1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/08(土) 10:47:53.92 :VOVcU20W0

P「……どう思う? 最近の響……」

律子「そう、ですねぇ……。少しずつ、元の明るさを取り戻してきているようにも見えますが……」

P「……が?」

律子「やはりまだどこか無理をしているというか……なんとなく、空元気を装っているように見えますね……」

P「そう……だよな……」 


2:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/08(土) 10:49:50.15 :9V88v8RH0
あいつら寿命5年くらいだしな 


3:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/08(土) 10:51:09.77 :K3Lihfex0
ゴールデンとかキンクマで5年6年
ジャンガリアンとか小型種だと2、3年 


4:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/08(土) 10:51:35.45 :VOVcU20W0

P「一体どうしたものか……」

ガチャッ

響「はいさーい!」

P「お、おう。おはよう、響」

律子「お……おはよう」

響「? どうしたんだ? 二人とも。なんか話してたの?」

P「べ、別になんでもないぞ。なあ律子?」

律子「え、ええ」

響「ふーん。ならいいけどさ」 


6:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/08(土) 10:58:35.51 :VOVcU20W0

P「……って、響。お前それ、また……?」

響「ん? ああ、駅前のお店で目に入ったから買っちゃった。可愛いでしょ?」

――そう言って、ハムスターのぬいぐるみを見せつける響。
――大きさは、両手で抱きしめるのにちょうどいいくらいである。

P「あ、ああ……」

律子「か、可愛いわね」

響「でしょ~? まあハム蔵ほどじゃないけどね! えへへ」

P「…………!」

律子「響……」

響「あ、もうレッスン行かなきゃ! それじゃまた後でね! プロデューサー、律子!」

P「あ、ああ。頑張ってな!」

P「…………」

P「…………はぁ……」 


19:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/08(土) 11:08:30.86 :VOVcU20W0

律子「……響、ハム蔵が死んでからというもの……ハムスターのぬいぐるみとかストラップとか、毎日のように買ってますね……」

P「うん……。これまで全然、そういうのに興味なかったのにな……」

律子「どういうつもりなのかしら……。いくらぬいぐるみやらを集めても、ハム蔵はもう帰ってこないって……分かってるはずなのに」

千早「……埋め合わせを、しているつもりなのかもしれないわ」

P「千早」

――部屋の奥から千早が出てきた。その後ろには春香と貴音もいる。

律子「埋め合わせ、って?」

千早「たとえるなら……穴の開いたバケツに、必死に水を注ぎ続けているような……そんな感じじゃないかしら」

春香「……バケツ?」

千早「ええ。でもいくら水を注いでも、バケツに水が満ちることはない。ただ注ぐ端から、こぼれ落ちていくだけ……」

貴音「…………」 


24:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/08(土) 11:20:21.34 :VOVcU20W0

千早「我那覇さん自身も、本当は分かってると思う。そんなことをいくら繰り返しても、根本的な解決にはならない、って」

律子「…………」

千早「でも他にどうしていいか分からない。ただ、何かをしていなければ自分を保てなくなる……そんな状態なんだと思うわ」

貴音「…………」

千早「……一度失った大切なものは、もう二度と元には戻らない……。そのことを、我那覇さん自身も、本当は分かっていると……思うから」

P「……千早……」

春香「……千早ちゃん……」 


25:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/08(土) 11:26:20.63 :VOVcU20W0

律子「……そうね。こればかりは、時間が解決してくれるのを待つしかないのかもしれないわね……」

春香「……そう、ですね……。今の私達が、響ちゃんにしてあげられることなんて、何も……」

貴音「…………」

P「……貴音。お前はどう思う?」

貴音「? わたくし……ですか?」

P「ああ。何でもいい。何でもいいから……今の響に、俺達がしてやれること……何か、思いつかないか?」

貴音「そう……ですね……」 


26:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/08(土) 11:31:13.33 :VOVcU20W0

貴音「…………」

律子「貴音……」

千早「四条さん……」

貴音「……分かりました」

P「! 貴音」

春香「貴音さん」

貴音「わたくしにどこまでできるか分かりませんが……やれるだけのことはやってみましょう」

P「貴音……ありがとう」

貴音「いえ……。ただわたくしも……」

P「?」

貴音「……早く、響の“本当の”笑顔が見たいですから」

P「貴音……」

春香「貴音さん……」 


27:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/08(土) 11:36:38.52 :VOVcU20W0

