1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/18(木) 11:39:31.21 :8cT+YiyV0


P「だってそうだろ?一日一回転ぶような奴がお菓子なんて繊細な技術が必要な趣味なんて」

千早「それは……そうですけど」

P「今までに一度も不味かったことはないし、おかしい」

千早「……おかしだけにおかしい……ぷふっ……」

P「いや、今はいいから」

千早「……っ、はっ、はい」



2:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/18(木) 11:43:18.55 :8cT+YiyV0


千早「言いますが、やはり慣れではないですか?」

P「そうかなぁ」

千早「子供の頃から母親に教えてもらっていたようですし」

P「それじゃあ、俺が何度言っても俺の目の前で転ぶのはなんだ?」

千早「そうですか?私の前ではそれほど」

P「会うたびにだぞ。躓いて突っ込んでくるから、いつもヒヤヒヤで抱き留めてるんだが」

千早(それか……) 


3:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/18(木) 11:47:18.78 :8cT+YiyV0


P「一回ぐらい、『あっ、砂糖と塩まちがっちゃったー、てへっ』って、なってもおかしくないだろ?」

千早「……ぷ……ふふっ……ご、ごほんっ……」

P「千早はおかしいと思わないか」

千早「そっ、そうですね……ふっ、……流石に味見してるんじゃないですか?」

P「そうかなぁ」 


5:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/18(木) 11:52:07.45 :8cT+YiyV0


千早「それで、私に伝えられてもどうしようもないのですが……」

P「あぁ、そうだった、千早は春香と仲いいだろ?」

千早「そうですね」

P「今度、春香がお菓子づくりしているところをチェックしてきて欲しいんだ」

千早「私が……?」

P「実はだな、やよいの料理番組の特別編で春香にお菓子づくりをしてもらおうという企画があってだな……」

千早「なるほど……だいたいわかりました」

P「頼めるか?」

千早「はい」 


7:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/18(木) 11:55:06.86 :8cT+YiyV0


ーーー

春香「いらっしゃい、千早ちゃん」

千早「お邪魔します」

春香「今日は私しかいないからゆっくりしていってね」

千早「ここが……春香の家……」

春香「なんか普通でごめんね、あっ、そうだ、今日はお菓子づくり教えたらいいんだよね?」

千早「えぇ、こんな事頼めるの春香ぐらいで……」

春香「もう、何言ってるの。千早ちゃんならいつでも大歓迎だよ」

春香「材料は全部キッチンに用意しているから、行こっ」 


11:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/18(木) 12:02:41.42 :8cT+YiyV0


春香「作るのはなんでも良いって聞いたから、初めは簡単にできるホットケーキでも作ろうかなって思ってるんだけど、いいかな?」

千早「えぇ、よろしく頼むわ」

春香「じゃあ、料理START!」



14:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/18(木) 12:08:48.86 :8cT+YiyV0


春香「用意するのは、卵、砂糖、牛乳、バター、バニラエッセンス、薄力粉、ベーキングパウダー」

千早「あら、ホットケーキミックスではないのね」

春香「それでもいいんだけど、やっぱり最初からの方が楽しいからね」

春香「まず始めに、薄力粉をふるいにかけまーす」

春香「ふるってる間に……、薄力粉は小麦粉の一種なんだけど、強力粉って小麦粉もあるんだよ?」

千早「そうなのね」

春香「強力粉はもちもちとするからパンとかにつかえるけど、ケーキやクッキーは薄力粉を使うの気をつけてね」 


16:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/18(木) 12:13:39.12 :8cT+YiyV0


春香「粉の状態で触って、粒が細かくてしっとりしてたら薄力粉。粒が荒くて、サラサラしてたら強力粉、ね」

千早「詳しいのね」

春香「まぁ、袋を見たら書いてるんだけど、いつもお母さん容器に入れ替えるから、間違えないように覚えたんだよね」

春香「はい、言ってる間にふるい終わりました。これの作業は2、3回してね」

春香「続けて、ベーキングパウダーをふるいます」 


17:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/18(木) 12:19:13.57 :8cT+YiyV0


