1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/02(日) 00:59:24.00:s5KoD/7S0

亜里沙「うちのプロダクションって、小さな子もいるじゃないですか~」

P「はぁ」

亜里沙「情操教育にもいいと思うんですよ、こういうのって」

P「それで、事務所で人形劇をしたいと」

亜里沙「プロデューサーさんの許可があれば、すぐにでも!」

P「もう準備してるんですか……ところで、人形劇で何をやるつもりなんです?」

亜里沙「泣いたきらりん」

P「えっ?」

亜里沙「泣いたきらりんです」


3:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/02(日) 01:02:25.07:s5KoD/7S0

亜里沙「は~いみんなぁ~、ありさ先生の人形劇が、はっじまっるよぉ~」パンパン



薫「わぁい!たのしみー!」

雪美「………」

ナターリア「人形劇?日本のゴハン?」

亜里沙「ううん。これはありさ先生、一世一代の大芝居!」

亜里沙「それでは、泣いたきらりん、はじまりはじまり~」

桃華「な、泣いたきらりんって……」

薫「ありさせんせぇ、がんばれー!」パチパチパチ


5:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/02(日) 01:05:51.64:s5KoD/7S0

亜里沙「あるプロダクションに、一人のアイドルが所属していました」

きらり「にょわー!」ヌッ

桃華「えっ」

亜里沙「名前は、諸星きらり。通称、きらりんと呼ばれていました」

薫「きらりんだー!」

きらり「おっすおっすばっちし!」グッ

桃華「に、人形って……実物大ですの?」

薫「かおる、知ってるよー。あれ、ふくわじゅつって言うんだよね?」

雪美「……うん」

ナターリア「お、おぉー!何だかすごい技術だネ!!」

桃華「(リアル過ぎて気味が悪いですわね……)」


7:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/02(日) 01:08:55.89:s5KoD/7S0

きらり「今日もお仕事、がんばるにぃ!」

亜里沙「きらりんは、アイドルとして真面目に頑張ろうとしていたのですが……」



きらり「おにゃーしゃー☆」

幸子「ひ、ひぃぃぃぃぃ!ひゃ、182cmー!!」ガタガタ

麗奈「特訓後は2cmも伸びるとかウソでしょー!?あり得なーい!」


ダダダ……


きらり「にょにょにょ……くすん☆」グスッ


9:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/02(日) 01:12:17.33:s5KoD/7S0

亜里沙「あぁ、可哀想に。同僚のアイドルはきらりんの身長を怖がって、誰も近寄りません」

薫「幸子ちゃんも麗奈ちゃんもひどーい!きらりん、かぁいいのに……」

雪美「……可哀想……」

ナターリア「ナターリア、知ってるヨ。これ、日本のイジメって言うんだよネ!」

桃華「……本当に人形?本人じゃなくて?」

亜里沙「寂しさを紛らわせるため、きらりんは一人でレッスンの毎日。そこへ……」





杏「やぁやぁきらりん、今日も一人ー?」

きらり「……杏ちゃん?にゃっほーい!」

杏「飴、食うかい?」スッ

きらり「うきゃー☆」



11:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/02(日) 01:15:00.49:USD0Fi520

杏子かと思ったらなんだ杏か



12:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/02(日) 01:15:57.02:s5KoD/7S0

きらり「うぇへへへ……きらり、今すっごくハピハピすりゅー☆」モゴモゴ

杏「どうしてきらりんは一人でレッスンしているのかな?かな?」



亜里沙「杏ちゃんはきらりんから話を聞き、ひとまずお家に帰りました」

桃華「そ、そこで帰ってしまわれますの?」

亜里沙「翌日、杏ちゃんはきらりんのために、次のようなことを電話で伝えました」





杏『きらり~ん?……杏はね~、今週からお仕事、全部休んじゃうから~』

杏『そこにきらりんが代わりに出れば~、きらりんの人気は急上昇~。いぇ~』

杏『こんな感じなら~、きらりんの良さが、皆にも分かるはずだよ~』


13:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/02(日) 01:19:28.10:s5KoD/7S0

きらり「?……杏ちゃんは、どうするにぃ?」

杏『いいからいいから~♪杏を信じて~♪』



亜里沙「こうして杏ちゃんは無理やりきらりんを説得し、杏ちゃんの仕事先に行かせたのです」

ナターリア「ナターリア、知ってル。これ、替え玉受験って言うんだヨ」

薫「杏ちゃんは、お仕事休んじゃっていいのかなぁ?」

桃華「良い訳が無いと思いますけれど……」

雪美「あっ……ま、まさか……」


14:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/02(日) 01:22:54.11:s5KoD/7S0