~その日の夜・響宅~

響「ハム蔵……」

――響はテーブルの上に置いてある、今日買ったばかりのハムスターのぬいぐるみを手で弄んでいる。

響「………………」

響「……うぅっ……」

響「……なんで、死んじゃったんだよぉ……」 


30:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/08(土) 11:45:05.40 :VOVcU20W0

響「……もしかして、ハム蔵は自分の事が嫌いだったのか……?」

響「……だから、もう、先に……」

響「…………」

響「……うぇええええ」

響「……えぐっ、ぐすっ、ひっく……」

響「ハム蔵……帰ってきてよぉ……」

響「自分は、自分は、ハム蔵がいないと……」

響「……うぇええええええ」

ピンポーン

響「! だ……誰?」

響「…………」 ゴシゴシ

響「…………」 スタスタ

響「…………」 チラッ

――玄関ドアの覗き穴から外を覗く響。するとそこには、ハムスターのお面を付けた人物が立っていた。

響「うっひゃあ!?」 


31:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/08(土) 11:45:53.65 :t/R0+xyk0
変人じゃねーか!! 


32:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/08(土) 11:49:06.15 :VOVcU20W0

――玄関を開ける響。ただしチェーンは掛けたままである。

響「だ……誰?」

???「…………」

響「貴音……か?」

――その上背、お面からはみ出している銀髪は四条貴音に他ならなかった。

貴音「…………」

響「貴音……何やってるんだ」

貴音「…………」

響「そんな、お面なんか付けて……」

貴音「……上がらせて頂いても、よろしいでしょうか」

響「……いいけど」 ガチャッ 


33:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/08(土) 11:52:36.09 :VOVcU20W0

――部屋の中に入る響と貴音。貴音は未だハムスターのお面を付けたままである。

響「……お茶、入れるね」

貴音「お構いなく」

響(貴音のやつ……何考えてるんだ……)

響「……はい」 コトッ

貴音「ありがとうございます」

響「…………」

貴音「…………」

響「…………」

貴音「…………」

響「……ねぇ、貴音」

貴音「はい?」

響「……それ、取ったら?」

貴音「…………」

響「…………」 


34:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/08(土) 11:55:30.72 :VOVcU20W0

貴音「取りません」

響「なんでさ」

貴音「今日から私は……“四条はむ音”と名乗ります」

響「……はあ?」

はむ音「…………」 

響「……いや、いや」

はむ音「…………」 

響「自分ちょっと意味が分からないぞ」

はむ音「安心して下さい、響」

響「安心できる要素が微塵も無いぞ」 


39:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/08(土) 12:03:18.50 :VOVcU20W0

はむ音「響は最近、はむすたぁのぬいぐるみを沢山買っていますね」

響「そ、それがどうしたの」

はむ音「……何故ですか?」

響「えっ……」

はむ音「これまで響は、そのようなぬいぐるみなどを買うことはほとんどありませんでした」

響「…………」

はむ音「それがここ一ヶ月ほどで、こんなに……」

――改めて響の部屋を見回すはむ音。テーブルの上にベッドの上、さらにはテレビ台の上などにも、そこかしこにハムスターのぬいぐるみやグッズが所狭しと置かれている。

響「……べ、別にいいでしょ。自分が自分のお金で何を買ったって。……貴音には、関係ないじゃないか」

はむ音「…………」 


40:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/08(土) 12:05:48.44 :VOVcU20W0

響「…………」 

はむ音「…………」

響「…………」 

はむ音「……ハム蔵の代わりを、求めているのでしょう」

響「!?」

はむ音「…………」 

響「…………」 

はむ音「……違いますか?」

響「…………」 


41:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/08(土) 12:08:58.83 :VOVcU20W0

響「……仮にそうだったとして、何だっていうんさ」

はむ音「…………」 

響「……それこそ貴音には、何の関係も――」

はむ音「あります」

響「えっ」

はむ音「…………」 

響「…………」 

はむ音「何故なら私は……四条はむ音ですから」

響「……いや、だから意味が分からないぞ……」 


42:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/08(土) 12:13:41.26 :VOVcU20W0

