゲームは!」

響「お、誰か来たっぽいぞ」 


30:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 04:48:56.55 :Xkh40PgZ0

ガラッ

やよい「おはようございまーっす!!」

春香・響・雪歩・千早・あずさ「!」

やよい「? あれ? 皆さんどうしたんですかー?」

春香(よ、よりによって……)

響(やよいとは……)

雪歩(なんか今になって……)

千早(罪悪感が……)

あずさ(あらあら……)

やよい「?」 


35:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 04:52:15.75 :Xkh40PgZ0

響「……お、おい春香。流石にこれは……」

春香「……おはよう! 高槻!」

やよい「えっ」

千早「……は、春香」

春香「……一度決めたルールは曲げない……それが私……天海春香だから!」

雪歩「春香ちゃん……」

あずさ「なんかすごくくだらない内容を言っているはずなのに、かっこいいわ……春香ちゃん」

やよい「…………」 


39:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 04:57:29.51 :Xkh40PgZ0

春香「あれ? どうしたの? 固まっちゃって」

やよい「え? ああ、えっと……な、なんでもないかなーって!」

春香「!」

響(やよいッ……!)

雪歩(な、なんて健気な……!)

千早「高槻さん可愛い……!」

あずさ(千早ちゃん思いっきり口に出てるけどルール上問題無いわねこの場合……)

やよい「み、皆さんどうしたんですかー?」

響「…………」

やよい「ほ、ほら響さん! はいさーい!」

響「…………」 


40:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 05:00:52.73 :Xkh40PgZ0

響(……は、春香の心意気を無駄にするわけには……)

響(……こ、ここは自分も、心を鬼にして……)

響「お、おう! はいさーい! 高槻!」

やよい「!」

雪歩(響ちゃんまでっ……!?)

春香(響ちゃん……響ちゃんもついてきてくれるんだね……この茨の道に!)

千早「高槻さん可愛い……!」

あずさ(ああ、どうしましょう……響ちゃんまで……もはや千早ちゃんにツッコんでる余裕も無いわ……)

やよい「……………」 


46:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 05:09:07.46 :Xkh40PgZ0

春香(あ、やば……なんかこっちまで泣きそうに……でもまだ後5分以上あるし……)

やよい「…………」

響(な、なんかこれ罪悪感が尋常じゃないぞ……)

やよい「……ゆきほ、さん……」

雪歩「!?」

やよい「……あの……」

雪歩「…………」

春香(雪歩……)

響(ここは、正念場だぞ……)

雪歩(…………駄目)

春香(!? 雪歩!?)

雪歩(ごめんね、春香ちゃん。私はもう――……) 


47:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 05:12:35.28 :Xkh40PgZ0

雪歩「――どうしたの? 高槻さん」

やよい「!?」

雪歩「あ……」

やよい「…………」

春香「ゆ、雪歩……」

響「な、なんで……?」

あずさ(……雪歩ちゃんの内に眠る、潜在的な嗜虐心が最後の良心を凌駕したのね……)