春香「じゃあ、次は千早ちゃんにふってもらおうかな?」

千早「こ、こうかしら」

春香「うん、上手上手!」

千早(春香はエプロン揺れてたのに……くっ)

春香「これは、生地を膨らませるっていう意味があるんだけど、他にも重曹を使う場合もあるから注意ね」

千早「えぇ、わかったわ」

春香「じゃあ、ベーキングパウダーがふるい終わったら、さっきの薄力粉と混ぜあわせてもう一回ふってね。これで、おしまい」

千早「ええ」



20:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/18(木) 12:25:31.73 :8cT+YiyV0


春香「次に、ボウルを用意して、混ぜまーす」

春香「卵と砂糖入れまーす」

春香「砂糖は計量カップに入れて量を測ってね」

千早「けっ、結構砂糖入れるのね……間違ってない?」

春香「ううん、合ってるよ。お菓子って結構、砂糖使うんだよね。だから、お菓子は美味しいけど食べ過ぎには気を付けないとね」

千早「わかったわ」

春香「今回は普通のお砂糖使ってるけど、いつもは天然糖質使ってるんだ。そうすれば、普通のお砂糖より量やカロリーが抑えられるから良いよね」

千早「色々考えてるのね」

春香「こう見えてもアイドルですから! だから、ホットケーキミックスじゃなくて1から作るんだけどね、えへへ」 


21:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/18(木) 12:30:50.09 :8cT+YiyV0


春香「そして、バターと砂糖をよく混ぜ合わせたら、バターを用意します」

春香「溶かしバターにするんだけど、湯せんは危ないからレンジを使いまーす」

チーン!

春香「ちょっと混ぜて、全体が溶けたら、投入します。容器熱いから気をつけてね」

春香「それから、適量の牛乳、バニラエッセンスを数滴入れまーす」

千早「バニラエッセンス?」

春香「うん、なくてもできるけど、香り関わってくるから出来れば入れたほうがいいかな?」

春香「ほら!ちっちゃい容器に入ってて、可愛いよね!」

千早(春香も可愛い……) 


25:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/18(木) 12:40:00.50 :8cT+YiyV0


春香「そして、先程までふるった粉類を入れて混ぜ合わせまーす」

千早「そういえば、どうして何度もふるったの?」

春香「うーん、こうやって液体に入れた時にダマになりにくいように空気を入れてるんだって。袋のままじゃ、抑えられて隙間なく詰まってるから」

千早「へぇ、そうなのね」

春香「あとは、ベーキングパウダーをちゃんと混ぜ合わせられるから、かな。ちゃんとふるってるのもあるよ」

春香「あと、バニラエッセンスは熱すると香りが飛びやすいから、焼き菓子にはバニラオイルを使う人もいるけど、値段が変わってくるし、初心者の千早ちゃんにはバニラエッセンスでいいかな」

千早「確かに、バニラオイルって見たことないわね……」 


29:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/18(木) 12:47:16.32 :8cT+YiyV0


春香「うん、ダマなく混ざったね」

春香「じゃあ、焼く工程ね」

春香「じゃじゃーん!」

千早「随分と浅いフライパンね」

春香「鉄のフライパンなんだけど、そっちのほうがひっくり返しやすいからね」

春香「普通のテフロン加工のフライパンでもいいよ」

千早「わかったわ」 


31:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/18(木) 12:54:31.47 :8cT+YiyV0


春香「そして、ふきんを濡らして、横に敷いておきます」

千早「?」

春香「フライパンを温めながら、薄ーく油を引き伸ばします」

千早「結構待つのね」

春香「うーん、そろそろかな。フライパンが温まったら、付近で冷やします」

ジュー

千早「けっ、結構激しいわね……」

春香「そして、コンロに戻したら生地を高めから入れまーす」

春香「フライパンの真ん中で腕を止めて入れてたら、綺麗な丸になるよ」

千早「なるほど」



33:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/18(木) 13:03:06.80 :8cT+YiyV0