はむ音「簡単な事です。いいですか? 響」

響「…………」

はむ音「響はハム蔵が亡くなってからというもの……毎日のように、はむすたぁのぬいぐるみやすとらっぷなどを買い集めていました」

響「…………」 

はむ音「それはまさしく、ハム蔵の代わり、代役をそれらに求めていたからにほかなりません」

響「…………」 

はむ音「……しかしもう、そんなことをする必要は無いのです」

響「……え?」

はむ音「これからは……私が、四条はむ音が、ハム蔵の代役を務めます」

響「…………は?」 


43:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/08(土) 12:15:22.50 :qA7oN+JS0
ペットロスで心に空いた穴を埋める方法は
新しいペットを飼う事しかないんだよな

時間は解決してくれないし・・・ 


46:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/08(土) 12:20:45.18 :VOVcU20W0

響「いや、いや……」

はむ音「誠心誠意、務めさせて頂きますので……宜しくお願いしますね、響」

響「何言ってるんだぞ、貴音……」

はむ音「貴音ではありません。はむ音とお呼び下さい」

響「…………」 

はむ音「おっと。この喋り方はハム蔵らしくありませんでしたね」

響「…………」 

はむ音「可能な限り、喋り方もハム蔵を模したものに致したいと思います」

響「…………」 

はむ音「たとえばこんな感じに。……ぢゅーい? ぢゅいぢゅいぢゅい?」

響「…………ッ……」 

はむ音「ぢゅーい? ぢゅいぢゅいぢゅい?」

響「…………」

はむ音「ぢゅぢゅ? ぢゅ~い」

響「…………めろ」 


49:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/08(土) 12:26:09.56 :VOVcU20W0

はむ音「ぢゅい? ぢゅぢゅぢゅい?」 

響「……やめろ……」

はむ音「ぢゅ~い? ぢゅぢゅ……」

響「やめろって言ってるんさ!」

はむ音「…………」

響「…………」 

はむ音「…………」

響「……貴音が、自分の事、心配してくれてるのは嬉しいけど……」

はむ音「…………」

響「……こんな事されても、嬉しくないよ……」

はむ音「…………」 


50:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/08(土) 12:26:15.87 :xkZXtF/f0
想像したらめっちゃシュールだなwwww 


51:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/08(土) 12:27:41.71 :PShEKp8J0
 73

しえんさー 


52:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/08(土) 12:33:01.72 :VOVcU20W0

響「……だって、貴音は……貴音じゃないか」

はむ音「…………」 

響「自分、確かに、ハム蔵が死んで、すごく悲しくて……」

はむ音「…………」 

響「……それ以来ずっと、心のどこかで、ハム蔵の代わりになるものを、探し求めていたのかもしれないけど……」

はむ音「…………」 

響「……でも、それに貴音がなるのは……すごく……嫌だ」

はむ音「…………」 

響「……貴音は、貴音だ。ハム蔵の……代わりなんかじゃない!」

はむ音「当たり前でしょう!」

響「!?」 


53:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/08(土) 12:37:24.36 :VOVcU20W0

――はむ音……いや、貴音は、少し乱暴な所作で、顔に付けていたハムスターのお面を外した。

響「……貴音……」

貴音「…………」

響「…………」

貴音「……響」

響「……何?」

貴音「……お水を、一杯頂けませんか」

響「……蒸れてたんだね、中……」

貴音「ええ……申し訳ありません」 


55:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/08(土) 12:46:36.73 :VOVcU20W0

――貴音は水を一杯飲んだ後、再び真剣な面持ちになって言った。

貴音「……いいですか、響」

響「……うん」

貴音「響はさっき言いましたね。わたくしはハム蔵の代わりなどではない、と」

響「……うん」

貴音「その通りです。わたくしは四条貴音。たとえわたくしが面を付けても声色を操っても、ハム蔵の代わりなどにはなれません」

響「……じゃあ、なんであんなことを……」

貴音「……それは……響に、気付いてもらいたかったからです」

響「……何を?」

貴音「……なんぴとも、ハム蔵の代わりなどにはなりえない、ということを」

響「…………」

貴音「……ですがまあ、このことは……響は既に、分かっていたかもしれませんね」

響「…………」 


56:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/08(土) 12:47:11.26 :VOVcU20W0