やよい「…………」 


53:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 05:18:26.75 :Xkh40PgZ0

やよい「……うっ、……」

春香「!」

響「あっ……」

やよい「うっ、くっ……」

雪歩「は、春香ちゃん!」

春香「あ、ごめ、やよ……」

やよい「うああああああああん」

春香「あっ……」

やよい「ひぐっ……ぐすっ……うぇっ……」

響「ああ……や、やよい、おちつ……」

やよい「な、なんで、なんで……うわああああああん」

春香「や、やよい……」

千早「泣いてる高槻さんも可愛い……!」

あずさ「千早ちゃん……」 


54:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 05:24:23.99 :Xkh40PgZ0

やよい「なんで……なんで……ひっぐ、えぐっ」

春香「ああああ……! ち、違う……違うんだよやよい……」

やよい「ち、ちがうって……えぐっ、な、なにが……」

春香「え、えっと……その……」

やよい「きゅ、きゅうにみんな、わたしのこと、みょうじで……ぐすっ」

春香「や、だからね、それは、その……」チラッ

響「?」

春香「……我那覇が!」

響「うえっ!?」

春香「が、我那覇が! 我那覇が言い出したんだよ!」

やよい「……ひびきさん、が……?」

春香「そ、そうなんだよやよい! 我那覇が諸悪の根源なんだよ!」

響「ちょ、おま……何言ってるんだ春香!?」 


57:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 05:30:54.91 :Xkh40PgZ0

春香「我那覇がいきなり『ターゲットを決めて名字呼び捨てで呼ぼう』なんて言い出して……」

やよい「……そ、そうなんですか……?」

響「ち、違うぞやよい! それは春k……いや、天海が言い出したんだ!」

やよい「うえっ!?」

春香「な、ななな何言ってるのかなー、我那覇ってばー。ここっここの春香さんがそんなこと言い出すわけないでしょー?」

響「な、何言ってるんだ! 『春香さんゲーム』とか言ってたくせに!」

春香「い、言ってませんー! そんなの言ってませんー!」

響「いーや言った! 絶対言ったぞ! 自分、この耳でちゃーんと聞いたんだからなっ!」

春香「じゃあいつ言ったんですかー? 何時何分何秒地球が何回回ったときー?」

響「しょ、小学生みたいなこと言うな! はr……天海!」

春香「小学生じゃありませんー! 春香は高校生ですー! 我那覇!」

やよい「……ふっ、くふふっ」

響「?」

春香「……やよい?」 


59:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 05:34:32.54 :Xkh40PgZ0

やよい「はっ、あはっ……あはははははっ」

春香「やよい……」

響「…………」

やよい「あははっ……なんか……二人が言い争ってるの見てたら、あまりにもばかばかしくて……おかしくなってきちゃいましたー!」

春香「なっ……」

響「うぐっ……」

雪歩「……至極、もっともな意見だね……」

千早「笑ってる高槻さん超可愛い……!」

あずさ「とりあえず千早ちゃんは鼻血を拭きましょうね」 


60:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 05:39:20.77 :Xkh40PgZ0

やよい「春香さんも響さんも、本当に子どもっぽくて……もう、しょーがないかなーって!」

春香「……ま、まあそう言われると……」

響「返す言葉もないんだぞ……」

雪歩「まあでも良かったね。やよいちゃんの機嫌が直って」

千早「ええ。高槻さんはやっぱり可愛いわ」

あずさ「これにて一件落着ね」

春香「ははは……まあ」

響「そういうことになるのか……な?」 


62:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 05:44:39.17 :Xkh40PgZ0

やよい「えっと、でも……結局何だったんですか? これ……」

春香「ああ……それはね……」チラッ

響「…………」ジー

春香「わ、私が言い出したんだ……ごめんね、やよい……」

やよい「えー? じゃあさっき『響さんが言い出した』って言ってたのは……」

春香「そ、それはその……ああやって響ちゃんと言い合うことで、やよいを笑わせようと……」

やよい「うぇー!? ホントですかぁー!?」

春香「ほ、ホントだって! ホントホント!」

やよい「ふーん…………」 


63:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 05:47:10.36 :Xkh40PgZ0

響(……いや、絶対ウソだろ……春香さっき、本気で自分に罪を着せようと……)

春香(し、シーッ! い、いいじゃんもう! やよいの機嫌も直ったんだしさあ……)

響(むー……でもなんか納得いかないぞ……)

春香(こ、今度お詫びに駅前のチョコバナナパフェ奢るから! ねっ?)

響(むー……まあそれなら許してあげる)

春香(ほっ)

やよい「……何こそこそ話してるんですかー?」

春香「えっ! いややや何でもないよ? やよい」

響「…………」

春香(ひ、響ちゃん!)

響「(仕方ないなあ、もう……)そうそう、何でもないぞー」

やよい「…………」 


67:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 06:01:00.16 :Xkh40PgZ0

雪歩「あ! もうそろそろ、私とやよいちゃんはダンスレッスンの時間だよ!」

やよい「あー! いっけなーい! すっかり忘れてましたー!」

あずさ「あらあら。それじゃあ早く行かないと」

響「頑張ってなー!」

千早「高槻さん、可愛く元気に踊るのよ」

やよい「はーい! それじゃあ行ってきます!」 


68:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/14(月) 06:01:35.74 :Xkh40PgZ0

春香「き、気をつけてね、やよい! あとホントにごめんね!」

やよい「いいえ、もう気にしないでください! それじゃあ行ってきますね! 響さん、千早さん、あずささん、天海さん!」

春香「はーい! 頑張ってねー! やよいー!」

やよい「ありがとうございます! それじゃあまた!」バタン

春香「うん、また後でねー!」

春香「…………」

春香「…………」

春香「……あるえー?」


了 


元スレ
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