麗奈「電話が通じない……あ、杏の奴、バックレやがったわ!」

幸子「ふふん、やっぱりボクの予想通りでしたね。まぁボク達だけでも、この仕事は……」

麗奈「ダンス中にアタシを担いでステージ一周するんでしょ?アンタじゃ、とてもムリよ」

幸子「?……アナタが、私を肩車するんですよ?」

麗奈「ハァ?……アンタが、下よね?」

幸子「何バカなこと言ってるんです?頭おかしいんじゃないですか?」

麗奈「………」

幸子「………」



きらり「今日もー☆おにゃーしゃー☆」ヒョコッ


17:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/02(日) 01:26:16.21:s5KoD/7S0

幸子「ひぃぃぃぃ!ほ、ホントに2cm伸びてる……!」

麗奈「な、何でこんなトコに……!?」

きらり「杏ちゃんの代わりに、きらりんががんばるにぃ!」

麗奈「杏の代わりに?……あ、アンタなら、アタシを肩車出来るってワケ?」

きらり「きらりんぱわー……まーっくす☆」


ガシッ

ガシッ


「「!?」」


18:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/02(日) 01:29:59.58:s5KoD/7S0

きらり「にょわーーーーーーーーーっ!!!」ドドドドド

幸子「ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」

麗奈「イヤァァァァァァァァァァァァァ!!!」





亜里沙「お仕事は大成功!見事きらりんは、仲間のアイドル達の信頼を得られたのです」

薫「良かったね、きらりん!」

桃華「二人とも、物凄い勢いでスイングされていますけど……大丈夫なんですの?」

ナターリア「アレは人形だから大丈夫だヨ、桃華」

雪美「絶対……きっと……多分……恐らく……」


19:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/02(日) 01:33:22.14:s5KoD/7S0

亜里沙「その日以来、毎日毎日、杏ちゃんの代わりにお仕事をこなすきらりん」

亜里沙「彼女のお友達は二人、四人と、連れ立つ仲間が増えていきました」





麗奈「も、もうスイングされるのは御免だけど……確かに、バックレた杏よりはマシよね」

幸子「ですね……まぁ、ボクには彼女の将来性含めて、全てお見通しでしたけど」

未央「きらりはワシが育てた」

きらり「うきゃー☆」


25:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/02(日) 01:36:51.69:s5KoD/7S0

薫「ああーっ!ちゃんみおだー!!」

雪美「ちゃんみお……!」

未央「えー、この度Sレアになりました、本田未央、本田未央でーす」

亜里沙「……み、未央ちゃん?」

未央「今度、私のCDが出ます!ニュージェネ仕様の私共々、よっろしくぅー!」ビシッ

薫「もー!せんせぇのジャマしないでよ、ちゃんみおー!」

ナターリア「ナターリア、知ってるヨ。これ、ステマって言うんだよネ」

桃華「そ、それはちょっと違うんじゃありません……?」


28:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/02(日) 01:40:03.31:s5KoD/7S0

亜里沙「……こほん!えぇっと……」

亜里沙「きらりんは、お友達ができたことを、とても喜びました」

亜里沙「でも日が経つにつれ、彼女にも気になる事が……」

亜里沙「そう。それは、あの日から事務所に来なくなった、杏ちゃんのことでした」



きらり「杏ちゃん、最近見かけなくなったにぃ……」

きらり「……きらり、杏ちゃんと、もっともっとハピハピしたいよ……」



亜里沙「そこで、ある日……きらりんは意を決して、杏ちゃんの家を訪ねてみました」


29:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/02(日) 01:42:11.64:s5KoD/7S0

きらり「にゃっほーい、杏ちゃーん!きーらりん☆」


シーン


きらり「……あるぇー?」

亜里沙「杏ちゃんのお家は、戸がかたく閉まっていました」

きらり「杏ちゃーん?杏ちゃーん、きらりだよー?」ドンドン


ドンッ


きらり「うきゃー☆返事がきたー!」


31:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/02(日) 01:45:37.52:s5KoD/7S0

きらり「杏ちゃーん!きらりだよー?」ドンドン

きらり「杏ちゃ……?」



亜里沙「きらりんは、脇にある貼り紙に、ふと気がつきました」

亜里沙「……その貼り紙には、こう、書かれていました」





杏『きらりんへ。アイドル達と仲良くして、楽しく暮らしてください』

杏『もし杏がこのままきらりんと付き合っていたら、またきらりんは一人ぼっちに戻ってしまうかもしれません』

杏『杏は、膝に矢を受けてしまったので引きこもるけれども、いつまでも君の事は忘れません』

杏『でも……杏ときらりんゎ……ズッ友だょ……!!』


36:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/02(日) 01:49:14.78:s5KoD/7S0

きらり「………」



亜里沙「きらりんは、黙って、それを読みました。二度も三度も、読みました」



きらり「杏ちゃん……きらり、まだ……」

きらり「杏ちゃんに……ありがとうって……」

きらり「まだ……言ってないにぃ……!」ポロポロ



亜里沙「きらりんは戸に手をかけて、顔をうずめ……にょわにょわと、涙を流して泣きました」

亜里沙「……おしまい♪」

桃華「(え、えぇー……)」



37:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/02(日) 01:51:36.13:SmAMPVf50

イイハナシダナー


38:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/02(日) 01:52:06.19:cDw1ZDH40