貴音「……ですが、わたくしが響に気付いてもらいたかったことは……実はもう一つ、あるのです」

響「もう、一つ……?」

貴音「ええ」

響「何なの? それって……」

貴音「それは……そもそも、ハム蔵の代わりなどを探し求める必要はない、ということです」

響「…………?」 


58:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/08(土) 12:54:31.14 :VOVcU20W0

貴音「響……貴女は、ハム蔵がもう、手の届かないような遠いところに行ってしまったと……そんな風に思っているのではありませんか?」

響「……う、うん……」

貴音「そんなことはありません」

響「……?」

貴音「ハム蔵は……ただらぁめん屋に出かけただけです」

響「…………え?」 


59:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/08(土) 12:55:44.85 :SJQ8brf80
え? 


66:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/08(土) 13:06:27.79 :VOVcU20W0

貴音「ハム蔵はお腹が空き、らぁめんが食べたくなったかららぁめん屋に出かけた……ただ、それだけのことなのですよ」 

響「……い、いやいや」 

貴音「……響。あなたは、友人……いえ、この場合は“家族”でしょうか……。いずれにせよ、そういった者がらぁめん屋に出かけた……ただそれだけのことで、いちいち悲しがったり、落ち込んだりするのですか?」 

響「……それは……」 

貴音「……いいですか? 響」 

響「…………」 

貴音「死ぬことは……終わることではありません」 

響「…………」 

貴音「……確かにハム蔵の肉体は朽ち、その愛らしい姿を直接目で見ることはできなくなってしまったかもしれません」 

響「…………」 


67:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/08(土) 13:07:15.73 :VOVcU20W0

貴音「……でもだからといって、響がこれまでハム蔵と共に過ごした時間、思い出が……消えてなくなるわけではないでしょう」 

響「…………」 

貴音「つまり、響がハム蔵のことを忘れず覚えている限り……ハム蔵は今までと何ら変わりなく、響と共に在るのです」 

響「…………」 

貴音「……ただハム蔵は、ちょっとお腹が空いたので、らぁめん屋に出かけてしまった……」 

響「…………」 

貴音「ただ……それだけのことなのですよ」 


70:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/08(土) 13:12:27.81 :VOVcU20W0

響「…………」 

貴音「…………」

響「……貴音」

貴音「……はい」

響「……たとえが下手過ぎ」

貴音「うぐっ」

響「……ハム蔵は、ラーメンなんか食べないし」

貴音「……そ、それでしたら、ひまわりの種ということに……」 


72:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/08(土) 13:16:13.81 :VOVcU20W0

響「…………」 

貴音「…………」 

響「……貴音」

貴音「……はい」

響「……自分、ハム蔵のこと、死ぬまで……いや、死んだって……忘れないぞ」

貴音「……はい」

響「……ずっと覚えてて、いつかまた会えたら、そのときは……」

貴音「……そのときは?」

響「……自分を置いて出かけた罰として……たらふくラーメン奢らせてやる」

貴音「……ふふっ。ならそのときは……わたくしも、ご相伴に預かることと致しましょう」 


73:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/08(土) 13:19:42.83 :tp7eYw4h0
( ;∀;)イイハナシダナー 


74:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/08(土) 13:20:46.04 :VOVcU20W0

響「……ふふっ」

貴音「……ふふふ」

響「…………」 

貴音「…………」 

響「…………」 

貴音「…………」 

響「……ねぇ、貴音」 

貴音「……はい」 

響「……ちょっとだけでいいんだけどさ」 

貴音「……はい」 

響「……ぎゅってして」

貴音「……はい」 ギュッ 


75:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/08(土) 13:21:20.14 :VOVcU20W0

響「…………」 

貴音「…………」 

響「……ねぇ、貴音」 

貴音「……はい」 

響「……ちょっとだけでいいんだけどさ」 

貴音「……はい」 

響「……頭、なでて」

貴音「……はい」 ナデナデ 


77:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/08(土) 13:25:27.43 :VOVcU20W0

響「…………」 

貴音「…………」 

響「……ねぇ、貴音」 

貴音「……はい」 

響「……ちょっとだけでいいんだけどさ」 

貴音「……はい」 

響「……泣かせてもらっても、いい?」 

貴音「…………」 

響「…………」 


78:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/08(土) 13:26:03.41 :VOVcU20W0