春香「小さめに作った方が、裏返しやすいよ」

千早「わかったわ」

春香「あんまり火が強いと焦げるから、弱火でゆっくりでもいいかな?特にこのフライパンだと、一度暖めると熱が残りやすいから」

千早「なにか、表面がプツプツとし始めたわね」

春香「フライ返しでちょっと上げて見て……、よいしょっと」

千早「いい色になってるわ」

春香「絶対に抑えないでね」 


35:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/18(木) 13:09:04.43 :8cT+YiyV0


春香「もっと火を弱めたら……こうやって……」

千早「?」

春香「美味しくなーれ、美味しくなーれ……」

千早「そ、そのポーズは?」

春香「えへへっ、おまじない。こうしたほうが美味しくできる気がするの」

千早「なかなか恥ずかしいわね……というか春香の顔、赤いわよ」

春香「さすがに、誰か横にいたらできないからね、今日だけサービス」

春香「はい、そろそろいいかな……、うん」

春香「お皿に移して完成ー!」 


40:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/18(木) 13:13:41.80 :8cT+YiyV0


春香「じゃあ、次は千早ちゃんが焼く番だよ」

千早「えぇ、頑張るわ」

春香「すでにフライパンは温まってるから、ちょっと、温度見ながら……」

春香「はい、どうぞ」

千早「こっ、こうかしら?」

春香「うんうん、ちゃんと丸くなってる」

千早「ふぅ……」

春香「あっ、千早ちゃんもおまじないやってよ?」

千早「ええっ!」

春香「だって、私だけやるなんて恥ずかしいし……」



41:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/18(木) 13:17:09.58 :8cT+YiyV0


千早「おまじないって……」

春香「あははっ、千早ちゃんの顔、もう真っ赤」

千早「だっ、だって……」

春香「ほら、そろそろ裏返していいんじゃない?」

千早「えーっと、そうみたいね」

春香「フライパン重たいから気をつけてね」

千早「え、えぇ……」

春香「後ろからは軽く支えるね」ピタッ

千早「っ!」

春香「こうやってフライパンを振りながら……」

千早「……」ドキドキ 


42:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/18(木) 13:19:52.08 :8cT+YiyV0


春香「……で、こうやって……こう」

千早「……」ボーッ

春香「聞いてる?」

千早「きっ、聞いてるわよ?」

春香「じゃあ、どうぞ」

千早「えっ、えいっ」

春香「おー、千早ちゃん上手!」

千早「ま、まぁ、こんなものかしら」

春香「そういえば、たまに料理してるもんね」 


44:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/18(木) 13:24:17.22 :8cT+YiyV0


春香「じゃあ、おまじないしよっか」

春香「コツは食べさせたい人の顔を想像することだよ」 

春香「美味しくなーれ、美味しくなーれ……」

千早「……っ、おっ、おいしくなーれ……」

春香「うんうんっ、良い感じ。千早ちゃんは誰を想像したのかな?」

千早「っ……!」

春香「あっ、もっと真っ赤になった」

千早「はっ、春香!」

春香「はいはい、できたー!」

千早「も、もう……」



45:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/18(木) 13:29:11.89 :8cT+YiyV0


ーーー

千早「ということでした」

P「それで、そのホットケーキはどこに……?」

千早「もちろんそのあと食べたので、ここにはありません」

P「っ!?」

千早「いえ、先週の話ですし……」

P「そんなぁ……春香のおまじない見たかった……食べたかった……」

千早(こんなに落ち込んでる姿、初めて見た……)

春香「そんなに言うなら、事務所で作りましょうか?」

P「っ!?」

千早「はっ、春香いつの間に!?」 


48:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/18(木) 13:36:54.22 :8cT+YiyV0


春香「二人が真剣な顔しているから何事かと思えば……」

P「いっ、いいのか?」

春香「材料はコンビニで買ってくるんで簡単にはなりますけど、やっぱり出来立てが一番おいしいんで!」

P「よっしゃー!」

春香「行こっ、千早ちゃん」

千早「私もっ?!」

春香「もちろんっ!まずは、材料揃えないとっ」

千早「まっ、待って春香……っ」

P「車に気をつけてなー」


春香「今日はプロデューサーさんのために、二人でいーっぱい、おまじないかけようね、千早ちゃん!」 


49:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/18(木) 13:38:46.47 :8cT+YiyV0

おわり 

元スレ
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1350527971