映画化決定



39:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/02(日) 01:52:41.59:s5KoD/7S0

桃華「(こ、これ、ただ杏さんがきらりさんに、お仕事押し付けただけの話じゃありませんこと……?)」

桃華「(と言うか、杏さんは中に居るのに、何故永遠の別れみたいに……)」



薫「杏ちゃあん……!」ポロポロ

桃華「えっ」

雪美「これが……自己犠牲……」グスッ

桃華「自己犠牲!?」

ナターリア「ナターリアの故郷も感動したヨ……」グスッ

桃華「(今の劇のどこに感動する要素が……!?)」

桃華「(……わ、わたくしの感じ方が、おかしいんですの……?)」

亜里沙「ふふっ……みんなぁ~、ありがとぉ~!」


41:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/02(日) 01:56:09.19:s5KoD/7S0

薫「すっごく面白かったねー」

雪美「……うん」

ナターリア「日本人はすごいナー、未来に生きてるナー」





桃華「(ま、まぁ、薫さん達が満足したのなら、別に構いませんけれど……)」

桃華「(でもわたくしには、やはり何と言うか……)」


タスケテー

ダレカー


桃華「!?」


43:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/02(日) 01:59:34.40:s5KoD/7S0

桃華「こ、声が聞こえますわ……」


モウヤダー


桃華「……今ハッキリと、こちらの方から声が……!」





亜里沙「さぁて、今度やる劇も、ちゃんと考えておかないと……」

幸子「も、もう、いいですよね……ボク達を、自由にしてくれたって……」

亜里沙「それはだぁめ。この子とお友達になってくれるって、約束したじゃない」ニコッ


46:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/02(日) 02:03:06.95:s5KoD/7S0

麗奈「だ、誰だって冗談だって思うじゃない!アタシは、こんな人形と同じになるつもりは……!」

亜里沙「人形じゃないわ、麗奈ちゃん。ウ・サ・コ・ちゃん。でしょう?」

杏「もう劇なんかしたくないよー……解放してよー……」

亜里沙「……もう、みんな勝手な事ばっかり言って……」

ウサコちゃん「人形ハ勝手ニ喋ッタライケナイノニネ」

亜里沙「そうよね。折角、そういう身体にしてあげたのだから……」

幸子「お、お願いします!どうか、それだけは……それだけは……!」



桃華「(ど、どういう事なんですの、これは……“そういう身体に”……!?)」


ガタッ


桃華「あっ……!」


51:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/02(日) 02:07:11.09:s5KoD/7S0

亜里沙「あら?……桃華ちゃん?」

桃華「……えっと、その……」

桃華「わ、わたくし、偶然通りかかっただけで……」

桃華「そ、そう!何にも聞いていませんわよ!?」

亜里沙「……そう。知ってしまったのね、桃華ちゃんも」

桃華「で、ですから!何も……!」





亜里沙「ふふふ……お友達が、また増えそう」

ウサコちゃん「ヤッタネ、アリサチャン!」

桃華「ひっ……!」


54:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/02(日) 02:10:45.10:s5KoD/7S0

亜里沙「大丈夫、何も怖くないから……」

桃華「で、でしたら、近づかないでくださる……!?」

亜里沙「桃華ちゃんにも、ウサコちゃんのお友達になってほしいの」

亜里沙「それに……丁度、一人子役が欲しいところだったのよね」

桃華「い、いい、イヤですわ!……だ、誰があんな……!」

亜里沙「……そう。それは残念」

桃華「……えっ?」


ガシッ


きらり「にょわーっ☆」

亜里沙「……きらりちゃんと同じ事は、したくなかったのだけれど」

桃華「あ……あ、ぁ……!」ポロポロ

ウサコちゃん「ウププププ」


57:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/02(日) 02:14:12.59:s5KoD/7S0

~翌日~

亜里沙「……それでですね、とっても評判が良かったんですよ~」

P「それは良かったですね」

桃華「プロデューサーもご覧になればよろしかったのに」

P「あいにく丁度仕事が入っちゃってなぁ。残念だったよ、本当に」

亜里沙「次もやるつもりなので、今度はプロデューサーさんも、是非いらしてくださいね♪」

P「そうですね~、時間が出来たら……」

桃華「その時は、わたくしと……このウサコちゃまも、一緒に」

P「あ、あぁ、そうだな……?」





ウサコちゃん「………」


58:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/02(日) 02:18:13.08:s5KoD/7S0

蘭子「かくして、“薔薇の姫君”は“人形遣い”に、その魂を囚われた」

蘭子「だが、私は想う……真に魂を囚われしは、薔薇の姫君?いえ、あるいは……」



蘭子「Curiosity killed the cat」

蘭子「……此は異国より伝わりし、戒めの言霊」

蘭子「記憶に、刻み込むことね。あぎゃんこつに、なり……」

蘭子「………」





蘭子「あのような事に、なりたくなければなっ!」ビシィ



おわり


元スレ
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1354377564