貴音「……ちょっとだけと言わず、好きなだけ」 

響「………う」

貴音「…………」 

響「………うぇ……」

貴音「…………」 

響「うぇええええええええ」

貴音「……よしよし」

響「うぇええええええええ」

貴音「……よく頑張りましたね、響」

響「うぇええええええええ」 


79:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/08(土) 13:31:16.62 :VOVcU20W0

貴音「……落ち着きましたか? 響」

響「……すん、ぐすっ……うん……」

貴音「……よしよし」 ポンポン

響「…………」 

貴音「…………」 

響「…………」 

貴音「…………」 

響「……ねぇ、貴音」 

貴音「……はい」 

響「……ちょっとだけでいいんだけどさ」 

貴音「……はい」 

響「……このままでいさせて」 

貴音「……ちょっとだけと言わず……いつまででも」 

響「…………ありがと、貴音……ぐすっ」 

貴音「……ふふっ」 


81:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/08(土) 13:40:24.22 :VOVcU20W0

~翌日・765プロ事務所~

P「貴音……上手くやってくれたんだろうか。特に連絡無かったけど……」

律子「もうそろそろ来ると思うんですけどね……響も」

春香「……やっぱり今、私達が響ちゃんにできることって言ったら、これまでと同じように接していってあげること……くらいだよね」

千早「そうね……こればかりは、本人が壁を乗り越えない限り、どうにも―――」

ガチャッ

響「はいさーい!」

貴音「おはようございます」

P「お、おお……おはよう響、貴音。二人とも一緒だったんだな……って何だ響、その大きな荷物は?」

響「えへへ~、これ、皆にあげるさー!」 


84:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/08(土) 13:51:43.82 :VOVcU20W0

――そう言いながら、響は手に持っていた大きな紙袋から次々とハムスターのぬいぐるみやストラップなどを取り出し、その場にいる面々に配り始めた。 

P「こ、これって……」 

律子「響が最近買い集めてた……」 

春香「ひ、響ちゃん? これ……私達がもらっていいの?」 

響「うん、いいのいいの!」 

千早「我那覇さん……」 

P「響、お前……」 

響「……ふふっ。もう、いいんだ」 

P「もう……いい?」 

響「うん。だって、自分には……ハム蔵がいるから!」 

P「! 響……」 

春香「響ちゃん……」 

響「……ま、今は“らぁめん屋”に行ってるから、ここにはいないけどねっ!」 

P「? ……“らぁめん屋”?」 

律子「? どういうこと?」 


86:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/08(土) 13:57:58.50 :VOVcU20W0

響「……えへへ、なーいしょっ。ね、貴音っ!」 

貴音「ええ」 

P「??」

響「っと、いっけない! 自分、今日は朝一でボーカルレッスンだった! 早く行かないと! じゃあ皆、また後でねー!」 

P「あ、おい響! ……って、もう行っちまった」 


87:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/08(土) 13:59:34.49 :VOVcU20W0

春香「……でも、今の響ちゃん……」 

千早「……ええ、私達がよく知ってる……いつもの我那覇さんだったわ」

律子「正直、何が何だか分からないけど……ともあれこれで一件落着、ってことなのかしら?」

貴音「…………」

P「……貴音」

貴音「はい?」

P「……ありがとうな」

貴音「…………」 フルフル

貴音「わたくしは、ただ……もう一度、響の“本当の”笑顔が見たかった……ただ、それだけのことです」

P「……そうか」

貴音「……はい」 


88:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/08(土) 14:08:05.14 :VOVcU20W0

~レッスン場~

響「はいさーい! 我那覇響到着しましたー!」

レッスン指導「あら、今日はやけに元気が良いわね。何か良いことでもあったの?」

響「えへへー、それはないしょです!」

レッスン指導「あらあら。ま、いいわ。それじゃあ今日も厳しくいくから、覚悟してなさいよ」

響「はーい! 自分、一生懸命頑張りますから、よろしくお願いしまーす!」





響(……えへへ。これからも自分の事、ちゃんと見ててよね……ハム蔵!)





了 


91:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/08(土) 14:09:39.11 :+k+0pTI50
乙!
感動した! 


92:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/08(土) 14:10:28.46 :Ne3YS1HT0
イイハナシダナー、乙 


95:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/08(土) 14:28:39.87 :VOVcU20W0

>>51
これは即興で書かれたのでしょうか?どうもありがとうございます!